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刑法の勉強法■58

169 :元ヴェテ参上:2019/05/20(月) 22:17:29.53 ID:10gjFVCB.net
【設問3】
丙が刑事責任を負わないための理論構成としては、@正当防衛説、A緊急避難説、B誤想
防衛説が考えられる。以下、この順で各々の難点とともに説明する。
(1) 正当防衛
丙の行為は、甲に対する関係では正当防衛であるが、Dに対する行為も、本来この正当防衛
行為から生じたものであるから、正当化された防衛行為は、第三者に違法な結果が生じたと
しても、正当性を失うわけではないとする。また、行為無価値の観点から、丙の行為は防衛行
為としてなされており、それが正当防衛として正当化される以上、発生した結果についても、
全体的に評価されるべきであるという根拠も挙げられる。
 しかし、第三者Dからみると、丙の反撃行為を忍受するいわれはまったくない。侵害行為を行
ったのでもない無関係な第三者たるDに対する関係においても、丙の行為が正当だとすること
は不合理である。Dは、急迫不正の侵害を行ったものではなく、Dの侵害に対して正当防衛が
行われたとは云い難いのである。
(2) 緊急避難説
 正当防衛は、急迫不正の侵害自体に対する反撃であるが、本事例の場合、結果的に無関係
の第三者Dに対する反撃となっており、これは、正当防衛ではなく、緊急避難の構造を示して
いるとする。多数説である。
 しかし、たまたま意外なDに命中させた行為は「現在の危難を避けるためやむを得ずにした
行為」とは云いにくい。丙がボトルワインを投げ付けた行為は、客観的に緊急行為性を欠く。
避難に向けられた行為ではないのである。
(3) 誤想防衛説
 丙が主観的に正当防衛だと認識して行った行為は、誤想防衛として故意責任が否定される
とする。本事例と類似の事案で「誤想防衛の一種」と判示した下級審判例がある。
 本説の論者は法定的符合説(数故意犯説)に立つが、法定的符合説によればDに対しても
構成要件的故意が肯定されるのであるから、「誤想」防衛であるとするのは矛盾である。

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