2ちゃんねる スマホ用 ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50    

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

刑法の勉強法■57

760 :元ヴェテ参上:2018/12/13(木) 18:18:31.48 ID:qdJHOI1g.net
(6) 過失犯の共同正犯
最高裁の判例には、過失犯の共同正犯を肯定したものがあり(昭和28年1月23日=メタノール
事件)、最近までの裁判例においても肯定説が主流である。学説の多くも肯定説をとる。
 平成28年7月12日(明石歩道橋事故)は肯定説に立脚したうえで、その要件として「共同の
(業務上の)注意義務に共同して違反した」ことが必要であるとし、それを当該事案に適用して、
甲につき業務上過失致死傷罪の共同正犯の成立を否定した。
 井田は「本質的なことは、どのような場合に、他人の結果回避義務違反についても自己が
責任を負うべき関係が肯定されるかである。それは、共同者の各自が自分の行為について
注意を払うだけでは足らず、それぞれ他の者の行為についても気を配り、他の者の担当部分
についても安全を確かめる法的義務が存在し、共同行為者がその義務に違反したとみられる
事態があるときに限られる」とする(528頁)。しかし、共同作業を行う数人が対等な関係にある
ときは、相互的に監督義務を負うことはありえないであろう(山口385頁、佐伯仁志428頁)
 井田は「過失共同正犯が問題となるケースで、共同者のそれぞれが実現事実の全体について
罪責を負うのは、各人が結果について過失正犯(過失の単独正犯)としての罪責を負う場合で
なければならない」とする(528頁)。そうであるならば、過失犯の共同正犯は過失の単独正犯に
解消されるべきであろう(曽根590頁、前田370頁、西田383頁)。なお、井田は初版476頁では、
同時犯解消説を採っていた。上記の平成28年7月12日を機に改説したものと思われる。

総レス数 1002
336 KB
新着レスの表示

掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50
read.cgi ver 2014.07.20.01.SC 2014/07/20 D ★