2ちゃんねる ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50    

本因坊秀哉(田村保寿)を語る

443 :名無し名人:2024/01/31(水) 00:37:26.33 ID:E2QtJsYL.net
林芙美子随筆集「文学的断章」(昭和11年)収録「本因坊秀哉氏」より

何もこれはと云ふ愉しさなぞないと云って芯からつまらなそうでもあるが、
十歳の時から碁が好きであったと云ふだけに、碁と本因坊とはプラスまたプラスで、
色々な世間の事には興味がないと云ふこともうなづけるのだ。

小さい時学校へもやらされたが、昨日習った事は翌日にはケロリと忘れてゐる程、物忘れが早くて、
只々碁が好きであったと云ふことだった。
「学校から、見込みがないと云って断られてしまってね」と、ニヤリと笑ふ。
「本当に碁は好きだった」
と、碁を習ふために、一切の夾雑物を排したガンコさがうかゞへる。まるで芸術家風なのだ。
芝居だって活動だって面白かないと云ふのだから。
まして、日本棋院の前にあるフロリダのダンスホールなんかは本因坊には吃驚ものだらう。

碁と日蓮宗とはどんな関係にあるのか知らないけれども、はじめ支那から伝はってきて、
日蓮宗の坊主達が盛んにやったものだと云ふ。
碁は第一に品のいゝもので、隣の座敷から碁石の音でも聞こえてくると、如何にも閑日の気分がするものだ。

118 KB
新着レスの表示

掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50
名前: E-mail (省略可) :

read.cgi ver.24052200