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刑法の勉強法■58

161 :元ヴェテ参上:2019/05/18(土) 10:31:17.30 ID:pHDhBVBe.net
大谷総論新版第5版批判(2・完)

2 共犯の処罰根拠
はしがきに「やや手薄だった共犯論を強化するために、学説上錯綜している共犯の処罰根拠
に関連する箇所を全面的に書き替えた」とある。
しかし、大谷は自己理解を誤っている。すなわち、結論から云うと、大谷は混合惹起説を採ると
自称するが(400頁)、未遂の教唆を可罰的としている点で(436頁)論理的に破綻している。
この点は、以前から山中860頁、浅田419頁注19によって指摘されていたところである。
学説上の定説は、混合惹起説を採れば、未遂の教唆は不可罰となり、逆に、未遂の教唆を
可罰的とするのは不法共犯論である。現に、大谷が混合惹起説の論者として、399頁注15
で挙げている者は、皆、未遂の教唆不可罰説である(西田・2版339頁、山口335頁、井田
537頁、高橋・初版446頁、佐伯仁志384頁)
その他、共犯論では「罪名従属性の観念」は「徒に共犯理論を錯綜させるだけである」(409頁)
という点も気になるところである。

3 因果関係
因果関係については、簡単に触れる。
大谷は、折衷的相当因果関係説を堅持し、危険の現実化説を排斥する。
しかし、検討に当たっては、@米兵ひき逃げ事件、A熊撃ち事件、B柔道整復師事件、C大阪
南港事件を取り上げるのみである。
「危険の現実化」に明示的に言及した@日航機ニアミス事件、Aトラック・ハブ脱落事件を検討
すれば「相当因果関係説は危機に陥っているわけではないし、現在の判例の考え方も、決して
相当性の判断を排除しているわけではないのである」とはとても云えなかったであろう。

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