【家族の多様性】親のエゴか、多様な家族のカタチか…同性カップル里親制度に賛否のナゼ

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大阪市で、男性カップルが「養育里親」に認定され、同性カップルの家族形成のあり方に注目が集まった。
海外ではこうした事例もあるが、日本ではほとんど例がないという。親のエゴか、多様な家族のカタチか。
賛否が分かれる同性カップルの里親制度について考えたい。
（ｉＲＯＮＮＡ　水島新太郎氏）

２０１２年、アメリカで公開され話題を呼んだ映画『チョコレートドーナツ』をご存じだろうか。この映画では、
男性同性愛者のカップルがダウン症の子供を育てるという、愛に満ちあふれた人間関係が描かれているが、
同性愛者であるという理由でカップルは、裁判で親権を奪い取られるという悲しい結末で映画は幕を閉じる。

しかし、この映画は同性カップルの直面する差別問題だけを取り上げているわけではない。
作中では、同性カップルの子育てを好意的に受け入れ、理解し、他者からの批判を恐れず彼らのために証言台に立つ心優しい友人たちも描かれている。
彼らは決して司法に負けたわけではない。なぜなら、彼らには、自分たちを受け入れてくれる周囲の優しさあふれる理解があったのだから。

■若者は賛成派が多数
では、日本の場合はどうか。筆者は今年５月、自分の講義を履修する１８～２３歳の大学生４２７人を対象に、
「男性同性カップルの里親制度を認めることに賛成か反対か？」をテーマに記述形式のアンケートを行った。

結果は予想通り、４２７人中、賛成が３４４人、反対が８３人。反対側の共通意見は、
男女の役割を生物学上の「性別」で完全に二分化して捉えたもの、または差別には屈服して我慢するしかない、と考える意見が多くみられた。
特に多かったのは「子供が差別を受ける」という意見である。これは親側のエゴで子供の将来が大きく変わってしまうことを危惧する世論の声を代弁しているかのようにも思える。
そして、最も興味深かったのは「血縁関係」についての意見である。

具体的には「女同士なら精子バンクなどを利用すれば実子を身ごもることができるのに、男同士ではそれができない」という、
女性を「生殖」や「出産」といった子育てに直結した存在としてみる意見が多かったことである。
これに対し、賛成側の共通意見で最も多かったのは「男性の同性カップルの方が経済的な余裕がある」とする意見だった。
言い換えれば、「男性＝経済力」の解釈である。これは日本が依然「男性中心」であり、女性の役割はあくまで従属的であると考えることができるだろう。
《2以降に続く》

http://www.zakzak.co.jp/lif/news/170606/lif1706060009-n1.html
zakzak by 夕刊フジ　2017.6.6