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【B○】棋○CP総合スレ【SS】 Part.2

118 :名無し草:2019/10/11(金) 23:45:03.46 .net
会長室のドアが開いて、会長が僕を手招きした。
仙ちゃんが部屋の隅のソファーにぐったりと横になっていた。
「大丈夫?」と聞くと、仙ちゃんは目をつぶったまま頷いた。
「悪いけど仙ちゃんについててあげてよ。ちょっと対局の様子見て来る」
そう言って会長は出て行った。
「モテとね、来期に向けての話したんだけどね、もうクタクタになっちゃって」
仙ちゃんがか細い声で言った。
「先の話しすると、すごく怖くなっちゃうんだ。宇宙に放り出されるみたいな」
わかるよ。将棋界は急に路頭に迷うことのないシステムはあるにせよ、先の見えない仕事だもんね。
それなのに、仙ちゃんみたいに手が見えなくなっちゃう病気になって、もう元に戻らないかもしれない恐怖。
収入が、とか言うことじゃないんだよね。
僕たちの唯一の拠り所の「将棋」がわからなくなっちゃう恐怖。
取り戻せないかもしれない恐怖。わかるよ。それが想像もつかないくらい怖いって。
本当に、もし明日の朝起きたら頭が働かなくなって、将棋が指せなくなったら、僕はどうするんだろう?
『生きていても仕方ない』って言った、初恋の彼の言葉が頭をよぎる。
彼の、思春期の感傷も含んだどこか甘い響きのある『生きていても仕方がない』じゃない。
もの凄い現実味を帯びた、追い詰められた『生きていても仕方がない』
命を粗末にするとか、そういうつもりは毛頭ないけど…。
将棋の無い人生。将棋の無い郷〇真隆…。
…怖い。そうなったら僕はどうなっちゃうんだろう?
「今日の対局どんな感じ?」
仙ちゃんが聞くのでタブレットを見せたけど、仙ちゃんは「なんか目がチカチカするから音声だけ聞く」と言って目を閉じた。

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