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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら19泊目

122 :109:2014/07/05(土) 18:50:08.53 ID:U+vmxVCO0.net
>>120
「来たるべき日?」オレは反芻した。
「ハーレムと戦う勇者がやって来た時のためよ。さあ、準備して。」そう言うと彼女は宝箱を開け始めた。
良く状況が把握できていないものの、彼女を真似てオレも宝箱を開けた。

最初の箱を開けると、ラーの鏡が入っていた。いきなりの高級アイテムに心が躍る。
次の箱を開けると鉄仮面が入っていた。実際に手に取るとまさにバイクのフルフェイスの金属版で、
その重量感に圧倒される。次の箱には祈りの指輪。確かにかなりいいものがあるようだ。次の箱には・・・・・・。

ふと後ろを振り向くと、ひょろりが頭をぽりぽり掻きながら照れている。エルフも何やら頬を染めて楽しそうだ。
え?何だこのムード?何やってんだこの二人は?

ひょろりの手にあるのを良く見ると、なんとそれは「あ・ぶ・な・い・み・ず・ぎ」!
おまえらなぁ!オレは理不尽な悔しさにちょいと切れた。

そもそも宿屋で出会った時からオレはひょろりが気に入らなかった。それは嫉妬というたぐいのものかもしれんが、
役立たずのくせに奴は現実世界のオレより遥かに顔のパーツが良く、俗に言う女に苦労しないタイプなのだ。
もちろん、この世界ではオレもかなりの男前で負けはしない。

とにかくだ。パーティの紅一点と他の奴が何やらイチャイチャしているのは、正直面白くない。
みっともないと言われようが、女々しいといわれようが、お子様と言われようが、構うものか!

オレは立ち上がり二人に近づくと、手に持っていた鉄仮面をひょろりの頭に勢い良くかぶせた。これで顔は封じたぜ!
いきなりのことで、ひょろりはよろめき、手にしていた破廉恥な防具を落とした。
エルフは唖然とした表情で驚いている。しまった?やりすぎたか?オレはひとりごちた。

少女は振り向くとやや怒ったような表情でオレの顔をじっと見つめた。ああ、嫌われたか・・・・・・

しばしの間があってから、エルフが口を開いた。

「あなたこそ、真の勇者さまです。」

オレは彼女の思いもよらない言葉にきょとんとした。少女は続けた。

「鉄仮面は強力な防具。最初に手に入れたとき、たいていの人は自分で装備するのに、
それなのにあなたは、自分より仲間の身を案じて装備させたわ。真の勇者でなければできない行為よ。」
そう言う彼女のオレを見る目が、真剣な尊敬の眼差しであることに気がついた。

なんだこの展開は?うれしい誤解もドラクエにはよくある勇者の特権なのか?! ブラボー!!

オレの心の声に呼応するかのように、前方で大きな音がした。
見るとひょろりが鉄仮面の重さに耐えきれず床に崩れ落ちていた。
身かわしの服を被ったうねうねが、ひょろりのそばにすかさずやってきて、触手を伸ばす。

オレはひょろりのそばに落ちている薄い方の防具を拾い上げると、
心を悟られないように硬い表情のままそっと袋にしまった。



今日は完w

>>120
読んでくれてありがとうです!

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