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「花陽を驚かしましょう!」
- 1 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 16:34:55.86 ID:N426mHVt.net
- ―私、小泉花陽っていいます…年は…―
―ううん、どうでもいいのそんなこと―
―最近、ネットでは花陽に対する意見が少なくて―
―それも良質悪質関係なく…―
―はぁ。存在感うすいのかな―
「そんな日々です」
―部室
にこ「って感じなのよねぇ…」
- 2 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 16:39:07.71 ID:N426mHVt.net
- にこ「な〜んか人を驚かせられるようなことない?それで花陽が元気になればね」
にこ「ほら、妖怪とか定番じゃない?首がうね〜んって」
うね〜ん
絵里「なっ!?に、にこ…」
希「にこっち!?それ以上はやめてや!」
凛「ぎゃあああああ!!気持ち悪いにゃ!!」
にこ「さ、さっきから何よ一体!」
にこ「って、あれ? 視線が…高い」
にこ「もしかして身長高くなったぁ!?」
- 3 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 16:39:52.46 ID:3VqmVF9U.net
- !?
- 4 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 16:43:24.81 ID:N426mHVt.net
- 海未「高くなってるのは……」
ことり「頭……!?」
にこ「何よ、身長が高ければ頭が高くなるのは当然でしょ?」
にこ「はぁ〜にこのプロポーションに嫉妬しちゃって…ほら、私の足をみなs
にこ「…え?」
- 5 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 16:49:35.75 ID:N426mHVt.net
- にこ「ちょ、ちょっと待って何が」
ガンッ
にこ「いだっ!!何で天井に頭ぶつけんのよ!」
海未「ろ…ろ……」
海未「ろくろ…首………」バタッ
ガチャ
真姫「はぁ〜疲れたわね〜……って何これ!?気持ち悪いぃ!!!」
- 6 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 16:53:51.40 ID:N426mHVt.net
- 絵里「」
絵里(?)「大変や!えりちが倒れてしもた!」
ことり「え、あ、あれ? 絵里ちゃんが何で二人??」
絵里(?)「え、は?」
絵里(?)「…嘘」ペタペタ
絵里(?)「これ……えりちの体やん」
凛「こ、声もそっくり…一体何が起きてるにゃ!?」
ことり「てことは希ちゃんなの…?」
希「う、うん」スッ
希「あれ? 急に体が…」ペタペタ
希「あ! ウチに戻っとる!!」
- 7 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 17:00:59.36 ID:N426mHVt.net
- にこ「ちょ、ちょっとまず私をどうにかしなさいよ!」ウネウネ
真姫「に、にこちゃん…ろくろ首みたい」
にこ「そんなの分かってるわよ!これどうやって直すのよ…」
にこ「えいっ!えいぃ!戻れぇ!!!」ブンッブンッ
凛「ヘドバンしてるみたいできもいにゃ」
シュルルルルルル…
にこ「が、がはっ……気持ち悪かった…」
ことり「わ、直っちゃった」
- 8 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 17:06:50.66 ID:N426mHVt.net
- ガチャッ
穂乃果「大変だよ〜!花陽ちゃんが元気ないの!……って何これ!?」
海未「…ほ、ほのかっ!」バンッ
ことり「覚めるの早っ」
海未「それについてですが…良い案が思いつきました」
穂乃果「良い…案?」
海未「これで、花陽を驚かしましょう!」
- 9 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 17:13:25.85 ID:N426mHVt.net
- 穂乃果「う、うん?よく分からないんだけど…」
真姫「あっ……あ…な、何………これ……?」ガクガク
凛「ま、真姫ちゃんがぁああああ!!!手が骨になってるにゃ!」
ことり「えっえっ」
ことり「も〜何が起きてるの〜!!」
希「…ことりちゃん」
ことり「なな何?」
希「真姫ちゃんがここに入ってきた途端、異変が起きたってことは…」
希「この部屋にいる全員に、異変が起きるはず……じゃないかな?」
- 10 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 17:20:38.67 ID:N426mHVt.net
- にこ「ふ〜ん?ってことはことりも何かおかしいことになるってことよね〜?」
ことり「な、ならないもん…」
希「にこっちは首が長く、真姫ちゃんは手が骨に…ウチは誰かに化けれる」
希「まるで、『妖怪』みたいやな…」
海未「妖怪…驚かすのにはぴったりです!私も何かになれないでしょうか…」
真姫「そんなことよりこれどうにかしなさいよ〜!!」
- 11 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 17:31:10.10 ID:N426mHVt.net
- ―私、小泉花陽―
―やっぱり気分が良くならないです…―
―なんか良い方法はないのかな―
はぁ。またμ'sのみんなに何も言えずに…
もういいや。家に帰ってゆっくり休も…
…あれ?何だろう、あの背の大きな人。
すごいなぁ…180、190…いや、200超えてる…?
え? 200……?
コツコツと、足音を鳴らしながら……
- 12 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 17:36:33.46 ID:N426mHVt.net
- …恐怖。
……道連れの音。
………次第に大きくなる足音。
海未「おや、花陽?どうかしましたか?」
花陽「え、う、海未ちゃん!? どこ!?」キョロキョロ
いない。 どこにも。 いない。
海未「ここですよ、ここ」
声がするほうに目を向けた。
- 13 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 17:41:58.31 ID:N426mHVt.net
- …海未ちゃんの姿はなかった。
花陽「どこ…?」
ふと、見上げてみた。
海未「…………ぽ♪」
花陽「あっ……あ…………」
喉が機能しなくなった。代わりに脳のCPUがフル稼働し始める。
私はネットに触れていたため、分かる。
昔、奇妙な声を出しながら2m以上もの巨体で迫ってくる女がいたって…
その姿は、まさしく
- 14 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 17:42:28.23 ID:xcXykwIb.net
- やったぜ
- 15 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 17:45:52.01 ID:N426mHVt.net
- ―悲鳴をあげた。
同時に、手足のコントロールが復活した。全力で逃げ始める。
花陽「あれは……『八尺様』!?」ダッ
そう。その姿はまさしく八尺様と呼ばれる存在そのものだった。
出会えば不幸。その文章だけでどれだけ危険な存在かが分かる。
でも…その正体が海未ちゃん!?
花陽「……あ、ありえないよ」
- 16 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 17:51:09.90 ID:N426mHVt.net
- ―5分後
花陽「はぁっ……はぁぁ……」
ガチャン
家に…着いた。
本当に海未ちゃんが…海未ちゃんが?
んなわけない。髪の色が違うし…声も独特と言えるほどじゃない。
PCで八尺様を調べてみる。
花陽「……やっぱり違う」ホッ
ほっと一息ついて、窓を見ると誰かが覗いていた。
……? 覗いて…?
- 17 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 17:55:30.42 ID:N426mHVt.net
- にこ「……」
ピーンポーン…
ピンポンピンポーン……
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン
花陽「やめ……」
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン
- 18 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 17:58:15.59 ID:N426mHVt.net
- にこ「…」
ガンッ
…ドアを叩く威力が変わった。 間違いなく…間違いなく殺しに来てる。
花陽「も、もうやめてにこちゃん!!」
にこ「…」ドンドンドンドンドンドンドンドン
花陽「う……うぅぅ…ひぐっ」
………
花陽「と、とまった…?」
- 19 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 17:59:34.98 ID:N426mHVt.net
- ――
にこ「真姫」
にこ「…ええ」
にこ「ぷっ……ふふ……あはっ…」
にこ「ええ、よろしく…」
- 20 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 18:02:53.60 ID:N426mHVt.net
- ――
プルルルルル
電話だ。真姫ちゃんから。
花陽「も、もしもし…?」
真姫『ああ、花陽?あなたに話したいことがあるの』
花陽「話し…」
真姫『私の家に来てくれないかしら。今すぐ』
花陽「で、でも……」
真姫『何?』
花陽「ううん、なんでもない…そっちに行くね」
…とんでもない存在がいたことなんて、信じてくれるだろうか。
- 21 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 18:09:19.17 ID:N426mHVt.net
- ―真姫の家
真姫「で、あなた…」
花陽「うん」
真姫「最近悩んでるわね?」
花陽「え!?」
真姫「理由はわかんないけど、すごくテンション低いのは目に見えてる。何があったか教えてくれるかしら」
花陽「う…」
真姫「花陽?」
花陽「わ、分かった…実は」
〜〜〜
「ってことだから…」
真姫「なるほどね。まぁ、そんな気にする必要ないわよ」
- 22 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 18:12:20.83 ID:N426mHVt.net
- 真姫「ネットなんて玉石混交の世界。まだ混ざってないだけマシと思ったほうがいいわ」
花陽「……」
真姫「ま、詳しいことが聞けてよかったわ。気をつけて帰りなさいよ」
花陽「うん…」
真姫「……」カラン
- 23 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 18:17:03.70 ID:N426mHVt.net
- ―秋葉原
花陽「さ、寒っ…なんでいきなり雪なんかに…」
花陽「今は秋だよ…?」
そう。北の方じゃ秋に降ってもおかしくないだろうが、ここは秋葉原。
それに、こんな吹雪レベルの天候になるとは思わない。
ふと、電気屋のテレビに注目してみた。
『気象庁によると、このような事例は初ということです』
『どうしていきなり降り始めたんでしょうかね〜?それに秋葉原のみですよ』
やっぱりおかしいんだ。
何かが…雪を生み出してるのかも。
直後、背後にすさまじい寒気を感じた。
ことり「うー寒い寒い…わぁ、秋葉原だけなんだ…」
- 24 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 18:22:02.66 ID:N426mHVt.net
- 花陽「こ、ことりちゃ………ん…………?」
ことり「んー?あ、か〜よちゃんだ〜♪」
…ことりちゃん……なのか?
肌が極端に白く、足元には白い風がビュービューと吹いている。
どう見ても、異常だ。
花陽「ぎゃ、ぎゃぁあああああ!!!」
逃げる際に呼吸して出た息も一瞬で白く消える。
だが、あまりの寒さに足が凍えて震える。
- 25 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 18:27:08.51 ID:N426mHVt.net
- 周りにいたアキバの民衆も、一斉に騒ぎ出した。
ここだけ、南極大陸のような状態なのだ。
花陽「はぁっ…はぁっ…!」
絵里「あら、花陽?」
花陽「え、絵里ちゃん!?」
絵里「偶然ね、こんなところで」
帽子を被った女子高生…それは紛れもなく絵里ちゃんだった。
でも……
花陽「何でお尻おさえてるの?」
絵里「えっ… あ、ああこれ?なんでもないのよ、うん」
- 26 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 18:33:13.05 ID:N426mHVt.net
- 絵里「あ、寒いから家に送ってくわよ」
花陽「う、うん…?」
気になるが、今は帰ることに専念しよう。
そう思い、アキバを歩いてると…
キィイイイイッ!
と、音が。
花陽「え?」
スリップした車が、軌道を描いて……
こちらに向かってきた。
絵里「……危ないッ!!」
- 27 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 18:33:42.31 ID:N426mHVt.net
- 今日はここまで
- 28 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 18:34:34.33 ID:DseKVZvN.net
- 見てたよ
支援
- 29 :名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 18:39:43.71 ID:C2ni0PIq.net
- おつ
- 30 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/06/21(日) 23:28:11.01 ID:4uXwKIZk.net
- 期待
- 31 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 16:54:24.31 ID:Zb9BAeth.net
- 急に聞こえた耳に不快な音と同時に、絵里ちゃんが荷物を投げ捨て、雪と共に私をかばった。
……
しばらくの静寂の後、耳が機能してきたことがわかる。
だんだんはっきりしていって…目を開けた。
絵里「…大丈夫?」
花陽「う、うん…」
どうやら体は無事だ。それに、絵里ちゃんも無事な様子だが…
それよりも気になることが…?
- 32 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 16:59:24.42 ID:Zb9BAeth.net
- 絵里ちゃんが押さえてたお尻からは……『尾』
絵里ちゃんが被ってた頭からは…『獣耳』
まさか…
花陽「新ファッション?」
絵里「ちがぁぁああああああああう!!!」
全力で拒否された。どうやら違うみたい。
でも…絵里ちゃんの体は、とても暖かかった。さっきまでの霜焼けが治るように。
もう一回絵里ちゃんを見てみた…… 驚いた。
その姿はまさしく狐……『妖狐』 だった。
- 33 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 16:59:58.69 ID:Zb9BAeth.net
- 被ってた頭× 被ってた帽子○ です…誤字多くてごめんなさい
- 34 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 17:00:47.81 ID:Zb9BAeth.net
- すいません 被ってた帽子× 帽子で隠れてた頭○ です 申し訳ございません。
- 35 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 17:09:15.58 ID:Zb9BAeth.net
- 絵里「それより怪我はない?本当に大丈夫?」
花陽「うん…その姿」
絵里「今は説明してる暇がなさそうね…」バッ
花陽「え?」
絵里ちゃんが私からの疑問を切り、そっぽを向いた。
その目線になぞるように視線を動かすと…
「ちょっと、何やってくれてんのよ?!」
「あー、死ぬところだった…」
「危ないわねーほんと」
と、UTX学院の生徒と思われる人たちがぶつぶつ言いながら車から出てきた。
3人…か。
絵里「…ッ」スッ
絵里ちゃんが妖狐状態を解除したようだ。
何があったか分からないが、恐らく能力が使えるのだろう。
- 36 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 17:17:21.93 ID:Zb9BAeth.net
- 絵里「……さ、さむっ」
かっこよかったのに。
「ねえ、ちょっと聞いてる?」
「責任取ってよ〜」
???「ご、ごめん!許してあげて?」バッ
突如、何者かが私達の前に立ちはだかった。
誰だか分からないが、UTXの制服を着ているから生徒なんだろう… が。
「どきなさいよ。ってかアンタ1年じゃない」ドンッ
???「いだっ…」スッ
希「…っ」
絵里「希!?」
正体不明の人物は、希ちゃんだった。 …ん?
- 37 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 17:20:36.78 ID:Zb9BAeth.net
- ん? ん? …え?
花陽「希ちゃん…だよね?」
希「そ、そうやけど?」
ん?それではさっきの正体不明の人物が何故希ちゃんに?
希「いてて…」
希ちゃんがさすっていたお尻を見てみると… 『尾』があった。
花陽「ええぇぇええっ!?」
ど、どういうこと!? 絵里ちゃんだけじゃなくて希ちゃんまで…?
- 38 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 17:29:42.18 ID:Zb9BAeth.net
- と、あせっている暇はないようだ。どうやら…
何故か、私の周囲の温度がみるみる上がっていっていた。
絵里「希に何すんのよ」ボッ
いつもの怒りじゃない…暴力を親友が振られたことに対する、『かなりの怒り』…!!
絵里ちゃんが左手の拳を握った瞬間に、金色の妖狐の姿に変貌した。
しかし、少し面影はある…賢さは別として。
「ちょ、ちょっと何それ?」
「なんか逃げた方がよさげ?」
「も、もう私は逃げるからね!」
一斉に生徒3人とも、昭和通りをまっすぐと突き進んでいった。
同時に絵里ちゃんが走り始める。 ってあれ。
なかなか3人に追いつかない。
- 39 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 17:32:32.00 ID:Zb9BAeth.net
- 絵里「はぁっ…はぁっ…がふっ…」
絵里ちゃんは少し走っただけで頭がグラグラ動くくらい疲れ果ててしまった。
私が追いつくレベルなのだから、相当なのだろう。
プルルルルル、と絵里ちゃんのポケットに入っていたスマホが鳴る。
絵里「は、はい…もしもし…?」
耳を傾けて聞いてみた。
- 40 :名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 17:33:37.59 ID:+MJvCjvu.net
- C
- 41 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 17:35:54.47 ID:Zb9BAeth.net
- 真姫『私よ、真姫。今どこにいるの?』
絵里「真姫? 今昭和通りで…ちょっと…」
真姫『息切れがはっきり伝わるわよ、何か追いかけてた、もしくは逃げてたわけ?』
絵里「前者よ…でも…もうダメ…みたい…」フラッ
真姫『ちょ、ちょっと絵里ぃ!?応答しなさいよ、応答!』
絵里ちゃんの動きが段々鈍くなって、金色のオーラも薄くなってきていた。
花陽「も、もしもし…真姫ちゃん」
真姫『ははは、はぁ、は花陽ぉ!?』
- 42 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 17:40:34.14 ID:Zb9BAeth.net
- 花陽「一体何があったの?」
真姫『こっちが聞きたいわよ!!絵里は何を追いかけてたわけ?』
花陽「えーと…UTX学院の生徒さんたち」
真姫『はぁ?まぁ、理由は聞かないでおくわ。めんどくさいし。今から凛向かわせるから、無事でいなさいよ』
花陽「う、うん」
凛ちゃんが何か出来るの? でも凛ちゃんの身体能力ならあの3人は…
いやいや、3人同時に捕まえるのは流石に厳しいよね…
考えながら3人をとりあえず追いかけてみる。
……何か来た。
- 43 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 17:45:08.91 ID:Zb9BAeth.net
- 希「ま、間に合ったみたいやな…」
希ちゃんが後から走ってきた。が、それよりも…
凛「ここは通さないにゃ〜!」シュンッ
ズババババババババババババババババ
花陽「!?」
希「思ったよりすごい能力や…」
花陽「やっぱり知ってるの…?」
凛ちゃんの声がする方に目を向けても誰もいなかった。
しかし、3人の目の前に積もっていた雪が一斉に砕け散っていた。
- 44 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 19:50:16.94 ID:Zb9BAeth.net
- 「な、なによこれ!?」
「つめたっ!!」
砕け散った雪には、刃物のような跡がついていた。
凛「ふ、ふぅ…ッ!」
凛「…あっ、あれ…?」フラッ
花陽「り、凛ちゃん!!」ダッ
凛「かよちん…凛ちょっと気持ち悪い…」
花陽「凛ちゃん!?」
突然現れてきては、気分を悪くしてその場に倒れ込んでしまった。
もう何がなんだか。
希「ふ〜…そういやえりちはどこや〜?あ、あっちだ!おーい!」タッ
そういって、希ちゃんは『全く違う方向に』走っていった。
花陽「えっ、ちょ、希ちゃん!こっちだよ!!」
- 45 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 19:53:17.74 ID:Zb9BAeth.net
- 希「えっ、えっ? だってそこ誰もいないやん!」
…え? 誰も?
花陽「え、え?ここに絵里ちゃんも凛ちゃんもいるよー?」
確かにいる。ここにいる。私はおかしくないはず。
じゃあ…希ちゃんが?
希「も〜花陽ちゃんどこ行ってるの〜?勝手に走っちゃだめやん〜」タッ
と、勝手なことを口走りながらウロウロしている。
―異常だ。
- 46 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 19:57:34.13 ID:Zb9BAeth.net
- ウロウロしている様子を眺めていると、いつの間にかUTXの3人が逃走を始めていた。
絵里「…の……ぞみ?」
絵里ちゃんが目を覚ました。相当な息切れだったから、まだ後遺症らしきものは残ってるかもしれない。
まだ無理はしないでほしいが… と、心配をかけていると…
走り回っている希ちゃんのスピードが段々遅くなってきていることが分かった。
徐々にスピードが落ち、完全に止まって両膝を付き始めた。
希「ウチ、何やってたんや…?」
花陽「え、えぇぇ?」
- 47 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 20:08:46.16 ID:Zb9BAeth.net
- 希ちゃんが我にかえったようだ。しかし本人に記憶はないように見える…
凛「さ、さむっ…!」
絵里「へ、へくちっ」
……とても寒いようだ。こんな吹雪の中じゃ凍えてしまう。
とにかく、UTXの3人は放っておいて学院に帰らなきゃ…
希「ウチも手伝うよ〜」
――部室
穂乃果「大変なことになっちゃった…」
真姫『どういうこと?台本通りじゃないわよ』
海未「し、知りませんよ!?ただ驚かすだけのつもりがこんな大事になってしまうなんて…」
にこ「もう花陽を驚かすのはやめたら…? 十分怖がってるわよ」
真姫『そうね、目標達成ってことで…帰還命令を頼むわよ』
海未「分かりました」
海未「…ここにいるのは穂乃果、にこ、私だけですか」
- 48 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 20:19:11.33 ID:Zb9BAeth.net
- 海未「…もしもし?希ですか?」
希『あー、うん』
海未「何があったかは知りませんが、今すぐ帰還してください」
希『分かった。ついでに花陽ちゃんも連れてくね〜♪』プツ
海未「あ、ちょ、希!?花陽って!?」
海未「…ダメです、切れました」
にこ「どうせネタばらしするんだから…」
海未「し、しかしこの能力…あまり使いたくないものですね。デメリットが大きすぎます」
にこ「デメリットぉ?」
海未「ええ。私が花陽を驚かしたときに、確かに絶叫は聞こえたんですが…『目はあまり見えなかったんです』」
海未「おかげで追いかけることができず…」
にこ「にこはそんなものないわよ?」
- 49 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 20:23:52.65 ID:Zb9BAeth.net
- 海未「え?」
にこ「まずこうやって伸ばすでしょ〜?」ウネーン
穂乃果「(やっぱりいつ見ても気持ち悪い…)」
にこ「で、戻す」ブンッ
海未「な、何か気分が悪くなったりしませんでしたか…?」
にこ「特にないわよ」
海未「ということは…にこだけ特殊なんでしょうか」
にこ「と、ということは…!?にこだけ特別なそんざいぃ!?さっすがにこね!!!」ウネーン
海未「気持ち悪いからやめてください…」
にこ「あんたがやれって」
海未「言ってませんが」
にこ「う゛っ……!」
- 50 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 20:26:39.78 ID:nL4QNadD.net
- みてるぞ
- 51 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 20:30:12.61 ID:Zb9BAeth.net
- ―数分後
バンッ
海未「あ、無事みたいですね」
希「いや〜苦労したなぁ〜」
凛「き、気持ち悪いにゃ…」
花陽「凛ちゃんしっかり!」
絵里「げほっ……」
にこ「い、色々大変そうね」
穂乃果「みんな大丈夫なの!?」
海未「凛も絵里も…やはり能力によるデメリットは私だけではないようです」
海未「病気に詳しい真姫に聞いてみましょう…」
- 52 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 20:39:28.21 ID:Zb9BAeth.net
- 真姫『ふ〜ん?で、体温は?』
海未「華氏102.2度です」
真姫『普通に摂氏でいいわよ…39.0℃ね。で、体温計はサーミスタね。測り方は舌下?腋?』
海未「舌下です」
真姫『ま、触んなくとも額は熱いと思うわ。間違いなく熱ね。ゆっくり休ませてあげなさい」
海未「分かりました」
海未「絵里は高熱39.0℃で間違いないようです」
にこ「そ、それじゃあ凛は…?」
凛「クラクラするにゃ…」
希「恐らく貧血やと思うなぁ…顔色があまりにも悪すぎるで?」
- 53 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 20:46:48.32 ID:Zb9BAeth.net
- 花陽「……」ブルブル
穂乃果「あ、花陽ちゃん大丈夫?寒い?」
希「そりゃあんな極寒の地にいたらなぁ…」
―みんなの言ってる意味がわかんないよ―
―私は小泉花陽…普通の生活を送っているはずだった―
―ところが…車に轢かれそうになるわ絵里ちゃん達がよく分からない力使うわ―
―全く日常とは思えない…そんな日になってしまった―
海未「花陽…話したいことがあります」
- 54 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 20:57:14.23 ID:Zb9BAeth.net
- 海未ちゃんから声をかけられたが、もう聞く気もあまり起きない。
今日は元気がない。
海未「もう気付いてると思いますが…」
何もわかんないよ。
何に気付けばよかったの。
海未「この部室にいた花陽以外の8人が……『妖怪の能力』を使えるようになったのです」
…妖怪?
海未「私の能力は妖怪と言っていいのか分かりませんが…」
花陽「もしかしてあの八尺様…海未ちゃんが能力を使ってたってこと?」
海未「八尺様…?もしやその名前は、八尺の背丈になることを意味していたのですね?!」
そう。そういうことになる…なってほしくなかったが。
- 55 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 21:01:52.70 ID:Zb9BAeth.net
- 海未「ただ、1人だけ能力がはっきりしない人が…」チラ
穂乃果「……」
海未「穂乃果です」
穂乃果ちゃんの能力…はっきりしない…
海未「効果があるのかすら分からないんです。それに、いつ発動して、いつデメリットが生まれるかも」
希「一応この部屋に入った人みんなが使える…ってことは」
海未「ッッ、まさか!?」
希「花陽ちゃん…」
―私も、能力が使用できる…ということ?―
- 56 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 21:11:14.11 ID:Zb9BAeth.net
- 花陽「で、でも何も起きないよ?」
希「何か発動させるキッカケがあるはずや…」
花陽「うーん…あ、おにぎり食べたら何か起こるかな?」
にこ「発動させても、デメリットがあんたにはあるかもしれないんだし、止めといた方がいいわよ」
花陽「そ、そっか…」
多少のリスクを背負ってでも、助けてくれた絵里ちゃん達には礼をしたい。
どうにか能力の発動条件を見つけなくちゃ…
プルルルルルル
にこ「…?絵里の携帯鳴ってるわよ。誰からよ」
From:A-RISE
To:絢瀬絵里さん
本文
よくもやってくれたわね?
- 57 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 21:14:03.44 ID:Zb9BAeth.net
- にこ「「よくも…?」
海未「な、何ですかこれは!? ちょ、ちょっとそーっとカーテン開いてくださいね?」
にこ「どうしたのよまったく…そーっとって…」
にこ「!?」
希「何なに〜?」
希「!?」
花陽「えっ?」
一体何があったのか。恐る恐るカーテンの幕を少しだけ開き…
見たものは絶望だった。
- 58 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 21:21:23.04 ID:Zb9BAeth.net
- 何者かは分からないが、『大量の何か』が音ノ木坂学院を包囲している。
ぞろぞろぞろ…と、総勢何人かは確認できないが…200人は多分超えてる…?
花陽「い、一体これは…」
海未「制服はUTXのもので間違いないと思います…あ、こちらにも」
にこ「あ、じゃないわよ!これどんだけいるのよ!?」
希「包囲されちゃってるね…」
穂乃果「え、なにっ!?かこまれてるの??穂乃果達ピンチ?」
にこ「ピンチピンチ大ピンチよ!!穂乃果、さっさと能力見つけなさいよ!」
穂乃果「そ、そういわれてもわかんないもん…」
- 59 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 21:26:01.60 ID:Zb9BAeth.net
- 海未「絵里たちは一体何をやらかしたんですか…」
花陽「じ、実は…」
〜〜〜〜〜
にこ穂乃果海未「「「ええぇええええええええええ!!?」」」
希「ま、驚くのもしゃーないやんな♪何とかしなきゃ」
にこ「これ何とかなるものじゃないわよ!?理事長…そ、そうだ!理事長よ!!」
希「お、その手があった」
海未「急いで理事長室に向かいましょう。穂乃果は絵里と凛の面倒を見ていてください」
穂乃果「(穂乃果が面倒見られる側じゃないのって新鮮だなぁ…)」
- 60 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 21:30:33.89 ID:Zb9BAeth.net
- ―理事長室
理事長「事情は分かってるわ。さっき連絡が来たのよ」
海未「そ、それで…一体どうすれば」
理事長「作戦名 オペレーション:ディフェンド…とでも名付けましょうか」
希「…?」
理事長「ふふ、気にしなくていいわ。私が好きな合言葉だったのよ…で、作戦の内容なんだけど」
- 61 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 21:36:11.67 ID:Zb9BAeth.net
- ―1分後
理事長「もう時間は無いから簡潔に説明したわ。あとはμ'sのみんなと協力してください…」ボッ
理事長「出来る限り……サポートするわよ」ガラッ
バサッ
希「理事長も能力を…」
海未「それより、もう時間がないんです!早くしないと攻められますよ!?」
にこ「生徒はどうすんのよ…?もう下校時間よ?こちらには勢力がないわよ」
海未「犠牲が出なくなるだけいいでしょう?」
にこ「ま、まさかあんた…μ'sと理事長だけで守り抜くって言ってんの?」
海未「それしか方法はないでしょう!?」
- 62 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 21:44:41.86 ID:Zb9BAeth.net
- ―真姫『なんか物騒になってるわね』
―ことり『うん…私ああいう戦争みたいなことやだ…』
―真姫『そりゃ私だって嫌よ…でも学院が潰れるのもね…』
―ことり『…ねえ真姫ちゃん…人って、戦争する時の目的をみんなこう言うんだよ』
『自衛のため』 って。
第一部 完
- 63 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 21:56:02.39 ID:Zb9BAeth.net
- 今日はここまで。ついでに整理↓ 第二部に続きます。
海未(八尺様) 240cmもの巨体に化けられる。代わりに視力が悪くなる。
ことり(雪女) 雪女に化けられる。代わりに??を起こす。
凛(カマイタチ) カマイタチに化けられる。代わりに貧血を起こす。
希(化け狸) 見たことがある者になら誰にでも化けられる。代わりに幻覚を見る。
にこ(ろくろ首) 首を外したり伸ばしたり出来る。デメリット無し
絵里(妖狐) 金狐に化けられる。代わりに高熱を起こす。
真姫(???) ???になれる。代わりに???。
穂乃果(???) 不明。
花陽(???) 不明。
- 64 :名無しで叶える物語(舞妓 どすえ)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 22:05:37.32 ID:RFfUwXSs.net
- 乙です
まさかこんなスレになるとは…
期待
- 65 :名無しで叶える物語(地図に無い島)@\(^o^)/:2015/06/22(月) 22:24:14.53 ID:msEv4qg1.net
- オッケー、乙
- 66 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/23(火) 17:24:01.67 ID:dP9azPY7.net
- 第二部
―部室
穂乃果「はぁ…」
花陽「元気出してっ!」ナデナデ
穂乃果「も〜穂乃果は子供じゃないもん!」
少し点滅する蛍光灯。ぐちゃぐちゃに散らばった椅子。
位置が大きくズレて、足がグラグラなテーブル。
そんな部屋の隅っこで、穂乃果ちゃんと私は一緒だった。
絵里「…ご、ごめん穂乃果。何故か熱くなっちゃって…」
凛「もう大丈夫…ってここどこにゃ?」
花陽「無理しないでね?」
穂乃果「全然いいよ〜?絵里ちゃんも凛ちゃんも無事だし、よかった…」
花陽「あ、ありがとう絵里ちゃん…あのときは」
絵里「別に構わないわよ…げほっ」
あの嫌な音が聞こえた直後の狐姿まで…鮮明に覚えている。
- 67 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/23(火) 17:31:13.15 ID:dP9azPY7.net
- 絵里「そういえば、花陽……説明、遅れてたわね」
花陽「それって、あの狐の…?」
絵里「ええ、そうよ。何があったかっていうと…」
花陽「う、ううん、別にいいの。もう海未ちゃんに説明してもらったから」
絵里「そ、そう…なら別にいいけど…」
絵里ちゃんが何か言いたげな表情で口を絶妙な間隔でとめている。
何かあるのか、と訝しげに思ってると、口が動き始めた。
絵里「この部屋に来たってことは、あなたも使える…そうよね?」
さっき知った。
花陽「うん、でもどんなものかは分からないの…」
- 68 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/23(火) 19:44:36.66 ID:dP9azPY7.net
- 絵里「そう…」
静寂に包まれる。時間は18時を過ぎ、雨も降り始めた。
…そういえば、何でここには雪が降らないんだろう?
気になってPCに手をかけた瞬間。
花陽「…っ!?」
右手が…変形していた。
- 69 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/23(火) 19:49:22.96 ID:dP9azPY7.net
- 何だこれ。 何で?!
穂乃果「花陽ちゃん?」
花陽「こ、来ないで!!」バッ
急いで両手とも腹の方へ隠し、蹲る。 何かがおかしい。
こんなの見られたら…。
穂乃果「…な、な………何それ」
花陽「…ふぇ?」
手は隠したし、足は特に変化がない…と思っていた。
穂乃果「歯、歯が…」
…嫌な予感がする。
- 70 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/23(火) 19:56:28.00 ID:dP9azPY7.net
- 恐る恐る鏡に顔を向けてみる。
花陽「…は?」
犬歯が異常に発達していた。 まるで…『牙』だ。
花陽「な…な…」
と、今の状況についていけず、『狼』みたいな私は頭が狂い始めた。
すると…
ドガンッ!!
と、部室の外から何かのドアを蹴った音が聞こえた。
穂乃果「花陽ちゃん…」
花陽「穂乃果ちゃん!!今はこれはどうでもいいから、今すぐ移動するよっ!!」
絵里「ちょ、ちょっと…?」
凛「凛は大丈夫にゃ〜…って何それぇええええええええ!?」
- 71 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/23(火) 20:03:01.22 ID:dP9azPY7.net
- 間違いない。UTXの奴らが近付いてきてる。
確かこの部室の横には部屋があったが…そちらにもドアは付いてるし、逃げ場が少ない。
だとすれば…?
花陽「絵里ちゃんっ!!私に乗って!!」
4つん這いになってみる。いける気がする。
鋭い爪が生えた手、筋肉が発達した足… そして安定した背骨。
『逃げるため』に用意されたようなものじゃないか。
- 72 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/23(火) 20:10:54.46 ID:dP9azPY7.net
- 花陽「穂乃果ちゃんは凛ちゃんと一緒に屋上に逃げて!!」
穂乃果「お、屋上って逃げ場が…」
凛「分かったにゃ! 穂乃果ちゃんいっくよ〜!!」タッ
そう言って、穂乃果ちゃん達は部室の扉を開けて屋上に伸びる階段へ忍び歩いていった。
これで、いい。なぜなら…
今は玄関が危険だからだ。いくらこそこそしようが、生徒が待ち伏せているに違いない。
かといって部室の窓から出てしまえばすぐ追いかけられてしまう。
ここは海未ちゃん達を待つのが策かもしれないが…
もう、時間がないんだッ…!!
そう覚悟を胸に問い、答えが出た。一瞬にして…スタートを決めた。
- 73 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/23(火) 20:20:13.34 ID:dP9azPY7.net
- ―教室
プルルルルルル
海未「…花陽から電話が」
にこ「とっとと済ませなさいよ?もう下に来てるんだから」
海未「はい、分かってます…」
海未「もしもし」
花陽『海未ちゃん!?今どこっ!』
海未「今は…にこ達の教室ですが?」
花陽『きょ、教室ぅ!?海未ちゃんそこ危ないよっ…さっきから教室のドアが蹴り破られる音が聞こえてくるの!』
海未「ということは…私達に近づいている、ということですね」
花陽『う、うん。穂乃果ちゃんと凛ちゃんは屋上に向かわせたよ。追い詰められた時は海未ちゃんがどうにかしてね!』
海未「ちょ、どうにかって…はぁ」
海未「…にこ、希。何か隠れる方法はありませんか?」
- 74 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/23(火) 20:25:19.24 ID:dP9azPY7.net
- 希「う〜ん…定番なのはロッカーやけど…1つしかないし」
希「あっ!」
〜〜〜〜〜
にこ「せ、狭いわよこれ!!」
希「仕方ないやん…」
海未「狭すぎませんか…?不潔ですし、何か良い気分ではないです」
希「も〜!じゃあ海未ちゃんがウチのロッカー来ればいいやん!」
にこ「ちょ、それはやめてよ!?にこはぁ〜希のがいいなぁ〜?」
希「よーし、にこっちのものになりましたー!」
海未「はぁ…そろそろ来ると思いますし、静かにしてください」
- 75 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/23(火) 20:29:56.14 ID:dP9azPY7.net
- 海未「(希がロッカーに化けてその中ににこが入り、もう片方の本物には私が入る…)」
海未「(なかなかのアイデアですね。希の能力は戦闘にはあまり優れてませんが、人を欺く力はあるみたいです)」
コツ・・・コツ・・・
ドンッ
…ガサッ
…バコンッ
にこ「(あんのバカぁぁぁぁ…!!にこの机勝手に見てんじゃないわよっ…ぉぉぉぉおおお!?)」
希「(お、落ち着いてにこっち…あとでたっぷりやり返せばいいんよ)」
海未「(緊張しますね…)」
- 76 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/23(火) 20:39:34.74 ID:dP9azPY7.net
- ドンッ
…
海未「(行ったみたいですね…)」
海未「(一応確認として見ておきましょう…)」
私は、ロッカーの覗き間から目をそーっと表しました。
海未「(誰もいない…んでしょうか)」
目を覗かせて、もう一往復。
右、いない。
左、いない。
右、いない。
上、いない。
下、いな…………………
ザクッ
海未「……ッ…ッがふっ……」ビチャ
希「(…!?)」
にこ「う、海未…?」
- 77 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/23(火) 20:46:32.02 ID:dP9azPY7.net
- 海未「…」
希「海未ちゃん!?」
―
私、矢澤にこ。 今、最悪の状況を目の当たりにしている。
にこは、こんなことを望んではいなかった。海未が『何者かによって刺された』かなんて。
まさか、ロッカーがバレてたなんて。
希「ど、どうしよ…」
にこ「…」ブルブル
もちろん強がってなんかいられない。
どうせ声なんか出したって震える。何言ってるか分からないかもしれない。
それよりも先に、能力の本能が動き始めた。
にこ「… あんた、誰」
刺した犯人に向かって、首を伸ばして問い詰めた。
- 78 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/23(火) 20:52:09.73 ID:dP9azPY7.net
- 「うわ…思ったより迫力あるな」
多少ドン引きの様子だった。しかし、そんな相手の観察などしてる場合じゃない。
さっさと正体を現せ、と表情に出ているのか。
その犯人は自らマスクを外した。
その姿を見て、表情にまた感情が加わった。
英玲奈「久しぶりだな?」
―死に晒せ、と。―
- 79 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/23(火) 20:53:41.60 ID:dP9azPY7.net
- 今日はここまで。次回、戦闘に移るか、花陽サイドのお話です。
- 80 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/24(水) 17:33:06.40 ID:HSB4U1WV.net
- ―怒りを噛んだ。
海未がやられたことに対する最大の…最大の……何だ?
とにかくよく分からないが…目線が『奴』の真上からになる。
ここなら、いける―!!!
最大限の感情をあらわにし、隠し持っていた調理室のナイフを取り出す。
柄を口に咥え、刃を奴に向ける。
にこ「…」スゥゥ
体をこれでもかと言うほど反らし……首を思いっきり振った。
- 81 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/24(水) 17:38:25.31 ID:HSB4U1WV.net
- 反動で肩から後ろの筋肉がつられそうになるが…
そのまま、凶器と化した頭を高速で奴にヘッドバンキングした。
ビリッ
―そう、普通は当たらない。
にこ「…伸びない、ならね」シュルルル
奇妙な音を立てて一瞬で配置に戻る頭。目線を戻して前を改めてみるが…
服が裂けただけだった。
- 82 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/24(水) 17:44:17.67 ID:HSB4U1WV.net
- にこ「チッ…もう一度ッ!!」スポン
英玲奈「驚いたな…伸縮だけでなく脱着も可能かっ…」
にこ「余所見してんじゃないわよ!!」
スパンッ
と、気分が良い音がなる。しかし、これもまた…
カスりダメージだった。
英玲奈「命中率が上がっているのは分かるが、そう何度も使っては…」
にこ「うるさいっ!!」ブンッ
伸縮を使い、首で奴の体に丸ごと巻きついてやった。
英玲奈「クソッ…離せ!」シュル
- 83 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/24(水) 17:48:02.13 ID:HSB4U1WV.net
- …? 瞬間、違和感を感じた。
英玲奈「これで手強いと認識するのは癪だな…」シュルルルル
やだ。何これ。気持ち悪い。首に何かが付いてる。
ザクッ
―ッッ!?!?
―あっ…がっ……
希「に、にこっち!今すぐ縮ませるんや!!」
―で、出来るならやってるわよ……
―も……うだめ…… 。
- 84 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/24(水) 18:04:17.84 ID:HSB4U1WV.net
- ―
今、何が起こったか。
英玲奈「・‥ん?東條さんか」
英玲奈「あなたも一応、敵として見なしているからな…」シュルッ
ガッ と、服が伸びるほど引っ張られ、襟元が彼女の『何か』に噛み付かれる。
希「…」
英玲奈「何だ、覚悟は済んでいるのか」スッ
―もう、いいや。 どうせ…どうせ…
涙が目から零れ落ちてくる。唇を思い切り噛むことには、悔しさと悲しさと怒りが
中途半端に混ざったものだっt
ドゴンッ
- 85 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/24(水) 18:09:10.98 ID:HSB4U1WV.net
- ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
希「な、何や!?」
英玲奈「…何だ?」
―耳を劈く奇音。 何があるのだろう?
ちょっと目を瞑っただけなのに、四方八方に巨大な影が出来ていた。
「……校則違反です」
ガンッと、その巨大な『影の主』は…長い髪を垂らし、血管が隆起した両手を持っていた。
希「…よかった」
- 86 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/24(水) 18:15:55.80 ID:HSB4U1WV.net
- ―海未ちゃんが、ブチ切れてたのだ。
海未「さーいーわーいー私の力は肉体強化ですので、生命が存在しているかーぎーりー、回復が可能なんでぇーすねぇー?????」
海未「ねぇええええ!!?」ドゴンッ
教室のタイルが豪快に剥げる。そのまま天井に突きつけられて、バァンッと音をたてた。
英玲奈「くっ…!」シュル
『何か』の拘束が解けた。今のうちに海未ちゃんの支援に回りたいところだが…
ドゴンッドッゴンッ
バコンッズゴゴゴゴゴ
ドガンドガン
…どうにも近づけない。
- 87 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/24(水) 18:21:07.92 ID:HSB4U1WV.net
- 英玲奈「勝手に逃げんじゃないっ…!!」シュルッ
希「おっと!」シュンッ
英玲奈「なっ、消えた!?」
―違う。消えたわけじゃない。隠れたわけでもない。『化けたんや』。
足元のペンにお礼を言って、実体から蛍光灯に化けた。
―ウチの能力は多分、『目に見える範囲内のものに化けることが出来て、物質量などは一緒』や…
ペンになったときも確かに体が軽くなった…!!
いくで…化け物め!!!
- 88 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/24(水) 19:55:14.82 ID:HSB4U1WV.net
- 盛大なブーメランを投げ、戻ってくる前に…『奴』に突っ込んだ。
英玲奈「やっぱり来たかっ…!!」シュルッ
希「えいやぁぁあああっ!!」ポン
声は、囮。 教室を見渡し、ある巨大な物を発見した。
希「(これなら…!)」
一瞬で脳が許可を出し、『黒板』への変化を開始する。
しかし、それは一瞬のことだった。
『奴』がどんな超人であろうと、マッハ超えの変身速度には追いつけない…!
希「おりゃぁっ!」
- 89 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/24(水) 20:02:26.42 ID:HSB4U1WV.net
- ズドンッと、大きく鈍い音が耳に入ってきた。
海未「ッ…」
巨体の海未ちゃんが手を2回はたき、ホコリ臭そうに息をフッと、吹いていた。
海未「これで終わりですか?」
―そうしたいのだが。
希「いや…終わりやない……それどころか…」
希「始まりや」
目は充血し、血の線があらゆるところに張り巡らされていた。
統堂英玲奈…彼女の能力はまるで……
―蛇だった―
英玲奈「…重いんだが」シュルルル
- 90 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/24(水) 20:03:29.04 ID:HSB4U1WV.net
- 今日はここまで
- 91 :名無しで叶える物語(舞妓 どすえ)@\(^o^)/:2015/06/24(水) 20:54:49.09 ID:LANtma+g.net
- 乙です
- 92 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 17:10:19.49 ID:BYgBa6Le.net
- 英玲奈「仕方のないことだ…」シュンッ
奴が…蛇が、消えた。
希「な、なんや…?どこにいるん?」
声が震えるのと同時に、背後に悪寒を感じた。
そして。
英玲奈「いっぺん、黙っててくれないか」
―意識が遠のいた。
- 93 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 17:15:52.83 ID:BYgBa6Le.net
- ―屋上
穂乃果「寒いね」
凛「うん…」
穂乃果「ねえ凛ちゃん」
凛「なぁに」
穂乃果「花陽ちゃんを元気付けれたかな」
凛「多分元気にゃ」
穂乃果「だよね…狼になっちゃうんだもん」
凛「うん…」
穂乃果「凛ちゃん?」
凛「えっ? あ、いや何でもないよ?」
凛「何でも…」
- 94 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 17:27:38.05 ID:BYgBa6Le.net
- ―玄関
…家で調べ、ネットサーフィンの波と一緒に流れてきた情報を思い出した。
この絵里ちゃん…つまり妖狐は、一尾の狐。
金色の衣をまとうのは金狐という種類らしい。
いや、重要なのはそこじゃない…
何だ…? 何かあったはずだ…
この狐に関する重要なことが……
- 95 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 17:31:24.51 ID:BYgBa6Le.net
- 「あ、来たよ」バンッ
「やっちまいな!!」バンッ
銃声が聞こえた。
ただそれだけだ。
「なっ…!?避けたぁ?」
避けた気はしないのだが。
花陽「ああああああぁぁあああぁぁぁぁぁ!!!!!」ブンッ
無我夢中で、獣と化した手の爪を振り回す。
花陽「どいてよ!!!」ブンッ
「あ、あいつ危ない…」
「誰か背負ってないか?」
構わないで。この子に構わないで。
- 96 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 17:35:48.53 ID:BYgBa6Le.net
- 花陽「時間がないっ!!」
銃弾を横目に、コンクリートに爪痕を作る。
もちろん忘れちゃいない。
外に200人以上いることを。
花陽「…ッ!正門が封鎖されてる!?」
大勢もの生徒による弾丸は、毎秒何十発ものの速度に当たる。
流石にこれを避けきるのは至難の業…
花陽「い゛っ!!」ビッ
これだけ撃たれてもたった1発がカスる程度…?
- 97 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 17:40:19.24 ID:BYgBa6Le.net
- 計算しろ。
確かに弾道は見える。 でも…逃げ道が見つからない。
どこ行っても銃弾同士の間隔が狭すぎる。
下、上、右、左、斜め…3Dで思考しても…いくらしても無理だ。
花陽「も、もう…だめ」
たった1秒間もの覚悟に、哀れさを感じた
瞬間。
校舎の窓から、長髪の…何かが出てきた。
- 98 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 17:45:45.45 ID:BYgBa6Le.net
- 弾道の計算をしたのが無駄だったかのように。
UTXの生徒が次々と吹き飛んでいく。
何か…見覚えがある。
花陽「…八尺様?」
まさしく、数時間前に出会った…あの八尺様だ。
窓から顔をヌッと出し、体がガラス製のドアを開き、豪快に出てきたのだ。
そして、その八尺様こそ…『海未ちゃんだった』。
- 99 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 17:50:27.30 ID:BYgBa6Le.net
- 海未「こんな危ないものはしまってください」ゲシッ
お叱り&体罰。 あまりにも重過ぎる罰。
だが、あの巨体が味方ということに安堵を覚え、海未ちゃんのもとに走りこむ。
花陽「う、海未ちゃん…!」
海未「花陽…」
海未「今は来ないほうがいいですよ…」
花陽「え?」
海未ちゃんはそう言うと、3年生の教室の方を睨み付けた。
- 100 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 17:53:18.38 ID:BYgBa6Le.net
- 睨み付けられている点には……
『にこちゃんと希ちゃんがいた』…
いた……いた……………?
…え?
その2人は異常だった。
おまけに鮮やかな赤がプラスされ、めちゃくちゃに体中を塗られていた。
- 101 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 17:56:53.40 ID:BYgBa6Le.net
- 英玲奈「逃げるのか」シュルッ
海未「花陽っ!!下がってください!!」ドンッ
花陽「わ、わぁ!?」
グシャッ
と、耳に不快な音が。
花陽「う…海未ちゃん……?」
花陽「海未ちゃん? 海未ちゃん??!」
海未「花陽… 『ドクター』を…呼んで……くだ…さ…」
その場にへたり込んだ。目の前で、確かに噛まれたのだ。
あの…A-RISEの…!!
- 102 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 17:59:51.12 ID:BYgBa6Le.net
- 今はそんな考えをしている暇はない。
急いで…急いで『ドクター』を呼ばなくちゃ。
μ'sなら分かる…ドクターが誰かなんて!!!!
花陽「アオォォォォン....!!!」
鼓動を高ぶらせ、闇夜の空に叫ぶ。
来て…ドクターぁぁ!!!!
???「騒がしいわねぇほんと」
- 103 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 18:07:23.22 ID:BYgBa6Le.net
- …生命の鐘が、鳴り始めた。
真姫「はぁ…患者には優しくしなさいよ」カラッ
カラカラと軽快な音が鳴る。
花陽「ま、真姫ちゃん!!」
真姫「あーそうそう、私ね?気になって妖怪の能力について調べてたのよ」
真姫「そしたら、とんでもないことが分かっちゃったわけ」
顔を満面の笑みで埋め尽くし、気分を高ぶらせる真姫ちゃんは、その顔でこう言った。
真姫「見てりゃ分かるわよ」
瞬間、真姫ちゃんの腕が…『骨になった』。
- 104 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 18:12:20.10 ID:BYgBa6Le.net
- 真姫「要はこういってたわけ…」
更に、真姫ちゃんが両手をこすると…
真姫「『2つの能力が使える極まれなケースもある』…ってね♪」
まさに真姫ちゃんだった。
こすれば、『鬼火』のような浮遊体が姿を現したのだ。
英玲奈「だからどうしたと…?」シュル
奇襲がかかった。 が…?
真姫「どうしたで済むかしらねぇ?」カラカラカラカラ
ま た 巨 体 か 。
- 105 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 18:15:31.75 ID:BYgBa6Le.net
- 真姫「もう…お化けなんてきらい!!!」ブンッ
ブチッ
英玲奈「クソッ…!ひとつやられたか」
真姫ちゃんは、巨大な骸骨に変貌し、蛇の首をちぎり取った。
真姫「蛇肉パーティーにしてあげるわ!!」ボッ
巨大な鬼火が蛇を取り囲む。
英玲奈「あんまり調子に乗るな…!!」シュルルルル
- 106 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 18:20:53.02 ID:BYgBa6Le.net
- 蛇は、異世界にいざなうような動きで5頭同時に駆り出された。
が。
英玲奈「ああもう!!!」
カチッカチッと音が鳴る。
そりゃそうだ。相手は骨なのだから…!
真姫「ふふ、こっちから攻めちゃうわよ?」
英玲奈「…これで終わりだと思ったか」
- 107 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 18:30:24.83 ID:BYgBa6Le.net
- 真姫「はぁ?そうに決まってるでしょー?ほら油断してないで」
英玲奈「…蝶形骨、口蓋骨、肋骨、肩甲骨、舟状骨、大腿骨」
シュルルルル…
真姫「えっ?」バキッ
真姫「あっ…ああぁああ……!!!!」バタッ
花陽「ま、ま………真姫ちゃん…?」
真姫ちゃんの骸骨姿が崩壊していき、能力が解除されて元に戻ってしまった。
もうどうにもならないのだろうか…?
巨体はどちらも倒れ、目の前の蛇は1つ首失ったくらいでは効かんの如くうねり続けている。
花陽「もう…もう……あの子しかいない…!!」
- 108 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 18:36:25.98 ID:BYgBa6Le.net
- あの子ってただ挙げただけ。何も思いつきはない。
何もかも、こんな所で戦うのが悪いんだ。
もういいよ。どうせ勝てない。
花陽「地形のせいなんかにして…やっぱり花陽はめんどくさい子だなぁ」
下を向き、空ろな心をあらわにして蛇の前に立ち尽くす。
英玲奈「もう、邪魔はできないな」ガッ
襟元を掴まれ、ハイライトの無い彼女の目からただ逸らすだけ。
気持ち悪い…あんなの見たくない。
- 109 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 18:40:01.46 ID:BYgBa6Le.net
- 絵里「……あつい…」
花陽「え、絵里ちゃん!!!」
英玲奈「こんなのもいたのか?」シュル
花陽「や、やめて!!」
1頭の蛇が、倒れこんだ絵里ちゃんのもとへうねる。
花陽「う、うううう…!!」
…?
英玲奈「ッ!!? 何故だ…?」
- 110 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 18:43:47.15 ID:BYgBa6Le.net
- ことり「はぁーい♪ 暑がりの人がいると聞いて!」
ビュオオオオオオオオオオオオオオ
英玲奈「や、やめろ…!!」
―音ノ木坂学院が、一瞬で『南極大陸』になった。
秋葉原で起きたアレとほとんど同じ現象だ…!!
絵里「ありがとう、ことり…」
絵里「少しだけ…戦える」
ことり「どういたしまして〜♪」
- 111 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 18:49:09.13 ID:BYgBa6Le.net
- 手がかじかむ。 いや、それよりも何か重要なことに迫ってきている気がする。
そう、絵里ちゃんの狐の能力は…
ダメ、もう大切なシーンなのに…!!
ことり「しかし、こんなに強いとは思わなかったよ〜…ごめんね」
英玲奈「3人もろとも吹き飛んでくれ…!」シュルルルルルルル
さっきよりも抜群に威力が高いことがわかる。6頭なんて避けれるわけがない。
- 112 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 18:52:24.40 ID:BYgBa6Le.net
- ことり「う、うそ!?えいっえいっ…凍っちゃえっ…!」ビュオオ
ことり「い、いやだよぉおおおおおお!!!!!」
花陽「く、くぅっ…!あっちいけあっちいけー!!」ブンッ
花陽「誰か助けて…」
絵里「…」
やはり適わない…
―腹に違和感を感じた。
- 113 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 18:54:05.84 ID:BYgBa6Le.net
- ―屋上
凛「…」
穂乃果「ねえ凛ちゃん」
凛「何」
穂乃果「怒ってる?」
凛「別に」
穂乃果「そう…なんだ」
凛「…何?」
凛「そんなに心配なの!?凛のことが!?」
- 114 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 18:57:00.47 ID:BYgBa6Le.net
- 穂乃果「凛ちゃん?」
凛「あっ…ご、ごめんね……」
凛「…」ブルブル
穂乃果「…怖いの?」
凛「…」
穂乃果「…」
凛「ごめん、何か…もう自分でもよく分からないけど」
凛「すごく…こわいよ……」
穂乃果「…凛ちゃん」ギュッ
穂乃果「穂乃果が…穂乃果がいるからね」
- 115 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 19:02:11.86 ID:BYgBa6Le.net
- ―校庭
絵里「…」
英玲奈「本当に…本当にあなたは何も喋らないんだな」
絵里「…何も知らないから」
英玲奈「何も?」
何も。 何も知らないんだから。
ついていけないだけ。 何があって、何が目的で、何をしたか。
知りたい。
- 116 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 19:06:50.01 ID:BYgBa6Le.net
- それが何であろうと、私が判断する。
私の受け取り方で、それが何だったかで判断をする。
英玲奈「本当に知らなさそうだな」
英玲奈「何も知らないまま死んでもらうのは勿体無い」
さあ、何が起きたのか。 言ってみなさい。
英玲奈「矢澤にこ、園田海未、西木野真姫、東條希、そしてそこの小泉花陽と南ことり」
英玲奈「6名の抹消をしt
絵里「首絞めるわよ」
- 117 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 19:11:21.21 ID:BYgBa6Le.net
- 英玲奈「…そう焦らないでくれ」
絵里「どこに焦る要素が無いと?」ガッ
襟元を思い切り捻り掴んだ。
英玲奈「気が早すぎる。離してくれ」
絵里「冗談を聞いてる暇はないわ」
段々と、拳に伝わる血液が温度を上げていく。
- 118 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 19:15:38.52 ID:BYgBa6Le.net
- これは私の判断。
能力を使うのも、抹消に対する罰の内容も、自分自身の制御も。
全て…私の判断。
英玲奈「いい加減にしてくれないか…?」シュルッ
絵里「がぁっ…!」ザクッ
いくら感情が高鳴っていても、力は所詮適わないのだろうか…
否。
絵里「違う…違う違う違う……!!」
絵里「こんなの嘘よ…!」
- 119 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 19:19:01.89 ID:BYgBa6Le.net
- 英玲奈「なっ…!?」
絵里「全部、嘘ね」ガッ
―
…ここは…?
そうだ、確か…ことりちゃんが来て…
これは…普通の手?
そっか…やられちゃったから元に戻ったんだ…
それにしても、さっきから光が眩しいなあ…
光…?
- 120 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 19:24:19.01 ID:BYgBa6Le.net
- 頭を上げた。
冷たい雪に倒れたままだったためか、体が痛む。
光の正体に目を向けると…
絵里「…ッ!」
英玲奈「く、くそ…何故効かない?!」シュルル
絵里「6頭目〜」バシュ
英玲奈「や、やめてくれ!!!」
光と闇が、吹雪の中で衝突していた。
- 121 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 19:32:36.79 ID:BYgBa6Le.net
- 絵里「もう…やめないかしら」
英玲奈「来るな来るなっ!!」シュルッ
絵里「蛇が可哀想よ、もう止めて」
英玲奈「どうして!」
絵里「蛇のせいにして、本人は逃げるなんて手口を使われるのは嫌だからよ?」
英玲奈「は、は?」
絵里「まだ分からないの?」
絵里「善悪を考えずに、自分を上げて他人を脅したり消したり…」
絵里「あなただって、『ひとつのグループ』の一員じゃない」
- 122 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 19:34:56.26 ID:BYgBa6Le.net
- 絵里「『ひとつになることの素晴らしさ』をあなたは忘れてる」
英玲奈「ひとつに…なるこ……と…か…」
花陽「絵里ちゃん…!」
蛇が…倒れた。
- 123 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 19:38:01.40 ID:BYgBa6Le.net
- ―――――
花陽「…んはぁっ!?!?!?!?」ガバッ
花陽「ゆ、夢……かぁ」
花陽「…でもよかった」
花陽「学校…間に合うかな」
- 124 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 19:42:09.62 ID:BYgBa6Le.net
- ―部室
にこ「悪い気分って感じなのよねぇ…」
にこ「な〜んか人を驚かせられるようなことない?それで花陽が元気になればね」
にこ「ほら、妖怪とか定番じゃない?首がうね〜んって」
絵里「なるわけないじゃない…」
にこ「ですよねー…」
バァンッ
花陽「はぁ…はぁ…!!」
希「お、本人やん♪」
にこ「げっ」
絵里「そんな急いでどうしたの?」
- 125 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 19:45:57.47 ID:BYgBa6Le.net
- 穂乃果「顔色悪いのかいいのかわかんないよ…」
ことり「待ってたよ〜?」
海未「花陽、率直に聞きたいことが」
凛「それより凛ね、最近お米にハマってきたんだにゃ!」
真姫「みんないっぺんに喋りすぎよ…」
花陽「ふ、ふふ…」
花陽「実はですね、夢でこわ〜いことがあったんですっ!」
花陽「それでね、怖いことっていうのは…」
第二部 完
- 126 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 19:57:20.10 ID:BYgBa6Le.net
- 後日
海未「偶然にもほどがありますね・・・ということは」
ことり「穂乃果ちゃんがいたから、学校は無事だった・・・」
絵里「つまり穂乃果は・・・」
8人「「「「「「「「座敷わらし!!」」」」」」」」
穂乃果「えっ?えっ?」
にこ「穂乃果ぁ?ちょっとにこの家こなぁい?」グイ
ことり「だ、だめだよ!ことりのだもん!」グイッ
海未「邪魔しないでください、私のです」グイー
凛「ずるいにゃぁ!凛のだよ!」グッ
花陽「ほ、穂乃果ちゃん!!」グイグイ
真姫「私を幸運にしなさいよ」ググッ
希「ウチのスピリチュアルパワーの強化にぜひ♪」グググッ
絵里「みんなずるいわよ!幸運は私が!」グイグイッ
穂乃果「も、もうやだぁああああ!!!!」
終
- 127 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 19:59:25.84 ID:BYgBa6Le.net
- これにて完結です! ありがとうございました! ↓最後に
真姫(がしゃどくろ、鬼火) 巨大な骸骨になれる。
穂乃果(座敷わらし) 周りに幸運をもたらす。代わりに離れると不幸が起こりやすくなる。
花陽(狼女) 狼になれる。夜にしかなれない。
- 128 :名無しで叶える物語(舞妓 どすえ)@\(^o^)/:2015/06/25(木) 21:12:39.18 ID:MropkBYy.net
- 乙です!
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