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真姫「希先輩と私の秘密」
- 1 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 22:23:27.88 ID:XBgsgMJP.net
- 私と希には二人だけの秘密がある。
それは毎週金曜日の部活終わりの視聴覚室での事。
真姫「そう言えば気になってたんだけど」
希「うん?」
真姫「どうしてここの鍵なんて持ってるの?」
希「あぁ、生徒会やってる時にスペアの鍵を拾ってね。役得やね」
真姫「それ…いいの?元副会長がそんな事して?」
希「人間は良い事も悪い事も経験して大人になって行くんだよ。そんな事より映画始まるよ」
真姫「あっ、そう」
今日も二人だけの映画館が上映する。
- 2 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 22:25:54.09 ID:XBgsgMJP.net
- 01
ガチャ
希「遅かったやん」
視聴覚室の扉を開けて中を覗くと部屋の端の方から希が声を掛けてきた。
真姫「まあ…凛と花陽がね」
希「二人も連れてくればええのに」
確かに。希の言う通り凛と花陽も連れて来れば良いのだけど。私はここの事は二人だけの秘密にしたいと思っている。
- 3 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 22:28:40.30 ID:XBgsgMJP.net
- 希「待ってたんやから。あまり遅い時間まで学校にいると宿直の先生に見つかったら厄介なんだよ」
生徒会をやっていた人の台詞とは思えない。この不良娘。
真姫「それで?今日は何を観るの?」
希「今日はね〜」
毎週金曜日に私と希が何をしているのかと言うと視聴覚室のプロジェクターを使って二人で映画を観ている。視聴覚室は私達の為だけの映画館になる。
- 4 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 22:30:58.94 ID:XBgsgMJP.net
- 以前、部活終わりにたまにふらっと居なくなる希を不審に思って後をつけたのが始まりだった。
希「さて、そろそろ始めようか?」
真姫「うん」
カチッ
希が部屋の明かりを消した。パチッと鳴り響く音がトリガーとなりさっきまで学校の一室だったのに一瞬で映画館に変わる。
そして私達は視聴覚室の一番後ろの席に座った。
- 5 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 22:32:42.25 ID:XBgsgMJP.net
- スクリーンに映像が映し出される。
希「おっ!あの映画めっちゃ面白いんだよ」
真姫「そうなの?」
希「今度借りて来て観ようね」
本物の映画館の雰囲気が出るからって予告を飛ばさずに観るのが希の流儀らしい。
希「そろそろ始まるよ」
真姫「うん」
希は映画が始まるこの瞬間が好きらしい。
- 6 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 22:34:45.89 ID:XBgsgMJP.net
- 希「なんだか特別な感じがしない?凄いワクワクするって言うか…ここから全てが始まるぞ〜って感じが凄い好き」
との事。
そして、映画が始まる。
大画面に映るのは殺し屋の男と少女の切ない愛の物語。
愛を知らなかった男が少女の為に不器用に感情を剥き出しにするシーンには思わず鳥肌が立った。
そして、この不器用な男にどこか自分を重ねていた。
私もμ'sに入るまでどこにも根を下ろせずにいたから。
希「ん〜やっぱり名作やなぁ…って真姫ちゃん?」
真姫「な、何よ?グスッ…」
- 7 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 22:34:48.51 ID:TW0G1uGV.net
- 支援
- 8 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 22:36:56.22 ID:XBgsgMJP.net
- 希「ううん…ふふっ。どんな評論家の言葉よりも真姫ちゃんのその涙が全てやね」
そう言ってそっとハンカチを差し出して来た。
真姫「…うるさいわよ」
私はそう一言だけ返した。
だって仕方ないじゃない。本当に感動したんだから
- 9 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 22:39:12.20 ID:6YrP3Ovh.net
- のぞまきすき
- 10 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 22:40:27.97 ID:XBgsgMJP.net
- 02
希「ねて?見つかった?」
真姫「まだ…」
今日はレンタルビデオショップに来ている。
と言うのも先日こんなやりとりがあったからだ。
希「そう言えば、真姫ちゃんってどんな映画が好きなん?」
真姫「私の好きな映画?」
- 11 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 22:45:23.64 ID:XBgsgMJP.net
- 希「うん」
真姫「私の好きな映画は…」
ってな感じで二人で私の好きな映画を探しに来た。
真姫「ごめん。思い出せない」
昔観た映画のタイトルがなかなか思い出せなかった。 目を閉れば映画のワンシーンが浮かぶのにな。
希「そっか。まあ、ゆっくり探そっか」
真姫「うん」
そう言って希の視線は棚の上へと向いた。
- 12 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 22:46:26.72 ID:9rqAVMKp.net
- 久々やんね
- 13 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 22:46:36.61 ID:XBgsgMJP.net
- 希「おっ!真姫ちゃんはこの映画は観たことある?」
真姫「どれ?」
希「これ!」
希が手を伸ばしたDVDのタイトルはゴッドファーザー。
マフィアの重鎮となったヴィトー・コルレオーネと、その息子たちやその周りの人間の栄光と悲劇を描いた名作。
真姫「これってマフィアの抗争のお話でしょ?なんだか意外ね。こう言うのが好きなの?」
- 14 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 22:49:39.38 ID:XBgsgMJP.net
- 私がそう言うと希は何故だか顔をキリッとさせて
希「それはちょっと違うなぁ。これは男の生き方を教えてくれる映画なんよ」
と答えた。
真姫「何よそれ。希は女の子じゃない」
希「ふふっ、確かにな」
全く、何言ってるのかしらこの人は。
希「あっ!これも名作だ」
- 15 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 22:54:06.02 ID:XBgsgMJP.net
- 希はゴッドファーザーのDVDを名作コーナーの棚に戻してその下の段のDVDを手に取って私に見せた。
真姫「これって…」
どこか見覚えのあるパッケージ。
希「ん?何?どうしたん?」
真姫「本当に映画に詳しいのね」
希「まあ、一人の時間が多かったからね」
真姫「そっか」
希「だから楽しいよ。こうやって友達と映画を選ぶの」
と希は笑った。
- 16 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 22:57:07.63 ID:XBgsgMJP.net
- 私も初めてだった。ちょっと前までは考えられかったけど。友達とこうやってレンタルビデオショップで映画を選ぶのは…私も楽しい。
私もずっと一人ぼっちだったから。
希「この映画もなかなかおススメでね…ねえ?聞いてる?」
真姫「うん。聞いてるわよ。それより希が持ってるそれ」
希「うん?サウンドオブミュージック!」
真姫「うん」
小さい頃、パパが映画に連れて行ってくれた事があってその時観たのがリバイバル上映されていたこの映画だった。
主演の女優の歌声もとても綺麗だった事を覚えてる。
真姫「その映画、私も大好き」
希「ふ〜ん…あっ!もしかして、真姫ちゃんの好きな映画って…」
- 17 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 22:57:50.06 ID:XBgsgMJP.net
- 真姫「うん」
希「そっか。歌が好きな真姫ちゃんらしいね。ウチも好きよ。この映画。そっか、じゃあ明日はこの映画を観ようね」
真姫「ええ」
私の思い出の映画は希も好きだったみたい。これは偶然なのかな?
- 18 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:01:54.63 ID:1dIIGsmr.net
- いいな
支援
今はレンタルビデオも減ってきてるからこういう時間も置き換わっちゃうんだろうな
- 19 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:02:03.48 ID:XBgsgMJP.net
- 03
今日は金曜日。私と希の二人だけの秘密の映画観賞の日。
ガチャ
真姫「ごめん、希。遅くなったわ」
私はワクワクしながら視聴覚室の扉を開いた。
すると部屋の中から希以外の声が聞こえて来た。
「やっ!真姫ちゃん!」
それは聞き覚えのある声だった。
真姫「穂乃果…どうして…」
希「真姫ちゃんと一緒」
穂乃果の横から希がひょっこりと顔を出した。
穂乃果「たまたま希ちゃんが視聴覚室に入って行くのを目撃しちゃってさ〜」
真姫「そう、別にいいけど」
そう。別に良いんだけど…。 穂乃果の事は好きだし映画は大勢見た方が楽しいし。別に良いんだけど。
真姫「穂乃果も参加したいの?映画観賞会」
穂乃果「いいの?」
- 20 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:06:09.20 ID:XBgsgMJP.net
- 真姫「まあ…別に?」
正直言うと…二人だけの秘密じゃなくなっちゃうのは複雑…。
希「穂乃果ちゃんは映画はよく見るの?」
穂乃果「最近はあまりかな。けど昔はよく海未ちゃんとことりちゃんと映画館まで観に行ったものだよ」
そっか。三人は幼馴染だもんね。
穂乃果「子供の頃はさ〜映画館に行くのもちょっとした冒険みたいな感じだったんだよね」
穂乃果は遠くを見ながら語り出した。
穂乃果「ほんとなんかワクワクしたんどよなぁ。三人で計画してさ、お母さんにお小遣い貰って。海未ちゃんなんてしおりまで作っちゃってね」
映画館に行くのが冒険か…。そんな事考えた事もなかったな。
- 21 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:09:31.29 ID:XBgsgMJP.net
- 希「どんな映画観に行ったの?」
穂乃果「えっと…ドラえもんとかハリーポッターとか観たっけな〜。楽しかったな〜」
真姫「へ〜そう」
もし、私も穂乃果と幼馴染だったなら
穂乃果「真姫ちゃん。明日の映画楽しみだね」
海未「穂乃果は寝坊しないで下さいね!」
ことり「お昼はどこで食べようか?」
真姫「デパートのフードコートなんていいんじゃない?」
穂乃果「賛成〜」
なんて事もあったのかな。
- 22 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:11:39.72 ID:XBgsgMJP.net
- 希「さっ、お喋りもええけどそろそろ上映開始しようか?」
真姫「そうね」
穂乃果「わ〜なんだかワクワクするなぁ」
今日見る映画はスティーブンキング原作のスタンドバイミー。
小さな街に住む4人の少年たちが好奇心から、線路づたいに“死体探し”の旅に出るという、ひと夏の冒険を描いたロードムービーの金字塔だ。
この映画は主人公の幼い頃の親友のクリスが刺殺された記事を発見した事で昔を思い出す所から始まる。
- 23 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:13:56.80 ID:XBgsgMJP.net
- 鑑賞中、ふと、私は穂乃果の方を見た。
いつもは騒がしい穂乃果も映画を観てる時はやっぱり静かだった。
穂乃果との出会いは私が音楽室でピアノを弾いて居る所に現れて
穂乃果「一緒にスクールアイドルやらない?」
突然アイドルをやらないかって誘われたのが最初だった。
穂乃果との出会いは劇的でそれこそ私にとって映画のワンシーンの様に運命的だった様に思える。
- 24 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:16:19.04 ID:XBgsgMJP.net
- この映画の最後は、一夏の冒険を終え別れた主人公達がその後別々の進路を進みお互い疎遠になって行く。大人になってクリスの死を知り昔を振り返り
「12歳の時のような友人を、私はその後二度と持ったことはない。誰でもそうなのではないだろうか?」
と思い出に言葉を添えて物語は終わる。
穂乃果「いやぁ、面白かったねぇ」
希「そうやろ?」
穂乃果「うん」
いつか私達もこの映画の主人公みたいに今を思い返す時が来るのだろうか。懐かしく切なく、そして愛おしく。
希「さて、明日も早いし。早く帰ろうか」
穂乃果「そうだね〜」
その時私は穂乃果や希、μ'sの皆んなの特別になれているといいな…なんて。
その為にも私は今を精一杯生きようと思う。
- 25 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:17:32.90 ID:XBgsgMJP.net
- 04
私の罪。それは優等生の真姫ちゃんをこんな校則破りまくりの映画観賞会に引きずり込んだ事。
真姫「こんな所でコソコソと何やってるのよ?」
希「げっ…見つかっちゃった?」
誰も知らなかったのに(とは言っても察しの良いえりち辺りは気が付いていたかもしれないけど)私とした事が視聴覚室に入る所を真姫ちゃんに目撃されてしまった。
彼女が私の行動に興味を持ち乗り気だったのは嬉しい誤算だった。
- 26 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:19:11.30 ID:XBgsgMJP.net
- 真姫ちゃんは晴れて共犯者となった。
それから毎週金曜日は真姫ちゃんと二人で秘密の映画観賞会を開催する事になったのだ。
その日、二人で観た映画はオードリーヘップバーンが主演の映画だったと思う。
画面に映るその世界で一番美しい女性を恍惚な表情で眺める真姫ちゃんの横顔はこの世で一番美しく見えてこの景色をもう少し独り占めしたいなと思った。
真姫「何?」
希「別に?何でもないよ」
私は咄嗟に嘘を吐いた。
そう言えば真姫ちゃんに見つかったのはわざとだったかも知れないと今更ながらに思う。だとしたら私の罪はさらに重くなりそうだ。
- 27 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:22:25.13 ID:XBgsgMJP.net
- 05
部室で皆んなで映画の話をしていた。
凛「でね〜、ミイラがバーンってなるんだけどね…なんだっけ?」
凛が大袈裟に映画の説明をする。
にこ「全然何を言ってるか分からないんだけど」
花陽もにこちゃんも凛の説明じゃイマイチピンと来ていない様だった。
真姫「それってハムナプトラじゃないの?」
凛「あっ!そうそう!それだよ」
にこ「よく分かったわね。あんた」
真姫「まあ…ね」
この間、たまたま観ていたからね。
花陽「真姫ちゃんって映画に詳しいんだね」
花陽は意外な顔をしていた。
凛「知らなかったにゃ〜」
真姫「そう?」
私が映画に少し詳しくなったのは毎週金曜日に視聴覚室で希と映画観賞をしているから。
- 28 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:24:27.41 ID:XBgsgMJP.net
- これは二人だけの秘密(例外が一人いるけど私は数えない事にしている)で親友の凛と花陽もこの事は知らない (もしかしたら金曜日の練習終わりに私と希が二人して居なくなるのを不思議には思ってるかもしれないけど)
どうして私が皆んなに秘密にしているのか。
真姫「なんか…不思議ね」
希「何が?」
真姫「私と希はμ'sの一員で仲間でしょう?でも、この時だけはμ'sもラブライブも関係なくて私と希だけの…なんて言うか」
- 29 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:26:57.42 ID:XBgsgMJP.net
- 希「何が言いたの?」
希は眉を顰める。
真姫「分かんない」
希「ふふっ、何やそれ」
μ'sやラブライブが繋がりの私達をこの共通の秘密と言う体が友達としての関係をさらに浮き彫りにしてくれる様な気がするから。
希「さあ、先生に見つかる前に早くズラかろう」
真姫「本当…悪い事してるみたいに言うわね」
希「いや…校則破ってる時点で悪い事やからね?」
もう少しこの時間が続けば良いと私は思った。
- 30 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:29:48.08 ID:XBgsgMJP.net
- 06
終幕。
それは突然やって来た。
理由は簡単で私達が視聴覚室で映画を観てる所を宿直の先生に見つかったからだ。
当然私達は先生にこっ酷く怒られた。こんな風に先生に怒られたのは人生で初めてかもしれない。
絵里「申し訳ありませんでした。私からもキツく言いますので」
私達の代わって絵里が頭を下げる。
- 31 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:31:35.66 ID:XBgsgMJP.net
- 先生「もういいよ。二人も反省してるみたいだし」
絵里が一緒に謝ってくれた事、普段私と希の生活態度が真面目な事が幸いして大事には至らなかった。
希「えりち、ごめんね」
絵里「はあ…まあ、私も二人が何かコソコソやっているのには気がついてて、それで注意しなかったから」
希「それにしても驚いたわ。まさか真姫ちゃんが泣き出すなんて」
- 32 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:35:03.08 ID:AhINhOLb.net
- いいね
- 33 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:39:36.00 ID:XBgsgMJP.net
- 絵里「そりゃそうよ。真姫は滅多に怒られる事なんてないんだから。あれだけ怒られればビックリするわよね」
絵里が私の顔を覗き込む。
希「ごめんな、真姫ちゃん。ウチが悪の道に誘ったばっかりに」
真姫「別に…泣き真似だったし…」
希「え?もしかして演技だったの?」
希が大きな声を出した。
絵里「はあ…全く。まさかμ'sにこんな大女優がいたなんてね」
希「これも映画観賞会のお陰かな〜」
絵里「言っておくけど褒めてるんじゃないから。ちゃんと反省しなさいよ?」
希は必要以上におどけて見せ、絵里は凄くて呆れていた。
そう、先生に怒られて泣いたのは嘘だった。そして希と絵里にも嘘を吐いてた。
泣き真似が出来るほど私は器用じゃない。
- 34 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:40:20.79 ID:XBgsgMJP.net
- 07
あの部屋の前を通ると思い出す。毎週金曜日にだけ開館される映画館の事を。あれから私は一度もあの部屋に行っていないし希「先輩」とも会っていない。
先生「ありがとう、西木野」
真姫「いえ…これくらいは」
先生「本当助かるよ。西木野みたいな優等生がクラスに居ると」
相変わらず優等生だった私は先生に頼まれて提出物を職員室に運ぶのを頼まれていた。
- 35 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:40:54.25 ID:XBgsgMJP.net
- 真姫「失礼しました」
先生「おう!サンキューな!」
職員室の帰りにたまたま視聴覚室の前を通ると部屋の扉がわざとらしく少し開いているのに気がついた。
真姫「何をしてるのよ?」
希「ん?真姫ちゃん?」
部屋の中には彼女が居た。
- 36 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:41:21.51 ID:XBgsgMJP.net
- 真姫「久しぶりね」
希「一昨日会ったばかりやん」
真姫「そうじゃなくて」
希「あぁ…この部屋に来るのが?」
真姫「それもそうだけど」
希「それも?」
まあいいや。分からないなら。
- 37 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:42:39.17 ID:XBgsgMJP.net
- 真姫「また怒られるわよ?」
希「残念。今日は正式に先生に許可を貰ってるんよ。この時期の三年生はええよ〜。多少の我儘なら先生も許してくれるわ」
真姫「へ〜」
希「なんなら真姫ちゃんも一緒に何か観てく?」
真姫「生憎この後もやる事がたんまりあるのよ」
希「ふ〜ん。そうなんや」
真姫「ほら?私って誰かさんと違って優等生だから」
希「お〜真姫ちゃんも言う様になったなぁ」
真姫「でも、少しなら付き合うわ」
希「そうこなくっちゃ。待ってた甲斐があったわ」
この人は私が来なかったらどうするつもりだったのかしら…。
私は部屋の扉をゆっくりと閉めた。
- 38 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:43:37.35 ID:XBgsgMJP.net
- 08
春の風が乱暴に吹き荒れる今日この頃。まだ、冬の寒さが残っているので私は身を縮めて彼女を待っていた。
ガチャ
「すいません。遅くなりました。話が長くて。えへへ」
乱暴に扉を開けて彼女は言う。
「別に私は待っていた訳じゃないけど」
「とか言っていつも私が来るまで待っててくれますよね?」
- 39 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:44:53.00 ID:XBgsgMJP.net
- 彼女は私が視聴覚室に入る所をたまたま目撃したらしく、それから毎週金曜日にここに来るようになった。
「って言うか真姫さんはここの鍵どうやって手に入れたんですか?」
「生徒会やってる頃にスペアを拝借したのよ」
「え〜それっていいんですか?下手したら窃盗ですよね?」
- 40 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:50:03.70 ID:XBgsgMJP.net
- 「大丈夫よ。いずれ返すから」
「ん〜それならいいのかなぁ」
言い訳ないでしょ。この子は何言ってるのかしら。
「あなたの方こそ大丈夫なの?」
「何がですか?」
「いつも帰り遅くなるでしょ?お姉ちゃん心配してるんじゃないの?」
「真姫さんと一緒って言えば大丈夫ですよ。だいたいちょっと過保護なんですよね」
「そっ、まあいいわ。そんな事より早く映画を観ましょう」
「わ〜今日は何を観るんですか?」
「内緒」
「え〜」
「ねえ」
「なんですか?」
「これ…代わりに返しといてよ」
私は彼女に映画館の鍵を渡した。
- 41 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:50:17.67 ID:LLR9x51y.net
- 再放送だよね
どっか加筆してる?
- 42 :名無しで叶える物語:2021/07/04(日) 23:50:18.49 ID:XBgsgMJP.net
- おわり
- 43 :名無しで叶える物語:2021/07/05(月) 01:55:30.36 ID:rvvv/Uk/.net
- ちょいちょい表現が変わってるね
乙
- 44 :名無しで叶える物語:2021/07/05(月) 08:46:54.07 ID:oPvmzuXa.net
- 素敵だ
- 45 :名無しで叶える物語:2021/07/05(月) 22:30:43.57 ID:uk/IUro4.net
- 乙
- 46 :名無しで叶える物語:2021/07/06(火) 21:43:37.79 ID:XYhHU6YS.net
- 良かった乙
- 47 :名無しで叶える物語:2021/07/07(水) 21:34:46.99 ID:WswdKyP7.net
- 作者めっちゃ映画好きなんだな
- 48 :名無しで叶える物語:2021/07/07(水) 23:06:32.55 ID:DZYjUqM0.net
- 真姫にも映画を見てくれる後輩ができて良かったね
- 49 :名無しで叶える物語:2021/07/08(木) 19:16:01.73 ID:U4qNB2OH.net
- 面白かった
乙
- 50 :名無しで叶える物語:2021/07/08(木) 19:37:26.43 ID:Cf5wZht+.net
- キュンてなった
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