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善子「堕天使の逝く場所」

1 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 00:27:16.21 ID:jHQ0sQgK.net
一体、いつの頃だったろうか


最後に君と会った日は

2 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 00:29:26.12 ID:jHQ0sQgK.net
「やっほー!」


花丸「あっ、善子ちゃん!」

善子「ヨハネ!」

花丸「久しぶりだね〜!」

善子「ふっ。堕天使であるこの私にとって、たかだか数年の月日など星が瞬く程度のものでしかないわ」

善子「零れ落ちる雫が乾くまでの、ほんの余暇でしかない時の中でホニャララ…」

花丸「相変わらずずら〜」ニコッ

3 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 00:30:23.58 ID:jHQ0sQgK.net
この夜が明けたら


きっと行ってしまうのだろうね

4 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 00:32:30.27 ID:jHQ0sQgK.net
【Cafe 松月 】


善子「…」ズズズッ

花丸「〜♪」チュ-

善子「…大学ってさ」

花丸「ん?」チュ-

善子「大学って、どの位休みあるの?」

花丸「ん〜」

花丸「…いっぱい?」

善子「何それ!?社会人への当て付け!?」

花丸「で、でもね?実際はレポート書いたり家の事したりで、そんなに休みはないよ?」

5 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 00:38:05.70 ID:jHQ0sQgK.net
善子「…はぁ」

花丸「善子ちゃんは、お仕事の方はどう?」

善子「あ〜…まぁ、ボチボチってとこね」

花丸「…もしかして、仕事場でもヨハネちゃんが出るの?」

善子「そんなワケないでしょ〜?」

善子「てゆーか。そんな真似した日には、次の日から仕事行けなくなるわよ」

花丸「流石ずら〜」

善子「ふん!」

花丸「…」


花丸「ねぇ、善子ちゃん」

6 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 00:40:20.68 ID:jHQ0sQgK.net
善子「ヨハネで〜す」

花丸「善子ちゃんはさ…」

善子「ん〜?」

花丸「いつから、ヨハネちゃんだったの?」

善子「い、いつから?」

花丸「うん」

善子「…そうねぇ」

善子「物心ついた時には、もうヨハネが降臨してた気がするわ」

7 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 00:41:33.91 ID:jHQ0sQgK.net
花丸「じゃあさ」

善子「ん?」

花丸「善子ちゃんにとってのヨハネちゃんって、どう言う存在なの?」

善子「な、なんなのよ?一体」

花丸「聞いてみたかったんだよ」

善子「う〜ん…そうねぇ」

善子「私にとってのヨハネは…」

花丸「うんうん」

善子「…言ってみれば"夜店"かな」

8 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 00:43:26.25 ID:jHQ0sQgK.net
花丸「夜店?」

善子「そう」

善子「夜店って、真っ暗な中に屋台がいっぱい並んでて、綺麗でしょ?」

花丸「そうだねぇ」

善子「それに、普段見ないような不思議で怪しげで…面白い物ばっかりじゃない?」

花丸「うん」

善子「周りの人達も、それに釣られて一杯集まって来て、楽しそうにハシャいでる」

善子「それが、私にとってのヨハネなのよ」

9 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 00:45:35.00 ID:jHQ0sQgK.net
善子「まぁ、要するに非日常感ね」

花丸「ふ〜ん」

善子「今考えると、私はその非日常感が欲しくて、ずっと夜店を歩いてたんだけど」

善子「こうして社会に出てみるとね。みんなが必要としてるのは、やっぱり日常の…津島善子な訳で」

善子「私にとっての非日常であるヨハネは、やっぱりお呼びじゃないって訳なのよ」

花丸「…」

善子「今日アンタに会って、久しぶりにお祭り騒ぎが出来たんだけどね」

10 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 00:47:32.78 ID:jHQ0sQgK.net
まだ、覚えているかい?


君が空に呼びかけたあの日から

長い長い時間を、共に過ごした事を

11 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 00:48:39.40 ID:jHQ0sQgK.net
花丸「善子ちゃんは…」

善子「なに?」

花丸「善子ちゃんは、寂しいの…?」

善子「……」

善子「…寂しさ、ねぇ」

花丸「……」

善子「あのさ」

花丸「ん?」

善子「アンタは今、楽しい?」

花丸「…え?」

12 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 00:50:34.00 ID:jHQ0sQgK.net
善子「アンタは、アンタの人生の…本懐みたいな物を果たせてると思う?」

花丸「…」

善子「本当は、自分には在るべき姿や存在理由があって…そんな私を、何処かで待ってる人が居るかもしれないって」

善子「そんな風に考えた事…ない?」

花丸「……まるは…」

花丸「私は、考えた事ない…かも」

善子「……そう…」

13 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 00:52:06.68 ID:jHQ0sQgK.net
花丸「まるはね?」

花丸「立ち止まってる誰かの背中を、ほんの少しだけ押してあげられれば…」

花丸「それだけで、充分幸せになれるから」

善子「…」

花丸「だからきっと、それがまるの人生にとっての本懐…なのかも知れない」

善子「……じゃあ、私は」

花丸「え?」

善子「ヨハネはこれから…」


善子「何処に向かうべきなのかな」

14 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 00:53:37.90 ID:jHQ0sQgK.net
わたしが来る前の君は

ずっと独りで、不幸に泣いていただろう


星も見えない、真っ暗な夜空の下で

15 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 00:55:11.74 ID:jHQ0sQgK.net
花丸「…」

善子「きっと明日の先にも、津島善子はここに居るんだろうけどさ」

善子「そこに、ヨハネの居場所は…果たしてあるのかしらね」

花丸「それは…」

善子「……あぁ。」

善子「ごめん、喋りすぎたわ」

花丸「…」

16 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 00:57:10.57 ID:jHQ0sQgK.net
善子「今の話、聞かなかった事に…」

花丸「…まる達が」

善子「え?」

花丸「私達が、いるよ?」

善子「…」

花丸「ヨハネちゃんの居場所は…そこじゃダメ?」

善子「……」

善子「…きっとね?」

善子「この寂しさは、私じゃなくてヨハネが感じているものかも知れない」

17 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 00:58:55.42 ID:jHQ0sQgK.net
花丸「どうして?」

善子「だって…私は今、幸せだもの」

善子「私の傍には、友達も家族もいる」

善子「だから、私が寂しさなんて感じるはずがないもの」

花丸「…」

善子「そんな訳…ないでしょ」

花丸「善子ちゃん…」

善子「…」

18 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 00:59:58.84 ID:jHQ0sQgK.net
君の嘆きを言葉に乗せて

わたしは語り尽くした


糧はいつまでも尽きる事はなく

君の悲しみもまた、消える事はなかった

19 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 01:02:33.21 ID:jHQ0sQgK.net
善子「私が…津島善子が、その人生を謳歌して、輝いているほどに」

善子「ふとした瞬間、ヨハネを忘れてる自分に気が付くのよ」

花丸「…」

善子「身勝手な話よね?」

善子「一人で燻ってた頃、アレだけのめり込んで散々世話になってたクセにさ?」

善子「善子としての人生がちょっと充実したくらいで、直ぐ手のひら返すんだもの」

善子「…ホント、ひどい奴だ」

花丸「…」

花丸「それは違うよ」

20 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 01:04:07.76 ID:jHQ0sQgK.net
善子「…」

花丸「それだと、善子ちゃんは囚われてる事になっちゃう」

花丸「…ヨハネちゃんに」

善子「囚われてる…か…」

花丸「今まで、ヨハネちゃんが支えてくれたからこそ、今の善子ちゃんがあるんだよ」

花丸「辛い時や寂しい時、ヨハネちゃんはいつだって、善子ちゃんの傍にいて慰めてくれたんだと思う」

善子「……」

21 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 01:06:06.03 ID:jHQ0sQgK.net
花丸「そんな善子ちゃんが、もう一人でも平気だって分かったから」

花丸「だから、ヨハネちゃんはもう、堕天使でいる必要がなくなったんだよ」

善子「……空から迎えに来た天使が、また空に帰って行く…か」


善子「…ふふ。これじゃ出戻りじゃない」

花丸「やっぱり、実家が一番ずら」ニコッ

22 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 01:07:46.17 ID:jHQ0sQgK.net
そしてあの日

君は星を見つけた


わたしが放つ、淡く儚げな光などではない

夜明けを報せる、本物の輝きを

23 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 01:09:07.04 ID:jHQ0sQgK.net
善子「…でもね」

花丸「ん?」

善子「私を迎えに来てくれた、あの日」

善子「彼女にはもう、帰る場所は無くなったのよ」

花丸「ぇ…」

善子「私がヨハネで有り続けない限り、もう何処にも、彼女を待ってる人はいないわ」

善子「みんなが忘れて、そして私さえも必要としなくなった時…」

善子「彼女の居場所は、本当に何処にも無くなるのよ」

花丸「そ、そんな事…」

善子「…」

24 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 01:10:24.54 ID:jHQ0sQgK.net
暗い夜空の下、小さな手をかざして

その瞳に、燦然たる星の輝きを映した君は


もう、夜を望むことはないだろうと悟った

25 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 01:11:53.55 ID:jHQ0sQgK.net
善子「長い長い夜を、ヨハネと共に過ごして来たけれど」

善子「私は一度だって、彼女を陽の光の下に誘った事はなかった」

花丸「…」

善子「だって…彼女が輝ける場所は、あの夜の中にしかないんだから」

善子「それに、闇夜の中で儚げに輝く彼女に、私は惹かれたんだもの」

花丸「…」

善子「…私はね」

26 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 01:14:13.52 ID:jHQ0sQgK.net
善子「津島善子は、Aqoursのみんながくれた輝きを糧に、今もこうして過ごしている」

善子「でも…」

花丸「でも?」

善子「結局あの日々は、私が善子として誇れる時間だったから」

善子「だからやっぱり、堕天使ヨハネの居場所は、彼処ではないんだよ」

花丸「そう…なのかな……」

27 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 01:15:32.78 ID:jHQ0sQgK.net
いつだって


いつだって、君の代弁者だったわたしは

28 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 01:18:30.46 ID:jHQ0sQgK.net
善子「…ねぇ。花丸」

花丸「っ!」

花丸「な…なに?」

善子「もし、この夜が明けたとしたら…」
  
  
  
  
わたしは
  
  
  
  
善子「堕天使は」

花丸「っ」

29 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 01:20:08.21 ID:jHQ0sQgK.net
『どこに逝くべきなのかな』

30 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 01:21:12.22 ID:jHQ0sQgK.net
お粗末さまでした。

31 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 01:36:15.14 ID:Jm1pQY0s.net
乙乙
ヨハネのじごくめぐりといいちょっと切ないの良き

32 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 03:08:57.62 ID:BlEVSC0x.net
誰こいつら
http://i.imgur.com/TLW3M0r.jpg

33 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 03:30:12.43 ID:beZVKZGM.net
好き
お疲れ様

34 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 05:10:26.09 ID:FRlcnSya.net
ふむふむ
いいね

35 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 07:28:41.49 ID:0vuxwXUy.net
この雰囲気好きだわ

36 :名無しで叶える物語:2018/05/28(月) 09:02:21.57 ID:qZh9yzh8.net
なんか切ないな
たしかに善子が大人になるにつれヨハネは居場所をなくすのか……

37 :名無しで叶える物語:2018/05/29(火) 09:01:04.38 ID:UAK8YoxC.net
なにこれ

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