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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら19泊目
- 125 :109:2014/07/14(月) 21:20:07.48 ID:LY4P/Yqx0.net
- >>122
オレが現実世界から、このドラクエ世界にやって来たきっかけのこの宿屋。
だがそこは元ルイーダの酒場だった。とはいっても今は空き家だが。
ルイーダはこの部屋で魔王ハーレム討伐に向けて、いつしか現れる勇者のため準備をしていたという。
オレたちは、ここで各々が自分に見合った装備をいくつか選んだ。
(結局、鉄仮面はオレが装備することになったのだが。)
「で、これからどうすればいいんだ?」
オレはエルフの少女に訊ねた。
「地下に降りましょう」
「あ、そういえば、階段があったな」
オレは部屋の奥に降りる階段があるのを思い出した。
オレたちは、オレを先頭に、ひょろり、うねうね、エルフの順で木造の部屋には不釣合いの
頑丈な石の階段を降り始めた。階段は思ったよりも長く続いたが、ようやくあと数段で地下というところまで来た。
妙に湿気があり、ひんやりとした空気が流れてくる。足元が滑るな・・・・・・そう思った瞬間、
「うにゅ!」
うねうねが足を滑らせ、ひょろり、オレとドミノ倒しになって階段を転げ落ちた。
「うにゅぴぃぃ!!」「!!!」「うわーっあ!!!」
重なり合ってぶざまに倒れているオレたちに向かって、エルフが少し面白がっているかのように声を上げた。
「大丈夫?」
かなり痛い。が、勇者ともあろうものがそうも言えない。
「た、たいしたことないさ・・・・・・」強がるオレ。
それにしても背中が重い。
「おい、後ろ!さっさとどけよ!まったく・・・・・・」
のろのろと立ち上がる一人と一匹。
ため息混じりに腹ばいで横たわるオレの目線の先には石畳の一本道が続いていた。
オレの視界にあったその石畳は、まもなくエルフの長い華奢な手でふさがれた。
「勇者さま。さあ、行きましょう」
差し出された彼女の手を借りて、オレは立ち上がった。
「あ、ありがとう」
握った彼女の薄い手の平は、その見た目よりはるかに柔らかく弾力があった。
身づくろいをすませると、オレは暗がりの一本道に目を凝らした。
並び順はオレ、エルフ、ひょろり、うねうね、に変えて、苔の生えた石畳を慎重に進んだ。
正面に石の壁が見え、行き止まりなのがわかった。地面に目を落とすと、渦巻くもやの中に青い池が見えた。
いや、池じゃない。水が渦を巻き、霧を出しているのだ。
「旅の扉よ」エルフが言った。
「ここから先は、ハーレムの領地。ここから先は、何があるのか私にもわからないわ」
これが旅の扉か。先ほどまで水かと思ったが、それは青空のようでもあり白い雲が台風の目のようにも見える。
「怖い?」背後から、エルフの声がした。
「え?」
「戻るなら、今しかないわよ。この先は多分、もう戻れないから」
オレは彼女を振り返ると、口元にちょっと不敵な笑みを浮かべてみた。
「戻ったところで何も変わらないさ」
そう一言つぶやくと、オレは渦の中に飛び込んだ。
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