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【TRPG】ギルドアドベンチャー part2

1 : ◆zlaomeJBGM :2015/04/22(水) 04:10:42.53 0.net
ジャンル:ファンタジー
コンセプト:何でも屋ギルドの一員となって冒険
期間(目安):シナリオによりけり
最低参加人数:3
GM:あり※シナリオを担当したい場合は交代します。
決定リール:あり
○日ルール:七日
版権・越境:ナシ
敵役参加:基本ナシ
避難所の有無:あり

この王国には金さえ払えば何でもやるギルドがある!
ベビーシッター!ハイッよろこんで!
輸送車の護衛!まかせとけ!
ダンジョン攻略!合点だ!
夕飯の支度!カレーでいいじゃん!
暗殺依頼!・・・そういうのはちょっと

とにかく、汚れ仕事以外なら何でもやるギルドが存在する。
その名も何でも屋ギルド「銀の杯団」!
ここで君は平凡からかけ離れた日常を送ることになるだろう

ギルドアドベンチャーここに開幕!



ギルドアドベンチャー避難所
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/9925/1398870009/

2 : ◆zlaomeJBGM :2015/04/22(水) 04:12:03.23 0.net
【キャラクターシート・テンプレ】
名前:
種族:
性別:
年齢:
ジョブ:
性格:
髪型:
容姿:
装備:
備考:(キャラ設定的な)
好きなもの:
苦手なもの:
うわさ1:
うわさ2:

腕力:
体力:
精神力:
魔力:
知識:
容姿:
素早さ:
幸運:
(合計400の数値を1〜99ふる)

職業スキル:『』
個人スキル:『』

3 : ◆zlaomeJBGM :2015/04/22(水) 04:14:17.64 0.net
レギュレーション

種族について:特に制限は無し、ただし、あまりにも度が過ぎたものに関してはNGが出るかも
文明について:世界観的には中世に近い、科学技術と魔術もそれなりに発達し
       人が乗れるゴーレムやあまり浸透していないが銃火器のたぐいも存在している
ジョブについて:特に制限は無し、しかし、これも度が過ぎていた場合NGが出るかも
その他:細かい設定等々は各々で出しても問題ナシ、しかし、クエスト進行に関わる場合は応相談

設定
【銀の杯団本部】
ギルドの拠点、普段は「銀の杯亭」という酒場を営んでいる。
もちろん、従業員はギルドメンバーが当番制で働いている。
二階建てになっており、一階が酒場で二階にはギルドメンバーが経営している子店が集まっている。
敷地内には、ギルドメンバーの寄宿舎があり、そこで生活をしている。
【王国】
ルミエリア王国、海に面しており公益が盛ん
治安はほどほどによく、目立った不安もない。
ちなみに銀の杯団は王国の認可を受けているので、有事の場合は呼び出しがかかることもある。

4 :メアリ ◆IC7RKFJkf6 :2015/04/22(水) 07:45:07.24 O.net
今回依頼主は失うものもなく、ピクシーも力を得た上、日頃から家を訪ねる事にしたそうだ。
女神達もウルドが来てからはあっさりとしていて、双子は最後にドゲザ?をして(させられて)からいなくなった。
結果だけ見ればハッピーエンド、だと思う。
ただ…奉り方、は少々良くなかったらしい。落ち着いてから叱られたが、知らなかったのだから勘弁して欲しい。
「今回は頑張ったもん…」
いつもより頭を使って、苦手な敬語も使って、武器に頼らず依頼を終えた。少し暴れ足りない…
…歳からしたら、この方がいいだなんて全然わかってはいないが。
そこは精神年齢9歳なのでご了承を

5 :フロウ ◆aGab3MEKhY :2015/04/22(水) 23:36:15.90 0.net
時は流れて数日後、場所も変わって取水亭。フロウは今回の依頼について報告書とは別に、
個人的にまとめを作っていた。それが今一段落したところだった。結局昼食をとらずに昼休みが終わってしまった。

(うーん、”神様”かあ)

牧場での一件を思い返しながら、彼はメガネを外した。窓の外を見れば、いつもと変わらない、
しかし確かに時間の流れている港がある。ウルドは現れるなり妹達を力ずくで平服させたり
ピクシーたちに力を与えたりと、いとも簡単に状況を収束させた。

流石に神様だと感心もしたが、どうにも妹たちとの関係を見るにあまり中は良くないようだった。
妹たちが支配者気質であり、長女がストイックなのだろう。去り際に彼女らに思いっきり睨まれたが、
報復に来たという話も聞かない。アフターケアで何度か訪問して牧場主やピクシーたちに訪ねても
問題はないそうだ。

(まあ、会えただけでもよしとしよう)
 晴れて神々との邂逅を果たしたのだ。神官冥利に尽きるというものだ。現実はまったくといっていいほど
格好がつかないが、それでも結果は残った。

フロウは小さく息を吐くと、その「まとめ」を机の引き出しに雑に突っ込んだ。後には文房具と一冊の絵本が
残された。「運命の女神ノルン」と書かれている。その表紙を軽く撫でる。
結局のところこれは、絵本でもあるが、女神たちの取り扱いを簡潔に記した『原書』のような
ものでもあったのだ。蔵書にするべきか、一般に開示しておくべきか、彼は迷った。

(…………………………)
 迷ったものの、彼は席を立つとそれを元の本棚へと戻した。もしかしたら、この絵本を手にした別の誰かにも
何か数奇な運命が訪れるかもしれない。そう思うと、この本を仕舞う気はなれなかった。

「さてと、それじゃ開けますか」
 フロウは取水亭の入口まで行き、ドアにかかるボードを「open」に裏返すと、カウンターに戻ってお客の来店を待った。
いつもの時間に、彼は戻ってきたのだった。

6 :エアハルト ◆Sg5djUdds2 :2015/04/23(木) 22:12:50.19 0.net
ギルド一階にある酒場『銀の杯亭』にて。本日の当番であるエアハルトは細々とした雑事を片付けていた。
現在は昼営業の時間も終わり、休憩と夕方の仕込みを兼ねた準備期間中。とくに忙しさもなく、酒場内にはのんびりとした空気が流れている。

「そういえばエアハルト。お前宛てに小包が届いてたぞ」

「小包?」

同じように当番として働いていた他の団員からの言葉にエアハルトは首をかしげる。
なんで自分あての荷物が、寄宿舎ではなく酒場の方に届いているのか……。
疑問に思いながら荷物を受け取るエアハルトだったが、その送り元が『レイン牧場』であるのをみて、すぐさま思い出した。

(そうだ、そういえばあの依頼中に、牧場のチーズやハムを宅配で届けてもらえないかお願いしたんだった!)

まだ神様が関わっているような大変な依頼だと気付く前の話である。
仕事中に何をしているんだと言われそうだが、それほどあの牧場で食べたものは美味しかったのだ。美味しいは正義である。
生ものであるため、留守にしている率の高い寄宿舎の方に送るより酒場に送った方が、誰かしらが冷蔵庫にでも入れておいてくれるだろうと思い、こちらを送り先にしておいたのだ。
騒動が予想外に大事になったためにスッカリ忘れていた。
団員に礼をいってから、早速中身を確認する。
出てきたのは明らかに自分が頼んだものより多く、上等そうな牧場の特産品の数々だった。
一緒に添えられていた手紙には、事件解決の礼とその後の牧場の様子などが、丁寧な言葉と親しみをもって書かれている。

<牧場自慢の味を、ぜひみなさんでお召し上がりください>

そう締めくくられた最後の一文を確認し、エアハルトはゆるゆると湧き上がる感情に笑みを隠せなかった。
そして、作業を続けるほかの団員に一言断ると、送られた荷物を抱え、足取り軽く取水亭に向かうのだった。

7 : ◆zlaomeJBGM :2015/04/26(日) 00:44:13.08 0.net
ギルドの仕事で空けている間に、ほんの少しだけ埃をかぶった店内。
どうせ扉を叩くものは居なかっただろう。諦観半分で椅子にもたれて天井を仰ぐ。
壁に、棚に。様々な針がまったく同じ数字を指して廻っていく空間。
クォーツが歯車を回す、一様な響きの中にほんのひとつ外れた音があった。

「...そう、か......」

違和感を聞き取り手を伸ばしたのは、首に下げられた懐中時計。
小さな円の中の最も長い針は、壁や棚にある長針よりもひとつだけ小さい数字を指していた。
目を閉じて思い返す。癇癪屋の二人組と、平身低頭するその長姉の姿。
慌しく過ぎたかの光景は、ティアに神という存在への失望のほかにも要らぬ置き土産をくれたようだ。

止まった時の中で、心音だけが響いていた。切り離された森の一角で。
いや、もしかしたら粘性の水底から引き上げられたあの時から。
今まで規則的に歩み流れてきたティアの時間は、少しだけ狂っていったのかも知れない。

だが、今はそれでもいいと。そう思えた。
ほんの少し歩調を乱してみるだけで、あれほどまでに温かな時間を過せるのなら。
理路整然の中で逸れてしまった、一際目立つこの秒針の音も悪くないとさえ思えた。

癖で手早く手にしていた精密ドライバーを、何の気なしにくるりと回してから仕舞い込む。
今のこの時にメスを入れて元に戻してしまうのは、あまりにも勿体無いと感じた。
そうだ、たまには用が無くても顔を出したっていい。皆が自然と集まるだろう、あの小さな貸本屋に。
思い立ったが早いか扉を開け、さっき引っくり返したばかりの「開店中」の札を裏返してしまう。

「さあ......行ってやるか!」

8 :エアハルト ◆Sg5djUdds2 :2015/04/26(日) 15:01:16.40 0.net
次回予告:
エメラルダの個人的な依頼。
それはなんと、ドラゴンの素材を入手してくるというものだった。
なんでもこの時期にしか取れない希少な素材があるというのだが……?

「大丈夫大丈夫。ちょっと行って取って来るだけの簡単な仕事さ!」

だが、そう言う姉(エメラルダ)とは対照的に、弟(エアハルト)の表情は渋い。

――目的地でメンバーを待ち受けるものとは一体?



次回「錬金術師の採取依頼〜竜の皮編〜」

9 :エアハルト ◆Sg5djUdds2 :2015/04/26(日) 21:34:02.45 0.net
その日、いつもは朝礼その他対人雑事の一切を弟(エアハルト)にまかせ、研究室に篭りっきりの変人錬金術師(エメラルダ)が、どういう気まぐれか、きちんと朝礼に参加していた。
ある(知らない)ものは無関心に、ある(知っている)ものは天変地異の前触れかと、戦々恐々としていたが、その後朝礼は何事もなく進み、何時もどおり団員への依頼の前ふりと、酒場の当番の確認、それ以外のものへの自由行動の許可を通達し終わりを告げた。
そんな(一部)不可思議な朝礼を終え、依頼もなく当番でもない一部のメンバーが、思い思いに過ごそうとしていた、とある日のことである。

「実はだね、個人的に依頼したい仕事があるんだ。もし時間があれば、この後『取水亭』にきてくれないかな?」

朝礼後、そう声をかけたエメラルダの言葉によって、今回、幸か不幸か巻き込まれたメンバーは貸本屋『取水亭』へと集められたのだった。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

「やぁやぁ、よくきてくれたね! とりあえず、こっちにきて座ってくれ」

そういって、まるでこの店の主のような面をして、厚かましくも店の一角を占拠し、いつの間にか椅子と小さな机まで用意するエメラルダ。
相変わらずその仮面の奥の表情は窺えないが、声やしぐさからは機嫌が良いことが窺える。
だが、そんな姉とは対照的に、弟であるエアハルトは浮かない表情だ。
言いたいのに言えない、といった風で、その視線はエメラルダと集められた面々の間をいったりきたりしている。

「大丈夫大丈夫。ちょっと行って取って来るだけの簡単な仕事さ!」

調子のいいことを言うエメラルダだが、隣に立つ弟のおかげで、言葉通りの簡単な仕事ではないことは推察できた。
そんな周囲の懐疑的な視線も気にせず、エメラルダは依頼内容を明かしていく。

「今回依頼したいのは、近くの山岳地帯に住み着いている竜の皮の入手だ。
 あ、竜っていってもワイバーンだから、そう大物でもないよ?一応情報も用意しといた。はいこれ」

そういって広げた本には、ワイバーンについての情報が図解と共に記されていた。
エメラルダが取水亭にて、メンバーが集まるのを待つ間に借りておいたものだ。


【ワイバーン(翼竜)】
大きな翼と長くしなやかな尾をもつ小型の竜種。前脚はなく、腕部が翼になっている。
属性を持つものも居り、その場合は名前の頭にそれぞれ色の形容詞が付く。
鋭い爪や牙、尾を振り回して攻撃し、属性持ちは口からその属性の息(ブレス)を吐きだす。
場所によっては戦闘や移動手段などに利用するため、飼育しているところもある。
野性の翼竜に出会ってしまった場合、できるだけ戦闘は避けたほうがいいだろう。
熟練の冒険者チームならば勝てるかもしれないが、個人では相当の腕前がないとまず無理だ。
それでも戦闘になってしまった時は、鱗のない翼を狙うのが有効である。
物理攻撃の場合、胴体は硬い鱗があるためあまり効かない。
魔法攻撃の場合、属性持ちに対しては対属性のものを使用するといい。

〜ルミエリア王国魔物研究会著『世界のモンスター事典』より抜粋〜


「以前エアハルトが巣を発見してね。そのとき、その翼竜が脱皮の時期だってことに気付いたんだ。今行けばちょうど脱皮したてぐらいだろう。
 ってことで、今回の目的はその脱皮殻の採取。
 ご本人(翼竜)が留守の間にちょぉっと忍び込んで、抜け殻もらって、帰ってくるだけだよ。ね、簡単な仕事だろう?」

確かに簡単な仕事だ。
巣に忍び込んでご本人(翼竜)に見つからずにすめば、の話だが。

「報酬は一人銀貨三十枚。手に入れた量によってはもうちょっと出してもいいかな。
 行き帰りの必要経費は全てこっちが持つから、遠慮なく言ってくれ。
 あと、事前準備として各個人の好きな錬金アイテムを一つあげるよ。使わなくても返却の必要はないから、これも報酬の一部と思ってくれていい」

そこまで言って、エメラルダは期待の篭った視線でメンバーを見回し、強請る様に首をかしげた。

「で、どうかな?受けてくれるかい?」

10 :メアリ ◆IC7RKFJkf6 :2015/04/26(日) 23:15:03.11 O.net
いつもと少しだけ違った朝礼のあと、いつも通り依頼をもらわなかったメアリはそそくさと部屋に戻ろうとしていた。
2年程ギルドにいても、仕事があまり多くないわけは人間見知りだからである。
副団長がある程度の理解を示してくれているらしく、この前までは人間と仕事をすることは少なかった。
しかもしたらしたで、アダ名で仲間外れなのでさらに辛い。
最近はティアを皮切りに交流が増えてきたなあ、と思ったところでエメラルダが話しかけてきた。
種を片方預けた以上、お店に行ったりはしているので、断るほどでもないか、と取水亭に行くメアリだった。

だが、取水亭に見知らぬ女性がいるとわかった瞬間、フロウの後ろに隠れた。
「だ、だ、れ?」
弓を背にした女性、纏う空気は穏やかだが…生憎一般的な女性人間と仕事をしたことがない(無論エメラルダは除く)
その緊張で、話をしっかり聞かないまま固まっていたメアリだった。
…勝手に、なんか戦うんだろう、と思い込むくらいには、聞いていない。

11 :フロウ ◆aGab3MEKhY :2015/04/27(月) 23:40:21.43 0.net
「はあー……」
 フロウは深くため息を吐いた。ここは貸本屋『取水亭』、彼の数ある職場の中のひとつであり
砦である。しかし、その砦は今や陥落し、侵略者の良いように使われてしまっていた。

>>『やぁやぁ、よくきてくれたね! とりあえず、こっちにきて座ってくれ』

 上得意が変人というのは非常に厄介なものだ。取水亭は貸本屋だが主な客層はギルドのメンバーである。
今すぐ必要な知識をかじるために立ち読みで済ます人が多く、しかしそれが仕事の成功率と生存率に関わるとあっては
止めることはできない。しかるにこの図々しい奇人、錬金術師のエメラルダは客としてはまっとうな部類だった。

 今日は久しぶりにゆっくり過ごそうかと思っていたのに、彼女は一団を引き連れてやってくると、
そのまま依頼の話を切り出した。ワイバーンの抜け殻を持ってこいとのことだった。

「また珍しくまともな依頼ですね」
 しかし難易度が高い。借りた図鑑を片手に力説しているのがまた小憎らしい。

>>『で、どうかな?受けてくれるかい?』
 体力がない割に動きにばね仕掛けのような妙な勢いとキレがあるので怖い。

「まあ、手空きですから……」
 消極的に依頼を受けたフロウは、今度は視線をもう二人の女性へと向けた。

12 :フロウ ◆aGab3MEKhY :2015/04/28(火) 00:02:23.19 0.net
>>『だ、だ、れ?』
「メアリ、カウンターの中まで入ってきてはいけないとあれほど……」

 見知らぬ女性を見てフロウの背中に隠れた(つもり)のメアリの視線の先には
フロウもあまり馴染みのない人物が立っていた。名前は確か……

「おっと、自己紹介がまだでしたね。ええと……確か……待ってください今思い出します、そう、フローラさん」
 フロウはティアのときよりもいくらか時間をかけながらも名前を思い出すことができた。
そう、彼女の名前はフローラ・スマインターグ。彼女はレンジャーだったろうか。

「私はフロウ・パスパーチャ。しがない魔法使いですが、今回はよろしくお願いしますね」
 そう言って頭を下げる。そして背中のメアリに声をかける。

「ほらメアリ、一緒にお仕事するんですから、あなたも自己紹介しなさい」
 少しきつめに、言い聞かせるようにする。多少反感を招くだろうが、それで恐怖心が紛れるなら儲けものである。

「ちゃんとできらたマタタビあげますから」
 飴と鞭を使い分けながらメアリの背中を軽く押す。このとき、またこの獣人の少女と組むのだということを
フロウは再認識すると、困ったような笑みを浮かべながら、もう一度小さくため息を吐いたのだった。

13 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/04/28(火) 01:00:42.25 0.net
私はいったい何の間違いで、ここに来てしまったのだろうか。

そんな問いに頭を悩ませながら、勧められた丸テーブルに視線を落とす。
今朝の朝礼でなんとなく、周囲がざわついているような気がして。
彼らの注目の真ん中に居たのが、嬉々として目の前で話す仮面の女性で。
見たことも無かったその姿をもっと近くでと思い、人波をこっそり掻き分けて近づいて。
かと思ったら仮面の女性はこちらを向いて、この貸本屋まで私を引っ張っていって...

そこまで考えて感づいた。
もしや近くに居たというだけで、巻き込まれたのではあるまいか。
口調から察するに、この場の自分以外の人はどうやら顔見知りではあるようだ。
朝礼で声が掛からなかったのをいいことに外出を画策していたフローラは、ため息とともに肩を落とした。

「あ、あの、私......」

言い終わらない内に急に背筋を伸ばした獣人の少女。こそこそとエルフの男性の影に隠れていく。
あからさまに怯える表情。ああ、私が何をしたというのだろうか。
出来ることなら帰りたい。傷心と気まずさから心の内で滂沱の涙を流すフローラだった。


>「おっと、自己紹介がまだでしたね。ええと……確か……待ってください今思い出します、そう、フローラさん」
>「私はフロウ・パスパーチャ。しがない魔法使いですが、今回はよろしくお願いしますね」

そんな早くも挫けそうな彼女に、やっとまともな会話が舞い込んできた。
右も左もわからぬところに、救いの手を差し伸べられたような心地である。
なんとか場が好転しそうな雰囲気に、フローラも応えようと口を開く。
...ただし、たとえ連れて来られたのが手違いだろうと、「よろしく」の言葉がフローラがもう既に逃れられないことも意味していたが。

14 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/04/28(火) 01:13:37.67 0.net
「はい、フローラですっ。こちらこそ宜しくお願いします」

座ったままぺこりとお辞儀をして、フローラは答礼とした。
言い切ってから顔を上げる。そこにあったのはさながら娘と母親といった光景だ。
男性であるにもかかわらず母親扱いされる、そんなフロウに背中を押されるメアリにやさしく微笑んで見せた。

「そんなに怖くないですよー。ほら、今日ちょうどこんなものを摘んで来たんです。
 花を千切って根元を吸うと、ほんわり甘いんです。ほら、おいでーっ」

テーブルの横にしゃがんで両手を広げ、子供をあやす様にメアリを呼ぶフローラ。
彼女と仲直りすることで、先の傷心を癒したいという気の表れかもしれない。
これでメアリが来てくれたら、今日という日は幸運だったと思うことにしようと決めて。
手にした桃色の花をゆらゆらと振りながら、メアリの反応をのんびりと窺った。

15 :メアリ ◆IC7RKFJkf6 :2015/04/28(火) 21:56:13.35 O.net
怖いのは人間、個人じゃない。

>>「ほらメアリ、一緒にお仕事するんですから、あなたも自己紹介しなさい」
>>「ちゃんとできらたマタタビあげますから」

フロウに言われなくても理解はしている。
ただ、もはや反射反応で逃げてしまうのだ。
「マタタビより…今度買い物付き合ってね…?」
実はティアに、殺風景すぎる部屋だと言われて、気になっていた。
なんせ毛布とリュック位しかない。ちょっと嘆くように言われて、混乱している。
フロウなら、何を買えば良いかわかるはず!
「あ、あたしはメアリ…です」
フロウの後ろから前へ出て、まだ離れた場所からフローラへ話しかけてみる。
優しそう、だが。
そういう人達の方が怖いことをして来た、副団長とは逆だった。
恐る恐る、と目を合わせるが、逃げ出したくて仕方ない。
なのだが…

>>「そんなに怖くないですよー。ほら、今日ちょうどこんなものを摘んで来たんです。
 花を千切って根元を吸うと、ほんわり甘いんです。ほら、おいでーっ」

「…お花?」
ふわふわとする優しい香り。
あまり馴染みがない甘い匂いにふらふら引き寄せられて…
「………ふにゃ!」
変な、感覚がした。
マタタビとは違う、何か幸せな感じ。
…メアリはそのままフローラに飛び付いた。

16 :フロウ ◆aGab3MEKhY :2015/04/30(木) 23:37:05.53 0.net
>>「そんなに怖くないですよー。ほら、今日ちょうどこんなものを摘んで来たんです。
 花を千切って根元を吸うと、ほんわり甘いんです。ほら、おいでーっ」
>>「………ふにゃ!」

フローラの言葉にメアリがじゃれつき始める。その光景はさながら旅行者と遊ぶ街猫のよう。

(これなら今回は大丈夫そうかな)
 フロウは感心と安堵が入り混じった思いで二人を見た。メアリは幼い。
急激で過酷な環境の変化で成長が阻害されたことに加え、豊かとは言いにくい生活のせいで
子供の時期が進まないのだ。修羅場の経験が下駄を履かせて精神年齢が二桁いくかいかないかだろう。

 本心ではもっと落ち着いて暮らせる状況で、自分の時間を取り戻して、あるべき成長期を
消化していって欲しいとフロウは思っているが、この暮らしに慣れているのを無理に変えるのも……
そういう依頼とはまったく関係のない複雑な心境を胸の奥にしまうと、彼はエメラルダに向き直る。

「行きか帰りを楽にしたいので、ワイバーンの嫌がる匂いの香水とか発煙筒みたいなのってあります?」
 
 そしてつつがなく依頼を進めようと話しを切り出した。安全ではないが、冒険者としての生活の中で
取り組んでいくしかないだろうと、フロウは気持ちを改めた。

17 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/05/03(日) 01:09:51.02 0.net
「おっとぉ... あはは、来てくれたね!
 ほら、ここから蜜を吸うと美味しいよ〜っ」

少し重めの衝撃に身をふらつかせながらも、フローラは笑顔でそれを受け止めた。
そして左手でメアリの頭を撫で、右手で花弁をメアリにあてがう。
まるで愛玩動物のようにメアリで遊ぶ折、彼女の耳はフロウの声を聞き取った。

>「行きか帰りを楽にしたいので、ワイバーンの嫌がる匂いの香水とか発煙筒みたいなのってあります?」
「...あ」

そういえばそうだ。連れてこられた理由探しと傷心のために完全に本題を忘れていた。
と言うより、まともに聞いてはいなかった。唐突なワイバーンとの言葉に笑顔をそのまま顔を青ざめさせる。
そんな変に器用な事をしながら、フローラはしかし黙って過ごすことにした。
あまり的はずれなことを言いたくなかったし、成り行きでなんとかなるだろうと高を括っているのだ。
これから話を聞けばいい。緩んでいたフローラの表情は、心なしかきりっと引き締まった気がした。

18 :エメラルダ ◆Sg5djUdds2 :2015/05/05(火) 23:43:13.79 0.net
無事(?)自己紹介も終わり、メアリとフローラが戯れるのを、エメラルダはうんうんと頷きながら眺めた。
仲良きことは美しきかな。依頼を円滑に進めるためにはメンバー同士の協力が不可欠である。
エメラルダ自身も、依頼を受けるとき、メンバーとは友好的にいこうと気を使っている。……まぁエメラルダの場合、それは必ず失敗するのだが。

>>「行きか帰りを楽にしたいので、ワイバーンの嫌がる匂いの香水とか発煙筒みたいなのってあります?」

「なるほど、確かにそういったアイテムはあった方がいいね」

フロウの言葉にエメラルダは自身の知識を探り、製作に必要なアイテムがあるかどうか在庫状況を思い出す。

【アイテム入手判定 使用ステータス:(エメラルダ知識+フロウ幸運)/2】
【判定値:(90+40)/2=65】

19 :エメラルダ(GM) ◆Sg5djUdds2 :2015/05/05(火) 23:49:28.95 0.net
【アイテム入手判定 失敗】

「うぅん、ごめん。似たような効果のものは作れそうなんだが、材料がないみたいだ」

エメラルダはフロウにそう謝ってから、一つ咳払いをしてメンバーに向き直った。

20 :エメラルダ(GM) ◆Sg5djUdds2 :2015/05/05(火) 23:51:56.66 0.net
「改めて、依頼を受けてくれてありがとう! 私が依頼人のエメラルダ・ヴィーラントだ。こっちは弟のエアハルト。
 エアハルトはみんなと同行して採取に協力するから仲良くしてやってくれ」

エメラルダの紹介に、今まで後ろで顔を逸らしていたエアハルトが頭を下げる。

「フローラさん、はじめまして。メアリさんフロウさん、今回もよろしくお願いします」

その表情に笑顔はない。あきらめた様な、申し訳なさそうな顔をしてメンバーを見つめていた。
特に、どこか戸惑いながら姉の話を聞いていたフローラに、彼女は姉に問答無用で連れてこられたのだろうなぁと予測して一際深く頭を下げる。
……まぁ、ほかの面子も似たり寄ったりだろうが。本当に申し訳ない。

「無事依頼も受けてもらえたことだし、配布するアイテムの説明に移ろうか!
 あ、そうそう。さっきは言い忘れてたんだけど、今回の翼竜は『赤翼竜』だから、それも踏まえて選んだほうがいいかもしれないね!」

そして、そんな弟の思いを慮ることもなく、エメラルダはさらりと重大な事実を投下した。
言い忘れたなどと嘯いているが、もちろんわざとである。
ただでさえ厄介な竜種相手の依頼。それが更に強力な力をもつ「属性持ち」ともなれば、依頼を拒否される可能性が高まるため今まで黙っていたのだ。
非難の言葉もなんのその。仮面で表情は窺えないが、その下では絶対に笑顔を浮かべているであろうエメラルダ。
そんな彼女に悪びれなく説明されたアイテムは、それぞれ今回の依頼に役立つであろうものだった。

『エンチャントクリーム』『中級ポーション』『万能薬』『投擲カプセル』

【メンバーは四つの中からそれぞれ一つアイテムを入手】

21 :メアリ ◆IC7RKFJkf6 :2015/05/06(水) 18:39:53.55 O.net
フローラに貰った花の蜜を、ちうちうと吸いながらエメラルダ達の話を聞く。
エメラルダとエアハルトは、とりあえず怖くない人、と認識している。関わった事自体は少ないので、好きな人、とまではいかない。
フローラは、今くれた花のおかけで緊張感は薄まった。まだまだ不安はあるけれど、話くらいはできそうだ。
周りから見ると餌付け成功、といったところか。

>「フローラさん、はじめまして。メアリさんフロウさん、今回もよろしくお願いします」

「…よろしく。…?…ティアは、来ないの?」
最近一緒に過ごすことが増えた人をキョロキョロ探す。
だが彼はないない、他の仕事なのだろうか。
フロウの次に安心できる人がいない、それがわかった途端メアリはしょんぼりとしてしまう。
耳も尻尾も、分かりやすくたれてしまった。
仕事の内容よりも、好きな人たちといられることの方が大切なメアリ。
それでも、少しだけ狂った時計をぎゅっと抱き締めた…仕方ないのだと、言い聞かせるために。

>「あ、そうそう。さっきは言い忘れてたんだけど、今回の翼竜は『赤翼竜』だから、それも踏まえて選んだほうがいいかもしれないね!」

「…『赤翼竜』ってなあに?」
メアリは知識の片寄り方が激しい、翼竜がわかっても、赤翼竜はわからない。
ようは大雑把な部分しか知らない物事が多いのだ。
しかもテンションが低いので、ぼんやりと聞き返すだけ。
知らない言葉に反応しただけのうようなものだ。
その後見せられた道具も、よくわからない。
ただ、ぼんやりとしたまま、クリームの容器をいじるのだった。
…愛に飢えた、寂しい幼子。
一人前になるまでに、どれだけかかるのだろうか。

22 :フロウ ◆aGab3MEKhY :2015/05/07(木) 23:38:04.47 0.net
『そうそう。さっきは言い忘れてたんだけど、今回の翼竜は『赤翼竜』だから』
エメラルダは人としておかしいが決して馬鹿ではない。目的のために他人をたばかるしたたかさを持ち、
『うぅん、ごめん。似たような効果のものは作れそうなんだが、材料がないみたいだ』
素直に自分の不手際を申告する正直さを併せ持っている。測りかねるし油断もできない人物だ。

「にしても、『赤』とは珍しいですね」
 万能薬をを手に取りながら呟く。海辺のルミエリアでは『青翼竜』がメジャーである。
海水をがぶ飲みしては余計な塩分を排泄する生態を利用した塩田もあるくらいだ。
余談だが一部の悪食な冒険者には翼竜の塩は垂涎の逸品らしく納品の依頼もしばしば発生する。

>>『…『赤翼竜』ってなあに?』
「火を吐いて火に強い赤い翼竜です。一応食べられます」
 そう言って本棚の一つに歩み寄ると一冊を取り出して表紙を見せる。
タイトルはずばり『食べられるモンスター図鑑』

「それはさておき、相手が相手ですので、予め作戦の一つ二つは立ててから行きましょう」
 フロウは周囲を促して意見を仰ぐ。何も律儀にまずは一当たりしなくてもよいのだ。

「これが討伐依頼だったら迷わず辞退してましたが、そうでないならやりようはあるはずです」

23 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/05/08(金) 23:57:20.67 0.net
「赤い翼竜さん、ですかぁ」

なんとなく話を聞くうち、この依頼の輪郭がおよそ掴めてきた。
第一に、対象が赤の翼竜であること。
第二に、討伐依頼というわけではないということ。
最後に、依頼遂行に際して錬金術を用いたアイテムをもらえるということ。

そこまで頭のなかで纏めて、彼女は対象である赤の翼竜に思いを巡らせる。
自然において赤は警戒色、こと上位のモンスターは炎を扱う力を持つ傾向にある。
そしてフローラの経験から行くと、炎のモンスターは刺激的な辛さを持っているのだ。
以前、サラマンダーのぶつ切りを具に加えた煮物が壮絶な辛味を醸したことは忘れられない。

「......うへぇ」

味を思い出して顔をしかめる。甘党の彼女にはツラい思い出だったのだろう。
そんなどうでもいい過去に思いを馳せていると、目に見えてテンションの落ちたメアリがいた。
背筋は曲がり耳は垂れ、はきはきとした雰囲気が失われてしまっている。
フローラはなにも言わずにメアリを抱き抱え、ぬいぐるみのように膝の上に座らせて。
メアリの頭の横から顔を出すようにして、とりあえずの意見を伝えることにした。

「見つからなければそれでいいんですが、相応の対策が必要ですねー。
 あ、私は投擲カプセルをいただきますねっ」

何をしに行くのかとは今さら聞けないが、翼竜が相手となれば野伏である自分のステージなのだ。
萎れたメアリの耳に頬擦りしながら、今度の依頼の完遂を心に誓った。

24 :エメラルダ(GM) ◆Sg5djUdds2 :2015/05/10(日) 00:31:58.61 0.net
>>「…?…ティアは、来ないの?」

「ティア氏は今色々と忙しいらしくてねぇ。……さすがに誘えなかったよ」

メアリの疑問にエメラルダはそっと視線をそらした。
今回の依頼、勿論エメラルダは前回比較的友好に接することにできた(無茶振りできそうな)メンバー全員に声をかけようとした。
だがティアは現在とある事情で神殿関係のアレコレに忙殺されており、店にいっても不在、今日の朝礼にも出れていない。
となれば接触する機会もなく、たまに見かけた様子も心身ともにげっそりとした様子だったのでさすがに引き込めなかったのだ。

>>「これが討伐依頼だったら迷わず辞退してましたが、そうでないならやりようはあるはずです」
>>「見つからなければそれでいいんですが、相応の対策が必要ですねー」

「うんうん! みんなで力を合わせれば翼竜くらいどうとでもなるよ! 
 まぁとりあえず、基本はひっそり逃げるが勝ち、かな? 頑張ってね!」

エメラルダは適当に調子の良いことを嘯くと、全員がそれぞれアイテムを選んだことを横目で確認した。

「みんなアイテムはそれでいいね? 出発までに山岳地帯行きの馬車を確保しておくから、それまでに各々準備しておいてくれ。
 今の時間ならまだ朝市が開いてるだろうから、買い物しておくのもいいと思うよ?
 じゃぁ、出発は今日の午後一で町の南門に集合! 良い成果を期待してるよ。みんなよろしくね!」

25 :メアリ ◆IC7RKFJkf6 :2015/05/10(日) 10:55:26.88 O.net
フローラに抱えられても、メアリは何の反応もしなかった。
しないというよりは出来ない、感情を落ち着けるのに必死で、声なんて聞こえない。
「…大丈夫…怖くない…」
フロウがいるのだから、万が一があっても止めてくれる。
普通に、普通に仕事をすればいい。
一度深呼吸して、意識を辺りに戻すと…
「ふにゃ!?」
耳に頬擦りされていた。
くすぐったくて仕方無い、なんて言う前に笑ってしまった。
耳も尻尾も敏感な場所、慌ててフローラから逃げ出す。
「く、くすぐったいのやだ…」
丁度エメラルダの話も終わるとこらしく、各自の準備の時間となる。
怯えたままダッシュで取水亭から飛び出し、とにかく何か買えたら、とあちこちのお店を走り抜けるのだった。

【買い物判定幸運20、成功時『身代わりの縫いぐるみ』を入手】

26 :メアリ ◆IC7RKFJkf6 :2015/05/10(日) 10:59:17.99 O.net
【失敗】

…結局何も買えなかった。
焦っている心では大切な物なんてわからない。
仕方無いので、何とか最後に聞いた南門で、座り込んで待つだけだ。

27 :フロウ ◆aGab3MEKhY :2015/05/11(月) 23:19:37.52 0.net
買い物判定一つ目!

28 :フロウ ◆aGab3MEKhY :2015/05/11(月) 23:20:40.53 0.net
ついで二つ目

29 :フロウ ◆aGab3MEKhY :2015/05/11(月) 23:41:44.23 0.net
【書き忘れましたがフロウの幸運は40】

二兎を追うものは一兎をも得ずとはよく言ったもので、取水亭を出たフロウは
必要な物の買い出しへと出かけたのだが、結論から言ってどちらも手に入れることができなかった。
一つは発煙筒用の材料、そしてもう一つは……

『酔い止めならさっき網元に納品したばっかりでね〜』
お店のおばちゃんの無慈悲な言葉に彼の頭は真っ白になった。馬車と聞いたときから
考えていたことであり、急いで問屋へ向かったものの生憎の品切れ。ついで発煙筒の素材を
買い付けに行ったが入荷待ちの状態であった。

「………………………………な、なぜ酔い止めに限って」
 山岳地帯へ登る馬車は、いかつい。この時点で意識がほぼなくなった彼は
とぼとぼとと歩いて南門へと向かったのだった。

30 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/05/12(火) 22:07:52.38 0.net
「あっ...... あーあ」

腕の中からするりと抜け出し、どこかへかけていったメアリ。
そんな彼女を名残惜しそうな声で見送って、フローラは依頼のことに集中することにした。
エメラルダから粘着投網と空のカプセルを受け取り、手のひらで転がしてみる。
不思議な光沢を持つその球に、自分の瞳を映し見ていた。

「...私も買い物行ってこようかな」

正直に言えば、入用になったものは現地でいくらでも調達できる。
今までの生活からその確かなスキルを、フローラは身に付けているのだ。
それでも、いやだからこそ。欲しいものが少しだけ。
あまり気負うことは無い。鼻歌混じりに取水亭の戸を潜り、市場へと繰り出すことにした。

【物品購入ロール 使用ステータス:幸運(54)】
【成功時、目的地周辺の地図を入手】

31 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/05/12(火) 22:12:46.26 0.net
「......よしっ!」

幸いにしてある程度開拓が進んでいたらしく、難なく周辺地図を手にすることが出来た。
後は描いてある地形と実際に見て確かめる植生である程度できることに目星が付くだろう。
金銭というシステムにまだ少しだけ馴染めず財布を忘れがちな彼女も、今回はしっかり携帯していたようだ。
そうして上機嫌で集合場所の南門までたどり着いたときに。

「お待たせしまし......どうしましたっ!?」

出発前からげんなりとしたフロウを見て、何事かと慌ててしまうのであった。

32 :エアハルト(GM) ◆Sg5djUdds2 :2015/05/13(水) 21:46:22.56 0.net
メンバーが一時解散しそれぞれ準備を進める中、エアハルトも目的地までの足を手に入れるため商店をまわっていた。
目的地である翼竜の巣は王国南側にあるアルマ山一帯の山岳地帯、その奥まったところにある。
まずは近くの村まで馬車で移動し、それから徒歩で奥地に向かうことになるだろう。
個人用の荷馬車を借りられればいいのだが、なにぶん急なことだったので根回しも済んでおらず、うまく確保できるかわからない。
最悪、村から離れたルートを回っている乗り合い馬車に同乗し、そこから徒歩で向かうしかないだろう。
しかしそうなるとその分徒歩での移動時間が伸びるため、メンバーの負担も大きい。なるべくなら荷馬車を入手したいものだが……。

「姉ちゃんも思いつきで決めないで、前もって計画を立ててから行動に移してくれればいいのに……」

今朝になって「そういえばこの前言ってた翼竜の脱皮そろそろじゃないか?」などど言い出し「よし、今日とってこい!」と言うが早いか、エアハルトの訴えを聞きもせずにメンバー(被害者)を集めてきてしまった。
なんだかんだ言いながらもエメラルダの命令には逆らえない(逆らわない)エアハルトは深いため息を吐き出すと、本日三件目の商店の扉を叩くのだった。

【交渉ロール 使用ステータス:幸運(10)】
【成功の場合、機動性の高い山岳用の荷馬車を入手】

33 :エアハルト(GM) ◆Sg5djUdds2 :2015/05/13(水) 21:47:00.40 0.net
【交渉ロール 失敗】

エアハルトが南門に着いたのは、ちょうどメンバー全員が集まったところだった。
本来なら余裕を持って来たかったのだが、時間ギリギリまで馬車の手配に奔走したため、この時間になってしまったのだ。
……しかも、結局馬車入手できなかった。
遅刻ギリギリの上用意もできなかったとは、依頼した側としてあるまじき失態である。

「みなさんすいません。ちょっと馬車の手配がうまくいかなくて……」

エアハルトはメンバーに不手際を謝罪すると、目的地までのルートを説明をした。

「……というわけで、本来ならもっと近くまで行く予定だったんですが、今回は乗り合い馬車で少し離れた地点から徒歩で向かうことになってしまいました。
 目的地まで大分歩かせることになってしまいます。本当にすいません」

34 :メアリ ◆IC7RKFJkf6 :2015/05/14(木) 06:42:19.49 O.net
>>「今回は乗り合い馬車で少し離れた地点から徒歩で向かうことになってしまいました」

座り込んでいたメアリは、ばっと顔をあげた。
乗り合い馬車だなんて話は聞いていない、前のように借りるのだと思っていた。
しかも馬車ならフロウは凄いことになるし…
と、考えたところで、ポケットに入れっぱなしの物に気がついた。
わりと前に、酔い止めだと渡された錠剤のようなお菓子、まだ紙に包まれたまま持っていた。
「…フロウ、これあげる」
正確には返す、しかも少し古いが…げんなりしているフロウには効くかもしれない。
ああ、それから…
「…毛布持ってくればよかったな…」
理由は、すぐにわかる。

乗り合い馬車。
つまり沢山人が乗っていて、ぎゅうぎゅう詰めとまではいかなくともかなり密度が高い。
そんな中、メアリは縮こまって隠れるように隅にいた。
馬車には人間が多い、しかもギルドの人でもない。
震えを隠すことなんてできなかった。角を見ながらも耳が人々の存在を捉えてしまう。
怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い…
降りるまでのメアリは、ずっとこのままとなるのだろう…

35 :フロウ ◆aGab3MEKhY :2015/05/14(木) 23:07:18.98 0.net
>>「お待たせしまし......どうしましたっ!?」
「いえね、私、車に乗ると酔ってしまって……」

 フロウはフローラに事情を説明した。こればかりは彼の三半規管だか平衡感覚だかの
打たれ弱さのせいなのだが、何度乗っても、何をしても改善されない。
>>「…フロウ、これあげる」
「ああ、ありがとうメアリ。あなたが物持ちの良い子で助かりました」

 礼を言いながらすんなりと受け取ることはすなわち、彼の余裕のなさの現れである。気休めに
少し気を持ち直す。するとそこにエアハルトがやってきて次のように告げたのだった。

>>「今回は乗り合い馬車で少し離れた地点から徒歩で向かうことになってしまいました」
「…………」

そして

「いやー、残念だなあ!馬車が乗合で本当残念だなあ!アッ八ッ八ッハッハッハ!」
 フロウは上機嫌だった。揺れる馬車の中は彼ら以外の人も載せて狭い。隣のメアリの様子に
気が付くこともないくらい彼は舞い上がっていた。地震などの際に棚に支えやバネをつけておくと
揺れを吸収するのと同じように、馬車の揺れも格段に少ない。

 フロウはあえて狭い隙間、メアリと他の客や荷物の間に座って揺れを受け流していた。
気持ちが悪くないわけではないがずっとマシだ。酔い止めも効いている。

「まあ、徒歩だから遅くになるかもしれませんが、その時は夜討ちでも朝駆けでもすればいいでしょう!」
 上機嫌で誰にともなく言う。乗合馬車万歳だ。揺れが自分に伝わってこない。


そして

「さあ、早速登山といきましょうか!」
 到着して馬車を降りてからも元気よく声を出す。馬車に乗って体力が残っているなんて何年ぶりのことか。
今度から気を使わないようエメラルダに言っておこう。山へ向かって歩き出しながらそんなふうに考える。
今の彼の心は晴れ渡っているが、それもいつまで続くことやら

36 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/05/15(金) 22:23:10.83 0.net
「ドンマイです、エアハルトさんっ。今回は色々と急でしたからねぇ......」

どうやら移動は馬車の予定だったらしく、そして生憎と貸し切りは叶わなかったらしい。
折衷案としての乗り合い馬車。こうした保険も用意してある辺りがエメラルダの狡猾さである。
その辺りの事情に疎いフローラは何の考えも持たず、足があるならいいかと呑気に思っていた。
心なしか、苦労しているなという気がして。フローラはエアハルトに慰めの言葉をかけた。


その後。
高笑いするフロウ、小さくなったメアリを正面に、エアハルトのとなりの席で苦笑いを浮かべていた。
フローラにとって、馬車の揺れは問題ではない。物心ついた頃から慣れ親しんだ感覚でもあるのだから。
苦笑いの原因は、何故か大声を上げるひどく上機嫌なフロウの様子であった。

「あ、あはは...」

小さく震えるメアリの様子も、正面からならよく見えた。
でも、上の空な彼女に今接触するのも、緊張の糸を切ってしまいそうで憚られた。
隣のエアハルトと依頼の話と少しの談笑を交わしながら。ゆっくりと馬車は目的地に近づいていった。

37 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/05/15(金) 22:38:13.52 0.net
「......ぷはぁ!!やっぱり自然は良いですよねぇっ!!」

馬車が停留所を発ってから、深呼吸をして声を上げる。
乗り合い馬車とて公共の場所。その中で大声を出すのはどうかと思っていたのだ。
それ故に、変なテンションのフロウからは若干の距離を置いていたのだが...

「ほらほら、メアリちゃんもしっかりー。
 ここらには食べられる木の実も落ちてるんですよーっ」

虚勢と言うわけではないが、目一杯元気な様子をメアリに見せる。
暗い顔をしているメアリを、何故だか放って置けないのだ。
つかつかと行ってしまうフロウを横目に、メアリの頭にポンポンと手を置いて。

ゆっくり探索...と行きたかったが、どうやらフロウは待ってくれそうにない。
ポーチから地図を手早く取り出し。エアさん、行きますよー。そう声をかけた。
メアリの手を引いて、フロウを追いかけるように駆け足で進む。足元で小さく砂煙が上がった。

38 :エアハルト(GM) ◆Sg5djUdds2 :2015/05/16(土) 03:27:19.52 0.net
フローラに慰めの言葉をもらい気を取り直したエアハルトだったが、馬車の中でまた新たな問題に直面していた。

>>「いやー、残念だなあ!馬車が乗合で本当残念だなあ!アッ八ッ八ッハッハッハ!」

「ふ、フロウさん?」

まず、あきらかにフロウのテンションがおかしい。
これは喜んでいる……のだろうか?
そういえば最初に乗り合い馬車になってしまった件を話したときも、どこか反応が鈍かった。
嫌な顔もせず頷いてくれてありがたい、などと思っていたのだが。
首を傾げつつ隣に座っているフローラと話をしている内、どうやらフロウは非常に乗り物に酔いやすい体質らしいということがわかった。
たぶんこの上機嫌はその関係なのだろう。
ならば、と……今はフロウをそっとしておく(見なかった)ことにした。
そしてもう一人気がかりな人物をチラリと盗み見る。

「……」

メアリはひたすら何も見ないよう、身を縮めて震えていた。
馬車や乗り物が怖いわけではないだろう。馬車に乗ることを話したときは普通にしていたし、嫌がる様子もなかった。
ならば怖いのは何か。それはきっと人間だ。
エアハルトもメアリが人見知りだというのは気付いていたが、まさかここまでとは思わなかった。
こんなことなら無理にでも馬車を手に入れてくるべきだったか、と後悔しつつ横に視線をスライドさせると、上機嫌(?)なフロウが目に入る。

「……」

しばらく二人の間に視線をさまよわせると、エアハルトはつかの間目を閉じ、そして開いた。
……うん、しかたない。今回は仕方なかったんだ。
考えるのをやめたエアハルトは、苦笑するフローラと、これから行く場所の地形や生態系などの話をしつつ道中を過ごすのだった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

無事(?)最寄の停留所につき、一同は開放感に包まれていた。

>>「......ぷはぁ!!やっぱり自然は良いですよねぇっ!!」

「そうですねぇ。空気も美味しいです」

エアハルトも腕をあげて大きく伸びをし、凝り固まった姿勢をほぐす。
そして、そのままそっとまたメアリの様子を窺った。
前回の依頼のときもそうだったが、メアリは無邪気で幼い子供のようにみえるため、子供好きなエアハルトとしてはどうしても気になってしまうのだ。
しかし、人がいっぱいの馬車に放り込んでしまった罪悪感から、エアハルトは声をかけるのをためらっていた。
そうしてフローラが食べられる木の実でメアリの気を紛らわそうと明るく声をかけるのを見守っていると、引き続き元気なフロウの声が聞こえてくる。

>>「さあ、早速登山といきましょうか!」

「はい、そうですね! ってはやぁ!? 待って下さいフロウさんまだ道は長いんです最初からそんなにとばすと……!!」

エアハルトがいつもとちがうフロウの様子に戸惑っていると、フローラからもエアハルトを呼ぶ声がかかった。
慌ててそちらを見ると、フローラは準備万端。いつのまにやら地図も取り出しメアリの手を引いて素早くフロウの後を追ってる。

「ま、まってくださぁい!」

エアハルトは情けない声を出しつつ、気付けば先を進んでいる仲間たちの元へと慌てて向かうのだった。

39 :GM ◆Sg5djUdds2 :2015/05/17(日) 13:25:29.22 0.net
険しい山道を越え、一行がたどり着いたのは山肌にぽっかりと口をあけた洞窟だった。
洞窟の周囲には木がまばらに生え、ところどころ岩肌を覗かせている。
入り口から薄暗い中の様子を窺えば、湿った空気にまじって腐臭が漂ってくる。
奇妙なことに、空気が湿っているにも関わらず壁面に苔などは生えていなかった。
入り口付近までしか光が届いていないため奥の様子はわからない。

エアハルトによる案内はここで途絶える。
彼が確かめたのはここに巣があるということだけで洞窟の中までは知らないらしい。
さて、一行は無事に洞窟の奥にたどりつけるのだろうか?

40 :メアリ ◆IC7RKFJkf6 :2015/05/17(日) 23:25:06.46 O.net
ぐったりとしているメアリに差し伸べられたのは女性の手。
ああ、きっと悪い事が起きる。知らない人間に、更に女性に連れていかれて良いことなんて無かったのだから。
拒絶する暇もなく引きずられるように進み、あっという間に巣についた。
「…臭い…けど、見た目はキレイ…?出入りが多いのかな…」
あまり働かない頭から出た言葉をそのまま紡ぐ。
実際、注意を払う部分ではあるだろうが、いかんせん頭が働かない状態。
安心できるものがないだけで、ここまで役立たずになってしまうのだ。
フロウも今は安心できない、隣にいたのに怖かった。
もう、何をしていいのかわらかないのだ…

41 :フロウ ◆aGab3MEKhY :2015/05/19(火) 23:29:05.31 0.net
「なるほど、ここですか」
 フロウは洞窟を前にエアハルトへと振り返る。ここに来るまでは年甲斐もなくハイキングにはしゃぐ
老人のようだったが、今は普段の彼に戻っていた。空元気も今も必要ないだろう。
自分以外には逆効果だったようだし。

「それはそうと、メアリ。…メアリ。……メアリ!」
 心ここにあらずといった様子の憔悴しきっているメアリの鼻をつまむと、触れそうなほどに顔を
近づける。相手の目を覗き込み、自分の姿が正しく写り定まるまで様子を見る。

「しっかりしなさい。あなたは私よりずっと強いんですから。……怖かったのは分かっています、
いつも見ていますからね。でもそろそろ、あなたの中の勇気にも目を向けてみてもいい頃ですよ。メアリ」

 穏やかな両目に大写しになった少女の姿が見切れる。そこまで言い終えたフロウは洞窟の壁面を
触りながらフローラに話しかけた。

「この匂いがするということは、恐らく中に餌食となった動物がいるということです。
問題は中にいるかどうかということですが、どうやって確かめますか……」

十中八九いると思いながらフロウは呟いた。脱皮や越冬に際して手近に食料を蓄えておく
ことは人間に限ったことでもないからだ。

「そうだ。矢にこのバター瓶を括りつけて奥へと放つのはどうでしょう。いれば何らかの
反応を示すと思うのですが」

懐に手を忍ばせると、次の瞬間には木製の容器にたっぷりと詰まったバター瓶が現れる。
高カロリーで野生の動物には大人気のアイテムである。

「……あの子のことを気にかけてくれて、ありがとうございます」
 そして、他の者に聞こえるか聞こえないかという小声でフロウは言うと、改めて会釈した。

42 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/05/22(金) 00:10:04.81 0.net
道行く中で、様々な花や野草を見かける。
これが野外探索の醍醐味とばかりに、フローラは手を引くメアリに語って聞かせていた。

毒々しく咲く赤い花が持つ、解毒作用のこと。
刺々しい茎の青い植物が持つ、止血作用のこと。
ちらりと見えた太った蛇の、調理方法の数々。
目の前を横切った小動物の、可愛らしい習性の数々。

今はまだ、聞いて解ってくれなくてもいい。
心ここにあらずとばかりにただ引きずられるメアリに、いつか自分の足で歩いて欲しいと思った。
そのために今、自分で出来ることならしてあげたいな、と。そんな思いを話に乗せていた。


そして草木も少なくなり、洞窟の前までたどり着いてから。

(.........あ、採集するの忘れてた!?)

話しかけるのに夢中になりすぎて、肝心の資材調達が疎かどころか忘れられているのを自覚した。
現状の装備は粘着ネットと、いつもの弓矢と魔法のみ。
......何とかなるか。根拠もなしになんとなく腹を括った。

43 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/05/22(金) 00:13:31.95 0.net
>「…臭い…けど、見た目はキレイ…?出入りが多いのかな…」
>「この匂いがするということは、恐らく中に餌食となった動物がいるということです。
問題は中にいるかどうかということですが、どうやって確かめますか……」

「かも知れませんね。もっとも、食べ残しを腐らせるのは考え物ですけど...」

言いながら、苔も生えていない岩肌に触れる。ひやりと冷たい感覚が伝わってくる。
正気を取り戻した(?)フロウの声で、メアリも何とか立ち直ることは出来そうか。
幾分か改善された序受けように、空いたほうの手を胸に当ててほっと一息をついた。

>「そうだ。矢にこのバター瓶を括りつけて奥へと放つのはどうでしょう。いれば何らかの
反応を示すと思うのですが」

「あー、矢って意外とデリケートなので、ものを括ったりすると全然飛ばなくなっちゃうんですよー。
 ですので、ちょっとお借りしますね?」

構えた弓矢の紅と翠。二色の宝石が淡く光を持って震えた。
宝石を介し妖精と共に司る。それが彼女の操る妖精魔法というものだった。

「風よ、炎よ。流れる理の間隙を縫いとめる者よ。
 数多の悠久を手繰り寄せ、今暫し綻び、惑い、逸脱せよ......!」

バターの小瓶は炎に包まれ、風に煽られた炎は矢の形を形成する。
その矢を手掴みつがえ、弓懸を挿した手をゆっくりと引いていく。

「――――――破ッ!!」

明らかに平時の彼女とは異なる覇気で、気合一閃矢を放つ。
朱の焔が一瞬照らす周囲を、その壁面を。逃しはしないと鋭い目で見ていた。
そうして炎が見えなくなって、奥からふわりと柔らかな風が吹き。
バターの焦げたいい匂いがやってきたところで、フローラは弓を背負いなおし弓懸を外す。

「これで大丈夫ですかね。様子見、しますか?」

よく見せた笑顔で、フロウに言葉を返した。
メアリへの気遣い、ありがとう。その返事を言外に隠して。

44 :GM ◆Sg5djUdds2 :2015/05/23(土) 02:28:08.05 0.net
魔法によって一瞬照らされた壁面に蠢く何かがいた。
それは火が消え、バター瓶が食欲を誘う香りを漂わせた瞬間一斉に行動を開始する。
カサカサと足音を響かせながら溶けたバターやその残骸に群がる複数の影。
それらは残骸を食い尽くすと、新たな侵入者の存在を探し入り口から覗ける薄暗がりに姿を現した。
大きな芋虫のような外見にムカデのような無数の足。空気の流れでも読んでいるのか、上体を持ち上げ、口から複数の触手を蠢かせている。
それ――クロウラーは入り口の方にいる侵入者を察知すると、そちらに向かって威嚇するように奇声をあげた。

45 :エアハルト(GM) ◆Sg5djUdds2 :2015/05/23(土) 02:28:59.83 0.net
「――っ!! クロウラー!」

姿を見せたその存在に、エアハルトはすぐさま腰のナイフを構え、戦闘体制に入った。
ここからはまだ一匹しか確認できないが、先ほど一瞬みえた壁面の影や今も微かに聞こえてくる足音から判断するに、他にも何匹かいるようだ。

「……みなさん。俺が先行して囮になります。やつらが俺に気を取られている内に攻撃してください。
 もし近寄られたら、やつらが触手から放つ麻痺毒に注意してくださいね」

翼竜が巣にいるかもしれないし、あまり戦闘音を響かせて刺激したくはないが仕方ない。
こいつらは無視して進むには厄介なモンスターだ。
エアハルトはカンテラを最大照度に調整してから腰に括り付け、全員の準備が完了したのを確認すると勢いよく走りだした。

46 :メアリ ◆IC7RKFJkf6 :2015/05/23(土) 11:25:18.71 O.net
>>「――――――破ッ!!」

「…かっこいい…!」
フロウに説教をもらいつつも、やっと安心したメアリ。
そして目にしたフローラの技に、目を輝かせた。
フロウは派手な魔法をあまりつかわないので、こういうのは見かけないのだ。
可愛いものは好きだが、かっこいいものも大好き。
やっとフローラという人に、良い好奇心が向き始めたのだが…
「?虫?」
同時に見えた大量の蠢くもの。
猫目でしっかり見てみると、そこらじゅうにわちゃわちゃとした生き物がいた。
戦闘の空気を感じ、カンテラを腰ベルトへ括る。そして先陣を切ると言おうとしたら…
>>「……みなさん。俺が先行して囮になります。やつらが俺に気を取られている内に攻撃してください。
 もし近寄られたら、やつらが触手から放つ麻痺毒に注意してくださいね」
先にエアハルトに言われた。
「…わかった、剣が効くなら頑張るよ」
しかし反発はせずに受け入れる。自分は周りと戦う方が良いと納得したからだ。
戦士としての顔つきになったメアリは、エアハルトからほんの少し遅れて走り出す。
双剣を引き抜きざまに左右の虫の頭を撥ね飛ばし、次にエアハルトを狙う虫達に飛びかかる。
素早さを生かし、止まらずに切り続けるメアリ。
そこに先程までの弱々しさなど、まったく感じられなかった。

47 :フロウ ◆aGab3MEKhY :2015/05/24(日) 23:54:09.35 0.net
「そうか……彼女は……!」
 フローラの放った炎の矢を見ながら、フロウは自分の記憶違いに気づいた。彼女は
妖精使い、冒険者の中でも珍しい部類に入る職業だ。なぜ忘れていたのか。それと同時に
穏やかな人間性にも納得がいった。

 やがて風に乗ったバターの香りが届くと、中からそれは現れた。クロウラー、端的に表せば
大きな芋虫だ。問題は持っている毒だが、フロウはこう見えて耐性持ちで、どちらかというと
噛まれた際の物理的なダメージのほうが怖い。が

>>「……みなさん。俺が先行して囮になります。やつらが俺に気を取られている内に攻撃してください。
 もし近寄られたら、やつらが触手から放つ麻痺毒に注意してくださいね」
>>「…わかった、剣が効くなら頑張るよ」

 気を取り直したメアリが次々に敵を葬っていく。いざ戦えばよほど物理的に硬いか速くない限り、
この少女の刃には抗えないのだ。ギルドではパワー馬鹿と言われているが、実際は獣人の体を存分に
使った、今のクビキリのような軽業も難なくこなす。修羅場のほうが心配しなくていいというのは皮肉なものだ。

「では、この次のための『布石』を作っておきましょうかね」
 フロウはそう言って盾を構えると、杖を天高く掲げて呪文を唱え始める。

【神に奪われし娘、嘆きの乙女よ、その怒りを我が前に現し給え】
【神に汚されし娘、怒りの乙女よ、その怨みを我が術に現し給え】
【神に屠られし娘、怨みの乙女よ、その嘆きを我が敵に現し給え】
【その力、雨となり、沼となり、霧となり、汝を癒す慰めと為さん】

【蛇使いの褥よ!】
 エルフ語で呪文が紡がれる度に杖の皿が不吉にかたかたと揺れていき、そして皿の上から
血が腐ったような色をした煙が湧き出て、クロウラーの亡骸を包んでいく。そして、見る間にそれらを
石へと変えていってしまう。

「ふう、後でこれを使えば、遮蔽物くらいにはなるでしょう」
 およそ神官とは思えない所業をしながら、フロウは周りの状況を確認した。

48 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/05/26(火) 00:06:25.35 0.net
エアハルトとメアリが押し寄せるクロウラーを蹴散らしてゆく。
フロウはその亡骸を煙に巻き、石へと変貌させてゆく。

「この調子なら、援護は要らないですかね...」

戦闘での魔法の行使はかなりの消耗を伴ってしまう。
なぜなら、敵を傷つけるだけの威力を以って魔力を練らなければならないからだ。
狩りにおいては一撃必殺が基本であり理想。残念ながらこのような乱戦だとそれは望めない。

今一度弓を上げ、右手を添えて弦を引く。
小さく詠唱を終え、弓の弦と胴の間に渦巻く微風を生み出した。
静かに目を閉じて、手を離す。クロウラーの遥か上を通り抜け、微風は奥へ奥へと吸い込まれていく。

そして、すっと息を吸う。
弦を離した右掌を、力強くくるりと反す。
すると少し前と同じように、やわらかく風が奥から戻ってくるのであった。

【魔法行使ロール 使用ステータス:魔力(71)】

49 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/05/26(火) 00:15:27.96 0.net
【魔法行使ロール 成功】

戻ってきた微風は、しかし先ほどとは違う点があった。
一つは、バターの焦げた香りがもうしなくなっている事。
そしてもうひとつが、洞窟内の「音」を幾つか拾ってきていることであった。

斬撃の音。
飛び散る血の音。
クロウラーの呻く声。
届いた風の音から、それらを一つ一つ聞き分けて排し、別の手がかりを探してゆく。

フローラは、端からこの戦闘に取り合う気はなかった。
だからこの隙間に、これからのための情報分析を優先させたのだ。
クロウラー殲滅の一切を味方に預けて。小さく何かを呟きながら、目を閉じたフローラは耳を澄ませていった。

50 :GM ◆Sg5djUdds2 :2015/05/26(火) 20:59:01.40 0.net
【フローラの偵察成功】
【奥からはクロウラーの蠢く音以外なんの物音もしない】

51 :エアハルト(GM) ◆Sg5djUdds2 :2015/05/26(火) 21:00:08.48 0.net
「とりあえず、もう襲い掛かってくるのはいないみたいですね」

入口付近の敵をあらかた片付けたのを確認すると、エアハルトはほっと一息ついた。
腰に括り付けていたランタンを外し、燃料の節約のため照度を調節しながら周囲の状況を確認する。
どうやら全員怪我もなく無事なようだ。
早速奥へ進む……その前に、フローラからこの洞窟の先の情報を教えてもらった。

「やっぱり奥にはまだクロウラーがいるんですねぇ。面倒ですけど注意して進みましょう」

周囲の壁や天井に注意を払いながら先へ進む。
先導するのは己の役目とばかりにエアハルトは歩を進めた。

52 :メアリ ◆IC7RKFJkf6 :2015/05/27(水) 14:02:19.36 O.net
辺りのクロウラーを片付けたが、剣を戻しはしない。
そこへ与えられたフローラからの情報で、尚更油断ならないと構えたまま歩き出そうとした。

>>「やっぱり奥にはまだクロウラーがいるんですねぇ。面倒ですけど注意して進みましょう」

そうしたらエアハルトが先頭を行こうとする。
道案内を考えれば当然な話なのだが、メアリとしては嬉しくない。
一度右手の剣を背にしまうと、歩き出したエアハルトの服の裾を掴み、自分が前に出る。

「うん、でもあたしが前歩くよ。目と鼻と耳、良い方が直ぐに動けるでしょ?」

怪我をしてほしくないから、と言うのは黙っておく。
実際暗い道を見るには猫目が便利なのだし、反射神経だって悪くない。
だからといって昔みたいに走ったりはしない、ちゃんと皆が一緒な事を確認しながら進む。
そして改めて抜いた剣をいつでも振るえるように、戦士として歩いた。

53 :フロウ ◆aGab3MEKhY :2015/05/29(金) 00:36:29.66 0.net
「よっっっこいっしょっと!」
 周囲の敵が一掃されると、フロウは石になったクロウラーを寄せては積み上げる。
高さは彼の肩の辺りで、横は約2mほど。伏せれば正面からの火は防げるだろう。
もしも赤翼竜と戦うならば、どちらで戦えばよいかまでは分からない。
 
 外なら自由に飛び回られて火を吐かれるが、この石の衝立で少しは抵抗できるだろう、
狭い洞窟内で戦うなら相手の行動は制限されるがこちらの逃げ場も心もとない。
そんなふうに考えているとエアハルトとメアリが戦いの終わりを告げた。

「では、いよいよ中へ進むんですね」
 そこで一歩前に出たのはメアリだった。

>>「うん、でもあたしが前歩くよ。目と鼻と耳、良い方が直ぐに動けるでしょ?」

「なら私は、これをこうしてっと……エアさん、これを」
 フロウは杖の先にランタンを下げると、それをエアハルトへと渡す。

「これでちょっとは安全でしょ?」
 彼はそう言うと、懐から魔法のハンドベルを取り出した。

54 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/05/29(金) 22:14:47.04 0.net
先行するメアリ、照明を持ったエアハルト。
そして何故かハンドベルを手にしたフロウの更に後ろを、弓を持ったまま進んでゆく。
すぐに射られるように、右手には数本の矢を指に挟んで。照らされた壁を、天井をくまなく見て行く。

洞窟というものは、普遍的に言う自然と半ば隔離されている環境だ。
そして洞窟内の生態はある程度傾向はあるものの、独自性が強い。
奥に進めば進むほど、未知との遭遇の危険が増える。せめて予測を立てるため、観察は重要な作業だ。
しかし、壁面は先と同じくクロウラーによって綺麗に食べつくされている。
腐臭のほうも相も変わらず続いており、微妙な嫌悪感を呼び起こしてしまう。

「―――おっ.........とぉ」

時折、物陰に隠れたクロウラーを見かけるたびに頭に一撃矢を放つ。
その場に縫い付けられのた打ち回るそれを尻目に、先へ先へと進んでゆく。
腐臭はキツいが、案外焼けば何とか食べられるかもしれない...などと考えながら、油断無く歩みを進め。

「...もし脱皮が終わっていなかったら、私たちどうすればいいんでしょうねぇ?」

そんな見も蓋もないことを呟いて、最早光も差さなくなった背後を振り返った。

55 :エアハルト(GM) ◆Sg5djUdds2 :2015/05/30(土) 14:39:21.27 0.net
ときおり立ち止まって気配をさぐるメアリにあわせ、手に持った杖(照明付き)を掲げる。
フロウの照明によって広い範囲を照らせるようになり、発見したクロウラーはフローラが素早く排除していったおかげで安心して移動できた。

>>「...もし脱皮が終わっていなかったら、私たちどうすればいいんでしょうねぇ?」


「そ、それは大丈夫だと思いますよ。俺が見たときにはすでに剥がれかけでしたし、あれから時間もたってますから。……たぶん」

ここまできてそれはないと思いたいが、いつもの自分の悪運の強さを思うと否定はできない。
大丈夫だといいながらも内心ビクビクしながら歩を進める。

しばらくすると全方に光が指してきた。

「なんか、明るくなってきましたね」

とりあえず明かりを落とし、杖はほどいてフロウに返すとランタンを腰にくくりつける。
そしてメアリの後に続いてゆっくりと先へ進んだ。

56 :GM ◆Sg5djUdds2 :2015/05/30(土) 14:39:51.66 0.net
暗い洞窟を進むと最奥には開けた空間が広がっていた。
一部の天井は吹き抜けのようになっていて、そこから覗く太陽の光が周囲を明るく照らしている。
その中でひときわ目立つものが一つ。
それは日当たりのいい場所で身体を丸め微動だにしない。赤い鱗は日に当たってキラキラと美しく輝いている。

一行がその場所にたどりついたとき、巣の主である赤翼竜は侵入者に気付くこともなく静かに寝息をたてていた。

57 :メアリ ◆IC7RKFJkf6 :2015/05/30(土) 23:06:35.68 O.net
洞窟の奥深く、そこには壮絶な空間が待っていると思っていた。
しかし、見つけたのは眠る赤き竜。
その鱗と光が辺りに幻想的な煌めきを与えている。
「…きれい」
戦意よりも先に、光景に見とれたメアリ。
静かな声ですら大きく聞こえるような空間で、突っ立ってしまう。
だが、目を覚ましたら一瞬で騒がしくなるだろう。
「あ」
そこまで考えて、エメラルダにもらったクリームを思い出す。
何だか武器に塗るとか言っていた気がする、今のうちに塗ってしまおう。
目の前の地面に剣を突き刺し、リュックからエンチャントクリームを取りだす。
中身を適当に剣に塗り、少々余った分を腰のアセイミダガー1本にも塗る。
ちょこまかと作業をしたが、端からみたら素早く、実際大した時間も使わなかった。
問題は、倒す気満々なところだが…

58 :フロウ ◆aGab3MEKhY :2015/05/31(日) 23:30:29.44 0.net
まずは判定!

59 :フロウ ◆aGab3MEKhY :2015/05/31(日) 23:46:04.82 0.net
「本当に……いましたね……」
 フロウは眠る赤翼竜を見ながら声を潜めて言う。大きい。脱皮を終えたばかりの、
新たな生命力を秘めた体は静かに寝息を立てていた。他の動物の例に漏れず消耗
しているのだろうか。

「……肝心の抜け殻は……あ、あれ、あそこを見てください」
 洞窟の壁、端の方の一角、多くの生き物の亡骸が周囲に散乱する只中に、目的のものはあった。
光が当たらない位置にあり気付きにくいが、一際異彩を放つ物体があった。あれが翼竜の抜け殻だろう。

「ここまでは順調です。あとはあれを幾らか拾って退散しましょう」
 披露はそこまででもないのに、緊張で汗が浮かんでは額を伝う。ここまでは今までで
一番上手く行っている。このまま済んで欲しいと、フロウは翼竜を見ながら心からそう祈った。

60 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/06/01(月) 22:42:40.11 0.net
【シナリオ分岐判定 使用ステータス:なし】

61 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/06/02(火) 00:47:04.16 0.net
よく見るとそれは半透明で、光の乱反射がよりいっそうの神々しさを醸し出す。
話を聞くに脱皮したて、まだ固まりきっていないのだろう。本来の深紅とは違う、やや朱色がかった赤色だ。

「正直な話、狩るなら絶好の機会ですよ?
 後々の脅威にならないのでしたら放っておくべきですけど......」

脱皮に伴う体力の消耗。
成長途上で防御力の低い鱗。
そして何より睡眠中で隙だらけ。
それでも厳しい戦いにはなるであろうが、これ以上の機会はもう無いだろう。

「そのあたり、どうしましょうか?エアハルトさん。
 ......取り敢えず、鱗は確保しますよーっ」

言うが早いかポケットからカプセルを取り出す。
出発前にエメラルダから貰った、粘着性の投網のカプセル。
僅かにはみ出た紐の輪に指を通し、そのままカプセルを鱗へと投擲する。
すると指に掛かった紐から伸びるように投網が展開される。そして確実に鱗を絡め取っていった。

「......よっと」

投網の下で小さく生まれたつむじ風が、砂粒もろとも鱗を浮かせ。
それを確認したフローラは、大きく腕を振り投網を引き寄せた。
確保した鱗はネットもろとも麻袋に入れて回収してしまう。
粘着質の投網からどう引き剥がすのかは知らないが、投網の製作者のエメラルダなら容易に外すだろうと楽観した。

量こそ少ないものの、確かに鱗の回収はした。
ひとまずの用件は達成したし、ここで大人しく引き下がるもよし。
更なる鱗の回収を望むなら、それもまたよし。
あわよくばと赤翼竜の討伐を目論むのも、それはそれでよし。
念のためと弓を手に取り、エアハルトの答えを窺った。

62 :エアハルト(GM) ◆k3mocT1qNDaW :2015/06/02(火) 20:08:47.78 0.net
>>「正直な話、狩るなら絶好の機会ですよ?
 後々の脅威にならないのでしたら放っておくべきですけど......」

「うぅん。竜の素材は引く手あまたですし、贅沢をいえば欲しいんですけどねぇ」

竜は非常に優秀な素体だ。
鱗や爪、血から骨にいたるまで全て貴重な素材になる。
使い道も錬金術以外に、武器や薬剤など幅広い。
姉が頻繁に使うものでもあるし、ここで手に入れられれば(家計的にも)かなり助かるのだが……。

「失敗したときのリスクも高いですし、ここは安全第一で。見つからないうちに退散しましょうか」

そう簡単に狩れるようなモンスターでもないのだ。
正直、この状況とメンバーなら狩れるような気がしないでもないが、それでも竜狩りは命にかかわる。
欲を出して身を滅ぼす、なんてことにはなりたくない。
エアハルトはフローラが鱗を回収したことを確認すると、翼竜の様子を窺いつつ来た道を振り返った。

63 :GM ◆JThaci2X0Q :2015/06/02(火) 20:30:56.05 0.net
一行が来た道を戻ろうかとした刹那、それまで静かに寝息を立てていた翼竜の様子が変わった。
穏やかな呼吸音がピタリと止まり、グルグルと唸るような声に変わっていく。
それと同時にゆっくりと瞼が上がると、その真紅の双眸があらわになった。
完全に目覚めた翼竜は周囲の様子を睥睨し、侵入者の存在を確認すると丸めていた身体を持ち上げて威嚇するように翼を広げる。
そして大きく息を吸い込むと、雄たけびをあげ、自らの眠りを妨げた侵入者に牙を剥いた。

64 :GM ◆JThaci2X0Q :2015/06/02(火) 20:40:49.37 0.net
【ボスが出現しました。戦闘ロールに入ります】

ボスモンスター:赤翼竜(レッドワイバーン)
HP:800 攻撃力:30+X/2 素早さ:40 属性:火
補足:火属性の攻撃は効果半減。水・氷属性の攻撃は効果倍増。胴体(鱗に覆われている)部分への攻撃は効果半減。
攻撃対象:
4n=メアリ 4n+1=フローラ 4n+2=エアハルト 4n+3=フロウ 96〜99=全体攻撃(火炎ブレス)

X=ボス(GM)のレスコンマ、n=任意の数

ロール順(素早さ判定):
メアリ(80)→フローラ(67)→エアハルト(60)→フロウ(40)→ボス(GM)(40)

65 :GM ◆JThaci2X0Q :2015/06/03(水) 12:20:09.51 0.net
【ボスステータス訂正】
・胴体(鱗に覆われている)部分への攻撃はダメージ3/4(25%減少)

66 :メアリ ◆IC7RKFJkf6 :2015/06/03(水) 13:45:18.56 O.net
ぴくり、とメアリが反応するのと赤翼竜の目覚めるのと、ほぼ同時だった。
竜の名を持つだけあってその圧迫感はさるものだ。
だが、そんなもので怯えるメアリではない。
「先手必勝!」
大きな声で竜の注意を自分に向け、そのままサイドへ駆ける。
こうすれば簡単には全体へ火を吐くことはできないだろう。
上手くいけば攻撃自体を自分へ引き付けられるかもしれない。
そんなことを考えながら竜の横から一気に近付き、冷気を帯びた双剣で腹に斬りかかる。
すぐさまバックステップで距離を取り直し、斬りかかれる体制を整える。
出来るならば脚や翼を狙いたいものだが、今は注意を引き付けることが大切。
「かかってきなさい!」
雄叫びのような挑発に、竜がのってくれればいいのだが。

【70×属性2倍×防御力0.75=105。敵HP800−105=695】

67 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/06/06(土) 22:14:46.68 0.net
ほう、とフローラは軽く嘆息した。
背後でゆっくりと動き出した気配に、メアリはいち早く反応し駆け出していた。
すばやく戦線を展開したその手腕に、フローラは感嘆の念を覚えたのだ。


起きてしまったのなら、仕方がない。
ならばここからは、狩りの時間だ。

魔力消費は抑えてきた。まだまだ戦うだけの余裕はある。
思うが早いか、フローラは弓を手にして弓懸を抜き放ち、メアリと逆側に戦線を張るべく走った。

「......はぁァ―――ッ!!!」

気合一念、矢を握る右手に力を込める。
そのまま弓をいっぱいに引き、手首のスナップを利かせて矢を放つ。
するとフローラと翼竜の中間に、陽炎のような揺らぎが生まれていった。


【魔法行使判定 使用ステータス:魔力(71)】

68 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/06/06(土) 22:33:41.60 0.net
揺らぎはやがて膜となって、大きなレンズを形成する。
それは翼竜の目に、フローラの動きを過剰に意識させる助けとなるだろう。
一思いに狩れない相手なら、打撃を加えて着実に弱らせるしかない。
メアリはその決定打になるであろうと踏んだフローラは、囮を引き受けることで彼女の助けになろうと試みた。

同時に、放った矢が竜の表皮に突き立てられる。
成長途上とはいえ竜の鱗、その堅牢さは並みの攻撃をものともしない。
陽動ついでの射撃、ダメージを求めていないとはいえ、決定力に欠ける攻撃に歯がゆさを感じながら。
弓を矢を細かく動かし、絶えず動き続けることで相手のターゲットを撹乱しようと試みた。


【魔法行使判定:成功】
【翼竜の注意をある程度フローラへと引き付ける】

【命中判定:なし】
【ダメージ:{腕力(35)+素早さ(67)}/2 ×0.75 = 38】
【赤翼竜(レッドワイバーン) 残HP:695-38=657】

69 :エアハルト(GM) ◆JThaci2X0Q :2015/06/07(日) 06:10:08.68 0.net
いつもながら自分の悪運の強さに嫌になる。こんなときは特に。
翼竜が起きる気配に気付いたエアハルトは、うんざりとした思いと共に内心そう嘆息しながら振り返った。
振り返ると同時、素早く戦闘体制に入るメンバーの姿が見える。全員その判断と反応の速度はさすがのものだ。
メアリが駆けていくのを確認しながらエアハルトは自身の攻撃手段について考えた。
エアハルトの持つナイフは肉厚で大振りなハンティングナイフではあるが、翼竜に対しては少々心許無いものだ。
獲物との距離も十分とれる今ならば、身体の上部などを狙いやすい弓のほうがいいだろう。
そう判断したエアハルトは、背中のバックパックから折りたたみ式のロングボウを取り出し一振りで展開すると、矢筒から矢を取り出して番えた。
メアリの攻撃によろめいたところをフローラの矢が突き刺さり、怒りの声をあげる赤翼竜。
翻弄される姿を確認しながらギリギリまで弦を引き絞る。

「――っ、ここだ!」

そして翼竜の大きく広げた翼、柔らかな翼膜を狙って矢を放った。

【命中判定 使用ステータス:素早(60)+幸運(10)/4=62】

70 :エアハルト(GM) ◆JThaci2X0Q :2015/06/07(日) 06:11:45.65 0.net
【命中判定 失敗】

エアハルトの放った矢は、当たる直前に折りたたまれた翼により、挟まれるようにして弾かれた。
翼竜の勢いは衰えず、猛然と翼や尾を振り回してくる。

「くっ、はずしたか」

エアハルトは、今度こそ当ててみせると気合を入れると次の矢を取り出し、風圧で飛ばされないようしっかりと構えながら意識を研ぎ澄ませた。

【敵 残HP:657】

71 :フロウ ◆aGab3MEKhY :2015/06/09(火) 00:31:14.80 0.net
戦いは起きてしまった。仲間たちが瞬時に赤翼竜に襲いかかるのを見ながら、
フロウもまた体制を整える。

「自分たちから来ておいてこんなことを言うのは憚られるのですが」
 盾を構えながら、もう片方の手に持ったベルを鳴らし始める。手首を振るごとに
洞窟内にどこからともなく風が吹いてくる。

「あのまま眠っていればもう少し長生きできたものを……」
 凍てついた湖底のような瞳がすっと細まり、乾いた唇からは呪文が溢れ出す。

「光を覆い隠す者、太陽の名代、天空の太子よ!
 汝の恵み、一時この場に湧き立たせ給え!汝の使徒、一時我が元に遣わせ給え」

 不意にフロウの足元に水が湧き足場を水浸しにしていくが、その水はどこにも染みることはなく
水面を泡立たせながらその量を増していく。

「雨蜘蛛の火伏せりよ!」
 呪文が完成すると、今やスライムのように大きくなった水の塊から次々に雫が落ちていく、
そして落ちた雫はうぞうぞと這いずると、その姿を透明な蜘蛛のように変えて走り出す。その大きさは
子供の手の平ら程度だが、数は真面目に数えるのがバカらしくなるほどである。

「かかれ!」
 号令と共に水で作られた蜘蛛が赤翼竜の胴体へと殺到し、衝突しては爆ぜ
取り付いては噛み付き、体中を上って襲いかかる。
【ダメージ:{魔力40×0.75=30】 【敵 残HP:627】

72 :フロウ ◆aGab3MEKhY :2015/06/09(火) 00:39:21.67 0.net
【雨蜘蛛の火伏せり】
 水属性の攻撃魔法、水でてきた蜘蛛が相手に群がる。低燃費で効果の持続が
長いためフロウでもある程度は攻撃できる便利な代物。塵も積もれば山となるが、
見た目が非常にショッキングなので、人によってはそっちのが辛かったりする。
ちゃんと敵味方の識別はできるので進路上に仲間がいてもそちらを襲ったりはしない

※ハムナプトラのスカラベみたいなのを想像して頂きたい。『キー!』

73 :GM ◆JThaci2X0Q :2015/06/09(火) 22:53:55.78 0.net
【敵残HP訂正 残HP:597】

赤翼竜は不機嫌だった。
目覚めれば自らの領域に侵入者がいて、そいつらは自分の生命をおびやかす存在で、なのになかなか捕まえることができない。
今もまた、剣が、矢が、魔法が、自分を襲ってくる。
苛立つ翼竜はその身を震わせ、目の前をちょこまかと動き回る敵どもを排除せんと、力の限り暴れまわった。

【攻撃対象判定】
4n=メアリ 4n+1=フローラ 4n+2=エアハルト 4n+3=フロウ 96〜99=全体攻撃(火炎ブレス)

【フローラの魔法行使により、判定数値27以下は攻撃対象がフローラに確定】

74 :メアリ ◆IC7RKFJkf6 :2015/06/10(水) 07:48:10.41 O.net
赤翼竜の動きが変わった。
誰だって目が覚めて、いきなり攻撃されていたら驚くか怒るかするだろう。
激しくなった動きは誰へ、というよりも全員への攻撃にすら見える。
だが、こちらも止まるわけにはいかない。
最早勝つしかないのだ、今は受ける可能性のあるダメージよりも攻撃を優先すべき。
…皆で、早く帰るためにも。
「勝手に入ったのはあたしたちだけど、後には引けないの!」
もし退却する事があっても最後。
きっと、その方が一番皆の手助けが出来るから。
さあ、今は攻撃をしよう。あの動きを少しでも緩める為に。
「狙いは、そこ!」
転んでくれたら最高、よろけてくれればチャンス。
そう考えて片足に双剣を振りかざした。

【命中判定素早さ80、胴体以外への攻撃】

75 :メアリ ◆IC7RKFJkf6 :2015/06/10(水) 07:52:44.37 O.net
冷気を纏った剣は、竜の動きを掻い潜り、狙い通りの足へ切りつける。
このままこの場にいては潰されるかもしれない、とすぐさま距離をとりなおす。
切りつけた足に、どれ程効果があったかの確認は後回しだ。

【腕力70×属性2倍により、敵HP597−140、残りHP457】

76 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/06/11(木) 00:04:15.89 0.net
陽動も空しく、翼竜はエアハルトに向けて距離を詰め始める。
人間が前衛、後衛と展開したところで、竜の図体からすればものの距離ではないということか。
まだまだ余裕のありそうな翼竜。長期戦を避けるべく次の矢を番える。

この狭い空間で、取り乱されて暴れまわられるかも知れないというデメリットは無視できない。
しかし急所への攻撃は、着実に確実に体力と余裕を削ってくれるだろう。
狙うはその眼。ゆらゆらと動く頭部のモーションを見定めて、今一つの矢を放った。


【命中判定 使用ステータス {素早さ(67)+幸運(54)}/2=61】
【補正『揺れ動く標的』:目標は不規則に座標を変える。命中判定に-10】

77 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/06/11(木) 00:08:51.26 0.net
見定めて放った矢は翼竜の頭上を飛び越え、壁面の岩に食い込んだ。
外した矢のことはもう考えない。あわよくば翼竜がこちらに意識を向けなおせばとさえ思った。
依然として陽炎のように揺らめく水のレンズの向こうで、竜と視線が交差した気がして。
その瞳孔を鋭く見据えながら、次の矢を手にした。

【命中判定:失敗】
【赤翼竜(レッドワイバーン) 残HP:457】

78 :エアハルト(GM) ◆JThaci2X0Q :2015/06/13(土) 13:23:41.77 0.net
こちらにどんどん迫ってくる翼竜に、エアハルトはあわてて弓を下ろして回避の体勢をとろうとした。
だが、メアリの攻撃に翼竜がよろめいたのを見た瞬間考えを改める。

(もしかしたら……いける!)

エアハルトは下ろした弓を回避ではなく攻撃のために構えなおすと、自ら翼竜に向かって走りだし距離を詰めた。
獲物が自分から飛び込んできて好都合とばかりに大きく口を開き、噛み砕かんとする赤翼竜。
その、切り裂かれ負傷した左足に向かって、エアハルトは転がるように走りこんだ。

【一括判定】
【回避判定 使用ステータス:素早さ(60)】
【補正+5:メアリの攻撃により左足は大きく負傷している】
【攻撃命中判定 使用ステータス:素早(60)+幸運(10)/4=62】
【ダメージ3/4:回避しながらの攻撃のため攻撃力は低下する】

79 :エアハルト(GM) ◆JThaci2X0Q :2015/06/13(土) 13:57:17.71 0.net
【回避・命中判定 失敗】

翼竜の左側面へ回りこむようにして飛び込み、地面に片手をついて勢いを殺さないままに身体を回転させ再び立ち上がると、すぐにまた走りだすエアハルト。
翼竜の牙は空振り、獲物を捕らえることができないまま空しく口が閉じられる。
怒り狂った翼竜はすぐさまエアハルトを追って体勢を変えようと動いた。だが、そこで急激に負荷のかかった翼竜の左足が悲鳴をあげる。
痛みに呻き、動きを止めた翼竜。
その隙を見逃さず、エアハルトは素早く振り返ると構えていた弓を引き絞り矢を放った。

――が、エアハルトが矢を放った瞬間、その身体を横から巨大な質量が襲った。

「――がはっ!!」

あまりの衝撃に踏ん張ることもできず吹っ飛ばされるエアハルト。
飛ばされる瞬間確認したエアハルトを攻撃したものの正体、それは翼だった。
翼竜の名が示す通り、腕と一体化した大きな翼に打ち据えられたのだ。
エアハルトは、なんとか受身を取りつつ地面を転がって翼竜の攻撃範囲から逃れる。
だがダメージをまともに受けた身体はすぐさま立ち上がれず、その場に片膝をついた。

【ボス攻撃力:30+(78/2)=69】
【エアハルト 残HP:270-69=201】

80 :フロウ ◆aGab3MEKhY :2015/06/15(月) 23:35:21.69 0.net
 エアハルトが翼竜の翼に弾き飛ばされたのを視界に収めながら、フロウは現状を整理する。
メアリは未だに足元に張り付いて攻撃を繰り返している。このまま続ければ遠からず倒せるだろう。
急な戦闘でこちらの戦力の見極めが不十分だったことは幸運だった。

 次にフローラ。彼女は良く動けている。いつ孤立してもいいような、囮と連携のどちらにも
対応できるよう付かず離れずの位置で戦っている。魔法を使えることも考えれば彼女の万が一の
事態は考えなくていい。

 最後に、今しがた打たれたエアハルト。彼はなんというか間が悪い。動きそのものは可もなく不可もない
のだが、呼吸が合わなかったり囮として動いているフローラを差し置いて翼竜に目をつけられたりと
運の悪さと竜の動きと味方の動きの中で僅かにずれているような状況だ。今の被弾もそのせいだろう。
実力は決して低くないのに。

(お互いに余力があるうちに、やるか)
 
 フロウはエアハルトを置いて攻撃を継続したかったが、追い詰めて必死の反撃を呼ぶよりも
まだ余力がある今の内に彼を助けて、パーティーが崩れる可能性を減らした方が良いと判断した。
盾を服に引っ掛けて吊るすと、天秤の杖に持ち替えベルを打ち鳴らす。

『福音よ!蛮声の始まりを言祝ぐ天魔の嘲りよ!』
『訊け!その執着の意味する事を!汝の誤ちを!』
『迷い子を再び旅路へと追い遣る力を、此処に!』

『赤枝の掬水!』   対象:エアハルト
【回復の判定:精神】 成功:精神と同値を回復
           失敗:精神の半分を回復

81 :フロウ ◆aGab3MEKhY :2015/06/15(月) 23:41:48.51 0.net
失敗:【エアハルト 残HP:201+25=226】

使用中の魔法を切り替えることには成功したが、
完全とは言い難かった。その分だけ魔法の効力が落ちてしまったのだ。
天秤から湧き出た癒しの水は少なく、微かな霧となりエアハルトの負傷した
部位に染み込んだものの、回復しきれなかった。

(私もまだまだだな……!)
 表情を険しくしながら、フロウは小さく歯噛みした。

82 :GM ◆JThaci2X0Q :2015/06/16(火) 21:20:09.18 0.net
【攻撃対象判定】
4n=メアリ 4n+1=フローラ 4n+2=エアハルト 4n+3=フロウ 96〜99=全体攻撃(火炎ブレス)

【フローラの魔法効果継続。判定数値27以下は攻撃対象がフローラに確定。残り1ターン】

83 :GM ◆JThaci2X0Q :2015/06/16(火) 21:35:00.17 0.net
次なる獲物を見定めようと赤翼竜が動いた。
その視線は目の前に展開する水のレンズによって自然とフローラに集中する。
――虚と現、一瞬の交錯。その瞬間、確かにお互いの目線が合った。
今しがた吹き飛ばした獲物の事は、もう翼竜の頭にない。
翼竜は、己に向かって弓を構える獲物(フローラ)に狙いを定めた。

84 :メアリ ◆IC7RKFJkf6 :2015/06/17(水) 08:28:42.32 O.net
>「――がはっ!!」

声の方向と距離、攻撃の当たる音、その後のフロウの詠唱、それらをきちんと聞き分けたメアリは振り返らなかった。
エアハルトが死ぬほどではなく、しかしすぐに動けるほどではないだろう、しかも自分の後方に吹き飛んだ。
いざというときは盾になるべく赤翼竜を見やると、こちら側に背を向けてきた。
つまりは対岸にいたフローラを狙いに定めたと言うことだ。
走り込もうとしたところで間に合わない、もしかしたら魔法の邪魔になる。
冷静に判断したメアリは、先程切りつけた左足を狙い、再び走り込む。
「…許さないんだから」
……これでも、竜によるエアハルトへの攻撃に、怒っている。
全速力と全腕力で片足潰しを続けるのも、そのせいだ。

【命中判定:素早さ80−怒りにより10減少=70】

85 :メアリ ◆IC7RKFJkf6 :2015/06/17(水) 08:38:58.37 O.net
「はあっ!」
声と、攻撃そのもので赤翼竜の集中力を削ぐ。
これが一対一だったならば無言の戦いとなっただろう。
今は守りたい人がいる、なら無駄のような言葉すら戦局を動かす物として使うべきだ。
「あたしの事、無視するなあぁっっ!!」
咆哮を竜へぶつけ、怯みを期待する。
皆に傷ついてほしくない、その一心で…

【457−(腕力70×属性2倍=140+怒りにより10=150)=敵残りHP307】

86 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/06/18(木) 01:08:08.49 0.net
レンズに映るフローラの挙動を見かねたか、翼竜がこちらへ牙をむく。
その巨大な体躯で距離を詰め、水のレンズに向かって首を伸ばす。
そして翼竜と衝突した瞬間、レンズはその形を保つことをやめて翼竜へと流れ落ちた。

レンズによって実際よりも大きく見えていた姿。
それがレンズの崩壊によって本来のサイズに戻り、先とのギャップが狙いを逸らすだろう。
弓を片手にフローラは、矢を手にしたままその場から跳ねた。

【回避判定 使用ステータス:素早さ(67)】
【補正『揺らぐ虚像』:レンズ越しの視界との差異が狙いを逸らす。回避判定に+15】

87 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/06/18(木) 01:19:08.21 0.net
彼女の持つ瞬発力を持ってすれば、幻惑された翼竜の一撃など容易く回避できた。
メアリの怒号を背に、獰猛な笑みをフローラは浮かべる。
身体を捻って翼竜の方に向き直る。その弓には既に矢が番えられていた。

最も油断が生まれる瞬間、それは敵を仕留めた時。
今回は躱しきったとはいえ、攻撃動作の瞬間に隙が生まれることには変わりない。
伸びきった首。一瞬の硬直。今一度狙うなら今以上の隙はあるまい。
すぐ側まで来た翼竜の顔、その眼にもう一度。今度は外すものかと矢を放った。

【命中判定 使用ステータス {素早さ(67)+幸運(54)}/2=61】
【補正『至近の一矢』:極近距離からの隙を突いた射撃。命中判定に+10】

88 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/06/18(木) 01:29:42.05 0.net
翼竜が行動を起こす前に、放たれた一本の矢。
それは翼竜の左目へと吸い込まれ、深々と突き刺さり赤黒い血を噴出させる。
翼竜が地を揺らさんばかりの呻き声を上げるのを尻目に、フローラは翼竜と再び距離を置くべく走った。

身を捩る翼竜。レンズを潜り抜け濡れた鱗が、差し込む日差しを浴びてきらきらと輝く。
眼から流れるどす黒い赤がひどく場違いに見えるほどに、その輝きは優美なものだった。
そんな光景が終わってから、フローラは竜に向き直る。
大丈夫、もう一息。少しだけ上がった息を整えて、手には既に次の矢を握っていた。

【命中判定:成功】
【ダメージ:{腕力(35)+素早さ(67)}/2 = 51】
【赤翼竜(レッドワイバーン) 残HP:307-51=256】

89 :GM ◆JThaci2X0Q :2015/06/18(木) 22:49:33.93 0.net
フローラの矢が左目に突き刺さり、苦悶の叫びをあげる翼竜。
激痛に身を震わせ、周囲の岩肌に身体がぶつかるのも気にせず暴れまわる。
その瞬間、翼竜の身体から一際輝く物体がパラパラと、宙を舞った。
陽の光を受け、半透明の鱗がキラキラと輝きながら落ちていく。
それは途中で翼竜の身体につぶされることもなく、静かに地面に着地した。

【攻撃行動中にレスコンマ30以下がでたため、アイテムがドロップしました】

『火翼竜の柔鱗』
脱皮したての火翼竜の鱗。まだ固まりきっておらず、ほのかに柔らかさが残っている。

90 :エアハルト(GM) ◆JThaci2X0Q :2015/06/18(木) 22:51:10.79 0.net
――やってしまった。
油断していたとまではいわないが、翼竜の動きが止まったことで強くでてしまった。
結果、負傷して仲間に迷惑をかけているのだから笑えない話だ。
情けなさに歯噛みするも、今は悔やんでいる場合ではないと思い直す。
そして、この失態は戦闘で挽回しようと、ズキズキと痛む腕と体を無視して膝立ちのまま弓を構えた。
その時、エアハルトの耳に澄んだベルの音色が届いた。
ふと意識を傾けるとフロウの詠唱と同時にフロウの杖からエアハルトに向かって霧が漂ってくる。
自身を包む霧に一瞬戸惑うも、傷の痛みが無くなったことですぐにこれが回復魔法であることを認識した。
霧の染み込んだ部分を撫でながら戦闘に支障がないことを確認したエアハルトは、呼吸を整えしっかりした足取りで立ち上がる。
フロウに礼を言いたいのはやまやまだが、距離がある上今は戦闘中である。

(ありがとうございますフロウさん。これでまだまだ戦える!)

エアハルトは心の中でお礼の言葉をつぶやき、翼竜を視界から外さず軽く頭を下げるだけにとどめた。
そして、痛みもなく動くようになった腕でおもいきり弓を絞り矢を放つ。
翼竜の足下ではメアリもその双剣を縦横無尽に振るっている。
翼竜はどうやら今度はフローラに狙いを定めたらしい。攻撃をうけながらも迷わずフローラに向かっていく。
しかし流石というべきか、危なげなく攻撃を回避したフローラは続けざまに素早く矢を放ち、翼竜の左目を打ち抜いた。
零れる鮮血。洞窟内に絶叫が響く。
そして、痛みに暴れる翼竜からキラキラと輝く破片が落ちた。

「あ、あれは!」

通常の鱗とは違う透き通ったそれは、脱皮したてのごくわずかな時期、それも生きている竜からしか取れない貴重品――柔鱗だ。
死後はあっという間に固まって普通の鱗かそれ以下のただ脆いだけの鱗になってしまうが、生きている状態の竜から取れたそれは竜の生命力が宿っているかのように輝きを失わず、蒐集品として高い価値を持つ。
命あっての物種だ。戦闘中に落とされたそれを、今すぐに拾いに行く必要はない。
だが、そのまま放置していれば輝きはどんどん失われていくだろう。

「――だから悪いけど、さっさと狩られてくれ!」

エアハルトはそういうと、苦しみ暴れ続ける翼竜に矢を放った。

【命中判定:なし】
【ダメージ:腕力(65)×0.75=48】
【敵 残HP:256-48=208】

91 :フロウ ◆aGab3MEKhY :2015/06/21(日) 00:02:03.11 0.net
戦いはいよいよ終わりへと近づいていた。フローラ、エアハルトの矢はそれぞれに
翼竜へと突き刺さり、足はメアリに深く切りつけられている。
一人なら確かに誰も翼竜には叶わなかっただろう。それが統率のとれた動きで
自身の想像もつかないほど速やかに猛攻をかけた。

およそ自然界で徒党を組んで行動をする者の中でも、このような相手と戦った
ことはなかったに違いない。苛立ちに任せた行動は、あまりにも唐突に破滅を導く。
フロウは天井を見上げた。

(後は逃げ場を潰す…!)
 ここで逃がすようなことがあれば、次はこちらが狩られる番だろう。
杖の石づきを足元の水に付けて呪文を唱える。先ほどの魔法の効果は解け、
無数の蜘蛛達は水溜りとなって翼竜の足元からフロウの元へと繋がっている。

「天に昇り、地に潜り、己が尾を咬みて三界を戒める陰陽の双蛇よ」
「祖の牙一つ、水土と化して我が声を聞き届け給え、始まりの龍よ」
「汝のひさごに赤き水を満たさん」

 呪文が紡がれる度に、赤翼竜の足元の水は輝きを増し、白と黒との二色、
しかも左右歪に分かれていく。左が白の泉、右が黒の泉、どちらも中心に
もう片方の色が点となって浮かび上がっている。
 やがて泉は隆起し、大蛇の顔を形作っていく。先程の点は目となり
ずるりと首が這い出すと翼竜へと近づいていく。

「灰蛟の顎!」
 杖で水面を叩くと、それが合図となって水蛇は大口を開けて翼竜へと食いついた。

【命中判定:なし】
【ダメージ:{魔力40×属性2倍×0.75=60】 【敵 残HP:148】

92 :GM ◆JThaci2X0Q :2015/06/21(日) 18:36:26.36 0.net
【攻撃対象判定】
4n=メアリ 4n+1=フローラ 4n+2=エアハルト 4n+3=フロウ 96〜99=全体攻撃(火炎ブレス)

【左足、左目負傷により命中率低下。判定数値27以下は攻撃ミス】

93 :GM ◆JThaci2X0Q :2015/06/21(日) 18:45:32.30 0.net
吹き出る血に激しい痛み、竜の苛立ちは頂点に達していた。
そして霞む視界の中捉えたのは足元をうろつく影。
幾度も己の足を切り裂いた憎っき敵の姿だった。
翼竜はその影に狙いをさだめ大きく息を吸い込むと、呼気を十分に溜め、その口から灼熱の炎を吐き出した。

94 :メアリ ◆IC7RKFJkf6 :2015/06/21(日) 19:20:13.58 O.net
…待っていた瞬間が来た。怒り狂う竜には悪いが、こっちの機嫌だってまだ悪い。
仲が良い、とまで言えなくても、仲間としていられる人を傷つけられた。
きっかけが自分たちだなんて忘れて、メアリは笑う。
頭上に感じる熱、やっとこちらを向いて、しかも炎を吹いてきた。
その頭までの距離は、今までで一番近づきやすい…
「…やっとあたしを見てくれたね…」
普通なら避けようと走るだろう、しかし、メアリは真逆の行動をとった。
炎をその身に浴びながら、頭、否開いている口を目指して飛び上がる。
感覚気管は守るべく剣を構えてはいるが、体への炎は本来より多く浴びただろう。
それでも、彼女は赤翼竜の口のなかに双剣をふり―――

【ダメージ、あえて飛び込んだ為倍ダメージ、メアリHP260−96=164
【命中判定、怒りのままで−10となるが、攻撃中を狙ったため+10。結果素早さ80】

95 :メアリ ◆IC7RKFJkf6 :2015/06/21(日) 19:27:33.30 O.net
――その舌を切り落とした。
メアリをよく知らない者には恐ろしい光景だっただろう。
竜の返り血を浴び、炎でぼろぼろな衣服、それでも輝く瞳。
知らぬ者なら今知ったはずだ。彼女が『ブラッディマリー』と呼ばれるようになった光景を…
それでもまだ、メアリは正気に近かった。
少し怒りで力がこもっていただけ…それだけだったのだ。
火傷を気にしている様子はない。これくらい、痛くない。治療なんていらない、気にならない。そんなことよりも…
「…帰りたい」
何か、寂しさを感じていた。

【腕力70×属性2倍+怒り10=150】
【赤翼竜のHPを0にしました】

96 :GM ◆JThaci2X0Q :2015/06/22(月) 21:38:54.36 0.net
メアリが炎に巻かれた瞬間、赤翼竜は自身の勝利を確信してニタリと笑んだ。
だが、それも一瞬のこと。
気付いたときにはもう遅い。炎とは違う熱さが翼竜の口内を焼いた。
獲物を焼き尽くすための炎は、そのまま目くらましの役割を果たしてしまったのだ。
まさか自身の吐いた炎の中をそのまま突っ切ってくる敵がいるなどとは思っても見なかった翼竜は、何が起きたのかも分からぬうちに舌を切り取られ、絶叫と同時に脆い口内から頭を貫かれて絶命した。

メアリが地面に降り立つと、その体躯は力を失い、重い音を立てて崩れ落ちる。
見開かれた瞳からは光が消え、完全に息絶えている様子だ。
傍らには、戦闘により飛び散った血や肉片に混じり、日差しを反射してキラキラと輝く鱗があった。

【戦闘ロール終了 赤翼竜に勝利しました!】

97 :フロウ ◆aGab3MEKhY :2015/06/23(火) 23:31:55.46 0.net
(いけない)
 崩れ落ちる竜の身体、滾滾と漏れ出る鮮血に塗れて佇む少女を見て、
フロウは無意識に駆け出していた。ズボンの裾が濡れる度に、明るい赤色が
黒く濁っていく。彼はメアリの元へ着くと、ハンカチを取り出して彼女の髪を、
体を、そして顔を拭いた。

 次にローブを脱ぐと、それを彼女に羽織らせる。ゆったりとした覆いを外した
体は小さく、簡素な肌着を身に着けている。もう一度、寂しげなメアリを見てフロウは
かける言葉を探した。

 殊に有るのだ。彼女がこうなることは。フロウはメアリが本当は心のどこかで
怒りのままに、己の激情に突き動かされることを望んでいるのではないかと、そう思うとき
があるのだ。それは決まって、戦いの時だった。

「メアリ…」
 いくらか正気に戻り、それでもまだぼんやりとしている彼女の名前を、彼は呼んだ。

「帰りましょう……」
 それだけだった。怪我の具合はどうとか、よくやったとか、そういう言葉は出てこなかった。
フロウはこんな時にはいつも、己の力不足を痛感する。空を仰ぐも、そのことに意味を持たせる
ことが出来ない。

「帰って、傷の手当てをしましょう。火傷…痕になるといけないから…」
 彼女に恐怖を抱かない訳ではなかったが、不憫に感じることのほうが多く、
どうにか力になってやりたいという気持ちのほうが強かった。それなのに、

「だから一緒に、帰ろう」
 今はこれが、精一杯の言葉だった。

98 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2015/06/25(木) 02:17:21.20 0.net
炎に飲まれるメアリ。だがその剣の勢いは止まることなく。
やがて竜の項に当たる部位から、血飛沫と鈍色の刃が飛び出した。
声も上げぬまま横たわる翼竜。その姿を確認すると、足早にその死骸へと歩み寄る。

「お疲れ様ですっ♪」

すれ違いざまに、佇むメアリの頭にぽんぽんと手を置いて。
先の出来事を気にも留めず、ただ柔らかな笑みを浮かべて労をねぎらった。
今現在しっかりと両の足で立ち、そして獲物はしっかり捕えてのけたのだ。
仮においては非常なまでのストイックさを持つフローラは、むしろメアリの行動の合理性を評価してさえいた。

さて、狩猟が終われば次は解体だ。
竜を手にかけた経験は無いが、他の生き物なら数え切れないくらいに解体してきた。
かの竜とて所詮は一匹の動物。臓器の機能も見当が付けば、解体手順もそう変わらない。
手にしていた矢をそのまま竜の腹に向ける。鏃の反しの部分を皮膚に突き立て、そのまま一直線に腹を割く。
そのまま竜の腹部をまさぐり、目当ての臓器を見つけて切り取った。

「...たぶんこれで大丈夫かな?」

手にしたのは火炎袋と呼ばれる部位。体内で生成された可燃物を保管しておく器官。
炎を吐く動物が辛味を持つ傾向にあるのは、こうした部位のせいではないかと思っていたのだ。
戦闘も長丁場になってしまい、パーティにも休息が必要だろう。折角なので翼竜の肉の味を楽しみたいと思った所存である。

「エアハルトさん、適当に解体するんで必要なものがあったら教えてくださいねー。
 ほら、私は錬金術に詳しくないので素材にどんな使い出があるのかわからなくて...」

そんな呑気なことを言いつつ、久々の大物の解体に心躍らせるフローラだった。

99 :エアハルト(GM) ◆JThaci2X0Q :2015/06/26(金) 21:54:34.21 0.net
エアハルトはフロウのローブをかぶっているメアリにゆっくりと近づくと、警戒心の強い野良猫を相手にするようにメアリの目の前にしゃがみ込み、常備している傷薬をバックパックから取り出した。

「これ、姉の作った傷薬なんですけど火傷にもよく効くんです。姉は性格はともかく錬金術の腕はいいので、効果は保証しますよ」

声をかけながらフタを開き、中の薬を少量手に取るとメアリの顔にそっと近づける。
手が顔に近づいたとき、反射的にか身を引かれたが、フロウに目配せして逃げないようにしっかりと肩を抑えてもらい、そのまま素知らぬフリをして患部を覆うように薬を塗りこんだ。

「メアリさんがあそこで決めてくれて助かりました。ありがとうございます。
 ……でも、あんまり無茶しないでくださいね」

いくらガードしていたとはいえ、生身で炎に突っ込んだのだ。庇っても庇いきれるものではなく、体中いたるところに痛々しい火傷の痕が存在している。
それをみてエアハルトの脳裏に苦い記憶が浮かぶ。
だがそれは一瞬のことで、すぐに気持ちを切り替え慎重な手つきでメアリの顔に薬を塗りこむ作業に集中した。

>>「エアハルトさん、適当に解体するんで必要なものがあったら教えてくださいねー。
 ほら、私は錬金術に詳しくないので素材にどんな使い出があるのかわからなくて...」

「あ、すいません! 俺も解体手伝います!」

幸い、自分では塗りにくい顔の部分はもう塗り終わった。
あとはメアリ自身でもできるだろう。

「はいこれ。ストックならいっぱいあるので遠慮なく使ってください。あんまり強く擦っちゃ駄目ですよ
フロウさん、ありがとうございました」

そう言ってエアハルトはメアリの手に薬を持たせると、肩を抑えていてくれたフロウにも礼を伝えてから立ち上がった。
そのままフローラのほうに向かいうが、ふと周りを見た瞬間、エアハルトは気づいた。

――柔鱗採取してない!!!

慌ててあたりに散らばる鱗を拾い集め、状態を確認する。
幸い、いくつかはまだ鮮度(?)を保っていたため、透き通った輝きとプニプニとした手触りを確認できた。
危なかった、と、安堵の溜め息を吐きながら保存容器に回収し、エアハルトは気を取り直してフローラの進めている解体作業に加わった。
何もいわずとも、重要な器官はきっちり傷つけずに切り取られ、そばに敷いた布の上に並べられている。
フローラの初めてとは思えない手際に関心しながら、自身も手を動かしながら素材になりそうなものを上げていく。

「血とか眼球や内臓は新鮮なうちに保存容器にとっときたいですね。
 あと、もしかしたら魔石も持ってるかもしれないので心臓あたりをばらすときは注意で。あったらそれも回収しましょう。
 どうせ全部は持って帰れないですし、肉の美味しいところはこの場で調理しちゃいます?」

高い魔力をもつ生物は、自身の魔力を結晶化して体内に蓄積している場合がある。いわゆる魔石といわれるものの類だ。
生物に限らず、地中から発掘されたものや、人工的に作られた結晶体も魔石と呼ばれる。
つまり高純度の魔力の塊を総じて魔石と呼ぶのだ。
強大な力を持つ竜種などは魔石をもっている可能性も高い。
それでなくとも竜の素材は高く売れる。
久々の高収入が確定され、内心ウキウキのエアハルトであった。

100 :メアリ ◆IC7RKFJkf6 :2015/06/26(金) 22:43:21.37 O.net
…血を拭かれて、頭を撫ぜられて、傷薬を塗られて…
ギリギリの所で、心が保たれた。
血の海と人間達という光景に、パニックになりかけていたのだ。
まるで仲間を切り裂いて作ったように、見えたから…
メアリはとうに落としていた剣を放置して、もらった薬を大事に抱えた。
「…フロウ…あたし、隅っこにいるね…」
それでも誰かといたい気分にはならなかった。
自分が傷つけてしまいそうで、不安になる。
もし暴れだしてしまったら、フローラやエアハルトに剣を振るってしまうだろう。
せめて、もう少し落ち着いてから…
「…ローブ、ありがとう…後でエアハルトにも、お礼言わないと…」
そこまで言って、洞窟の隅にいくとローブですっぽり隠れた。
一応ごそごそと動いているので、火傷に薬を塗っているようだとわかる。
いつでてくるかは、わからない。

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