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刑法の勉強法■58

228 :元ヴェテ参上:2019/07/09(火) 18:25:17.06 ID:EFqMxP74.net
実行行為の「前倒し」−山口厚の改説について

山口厚は、かつて、未遂犯の実行行為と既遂犯の実行行為とは異なるとし、クロロホルム事件
(平成16年3月22日)については、第1行為は、未遂犯の実行行為であって既遂犯の実行
行為ではなく、既遂犯の故意はないから、殺人未遂罪と重過失致死罪になるとしていた(「実行
の着手と既遂」法教293号104頁以下〔2005年〕)
しかし、新判例初版76頁以下(2006年)では、「結果惹起に向けられた同一の意思に基づく
『一連の実行行為』は一体として把握され、その全体が一体的に禁止されることになる」「法益
保護の要請に基づく犯罪実現に向けた行為の実質的捕捉という観点からは、それを拡張して
結果惹起に『密接な行為』までも含むと解する」と改説し、総論第2版(2007年)、第3版(2016年)
に至っている。
平成30年3月22日(振り込め詐欺事案)の山口厚補足意見は「未遂犯の成否において問題
となるのは、実行行為に『密接』で『客観的な危険性』が認められる行為への着手が認められ
るかであり、この判断に当たっては『密接』性と『客観的な危険性』とを、相互に関連させながら
も、それらが重畳的に求められている趣旨を踏まえて検討することが必要である」というもので
あり、実行行為以前の行為にまで遡る趣旨であることを明言した。
オイラは、毒入りウイスキー事例と同様(松原初版292頁参照)、客観的には、たしかに、第1
行為に実行の着手が認められるが、行為者に予備の故意しか認められない以上、殺人予備と
過失致死と解する。

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