ガラスの仮面って無性に読み返したくなるわ★9

陽気な名無しさん

>>721
桜小路くんのことは、舞が劇団に入ったときから気になってたの。
でもそのときは桜小路くん、北島マヤさんとつきあっていて…。
ホント、そうなの。ずっと舞の片思いだったの。

でもマヤさんが芸能界へ入った頃から、二人は別れたって噂が
聞こえてきて。その頃から桜小路くん、演劇にすごく打ち込むように
なって…。どんな女の子が声をかけても見向きもしなかったの。

でもね、舞、稽古で遅くなる桜小路くんのために、桜小路くんの
ロッカーに、毎回手作りのお菓子やお弁当をそっと差し入れてたの。
もちろん名前なんか内緒にしてた。

でもあるとき舞がお弁当をロッカーに入れようとしていたら、桜小路くんに
見つかってしまって。待ち伏せしてたみたいだった。
思いがけなくて、「ごめんなさい、ごめんなさい！」って謝って、顔真っ赤に
なったことを覚えてる。

そのとき、舞、はじめて桜小路くんの笑顔みたの…。
そのときの笑顔、忘れられない。何か懐かしいものでもみたように、急に
やさしい笑顔になったの。ほんとにあたたかい眼をしていたの。
それから二日ほどしてからかな、桜小路くんから電話があったのは…。

いままでの御礼がしたいからって、食事に誘ってくれたの。
有頂天になってでかけたまではよかったけど、テーブルの上で手が震えち
ゃって、ナイフは落っことすし、グラスはひっくり返すし、もうさんざんだったのに、
不思議と桜小路くんはやさしいあたたかい眼をして、長いこと舞のことみつめてた。
ただ黙ってじっと…。耳まで真っ赤になったこと覚えてる。
それから付き合うようになったの。一緒にお芝居観に行ったり、遊園地行ったり、
舞の家で手料理食べてもらったり、バイクで遠乗りしたり…。
でもね、舞、ときどき不安になるの。
桜小路くん、ほんとうに舞のこと好きなのかなって…。
もしかして妹みたいに思っているだけじゃないのかな…って。