2ちゃんねる スマホ用 ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50    

クソスレ

1 :名無し百物語:2018/08/20(月) 14:09:36.62 ID:JPj1b5mG.net
べろべろ

64 :名無し百物語:2020/09/18(金) 19:11:50.62 ID:y09bJRMO.net
2020年3月、
寒の戻り、真冬のような寒い日…。「へっ」と我ながら間抜けな声だった。
そう声を出したあと、何かで後頭部を2度殴られ意識を失った。それが私という女の
人生劇場の最後のセリフとなった。
私は二度と意識が戻る事はなかった…
「…ごめんねぇ、お口がいっぱいあるとねぇ、後々で色々と面倒になるの」
と言って彼女は私の首にロープをかけぐぃと引っ張った(もうとっくに意識は無いのに)
「色々と役に立ってくれてありがとう、でもここでお別れねえ」
と言って彼女は私の首にロープをかけ、「そして、さようなら」と言いつつしっかりと
また私にトドメをさした。
「さてと」といい小さなハサミを取り出した。それで私が着て来たコート、ジャケット
ブラウス、下着類、パンツ、パンストを切り裂き私を真っ裸にした。
そこからは別に呼び出されていたあの人の出番だった。

65 :名無し百物語:2020/09/18(金) 19:12:14.00 ID:y09bJRMO.net
「ねえ、あんたがちょっとでも好きになって、熱心に愛撫した体だし。最後ぐらいは…
手だししたいでしょ」
あの人はただ黙っているだけだった…
「まったくバカよ、大バカ!こんな小娘に二股かけられて、気が付いてなくって証拠の
資料取られて、脅されて、挙句どっちの子供か解らないのに堕胎の費用の借用書!」
またうなだれた。
「この金額!!!どこのハリウッドスターが行く病院よ!ここ日本だからね!!」
「これ!誰が代りに払ってあげたの?あんたの母親!?」
「違うでしょ!!!」
「ほら、とっととやってしまいなよ」
続いてキャンプ用の小型のバーナーで小型のフライパンを熱すると、私の両手の指紋と
掌紋を焼き始めた。焦げた匂いが当りに漂い始めるが、振り出した雪によって消し去ら
れていった…

66 :名無し百物語:2020/09/18(金) 19:15:01.52 ID:y09bJRMO.net
左手の人差し指から始まり、最後は右手の親指だった。
「…事務所には〈失踪〉でケリつけてとくから」
まだうなだれたままだった。
「…互いに一生言えないよね、この件は…」とあの人がぼそりっと言ったが、彼女の耳
には届いてはいなかった。
あの人は私の顔に毛布をかけると、金属ではない固いゴムのハンマーを使い歯を折り始
めた。私の顔は金属製のハンマーで潰された。
次にあの人がナイフとピックを使い胸骨の下辺りに5cm程の孔が2つ、おへその辺り
に3cm程の孔が3つ開けられた。
腐敗が始まった時そこからガスが抜ける様にする為なんだと言っていた。

67 :名無し百物語:2020/09/18(金) 19:20:56.96 ID:y09bJRMO.net
なんだぁバレてたのか私が二股かけてった事。
そしてあのインスタ裏垢も、画像も、みんな彼との思い出写真を加工したものだって事も
「…重要なのは、その存在がこっちの手の中にあるんだって事を信じさせる事。こいつの
生死は…たいして問題にはならない!」
って彼女はそれが私だったモノを指さして言ったんだ。
シロイユキガ、ワタシト、カノジョト、アノヒトノ上に重ねて降り続いていく…
「…とにかく、互いの事務所にはケリつけてとくからね」
そう彼女は怒った声を出した。それからの私はシートに厳重にグルグルにくるまれ、しっ
かりとロープを何重にも巻かれ、重石をつけられて…あの人とあの人の元奥さんの手で、
農業用貯水池の一番深い所へと〈ドボン〉と落とされた。
もう体も無い幽霊なのに直感でこの水は寒いなあと思った。雪は次の日まで降っていた。

(彼女の23回目の誕生日に捧ぐ *これはフィクションです)

68 :名無し百物語:2020/10/06(火) 11:29:38.80 ID:/rJMlPXc.net
次回鋭意準備中  COMING SOON

69 :名無し百物語:2020/10/23(金) 16:48:24.32 ID:hWngUlZ8.net
1《独白》
僕の独白はクリスマス前の数日前までには終わる予定にしています…
でも全てを書き上げる事は出来ないのです
あと僕の正体については深く詮索しないで下さい。
基本、僕と彼女の2人だけで進みますがイニシャルで表記されますし、また同じイニシャ
ルになった場合は【K2】、【Ab】などで区別出来る所は努力していきます。

彼女との事を結婚に疲れたから…火遊びだから…だとか思われていますが…
実の所は年の差を利用した【理想の女性】に仕上げる事を目的にしていました。
そうまるで横溝の短編「百日紅の下」の主人公、佐伯一郎の様にです。
実際は違いました。
谷崎の小説、刺青の中に出て来た清吉の後日譚の様になってしまったのです。
…10ほどの年齢の違う為、最初の頃は彼女の奔放さに振り回された所もありましたが、
次第に時間の経過と共に距離が埋まってくると、僕の方が彼女を制御下における様になり
ました。出会い、交わり…2年程経過した頃…僕らは一旦、別れました。
彼女【K】からの裏切りによってです。
影で僕以外の男性と付き合っていたみたいでした。丁度、僕も妻との間にある一件を切っ
掛けからか愛情が少し、ほんの少しだけ生まれたので、彼女を手放す事にしました。
ですが連絡先と、ある動画、画像などは手元には残しておいたのです…

70 :名無し百物語:2020/10/23(金) 16:50:45.14 ID:hWngUlZ8.net

彼女と初めて出会ったのは…2015年のまだ寒さの抜けない頃の事だった。
映画の関係者が集まる某レセプションの会場でだ。そこで次回作の件で僕のマネージャー
と僕はある監督の元を訪れていた。
チーフマネからは関西出の新たな形の映画を撮る人だと紹介された。
少し小太りの口ひげのある、関西弁の抜けない人だが悪そうな感じはしなかったし、参考
に見てきた映画を撮った人と同じ人なのかと思ったぐらいギャップがあった。
「じきに資金面が都合がつくはずなので…」と監督【H】さんは切り出して来た。
次回の予定作では大阪と東京を2つの街を舞台とする、すこし年上の大人達のメルヘンを
撮る予定だ。「それの主役を演じて欲しい」と言われた。
「ありがとうございます」と言い頭を下げた。ちょっとワクワクドキドキした。
その後で、その監督の師匠すじに当たる大御所ではあるが、まだメジャータイトルを、持
っていない老齢の監督に挨拶をする為テーブルを後にした。


その監督は喧噪の中に佇むようにイスに腰を下ろしていた…
「はじめまして……です、よろしくお願いします」
「こちらこそ、縁ありましたらよろしくお願いしますよ」
始めて逢ったのだがそんな感じにも思えず。会話はたどたどしいながらも妙に弾ん
だ所もあった。
「君があの〇×君の噂の彼氏かあ…」僕は軽く笑みを浮かべつつ右手を振った。
「(背が)大きいなあ…どれくらいあるの?」
僕を気にいって使ってくれている女性監督の【O】さんの名前が出た。
「約190㎠です」と答えた。
「そうか撮るとなれば、ティルトや広角を上手に使わないと…ダメかなあ?」
「ズームやパンも場面展開によっては使い分けないといけないかも?ですが…」
そこに監督の長年の助手みたいな事をしている方も会話に参加してきた。
その方を簡単に紹介されて僕は軽く驚いた。
あの有名なチーフ助監督さんだった。

71 :名無し百物語:2020/10/23(金) 16:55:58.70 ID:hWngUlZ8.net

と脇に居た別の人がこう囁くように言う。
「でも……監督好みの背の高い女優さんなんかも使えますよ」
監督は僕の方を見ながらこう話かけてきた。
「最近の女の子は大きくなったからなあ…」
「そうですねえ」と僕も賛同した。後ろではマネージャーの吹き出すのが聞こえた。
きっと僕の今の彼女の事を思い出して…だろう?
話の最後には二人で笑い合った。
そんなちょっと女の人が聞いたらつまんないだろうなあって会話をしてから僕らは、
大御所の老齢監督から離れ、また別のテーブルへとミツバチの様に移動していった。


その後あるテーブルに行き、某大手制作会社のプロデューサーらと話をしている時
に僕は左手の袖を引かれた感じがしたので、振り向くと彼女【K】がそこに居た。
…というか紹介された。
彼女は女優のみが専属する事務所【F】の新進の女優との事で、丁度壇上に立って
いた女優【T】の後輩にあたるとの事だった。
来週テレビドラマでデビューするとの事だった。なんでも彼女が僕のファンらしく
姿を見かけたので、お近づきの挨拶に来たとの事だった。
「…初めましてKです。いつも映画とか見させてもらっています」と言った。
その声に…特徴があるなあと思った。
そう風邪声の様な感じが一番解り易いかも?ただ僕は嫌いな感じでは無かった。
それでもファンって言われて、この商売をやっていて嬉しくない訳ではなかったので、
彼女が差し出した白いハンカチに僕はサインをしてあげたのだった。
その時交わした一言、二言の言葉は覚えてはいなかったけれど彼女は覚えていた。
男と女の感覚の違いなんだろうなあってのちに思った。

72 :名無し百物語:2020/10/23(金) 17:02:26.96 ID:hWngUlZ8.net

運命の女神様とは面白いいたずらを時に仕掛けるものだなあ…
って思ってしまった。
あの関西出の監督が温めいたという映画脚本をベースにし、小説の賞レースを勝ち上
がりたいという女性作家の意欲作を加えた映画「夢かうつつか」のヒロイン役になぜ
かKが残っていた…
いや、ほぼKに決まりかけていた。(正直、事務所パワーってヤツだろ?)
だが監督の【Hg】は愚痴っていた。
「ヒロインの夢架はさあ、26才の女なんだよなあ…」
「あの子、二十歳前だよ…」
「23〜26にかけての女の時間の彩り、色の濃さ…だせる訳ないよなあ…」
そこで僕が提案した「…監督、僕が彼女の演技指導をしてあげたいと思いますが」
「そ、そうかぁ頼む、助かるよ」
僕には別の目的もあり、彼女Kに近づく事は好都合だったのだ…。

8《独白》
正直驚きだった。こんなにも早く〈誘い〉乗ってくるとは…と思ってはいなかった。
僕の内心では
「こいつはすごいアホか、それともパパ活の延長か、それらの何かと思ってはいない
だろうなあ」と疑ったりもした。
が取り敢えず「…ファンなんです」と言ったKの言葉を信じてみようと思った。
東京湾岸のとある町の片田舎から18で出て来たとはいえ、高校は卒業し今では横浜
の2DKに住み。都内の同年代の女子ら行く所は網羅しているだろうし…
ましてや情報や感覚だっても、然程変りばえしない…?
そんな年頃の女の子が全く危機感が無くやって来るなんて…と軽く恐怖も覚えたが、
あの監督との映画撮影が始まってから現場でのKの事を見てると理解った。
何度か僕の名義だけで芝居の稽古部屋として借りている都内の2LDKマンションで
僕らは身体を重ねあった。
そしてやがて…彼らと【K】を始めてマンションで出合わせたのだった。

73 :名無し百物語:2020/10/24(土) 22:43:10.63 ID:zRtKodKu.net

最初のメンバーは若手イケメン俳優の【M】、中堅お笑い芸人で声に特徴がある【Y】、
背の小さいベテランの芸人の【O】の3人だった。
最初は僕とYの飲み会にKが合流って形で、そこにMが加わり、最後にOがゲストと
してやって来るという僕の考えた演出だった。
秘密のパーティでは最も若いMが隠して持って来てた【アッシュ】と【カップ】と言
うトランキライザーの一種らが実にキイた。
が以外にもKは薬(アッシュ)にも抵抗が無く受け入れたのだった。
「…あっち(K国)に行ってた時に一緒になった…女優さんからもらって」と答えた。
その直後にOが「またまたあっちイケメン俳優さんからと違うん?」
と酔って赤い顔で言うものだから、益々猿っぽく見えた。言われたKも少し頬を膨ら
ませてる様にも見えた。
みんなでヘロヘロの一歩手前まで行った、でそこからがパーティの本番だった…。

10
次のパーティは3週間後にセットし準備・用意した。
Kの方は脇のモブ役の単発のドラマの撮影が終わった後、緑山の方から戻らせた。
だが、この前参加のMは主演のドラマ撮影の都合で調整がつかず欠席。
Oも番組のロケで九州地方に行ってるので欠席だった。Yは番組の撮りが遅れ気味な
ので「遅刻するね」という連絡があった。
で次に選んだのがドラマで競演した事もある、太目の体だが声に特徴のある俳優の
【Kd】、同じくドラマ共演の空手の道場主の息子でイケメン系やんちゃ役者の【N】
という面子だった。
二人ともKとは初めて顔を合わせる。
以外とKの事がタイプだったのかKdが熱心にKの事を口説いていたが、とうのK本
人は気もそぞろだった。

74 :名無し百物語:2020/10/24(土) 22:54:55.34 ID:zRtKodKu.net
11
今回は気分を高揚させてくれる秘密のお薬も、媚薬も、優しいイケメンMも、笑わせ
ながらリードしてくれるOもいない。
(Kは乗り気ではなかったが)Yもまだ着いてはいない。
それでもパーティは僕の掛け声で始まった。
Kには始まる前に渡しておいたゆったり目の薄いグレーのワンピースを着させてある、
勿論、その下はもちろん真っ裸だ。
ワンピース自体はアメヨコで買った中古の安物で、すぐに破れる様に出来ていた。
それをNとKdが引っ張るとKのまだ若い肉体肌が見え、その体と肉が弾ける。Kd
がKの体にむしゃぶり付く、それを脇から見つつも美人妻(某女優)が身重で、フラ
ストレーションが溜まりに溜まってるNが力でねじ伏せ、強引に事を推し進める。
Kdもここでは負けじとKの腕を取り自身のモノを握らせ咥えさせた。

12
Nは力任せで強引過ぎたし。太目の体で圧迫感と供に、にじり寄ってくるKdでは、
まだ精神が子供、子供してて割り切れないでいるKでは、相手を感じさせる事も自分
自身が乱れ感じる事ですら出来なかったのかもしれない。
だがそれでも…僕はただそれを黙って見ていた………
額にはじんわりと汗が浮かんで来ていた。

「…なあ…あんたはしないのか」とNやKdが動きを止めてまで聞いてきたが、僕は
首を横に振っただけだった。
やがてKを下にしていたKdが適当なところで果てると、逃げる様に部屋から出て汗
を流しに行った。
Nがその後Kの事ををAVの男優の様に攻めたてた、それでぐったりしたのかKも人
形の様に体を横たえた。そんなKで、Nは義務的に果てると体を離し、即シャワーに
行った。
ふと気づくと僕のスマホのライトが点滅しており、Yからラインが入っていた。
〈本日、収録にてトラブル発生。不参加。すまぬ〉という内容だった。
そのトラブルの原因が、司会者の所属する事務所のお家騒動だと知ったのは数ヶ月も
後の話だった。
横たわるKを見ながらNとKdを送る準備をしなければならないと…僕は思った。

75 :名無し百物語:2020/10/24(土) 22:58:38.68 ID:zRtKodKu.net
13《独白》
NとKdを帰らせてから、彼らとKの行為を隠し撮りしたのをKに見せつけつつ、僕
はKを抱いた。
何度も何度も強く抱きしめキスをした。その人形のようになったKの体と心を鷲掴み
にし、抱いた…まるで今までの僕じゃないかの様な動きと、ヒトケモノの様な声が迸
った。
そして、初めて彼女の中に僕の精を迸らせたのであった。
僕の下でKは声を抑えて泣いていたかもしれないが記憶が曖昧で思い出せずにいる。
やがて体を起こしたKは、足を引きずる様に風呂場に行った。
僕も少し間を置いて行った。
「ねえ入るよ」と一言だけ言って入るとKは滝に打たれる修行僧の様に冷水のシャワ
ーに打たれていた。
僕は後ろからそっと抱いた。少し震えてる感じもしたし泣いている様にも思えた。
その強めのシャワーの音だけが真夜中の東京に響いてる気がした。

14
あの夜…僕が初めてKの内で果てて以降、Kの中で何かが変わったように思えた。
それからは月に1,2回ほど定期的にKも交えたり、呼んだりして積極的に〈パーテ
ィ〉を開いた。
メンバーについてはその時々で若干の変更もあったが、大抵はなるべく独身の芸能人
を選び、口が堅い事、業界内に友人、知人が少なく、パーティに参加すると後ろめた
さが残る様な男性らを中心に選らんでいた。
回数を重ね、その度にKの中にあった〈蠱惑的な魅力〉や〈魔性の女〉は少しづつ上
がっていった気がした。
メンバーを1、2人づつ替えつつもパーティを数回経た後には、彼女は上着を脱ぎ、
下着姿になっただけでも、一部の参加者らを熱狂的に喜ばせる迄に〈蠱惑的、小悪魔
的に〉仕上がっていったのだった。
「…この娘、いいな」
「まったくいい娘を仕込んだもんだな」
「また、アッシュキメてやろうなあ」
などとKの夜の顔には賞賛の嵐が吹付けていたのだった。
事務所側が目指す表の顔である〈清純派女優〉を目指して奮闘中の若手駆け出し女優
と。裏の顔である原始の娼婦〈リリス〉の様な魅惑的な私娼とのギャップの差が男ら
を蕩けさせたのだった。
「まったく最高の女の子だよ、Kちゃんは…」

76 :名無し百物語:2020/10/24(土) 23:05:34.72 ID:zRtKodKu.net
15
僕とKがそういう関係になり、もう2年近くが経っていた。
妻にはなんとかバレずにKと続いていた。その間に、いつの間にかKは21才になっ
ていたのだが仕事の方はまだまだ、駆け出しの…女優とも呼べないレベルの仕事しか
来なかった。
彼女の誕生日を…遅れてしまったのだが、僕とKの二人だけ祝った。大っぴらにどこ
かへは行けないので、家族単位の予約だと優先して個室を用意してくれる鉄板焼き屋
を僕が若手のマネを使って予約した。

(連絡方法は、某掲示板を使い暗号化し連絡した)
夜の7時前に店に到着し、店内に入ると店員が案内をしてくれた。個室、家族別の部
屋は4部屋あったが、その日は僕らだけであった。
「酒は飲めるようになった?」とKに聞くと、声を出さずに頷いたので、生ビールを
グラスと僕の分は中ジョッキで頼んだ。
「K?何食べる?食べたいのある??」
「…初めてなんで、お任せします」
「じゃあ、〈季節のお任せコース〉とアラカルトで、ホタテと、牛肉のフィレを…」
と僕が積極的に頼んだ。(Kはとくに好き嫌いが無いのが助かる)
飲み物が来たので二人でグラスを合わせ、乾杯をした。
ほどよく赤くなったKを見て僕は素直にカワイイと思った。

プレゼントも渡し終え、頼んた食事もほぼなく終り、あとはデザートぐらいになった
時にKがバックの中から取り出したのは少し古いカメラだった。
「記念に一枚いいですか?」とKが聞いてくるので、僕の事を撮るのかと思ったらば
自分の事を撮って欲しいとの事だった。
「変だぞ?」と言ったらば
「好きな人の事は…私が撮りたいんです」と返して来た。
「(わかったよ)」の意味で首を縦に振ると僕は彼女愛用のカメラで彼女を撮った。
この1枚の写真が、後々にやがては大きなトラブルへと変貌していくとは…その時は
まだ思ってもみなかった。

77 :名無し百物語:2020/10/24(土) 23:14:35.29 ID:zRtKodKu.net
16《独白》 
Kと体を重ね始め、彼女の話を寝物語に聞いた。
が幼い頃に別れたという父親の事では多少ながら驚いた。以前、ある著名な芸事務
所の外部役員だとKから教えてもらってはいたのだが…
(*本業はまた別会社(外資系企業)の役員とのこと)
でその名前を聞いて驚いた。なので現在Kが所属する事務所FでKが新人レベルな
のに待遇が妙によい訳が解った気がした。
「…ねえ、私を怒らせると実は…怖いんだよ」
と笑いながらいうKの顔がまじまじと見た後で、まだ子供の様な笑顔のはずなのに
背中では悪寒が起こったのを覚えている。
また彼女は家族…姉らの事をこう評している…一番上の姉はKの芸能活動にはどち
らかと言えば批判的であり。独善家。
二番目の姉は好意的ではあるが嫉妬心は大きい…だったと覚えている。

78 :名無し百物語:2020/10/24(土) 23:22:49.30 ID:zRtKodKu.net
17
彼女がポツポツと話した中には…
母親は、自分の父親が遊興業(パチンコ)で作りだした資産でKらには大学に行って
もらいたかったみたいな素振りを見せていたのだが…
結果、姉らもKも進学をしなかった、末子のKですらも母や祖父らの希望を叶える事
は出来なかったという事になる。
女ばかりの家の中は賑やかだった事だろうと頑なに想像される。彼女の祖父は地元で
3店舗のパチンコ店を経営しているとの事だった。
昭和の時代の暗黒部…オイルショック後すぐに川崎から妻と二人の子を連れ、今の街
…対岸の街へと流れ流れてやって来て、その後、東京湾工業地帯の発展と共に興行…
遊興業として財を成していった。
「…なあ大学に通ってたらどうなってたの?」
と例の…あの映画の撮影の合間に聞いた事がある、Kはこう答えた。
「多分、普通の大学生やって。普通の恋して普通に過ごす。でもお金がなくなったら
もしかした援交しちゃうかもね」とあっけらかんと言い、ちょっと驚いた。
その後のシーンで僕らはカメラの前で情熱的なキスを何度もした…。
それから数日後に僕らは初めて体を重ねた事になる。
彼女がまだ18才と何ヶ月…って頃だったと思った。

18
彼女の家庭事情はかなり複雑で、姉らとKは全員父親が違うのだという。
なので、一番上の姉と彼女Kが並んで歩いていても事情を解っていないと姉妹だとは
思われないらしい。
それらの話は彼女の地元では通った話だった。
一番上の姉は地元の高校から専門学校に行き、卒業し都内のカメラスタジオでアシス
タント兼事務として働いているとの事だった。
スタジオの名前を聞いて誰かピンと来たくらいの長身の美女で…確かにKとは似ても
似つかないタイプの女性だと思った。
すぐ上の姉(2番目)はいわゆるヤンキーで、中坊上がった頃から色々とやんちゃし
ていたらしく、折角の高専も中退したみたいだった。
今は実家から隣の街のホームセンターの準社員として通っており、実家住みの姉とは
彼女の事を指すらしいとKから聞いていた。
彼女の画像をKから見せてもらったが三姉妹の中では、もっとも二人には似ていない
と思えた。まず身長が低く155cm程度、可愛らしいヤンキーって感じがした。
東京湾の東側から出てきて一番最初のアパート…
川崎のアパートに住んだ時、その二番目の姉が免許取り立てだったので高速を渡って
遊びに来る事があったと聞いている。
Kにとっては悩みを相談出来る相手だったのだろう…か?

79 :名無し百物語:2020/10/25(日) 12:24:22.99 ID:sZo2PHmi.net
19
「僕の本音じゃ…Kと合わせるが事自体が嫌で、辛い」のだが。
僕の個人パーティの事をどこかから聞き、俳優【I】が向こうの方からすり寄って来
たのだった。
俳優Iがサドっ気の強い男だというのは話を聞いていたが、ここまでだったとは思わ
なかった「…秘蔵のビデオだよ」と言って見せられた中には、共演した事もある女優
【Nm】がIとくんずほぐれつの痴態を見せているだけでなく。
直接見えないトコには青あざがあったりした。
「オシリを適度に叩くといい声を聞かせてくれるの」
「顔はダメだよ、ボディだよボディ…」というとIは瓶ウォッカを呷った。
場面が変わりNmが下になり、Iが上で腰を振っているとまたこう彼は囁く…
「…首を絞めてあげるとアソコの締まりがぐっと良くなるだけじゃなくて、本人も気
持ちがいいみたいなんだよね」
と僕の耳元で囁くのでセリフが飛びそうになった事もあった。
「…俺の羞恥の…恥部をここまで見せたんだ、なあ今度はキミの作っているという…
ドールちゃんを俺に見せてくれるのが…フェアってもんだろう!?」
とギラギラした目で言われ、僕は…イヤイヤ頷いた。

80 :名無し百物語:2020/10/25(日) 12:34:03.85 ID:sZo2PHmi.net
20
「ねぇここへ行ってくれないか?」
と僕はKにあっさりとした感じの芝居で電話をした。
電話を受け取ったKも、ただ何も言わずに「うん」とだけ言って電話を切った。
それから数時間後に…あっちの国から来た葉っぱなどが出ス〈むさく甘い匂い〉のす
る部屋でだけ会う、そんな奇妙な二人の関係がバチっと断ち切られた時だった。

《独白》
妻が僕の芝居練習部屋へとやって来たのは1年ぶりぐらいになるのだろうかな?
勿論、その手には子供達もいるのだが。
「ここがパーパのお仕事の部屋ですよ」
と妻が娘達に説明し、話しかけていきつつも僕の浮気の痕跡がないかとチェックをし
ていく抜け目のない女だ。
逆にまるで千鳥が鳴くような声で、あれやこれやと語りあう二人の双子らは見てても
また耳も楽しませる。
僕は彼女らを抱く時もKの水滴をはじく柔肌を抱く時も、同じように傷付けない様に
注意して抱くのだ。
その傍らで物色するような妻の腕の中では、この前生まれたばかりの、たった一人の
息子が抱かれ眠っている。

がさつで、むらっ気と気質的に雑多な所のあるKは片付けをしない。
いや語弊がある片付けを得意とはしていない。
お陰で妻が疑うような変なモノや証拠が出て来ない。普通は疑われるだろう…長い髪
の毛だってもイヤリング類であっても、芝居の練習部屋であれば…誰か女優らが他の
人と一緒に練習に来てたから…って事で済ます事が出来るから、有難い事だと思って
いる。
妻が昔の台本や、いたずらで書いた脚本。趣味で読んでる本、誰かが持ち込んだ本…
そしてKも読む雑誌などを詰め込んだ本棚の前で立ち止まりこう言った。
「あ、懐かしい…毎朝のドラマの脚本じゃない」
「…それは捨てる事は出来ないよ」
と僕はすぐに返事をする。そこへ千鳥が鳴くような声がユニゾンで聞こえて来る。
「パパーこれ何―」と台本の束の脇にあった、Kが以前持ってきた猫のおもちゃを手
に取り娘達が駆け寄って来る。
彼女達を見ながら僕は、今頃都内のシティホテルの高層階で逢っているだろうIとK
の事に一瞬思いをはせた。
その邪まな思いを払拭する様に、かぶりを振ると二人の娘にはKにもまだ見せた事の
ない、とびっきりの甘い笑顔を見せたのてこう言ったのだった。
「さあさあお姫様達…お昼ご飯は何を食べたいんだい?」

81 :名無し百物語:2020/10/25(日) 12:45:25.73 ID:sZo2PHmi.net
21
渋谷、六本木、新宿、池袋…などはマスコミらの目が厳しい。
かと言って他の繁華街とて市井の目がしっかりと行き届いているしネットの目もある。
正直、都内…古い言い回しならば…コンクリートジャングルってヤツだ。
それらをツアーするのにも…僕の様な多少でも名の知れた既婚芸能人が、まして若い
女の子を連れ回して簡単にする訳が無かった。
〈「はい、上手に撮ってねパパラッチさん」〉って感じである。
が僕が隠れ蓑にしつつ、行動を可能だと提唱した街がある…それがある街であった。

この街が最初は嫌いだったのだが…足掛け数年…で好きになっていった。
大きな公園、歴史ある食べ物屋、雑多な繁華街…そして路地裏の墓地群…ここからな
らば必要であれば別の街へも移動は可能だし、下町特有の路地裏に身を潜めパパラッ
チらの襲撃の眼から逃れる事も出来る。
海外へは一本の路線でも行ける!し、なによりも土地柄年齢層が高く、あまり僕らの
世代の事を気にも止めないというのが…実にゆるいリスキーさでもあった。

「ねぇここ(〇〇地内某ホテル)へ行ってくれない?」
と僕はKに執着心も無く、実にあっさりとした感じの芝居で電話をした。
単発の電話を受けたKも、ただ何も言わずに「うん」とだけ言って電話を切った。
それが二日前にKに頼んだ事だった。
そして僕は何食わぬ顔で〈家族〉っていう単位グループと僕とKが疑似愛を囁く部屋
で会ったのだった。

82 :名無し百物語:2020/10/25(日) 12:58:04.96 ID:sZo2PHmi.net
22 Asaid
Kは部屋をノックした。
黙ってドアが開かれ。そしてその部屋の中に招き入れられた時に初めてその人=顔=
俳優【I】だと知ったのだった。
その部屋で初めてIと出会ったKは最初は戸惑ったみたいだった。
「Iさんですか?は、初めまして…Kです」
がIの方から積極的にいったみたいだったとKは後日、僕に教えてくれた。
「…ふ〜んキミが【僕ちゃん】の大事にしているお人形さんかあ…」
その言葉にKは違和感を覚えたみたいだったよ、とIが僕に教えてくれた、僕は余計
な事を…と思った。
「本当にIさんですか?」
「この顔、他にいると思う?」
「…確かに」
「ま、立ってないでキミの為に高いシャンパンを用意してあるから、まあそこにでも
座って飲みなよ」
「はい…じゃあ戴きます」
やがて…KとIは熱烈なキスをした。で長い時間をかけて抱き合い、絡み合い、そし
て互いに果てて…眠った。

22 Bsaid
数時間程、深く眠った後で先に起きたのはIの方だった。
KはIの性交に深いオーガズムを感じ、目覚るのが後になった様だ。
IはKの財布から免許書を勝手に抜き出し、見ていた。そして彼女にこう言ったのだ
った…「へえキミ、9月生まれなんだ…どれどれ占ってあげようか?」と。
Iが占星術に懲り、それを習得したのは二十歳を過ぎてすぐの事だったようだ。
「そ、それがどうかした」
自身のバッグの中身を勝手に触れられたKの声には怒気が含まれていた。
「時間、生まれた時間は聞いた事ある?」
「…生まれは時は夕方だったと…」
「で血液型がA…」
「それも関係あるんですか?」
「…ま俺の占いの仕方じゃね。…今の所、芸能活動は…万事悪くは無いと思うが……
ん?1年…いや2年後は気を付けた方がいいのかもね?」
「何にですか?」
「…ちょっと大きなトラブルが出そうってある」
「…はい、他にはありますか?」
「おっ乗ってきたねえ…ふ〜ん為る程。これ大事だ、キミはアイツ(僕)の奥さんと
は相性が良くないかもね?近づかない事、構わない事、そして何かあったら逃げる事」
Kは、はだけた胸を隠すように毛布を手繰り寄せた。
「そ、そうなんですか?」
「彼女は怖いよー、人型の雌ライオン…って感じかな?ただ普通に出会いに行った
らば頭からガブリ!だね」
Iはベッドから降りるとLDの真ん中にあるソファーへと行き、腰を下ろした。
「ダンナさんと浮気…してるんだし、と当然ですよね」
「んん!それだけじゃないんだなあ…キミがある女の子と同じ誕生日だからねえ…」
「ある人って?」
「一応、女優かな?オルガって老舗の芸能事務所に…まだ居るのかな?その子、今
しばらくの間、干されてるけれどね昔は人気女優だったんだよねえ…」
(Kは無言になった)
「ま、九州の田舎の方から出てきて、煽てられて、持ち上げられて処世術も知らな
い顔面だけのバカな子だったけどさ」
Iはソファーに置いてあったジャケットの中から巻タバコを取り出すと火を点けた。
それはなんとも言えない甘い匂いのするものだった。
「…あの…やっぱりついで聞いちゃいますが、やっちゃんたんですか?」
「はい、美味しくいただきましたよ」
とIがおどけて言うのでKは屈託の無い顔で笑った、その顔は僕には見せた事の無
い顔だったよ…とIは後日僕に語った。

83 :名無し百物語:2020/10/25(日) 13:09:02.53 ID:sZo2PHmi.net
23《独白》
【I】とのSex&彼から勧められるドラッグ類の味を覚えたKの中の〈戯女の血〉
は覚醒を増々加速化していった。
とにかく…残念な事なのだがIとKは身体の相性が抜群に合うようだった。
元来Sっ気が強いIと。受け身のM気質もあるKのカプはエッチだけでなくプライ
ベートでの付き合いも不思議と馬が合っていった。
夜の街をIと共にKは流していった、と同時にKの仕事も格段に減っていった。
Iが売れっ子のバイプレーヤーなので仕事の切れ間が無いし、ロケによってはだが
全国どこへでも行くからだった。
やがてはKはIの高級マンションの部屋へと転がりこむ様になっていった。
で僕らの…僕とKとの芝居の部屋での事…関係は少しづつ疎遠になっていった。
がモテモテ年中発情期俳優のIの異性関係の派手なのが、K一人で簡単には収まる
訳ではなく。
KとてIが手の内に置いているガールズの一人ではあるのだが。
他の女達らとは違うのが【I】の部屋(寝室)に入る事を許された者だという事だ
けだったが…それで、なんとか、Kは自身の矜持(精神のマウント状態)を辛うじ
て維持していたのだった…

その頃の僕と言えば、Mは売れに売れ、Oも仕事に復帰し、YはM以上に売れっ子
となり…あの部屋での〈パーティ〉を一時的に封印し、子育てイクメン仮面の真っ
最中だった。
上の子達はインタースクール系の幼稚園に行き、朝から片言の英語を話すし。
少し病弱な下の男の子の世話の為、妻は手がかかりっきりになっていた。僕は彼女
の手伝いを齧る程度にしていただけだが。
丁度その頃は主演の映画なども決まり、ドラマも好調だったので落ち着いてきてお
り、生活に余裕もあった。

84 :名無し百物語:2020/10/25(日) 13:28:38.49 ID:sZo2PHmi.net
24
「…なあK…?」
「K?」
「おい!!Kっ!返事をしろよ!」とIは怒鳴った。
地方ロケも長期ロケも無く、日曜日の昼下がりでIしては珍しく3日間程自宅の周
りでゆっくりと過ごしていた。
その時KはIに買ってもらったヘッドホンをし、大好きなK-POPを大音量で聞
いており、Iの声が届かなかったのだった。
がIのその大きな怒鳴り声に気づいたKは、ソファの上で紙巻マリファナを吸う彼
に近寄り、その筋肉質な首すじを抱きつきつつ甘える声で聞いた。
「へ?ごめんね…カン・ジャムーの新曲聞いてたから。でなあに?何か用事」
マリファナを灰皿に置くと、手放しIはKにこう言った。
「…なあ俺と…一緒にタトゥー入れるか?」
「へっ…なぜに?」
KはIに対して不思議そうな顔を見せた。
「だって俺達は似た者同士の仲だろ?…キズナの証って欲しくね?」
Kは一瞬、躊躇と戸惑いに近いのを見せたが、そのIのキズナの証って言葉が彼女
の琴線にダイレクトに触れたみたいで数秒後には「うん」と頷き彼の顔にキスをし
たのだった。
「よし、じゃあ今度の日曜日に俺馴染みの行こう…」とIはKの頭をぐしゃぐしゃ
に撫でながら言った。
「うれしぃー」とKはぽそっと呟いた。

25
実はKは以前、Mにも似たような事…タトゥーを一緒に入れないかと言われた事が
あったのだった。
MとKの環境…生まれや今までの生き方とかが、なんとなく似てるって気が付いた
のは、事務所で一人確定申告の為に深夜までPC作業してる時にだった。
僕の給与は妻のAとは違う、母の名義を経由してある個人設定の法人口座なので、
Aにバレるとまずい事(主な経費には〈あの芝居部屋など〉)になるからだった。
仲間、事務所の連中とも飲みにも行かずに、いそいそと領収書の取りまとめなどの
作業をしていた時にふと頭の中に浮かんだのだった。

Mの家庭も複雑であったと聞いていた。
「…たいした努力家だな」と以前Mに言ったらば彼はこう返してきた
「家…実家には帰りたくないから…しがみつくしかないんだ」と。
海が近い町で生まれ、母親の再婚などの都合で引っ越し、その後で複雑に入り組ん
だ少年時代を経て、某有名劇団への推薦枠をゲットし、その後も努力を重ねた上で
現在の地位まで登りつめている。
Mの父(亡父)、母、Mの父(義父)、そして謎のオジさんという存在は谷崎潤一郎
作品の様な…甘美な匂いが感じられて僕は大いに、彼と彼の環境に興味を持った事
は事実だった。

Kは一応、とある場所でマネージャーがスカウトの形式で…と事務所内外では通っ
てはいるのだが………実際には彼女の父親の影響力も、大きいのは前にも言った通
りだった。
なのでHPに載ってる経歴などは練って考えられたストーリーであり。
それは現実には存在しない話だ。
彼女の…関係、いや所属事務所にとって彼女という存在は、事務所の発展、利殖と
契約延長上の為にある。
彼女は《預かりモノ》なのだ。
「…ねえ、私を怒らせると実は…怖いんだよ」
がK自体の家庭環境はMと似て複雑なものであった…
それもお話した事があると思った…
それらは彼女の祖父の影響も強いからもあると僕は思っている。
女系家族の中で唯一の男性による強烈な支配…その祖父には谷崎の小説の中の日本
の古い強烈な個性の男が発する様な匂いが感じられると思った。
「…ネエ、ネエ聞イテルノ?私ヲ怒ラセルト本当ニ…怖インダヨ」

85 :名無し百物語:2020/10/25(日) 13:43:35.16 ID:sZo2PHmi.net
26 A side
IとKはお揃いのタトゥーを彫った。
Iは左脚のふくらはぎに、Kは左の腰の辺りにだった…
「…これで水着の仕事、特にビキニの仕事はNGだね」とKはIに向かい言った。
「…俺以外にその肌を見せる必要が…お前はあるのか?」
とIからは言い返されたとMから聞いた。
「うんん、そうだね…事務所の仕事は〈清純派だもんね〉…Iさん大好きだよ。
もちろん、私の事も…だよね?」
「当たり前だろう?」
「ご飯…食べて帰る?」
「ああ、いつもの所がいいが?いいだろ?
「うん、あそこの焼き魚定食好き。それに他人目も気にならないから」
「じゃ決まりだな」
この時がこの二人にとっての一番のギジ恋愛のピークだったんだろうと僕は思って
いる。この頃からIはKに寄りそうな事はせず、ちょっとした距離を取っていたと
Kは僕にぼやいていたなあ…と思い出す。

22 B side
その話をYから聞いたのがついさっきの話で。
でMがIに喰ってかかったのは数日前の事であった…
原因は勿論、Kの事であるらしかった。
「…お前には関係ねえだろ」
「そうでも…ないですよ」
「セックスの回数で…アイツとの経験値決めるなよ、優男…」
「いくら先輩でも、それって言ってていいと思ってんのか」
「子供のケンカじゃねえんだ…もう止めろ、時間だ」
「顔に何か付くとマズいっすもんね」
「お互い様だろ…もう、近づくなよな…ベビーフェイス」
MもIの知人の一人であるし、演じる者として先輩、後輩の仲でもあった。
だがIばかりが当時のKを独占し始めた事に嫉妬という訳ではなく、Kが情緒不安
定に陥りそうだった事が複雑な家庭環境にあるMにとっては…琴線を引いた所なの
だろうと僕は思っていた。

それだけの理由でもなかった。
Kの魔性がそれをK自身が望んで発動を開始し、周囲を狂わせ始めていたと後で思
ったのだった。
後日、Kが僕の下に戻って来てから、その件のソレを風呂場で見せてもらった。
ハート図案化したモノだった。
シャワーをかけた、洗い流そうとした…「…ねえそこばっかりかけないでね?」と
Kから言われた。でそれを僕は高い治療費を出して消させた。
Iが残したキツい残り香みたいで…気持ち悪かったカラダ………だった。

86 :名無し百物語:2020/10/25(日) 14:01:27.73 ID:sZo2PHmi.net
27 A side
そんなこんなではあったが、やがては…そんな蜜月にも満つる月が来て、ゆくっり
と欠けていったのだった。
IはKに飽きた…
激辛料理は味に奥行きが無いと…やがてその味に飽きが来るものである…
KもIに飽きた…
見た目がよくても、味にしっかりとしたコクない料理を女は飽きるものである…
ある日。ふときっかけでIもKも互いに到達した=満足しあったの感じた。
「(辛い料理ってこんなもんだったのかあ…)」
何か満ち足りてしまったと思えた…
最後の場所はIの自宅ではなくて、渋谷の裏手にある芸能人お忍びのラブホだった。
「じゃ、この先は互いにNGだな」と言った。
「うん。知らないふりの人の…ままでね」ってと返した。
二人は自然とその渋谷の繁華街裏のラブホを早朝6:45頃に出ると、どちらから
とも無くそう言いあった。
で互いに別々の方角へと歩いていき…プライベートでは二度とは会う事は無いだろ
うと思った。
別れたその日のうちにIがした事とは。
Kと一緒に彫ったというキズナタトゥーに手を加え、別のモノにしした事と。前か
ら声をかけていた新たな女と暮らし始めた事だった。
新しい女はモデル…のある有名一族の血の流れを組む著名なモデルだった。
しかしこの女性がIの俳優人生を狂わせる事なったのは又、別の話だ。

27 B side
でKの方はというと。。。
突然、僕の後ろで「にゃあ」と彼女が言い、その後、ネコが舌を出すような仕草を
した様な気がした
いけしゃあしゃあと…Kはまた僕の所へと戻って来たのだった…
でもなぜだか、僕は「別に…あぁ…そう」ってな感じがした
家で飼ってるネコが勝手に出て行き、また勝手に戻って来た
…そんな感じがした
またはゴロゴロと喉を鳴らす、世間の蜜の味を覚えたズルいノラ猫みたいな感じで
ある意味で大きくなって戻って来たのだった…

Mが怒って興奮した様に電話を寄越してきた…
そのトラブルの事の原因は、Kがある映画に出たいと言い出した事からの様だった
無論、当然と言わんばかりに僕にも彼女は声をかけて来てる。
「確かに後輩はエントリーはしてますが、実際は実力勝負です」
「なる程、彼女の考えも聞いてみないと…」
「困ります…」
「…すまない…気を使わせてしまって」
僕はまずMをなだめた後、その後でKを叱った…
Kが膨れ面をするかと思ったが、そのKはペロりと下を出してきた。
彼女の中の魔性の彼女に魅かれてる僕は、挑発的な彼女と熱っぽい口づけを交わし
てしまっていた。

その「十三人の死にたいこども等」という映画には、監督・制作サイド推薦の実力
演技派という若手俳優が数人。
オーディションによって計13人の出演俳優を決め、群馬の外れにある地方都市に
指定されたロケ現場で約3ヶ月間寝食を共にし、その映画をびっしりと撮影すると
の事だった。
原作は有名作家、監督はあの【T】という個性派監督、脚本はTとタッグを組む有
名女性脚本家…と面子もさる事ながら、その映画に出られるという事は20代らの
実力派役者らが集結する=2010年代の代表とさせるオベリスク作品になる可能
性があった。
そしてKが恋して止まない俳優【Tr】の彼女と目される若手女優【Ks】も参加して
いたのだった…

87 :名無し百物語:2020/10/26(月) 10:16:45.41 ID:Ckjt8zKo.net
28 A side
IもMもOもKdも…彼女は彼女自身と関係のある(見えない紐に繋がった相手)者
には皆に声をかけていた。
そして僕のあの部屋を使って彼らから真面目に演技指導を受けていた。Yからは面接
に対する相手との気の引き方、駆け引きなど習っていた。
今迄見た事のない必死な顔、姿も僕は見せられた。
彼女は…へぇ役者だったんだなあとその時は僕も思わされたのも、また事実だった。
が…結果は残念な…いや惨敗な結果に終わったのだった。
まずは他の参加者のレベルが違い過ぎた。
事務所の後輩【Ki】も受けていたので関係者に都合をつけ、合格者を名簿を見せても
らったのだが…ざっと見ただけでも確かに女子で、Kが演技で叶う相手は(後輩含め)
いないなあと思った。
だが勿論の事、その知り合いの情報によるとあのKsは、しっかりとある役柄の合格を
射止めていた。
会場で発表されたという推薦枠の5人の俳優、女優らはみな、放送・公開済みのドラ
マ、映画などの主役、準主役クラスを経験した者達…錚々たるメンバーであった。
ほかオーディションの参加者も各事務所から、その年代に合わせた実力のある役者ら
を出して来ており、オーディション組からの合格者にはKのように事務所のパワーで
役を取った者は一人としていなかったのだった。

28 B side
後輩Kiはこの先売っていこうと思われてる、演技派の女優だ。
美人ではない、またKや妻のようなスタイルももちあわせてもいない…が天性の演技
力というのは現在の事務所の女優部門トップの【Km】に匹敵するだろうという見方を
されている…そんな女の子だった…
そんなKiが言っていた「…まず芝居のレベルが違う…中には憑依かよ」って思うレベ
ルの子も居たらしい…と。
バレない様、まずは演技指導を含めての…という事でKiをカフェまで呼び出した。
KとKsとKiの3人がエントリーしたのが「マイコ」という役だった。
それで「マイコ」という役の話から始めてもらった、どうやらKが彼らと創り出した
マイコ像は監督ら制作サイドが思う、マイコ像とはかけ離れておりKiは全くマイコを
演じきれずに終わったとKiは言っていた。
(なるべく)さらりと…Kの事を聞いてみると…
「ああ…その子は演技自体が当初からマイナスでしたね」とバッサリだった。
「…マイコのズル賢さが出て来てないんですよ、マイコって見た目は普通のJKなんだ
けれど、父性の渇望…父に対しての愛情に狂ってて…」
「とにかく(Kさんって)女から見ても微妙な色気はあったけれど…なんか違うネって
脚本家の方には言われてたのを覚えてます」との事だった。

88 :名無し百物語:2020/10/26(月) 10:25:13.15 ID:Ckjt8zKo.net
28 C side
次の話ではまた別の芝居から始まって…KiとKと【Ya】という古参事務所の一つ研演
所属の女優が対決した「ミカ」の方では、Yaの自然体のイメージが役である「ミカ」
に、ぴったりだったとKiは言っていた。
「でこの子は?」とまたKの事を(なるべく)さらりと聞いてみたが。
「最初のからもう既にギャルっぽくない演技だったんで、1回目のリハでもうアウトが
決まっていましたね」
「終わってから(監督からは)キミの演技はギャルじゃなくてキャバ嬢みたいだなって」
「(監督いわく)JKギャルのイメージが古いって、前の世代のエンコーJKだなって」と
言われていたとの事だった。
40分程彼女に指導という御礼を言った後、見送ってその場を離れた。
そして…最後にMが聞いてきた話だと。
Mの後輩がオーディション組で一番気になったのが、背格好も姿も少しKと似ている…
【Ts】という若手の子らしかった。
が彼女は与えられた「ユキホ」という役の設定を見事にこなし、同じような恰好のKら
とは違った演技を見せたとの事だった。

28 D side
「〈…只今、電話にはでられません。ご用件の方はピーと…〉」
「また…なの?」
もう何回目のコールなんだか数えられなくなってきたし、解らなかったし、数える
気も無くなっていった。Mくんは完全に私の事をシャットアウトしてるんだ。

「〈…只今、電話にはでられません。ご用件の方はピーと…〉」
「また…かよ…何よ!」
もう何回目のコールなんだか数えられなくなってきたし、解らなかったし、数える
気も無くなっていった。Yくんは私の事をシャットアウトしていたと思った。

「〈…只今、電話にはでられません。ご用件の方はピーと…〉」
「また…どうして、ねえどうして?」
もう何回目のコールなんだか数えられなくなってきたし、解らなかったし、数える
気も無くなっていった。僕さんは完全に私の事をシャットアウトしてるんだね。
「〈…只今、電話にはでられません。ご用件の方はピーと…〉」
夕暮れ前から降ってきた雨が激しさを増していった。

28 E side
Kは荒れた。
その荒れ方は今迄の彼女の姿を知ってる人らだったば完全にヒいていた程だった。
配慮した…いや手を余らせた事務所側は…Kをしばらくは休み扱いにし…いや元々
Kに仕事らしい仕事などは無かったみたいだったが。
休暇を与えたみたいだった。
そんな経緯や、細かい事などは僕はよくは知らない。
だってその頃の僕はと言えば…
準主役の位置で時代劇が2本だとか、妻の歴史好きが切っ掛けで歴史番組のナビゲ
ーター役だとか、今までに無い仕事が舞い込んで来て、とても彼女の事を構ってや
れる程の時間は無かったし…
それに何よりも、僕には新しい女トモダチが出来たのだった。

89 :名無し百物語:2020/10/26(月) 10:28:26.93 ID:Ckjt8zKo.net
29 A said
それからも…僕らはたびたびは会ったし、お互いの部屋を行き来きもした。
したけれども以前のような二人には戻れなかった。
そして…11月のある日…彼女が突然キレたのだった…
>事務所に、バレて反対されたからとかさ。今は仕事が大事だからとかさ。
>そんなのって私だって同じだし、私だって同じ芸能人なんだよ!
>そんな事よりも好きだから!!!
>好きになっちゃったんだから…
>嫌な事も、変なクセも全部ひっくるめて付き合いたかった!!
>めちゃくそに愛情注いでくれないって…ムリって解り切ってる。
>だから…

29 B side
私Kは【僕】の秘密を売った
彼と私の過ごした私達の時間って以外に…安かったのには驚いた
「…大丈夫、しっかりと記事にするから」とか
「…気持ちは…しっかりと持ってね」とか
「これで生まれ変われるから」とか
安っぽい言葉が私の周りを埋め尽くし、それがフワフワと浮かんでいるのが私だけ
には見えるんだなあ…
マネージャーだけには「…売ったよ」と話をした…そうしたら軟禁されそうになっ
たから逃げ出した

90 :名無し百物語:2020/10/26(月) 10:31:39.38 ID:Ckjt8zKo.net
30
Nの事は家…どころか事務所すらも知らなかった。ま、はなからあんな美人妻に勝
てるとは思えなかったし頼るつもりも無かったが…
Kdは「これは人目から隠す為のビジホ代だよ」って封筒に入ったお金を…十万円
程?はくれたが、自宅マンションには上げてはくれなかった。
彼も既婚者だったのだけど、独身と偽って別の女性と交際していたと後日スクープ
記事で知って幻滅した。
Iの部屋には別の女の人が居た。
私が噂で聞いてた人…(一応、国内では)トップモデルの【Mh】さんではなか
った…相手はキョトンとした顔で私の事を見つめていた。
訳を…説明出来る範囲で彼女に話ししてみた。が「Iは…撮影で東北の方へ行った
まま、来週まで戻って来ない…」としか言わなかった。
「…失礼します」って言って自分からその場を下がった。お休みの間で知った事な
のだが、とあるスポーツ選手の奥さんだった…
Oは元々あった精神疾患の症状が加速し、休業中だった。
で故郷から家族が来てて彼の世話をしている為、彼のマンションには行けなかった
し。気持ちの純粋な人だから…迷惑をかけたくなかったから…彼の所には行くつも
りも無かった。
Yは…某TV局近くの喫茶店で会い、20万ほど入った封筒を渡された。
「…これで最後だね」と言われ、私はきょとんとした顔になった。
「じゃここのお代は払っておくから僕が出た後で…ゆっくりとしてから…店を出て
行ってね」って言い、彼はコーヒーを一口すすると喫茶店を出て行った。
彼も後である女優さんと結婚した事をスクープ記事で知った。
最後に…Mさんの家に行った…
もう既に、そこはからっぽだった…どこかに引っ越していたのだった。彼の携帯に
電話をしてみた
「…Mさん、Kですが…げ、」
「…あのぉ…すみませんが、どちらさんですか?」
という聞いた事の無い女性の声が聞こえたので、「ごめんなさい」して即切った。
番号も変えてたなんて…知らなかった。
私の頭の上に降る雨は…ただ濡らしていくんじゃなくて…私との繋がりですら、寸
断させていくんだな…って思ったんだ。

91 :名無し百物語:2020/10/26(月) 10:32:35.30 ID:Ckjt8zKo.net
31
トボトボと歩いた。。。
コンビニの透明傘を差して何駅も、何駅も。。。
(ワタシが)どこに居る、(ワタシが)どこへ立っているのかも分からない。。。
あの記事で話題になった。。。
例の私。不倫、不貞女、泥棒ネコ、ズルい女、魔性の女、淫〇女、淫〇…とかと
言われてる、例の私。
「私はここに居るんだよ」って、、、声は出なかったけど。。。
私だと思っている人は何人いたのだろう?

私は…そのうちの事務所の先輩であり、若手の女優の中でも売れっ子の一人
【Ak】のマネージャーさんらによって保護(確保)された。
私のマネージャーさんら…親しい人らは、みな解雇されていたみたいだった…
保護された直後には事務所の偉い人らからは、
〈なあお前…ちょっと間、ここ(韓国)に行って来いよ〉って言われたけれど……
コロナ蔓延の影響で行けなかった…みたい…(?)
その時の事とか、それから先の事とか、関係・関連する記憶はあまり思い出したく
はない…ま、とにかく色々あったんだよ…短い間にだけどさ

92 :名無し百物語:2020/10/26(月) 10:36:10.96 ID:Ckjt8zKo.net
32 A said
実家の…
姉さんら、お祖父さん、そしてお母さんには…今まで生きてきた中で最もいっぱい
の文句言われた。お祖母さんに至っては【もう帰って来なくてもいい…】
とまで言われた。。。
ま元々あんな家に帰るつもりも無いが。。。
だから〈オ父サン。。。ガ用意シテクレタホテルヘ逃ゲコンダ〉

32 B side
正直、売ったお金で…
これであの人とか、別のあの人とか…と海外旅行に行けるかなあって思ってたネ。
・・・思ってたらコロナ流行と即日バッシングの波に飲まれてもうたネ。。。。。。
〈ワタシハ、被害者ナノニ…奪ワレタンダヨ…ワタシノ時間〉
〈カエシテ欲シイノハ…ワタシノ方ナンダヨオ。。。〉
〈ワタシノ、貴重ナ…3年間…失ッタ。アンナ人ニ。。。ダッタ…出会ウノガ遅スギ
タンダヨ…〉
って思ってたよ
…えっ贖罪とか?
あぁ…そんな気持ちはないし。。。あの人との事はもう遠い思い出話。。。
そうオモイデだよ、オモイデだったんだよ…ワハハハッ

93 :名無し百物語:2020/10/26(月) 10:37:07.51 ID:Ckjt8zKo.net
32 C said
〈今現在では事務員みたいな事をしなさい〉
って偉い人、新マネさんら言われながらも…時折別の事もさせられているけどね…
それもカメラがいじれるから。
うへっ、ちょっと気分的に愉しくなって来たのは事実だよ。
またね、来週にはロケの取材って事で長野、軽井沢ってトコに行けるの、初めてな
んですよぉ〜

32 D side
よく晴れた冬間近の日に…今住まわせてもらってるマンションのLDKの掃き出し
窓を大きく開けた。
そのマンションからだと海…東京湾までは、そう遠くはないので風向きによっては
だけれど…湿気を少し含んだ風が、ゴウって音を立てて入ってくる時もある…
生まれた町の汐の匂いが感じられる気がしていたが…
今日はそうかな?と思って窓を開けてみたが違っていた。
ベランダに出て外の景色を見ると…晩秋ってのが終り、初冬が、冬の気配が本格的
に感じられると思ったんだなあ…

94 :名無し百物語:2020/10/26(月) 10:43:19.07 ID:Ckjt8zKo.net
33《独白》A said
よく晴れた冬間近の日の事だった。もう少ししたら冬の気配が本格的になるんだろ
うなって思った。
僕は僕が現在迄に持っている中でもKに関与する最大クラスの秘密を売った。
時とKサイドが、それらを勝手に熟成させてくれたのか…
思っていた以上に…随分と高い売り物になった。
内容は…Kが未成年時(18才なりたての頃)当時のマネと部屋の中で飲酒をして
いる姿のが2枚。
同じマネと18才の時の都内カラオケBOX内での喫煙姿、顔がばっちり写ってる
のが2枚。それと同じく18才時の…ラブホらしき所でベッド上で制服のまま喫煙
しているのを写したのが1枚。
これにあの国に行ってた間…私は女優なんだよって面していた時の…あっちの国の
俳優Pと半裸姿で一緒にベッドの上で何かを吸ってる2つ動画だった。
…我ながら豪華なラインナップだと思った。

95 :名無し百物語:2020/10/26(月) 10:46:33.52 ID:Ckjt8zKo.net
33《独白》B said
「…2週間後には載せます、単独です」とその記者(A出版)は嬉しそうに言った。
A出版のタブロイド誌は、とくに薬関連においてはすっぱ抜き、貫き通す雑誌とし
て、ある意味では有名な雑誌だった。
「じゃあさ…あとこれは、あんたに任せるよ」
と僕は言うと、Kの父親の情報について入っているUSBを彼に渡した。
同じ内容を別の記者(こっちはBスポーツ新聞社)にも売った…こっちはA社より
も僅かだが高く買ってくれた。
「…A社の月間タブロイド誌と、同じタイミングで載せてよ」と依頼した。
「はい…OKっすよ」と(Bスポーツ新聞社記者)は言った。
(A出版)記者の名前と名刺のコピーを渡し、あとは直接でのやり取りをしてもら
う事にした。
「…他には(情報売ってないよね)?」
「ないない、俺の事を比較的、中立的に書いててくれた2社だけ…独占だよ」
「…失礼かな?まず謝っておくね、ごめん」
「一体何を謝るの?」
「(この情報を出すっていう)切っ掛けって何?」
「…裏事情。…あとこれの使い道は、あんたに任せるよ」
と僕は言うとKの父親の情報について入っているUSBを彼に渡した。
そして僕は人生で初の超々長期休暇ってヤツに入る事にし、その場を後にした。

96 :名無し百物語:2020/10/26(月) 10:50:32.11 ID:Ckjt8zKo.net
34《独白》A said
あれから数週間程が経過した…
事務所ごとのガサ入れは回避されたみたいだったが、ネット、マスコミ、他の人間
らからは彼女個人はかばい切れずに…いた模様。
まあどっかに隠したみたいだった。あとは知ったこっちゃない。先に裏切ったのは
…かつ3社協定を破ったのはあっちの方が先だ。

……朝から僕のスマホは鳴ってるみたいだが…電源自体を消してるのでどうなって
いるのか解らないんだ。
数日前から3番目の避難先として選んだ…この伯父名義のマンションには、寝具と
冷蔵庫などしか入れてない、だからテレビもラジオも、無論ネットも無いから……
世の中の状況は疎いとういうか、解らない。
が、それでもよくぞ短期間で調べたものだと感心する。マンションの周りには人だ
かりが出来ている。

97 :名無し百物語:2020/10/26(月) 10:55:44.25 ID:Ckjt8zKo.net
33《独白》B said
「…さ〜ん、さん?ね、居るんでしょ?」
「Kさんが亡くなったって知ってますか?」
「…あの…Kさんが今朝方…事務所の近くのビルから飛び降り自殺をしたって」
「遺書とか…は見つかってないそうですよ」
「なにか?知ってる事有りますかぁ?」
「何か連絡とかは取りましたか?…ありましたか?」
「お答えくださいよぉ〜」
「お願いしますよぉ〜」
〈さあ…?なんの事、全く知らないよ〉と言ってインターホンを切った。
〈…復讐スルハ我ニアリ…ってやつだ〉
僕も、ようやく出来た別の新しい彼女がベッドのある部屋待ってるし、で手招き
をし始めてんだ…
さてと…アレは僕の事を待っているだろうか…?
いいや待ってなんかいないさ、誰か別のヤツを祟る事だろう…
まいい…考えたってムダ。食べ物、飲み物はたっぷり10日間分以上は運びこん
であるのだから…消えてくれる迄、待つとするさ…

98 :名無し百物語:2020/10/26(月) 10:58:37.28 ID:Ckjt8zKo.net
35
…おれは、それぎり永久に中有の闇へ沈んでしまった…
私はその最後に彼が読んでくれていた、あの本の中にあった短編の最後の一行が、
なぜだか思い出された。
…そしてワタシもそれっきり永久の闇の中へと沈んでいった…

99 :名無し百物語:2020/10/28(水) 15:29:35.86 ID:b9q0k/X6.net
2020年10月28日 東京都コロナ感染者数 171人
彼女の事、彼女の思い出を早く忘れないといけないのに

100 :名無し百物語:2021/06/10(木) 15:37:06.97 ID:3bnr/cUx.net
いろいろな意味で。。。
現在の芸能界に〈唐田英里佳〉っていらんやろ
本人が望まんでも強引にでも普通の人として人生送らせろや

101 :名無し百物語:2021/11/20(土) 11:21:55.44 ID:7o2oy99O.net
【その号で2週目(第2段(弾))の特集だった】
それは新年が明け、ひと月は経過しない冬のある日の事だ。
…その週刊誌の記事には自分と同じ様な十代でデビューしつつ、その後とある映画で共演した年
上俳優と数年間もの間、不倫関係を続けていた若い女のSNSに記事が載っていた。

…ただ八つ当たりの原因は…その不倫記事のせいというよりも、この全く接点の無い駆け出し若
手女優の名前が自分と同じ名前「エリカ」…だったいう事が彼女が一番イラつかせ、とても不愉
快にさせたのだった。
「大おじさまが名付けてくれた、大切な名前なのに。。。」

その不倫記事の前号からの続きが載った週刊誌をもて遊ぶにパラパラっと眺めると、それをわざ
と後ろに放り投げた。
そして、それはメイク専用のイスにもたれかかったままで、ボーっとしていた…彼女の後ろ頭に
当たった「痛ったぁ〜何すんねん」とゆるい関西弁が背後からした。

102 :名無し百物語:2021/11/20(土) 11:27:36.49 ID:7o2oy99O.net
彼女と二人だけのPV撮影は久しぶりで、前向きに前向きに良い映像、良い音、良い雰囲気を作
り、決意を決めた彼女を心配させずに送り出し、そして自分自身の進路をも決断しようと思って
いたのに…
その同じ名前で、同年代で夢見がちで、ちょっとアホで、痛くて、信頼出来る人もいないだろう
…その子の不倫報道のせいで、気分が一気に冷え込んだのも事実だった。
「あ、ごめんね」と素直に謝った…いや、素直に謝るふりをして彼女の動向を伺った。

彼女は顔色を変える訳でも、激高する訳でなく逆にニコニコと笑う訳でなし、拍子抜けする程、
普通だった。
「どうしたの?妙にイラついとるし、でも…逆に…妙に素直やん?」
というと彼女は。。。松村沙友里は立ち上がり、絵梨花の肩を抱く様にしてから彼女の腿の上に
身体を乗せてきた。

「…ごめん手が滑った。なんでもないの…ごめん」
「ん?何だって!?」と言うと彼女の左右のほほを軽くつまむと引っ張った。
「ごめん、ごめんなさい…止めて、あと重い」
と言われた松村は隣の席…メイク用のパイプイスだが、それに座り直し。体を深く折り曲げ下か
ら絵梨花の顔を覗き見る様にしていた。

103 :名無し百物語:2021/11/20(土) 11:37:28.58 ID:7o2oy99O.net
彼女らは4月に二人のユニットとして出すアニメ用の新曲のPV撮影の時となった。
…彼女、松村本人もこの先の事を考え始めているだろう。
年齢制限、老いる身体そして、どんどん入って追い抜いていく後輩たち。
更には油断し時に週刊誌に撮られてしまった例の事。「おいお前。…次は無いぞ」という事務所
のお偉いさんらの一言。

あの時はまだ若く…可能性という商品付帯価値もあったから、まだ庇ってもらえたがアイドルの
商品価値は1才年齢が上がる事に(商品付帯価値は)3ヶ月分ごと目減りしていく。
正直に言ってしまい27才は…グループアイドルの生存率としては〈大変〉厳しい一桁台まで、
あと少しだ。それが痛いくらい解るから。。。
彼女にしっかりとした思い出として…何かを残してあげたかった。

「なんでもないって、、、言って。なあこの記事のせいやろ?」
と週刊誌を手に取り、ひらひらと振ってからその記事のページを開いて見せた。
文字だけが躍り漫画も写真も無く、ただ「不倫」、「匂わせ」、「マウント」、「肉体関係」な
どの文字が強く目に入って来る。

「別にそんな事は無い!」と絵梨花の語気が強まり、つい立ち上がる。
「だってな自分『私…去年からエリカって名前で損しとる』って…なあ顔になっとる」
と言ってその雑誌を私物のメイク道具などが上がっているカウンターの上に置いた。
「そんな事はないよ…」
同じ名前の女優の致命的スキャンダルがあったし、その後報道は凄まじいものだった。

104 :名無し百物語:2021/11/20(土) 11:45:57.36 ID:7o2oy99O.net
上からのぞく絵梨花の顔が沙友里を睨む様な顔立ちになって見えてくる。
松村は少し視線を避ける様に目線を外した上で、こう語りかけた。
「…確かになぁ男から見ると、あんたもこの浮気された女優の姉さんも見た目が派手な別嬪さん
やな、…ええけどな男ってアホやから…やがては飽きて来るんよ別嬪さんには」
その中には同じ1期生として、”卒業”後に全く別の安定の生活を選んだ彼女…「H」へ対しての
厭味のような揶揄も含まれていたのだ。

松村は席を立ち上がるとそっと絵梨花の後ろへと回り、肩を押し彼女をまた座らせた。
「…男やってん人間や、たまにはヘマもするし嫌な事もぎょーさんある。軽く遊んでみようかな
ぁって思う。でそんな所に…こんな丁度ええ緩み具合の笑顔で、言う事聞きそうな若い嬢ちゃん
が来たら…男はホンマにアホやもん…なあ……それ相手に堕ちるわ」
と言い週刊誌を取り上げ、ページを一枚捲り浮気をした俳優と女優が一緒に飲んでいるとされて
る写真を指差し、そしてその指先を自分の耳たぶにあて軽くなぞった…
「…このエ・リ・カって女かて、それを狙ろうているんや…って?」

「ねえ、それ以上はもう止めて、まっつん。その先の事言うと…怒るよ」
「はいはい、この子は…大きな声あげて、声色変えてまで吠えるなや。だいたい構って欲しくて
うちに雑誌投げて来たんはそっちやろが」
じっと彼女を方を見る絵梨花。
「…ほらほらPVの撮り終わったらスタッフさんからメンバー募って唐揚げ食べに行くで」
「…生ビールはジョッキでOK!?」
「自己申告やな」
…(不倫の)経験者の言う事は…やっぱり違うなぁと絵梨花が思っているうちに部屋の外はガヤ
ガヤと賑やかになり、やがてドアをノックされ「撮影しまーす」と促された。

105 :名無し百物語:2021/11/22(月) 16:38:38.74 ID:uGwvR8y0.net
その日、彼女らは朝から栃木県内の某所に居た。
栃木の某市郊外にある大規模用、特殊、野外撮影用の特設の大型スタジオ内に設けられた撮影セ
ットでの撮影は4、5、6月連続発売用のシングルのPV撮影会場だった。
先月のうちに少人数に別けて、既に撮影ずみの4月分を除くと、栃木には5、6月のAパート用、
Cパート用の選抜のメンバーら他二十数名だけで、その他のメンバーらは都内待機だった。

4,5、6月の共通の全員集合のBパートは都内の集団でも撮れる大型スタジオ「BeE」で、
バックダンサーを20名を加えたSP用を含め収録は終わっていた。
その別々に撮った5、6月のA,Cパート二つの映像を後日、合成しCG合成にし完成する手は
ずになっている。
その為フロントメンバー、他選抜メンバーらは朝から分刻みでびっしりの撮影予定になっており、
正午過ぎにはメンバーらだけでなくスタッフにも疲労が見えてきていた。

「よくもさぁ、そんな芝居がかった事を…まつは言えるよね」
と年長さん組の高山はぼそりと言った。
「…そうだよねぇ」とみなみ事、星野みなみも同意しつつ、星野は齋藤に目配せしたが、まだお
昼寝中の飛鳥には反応は見られなかった。

数年前撮られたある写真…妻子ある男性編集者と路上でのキス、キス、キス…それが軍団長とい
う名の…かなり組織においては内部権力を持つ松村が行ったアイドルらしからぬタブーな事がら
だった。
「(LINE回す方もま…同類だけどな)」と高山は思った。
が残り少ない時間の中で1、2期生間の同士の繋がりを保つ為には…“カゲ口LINE”という一
種の負の連帯性は必要悪でもあるとも思っている。
(『実際に先月はそのLINEを廻した人の話だったしな』と思った。)
その事は…残り少なくなった1期生及び2期生の中では語るのもタブーであると同時に、結束を
強める為の自傷行為でもあったの…だった。

106 :名無し百物語:2021/11/22(月) 16:56:23.37 ID:uGwvR8y0.net
「(あと…何テイク撮ったらあの女…納得するの)」
と高山は誰にも聞えない様に、ふっと小さな声で呟く。彼女の視線の先には新センター、この先
の影のリーダー役を担うだろうと目される…山下美月が撮影スタッフ、一部取り巻き、他メンバ
―らと共に居る。
…アラビア風の世界観が半分、現代の北米の都市風の世界観にセットされたのが半分のスタジオ
の真ん中では…5月、6月のセンターになった1名「凪まつり」と。フロントと呼ばれるメンバ
ー8人(主に3、4期生中心の構成)だけでの6回目の撮りが行われていた。
山下は同じタイミングで微妙にズレる新センターの凪を、𠮟咤激励する様な眼差しで見ながら、
輪の中心にいた。

新曲「シンクロ/エイティ」は90代後半から00年代初頭のロック調曲とダンス音楽を融合さ
せたもので、聞く人によっては懐メロっぽく聞こえる。
だがリズムに合わせた、一糸乱れぬ連続な団体での集団行動が曲のリズム、メロディーとシンク
ロする様に作られている。
踊り手側としては非常にエグい曲だ。


フロントではあるのだが別予定(主演映画撮影)だった為、遅れて来た飛鳥を除き、高山ら一期
生の一部はサイドなどが担当だったのでフロントメンバーらの撮影テイクが重なっていくのを見
ながらしばらく控えている状態だった。
そんな高山の手の中にも…1冊の女性週刊誌があった。

例の不倫騒動の記事(3回目の連載)が載ったもので今迄の展開も記載されていた。次のエッセ
イか…いいや小説の題材、参考にしようと…個人で購入しこの場所へ持ち込んだものだった。
随分時間も空きそうだし…と、その記事を流し読みせずしっかりと読む為、週刊誌とにらめっこ
を高山は始めた。

107 :名無し百物語:2021/11/22(月) 17:38:24.50 ID:uGwvR8y0.net
雑誌からの情報による空想に夢中になっていたからか、周りには仲の良いメンバーしないからか、
つい高山からは安堵によるのか…独り言が出ていた。
「ふ〜ん…そう…数年間も、で生まれ君津。…ん?私この子の家に行けるかなあ」
「へぇ〜そうなの。まさか…わざわざ行ったのかな」
「行ったんですか?」と星野みなみ、寺田蘭世が声を掛けた。

その場には高山と仲の良い一、二期生数名だけなので、つい遠慮する事なく軽い言葉が出てくるよ
うだった。
「おいおいおい!みなみくん、蘭世くん。わざわざは…行かんよ、わざわざは」
「へぇ〜どうだか?」
「おい、みなみ。私だって忙しいんだよ。…海ほたるで実家に戻りぃ〜美味しい魚介を食べて…
素振り100回して、そのついでってとこかな?」

「でも…わざわざは行かんけれど…タブレットのグーマップで見てるように見えるけど?」
高山の右手側には彼女が小説、エッセイを書く時に使う個人契約のタブレットが置いてあった。
「おいおい、まさかぁ〜」と言い胸の前で高山は胸の前で両手で×を作った。
「そんなコアなファン並みの行動かよ〜!しないですよねえ」
と寺田はおどけてみせた。

「(あらそうなの?)」と星野もおどけてみせた。
「みなみくん、蘭世くんよく聞くんだ。大事な事だ」
何を言うのか?と思い顔を見る二人。
「この子よりも私の方が全然、先輩なんだよ!」と言って胸をそらす高山。

「逆にこの子の方が、私の家を見に来ている可能性のほうが大きいわ!」
と言ってさらに胸をそらす高山。
そのやり取りを聞いていた二期の女の子、手直しに来ていたヘアメイクさんらが軽く笑った。
「(こいつはやれやれだぜ)」といった顔を星野と寺田はしてみせた。

108 :名無し百物語:2021/11/24(水) 18:30:54.69 ID:xqjb//3d.net
やがて新センターら8名の別撮り部分?が山下が納得のOKテイクとなり、やっと終わった
のだった。
「は〜いじゃあ、みなさ〜ん。ここで15分休憩の後に、いよいよ全体撮影に入りま〜す。
それで今日は終りで〜すからね。もうちょっとがんばりましょう!」
と若いADの瑠衣ちゃん声が響く、
「ちょっと飛鳥、起きな!あんたお待ちの全体での撮り始まるからねえ」
と星野はピンクのパーカー羽織ながら机につっぷし爆睡中の齋藤飛鳥を起こしにかかった。

その後2度の全体リハと、全体での撮影本番へとなっていった。
「じゃあ、皆さん。これで本当に最後の最後になります。がその前に…10分だけ休憩!」
最後のセット、照明の手直し為の休憩に入った。
「ねえ?最近の曲って…当てつけかな?…振り付けが、がっちり過ぎて無い?」
と高山が少し切なそうな声を出して言った。

「…そうかもね」と星野も答えた。撮影が始まる前の会話の中に出て来ていた松村の方は、別
の仕事も入ってて当初からこの栃木選抜からは外されていた。
そしてそれには他に理由もあったのだった。

109 :名無し百物語:2021/11/24(水) 18:51:25.61 ID:xqjb//3d.net
【18才の女の子の純愛をテーマにした楽曲に…1期、2期のお姉さん方々は…】
【歌詞の中にある ♪〜私達だけのSNSに口だけのお姉ちゃん達は〜い・ら・な・い〜 
って妙に響きます】
【あと…後ろから見ると最近のお姉さん(松村)らがダンス…辛そうで】
…と運営サイドと彼女ら(3、4期生)のミーティングの時に、女子特有のドロドロとしてて、
そして、どっか熱くて、非常に臭いモノが噴出したのだった。

ここ最近出た数曲でもそうだった。
とくにサビ前に激しめのダンスが続く様な曲になると高山、松村らそして秋元らの“一期、二期
のお姉さん組”らの一部に動きにムラが見て取れる様に、なってきていたのだが…それは運営側
も解っているのは事実であり、暗黙の了解事だった。

他にも先回のシングルからメイン扱いとなった3,4期の特に1、2期世代を知らない若手の
子らかも声が上っていたのだった。
その声の中心には…今後、リーダーではなく、総裁という役割の彼女、山下美月もいた。

…その発言には当事者と目された松村、まだ「卒業」の声を出した事も無い高山も。
そして現リーダーの秋元も、ぴくりと反応を示し、そして裏では激昂もしたのだろうが………
…そんな反応をした彼女ら先輩らを…ちらりと見、山下はつとめて冷静に振る舞い、静かに言
った。
「卒業なさる前に…今度こそこの曲で…すごいトップ取りましょうよ」

110 :名無し百物語:2021/11/28(日) 15:28:13.96 ID:zImR30Wc.net
彼女達の眼の前では3期の定番のフロントメンバーら数人と4期新人、若手ら数人がしっかり
とオーバーアクションの着いた、激しめの振り付けを踊っている。
「(ちぇ、悔しいな)」と心の中で呟いた。
…7度目の撮りで曲の中盤で星野が…齋藤飛鳥の方に向かって手を使いジェスチャーをしてみ
せたが、飛鳥はそれを見落としてしまっていた。

それは高山、星野自身が「(彼女らよりも)遅れている…」と感じていたみたいだったが、そ
のサインも伝わらなかった。
「は〜ぃカット!ちょっと一旦休憩しましょう」と突然、若いADの瑠衣ちゃん声が響いた。
そして監督の岸本の方を見て頷いた。
「…左サイド2列さん(高山らがいる方)そこ少し〜遅れて来ていますよ。じゃセンセ立てな
おしお願いしますね」とそれまで、大声を出さない監督から声が出たのであった。

新曲「シンクロ/エイティ」はミキシングでのテンポ、メロディ出入りの激しい音楽であり90
〜00年代のロック調曲のギターの効いたAメロ。
00〜10年代のダンス系でシンセの強いBメロ、そして2020年代のK-POPを感じさせ
る変調のCメロを融合させたミクスメロディが売りである。

111 :名無し百物語:2021/11/28(日) 15:41:56.79 ID:zImR30Wc.net
その為、各セクションでのダンスの振り付けが変更、変更の激しめに設定されている。
それはゲーム、アニメ、漫画、ラノベ関係6社連動のスマホの新作スマホゲームの大型プロジ
ェクト「DeLIGHT・ブラックバビロンプロジェクト2020」の一環として動いてるもの
だったからだ。
そのイメージPV、CM音楽、メインCMなど一切を受ける事となった。
作詞は勿論、あの秋元氏であるが、作曲は若き頃から絶大な音楽作成能力を持ち、大ヒットを
続けたが…自身が招いた…当時ある若手女優兼歌手との不倫事件以降は、全く鳴かず飛ばずと
なった音楽P氷室拓哉氏だった。
そんな大型タイアップ曲であっても以前に批判を口にした彼女達の一部が声を潜めるのには理
由があった。
松村サイド、肩入れしている女子たちがメンバーとして参加しているからも…あったし、他に
理由もあった。それは先日…ネット講演の後に、彼女らの軍団長松村の口から
「私、もうすぐ卒業します」の言葉が出てきたからでもあった。

112 :名無し百物語:2021/11/28(日) 15:58:45.97 ID:zImR30Wc.net
「はい!ストップ、ストップ!」と監督岸本、自ら声を出して彼女らを止めさせた。
「はーいじゃあこのシーンはOKです」
と続けていい、その先はADの山本(瑠衣の事)が遮るように言葉を続けた。
「…申し訳ないですが、一旦休憩撮りまーす。再開は14:35から。さっきと同じ立ち位置に
お願いしまーす」と言うと一旦セットの電飾を変える為に休憩へと入った。
グループ各自ごとに別れ散々と散っていった。

「…ここだ、おいこれ編集出来そうか?」
「大丈夫っす。これぐらいなら問題ないっす」
「よし頼んだ」
録画されたシーンを見ながら、岸本と山本を含む数名で睨みながら…低く、小さく呟いていく。
「とくにダメだな…あの左サイドからの数名の動きは…」
「…そうですね若干どころか、ズレが出てるのが解っていない感じが…」
「俺から…このPVでそうだったと上へ伝えてみるか…」
「お願いしま…す、監督」
「うちらじゃまず言えないんで……」
「卒業(クビの)宣告の為の情報売りみたいで良い気持ちはしねえわな…」
傍らにある電子タバコ(水蒸気)を手に取り咥え、吸い始めた。その時山本がぽつりと呟いた。
「でも…アイドルってそれと同じで消耗品みたいなものですから」

113 :名無し百物語:2021/11/28(日) 16:27:16.01 ID:zImR30Wc.net
(再開は14:35)
隣のメンバーの顔を見ずに…誰かの悲鳴みたいな声がした後で、謝罪の声がしたのでそっちの
方を向いた。
絵梨花の視線の先には与田祐希が監督の指示で山下の左肩に軽く手を乗せ、美月の方がそれを
強く振り払う様な仕草を見せたのが見えた。
絵梨花は独特のあの顔つき(目つき)をして山下らの方を見ていた。

「…なあなあやっぱり…みなみくん。最近の曲って振り付けが、がっちり過ぎて無いか?」
と高山が切なそうに言った。
「…うん確かに…」と星野も同意した。

「この曲はCMと(ゲームの)テーマ音楽ですからそう感じるだけですよ」
と鈴木絢音が声を掛けた、そこへ後ろから声がした。
「あらあらもうお年なんでしゅか。このぐらいで息があがるの?」

3人がむっとした顔で振り返ったが誰もいなかった。
「…じゃあそろそろ引退なさって、割りばしよりも軽いもの持って、先生〜って呼ばれる方に
比重を置いたらどうを?ね高・山・センセー」

と二人の間に割り込む様に肩から手を廻し高山の右胸、星野の鎖骨を撫で、ほほを握る様にも
みつつ割り込んだのが…絵梨花であった。
「黙れ!、この白米泥棒にゃんが!」
「そうだ、そうだ」と高山も星野も絵梨花の手の甲を軽くつねる。

二人は絵梨花の身体を引きはがす、その姿と寺田、鈴木はじっと見ているだけだった。
「…所でいく、あんたフロントじゃないの?こんな所に来てていいの」
「私は…左のサイドの2番目でこぜえますだ。お隣のお嬢様」

「あれ?そうだっけ?UMM」と星野は首を傾げた。
「そうでござますだよ、お隣のお隣のお嬢様。…センターの凪沙殿に絡むのは…2度だけでごぜ
えますだよ」と先日、終わったばかりのミュージカル【嵐が丘町に落ちる月】で演じた孤児の花
売り娘のベスの演技してみせ、ペロリと舌を出したのだった。

106 KB
新着レスの表示

掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50
名前: E-mail (省略可) :

read.cgi ver 2014.07.20.01.SC 2014/07/20 D ★