【B○】棋○CP総合スレ【SS】 Part.2

名無し草

「何だかあの二人面白いね」
「しっかり者のお兄さんとおっとりした弟みたいですよね、年も近いし」
「王座の方が年上なの？僕、もうそこらへん全然わかんなくて、ひとまとめに若手だから」
「王座が一つ年上だったと思います。先生、どれにしますか？」
え？あ、ケーキね。えっと、モンブランと、イチゴの奴。
「私はゼリー2つとも貰います。寝てばっかりいて、太っちゃって。この病院、食事も美味しいんですよ、困っちゃいます」
そう言われれば、少し顔が丸くなった？僕の中の金〇君のイメージは直線で構成されてて、外見も性格もキッチリ四角四面って感じだったんだけど。
さっき肩に触った時も、もっとガッチリ直角で跳ね返されるかと思ったら、まあ普通の肩だった。
「でも、美味しいって感じられるなら良いことだよね。そうやって、良いこと増やしながら元気になっていけたら良いじゃない」
　これは僕の本当の気持だった。辛い恋をしてる金〇君に『良いこと』が増えて行ってくれたらいいなと思う。
「僕さぁ、ストイックな将棋ってのは良いんだけど、こいつ不味いもん食って指してるだろうなっていうような将棋は指したくないんだよ。
　やっぱさ、将棋って歴史もあってすごく良いものなんだから、指す方も豊かな感じで指すっていうか」
金〇君も神妙な顔で頷いていた。そして、ふっと気が付いたように僕の顔を見た。
「先生、次の対局はいつですか？」
ちょっと待って、ケータイのカレンダー機能起動するからね。え～っと、ここの真ん中押して、便利な機能、決定、カーソル下げて、ふう。
「え～、明後日大阪で…あら、王座と順位戦だよ。その後中一日で龍王戦で誘起君と初手合いだ。今のうちにケーキに毒でも仕込んどいたほうがいいのかな」
勿論冗談だけど、ちょっと本気。
金〇君が笑ってくれたから良かった。
でも金〇君はすぐに真面目な顔になって、
「やっぱりそうですよね…」って言った。
研究会の時の賢い金〇君の顔だった。
「もう大人だし、自己責任と言えばそうなんですけど、今、ここに来てる場合じゃないと思うんです」
あ～、王座ね。王座は金〇君にとって「良いこと」にはならないんだろうか？