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【SS】「虹ヶ咲学園大学留年同好会」

1 :名無しで叶える物語:2022/03/05(土) 15:27:52.49 ID:M4jNS3D6.net
代行

921 :名無しで叶える物語:2022/07/05(火) 22:37:10.44 ID:g3x0WxCq.net


922 :名無しで叶える物語:2022/07/06(水) 07:01:14.85 ID:x+o/5cyb.net
支援

923 :名無しで叶える物語(SIM):2022/07/06(水) 22:20:54 ID:2CqVeNuz.net


924 :名無しで叶える物語:2022/07/07(木) 07:24:35.36 ID:qaw+/Dwy.net
支援

925 :名無しで叶える物語(SIM):2022/07/07(木) 22:20:06 ID:5y/H9qHE.net


926 :名無しで叶える物語:2022/07/08(金) 07:29:13.90 ID:VBaOqlkr.net
支援

927 :名無しで叶える物語(SIM):2022/07/08(金) 23:05:41 ID:W7SjF8ie.net


928 :名無しで叶える物語:2022/07/09(土) 12:34:42.18 ID:/Nx6WkQN.net
支援

929 :名無しで叶える物語:2022/07/09(土) 22:08:07.60 ID:Gq3qKZWv.net
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930 :名無しで叶える物語:2022/07/10(日) 13:20:05.36 ID:VSSVCKfd.net


931 :名無しで叶える物語:2022/07/10(日) 23:16:35.78 ID:2W6AAB55.net
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932 :名無しで叶える物語:2022/07/11(月) 12:33:17.19 ID:ui84LBlg.net


933 :名無しで叶える物語:2022/07/12(火) 06:33:26.45 ID:LymB8YoU.net
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934 :名無しで叶える物語:2022/07/12(火) 23:12:23.50 ID:U0sg6fD/.net


935 :名無しで叶える物語:2022/07/13(水) 07:22:50.17 ID:unAKeblz.net
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936 :名無しで叶える物語:2022/07/13(水) 20:27:16.25 ID:3CCayCW9.net
16話『のけものたちは故郷をめざす』

937 :名無しで叶える物語:2022/07/13(水) 20:27:57.61 ID:3CCayCW9.net
〜部室〜

善子「……」

ガチャ

ミア「ども」

善子「ぶくぶく! ぶくぶくぶく……!」

ミア「まーた溺れてる」

善子「つらいよお! あ〜人生人生人生!」

938 :名無しで叶える物語:2022/07/13(水) 20:28:47.95 ID:3CCayCW9.net
ミア(部室に行くと、善子さんがまた一人で床で悶えていた)


ミア(善子さんは今年度からD2だが、ドク論の手法どころか……構想すら白紙らしい。 本人は博士だけにって笑っていたが、笑いごとなのか!? それは……)


ミア(ちなみに博士後期課程の修了要件では、学会発表は勿論のこと査読付き論文を3本ほど書かないといけないらしい……ジャーナルが国内か海外なのかは聞いてないが、まことにハードなことだ)


ミア(まあ本人曰く就活失敗したから進学しただけで、実はPh. Dを取得する気は元よりなく、就職先か寄生先をダラダラと探しているようだ。 なので研究の進捗に関してはいたって気楽な様子だが……)


善子「ぶーくぶくぶくぶく!」


ミア(想い出に囚われて、このありさまだ……)

939 :名無しで叶える物語:2022/07/13(水) 20:29:57.99 ID:3CCayCW9.net
璃奈・栞子「う〜〜っす」ガチャ

ミア「おっす。 二人ともなかなかロックな格好だね」

璃奈「実験だったからね。 栞子ちゃん、レポート課題は分担しよう。 あの量を今から一人で解くのは多分無理。」

栞子「そうしましょう!」

璃奈「じゃあ私が課題1をやるから栞子ちゃんは課題2〜10までお願い。」

栞子「わかりました! ってなんでですか〜。 配分おかしいでしょう!」タスッ

善子「……」


しずかす「うぃ〜っす」ガチャ

ミア「お〜」

かすみ「ほいミアちゃん、これ今日のスライドと課題」

ミア「ん? ああボクこの授業取るのやめたんだよ」

かすみ「そうなの? 楽単らしいのに?」

ミア「いやふつーにこっちの必修と被ってた」

しずく「そうだったんだ。 ミアさん来ないからてっきり寝坊しちゃったのかと思っちゃったw」

ミア「それは朝香果林!」

「「ぎゃははは!!」」


果林「はぁ〜い♡ その朝香果林よ」ガチャ

彼方「お〜っす」ガチャ

ミア「イ、イヒヒw ……いたたたた!」ジタバタ

果林「私とてただただ惰眠を貪るだけのねぼ助と勘違いされたくはないのよね」グリグリ

ミア「ジョーク! ジョークだって!」ジタバタ

彼方「実際さっきまで寝てただろw」

善子「……」

940 :名無しで叶える物語:2022/07/13(水) 20:30:50.21 ID:3CCayCW9.net
ガチャ

侑「でさー、その子がホントに宿題やらないの! 何度言っても!」


歩夢「あるある。 座って聞いてるだけで成績上がるわけないのにね」


侑「それで保護者の方にお気持ちされてもさ〜。 やれって言われたことどうしてできないんだろうね?」


愛「ゆうゆたちも教授にそう思われてるよw」


「「がはははは!」」


ミア「はははは! ……ん?」


善子「……」


善子「ぶくぶくぶくう!!!!」ドカン!


「「うわああああ!!」」

941 :名無しで叶える物語:2022/07/13(水) 20:31:25.90 ID:3CCayCW9.net
ミア「……ほんとに誰とも連絡取れないんですか?」


善子「取れる人はいることにはいる。ルビィは大学にいるし……ダイヤさんも大学に残ってたはず……」

善子「でも他は連絡取れないか、連絡先自体知らないの……」


ミア(そんなことあるのか? と思ったけど……そんなこともあるんだろうな……実際ボクも、例えば菜々さんのLINEは知ってるけど、電話番号は知らないから……垢消されたらそれで終わりだもんな……)


ミア(連絡網の整備というのは、ボクらにとっても割と切実な課題のようだ……)

942 :名無しで叶える物語:2022/07/13(水) 20:32:15.16 ID:3CCayCW9.net
ミア(それはともかく、この同好会は少しずつ変わっていった)


ミア(ぐーたらだった留年生たちも、この一年で人によっては30単位ほど獲得した。 これでも一般的な大学生が聞けば心配されるくらいには少ない……だけど彼女達にとっては大きな前進と言えよう)


ミア(停滞していたみんなはようやく腹をくくって、卒業に向けて一歩を踏み出したのだ)


ミア(もちろん学士課程は義務教育ではない。さっさと辞めて社会に出たって誰にも文句を言われないはずだ)


ミア(つまり学業に向いていないボクたちが敢えて卒業を目指すという選択をしたことには、ボクたちは"なんとかなる"ための資格や資質の一切を個々人が持ち合わせておらず、大卒という肩書きがどうしても必要なのだ、という消極的な側面もある。 せめて卒業だけはしようと……。 その卒業すら独力では危うい無力なボクたちはここに集って励まし合って(?)なんとか立ち向かっているのだった)


ミア(でも……この人は違った。善子さんは学士どころか……そもそも修士号も取っている。 日本で生活する上では十分過ぎるほどの学歴だ。 他力なくして卒業が困難な彼女たちと違って、善子さんはもうここに停滞する理由などどこにもないのだ)

943 :名無しで叶える物語:2022/07/13(水) 20:32:56.95 ID:3CCayCW9.net
ミア(ボクたちは、いやボクは違うけど……彼女たちが学業上に支障を抱えたのには人それぞれの事情があった)


ミア(それは疎外であったり挫折であったり、それらに起因する意欲の失墜であったり……ボク達はそんなささいな理由で歩けなくなってしまうのだった)


ミア(これら内面の問題を他者に解ってもらうのは難しいだろう。 ましてや適切なケアとなれば尚更だ)


ミア(その上彼女たちには頼れる者などもういない。 例えば同期にせよ学部にせよ、ドロップアウトしてしまった彼女たちはもはや仲間外れであり、孤立してしまった存在なのだ。 気が付いたら大学からいなくなっていた人、休み明けから消えた人……常人にとってそんな連中がどのような認識であるかは想像に難くない)


ミア(けれど、このサークルは……このサークルだけはそんなはみ出し者を繋ぎ止めているセーフティネットだった。 心の内を曝け出すことのできる、虹大でただ一つ残された彼女たちの居場所だったのだ)

944 :名無しで叶える物語:2022/07/13(水) 20:33:33.22 ID:3CCayCW9.net
ミア(善子さんもきっとそうだったんじゃないだろうか。 ここは善子さんにとっても心の拠り所で……かつて孤独から解き放ってくれた場所であったはずで……。 再び孤独に直面した彼女がどうしても頼ってやって来てしまう場所なのだ……)


ミア(そして皮肉なことに善子さんが今まさに感じている疎外とは、他ではないこの場所の想い出からの疎外、ということになるのだろう)


ミア(かつての善子さんの心の支えであった人々、体験、記憶……それらが形作った想い出を喪失しかけている。 彼女とて決して強い人間ではなく、むしろささいな理由で歩けなくなってしまう側の繊細な人だというのはボクもよく知っている。 そうであるならば、善子さんの現状はやはり気の毒だ)


ミア(そしてこれはちょっとばかし本音だが……キワモノ集団の現状も気になる。 善子さんはガイジだが、エマさんは彼女のことをあの中ではまともな方だと評しているのだ。 善子さんを超えるド級OGが果たして堅気な生活を送れているのだろうか……うちのサークルから犯罪者を出されては都合が悪い)


ミア「それならさ……聞いてみましょうよ、二人から何か辿れるかもしれないでしょ? エマさんもいるんだし」


善子「うん……」

945 :名無しで叶える物語(もんじゃ):2022/07/13(水) 20:34:51 ID:3CCayCW9.net
〜〜

ミア(こうしてボクたちは、哀れなこの堕天使を救うべく、彼女と関わりのあるOGの捜索を開始した!)

ミア(対象となるメンバーは……松浦さん小原さん黒澤ダイヤさんに、高海さん渡辺さんに桜内さん。 そして国木田さんと黒澤ルビィさん!)


果林「なんで私たちが……ていうかどうやって探すのよ……少しは自分で探したんですか?」

善子「だって研究室忙しいもん……」

ミア(白紙過程って言ってたくせに……)

彼方「まあまあ果林ちゃん。 悪いことばかりじゃないよ〜」

果林「?」

彼方「TVにPC。 ここのところ冷蔵庫もすぐにカビが生える」

みんな「!」

彼方「……一人3万くらい貰えないかなあ」

善子「……え、それって私も?」

果林「あたりまえですよ、ほら」

善子「金ない……」

彼方「……就職先ないんでしたっけ? 知り合いに高級店やってる人いるから紹介してあげましょうか?」

果林「私AV会社の役員の連絡先いくつかあるわよ」

善子「怖っ……あんたたちどうやって生きてきたらそんな繋がりができるわけ?」

946 :名無しで叶える物語(もんじゃ):2022/07/13(水) 20:35:25 ID:3CCayCW9.net
ミア(……このチンピラ反社どもは放っておいて、まずはググれば真っ先に所属研究室HPがヒットする黒澤姉妹!)


ミア(ダイヤさん、いやダイヤ先生は工学部材料科学科の鹿角研の助教で、実験などの講義も一部担当されているらしい。 それにしても科が多いな……)


ミア(鹿角研は低温物性のなんちゃらを扱う研究室だ。 固体物理といえば、無機化学の授業でデバイモデルだとかバンドリ論とかやったな……時代はd4djだというのに)


愛「工学部だって。 今から行く?」


璃奈「こういうのは失礼のないようにアポ取ってから行くもの。 愛さんは知らないだろうけど。」


愛「ちょ、りなり〜w」


ミア(まるで自分は真面目に学生してますみたいな言い方して……)

947 :名無しで叶える物語(もんじゃ):2022/07/13(水) 20:36:01 ID:3CCayCW9.net
栞子「どうしましょうか? 私達が行きましょうか?」


ミア「いや善子さん知り合いなんでしょ? あなたが直接顔出せばよくないですか? それかメール送ればそれで済むんじゃ」


善子「どう思われてるのか怖いもん……向こうが関わるの嫌がってたりとかさ……」


璃奈「……世話の焼けるOG。」


愛「まあいま教員なんなら……確かにもうウチとは関わりたくない! って思ってても無理ないけどね」


善子「うん……」


ミア「……わかりました。 ボクが研究室見学の体で行ってきますよ、雑談なりなんなりで同好会とかの名前チラつかせてさ……食い付くかどうか見てきて、報告しに戻りますよ」


善子「恩に切る!」

948 :名無しで叶える物語(もんじゃ):2022/07/13(水) 20:36:49 ID:3CCayCW9.net
〜工学部棟3号館 材料科学科 〜

ミア「教員に会いに行くのって緊張するな……」

栞子「そうですね……OGでも立場は先生ですから……反応が無かったり薄かったらどうしましょうか……」

ミア「あり得るな……一端の研究者からすればあのサークルの経歴は汚点でしかないからね……実際新聞部とかにヤンチャ歴暴露されたらたまったモンじゃないだろう……」

栞子「そうであれば善子さんにはもう諦めてもらうしか……」


〜工学部材料科学科 鹿角研 学生室〜

ミア「失礼します……先日ご連絡した機械科2年のテイラーです……」

栞子「化学工学科の三船です……」(私は何年って言えばいいんでしょうか……)


「お待ちしておりましたわ、どうぞこちらにお掛けください」


ミア(ん? 見覚えあるな……この教員は……そうだ! 1年のときの実験の……!)

949 :名無しで叶える物語(もんじゃ):2022/07/13(水) 20:38:13 ID:3CCayCW9.net
ミア(鹿角研の研究内容を一通り紹介してもらい、更には研究室での実験を実際に体験させてもらうことになった。 研究室には見学希望者用のプランがあり、研究内容紹介スライドは勿論、わざわざボクらのために体験実験用の試料まで作製してくれていたのだった……)

ミア(ミラー指数や逆空間からわかってないボクたちに理論的な話は荷が重い。 研究紹介は定性的な話をそこそこに、簡単な実験をしながらのんびりと雑談した)

ミア(ボクらの受けている機械科や化学工学科の授業の話は物珍しいからか、ダイヤ先生も興味津々に聞いていた)

ダイヤ「転学科などをお考えなのですか?」

ミア「ちょっと個人的に興味があって……材料にこういう性質がある、とかはこちらでも習うんですけど、その……どうしてそんな物性が発現するのか、とかいう原理的な部分にはあまり触れないんですよね……」

ミア(よく考えずに来ちゃったからいい加減なことしか言えない……)

栞子「バルクを扱うのは新鮮です……!」

ダイヤ「なるほど……確かにそうかもしれませんわね」

950 :名無しで叶える物語(もんじゃ):2022/07/13(水) 20:39:26 ID:3CCayCW9.net
ミア(雑談はやがて、学生生活の話になった……成績がどうこうの話題で栞子が自分の留年の話を打ち明け、その流れでサークルの話題に繋げて、先生の反応をチェックする、という打ち合わせだった……のだが)

ダイヤ「スクールアイドル同好会、懐かしいですわね……ってことは、貴女達はそこの誰かの紹介でここにやってきた……ってことなのかしら?」


栞子「う"……」

ミア(即バレた……大学教員は頭の回転が早い……)

ミア(そりゃそうだ、いきなり学科も学年も違う2人が同時に研究室に見学に来るなんて、よく考えなくても怪しいもんな……ボク達は観念して全てを話したのであった……)


ダイヤ「そういうことね……ふふっ」

ダイヤ「そうなんだ……あそこはまだ全然変わってないのね」


ミア(でもダイヤ先生はクスクスと笑っているから……結果オーライなのかな?)


ダイヤ「わかりましたわ、ふたりとも……津島さんに待ってくださるようにお伝えてしてもらえますか?」


ミア・栞子「は、はい!」


ダイヤ「……善子さんのお望み通り、シメに行ってあげないとね♪」


ミア(可愛らしくウィンクする助教。 すみません、善子さん……でもこの人は間違いなく今でも同好会のOGだ!)

951 :名無しで叶える物語(もんじゃ):2022/07/13(水) 20:40:05 ID:3CCayCW9.net
〜〜

栞子「〜とのことでした……。 すみません……」

善子「ううん全然! むしろありがとう……!」

璃奈「でもなんで、こんなに遅い時間帯なんだろう。」

愛「夜が好きなんじゃな〜い?」

ミア(よほど人目を憚るようなどつき方をするのかな……)


ミア(ダイヤ先生は松浦さんや小原さんと同期で、つまり善子さんのふたつ上の代。 この同好会で唯一ストレートで卒業・進学し、1年か2年のポスドクを経て30手前にして常勤の助教になったというとんでもない人だ……)

ミア(このような順当極まる経歴ゆえか部室に固執するようなことはせず、彼方さんや果林さんの代ともほとんど関わりがないと言っても差し支えない……彼方さんも、彼女と喋ったことがあるかもしれない程度にしか覚えていないそうだ)

ミア(とはいえエマさんや善子さんの話によると、全くの品行方正であった……という訳ではなく、酒豪でありそーいう場では何かと脱ぐ人だという……)

952 :名無しで叶える物語(もんじゃ):2022/07/13(水) 20:40:41 ID:3CCayCW9.net
ミア(23時……そろそろか……)


ガチャ

みんな「!!!」


ダイヤ「初めまして……の方が多いのかしら? そうでもなさそうね……」


璃奈「!!!!?!?」


ダイヤ「あら?」


璃奈「……? ……!!」ガタガタ


ミア(しまった、璃奈に伝え忘れていた……でもあんな暴言吐いたんだし自業自得だよな……)

953 :名無しで叶える物語(もんじゃ):2022/07/13(水) 20:41:26 ID:3CCayCW9.net
〜〜

璃奈「その節は、まことに申し訳ございませんでした。」ガバッ

善子「なになに? 」

愛「うははははw」パシャパシャ

ミア(これがジャパニーズ土下座……猪狩がよくやってるやつだ……本物は初めて見たな、しかもよりによって璃奈の……)

ダイヤ「いえ、顔を上げてください……私も無神経でしたわ。 あなたにも色々と事情があったでしょうに……」

璃奈「……」

ダイヤ「確か今年も……実験科目を履修されていましたわよね」

璃奈「そうです。 再再々履修の愚かな愚かな天王寺4年生です。」

ダイヤ「……ご存知かとは思いますが、私の同輩や後輩にもそのような問題に直面した子たちは沢山いて……その子たちの抱えた悩みを理解していたつもりでしたのに……。 こちらとしても申し訳ない限りです」

954 :名無しで叶える物語(もんじゃ):2022/07/13(水) 20:42:17 ID:3CCayCW9.net
ミア(先生の寛大な御心によって璃奈の無礼を不問にしてもらったあと、ダイヤさんは彼女の時代の大学のこと、部室のことをお話ししてくれた)


ミア(新歓時にダイヤさんに付きまとってきた政治サークル。 それを松浦さんが代わりに殴り飛ばしたのが二人の出会いだったこと)

ミア(松浦さんと小原さんがどうやってかこの部室を空き部屋として調達してきたこと)

ミア(小原さんが兼部先で爆発事故を起こして消防車が何台も学内に来たこと)

ミア(松浦さんがとんでもないアホ二人を弟子として連れてきたこと)

ミア(桜内さんエマさんに国木田さんに善子さんにダイヤさんの妹が入部して、ここは一層やかましくなっていったこと)


ミア(その語り口は次第に流暢になって、まるで限界まで押し入れに詰め込んだ道具が溢れ出るかのようだった。 彼女にとって何年も前の話だけど、きっと今でも色褪せない記憶なのだろう)


ミア(顔を上げてからも璃奈は正座したままだった)

955 :名無しで叶える物語(もんじゃ):2022/07/13(水) 20:44:16 ID:3CCayCW9.net
ダイヤ「さて……肝心の果南さんと鞠莉さんの現在についてですが……」

善子「ごくり……」

ダイヤ「残念ながら果南さんも鞠莉さんも、今は東京には住んでおりませんわ。 果南さんはさほど遠くはありませんが……鞠莉さんは基本的に日本にはいないため、そう簡単に会うことは叶いませんわね」

善子「そうなんだ……」

ダイヤ「連絡先は知っていますが……二人とも忙しく、数ヶ月に一度……電話かメールでやりとりをするのみです。 ここ数年は3人で集まったことすらありません」

善子「……」


ミア(3人は普段からよくつるんでいて、とても気の置けない間柄というのは善子さんの話だ。 それでも大学を離れてしまえばそうなってしまうのか……)


ダイヤ「ましてや善子さんエマさんの知らない梨子さんや花丸さんの情報など……」

ミア(残念ながらそういうもんか……まあ10年近くも前の話なんだもんな……)

善子「……」


ミア(あんなに楽しそうに語っていたのに、この人は……仕方ないことと割り切ってしまえたんだろうか。 善子さんのように、いつまでも過去に囚われていることの方がおかしいんだろうか……)


ミア(ボクらがいま永遠と思う繋がりも……未来のボクたちにとっては過去となり、やがて消えゆくものなのかな……)

956 :名無しで叶える物語(もんじゃ):2022/07/13(水) 20:45:12 ID:3CCayCW9.net
善子「……あんた達って、ここと別で何かサークルで一緒じゃなかった? そっちの方では繋がりなかったの?」


ミア(俯いていた善子さんが、思い出したようにむくりと顔を上げて訊ねた)

ミア(てかこの人なんで教員にタメ口なんだ? って思ったけど善子さんってボクよりダイヤさんの方がよほど歳近いんだな……変な感じだよ)


ダイヤ「DTM研の話ですか? 確かに一緒でしたわね……まあ部門は違いましたが」

善子「あ〜それそれ」

ミア「え? 先生も……それに桜内さんもDTM研なんですか?」

ダイヤ「ええ。 梨子さんはDTM研ですよ? 今でも熱心に活動されているはずですが……」


ミア「ならDTM研のDiscordのHNとかわかります? ボクもDTM研なんですけど……あの人たちボク以外みんなHNで呼び合ってるから誰が誰なのかわからないんですよ!」

ダイヤ「え?」


ミア(ダイヤ先生は首を傾げた。 まるでDTM研のボクが知らないのを心底不思議がっているように……)


ダイヤ「……なんだったかしら。 ちょっと忘れてしまいました……」

ミア「そうですか……」

ダイヤ「でも、探せばすぐにわかるかと思いますわ。 頑張ってね」


ミア(この人でも物を忘れることがあるんだな……でもなんだか口元が少し緩んでいるように見えたのは気のせいかな……?)

957 :名無しで叶える物語(もんじゃ):2022/07/13(水) 20:45:50 ID:3CCayCW9.net
ミア「すみません、こんな遅くまでこんなご迷惑を……」

ダイヤ「いいえ、お構いなく。 私も久々にここに顔を出して、とても楽しかったですわ」

ダイヤ「もう10年近くも前なのに。 見かけは随分と様変わりしたけれど……空気はまったく同じなのね……。 なんだかあの頃に戻ったような気がしましたわ」

ミア「そうなんですか」

ダイヤ「それに……後輩が訪ねて来てくれるというのは嬉しいものでしたから」

ミア「……」

ダイヤ「それじゃあ、梨子さんによろしくね♪」

ミア(いや誰が桜内さんか知らないんだってば……)


ミア(そう言って善子さんとダイヤ先生は、積もる話もあるらしく夜の飲み屋へ消えていった……平日なのにタフだなぁ)

958 :名無しで叶える物語(もんじゃ):2022/07/13(水) 20:47:30 ID:3CCayCW9.net
〜〜

栞子「終わらない……終わりません……!」カキカキ

璃奈「算出した値が理論値とあまりにかけ離れている。 重力加速度が50倍でこの世の終わり。_(:3」z)_」

ミア「二人ともまたペアだったの?」

璃奈「今年から再履修専用のグループができた。 そこではペアの組み方も任意。」

ミア(再履クラスでは好きな人と組めるのか……羨ましい……いやそれでも再履修は嫌だな。 璃奈も栞子もそれぞれ専門の実験もあるから週3で実験! 秋学期からは週4らしい!ワロタ!)

ミア「あ、これグラフタイトルも軸タイトルも方眼の中に入れなきゃダメだよ」

栞子「ええっ! そうなんですか?」

璃奈「せっかくここまで描いたのに。 めんどくさい。」

ミア「これ出してもどうせ再提出食らうよ……ていうか関数電卓と理科年表返してくれ、ボクも今日使うから」

959 :名無しで叶える物語(もんじゃ):2022/07/13(水) 20:48:20 ID:3CCayCW9.net
ミア(ボクもそんなにいいレポートを書いていた訳じゃないけど……二人の学生実験のノートとレポートはとにかくヒドかった。 このノートやレポートを読んで再現実験は不可能!)

ミア(有効数字や不確かさの扱いは雑だし、細かいところでは単位はブロック体で物理量はイタリック! まあ最初はレポートの書き方とか知らないからそんなもんだけどね)

ミア(理論値から大きく外れた実験値の考察について、他の班と比べて私たちの班は実験台が狭かったため。とか書いてあってマジで笑っちゃった。 ボクが教員なら絶対落とす)


栞子「ひい〜っ! やばいです〜っ」カキカキ

璃奈「時間がない。 締め切りまであと5分しかない。 課題はもういいから出しに行こう。」ダダダッ

栞子「うう……完璧主義の栞子なのにぃ〜……あ待って! 璃奈さんのオタクダッシュ速過ぎです!」タタタッ


〜基礎工学実験 クラス(再) (工学部開講 必修)〜

ダイヤ「こことこことここを修正して下さい。 考察は全面的に修正ですね。 それとこれを追加して下さい。 あと課題4〜10はどうしたのですか?」

栞子(実験方法結果考察課題参考文献すべて要修正箇所でレポートが真っ赤です……)


璃奈「……」

璃奈「ババア……。」ボソッ

960 :名無しで叶える物語:2022/07/13(水) 22:18:20.05 ID:T/9J3Klp.net
きてた!

961 :名無しで叶える物語:2022/07/14(木) 01:50:44.95 ID:7ON+QoQE.net
ずっと続いてくれ
俺にとってはこのSSが楽しかった過去を思い出すトリガーだ

962 :名無しで叶える物語(えびふりゃー):2022/07/14(木) 02:42:23 ID:Fb2oksbP.net
口悪りなりーすき

963 :名無しで叶える物語:2022/07/14(木) 20:46:36.43 ID:WfHm8tC0.net
りなりーさぁ……

964 :名無しで叶える物語:2022/07/15(金) 01:04:37.12 ID:DZawu79Z.net
俺にとってはコロナで失われたifルートを除いてる気分だ
更新楽しみにしてます

965 :名無しで叶える物語:2022/07/15(金) 02:09:11.53 ID:RBujNq0e.net
りなりー草
土下座までしたんやから悔い改めろよw
ってか週4で実験とか考えただけで恐ろしい

966 :名無しで叶える物語:2022/07/15(金) 02:22:07.33 ID:5RsDi6WB.net
>>1は物理学科?
1年の学生実験で振り子使った重力加速度の測定とかあったなあ

967 :名無しで叶える物語:2022/07/15(金) 12:24:11.93 ID:zh/2CLFb.net
やっぱ💧組はやべぇメンツなんだな
続きを楽しみにしてます
パワー系大学生の果南とマリは気になるからまた掘り下げてほしい
梨子もかなり気になるな

968 :名無しで叶える物語:2022/07/16(土) 00:02:27.90 ID:vrBZ2MWt.net
支援

969 :名無しで叶える物語:2022/07/16(土) 01:04:32.09 ID:QSHqv1HA.net
サブタイの元ネタ一覧くれ

970 :名無しで叶える物語:2022/07/16(土) 03:29:30.03 ID:IsHslGJa.net
りなりーこわっ

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