プーチン大統領、岸田氏就任に祝電　「対話や共同作業に関心」

菜々しさん

ロシアのプーチン大統領は4日、岸田文雄首相の就任を祝い、日露間や国際的な問題について「対話や共同作業を行うことに関心がある」とする電報を送った。プーチン氏は「日露間の建設的な協力の発展は両国民の利益にかなう」と呼びかけた。しかし、露大統領府が公表した電報の文面に、平和条約交渉への言及はなく、日露関係の停滞を象徴するような短い内容にとどまった。

　岸田氏が9月29日に自民党総裁に選出された後、ロシアのメディアでは「新首相の岸田氏がロシアとの関係を冷却化させる」（露大衆紙モスコフスキー・コムソモーレツ）などと、悲観的な論調が目立った。ロシアでは、岸田氏が菅義偉前首相と同じく、親米路線を強めることへの警戒感が広がっているためだ。

　ロシアでは、米英豪の安全保障枠組み「AUKUS（オーカス）」や日米豪印4カ国（通称クアッド）を「アジアのNATO（北大西洋条約機構）」を作る試みとの見方が強い。岸田氏がこれらの枠組みの強化に乗り出すとの見方もある。

　プーチン氏との個人的な関係を築くことで平和条約や領土問題などの局面の打開を狙った安倍晋三元首相のような積極的な対露外交を期待する声は少ない。

　露紙「独立新聞」は、岸田氏が敵基地攻撃能力の保有について前向きな点などを挙げ、外交面で「タカ派」になる可能性を指摘。停滞する日露の平和条約交渉についても、菅前政権で「日露両国は領土問題での立場を硬化させた。岸田氏の就任後も日露関係で何らかの急進展は期待できないだろう」というロシア科学アカデミー極東研究所のキスタノフ日本研究センター所長の意見を紹介した。

プーチン大統領、岸田氏就任に祝電 「対話や共同作業に関心」

プーチン大統領、岸田氏就任に祝電　「対話や共同作業に関心」