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女子大生海未「穂乃果。セックスを前提に結婚してください」穂乃果「いやだ」
- 1 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/07(金) 15:24:11.18 ID:uTBftApx.net
- 海未「なんでですかー!?」
穂乃果「私たちまだ18歳なんだよ?」
海未「法的には何の問題もありません!」
穂乃果「でも、未成年の結婚には親の同意が必要だしさ」
海未「それは……」
穂乃果「………やっぱり学生の内に結婚するなんて無茶だよ。非現実的すぎる」
穂乃果「この4月から大学生活が始まるんだし、お互いに現実を見ないとね」
海未「………」
- 86 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/13(木) 00:17:56.31 ID:3slblr1R.net
- 明日また更新します
- 87 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/13(木) 01:14:19.74 ID:vtu/lc9W.net
- 連日更新とは嬉しい
- 88 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2017/04/13(木) 12:07:42.09 ID:QqYS7kJR.net
- いいペースだ
- 89 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2017/04/13(木) 20:57:04.19 ID:vOwF+auC.net
- ほ
- 90 :名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/:2017/04/13(木) 22:58:31.25 ID:sns0gm7/.net
- ええぞ
- 91 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2017/04/14(金) 08:22:28.24 ID:SMhUntPB.net
- ほ
- 92 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/14(金) 13:47:45.09 ID:5mQ3avC4.net
- お願い
- 93 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2017/04/14(金) 20:25:52.76 ID:xfVAbzKv.net
- はよ
- 94 :名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/:2017/04/14(金) 22:54:57.65 ID:yvhCSKaF.net
- にこってアイドルを大人になっても続けるけど全然売れなくて貧乏なイメージがある
- 95 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/14(金) 23:39:50.21 ID:+WvIw6rT.net
- にこ「3人揃ったところで乾杯〜…といきたいところだけど、私の飲み物がまだだったわね」
絵里「にこの分はドリンクバーを頼んでおいたわよ」
海未「私たちはユーヒーを取ってきました!えすぷれっそです!」
にこ「ユーヒーって何よ…。というか、あんたらもコーヒーなんて飲むのね」
海未「いえ、ふざけて淹れただけです」
絵里「思っていたよりも苦かったわね。私の本音は『もう飲みたくない』よ」
にこ「かぁーっ!まだまだ子どもねー!」
絵里「なによ。にこはコーヒーを飲めるっていうの?」
にこ「当っっったり前じゃない!見てなさいよ〜!」
そう言うとにこは私たちのカップを奪い取り、一気に飲み干しました。
飲むというよりも、流し込むという表現の方が合っているような気もしますが。
- 96 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/14(金) 23:40:35.08 ID:+WvIw6rT.net
- にこ「うぷっ………はぁ…。ほら、飲んだわよ!」
海未「すごいです、にこ!」
絵里「流石、大人は違うわね!」
にこ「どんなもんよー!」
絵里「……あ、ごめんなさい。にこは大人だから、ドリンクバーよりもビールとかの方が良かったかしら?」
にこ「え…?」
海未「にこはもう20歳ですから、お酒も飲めるんですよね」
にこ「………20歳〜?ノンノン!ニコニーはまだ18歳にこー!」
絵里「にこ…?あなたはもう20歳でしょ?」
にこ「ニコニーは永遠の18歳!!だからお酒もタバコもできないにこ〜☆」
海未「都合良く年齢を変えられるんですね…」
- 97 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/14(金) 23:44:29.99 ID:+WvIw6rT.net
- 改めて乾杯し、料理を囲みながらそれぞれの近況報告をしました。
にこ「ふーん。あんたらは大学生活をちゃんと満喫してるのね」
絵里「海未は単位が怪しいところだけどね?」
海未「なっ…。嫌なことを思い出させないでくださいよ」
にこ「いいわねー。私も大学に行ってみたいわー」
絵里「それなら、今年の徽音祭に来たらどう?」
にこ「きいんさい?」
絵里「音ノ水で開催される大学祭のことよ。毎年11月の上旬にやってるわ」
にこ「……そうね。絵里や海未がいるなら行ってあげてもいいわ」
絵里「ふふ、決まりね♪」
海未「にこは今、アイドル事務所に所属しているんですよね」
にこ「ええ。まだ売れっ子とはいかずとも、新人アイドルとして活動しているわ」
海未「すごいですよね。まさか本当にアイドルになってしまうとは」
にこ「結構大変な仕事だけど、小さい頃からの夢だったし頑張って働いているわ」
海未「私は、にこのことをリスペクトしてますよ」
海未「私たちみたいに大学で就職までの時間稼ぎをせずに、いち早く大人の世界へと飛び込んだのですから!」
絵里「ちょっと。私は海未と違って専門的な勉強をするために大学へ…」
海未「同じ穴の狢です」
絵里は言い返す言葉が見つからなかったのか、ドリンクバーで作った紅茶をぐびぐび飲んで誤魔化しています。
- 98 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/14(金) 23:45:47.62 ID:+WvIw6rT.net
- にこ「そういえば、希は元気してるの?」
絵里「この写真を見ればわかるわ」
にこ「……なにこれ。砂漠?ラクダ?ピラミッド?」
絵里「希よ」
にこ「ああ…。とりあえず人生を満喫してるってことだけは伝わったわ」
絵里「まったく…。周りで心配してる人のことも考えて欲しいものね」
溜め息をつきながら、絵里はハーブティーをぐびぐび飲んでいきます。
……さっきから飲み過ぎじゃないですかね?
- 99 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/14(金) 23:48:50.57 ID:+WvIw6rT.net
- 絵里「………お手洗い行ってくる」
海未「はい、わかりました」
絵里は一目散にトイレへと駆けました。
果たして、無事に間に合うのでしょうか。
にこ「……行ったみたいね」
海未「…?」
にこ「ねえ、海未。あんたを見込んで相談したいことがあるの」
海未「私に相談ですか?」
にこ「……こんな話、他のみんなに話したらきっと笑われるわ。だから常に頭が空っぽの海未にしかできない話なのよ」
海未「待ってください。私の頭にはちゃんと脳が入ってますよ?」
にこ「ああ、そうね。脳はあるけど味噌がないのね」
- 100 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/14(金) 23:51:03.54 ID:+WvIw6rT.net
- 海未「して、相談とは何ですか?」
にこ「……私はね、永遠の18歳なの」
海未「ふざけてるんですか?」
にこ「いやふざけてなんかないわよ。私は本気よ」
にこ「私の時間は、未だ18歳のまま固着しているの。まるで時計の針が止まってしまったかのように」
にこ「私は、大人に成りきれないの」
海未「ピーターパン症候群…というやつですか?」
にこ「そうね…たぶんそうよ。私は過去の栄光に囚われて、大人になることを拒んでいるのよ」
海未「別に子どものままでもいいじゃないですか。大人に成ったって良いこと一つありませんよ?」
にこ「……ダメよ。私はこれでもプロだもの。いつまでも子どもみたいに無責任な仕事をしてられないわ」
にこ「だから、海未に聞きたいの。私が大人に成るためにはどうすればいい?」
海未「………」
にこの場合、子どもっぽい姿の方が魅力を感じるのですが…。
- 101 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/14(金) 23:53:41.32 ID:+WvIw6rT.net
- 海未「……無理に大人に成ろうとする必要はないんじゃないですか?」
海未「背伸びをしても、バランス崩して倒れてしまうだけです。だから、自分自身が大きくなるまで待てばいいんですよ」
にこ「どれだけ待てば、私は大人に成れるの…?」
海未「それはわかりませんが…。でもいつか、何かのきっかけで突然大人に成る時が来ますよ」
にこ「……ありがと、相談に乗ってくれて」
にこ「果報は寝て待てね…。海未の言う通り、大人に成れる日を大人しく待つことにするわ」
海未「ふふ、にこのお役に立てたのなら光栄です」
にこはやっと、心からの笑顔を見せてくれました。
- 102 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/14(金) 23:54:29.22 ID:+WvIw6rT.net
- 絵里「お待たせ〜。女子トイレが混んでて遅くなっちゃったわ」
にこ「………それじゃ、用も済んだし帰るわね」
海未「はい、お疲れさまです」
絵里「え、何?私がいない間に話が進展してるわ…!」
にこ「絵里、伝票ちょうだい」
絵里「え、もしかしてにこが払ってくれるの!?」
にこ「あんたたち、どうせバイトもしてないんでしょ?貧乏学生に払わせるのも可哀想だから、ここは私に任せなさい」
海未「いえいえ。私たちの会計をにこに払わせるわけにはいきませんよ!ここは私が払います!」
絵里「………いや、ここは私が…」
海未にこ「どうぞどうぞ」
絵里「!?」
結局、にこが3,840円(税込)を支払ってくださり、私たちは店を後にしました。
帰り道、μ'sと過ごしたあの1年間の記憶を、私たちは語らい合いました。
その時のにこは、少し寂しそうな表情をしていたのを覚えています。
大学に着いた後、そのまま解散しました。
こうして、私の夏休み初日は勢いのままに過ぎ去っていったのです。
- 103 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/15(土) 00:14:05.83 ID:0DC2z50S.net
- #9
Calling。
穂乃果『………もしもし、海未ちゃん?』
海未「おはようございます。ついに夏休み突入ですね!穂乃果はいかがお過ごしですか?」
穂乃果『私は平常運転だよ』
海未「特に病気や怪我もないようですね。安心しました」
穂乃果『海未ちゃんは?』
海未「私も普通に元気です」
穂乃果『ふーん、そっか』
電話越しでしたが、穂乃果の表情が窺えるようです。
穂乃果は私と話せて嬉し恥ずかし、まるで恋する乙女のような顔になっているに違いありませんね。
- 104 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/15(土) 00:14:39.67 ID:0DC2z50S.net
- 海未「………ん?いま何か聴こえませんでした?」
穂乃果『え…?何のこと?』
海未「滑車が回るような音が聴こえた気がしたのですが」
穂乃果『……ああ、それは私のルームメイトの米子さんだよ。もうすぐ終戦記念日だから、昂ぶって風車をくるくる回してるの』
海未「そうでしたか。私はてっきり穂乃果が男でも連れ込んでるのかと思いましたよ」
海未「穂乃果は夏休みの間、東京に帰って来るんですか?」
穂乃果『……いや、私はずっと京都にいるよ』
海未「ほう、そうですか」
- 105 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/15(土) 00:15:29.13 ID:0DC2z50S.net
- 海未「……実はですね。私はこの夏休みを利用して穂乃果に逢いに行こうと計画してるんです」
穂乃果『え…?』
海未「美味しい御茶屋さんを巡ったり、芸妓遊びで盛り上がったり…。要するに、穂乃果と京都デートがしたいんですよ」
穂乃果『………』
海未「……どうですか?私とデートしませんか?」
穂乃果『いやだ』
海未「え」
穂乃果『勝手にいろいろ決められても困るよ。こっちにも段取りがあるんだし』
海未「す、すみません…。一人で先走り過ぎていたみたいです」
海未「………では、会いに行くだけでも」
穂乃果『ダメ。絶対来ないでね』
海未「何故ですか?」
穂乃果「京都が穢れるから」
海未「!?」
- 106 :1(茸)@\(^o^)/:2017/04/15(土) 00:23:14.59 ID:Jqr/JJ1l.net
- 海未「………実は明日、登山サークルの活動で富士山に登るんですよ」
穂乃果『富士山に?へー、それはすごいね』
海未「山頂からの御来光を観る予定なんです」
海未「無事に下山できたら穂乃果にも写真送りますね」
穂乃果『うん、ありがと!楽しみにしてるね!』
- 107 :1(茸)@\(^o^)/:2017/04/15(土) 00:24:08.26 ID:Jqr/JJ1l.net
- 海未「……それでは、また」
穂乃果『じゃあね。海未ちゃんにご武運を』
私は、通話終了のアイコンをそっとタップしました。
- 108 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/15(土) 00:25:03.35 ID:0DC2z50S.net
- 海未「ふぅ…」
k子「海未ちゃんは明日から山登りだっけ?頑張ってね〜」
海未「ええ、ありがとうございます」
k子「私も明日から実家に戻るんだけど、戸締りとかちゃんとしといてね?」
海未「はい、わかってますよ」
登山サークル最初の活動、富士登山。
山頂から見た御来光は、どれほど美しいものなのでしょうか。
私は期待に胸を膨らませ、枕に顔を埋めました。
- 109 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/15(土) 00:28:07.93 ID:0DC2z50S.net
- ここまで
埋立て規制かかってつらい
- 110 :名無しで叶える物語(プーアル茶)@\(^o^)/:2017/04/15(土) 00:41:50.54 ID:VN/lwKcp.net
- おつんこ
- 111 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/15(土) 00:54:04.26 ID:6eMUpqz7.net
- どういう結末になるんだろう
- 112 :名無しで叶える物語(プーアル茶)@\(^o^)/:2017/04/15(土) 01:15:43.83 ID:56g1E7sQ.net
- 穂乃果は海未ちゃんを汚いものとして見てるの?
何か萎えた
- 113 :名無しで叶える物語(プーアル茶)@\(^o^)/:2017/04/15(土) 08:33:41.22 ID:/aHIrLZH.net
- 遠回しな表現で何か騙されてる気がする
違和感は感じるのに全く気づけない 楽しみ
- 114 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2017/04/15(土) 23:19:48.31 ID:QmLqnTbt.net
- ほ
- 115 :名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/:2017/04/16(日) 19:10:21.60 ID:KOABs3FF.net
- ほ
- 116 :名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/:2017/04/16(日) 19:48:17.04 ID:PsD8nCsg.net
- ほ
- 117 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/16(日) 23:53:27.56 ID:G0nJ/NUO.net
- #10
東京から電車やバスを乗り継ぎ3時間。
富士山五合目に到着しました。
そこに居たのは、人、人、人。
富士山が世界遺産に登録されたことにより登山客が増えたこと、今が夏休みであること。
その両方が相まって、夥しい数の人がこの山に集結しているのです。
家族カップル子供老人大学生外国人その他………
人の群れに呑まれてしまいそうです。
先輩b「うわ…人多すぎ…」
先輩c「みんな五合目から出発するもんね、仕方ないよ」
先輩a「ほら、はぐれないように付いてきてよ?」
海未「は、はい!」
- 118 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/16(日) 23:54:16.72 ID:G0nJ/NUO.net
- 先輩a「あ、そうだ。せっかく富士山に登るんだからさ、金剛杖買っていかない?」
先輩b「何ですかそれ?」
先輩c「各山小屋で押してもらえる焼き印を集める、いわばスタンプラリーみたいなものだよ」
先輩b「へー、面白そう!」
先輩a「じゃあみんなで一つずつ買おっか!」
海未「……はい!」
先輩の提案で、それぞれ金剛杖を買いました。
\1,000。
少し値段が高めな気もしますが、これもまた記念です。
私たちはこの杖を装備し、登山を開始しました。
- 119 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/16(日) 23:55:18.14 ID:G0nJ/NUO.net
- 先輩a「この中で富士山の登山経験があるのは園田さんだけだね」
先輩b「私たちは初めての山だから、ちょっと緊張してるよ〜」
先輩a「五合目から山頂まではどのくらいで行けるものなの?」
海未「私が前に登った時は、大体5時間で登頂できました」
先輩a「ということは、私たちの場合は7,8時間で登れるかな?」
海未「………そうですね」
登山道も相変わらずの賑わいで、人々は蟻のように列を成し道を進んで行きます。
その異様な光景を眺めながら、ゆっくりと山を登って行きました。
- 120 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/16(日) 23:56:13.08 ID:G0nJ/NUO.net
- 七合目。
先輩b「おー!焼き印も結構集まってきたね!」
先輩c「あと何個でコンプリートできるかな?」
海未「………」
先輩b「あれ?園田さん、まだ焼き印押してもらってないよね。押さないの?」
海未「……いえ、今からしてもらうところです」
私は金剛杖を差し出し、焼き印をいれてもらいました。
\200。
一回でこの金額。これを全て集めたとすると、一体どれほどの出費となるのでしょうか。
登山の邪魔にしかならないこの杖に、何故これほどまでに金を掛けなければならないのでしょうか。
私は、後悔していました。
- 121 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/16(日) 23:57:29.03 ID:G0nJ/NUO.net
- 登山開始から5時間半。
ここにきてハプニングが起きました。
先輩c「大丈夫?」
先輩b「………ぅ、もう無理…。しんどい………」
先輩a「高山病かな…?えーと、こういう時はどうしたらいいの…?」
海未「……高山病を治す方法は、山を下りることです。なのですぐにでも下山しましょう」
先輩a「そうね…。私はbを連れて山を下りるから、二人は私たちの分まで御来光を見てきてね」
先輩c「うん…、わかった」
海未「………」
私は、残った先輩と一緒に十合目にある宿を目指しました。
山小屋に寄り道せず一気に駆け上がり、宿に着いたのは午後9時頃。
そこで、日の出の時間まで待機します。
- 122 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/16(日) 23:58:03.31 ID:G0nJ/NUO.net
- 私は疲れた身体を休めるために寝ました。
………うるさいですね。
他の登山客が宿の中で騒いでいます。
………眠れない。
隣で寝ている先輩も、迷惑そうにしていましたが注意をすることはありませんでした。
………うるさい。
うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい。
うるさい。
結局一睡もできないまま、日の出を迎えることになりました。
支度を整え、山頂へと歩み出します。
- 123 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/16(日) 23:59:08.88 ID:G0nJ/NUO.net
- 午前4時44分、太陽が昇り始めました。
周りの人たちは光を見ています。
私は目を瞑っています。
これ以上、山に幻滅したくなかったのです。
その後のことはよく覚えていません。
気づいたら、自分の部屋で寝ていました。
最初は夢だと思いました。
しかし、床に落ちていた棒が、それが現実であったことを物語っています。
あの登山以来、私はサークルとの縁を切りました。
- 124 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/17(月) 00:00:16.76 ID:5fQf8ncp.net
- その翌年、サークルの顧問からメールが届きました。
件名には、サークルは廃部になったという旨のことが書かれています。
私はそのメールをゴミ箱に移しました。一度も開くことなく。
- 125 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2017/04/17(月) 00:31:52.70 ID:7T/c31zK.net
- ほう
- 126 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/17(月) 00:32:56.34 ID:5fQf8ncp.net
- #11
海未「………」
私は今、寮の自室にいます。
山を下山して一日が過ぎました。
いや、もっと日にちが経っているような気がします。
………頭が重くて、なにがなんだかよくわかりません…。
ここは、どこでしょう?
- 127 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/17(月) 00:34:28.08 ID:5fQf8ncp.net
- ガチャ
k子「……あれ?鍵が空いてる…」
k子「戸締まりはしっかりするようあれだけ言っておいたのに…、海未ちゃんめ」
k子「海未ちゃんただいま〜。先輩が帰ってきたよ〜!」
k子「………おーい。いるんでしょ、海未ちゃん〜?」
海未「」
k子「!?……死んでる!」
- 128 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/17(月) 00:36:39.90 ID:5fQf8ncp.net
- 海未「………ぅう…。なんれすか……うるさいれす……よ………」
k子「あ、よかった。ちゃんと生きてんのね」
海未「うぅぅ…」
k子「………床にビールの空き缶が散らかってる」
k子「そして、私が冷蔵庫に入れてたビールが失くなってる…」
k子「まさか海未ちゃん、全部飲んだの…?」
海未「うるせーれす………。はやく…さけかってきやがれ……れすよ…」
k子「はぁ…。まったく、手を焼かせる子だなあ…」
k子「……やっぱり、数日でも目を離すべきじゃなかったね」
k子「海未ちゃん。とりあえず水飲んで、ほらほら………」
- 129 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/17(月) 00:38:09.64 ID:5fQf8ncp.net
- 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
海未「………」
私は今、寮の自室にいます。
夏休みが始まってから、どのくらいの時間が流れたのでしょうか…。
重い頭を振り上げ、携帯で今日の日付を確認しました。
8/15。
この日付が目に入った瞬間、私の身体は反射的に動き出していました。
頭はまったく働いていませんでしたが、身体は一直線に部屋の外へと飛び出していったのです。
- 130 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/17(月) 00:38:59.24 ID:5fQf8ncp.net
- 海未「はぁ…はぁ…はぁ………」
着いた場所は、寮の、玄関口。
久し、ぶりに、動いたせいか、とても、疲れました。
息を、整え、脳に酸素を、送り込みます。
- 131 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/17(月) 00:39:31.28 ID:5fQf8ncp.net
- 寮の玄関を入ったすぐ側に、寮生用の郵便受けがズラリと並んでいます。
寮生宛に手紙や郵便が届けば、その郵便受けに投函されているはずです。
私は、自分の部屋番号が書かれた郵便受けを開きました。
海未「………」
海未「………やはり、そうですか…」
郵便受けの中には何も入っていませんでした。
- 132 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/17(月) 00:41:02.62 ID:5fQf8ncp.net
- 今日は8/15。
もしかしたら、母からの手紙が届いているのでは…。
心のどこかでそのような期待をしていましたが、そんな希望はあえなく散りました。
園田家からも、母からも、手紙は来ませんでした。
海未「………」
さて、これからどうしましょう。
部屋に戻って、また酒に溺れますか………
「海未ちゃん」
- 133 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/17(月) 00:44:23.74 ID:5fQf8ncp.net
- 海未「………こ、ことり…。おはようございます」
ことり「今はもうお昼だよ?」
海未「え…?そうでしたか…」
ことり「………」
ことり「ねえ海未ちゃん。今から私とデートしない?」
海未「え、デート!?何を言いだすんですか、いきなり…!」
ことり「………ダメ?」
海未「いえ、そんなことは…」
ことり「じゃあ決定♪ 今すぐ支度してきてね〜」
海未「支度…?」
ことり「海未ちゃんは、そんなボサボサの髪やヨレヨレのパジャマで、私とのデートに出掛けるつもり?」
海未「い、いえ………。すぐに着替えてきます」
ことり「うん、待ってるね♪」
何の前触れもなく現れたことりは突然、『デートをしよう』と言い出しました。
そして私は、ことりの手に引かれ、暗くジメジメとした部屋から引きずり出されたのです。
- 134 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/17(月) 00:46:10.14 ID:5fQf8ncp.net
- ここまで
週一、二で更新します
- 135 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/17(月) 00:50:26.46 ID:BY15oZOl.net
- 不吉な空気が漂いつづけてる
- 136 :名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/:2017/04/17(月) 01:20:55.32 ID:CC0hVkiF.net
- おつんこ
海未ちゃんビール飲むん?
- 137 :名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/:2017/04/17(月) 01:31:46.43 ID:QDkwiqAm.net
- おつ
- 138 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2017/04/17(月) 07:16:16.73 ID:qnbWYSr6.net
- ことうみじゃないよな...?
- 139 :名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/:2017/04/17(月) 19:25:00.86 ID:bIhj7ptE.net
- 色々と怖い
- 140 :名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/:2017/04/17(月) 21:54:02.93 ID:QDkwiqAm.net
- 保守空凛
- 141 :名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/:2017/04/18(火) 02:22:26.59 ID:SNPkHooW.net
- ほしゅ
- 142 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2017/04/18(火) 09:58:09.90 ID:kGSd1/Iq.net
- 安保
- 143 :名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/:2017/04/18(火) 14:20:52.84 ID:SNPkHooW.net
- ほしゅ
- 144 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2017/04/18(火) 19:33:41.21 ID:SORJQTw9.net
- ほ
- 145 :名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/:2017/04/18(火) 22:06:24.14 ID:SNPkHooW.net
- ほ
- 146 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2017/04/19(水) 13:35:13.73 ID:dyNdjDt1.net
- 朝だぞ
- 147 :名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/:2017/04/19(水) 14:36:20.94 ID:7FtaO1px.net
- ほ
- 148 :名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/:2017/04/19(水) 15:02:16.74 ID:d4hfbUkU.net
- まだか?
- 149 :名無しで叶える物語(わたあめ)@\(^o^)/:2017/04/19(水) 18:16:22.71 ID:nf4pr3J8.net
- にゃあたん
- 150 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2017/04/19(水) 21:25:10.42 ID:yAjpK6TK.net
- えるたそ
- 151 :名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/:2017/04/19(水) 22:11:41.16 ID:Bsam1gNB.net
- ほ
- 152 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2017/04/19(水) 22:12:48.90 ID:AJhPKwPZ.net
- ガンダム・ダンタリオン
- 153 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/20(木) 00:10:39.09 ID:QD7UHP2I.net
- 今日の昼か夜に更新します
- 154 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/20(木) 00:36:38.55 ID:FvgGFmql.net
- 待ってるよ
- 155 :名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/:2017/04/20(木) 01:19:25.86 ID:d7Ny54uT.net
- 期待
- 156 :名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/:2017/04/20(木) 01:35:46.00 ID:7tQjbqbL.net
- はよ
- 157 :名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/:2017/04/20(木) 09:06:11.74 ID:d7Ny54uT.net
- ほ
- 158 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2017/04/20(木) 12:02:48.19 ID:jnMtIHNz.net
- あと何回更新くらいで終わりそうなの?
- 159 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/20(木) 23:32:05.37 ID:QD7UHP2I.net
- #50くらいを想定してる
- 160 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/20(木) 23:33:19.51 ID:QD7UHP2I.net
- #12
音ノ水女子大学 食堂
ことり「へー。夏休みでも食堂ってやってるんだね〜。海未ちゃんは何食べる?」
海未「………うどんで」
ことり「はーい♪今日はことりの奢りです!」
海未「……ことりは元気ですね」
ことり「だって、海未ちゃんとのデートだもん!テンションも上がっちゃうよ〜!」
海未「?」
私とのデートだからテンションが上がっている?
ことりの言っていることはよくわかりませんね。
- 161 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/20(木) 23:34:18.89 ID:QD7UHP2I.net
- ことり「〜〜〜!美味しいね、このうどん!」
海未「………」
ことり「あれ?海未ちゃんは食べないの?お箸が進んでないみたいだけど」
海未「……はい。少し気分が悪くて…」
ことり「え…!?もしかして体調でも崩してるの?」
海未「いえ、心配していただかなくても大丈夫です。ただの二日酔いですから」
ことり「そっかー。二日酔いならお水を飲めば………って、ええ!?海未ちゃんお酒飲んでるの!?」
海未「嗜む程度ですが」
ことり「嗜むとかそういう問題じゃないよ!海未ちゃんは今何歳?」
海未「……18歳です」
ことり「うん、そうだよね。満19歳だよね。しかも海未ちゃんは早生まれだから来年でようやく19になるんだよね」
ことり「ねえ海未ちゃん。お酒は何歳から飲めるか知ってる?」
海未「バカにしないでください!20歳からに決まってるじゃないですか!」
ことり「………」
海未「す、すみません…」
ことりの無言の圧力が怖いです…。
- 162 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2017/04/20(木) 23:35:44.10 ID:aWB/5ayr.net
- >>159
まだ12なのに長編過ぎて草生えるわ
もう腹括って長い間楽しませてもらう事にするわ
- 163 :名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/:2017/04/20(木) 23:37:13.02 ID:7tQjbqbL.net
- 予想以上に大作になりそうで期待
でも#50って今のペースだとこのスレで終わらんぞ
- 164 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/20(木) 23:37:39.23 ID:QD7UHP2I.net
- なんとか食事を終えた私たちは、宛てもなくキャンパス内を徘徊しています。
海未「これはデートなんですよね?いいんですか?さっきから大学内をうろうろとしているだけですが」
ことり「うん、これでいいの。キャンパスデートっていうのも悪くないでしょ?」
海未「そうですかね…?私にはよくわかりません」
ことり「学生や教授、見知った顔の人たちが見てるかもしれない中でイチャイチャする…。これってすごく背徳感があると思わない!?」
海未「ことりは何言ってるんですか!!まったく………ん?」
ことり「あ…、女の子だ。付属の幼稚園の子かな」
海未「迷い子ですかね?」
ことり「さあ?とりあえず話を聞いてみようか」
ことりは、子どもに警戒心を与えないよう歩み寄り、子どもの目線に合わせて話しかけました。
この一連の流れがあまりにも自然すぎて、ことりはこの子の母親なのでは、と勘繰ってしまう程でした。
- 165 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/20(木) 23:39:37.22 ID:QD7UHP2I.net
- 音ノ水女子大学の敷地内には、付属の幼稚園、小学校、中学校があります。
そこで何らかの研究を行なっているそうですが、詳しいことまでは知りません。
(ちなみに、音ノ水付属高校はこのキャンパス内にはありません)
私たちは、付属幼稚園に迷い子を届けに行きました。
どうやらこの子は、迎えに来た親と幼稚園教諭が立ち話をしている間に、キャンパスまで逃げて来てしまったようです。
子どもを届けると、親と保育者に途轍もなく平謝りをされました。
尋常ではありませんでした。数えてみると、1秒間に16回は頭を上下していました。
子どもは親に手を引かれながら帰って行きましたが、途中、こちらに振り返って手を振ってくれました。
ことり「子ども、かわいいなぁ〜…」
海未「ことりは子どもが欲しいのですか?」
ことり「………はぁ。どうして海未ちゃんはこうなんだろう?いつからセクハラおやじになっちゃったんだろう…」
ことり「あーあ、タイムマシンに乗って、無垢で可愛さ全開のロリ海未ちゃんを誘拐したいな〜」
海未「っ!?物騒なこと言わないでください!あと私はセクハラおやじではありません!」
- 166 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/20(木) 23:41:50.81 ID:QD7UHP2I.net
- 研究棟や学生館、徽音堂などを巡り、最後に行き着いたのは中庭のベンチでした。
海未「今日はデートに誘ってくれてありがとうございました。久々に有意義な一日を過ごせましたよ」
ことり「ほんとに!?よかった〜…。海未ちゃんずっと険しい顔してたから、楽しくないのかと思ってたよ」
海未「約二週間ぶりに日光を浴びて、運動をしましたからね…。疲れが顔に出ていただけです」
ことり「また海未ちゃんが部屋に引き篭もってたら、ことりがデートに連れ出しますよ♪覚悟しておいてください!」
海未「いえ、デートならいつでも歓迎です。ことりとなら、どこへ行っても楽しいですから」
ことり「え………」
海未「……ことり、どうかしましたか?顔が紅潮していますが…。もしや、体調が優れないのですか!?」
ことり「わわっ、大丈夫だよ〜!だから、おでこで熱を計ろうとするのはやめて〜!!」
海未「……?」
ことりは何故こんなにも動揺しているのでしょうか?
女心というものはよくわかりませんね。
- 167 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/20(木) 23:42:42.35 ID:QD7UHP2I.net
- 海未「………あ、ことりに訊こうと思っていたことがあるんです」
ことり「なぁに?何でも答えちゃうよ!」
海未「はい。………穂乃果のことなのですが」
(・8・)「」
ことりは、バツが悪そうに口を閉ざしてしまいました。
海未「あの…。ことり?」
ことり「………」
海未「……私が穂乃果の名前を出すと、ことりはいつも、だんまり決め込んでしまいますよね。それは何故ですか?」
ことり「黙秘権だよ。自分にとって不都合な話はしなくていい権利が、ことりにはあります」
海未「つまり、穂乃果の話題はことりにとって不都合だということですか?」
ことり「黙秘します」
海未「………」
- 168 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/20(木) 23:47:10.00 ID:QD7UHP2I.net
- 海未「私は、ことりが心配なんです」
ことり「………」
海未「ことりと穂乃果の間に、何かあったのでは?仲違いしているのでは?」
海未「……そう思うと辛いんです。私の幼馴染二人の仲が不良だなんて、悲しいじゃないですか」
ことり「それは穂乃果ちゃんの人間関係の不振が心配なだけで、私のことはこれっぽっちも心配なんてしてないんでしょ?」
海未「いえ、そんなことありません!私にとって、穂乃果もことりも同じくらい大切な存在です!」
ことり「………」
海未「教えてもらえませんか?ことりが隠していることを」
本当なら、ことりから話してくれるのを待つべきなのですが、どうにも私は事を急いてしまいます。
もし、これで話してくれないようなら、もう私からはこの話題に触れないようにしないといけませんね…。
ことり「……わかった。話すよ」
海未「え?話してくれるのですか?」
ことり「海未ちゃんに迷惑が掛かってるのなら…、それはことりの望むことじゃないから」
ことりは語り始めました。
- 169 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/20(木) 23:48:35.26 ID:QD7UHP2I.net
- ことり「私はね、容量の悪いトリ頭なの。だから自分のことだけで頭が一杯一杯」
ことり「それなのに…。悩みのタネが多すぎて、私はもう大パニック。ほんと、勘弁してほしいよ…」
海未「………つまり、ことりは悩んでいるということですか」
海未「そんな時は、海のことを考えればいいんです。広い海洋に比べれば、自分の悩みなんて小さなものだと思えますよ」
ことり「悩みの殆どは海未ちゃんのことなんだよ?」
海未「え、私ですか!?すみません!私はことりに何か嫌なことをしましたか…!?」
ことり「はぁ…。どうして海未ちゃんは、こうなっちゃったんだろう…」
ことり「もうイヤだよ…。なんで私だけ…。もう何もかも捨てちゃいたいよ………」
私なりに気の利いたセリフを言ったつもりだったのですが、逆効果だったようです…。
ことりはいつになくブルーになっています。
- 170 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/20(木) 23:49:24.80 ID:QD7UHP2I.net
- 海未「あ、あの、ことり」
ことり「………何?」
海未「よければ、その悩みを私にぶつけてくれませんか?」
海未「私にはこれまで数々の人生相談を受けてきた実績がありますから、ことりの悩みも解決できるかもしれませんよ!」
ことり「………」
海未「それに、私のことで悩んでいるのなら、私に話してください。もしかしたら改善できるとこもあるやもしれませんから!」
ことり「……うん、そうだね。海未ちゃんになら、相談をぶつけても気負わなくて済むからね」
海未「ことり…!」
ことり「でも、私の悩みを全部話すことはないです。解決不可能な悩みを打ち明けたって、かえって海未ちゃんに迷惑をかけるだけだもん」
ことり「だからまずは、砂浜の砂よりも小さな、私の悩みを話すね」
- 171 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/21(金) 00:08:47.03 ID:KPO8rFco.net
- ことり「私はね、将来保育士さんになりたいの」
海未「そうですか、なんとなくそんな気はしていました。
ことりに向いている仕事だと思いますよ」
ことり「………でもね、私…。子どもたちと向き合える自信がないの。
ピアノも弾けないし、子どもの心にも寄り添えない。
私は保育士に向いているとは到底思えないの」
ことり「はぁ…。私はどうすればいいのかな…?」
- 172 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/21(金) 00:09:56.18 ID:KPO8rFco.net
- 海未「……ことりは保育士になるべき、だと思います」
海未「ことりは自分のことを過小評価しすぎです。自信を持ってください!
きっと、ことりならいい先生になれますよ!私が保証します」
ことり「そっか…、ありがと。私頑張って保育士資格取るよ!」
海未「はい!頑張ってください!」
海未「………って、もう悩み解決ですか?」
ことり「うん。私の悩みなんて埃以下だもん。すぐに解決できちゃうの」
海未「?…」
- 173 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/21(金) 00:11:10.11 ID:KPO8rFco.net
- ことり「さて…、私の相談を聞いてもらったことだし、私も海未ちゃんの相談を一つ聞いてあげるね」
海未「……本当ですか?黙秘権を使うのは禁止ですよ?」
ことり「うん♪話せる限り話すつもりだよ!」
海未「………」
先程とは一転、この態度。
ことりは、つくづく訳のわからない人です。
海未「………では、穂乃果のことで相談させていただきます。……相談というより質問に近いですが」
ことり「うん。何でも聞いていいよ」
海未「先日、穂乃果と電話で話したんですよ」
ことり「………うん、それから?」
海未「私は穂乃果に訊きました、『京都に行ってもいいですか?』と。穂乃果は答えました、『いやだ来るな穢れる』………と」
ことり「海未ちゃん、泣かないで…。はい、ハンカチ」
海未「うぅ、ありがとうございます…。ズルズルズルッ」
ことり「鼻をかむのはやめてほしいな」
- 174 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/21(金) 00:12:27.31 ID:KPO8rFco.net
- 海未「ことりに尋ねたいのですが、なぜ穂乃果は私に京都に来ないよう言ったのですか?」
ことり「………」
ことり「ことりにはわかりません」
海未「ええ!?何故ですか!ことりは穂乃果のことを何でも知ってる風だったから質問したのに…」
ことり「だって!私は穂乃果ちゃんじゃないし、穂乃果ちゃんが何を思って何を望んでるのかなんて、わかんないもん!」
海未「そりゃそうですが…。ことりは穂乃果と連絡を取り合っているのでしょう?それなら、穂乃果から聞き出してくださいよ」
海未「ことりが尋ねれば、穂乃果は絶対に答えるはず………」
ことり「はいストップ。海未ちゃんはとても大きな勘違いをしています」
海未「勘違い…?」
ことり「私は今、穂乃果ちゃんと連絡を取ることができません」
ことり「もっと正確に言うなら…。現在穂乃果ちゃんと連絡を取れるのは、海未ちゃんだけなんだよ」
海未「え…!?それはどういうことですか?」
- 175 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/21(金) 00:16:16.00 ID:KPO8rFco.net
- ことり「春あたりまでは、穂乃果ちゃんと電話でお話しできてたの。でも、6月に入ってから、突然途切れた」
ことり「その頃でしょ?海未ちゃんが電話で穂乃果ちゃんとの交流を再開させたのは」
海未「……はい。確かにそうですが…。そのことは、ことりが穂乃果と不通になる理由にはなりませんよ」
ことり「………今、穂乃果ちゃんがいるのは、そういう所なんだよ」
海未「何言ってるんですか?穂乃果はいま京都にいるんですよね?」
海未「『京都』と『東京都』はたったの一文字違いですし、電話が繋がらないわけが…」
ことり「理論とか理屈は関係ないの。ただ、目の前にあるそれが現実」
ことり「……ほら、想像してみて。自分が今いる空間の外はすべて異世界。そしてその異世界に干渉することは絶対にできないの」
ことり「穂乃果ちゃんがいるのは、そんな所。穂乃果ちゃんは助けを求めてるの。前はことりだった。でも今は海未ちゃん」
ことり「穂乃果ちゃんを助けられるのは海未ちゃんだけなの!だから、お願い…。穂乃果ちゃんを世界の歪みから救ってあげて!」
海未「………」
ことりの頭は、夏の日差しに当てられてしまったようです。
- 176 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/21(金) 00:17:20.21 ID:KPO8rFco.net
- ことりは黄昏れ空を見上げています。
ことり「見て…。夕陽が差して、空が真っ赤に燃えてるよ」
海未「……穂乃果も、私たちと同じ空を見上げていますかね?」
ことり「穂乃果ちゃんが空も見られない環境にいるなら、空の赤も知らないんだろうね」
海未「空が見られない環境ってどこですか?」
ことり「例えば………地底世界とか?」
海未「ことりは京都を何だと思っているんですか!?」
ことりは立ち上がり、歩み始めました。
嫌になるぐらい赤い夏の陽が、少女を包み込みます。
ことり「京都は全てを奪う場所だよ。ほんと、大嫌い」
- 177 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/21(金) 00:50:14.55 ID:KPO8rFco.net
- #13
呼び出し中。
…。
………。
穂乃果『……もしもし、海未ちゃん?』
海未「あ、もしもし。海未ちゃんです。あの、穂乃果に一つ尋ねたいことがあるのですが」
穂乃果『尋ねたいこと?』
海未「穂乃果は今、どこにいますか?」
穂乃果『え…?どうして、そんなことを訊くのかな…?』
海未「今日、ことりとデートをしたんですが、その時に聞いたんですよ」
穂乃果『………』
海未「穂乃果は今、アナザーワールド、もしくはアンダーグラウンドにいるんですか…?」
穂乃果『………海未ちゃん。夏の日差しに当てられちゃった?』
海未「すみません。私もバカになっていたみたいです。またかけ直しますね…」
穂乃果『ま、待って!たった今、海未ちゃんに訊きたいことができたの!』
海未「……?」
- 178 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/21(金) 00:51:13.92 ID:KPO8rFco.net
- 穂乃果『………海未ちゃんは今日、ことりちゃんとデートしたの…?』
海未「はい。最初はことりに連れ回されていましたが、これが中々楽しいものでした。またことりとデートをしたいものです」
穂乃果『ふーん……そっか…』
何ですか?この含みのある物言いは…?
これは、まさか………。
海未「もしかして穂乃果は、嫉妬しているんですか?」
穂乃果『なっ…。そんなわけ、ないじゃん…?海未ちゃんなんて眼中にないし…』
海未「私がことりとデートをしてたから、ジェラシー妬いてるんですね!?ね、ね!!?」
穂乃果『もう、うるさいよ!電話口で大きな声出さないでよ!』
海未「きゃっはー!やっぱりほのうみなんですよねー!!!」
穂乃果『ち、違うもん!………………もん!もん!』
海未「穂乃果、さっきから声が上擦っていますよ。図星なんですよね?」
穂乃果『〜〜〜!バカバカバカ!海未ちゃんのアホー!くたばれ!』
穂乃果『海未ちゃんのバーカ!去んじゃえ!往んじゃえ!屠られろー!』
海未「そ、そこまで言わなくてもいいじゃないですか!?泣きますよ?」
穂乃果の罵倒を聞いていると、みるみる精神力が削られていくようです。
そろそろ電話を切り上げようかと思ったその時、ある声が聴こえてきました。
- 179 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/21(金) 00:52:08.38 ID:KPO8rFco.net
- 『あ、穂乃果ちゃん〜』
海未「………む…?」
電話の先で、誰かが穂乃果のことを呼んだみたいです。
穂乃果『あ…。ごめんね、いま電話中なの…。うん、また後で………』
海未「穂乃果…?今の声は誰ですか?」
穂乃果『え…?ああ、それは…』
海未「あ、察しました!穂乃果のルームメイトの米子さんですね!」
穂乃果『あ、いや、えっと…』
海未「穂乃果が電話中とは気づかず話しかけてくるとは、米子さんはおっちょこちょいな方なのですね!」
穂乃果『………違うよ』
海未「え、今の声は米子さんではないのですか?それでは一体、誰が…」
穂乃果『……あー、実は今私ね、合コンに来てるんだ!』
海未「………は?」
穂乃果『電話がかかってきて途中で部屋から出たからさー!男の子が、呼びに来てくれた、みたいー、なんだ…よ…ね?』
海未「………何を、言っているのですか?」
穂乃果『……あー、うん。だから、電話切るね!じゃあね!バイバイ!!』
海未「ちょ、ちょっと待ってください!穂乃k…」
………。
- 180 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/21(金) 00:58:42.32 ID:KPO8rFco.net
- ………穂乃果が、合コン…?男と侍っている…?
あ、あり得ません…。私というものがありながら、穂乃果が合コンなど…。
………しかし、確かに男性のような声が聴こえてきました…。
ま、まさか…。いや、でも………
- 181 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/21(金) 00:59:16.46 ID:KPO8rFco.net
- 一時間後
海未「うぅ…ぐすっ…。ほのかぁ…」
海未「穂乃果が、穢れてしまいますぅ…うああああ………」
海未「なぜ、合コンなんかに………?」
海未「私じゃ物足りないんですか…?遠距離は嫌なんですか…?」
海未「あああああああああ…」
海未「ほの……ほのかぁ………」
- 182 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/21(金) 01:00:13.74 ID:KPO8rFco.net
- 十時間後
海未「決めました…!」
海未「私も合コンに参加して、穂乃果に嫉妬ファイヤーを炎上させてやります!」
海未「しかしながら、合コンにはどうすれば参加できるのでしょうか…?」
k子「おーっす。先輩が帰って来たぞ〜」
k子さんに聞けば…。いやしかし、そう都合良く話が進むわけ………
k子「あ、そうだ。ダメ元で聞くけどさ、海未ちゃん合コン来ない?女の子の数足んなくてさ〜」
海未「行きます!是非に!!」
k子「え…、来るの?」
海未「はい!もちろん!!」
- 183 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2017/04/21(金) 01:00:23.49 ID:uoZ5DX8J.net
- 嫌な展開だな
- 184 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/21(金) 01:03:35.38 ID:KPO8rFco.net
- ここまで…
なんで規制引っかかるんだろう
- 185 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/21(金) 01:06:19.49 ID:KPO8rFco.net
- 一応長編だけど一年目終わったらあとは焼き直しだからそんなに長くはならないと思う
- 186 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2017/04/21(金) 01:10:35.17 ID:rD5qPopq.net
- 期待してる
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