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刑法の勉強法■57

713 :元ヴェテ参上:2018/11/15(木) 07:56:06.13 ID:B+4kFfIk.net
井田総論第2版レビュー試論(4)−正当防衛論

(3)攻撃者の帰責性と許容される防衛行為(294−5頁)?
井田は「正当化される防衛行為がどのようなものかは、攻撃の物理的な危険性や反復の可能
性だけでなく、攻撃者の『帰責性』の程度によっても左右される。その攻撃が故意に基づくもの
か、それとも過失によるものかにより、許容される対応手段は異なる」と述べる。
しかし、攻撃者の有責性の有無・程度まで判断の要素とすることは、違法性阻却事由としての
正当防衛の性格と矛盾するであろう。
 また、井田は「駅のホームに上がる階段の途中で不注意によりつまづいて倒れかかってきた
人に対し、故意で暴行を加えてきた人に対するのと同じように、殴りつけることができると考え
るべきではない」とするが、これに対しても同様の批判が可能である。
すなわち、不注意で倒れかかってきた人に対しては、受け止めるか、一歩避ければ、自分の
身体を守ることができるが、故意で暴行を加えた人に対しては、受け止めたり、身を避けても、
さらに殴りかかってくることが予想されるから、殴る行為が必要とされるのである。井田が指摘
するとおり、攻撃者の主観は、防衛者にとっては外在的事情であるから(295頁注10)、これ
を違法性阻却の判断において考慮することには何の問題もないが、そのような考慮がなされる
のは、攻撃者の責任の程度が重要だからではなく、攻撃の危険性を判断するために必要だか
らである(佐伯仁志119頁注13)
 さらに、井田は「年少者や精神障害者のように、責任がないか減弱した者による攻撃、さらに
、被攻撃者と特別な関係にある者(たとえば親族等)による攻撃に対しても、事情により反撃は
制限される」とするが、これらは、帰責性の問題ではなく、ドイツで議論されている「正当防衛の
社会倫理的制限」(内在的制限)の問題である(山中敬一・正当防衛の限界〔1985年〕参照)

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