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曜「よーちゃんはね ××ちゃんっていうんだほんとはね」

1 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/12(日) 20:19:53.43 ID:cjHBT+pZ.net
曜「よーちゃんはね♪ ようちゃんっていうんだほんとはね♪」

曜「だけどちっちゃいからじぶんのことよーちゃんってよぶんだよ♪」

曜「おかしいな♪ よーちゃん♪」


梨子「曜ちゃん、おはよう。相変わらず朝早いね」

曜「おはよう! ごめんね、一緒に登校できなくて」

梨子「気にしないで。……それで、またその歌? 曜ちゃん、その歌好きだね」

曜「自分でもわからないんだけど、つい口ずさんじゃうんだよね」

梨子「ふふっ。でも、わたしもその歌好きよ。なんだかかわいくて」

曜「そう?」

126 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:03:37.85 ID:tpX5Kr1X.net
曜「……わたしの身体を使って?」

千歌「うん。勝手に使っちゃってごめんね」

曜「……ちかちゃん」

千歌「う、うん」

曜「そんなことができるようになったの!? すごいね!」

千歌「……へ?」

曜「ちかちゃんも成長してるんだねぇ。……それで、どんなお話したの?」

千歌「……へへっ、よーちゃんならそうだよね」

曜「……?」

千歌「言ったじゃん! コスプレの話、聞いてくるって! 梨子ちゃん、どんなコスプレでも大歓迎だってさ!」

曜「えっ……」


曜「ええっ!?///」

127 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:05:17.72 ID:tpX5Kr1X.net
梨子「今日は花丸ちゃんもルビィちゃんもいないわよね?」

曜「いないみたいだね」

曜「……ねぇ、梨子ちゃん」

梨子「なに?」

曜「昨日、ちかちゃんが梨子ちゃんに会いに行ったんだって?」

梨子「……うん。ちかちゃんから聞いたんだ」

曜「やっぱりほんとだったんだ。わたしも、こんなことはじめてだからびっくりしたよ」

梨子「……ちかちゃん、なにか言ってた?」

曜「えーとね、身体を勝手に使ってごめんなさいとか、よーちゃんのことちかちゃんだと思っててごめんなさいとか。二つ目のはよく分からなかったけど」

梨子「……そう」

128 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:06:09.88 ID:tpX5Kr1X.net
曜「あ、あとね……///」

梨子「……?」

曜「梨子ちゃん、どんなコスプレでも大歓迎だって。ほんと……?///」

梨子「え!? な、なんで!? わたし、別にそんな趣味はないって言ったよ!?」

曜「あっ、そうなんだ……。じゃあ、ちかちゃん、わたしに気を使ってくれたのかなぁ。ごめんね、変なこと聞いて」シュン

梨子「うっ……、ま、まあ、曜ちゃんがどうしてもって言うんだったら? 付き合ってもいいけど?///」

曜「ほんと!? やったぁ! じゃあ、今日、練習終わったら家に来てね!」

梨子「え? う、うん」

129 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:08:23.14 ID:tpX5Kr1X.net
曜の部屋

曜「いらっしゃい!」

梨子「これ、全部衣装なの……?」

曜「うん! えっとね、梨子ちゃんに似合いそうなのは、やっぱりナース服かなぁ……、あっ、でも、警察服も捨てがたいなぁ……」

梨子「ほ、ほどほどにしてね」


曜「すごい! 梨子ちゃんかっこいい!」

梨子「これ、何の服なの?」

曜「セーラー服だよ! もともとは水兵さんの服なんだ!」

梨子「へぇ」

曜「敬礼してよ敬礼! こうやって、ポーズとってさ!」

梨子「こ、こう?」

曜「そう! 梨子ちゃんすごくいいよ! ヨーソロー!!!」

梨子「よ、よーそろー……」


曜「梨子ちゃんかわいい!」

梨子「あ、ありがとう」

曜「やっぱり巫女服は王道だよね! 梨子ちゃんの髪、少し赤みがかってるからいいよね! 巫女服の白とのコントラストがさぁ!」

梨子「そ、そうね」

曜「梨子ちゃん、今度のお正月、巫女さんのバイトしたらどう!? わたし、紹介しようか!?」

梨子「か、考えとくね」

曜「うん!」

130 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:10:01.15 ID:tpX5Kr1X.net
曜「次はね……」

梨子「よ、曜ちゃん、少し休ませてもらってもいいかな? ちょっと疲れちゃった」

曜「あっ、そうだよね。ごめんね」

梨子「ううん。……でも、曜ちゃんにこんな趣味があったのね」

曜「そうなんだ。やっぱり、変かな?」

梨子「そんなことないよ。いつもよりテンションの高い曜ちゃんも、かわいかった」

曜「えへへ、梨子ちゃんならそう言ってくれると思ってたよ」

梨子「ふふっ」


梨子「ねぇ、曜ちゃんってさ、ちかちゃんのことどう思ってるの?」

曜「ちかちゃん? うーん、友達っていうのも違うんだよね。やっぱり家族かなぁ。私たち、姉妹だし」

梨子「あれ? 知ってたんだ」

曜「いや、お母さんを見て気付かない方がおかしいよ」

梨子「あっ、それもそうね。……でも、曜ちゃんのお母さん、曜ちゃんはそのこと知らないって思ってるみたいよ」

曜「だって言ってないし。お母さんがそれを隠そうとしてるの、なんとなく分かったから」

梨子「そうだったんだ」

131 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:11:30.98 ID:tpX5Kr1X.net
梨子「ねぇ、もしもちかちゃんが消えちゃったらどうする?」

曜「そんなこと考えたくもないけど、……すごく悲しくて、寂しくて、おかしくなっちゃうかな」

梨子「……そうだよね。家族だもん」

曜「なんでそんなこと聞くの? ちかちゃんに何か言われた?」

梨子「う、ううん。何でもないの。ごめんね、変なこと聞いて」

曜「……うん」

梨子「…………」


曜「……よし!」

梨子「……え?」

曜「続き、しよっか! まだまだ梨子ちゃんに着てもらいたい服があるんだ!」

梨子「まだするの!?」

曜「もちろん! さっ、はやく!」

梨子「はぁ……、もう少しだけだからね」

曜「了解であります!」

132 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:13:12.16 ID:tpX5Kr1X.net
千歌「よーちゃん! コスプレ、どうだった!?」

曜「さいっこうに楽しかったよ! 梨子ちゃん、かわいかったなぁ……!」

千歌「……やっぱり付き合ってあげたんだ」

曜「え?」

千歌「ううん! なんでもない! さて、今日は何して遊ぶ!?」

曜「うーん、どうしよっかなぁ」

千歌「ふんふんふふん♪ ふんふふんふふんふふん♪」

曜「…………」

曜「……ねぇ、ちかちゃん」

千歌「ん? なあに?」

曜「ちかちゃん、いなくなったりしないよね?」

千歌「今までずっといっしょだったんだよ? いなくなっちゃうわけないじゃん!」

曜「……そうだよね」

千歌「うん! ……それで、何したいか思いついた?」

曜「……あれなんかどうかな! ほら、前に……」

133 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:14:27.34 ID:tpX5Kr1X.net
梨子の部屋

梨子「はぁ、疲れたよぉ……」

梨子「でも、曜ちゃんが嬉しそうだったしいいよね」

梨子「…………」

梨子「……家族、か」


梨子(たしかにちかちゃんの言うことも分かる)

梨子(だけど、本当にこのままでいいの?)

梨子(このまま……ちかちゃんが……)


梨子「……おやすみなさい」

134 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:16:48.95 ID:tpX5Kr1X.net
放課後 喫茶店

鞠莉「それでね、ダイヤったらそれを見て大声を挙げたの! ルビィちゃんみたいに、ピギィ! って!」

花丸「へぇ〜、ダイヤさんがそんな声を出すなんて、全然想像できないずら」

ルビィ「お姉ちゃん、家ではけっこう悲鳴をあげること、あるよ。わたしがお姉ちゃんのプリンを食べちゃったときとか」

善子「それ、完全にルビィのせいじゃない」

ルビィ「え? そうかなぁ……」

梨子「…………」

鞠莉「梨子ちゃーん! 元気がない! もっとトークしましょう!」

梨子「あっ、はい」

鞠莉「なぁに? また喧嘩?」

梨子「いえ、そういうわけじゃ……」

135 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:18:39.36 ID:tpX5Kr1X.net
花丸「梨子ちゃんと曜ちゃん、すごく仲良しなのに、それでも喧嘩することあるんですか?」

鞠莉「仲良しだからこそ、喧嘩することもあるのよ! 例えば、曜ちゃんが他の女の子といちゃいちゃしてて、嫉妬ファイヤー! しちゃうとか!」

善子「そうね。一説によると、ルシファーは人間に嫉妬して神様と喧嘩したなんていわれているわ。そして堕天したの。――このわたしのようにね!」

花丸「はいはい。分かったよ、善子ちゃん」

善子「だから善子言うな!」

ルビィ「……大人の世界だよぉ」

梨子「ちょ、ちょっと! 本当に喧嘩したわけじゃないんですって! ……曜ちゃんのことっていうのはその通りなんですけど」

鞠莉「お付き合いしてるんだったら面と向かって話しちゃえばいいじゃない! そうすればオールオッケーよ!」

花丸「たしかに、鞠莉さんの言うことも一理あるずら」

梨子「……やっぱりそれが一番なのかなぁ」

136 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:20:08.45 ID:tpX5Kr1X.net
ダイヤ「ルビィ! 帰りますわよ!」

ルビィ「あっ、お姉ちゃん! それじゃあ、ルビィ帰るね。みんな、ばいばい!」

花丸「ばいばい!」

善子「またあしたね」

梨子「…………」

梨子「……ごめんなさい! わたしもこれで!」

鞠莉「梨子ちゃんも帰っちゃうの!?」

梨子「ちょっと用事ができたので! それじゃあさようなら」タッタッタッ


鞠莉「あーあ、行っちゃった」

137 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:24:09.14 ID:tpX5Kr1X.net
梨子「ルビィちゃん! ダイヤさん!」

ダイヤ「あら、梨子さん」

ルビィ「どうしたんですか? ルビィ、なにか忘れ物しました?」

梨子「その、二人に聞いてみたいことがあって……」

ダイヤ「わたくしたちに?」

梨子「わたし、一人っ子なので分からないんですけど、……姉妹がいるってどういう感じなんですか?」

ダイヤ「……いきなりな質問ですわね」

梨子「ご、ごめんなさい」

ダイヤ「そうですわね。……ルビィはわたくしの命、いえ、それ以上の存在ですわ。この子の命か、わたくしの命かと聞かれたならば、わたくしは喜んで死を受け入れます」

ルビィ「お、お姉ちゃんが死んじゃったらいやだよ!」

ダイヤ「もしも、の話ですわ。わたくしはずっとルビィと一緒ですわよ」

ルビィ「うん!」


梨子「……ありがとうございます」

ダイヤ「え? もうよろしいのですか?」

梨子「はい! とても参考になりました!」

ダイヤ「……そうですか。それでは、また明日お会いしましょう」

ルビィ「梨子ちゃん! ばいばい!」

梨子「はい! さようなら!」

138 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:28:10.40 ID:tpX5Kr1X.net
梨子の部屋

曜「梨子ちゃん来たよ!」

梨子「曜ちゃん、ごめんね。飛び込みの練習で疲れてるのに」

曜「いいよいいよ! それで、話したいことってなに?」

梨子「ちかちゃんのことなの」

曜「ちかちゃん?」

梨子「このままだと、きっと近いうちにちかちゃんはいなくなっちゃうと思うの」

曜「……え?」


…………


梨子「……ということなの。ちかちゃんは、自分がいなくなることで曜ちゃんが前に進めるんだって思ってる」

曜「そういうことだったんだ……。たしかに、この頃、様子が少し変だと思ってた」

梨子「曜ちゃん、いやだよね?」

曜「当たり前だよ! そんなの、考えられないよ!」

梨子「うん。わたしも、ちかちゃんには消えてほしくない。話したのはほんの少しの時間だけれど、そう思ってる。だから、今晩ちかちゃんに会ったら聞いてもらえないかな。ちかちゃんがいなくならなくてもすむ方法はないのかって」

曜「わかった。聞いてみるよ」

梨子「わたしも、できることなら何でも協力するから」

曜「うん。ありがとう」

139 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:30:14.97 ID:tpX5Kr1X.net
千歌「やっほー! よーちゃん、いらっ……」

曜「ちかちゃん、いなくなっちゃいやだ」

千歌「……え?」

曜「わたしに黙って消えちゃうなんて、そんなの絶対にいやだ」

千歌「……よーちゃん、何のこと?」

曜「梨子ちゃんから全部聞いたよ。わたしのためにいなくなろうとしてるって」

千歌「……そう。梨子ちゃん、話したんだ」

曜「どうして? どうしてずっとここにいちゃだめなの?」

千歌「このままじゃ、曜ちゃんが前に進めないからだよ」

曜「そんなことない! 今だって少しづつだけど、わたしは前に進んでる!」

千歌「うん。だから、わたしは外に出ることができたんだよ」

曜「……え?」

千歌「梨子ちゃんと出会って、よーちゃんは前に進みはじめてる。だから、わたしに頼りっきりのよーちゃんじゃなくなった。それで、わたしもここを離れることができたの」

千歌「少し考えたんだけどね、わたしがここにいるのはよーちゃんがそう願ったからなんだと思うんだ。一人で外の世界に産まれるのは寂しい。だからわたしも一緒に。よーちゃんは無意識にそう願ったんじゃないかなぁ」

曜「……わたしが?」

140 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:31:56.52 ID:tpX5Kr1X.net
千歌「よーちゃん、トランプを思い浮かべてよ」

曜「え? いまはそんな話を……」

千歌「いいから!」

曜「……うん。んーっと」

千歌「むむむむっ……えいっ!」

曜「あれっ? 真っ白な紙だよ?」

千歌「今のわたしには、それが限界なの。自分でも分かるんだ。もう、そんなに長くは持たないって」

曜「そ、そんな!」

千歌「だから、ね? 仕方のないことなんだよ」

141 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:34:40.14 ID:tpX5Kr1X.net
曜「……そんなの認めない。今までずっと一緒だったんだよ? だったら、これからも一緒にいられる方法があるはずだよ!」

千歌「ないよ」

曜「必ずあるよ! あきらめないで探せばきっと見つかるよ!」

千歌「だからないんだってば」

曜「なんで!? なんでそんなこというの!? ちかちゃんは消えちゃってもいいの!?」

千歌「…………」

曜「これまで、いっしょに遊んで、楽しかったのはよーちゃんだけ!? よーちゃんと一緒にいたくないの!?」

千歌「一緒にいたいに決まってるじゃん!!!」

曜「っ……! だ、だったら……」

千歌「だったらなに!? よーちゃんに梨子ちゃんのことは忘れろって、ずっとわたしだけを見ててって、そう言えっていうの!?」 

千歌「これからも、よーちゃんが誰かを好きになるたびに、その人じゃなくてわたしを見て、そうじゃないとわたし消えちゃうよ、って言えっていうの!?」

曜「……それは」

千歌「そんなの、言えるわけ、ないよ。わたしが消えちゃうより、よっぽどつらい」

千歌「だから、これでいいんだよ。……これが一番なんだよ」


曜「…………」

142 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:36:07.08 ID:tpX5Kr1X.net
梨子「曜ちゃん? まだ出発しないのかなぁ? もうバス出ちゃうのに」

曜「…………」ガチャッ

梨子「あっ、おはよう、曜ちゃん。遅かったね」

曜「……うん」

梨子「昨日、どうだった? ちかちゃん、なんて言ってた?」

曜「……わたし、どうすればいいんだろう」

梨子「……え?」

曜「わ、わたし……ど、どうすれば……」

梨子「曜ちゃん!?」

曜「うわああぁぁぁん! 梨子ちゃんと離れ離れになっちゃうのも、ちかちゃんが消えちゃうのも、どっちもいやだよおおぉぉぉ!!!」

梨子「ちょ、ちょっと、落ち着いて! ねっ! ほら、とりあえずわたしの部屋いこっ! ねっ!」

曜「うええぇぇぇん!」

143 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:38:20.76 ID:tpX5Kr1X.net
梨子の部屋

梨子「……そう、わたしのことを忘れちゃえば、ちかちゃんは消えないんだ」

曜「そんなの絶対にいやだ! よーちゃんは梨子ちゃんとずっと一緒にいるって約束したもん!」

梨子「わたしだっていやだよ、そんなの。……でも、このままだとちかちゃんは消えちゃう」

曜「……う、うぇ」

梨子「ほら、泣かないの」

曜「ちかちゃんが消えちゃうのもいやだよぉ……」

梨子「何か方法がないか考えようよ」

曜「……え? い、今から? 学校はどうするの?」

梨子「それどころじゃないでしょ。わたしも協力するから」

曜「……梨子ちゃぁぁ」

梨子「だから泣かないの! もう、曜ちゃんの方がよっぽど泣き虫じゃない……」

144 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:41:44.38 ID:tpX5Kr1X.net
曜「わたしが、梨子ちゃんのこともちかちゃんのこともどっちも大切にするっていうのはダメかな?」

梨子「それで解決できるんだったら、ちかちゃんもここまでしないと思うけれど」

曜「だよねぇ……」

梨子「曜ちゃんの代わりに、曜ちゃんのお母さんにちかちゃんを愛してもらうっていうのはどうかな?」

曜「ちかちゃんがいるのはわたしの思いが原因らしいから、それは意味がないんじゃないかな」

梨子「そうよね……」


…………


梨子「あっ! だったらちかちゃんをわたしの心に移しちゃうとかどうかな? わたしも、ちかちゃんのこと好きだし」

曜「……梨子ちゃん、少し休もうか」

梨子「そ、そうね。変なこと言ってごめんなさい」

曜「……やっぱり、無理なのかなぁ」

梨子「諦めちゃダメよ! きっといい方法が見つかるわ!」

曜「……うん、ありがとう」

145 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:43:12.46 ID:tpX5Kr1X.net
梨子「…………」

曜「梨子ちゃん?」

梨子「……はっ! ね、寝てないよ。今、考えてるところだから」

曜「そろそろ帰るよ」

梨子「ほ、本当にだいじょうぶよ! わたし、まだ……!」

曜「いまはこれ以上考えても思いつかないよ。それに、今日、明日で消えちゃうってわけじゃないんだからさ」

梨子「……分かったわ」

曜「じゃあ、今まで考えたの、今日の夜にちかちゃんに聞いてみるね。付き合ってくれてありがとう、梨子ちゃん」

梨子「わたし、また考えておくからね」

曜「うん」

146 :名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:43:38.55 ID:5jMJbqrE.net
不穏ながらもキャラが正しい道を選んでる感じだな

147 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:46:47.08 ID:3RAsL654.net
リトバスの遥か彼方が聞こえてくる

148 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:47:04.53 ID:tpX5Kr1X.net
曜「……っていう案なんだけど、どうかな?」

千歌「……まぁ、無理だと思うけど」

曜「だよねぇ……」

千歌「よーちゃん、本当にもういいんだよ。わたし、自分でも納得したから」

曜「やだ! よーちゃんは納得してないの!」

千歌「……よーちゃん」

曜「次の案はこれ! 梨子ちゃんの中にちかちゃんを移しちゃう!」

千歌「それ、梨子ちゃんにいい迷惑だよね」

曜「うっ……まぁ確かに」

千歌「たぶん、移ろうと思えば移れると思うよ」

曜「えっ!?」

千歌「まぁ、そんなことしたってよーちゃんの思いがないから、一瞬で消えちゃうだろうけどね」

曜「……そっか」

千歌「ごめんね、期待させちゃって」

曜「ううん。……じゃあ次! 次はね……」

149 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:48:30.57 ID:tpX5Kr1X.net
梨子「おはよう、曜ちゃん」

曜「……おはよう」

梨子「やっぱりダメだった?」

曜「うん。ごめんね。せっかく考えてくれたのに」

梨子「いいの。……今日も学校休んじゃう?」

曜「さすがに二日続けてはまずいと思うよ」

梨子「そうだね、じゃあ行こうか」


バスの中

曜「あっ、でもさ、」

梨子「ん?」

曜「梨子ちゃんの身体にちかちゃんを移すってやつ。あれはいい線いってたかも」

梨子「えっ? あれが?」

曜「うん。移ることはできるらしいよ。そこにわたしの思いがないと、消えちゃうらしいけど」

梨子「……そっか」

曜「わたしの他にわたしの思いをもってる人なんて、いるはずないもんね」

梨子「……そうよね」

150 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:50:31.14 ID:tpX5Kr1X.net
放課後

果南「梨子ちゃーん?」

梨子「か、果南さん?」

果南「曜と仲がいいのは嬉しいけど、練習をサボっていちゃいちゃするのはよくないよ〜」

梨子「い、いちゃいちゃなんてしてません!/// 真面目な話をしてたんです!」

果南「あっ、そうなんだ。てっきり、曜と一日中いいことしてたのかと思ったよ」

梨子「も、もう!/// からかわないでください!///」

果南「あはは、ごめんね! でも、そんな暗い顔してちゃダメだよ。わたし、二人には笑っててほしいんだからさ」

梨子「……果南さん」

果南「で、ダイヤにだけは謝っときなよ。けっこう心配してたから」

梨子「分かりました。……ありがとうございます」

果南「いいって、いいって!」

151 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:52:58.07 ID:tpX5Kr1X.net
曜の部屋

曜「梨子ちゃん、ほんとに大丈夫?」

梨子「だいじょうぶ! いま、わたしやる気なの! 明日は休日だし、徹夜してもいいよ!」

曜「う、うん。じゃあ考えよっか」


…………


曜「思いつかないね……」

梨子「やる気が出たからっていいアイデアが出てくるわけじゃないよね」

曜「はぁ……、チカちゃん、どうしたらいいのかなぁ」

曜「『ワタシハコレデマンゾクナンダヨ。ヨーチャンガシアワセナラソレデイイヨ』」

曜「う、うぇぇ……」

梨子「ちょ、ちょっと! 自分で言っておいて泣かないで!」

曜「う、うん。……ぐすん」

梨子「でも、チカちゃんってきっとちかちゃんとそっくりなんだろうね。わたし、会ったことないけど、なんとなくちかちゃんの姿、想像できるもん」

曜「そうかな。……そういえばちかちゃんにこの人形見せたことないなぁ。ちかちゃん、なんて言うのかなぁ」


梨子「……え?」

152 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:54:19.40 ID:tpX5Kr1X.net
曜「どしたの?」

梨子「ま、待って、なにか思い浮かびそう」

曜「ほんと!?」

梨子「……ねえ、曜ちゃん、その人形、ちかちゃんに見せたことないんだよね?」

曜「うん」

梨子「この間、わたしがちかちゃんにプレゼントを送ったらって言ったことあったよね? 曜ちゃんって夢の中に何か持っていけるの?」

曜「持っていきたいものに手を触れたまま寝ると、夢の世界にそれを持っていけるんだ」

梨子「みかんをプレゼントしたって言ってたわよね? 向こうでみかんを食べちゃうとどうなるの?」

曜「残ったままだよ。だから何回でも食べられてお得なんだよね」

梨子「だったら無理なのかな……、いや、でも、ちかちゃんがこっちの世界に……」

曜「梨子ちゃん?」

梨子「……ねえ、曜ちゃん」

曜「ん?」

梨子「こんな方法どうかな?」

153 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:55:56.80 ID:tpX5Kr1X.net
千歌「やっほー! よーちゃん!」

曜「…………」

千歌「よーちゃん?」

曜「ちかちゃん、わたしの身体を使って梨子ちゃんのところに行ってくれる? もしかしたら、これからもずっと一緒にいられるかもしれない」

千歌「……え?」

曜「でも、失敗するかもしれない。だから、するかしないかはちかちゃんが決めて」

千歌「…………」

曜「詳しいことは梨子ちゃんから聞いてほしい」

千歌「……分かったよ。よく分かんないけど、行くだけなら行ってみるよ」


曜「……」タッタッタッ

千歌「ん? なに、よーちゃ……」

曜「……」ギュッ

千歌「わっ!」

154 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:56:59.83 ID:tpX5Kr1X.net
千歌「なに? どしたの?」

曜「もしも……」

千歌「ん?」

曜「もしも失敗して消えちゃっても、わたし、一人でがんばるから」

千歌「……!」

曜「もし、ちかちゃんがいなくなっちゃっても、もう大丈夫だから。わたし、絶対に幸せになるから」

千歌「……よーちゃん」

曜「だから、心配しないで。……ちかちゃん、今までほんとにありがとう」

千歌「……うん」

曜「じ、じゃあ行って」クルッ

千歌「…………」

曜「ほ、ほら……り、りこちゃんが、ま……まってるからさ」

千歌「……ありがとう。よーちゃん」

155 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 20:59:13.16 ID:tpX5Kr1X.net
梨子の部屋

梨子「…………」

コンコンコン

梨子「……!」


曜「梨子ちゃん、久しぶり」

梨子「ちかちゃん、遅かったね。曜ちゃん、眠れなかったのかな」

曜「…………」

梨子「あれ、ちかちゃん、目が……」

曜「えっ!? ま、またよーちゃんが寝る前に泣いちゃったのかなぁ! よーちゃん泣き虫だもんなぁ!」

梨子「……そうかもね」

曜「そ、それで、なに? 詳しいことは梨子ちゃんから聞けって言われたんだけど」

梨子「これ見て」

曜「それって……わたし? 梨子ちゃんが作ったの?」

梨子「違うよ。曜ちゃんが作ったの」

曜「へぇ……、よくできてるなぁ。そっくりだよ」

梨子「これにちかちゃんが移ることってできないかな」

曜「……え?」

156 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 21:01:32.03 ID:tpX5Kr1X.net
梨子「ちかちゃん、移れるのは人間だけ? モノに移ることはできないの?」

曜「そんなことないよ。……でも、すぐに消えちゃうと思う」

梨子「曜ちゃんの思いがないと、そこに留まることができないんだよね」

曜「なんだ、知ってるんじゃん」

梨子「この人形にはね、曜ちゃんの思いがつまっているの。それも、小さい頃からのちかちゃんへの思いが、ずーっと」

曜「……どういうこと?」

梨子「この人形はね、小さい頃の曜ちゃんが、夢の中だけじゃなくて、こっちの世界でもちかちゃんに会いたくて作ったものなんだって。だから、その思いはとっても強いはず」

曜「…………」

梨子「どうかな? 試してみる価値はあると思うんだけど」

曜「……なるほどね。たしかに可能性はあると思うよ。だけど、失敗する可能性はそれと比べるまでもないくらい大きいね」

梨子「……やっぱり、そうよね」

曜「だからやってみるよ」

梨子「……え?」

曜「よーちゃんがね、わたしがいなくても大丈夫だって言ったんだ」

梨子「…………」

曜「あのよーちゃんがだよ? 涙一つ見せずに、そう言ったんだ。……その覚悟を、わたしは無駄にしたくない」

曜「それに、もともと消えるつもりだったからね。少しでも可能性があるんだったら、わたしもそれにかけてみるよ」

梨子「……ちかちゃん」

157 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 21:05:35.33 ID:tpX5Kr1X.net
梨子「じゃあ、準備はいい?」

曜「うん。そっちもお願いね。わたしが抜けた後、きっとよーちゃんが倒れちゃうから、しっかり支えてあげてね」

梨子「もちろん」


曜「……じゃあ、するね」


梨子「……明日は」

曜「……?」


梨子「明日は三人で遊びに行きましょうね」


曜「……そしたら、よーちゃんといちゃいちゃできなくなっちゃうかもよ」

梨子「うーん、……まぁ、ちかちゃんならいいかな」

曜「ふふっ。……じゃあ行ってくるね」

梨子「うん。……待ってるよ」

158 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 21:09:32.18 ID:tpX5Kr1X.net
梨子「曜ちゃん、泣き止んだ?」

曜「……うん」

梨子「まったく、びっくりしてお母さんが起きてきちゃったじゃない」

曜「……だってぇ」

梨子「まぁ、曜ちゃんの気持ちも分かるけどね」

曜「……うん」

梨子「これから、夢の中では一人だけど、大丈夫?」

曜「……梨子ちゃんが添い寝してくれるから」

梨子「これからずっとってわけにもいかないでしょ。ちゃんと一人でも寝られるようにならなくちゃ」

曜「そんなこと言って、梨子ちゃんも本当は嬉しいんでしょ?」

梨子「……ばれちゃってたか」

曜「えへへ」


梨子「曜ちゃん……」

曜「梨子ちゃん……」



チカ「あ、あの、わたしもいるんですけどぉ……?」

159 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 21:11:10.96 ID:tpX5Kr1X.net
梨子「言ったじゃない。ちかちゃんになら見られてもいいかなって」

チカ「あ、あれそういう意味だったんだ」

曜「わたしはもうちかちゃんに隠すことなんてないし」

チカ「うん、まぁ、そうだね」


梨子「曜ちゃん……」

曜「梨子ちゃん……」

チカ「あっ、続けるんだ」


梨子「これからも、ずっと一緒だよ」

曜「うん。梨子ちゃん、だいすき」

梨子「わたしも、曜ちゃんのこと、だいすき」

曜・梨子「……えへへ」

160 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 21:13:32.17 ID:tpX5Kr1X.net
梨子「すぅ……すぅ……」

曜「くぅ……くぅ……」


チカ「ふぅ。寝ちゃったかぁ。……もしかして、毎回これ聞かされるのかなぁ」

チカ「それにしても、人形の身体って落ち着かないなぁ。……よーちゃんが作ってくれたんだから悪い気はしないけど」

曜「くぅ……くぅ……」

チカ「えへへ、よーちゃん幸せそう。ほんとによかったよ」

梨子「すぅ……すぅ……」

チカ「梨子ちゃん、ありがとう。おかげさまで、もう少しよーちゃんと一緒に過ごせそうだよ」


チカ「外の世界かぁ……」

チカ「どんなところなんだろうなぁ……」

チカ「楽しみで寝られないや。……まぁ、寝る必要なんてないんだけど」


チカ「えへへ、あしたもいいことあるといいなぁ」



おわり

161 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 21:14:56.09 ID:tpX5Kr1X.net
以上です

最後までお付き合い頂きありがとうございました

162 :名無しで叶える物語(ぎょうざ)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 21:15:11.46 ID:MUSuihsP.net
乙乙
泣かされましたわ
ハッピーエンドでよかった

163 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 21:17:15.41 ID:rELJk/Z3.net
へけっ

164 :名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 21:18:37.19 ID:48mzFF9c.net
ああぁああ可愛い…
ホラーかと思ったけどハッピーエンドで良かった!乙でした!

165 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 21:19:16.93 ID:3RAsL654.net
いいね

166 :名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 21:22:02.05 ID:PvFW0XWx.net
SNSで「裸の写真送って」と言われたら?ある美女の返答が天才すぎると話題に(画像)
http://sns.violates.me/sns/

167 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 21:22:23.07 ID:t3V2fPOP.net
おつ
みんな優しくていい話だった

168 :名無しで叶える物語(おにぎり)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 21:23:02.75 ID:XrABoqm0.net
おつおつ

169 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 21:26:26.97 ID:5bsh7Vju.net
ハッピーエンドで良かった

人物関係複雑だからかいつものうるさい二年生アンチも湧かなかったな

170 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 21:29:57.90 ID:1X0ryFyS.net
乙!

171 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 21:57:54.34 ID:ex67jrB2.net
ええ話や

172 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 22:00:20.58 ID:Y6/y1eMs.net
人形ってキツイなと思ったけど元々人間を経験してたわけじゃないし欲求に悩まされる事もないか
むしろいいことだらけやね

173 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 22:52:52.15 ID:rrUGb97Y.net
ハッピーエンドね^^

174 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2017/02/13(月) 23:18:04.35 ID:+s0AJtm8.net
なんだよ、不穏を感じてたけど良かったじゃんかよ、最高かよ

175 :名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/:2017/02/14(火) 00:38:46.31 ID:FfBbEIFi.net
はぁ〜…一気に読んでしまった

すごく良かった!!!


たまに曜か梨子の身体を千歌が勝手に借りてイチャイチャしたりすればいいのにな〜

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