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真姫「呪いのピアノ」

1 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:03:07.20
季節外れのオカルトだぜええぇぇぇぇぇ

真姫ちゃんがとち狂ったりするので注意。

2 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:04:23.51
雨が、強く降っている。

灰色の分厚い雲が、音ノ木坂を覆う。

穂乃果「あーあ、嫌な雨だなぁ・・・今日の練習、頑張るぞーって思ってたのに・・・」

雨で練習が中止になってしまい、ぶーたれる穂乃果。

生徒会の仕事も特に無く、ぶらぶらと廊下を歩く。

耳を澄ましても、聞こえてくるのは雨音のみ。

・・・否、もう一つ、どこからか聞こえてくる音が。

3 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:05:31.94
♪〜〜♪〜〜♪

穂乃果「・・・ピアノ? ということは!」

タッタッタッタ!

走る穂乃果。 行き着いた先は音楽室。

穂乃果(・・・やっぱり! 真姫ちゃん)

中では、真姫がグランドピアノで演奏していた。

初めて2人が出会った日のように、音楽を奏でる真姫。 それを聴く穂乃果。

真姫「・・・ふぅ」

しばらく演奏した後、一段落ついたのか、真姫はピアノから手を離した。

4 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:06:56.35
パチパチパチ!

真姫「ん?」

穂乃果「まーきちゃん!」

真姫「穂乃果・・・何だかデジャヴね」

穂乃果「そうだねー なんか久しぶりって感じ」

真姫「今日は練習も無いし、凛と花陽は用事があるから先に帰っちゃった、久々にね」

5 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:07:40.55
穂乃果「やっぱり真姫ちゃんの音楽、好きだなー! 聴いてると落ち着くというか・・・
    弾いてるのが真姫ちゃんだからかな」

真姫「なっ・・・もうっ!/// 煽てたって何も出ないわよ///」カァァッ

穂乃果「ありゃりゃ、それは残念だなぁ」くすくす

真姫(もー! 本当にこの人はいつもいつも・・・どうしてこう恥ずかしい台詞を
   サラッと吐くのよ!)

穂乃果「どしたの真姫ちゃん?」

真姫「何でもない!」

何てことのないお喋りをする2人。

6 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:08:17.01
ふと、真姫が真剣な顔をして言った。

真姫「・・・私ね、時々考えるの もしもピアノの道を極めてたら、どうなってた
   かなって」

穂乃果「どうなってって・・・別に、今からでも全然遅くはないと思うけどな
    今だって、真姫ちゃんが作ってくれる曲のおかげで、μ'sは成り立ってるんだよ」

真姫「うーん・・・音楽を生業としたいかどうかは、まだ分からないわ」

穂乃果(真姫ちゃんがこんな風に語るなんて、この雨で滅入ってるのかな)

7 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:08:45.43
西木野家

真姫「ただいまー」

真姫ママ「まぁ! おかえり真姫ちゃん ね、ちょっと来て来て♪」

真姫「なぁに? どうしたの?」

母に連れられて居間を見てみると、そこに小さなピアノが置かれていた。

真姫「わぁっ・・・」

保育園のオルガンのような大きさの、小柄なピアノ。

8 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:09:46.30
真姫「これは?」

真姫ママ「以前うちの病院に入院したっていう人が、お世話になったお礼にって
     送ってくれたのよ♪」

真姫「結構古そうね」

真姫ママ「そう、年代物らしいわ でもどこか、高貴さを感じるわ」

真姫「そうかしら・・・」

ピロン♪ ポロン♪

真姫「あら、小さい割りに良い音鳴るじゃない」

9 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:10:11.30
真姫ママ「ね、気に入った? 何なら、真姫ちゃんの部屋に置いてみない?」

真姫「えっ 良いの?」

真姫ママ「もちろんよ♪」

真姫「まぁ、これくらいの大きさなら・・・ありがとう、お母さん」

夕食後、ピアノは真姫の部屋の片隅に運ばれた。

真姫「・・・よく見ると、所々塗装が落ちてるじゃない プレゼントにするには、
   ちょっとパッとしないわね」

じーーっ・・・

10 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:11:08.97
真姫「・・・少し弾いてみようかしら」

♪〜〜♪〜〜♪

真姫(!? な、何!? この感じ!?)

♪〜〜♪〜〜♪

真姫(す、凄く心地良い/// いつもと同じように弾いてるだけなのに、体が優しい
   音に包まれるような・・・///)

♪〜〜♪〜〜♪

真姫「・・・はっ! 何だったの今のは・・・? でも、このピアノ良いかも
   これを使えば、作曲も捗りそうね
   ふぁ〜・・・今日はもう寝ましょう」

11 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:11:51.06
翌日の放課後 西木野家

穂乃果「お邪魔しまーす!」

にこ「入るわよ」

真姫「2人とも、今日は来てくれてありがとうね」

穂乃果「久しぶりの真姫ちゃんの家! やっぱり広いなー」

にこ「それにしても、作曲の相談をするには不思議な面子よね
   海未とかの方が良かったんじゃないの?」

真姫「色々な人と話し合った方がインスピレーションが湧くのよ」

穂乃果「真姫ちゃんのおっへっや〜♪ ・・・ん?」

真姫「どうしたの?」

穂乃果「可愛いピアノ! 前来た時は無かったよね?」

12 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:12:26.23
真姫「あぁ、それね 昨日の夜、うちに来たの お客さんのお礼の品らしいわ」

にこ「へぇ〜 なんか古臭い感じだけど」

真姫「でも良い音鳴るのよ? ちょっと弾いてあげましょうか?」

穂乃果「わぁ♪ 真姫ちゃんのピアノ! 聴きたーい!」

♪〜〜♪〜〜♪

真姫(あぁ・・・やっぱり心地良い・・・/// この感じは一体何?
   身体が温かくなる・・・音が全身を癒してるぅ///)

穂乃果「・・・ねぇにこちゃん 真姫ちゃん、弾きながらうっとりしてるね」ひそひそ

にこ「本当ね・・・恍惚としてるわ・・・」ひそひそ

真姫「・・・ハァ///」

にこ「ねぇ・・・あんた自分の曲に酔ってない・・・?」

13 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:13:06.19
真姫「ヴェェエ!? そんな顔してた!?」

穂乃果「うん すっごく気持ち良さそうだった」

にこ「まさかそこまでナルシストだったなんて・・・」

真姫「ちっ 違うの! このピアノの音が凄く・・・心地良いの・・・」

穂乃果「へぇ〜 なんか不思議なピアノだね」

にこ(・・・別に・・・良い音だとは思うけど、そんなにうっとりする程じゃ・・・)

14 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:13:52.51
夜 西木野家

♪〜〜♪〜〜♪

真姫(はぅぅ/// どうしよう/// 病みつきになりそう///)

真姫ママ「こら真姫ちゃん、もう夜遅いのよ 大きな音を鳴らしちゃダメ!」

真姫「はっ はい・・・ (あぁ、終わっちゃった・・・)」

真姫ママ「ふふふ、真姫ちゃんったら・・・そんなにあのピアノが気に入ったのね
     送ってくれた人にお礼を言わなきゃ♪ 送り主は確か、○○さんだったわね
     えーっと、過去の患者の記録は・・・

     ・・・・・・あら・・・? ○○さんなんて人、記録には
     居ないわね・・・?」

15 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:14:38.71
翌日 音ノ木坂学院 授業中

先生「ここがこうであるからして、あれがこうでこれがそうなって・・・」

花陽「ふむふむ・・・」

凛「ZZZzzz・・・・・・」

真姫「・・・・・・・・・・・・」もじもじ

花陽(・・・ん? 真姫ちゃんどうしたのかな? 落ち着かない様子だけど・・・)

凛(むにゃむにゃ・・・にゃ? 真姫ちゃん、トイレにでも行きたいのかにゃ?)

真姫(ああぁぁぁ! ピアノ弾きたいぃぃぃ! 早く!
   早くあの音を聞きたいぃぃ!)もじもじもじ

16 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:15:31.36
放課後

穂乃果「練習の時間だぁーっ! やるぞーっ!」

凛「やるにゃあっ!」

にこ「底無しに元気な奴らねぇ・・・」

真姫「ぅぅ・・・あぅぅ・・・はぁ・・・はぁ・・・っ」

穂乃果「真姫ちゃん? どうかしたの?」

真姫「えっ!? いえ、何でも・・・ないの・・・」

にこ「・・・?」

真姫(ピアノピアノピアノピアノぉぉぉぉ!! 誰かぁ! 誰か私にあのピアノを弾かせて!
   ここに持ってきて! 時間を進めてよぉぉぉ!!)

17 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:16:10.18
絵里「はい! 今日の練習はここまで!」

花陽「はひぃ・・・疲れましたぁ・・・」

凛「もう終わり? 物足りないなぁー」

真姫「凛! 花陽! ごめん、私ちょっと先に帰るわね!」

びゅーーん!!

凛「わわっ 真姫ちゃん!?」

絵里「風のように去っていったわね・・・」

花陽「何か用事があったのかな?」

穂乃果「真姫ちゃん、なんか今日はずっと変だったよね
    練習中ずっと上の空というか、妙にそわそわしてるっていうか・・・」

にこ「・・・なーんか・・・おかしいわよねぇ・・・」

18 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:17:14.67
ズダダダダッ!

真姫(早く早く早く! ピアノを! あの音を!)

バンッ!!

真姫「ただいまっ!」

真姫ママ「わっ 真姫ちゃん! どうしたのそんなに慌てて!」

バタバタバタ!

真姫(もう少し・・・もう少しで・・・!)

19 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:18:56.23
♪〜〜♪〜〜♪

真姫「あああぁぁっ♥ 最高♥ 最高だわっ♥ この快感っ! この幸福感っ!
   たまらなぁい♥ もっとぉ! もっともっともっとぉぉ!!」

ジャーンジャーンジャーン!!

真姫「アハハハハハッ!!」

真姫ママ「真姫ちゃん! 何を騒いでいるの!?」

ガチャガチャッ

真姫ママ(部屋に鍵を・・・どうして!?)

ドンドンドン!

真姫ママ「こら! 真姫ちゃん! 部屋から出てきなさい!」

20 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:20:30.10
真姫(・・・誰? 私の演奏を遮るのは・・・邪魔するなんて許せないっ!!)ガクガク

真姫「うるさぁぁーーいっ!!!」

真姫ママ「まっ・・・!?」びくっ

真姫「私の演奏の邪魔をしないでっ!! 私はこのピアノを弾きたいのっ!!
   誰にも邪魔させない!! もう離れたくないっ!!」

真姫ママ(ピアノ!? やっぱりあのピアノ、何か変だわ!)

真姫ママ「真姫ちゃんお願い! ここを開けて! 調べてみたらそのそのピアノ、
     どこから来たら分からないの!」

真姫「やだやだやだぁーーっ!! ピアノ弾くのーっ!! 邪魔するなんて絶対に許せない!!
   許せないいぃぃぃーー!!」

ジャンジャンジャーーン!!

21 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:22:08.77
真姫ママ「真姫ちゃん・・・どうしちゃったの・・・!?」ぞぞぉっ・・・

真姫「ひひ・・・ひひひ・・・これでずっとピアノを引き続けられる・・・幸せぇ♥
   私の曲♥ 私のメロディ♥ ひゃははははははっ!!」

・・・・・・・・・・・・・・・

真姫「・・・誰?」

・・・・・・・・・・・・・・・

真姫「私の演奏を聴いてくれるの・・・?」ふらふら・・・

22 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:23:20.68
・・・・・・・・・・・・・・・

真姫「わぁっ・・・みんな・・・拍手してくれるのね・・・!
   嬉しい・・・みんな! 私の曲、もっと聴いてぇっ♪」

・・・・・・・・・・・・・・・

部屋には、真姫一人しか居ない。

ピアノから黒い煙のようなものが出てきて、真姫の周囲を漂っていた。

真姫「アハハハハハハハッ! キャハハハハハハハハハッ!!」

ジャーン! ジャーン! ジャーン!

23 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:24:09.38
翌日 学校

絵里「えっ!? 真姫が学校に来ていない!?」

凛「うん・・・風邪かなって思ったんだけど、そういう連絡は何も来てないし、
  携帯にも電話したんだけど出ないんだ・・・」

花陽「メールもしたけど音沙汰無しで・・・とても心配です・・・」

穂乃果「うーん・・・どうしたんだろうねぇ・・・」

凛「凛たち、今日は真姫ちゃんの家に行ってみるにゃ!」

花陽「うん! 心配だもんね!」

絵里「分かったわ じゃあ今日の練習は1年生抜きで・・・お願いね、2人とも」

りんぱな「らじゃーっ!」

24 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:25:45.16
西木野家

凛「着いたにゃ」

花陽「相変わらず大きな家だねぇ・・・」

ピンポーン

真姫ママ「はーい あら、凛ちゃんに花陽ちゃん!」

りんぱな「こんにちはー」

25 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:26:47.15
花陽「真姫ちゃんに会いに来ました 今日は学校お休みしてたから、お見舞いにと
   思いまして・・・」

凛「真姫ちゃん、風邪引いたんですかー?」

真姫ママ「う・・・そ、そうなの ちょっと厄介な風邪を患ってしまったの・・・
     治るまで時間がかかりそうなの」

花陽「そっ そうだったんですか!? 真姫ちゃん大丈夫かなぁ・・・」

凛「今、会うことは出来ませんか?」

真姫ママ「それが、今ぐっすり眠っているの 起こす訳にはいかないから今は
     会わせられないわ ごめんなさいね」

花陽「そうですか・・・じゃあ仕方ないね 今日は帰ろう、凛ちゃん」

凛「うん・・・」

26 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:28:08.52
ジャーン ジャーン ジャーン

凛「ん? ピアノの音?」

真姫ママ「あっ・・・!」ギクッ

花陽「真姫ちゃんの部屋がある方から聞こえてくるね?」

凛「むむぅ・・・おばさん、今真姫ちゃんは寝てるって・・・」

真姫ママ「あ・・・えっと・・・その、これは・・・」おろおろ

りんぱな「・・・・・・」じーーっ

真姫ママ「うぅ・・・分かったわ 上がらせてあげます けど気を付けて
     ・・・今の真姫ちゃん・・・普通じゃないの・・・」

凛「にゃあ?」

花陽「どういうこと・・・?」

27 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:29:05.12
ジャーン! ジャジャジャジャーン!!

花陽「な、なんか凄いピアノの音・・・」

真姫ママ「ま・・・真姫ちゃん? お友達が来てくれたわよ・・・」

コンコン・・・

凛「ま、真姫ちゃーん?」

真姫「アーッハハハハハハハハハ!!」

りんぱな「ひっ・・・!」びくっ

28 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:30:27.43
真姫「アハハハハッ!! イヒッ! ひひひひひひっ・・・くひゅっ・・・くひひ・・・
   くひゅひひひひひっ・・・ひゃはははははっ!! ハァーッ・・・ハァーッ・・・」

凛「な、何が起こっているの・・・!?」ぶるぶる

花陽「真姫ちゃん! 花陽だよっ! 凛ちゃんも居るよ! ねぇ! 聞こえてる!?」

ドンドンドン!

真姫「・・・・・・」

花陽「・・・真姫ちゃん・・・?」

真姫「うるさいって言ってるのにいいぃぃぃぃぃぃーーー!!」

ダァァンッ!!

29 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:31:55.72
花陽「ひっ!」

真姫「みんなぁ・・・みんな私の演奏を待ってる・・・私が弾かなきゃ・・・
   ゼェ・・・ゼェ・・・ゲホッ! ゲホッ!
   ・・・ああぁ・・・早く・・・早く弾かなきゃ・・・」

真姫ママ「真姫ちゃん! そこには貴方しか居ないでしょ! お友達になんてこと
     言うの! ここを開けなさい!」

真姫「アーヒャヒャヒャヒャヒャヒャァァァ!! 誰にも邪魔させない! 私の演奏は
   誰にも止められないぃぃーー!!」

30 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:33:06.47
ジャジャジャジャジャジャジャーーン!!

凛「こ・・・こんなの真姫ちゃんじゃない・・・」ふるふる・・・

花陽「何があったの・・・」ガタガタ・・・

真姫ママ「・・・ごめんなさい・・・今の真姫ちゃんはとても人と話せる状態じゃ
     ないの・・・本当にごめんなさい・・・」

りんぱな「・・・・・・」

31 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:34:09.01
夕方

穂乃果「真姫ちゃん大丈夫かな?」

絵里「凛と花陽が行ってるから、2人から事情を聞くしかないわね」

にこ「・・・ん? あれは・・・」

りんぱな「・・・・・・」トボトボ・・・

穂乃果「凛ちゃん! 花陽ちゃん!」

にこ「あんたたち、真姫の家に行ったんじゃ・・・」

凛「あっ・・・うぅ・・・うわーん!!」

花陽「真姫ちゃんが・・・真姫ちゃんがぁー! うえぇーん!」

穂乃果「あわわわ、どうしたの2人とも!?」おろおろ・・・

32 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:35:09.77
かくかくしかじか・・・

にこ「そ、そんなことが・・・」

凛「ふぇぇ・・・怖かったよぉ・・・」ぐすん

花陽「真姫ちゃんに何があったのが、心配で心配で・・・」ぐすぐす

絵里「あぁ、2人とも泣かないで・・・」なでなで

にこ「いよいよ怪しいわ これは只事ではないわね」

穂乃果「真姫ちゃんの身に何かが起こってる・・・何とかしなきゃ!」

33 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:36:11.25


プルルルルル・・・

真姫ママ『もしもし、西木野です』

にこ「どうも、こんばんは μ'sの矢澤にこです」

真姫ママ『まぁ、にこちゃん どうしたの?』

にこ「真姫ちゃんとお話がしたいんですけど、代わっていただけますか?」

真姫ママ『え・・・えっと、真姫ちゃんは今風邪を引いていて、部屋で寝ているの
     悪いけど・・・』

にこ「嘘ですよね?」

真姫ママ『えっ』ドキッ

34 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:37:18.48
にこ「今日、うちの1年2人がそちらへ伺いましたよね? 2人から事情を
   聞きました・・・真姫ちゃんに何があったんですか?」

真姫ママ『・・・そう・・・分かったわ、話します・・・
     真姫ちゃんは部屋に閉じ籠って、私が何を言っても出てきてくれないの・・・
     お友達が来てくれれば、何か変わると思ったのに、結局何も・・・』

にこ「どうしてそうなってしまったのか、何か心当たりは無いんですか!?」

真姫ママ『・・・確かなのは、真姫ちゃんがおかしくなったのは、新しく真姫ちゃんの
     部屋に置いたピアノが原因ってことね』

にこ「ピアノ?」

にこ(・・・あの小さいピアノか!)

35 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:38:12.11
真姫ママ『あれを部屋に置いてから、真姫ちゃんはずっと、何かに取り憑かれたように
     ピアノを弾き続けて・・・私のせいだわ・・・私があんな得体の知れない
     ものを受け取ってしまったから・・・』

にこ「・・・・・・」

36 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:39:04.09
にこ『・・・ということらしいわ』

穂乃果「そうか、あのピアノが・・・」

今度は穂乃果と電話するにこ。 珍しく真剣な顔をして話を聞く穂乃果。

にこ『取り憑かれたように、ねぇ・・・案外本当に憑かれちゃったのかもね
   あのピアノが曰く付きで・・・なんて まったく・・・希が好きそうな話ね』

穂乃果「でも、あの真姫ちゃんがおかしくなっちゃうなんて、そうとでも考えないと
    あり得ないよ!」

37 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:40:16.32
にこ『明日は休日・・・ねぇ穂乃果 あんた、私が言おうとしてること、何となく
   察してるでしょ』

穂乃果「・・・もちろんだよ」

にこ『可愛い後輩が苦しんでるんだもの 何もしないなんて出来ないわ』

穂乃果「それじゃあ明日、真姫ちゃんの家に!」

38 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:41:20.76
翌日

にこ「・・・・・・」

穂乃果「にこちゃん!」

にこ「穂乃果! ・・・その荷物は?」

穂乃果は背中に、何やら黒い袋を背負っている。

ギターケースのようだが、少し違う。

穂乃果「あぁ、これ・・・もしかしたら使うかもしれないから・・・」

にこ「そう・・・じゃ、行くわよ」

39 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:42:15.47
西木野家

ピンポーン

真姫ママ「はーい」

穂乃果「こんにちは 高坂穂乃果です」

にこ「矢澤にこです」

穂乃果「真姫ちゃんに会いに来ました 会わせてくれますよね?」

真姫ママ「もちろんよ・・・上がって」

40 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:43:13.55
真姫の部屋の前

ジャーン・・・ジャーン・・・ジャーン・・・

穂乃果「確かに・・・ピアノの音・・・」

真姫ママ「昨日からずっと弾き続けているわ・・・今朝話しかけてみたんだけど、
     もう返事もしてくれなくなって・・・」

穂乃果「・・・・・・」

にこ「穂乃果?」

穂乃果「・・・持ってきて良かった・・・」

穂乃果は、背負っていた袋を開けた。中から出てきたのは、大型ハンマー。

穂乃果の身長の半分ほどある、大きな金槌。

41 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:45:17.51
にこ「それって・・・!?」

穂乃果「おばさん、ドア壊しても良いですか?」

真姫ママ「・・・もうそれしか無いようね・・・」

穂乃果「・・・ふんっ!」

ガァンッ!!

ガンッ! ガンッ! バキィッ!!

42 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:46:27.10
穂乃果「真姫ちゃんっ! ・・・!?」

にこ「こ、これは・・・」

ジャーン・・・ジャーン・・・ジャーン・・・

真姫「・・・ふふふふ・・・ふへへへへぇ・・・えへへへへぇぇ・・・ハァ・・・
   ハァ・・・ゲホッ! ・・・ひゃは・・・アハ♪」

部屋では、真姫がピアノの前ではしゃいでいた。

真姫「・・・あれぇ・・・ほのかぁ♪ にこちゃん♪ 私の演奏聴きに来てくれたのぉ?
   嬉しいぃ♥」

43 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:47:25.62
真姫の身体はやつれ、髪はボサボサ、目はどこを見ているのか分からず、薄ら笑いを
浮かべていた。

にこ(まさか・・・この前からずっと飲まず食わずで、一睡もせずに
   引き続けてたんじゃ・・・!?)

真姫「いひひぃ♪ みんな私の曲に拍手してくれてる♪ 私の曲で喜んでくれてるぅ♥
   もっと私の演奏きーて♪ きーて♪ キャハハハッ!」

バンッ!バンッ!

演奏している、と言うが、実際には鍵盤をめちゃくちゃに叩いて音を鳴らしているだけで
あった。その姿は、木琴のおもちゃで遊ぶ赤ん坊のよう。

44 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:48:22.42
穂乃果(こんなの・・・見てられないっ!)

穂乃果「真姫ちゃんっ! 目を覚まして! 学校に来て、またみんなで練習しようよ!
    凛ちゃんも花陽ちゃんも、みんな真姫ちゃんを待ってるよ!」

真姫「いやぁっ! 私どこへも行かない! 私はみんなの為にピアノを弾かなきゃ
   いけないの! 私の演奏を待ってる! 弾かなきゃ! 早く弾かなきゃぁぁっ!!」

バンッ!

にこ「何を言ってもダメそうね、これは」

45 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:49:13.43
穂乃果「仕方無い・・・にこちゃん! 真姫ちゃんをお願い!」

にこ「えぇ!」

にこは真姫の後ろから羽交い締めをし、真姫をピアノから引き離した。

真姫「なっ 何をするの!? 離してっ!」ジタバタ

にこ「大人しくしなさいっ!」

真姫「いやぁぁっ!! 離してよっ! 演奏しなきゃ! 演奏しなきゃ
   いけないのにぃぃーー!!」

46 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:50:05.21
穂乃果「・・・あれが真姫ちゃんの演奏だって!? 冗談じゃないよ! 真姫ちゃんの曲は
    μ'sを支えてくれる、素敵な曲なんだよ! みんなでワクワクしたり、テンション
    上げたり、楽しく踊ったり・・・穂乃果たちが歌って踊れるのは、真姫ちゃんの
    音楽があったからなんだよ! それなのにこんなことになっちゃうなんて・・・
    真姫ちゃんを惑わせるピアノなんか・・・こうしてやるっ!!」

穂乃果はハンマーを振り上げ、ピアノ目がけて力の限り振り下ろした!

バキィィンッ!!

47 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:51:25.06
真姫「やめてええぇぇぇーーー!!」バタバタバタ!

にこ「こら! 暴れるんじゃないわよ!」

穂乃果「えいっ! このっ! とりゃっ!」

バキッ! グシャッ! ガァーン!

真姫「やめてよぉ! 酷い! 私はみんなの為に演奏しなきゃいけないのに!
   みんながぁーーっ!!」

にこ「・・・・・・!!」

バシィンッ!!

にこが、部屋中に響くほど力いっぱい真姫の頬に平手打ちをした。

48 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:52:23.92
真姫「・・・!?」

にこ「みんなって・・・? そのみんなってのは誰よ!? どこに居るのよ!?
   そのみんなは、実の家族やμ'sの仲間より大事なわけ!?
   いい加減しっかりしなさいよ西木野真姫!!」

真姫「・・・あ・・・あぅ・・・にこ・・・ちゃん・・・?」

穂乃果「せぃっ!!」

バキャァッ!!

49 :名無しで叶える物語:2016/10/30(日) 23:53:24.03
穂乃果の手によって、ピアノは無惨にもガラクタと化した。

それと同時に、ピアノの破片の山から黒い煙がもくもくと出てきた。

ブワァッ!

穂乃果「!?」

にこ「これは!?」

真姫「はぁっ・・・あぅぅ・・・っ!!」

と思いきや、煙は少しずつ薄くなり、やがて消えていった。

真姫「・・・・・・」バタッ

穂乃果「!! 真姫ちゃんっ!」

50 :名無しで叶える物語:2016/10/31(月) 00:44:21.02
真姫「・・・・・・うーん・・・ん・・・」

穂乃果「!! 目を覚ましたよ!」

にこ「はぁ・・・焦らせないでよね・・・」

真姫「あれ・・・穂乃果? それに、にこちゃんも? 私、今まで何して・・・?」

にこ「え、あんた覚えてないの?」

真姫「えぇ・・・ピアノを夢中で弾いて・・・何も分からなくなって・・・」

真姫ママ「真姫ちゃんっ!」ぎゅうっ

真姫「わっ! お母さん・・・」

真姫ママ「良かった・・・良かったわ・・・ごめんね! ママのせいで・・・
         真姫ちゃん、苦しかったわよね・・・ごめんね!」

51 :名無しで叶える物語:2016/10/31(月) 00:46:39.14
真姫「そ、そう言われても何が何だか・・・」

ぐぐぅ〜〜〜

真姫ママ「あらあら」

真姫「ふぇっ!?/// な、何だか急にすっごくお腹が空いてきたわ・・・
      どういうこと!?///」
にこ「あんた、2日間何も食べずにずっとピアノを弾き続けてたのよ
      本当に何も覚えてないのね・・・」

真姫「ヴェエッ!? そうなのっ!? 恥ずかしい〜!///」

ぐぐぐ〜〜

穂乃果「あっ///」

にこ「いや、なんであんたもなのよ」

52 :名無しで叶える物語:2016/10/31(月) 00:48:32.62
真姫「はぐはぐはぐ!」

真姫ママ「たくさん食べてね、真姫ちゃん」

穂乃果「むひょーっ! サクサクのモチモチ! こんな高級パンなかなか
        食べられないよぉ♥」もぐもぐ!

にこ(まったく・・・ピアノを壊してる時はちょっとかっこいいと思ったのに、
      終わるとこれだもの・・・)

にこ「あの、私たちまでご馳走になってしまって良かったんでしょうか・・・?」

真姫ママ「もちろん! 真姫ちゃんを助けてくれたんだもの♪」

53 :名無しで叶える物語:2016/10/31(月) 00:51:12.05
真姫「・・・ぷはぁっ! ごちそうさま・・・ふあぁ〜・・・」

バターン!

穂乃果「あれっ 真姫ちゃん!?」

真姫「すーっ・・・すーっ・・・」ZZzz・・・

真姫ママ「あらまぁ、真姫ちゃんったら寝ちゃったわ」

穂乃果「食べた後すぐに寝ちゃうなんて、普段の真姫ちゃんだったら見られないよね」

にこ「無理もないわよ、睡眠だって全然取ってなかったんだから・・・
      それで、真姫ちゃんですが、すぐにお祓いなりしてもらった方が良いのでは?」

真姫ママ「えぇ、すぐにでもお祓いの依頼をするわ」

54 :名無しで叶える物語:2016/10/31(月) 00:52:53.23
その後、それなりに大きな神社に向かい、取り憑かれた真姫と、ピアノを壊した穂乃果が
お祓いをしてもらった。

また、バラバラになったピアノを持って行き、神主に調べてもらった。

55 :名無しで叶える物語:2016/10/31(月) 00:55:10.19
神主「ふむふむ、これは・・・奥様、危なかったですね このピアノには強い憎悪の念を
     抱いた悪霊が憑いていたようです ピアノを弾いた物を音色で虜にし、少しずつ
     生命力を吸い取るのです もう少し手を打つのが遅かったら、娘さんは命を
     奪われていたでしょう」

真姫ママ「そ、そんな・・・」

神主「しかしもう大丈夫です お祓いを済ませましたので このピアノは我々で
     処分致します」

真姫ママ「ありがとうございます・・・」

神主「それにしても、霊が憑いた物を破壊してしまうとは、勇敢なご友人ですね
     普通は近付くことすら躊躇ってしまうのですが・・・」

真姫ママ「そうね・・・やっぱり真姫ちゃんには、あの娘たちが必要なんだわ」

56 :名無しで叶える物語:2016/10/31(月) 00:56:29.41
数日後、ボロボロだった真姫も元気になり、無事登校を再開した。

真姫「凛! 花陽! 本当にごめんなさい! 貴方たちに酷い態度を取ってしまった
     みたいで・・・全然覚えてないけど・・・とにかくごめんなさいっ!」

凛「そ、そんにゃあ・・・悪いのは真姫ちゃんじゃないよ」

花陽「真姫ちゃんが無事で、本当に良かったよぉ・・・」

絵里「一件落着ね」

穂乃果「うんうん♪」

57 :名無しで叶える物語:2016/10/31(月) 00:57:47.64
放課後、練習が始まる前の時間。

真姫は音楽室に来ていた。

真姫「・・・当分ピアノは弾けないと思ってたけど、結局ここに来ちゃうわね・・・」

穂乃果「まーきちゃんっ♪」

真姫「わっ 穂乃果!? いつの間に!?」

にこ「私も居るわよ」

穂乃果「ねぇ真姫ちゃん 一曲演奏してみてくれない?」

真姫「え? ・・・良いわよ」

58 :名無しで叶える物語:2016/10/31(月) 00:58:50.06
♪〜〜♪〜〜♪

穂乃果「ふふん・・・やっぱり良いねぇ」

にこ「今回のことでピアノを弾くのが嫌いになってたらどうしようかと思ったけど、
     心配する必要無かったみたいね」

真姫「私も、しばらくトラウマになっちゃうかもって思ったんだけど・・・
     なかなかそうはいかないみたい」

穂乃果「やっぱり、真姫ちゃんの演奏はこうでなきゃ♪」

59 :名無しで叶える物語:2016/10/31(月) 00:59:45.39
真姫「ピアノは、変わらず好きよ・・・μ'sのみんなが楽しみにしてくれるなら・・・」

にこ「ん? 今なんて?」

真姫「なっ 何でもないっ!///」

穂乃果「さ、そろそろ練習の時間だよ! 行こう!」

にこ「えぇ! ほら真姫! ぼさっとしてないで!」

真姫「分かってる! ・・・行きましょ♪」

60 :名無しで叶える物語:2016/10/31(月) 01:00:45.54
こうして、事件は幕を閉じた。

しかし、あのピアノを送ったのは誰だったのか、何故西木野家に届けられたのか、
そして過去あのピアノに何があったのか・・・。

それは結局、分からなかった。


終わり

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