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刑法の勉強法■58

37 :元ヴェテ参上:2019/04/13(土) 07:22:02.25 ID:ApCbzou0.net
山口説の変遷(4)−遡及禁止と正犯性(自称「最も理解されなかったもの」)
【問題探究6頁】
もしも、妻が毒入りウイスキーを戸棚の奥に隠しておいたところ早く帰宅した夫が発見して飲ん
で死んだとすれば、妻には予備の要件として殺人の意図はあったが、さらに結果を直接惹起
する(有責な)故意行為を留保している段階において、夫の死を惹起することについての故意
が認められるとはいえないのである(それは、結果を直接惹起した故意行為以前の行為につ
いては「遡及禁止」の考え方により、結果との間の相当因果関係が否定され、したがって、
行為者がなお留保している故意行為以前の行為から直接結果が発生した場合には、相当因
果関係の認識を欠き、故意が否定される)
【初版64頁】
・・・(この遡及禁止の、いわば例外を規定するのが、刑法60条以下の共犯規定である)。いい
換えれば、遡及禁止の適用がないことが、構成要件に該当する結果惹起を肯定するために
必要となるのである。学説の中には、これを(正犯と共犯とを区別するための基準であり、単独
正犯固有の要件である)「正犯性」の問題として、因果性とは別の要件として論じるものがある。
そこで問題とされている考え方の実質(すなわち、正犯性)は何ら異ならないが、本書では「構成
要件該当性を認めうる結果惹起か」という同じ問題の一部をなすものとして、因果関係の要件に
おいて包括して扱っているのである。
【第2版68頁】(3版68頁も同じ)
正犯として構成要件的結果を惹起した(正犯性が認められる)というためには、構成要件的結果
惹起を支配した、厳密にいえば、構成要件的結果惹起の原因を支配したといいうることが必要で
ある。・・・遡及禁止の観点は、構成要件的結果惹起支配を意味する正犯性を判断する重要な
判断基準ではあるが、厳密にいえば、正犯性の判断基準それ自体ではないのである。従来は、
正犯性の要件として、遡及禁止を原則とした上で、その例外を肯定しうる場合について論じてい
たが、このような理解から、説明ぶりを改めることとした。

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