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いつになったら幸せになるのだろう

1 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 22:07:38.29 ID:9nhLXMhSl
いつになったら幸せになるのだろう
わたしが何をしたというのか?
わたしは名前で呼ばれたことがない。
かさぶた...。
どんくさいわたしは学校でこう呼ばれている。
5月の運動会の徒競走で転んでできた擦り傷がいつまで経っても治らないからだ。
治りかけるとすぐ剥がされる。剥がされ続ける。
何度も、何度も。
ぽっちゃり気味のわたしをからかうようにできたあだ名がかさぶた...
誰も助けてくれない。助けようともしない。
それでもわたしは生きている。
なぜ生きているのかわからない。
いつも孤独で、生きている価値もないと思うと切ない気持ちになる。
休み時間、窓のカーテンのなかで、人に見つからないように泣いた。
泣いているところを見られたくなかった。
でも、ある日、見られてしまった。
よりによって一番嫌なやつに。
運動会でわたしを転ばせたやつ。
N子だ。

2 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 22:23:08.55 ID:9nhLXMhSl
氷のように冷たい眼差しでN子はポケットからピンセットを取り出す。
「みーつけた。今日はどこからにしようかな〜」
悪夢の始まりである。
早くこの時間が過ぎ去って欲しい。
そう思えば思うほど逆に時間が経つのが長く感じるのだ。
怖くて何もできない自分がいる。
心底弱い自分が嫌になる。蜘蛛の巣から抜けられない。
私の校舎は新校舎と旧校舎がある。教室でのこともあり、休み時間になると友達のいない私は旧校舎二階のトイレにこもることにしていた。
誰にも苛められない楽園を求めて。本日外はどしゃ降り。
わたしはトイレのなかで安堵する。
10分でもこの場所にいれることが微かな幸せのように感じるのだ。
しかしながら、安堵の時間はそう長く続くことはなかった。
静寂な場所で、校舎の屋根を太鼓のように打ち付ける大雨の音に混じって近づく音と声。
その声に耳を傾けると私は自分自身に危険が来ていると察知する。
その音は複数の足音に加え、身震いするほどの不快な声が混ざり不協和音を奏でている。
N子たちだ。

3 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 22:25:05.24 ID:9nhLXMhSl
近くまでやって来たかと思えば、いつの間にか声が聞こえなくなった。
ホッと一息着いた束の間、バケツ一杯の水がザバーっと私の真上から降り注がれた。
上をみるとN子がわたしを嘲笑しながら、『見〜つけた』といいながら、サンポールの液体を振りかけてきた。
悪夢の始まりである。
その後、上から汚物を投げ込まれ、白い私のシャツはみるみる間に茶色に染まった。
早くこの場所から立ち去りたいがN子の手下たちがドアを塞いでいる。
八方塞がりのなか、チャイムがなったと同時に彼女たちは立ち去った。
一つだけ救いがあるとしたら今回はかさぶたを剥がされることはなかったこと。
私は安息の場を知られてしまい、これからのことを考えると涙が止まらなかった。
いじめられることよりも、自分の居場所がなくなることに絶望を感じた。
この日、わたしは初めて担任に何も告げず傘もささずに茶色の服装のまま自宅に帰った。
その日、死のうと考えた。
もう、生きていくのは辛い。
無理して生きる必要はない。
悲しむ人なんていないだろう。
でもどうやって死のうかな。
痛くない方法で楽に死にたいな。。

4 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 22:27:49.22 ID:9nhLXMhSl
翌日学校を休んだ。
翌日も、そのまた翌日も。。
ついに担任が家に来ることになった。
理科を専門科目とする小太りの気持ちの悪いやつだ。
どうした?の声かけになにも反応しなかった。
学校に行きたくない本当の理由も話さなかった。
また、苛められるからだ。
何でも相談してといわれても、相談したあとに辛い思いをするのなら言わない方がいいと心に決めてなにも言わなかった。
担任はわたしのかさぶたを見て何か言いたそうな顔をしていたが、何も言わなかった。
担任が帰ったあと私はインターネットにのめり込んだ。
現実逃避したかったから。
学校裏サイトを見つけた私は、苛めたやつの悪口を書いてしまった。
あとから考えると、このサイトへの書き込みが、今後私を泥沼に引きずりこむ引き金になることなるなど、全く予測だにしていなかった。
私には唯一友達と言える存在がいるとしたら同じクラスのY子だ。
彼女もまた、N子軍団に苛められている。
私同様、マイナス思考を持っていいて運動はできないが、勉強だけはできる奴だ。

5 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 22:29:50.67 ID:9nhLXMhSl
働き蟻の集団は10匹いたらそのうち1匹は働かなくなってくる。
その一匹を排除して新たな働き蟻を投入しても、結局は働かない蟻が出てくる。
その蟻は苛められることになる。
人間も同じで、集団のなかで苛めの標的がなくなると他のターゲットを探し、なんらかの理由をつけて苛めるのだ。
これは動物の本能なんだと思う。
私が不登校になったことで、おそらくY子は悲惨な目に合わされていることだろう。
携帯電話の音が鳴った。携帯のディスプレイを見るとY子からだ。

6 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 22:31:01.58 ID:9nhLXMhSl
Y子『ちょっと〜。瘡蓋大丈夫?』
学校来てないけど大丈夫か、心配しての連絡だった。
話を聞くと、どうやら、担任が家庭訪問した翌日に全校集会が開かれたようだった。
そこで、校長先生からいじめに関する説明があり、ホームルームの授業で、なぜ私が学校に来なくなってしまったのかを徹底して調べることになったそうだ。
複雑な気持ちになった。
でも、Y子から心配されていることを知り、嬉しくなった。
電話の最後にY子自身が代わりに苛められていないかを聞いてみた。
Y子は『ううん、大丈夫…』と言っていたが、その声からはいつものY子らしさを感じとることができなかった。

7 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 22:32:22.13 ID:9nhLXMhSl
学校がイジメをなくそうと努力しているのがわかった。
でも、またいじめられるという恐怖感はわたしの心から払拭できず、一週間が経過した。
この一週間を悶々と過ごしたことが、私の人生のなかで悔やまれることとなった。
翌日、母からY子が亡くなったことを告げられた。
私はその場で泣き崩れた。唯一の友達と言える存在を失い、孤独になった。
かさぶたからも嗚咽が聞こえる。
私の心を許せる唯一の友達がいなくなってしまった

8 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 22:50:44.31 ID:SZhB6pKZ8
心にある願望を叶えたい時は必要になりますよ。
http://noroi.top/noroi.top.product.html

http://6807.teacup.com/noroikingdom/bbs

9 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 22:51:23.16 ID:9nhLXMhSl
翌日、Y子の通夜が近所のセレモニーホールで行われた。
不安だったので、母とふたりで参列した。
こうなってしまったのも私が不登校となり、いじめの標的が変わってしまったからだ。
自責の念にかられている私を見て、母は抱き締めてくれた。
涙が止まらなかった。わたしはお化粧を直してくると言って母と離れた。
トイレの個室に入るとまた涙が溢れて止まらなかった。
ごめん、Y子。。
私が我慢して学校に行っていればこんなことにならなかったよね。
お化粧して、エステに通ってお洒落して、彼氏を作って、もっと楽しい人生が待っていたのに、ごめんね。。
結婚して、こどもをたくさん作って、人生エンジョイしたかったよね。。

10 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 22:53:33.37 ID:9nhLXMhSl
悲しい気持ちのなか、雰囲気を壊すようにN子軍団がトイレに入ってきた。
『あ〜もうかったるいんだけど〜』

『ダルいよね』

亡くなったY子の悪口をいい始めた。
私は堪らない気持ちになった。
お前たちのせいで私の唯一の友達が亡くなった。
お前たちのせいでY子は殺されたんだぞ。Y子を返せ!
何がかったるいだ?ふざけるな!
絶対、絶対に復讐してやると、トイレの個室で心に誓った。
私の瘡蓋が少しずつ固くなって行くように感じた。

11 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 22:55:22.85 ID:9nhLXMhSl
トイレから戻った私は母にこう告げた。
『明日から学校にいくから』と。
母は無理しなくてもいいんだよと心配してくれたが、素直に良かったと微笑んでくれた。
これから棘の道が待っている。
進まなければ何も変わらない、変えられないことを自覚したのだ。
私は自分のなかの殻が少しずつ割れていくように感じた。
葬儀が終わり、私は担任に話があると喫茶店に呼びつけた。
なぜY子が亡くなったのか理由を聞きたかったからだ。
死因は自殺であるが、遺書など無く真の理由はわからないようだった。
私はN子軍団からされたすべてのことを話した。

12 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 22:56:46.08 ID:9nhLXMhSl
しかしながら、担任は面倒くさそうにこう吐き出したのだ。

『でも、あなたにも問題があるよね。あまり私を困らせないでくれ』

生徒から自殺者を出した担任も教育委員会、校長から突き上げをくらっていたのだ。
その日から私は担任に二度と心を開くまいと決意した。
翌日の登校日、N子が私のところにやって来た。
その手には、なんと学校裏サイトで私が実名で誹謗中傷したコメントをプリントアウトしたものを持っていたのだ。
激しい動悸が止まらない。

13 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:01:11.31 ID:9nhLXMhSl
これ、何?こんな書き方するの、アンタしかいないんだけど』
私はなにも言えない。

『聞いてるの?ねえ』

私の机を激しく叩く。クラス全員がこちらに目を向ける。N子の取り巻きも騒ぎ立てる。
『わたし、絶対に許さないから』と言い、私の髪の毛を掴みおでこを机に叩きつけた。私の視界と机の上は赤く染まった。
わたしはY子という親友を無くし、教師からも見放され、この周りにいるクラスメートたちからも助けてもらえない人間だ。
こんな人生で本当にいいのか?
自分の感情を恥ずかしくて表に出せないで損ばかりしているのではないか?私にはまだ幸せな長い人生が待っているのに。
実は登校する前からこうなることを想定し、反撃材料は以前から集めていた。これより反撃を開始する。

14 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:04:02.97 ID:9nhLXMhSl
『おい、お前しかいないんだよ』
N子は頬に丸めた紙を叩きつけてきた。
私はおもむろにボイスレコーダーを取り出し、再生ボタンを押した。
〜ボイスレコーダーから〜
『あー ったくN子のワガママに付き合ってられないよ。あいつ最近やることがドSカレしてるし。なんかさーもうあいつから離れて早くクラス変えたいんだよね〜』
O絵の声である。
O絵はひきつった顔で言った。
『ちょっ 何なの?まじキモいんだけど』
N子の表情がさらに険しくなる。

キーンコーン カーンコーン

ここで2時限目を知らせるチャイムがなった。
『おい、お前たち何をしている?』
担任が教室に入ってきた。

15 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:06:17.42 ID:9nhLXMhSl
授業が始まる。
授業中、O絵はぶつくさ小言で文句を言っていた。
N子はO絵に対して裏切られたという思いが強く、平静を装っているものの、瞳の奥には何か邪悪な化身が身を潜めているように感じた。
私はそれを想像すると気持ちが悪くなり嘔吐した。
そして、早退を命じられた。
でも、私の瘡蓋は少しずつ固化していくような気がした。
その日からまた学校を休むようになった。
ママからは、『自分の行きたいときに行けばいいよ』と言ってくれた。
守られているように感じた。
その後のO絵のことを考えると、申し訳ない思いで一杯になった。
でも、O絵から苛められたことを考えれば自業自得だと自分のなかで納得した。
結局、学校を一週間休んだ。
正直、もう学校をやめようと思ったが、N子に対する復讐が終わっていないと考えると、学校に行かなければという思いに行き着くのだ。
さて、明日は戦場に行くか。
シミュレーションと理性武装をしながら夜は更けていった。

16 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:08:34.08 ID:9nhLXMhSl
意を決して学校に向かった。

友達と呼べる人は誰一人いない。


私の学校は正門が開くのは7時半で、授業開始時刻は8時45分。その間は自由時間となっている。



教室に向かうとN子達は居なかった。

彼女たちがいないせいか、教室内は静寂に包まれており違和感を感じる。


私は、N子達に会いたくなかっため、旧校舎のトイレに向かうことにした。


旧校舎に向かうためには体育館の狭い脇道を通る必要があった。体育館の窓が空いており、外から中が覗けるようになっている。中を覗くとY子達がいた。



ヒト気がないか気にしているようだ。

N子、H菜、F実に続き、O絵が生気のない顔をして剣道部の部室へと入っていった。


O絵は身体中アザだらけだった。


私はその場に居ても立っても居られず、

その場から立ち去ろうと思ったが、事実を掴みたくて携帯を取り出し、ビデオ撮影を開始した。


『今日はどこを狙って打とうかしら』


N子は剣道部初段である。

17 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:10:01.45 ID:9nhLXMhSl
O絵は、抵抗する気もなくその場に立っている。


『ほら!』


N子が叫ぶと、H菜とF実が両脇を抱え出した。O絵の口には使用済みのナプキンが加えられていた。



『私のこと、嫌いなんでしょ?』


O絵は恐怖のあまり震えている。顔を小刻みに震わせている。



『でも、私のこと嫌いな奴はいじめたくなるのよね』


H菜もF実も、N子の忠実なしもべと化していた。絶対に服従しなければならない犬になっていた。


O絵の手の甲や背中はアザだらけになっており、その部分に何度も竹刀を振りかざしていた。


正直、あのボイスレコーダーは罪だと思った。それ以上にN子の行為は人間としてあるまじき行為だ。いや、N子は人間ではない。悪の化身だとも思った。

18 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:10:54.98 ID:9nhLXMhSl
キーンコーンカーンコーン



一時限目の開始前5分になるチャイムがなった。



『いくよ!』



N子はF実とH菜を連れて剣道部の部室を出ていった。



O絵は、その場で泣いていた。


私は携帯のビデオカメラを停止し、O絵の元に向かおうと思ったが複雑な気持ちが絡み、躊躇した結果、O絵のそばには行かず教室に戻ることにした。


結局、教室に戻ってすぐに体調不良を訴え自宅に帰ることにした。




私はO絵が苛められている要因を作った張本人なのだ。

19 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:12:24.71 ID:9nhLXMhSl
でも、O絵に謝ることはない。O絵だって私のことをN子と一緒に苛めてきたから。


その日からまた学校を休む日が続いた。


それから、3日が経過した。


とある平日の夕方、携帯電話が鳴った。


ディスプレイを見るとO絵だ。



『ちょっと話があるんだけど…』


覇気のない、か細い声が聞こえる。


私はこのような声を以前にも聞いたことがある。


私はO絵の生命危機のシグナルを受け取った感じがした。


もう、身の回りで同じ悲劇は繰り返されたくないと思うと、夕方であっても一緒に会うことに反対する余地など無かった。


O絵とは、河川敷で落ち合うことになった。

20 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:14:02.19 ID:9nhLXMhSl
河川敷の高架下にO絵は座っていた。


O絵はわたしを見るや否や大きな声で


『ごめんなさい』


と謝ってきた。


なぜ? 謝らなければならないのはわたしのはずなのに。いや、私のことを苛めてきたのだから謝る必要はない。


頭のなかで天使と悪魔がケンカしている。


わたしは、体育館での行為の一部始終を見ていた。


O絵の体を見るとボロ雑巾のようになっているのが見て取れる。半袖から出る腕はアザだらけ。


私の瘡蓋も共鳴しているような気がしてズキズキする。

21 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:15:07.09 ID:9nhLXMhSl
『わたし、苛められて初めてわかったの』


『苛められるひとの気持ちが』


O絵はか細い声でこう言った。


『見て、このアザ。ひどいでしょ』


『わたし、苛められると萎縮してなにもできなくなるの』


『苛められて、一人になってやっとあなたの気持ちもよくわかったの』


『ボイスレコーダーで録音していたあなたを憎んでいたわ』



『あんなこと言わなければ。録音されなければ、わたしは、苛められずに済んだのにって』


『でも、わたし自身もあなたに悪いことをしていたことに気づいていなかった。気づこうとも思わなかったし、その場が楽しければいいと思っていたの』


『でも、あなたは苦しんでいたんだよね。ごめんね』



『だから、制裁を受けるのは当然だと思ったの。うあぁあん』


O絵は、誰もいない高架下で泣き始めた。


電車の通る音と泣き声が奇妙にも共鳴し、異様なハーモニーを奏でている。


わたしも体育館でのことを見ているし、これは本当の気持ちだと思った。


電車が過ぎ去ったあとわたしもか細い声でO絵に囁いた。



『制裁を受けるのはN子だよ』

22 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:16:10.22 ID:9nhLXMhSl
O絵の涙が止まらない。


要は彼女は仲間がほしかった。共感してくれるひとが欲しかったのだ。


N子に立ち向かう勇気を持ち、お互い共闘しようと誓った。


『質問があるんだけど、学校裏サイトに書き込んだのはあなたなの?』


O絵に単刀直入に聞かれた。


私のアキレス腱でもある。


わたしは心穏やかにこう言った。


『誰でも言いたいことを吐き出したい時ってあるよね』


O絵は察した。わたしは気づいていなかった。

この発言がのちに大きな事件を引き起こすことを。

23 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:19:33.95 ID:9nhLXMhSl
O絵とよく接することで良いところ、悪いところがすこしづつ判ってきた。


良いところは従順なところ。

何でもOKと言ってしまう典型的YESマンなので、

自分でリードできる。

そしてB型で能天気なところがある。

この能天気なところが良くも悪くもある。私はA型。少し神経質なところがあるかもしれない。


その気持ちを察して気分を変えてくれる。思い悩んでいると、時には大胆に話を変えて興味の引く話をしてくれる。それが結構面白かったりする。

性格的にはわたしと真逆かもしれない。


そんなO絵は母子家庭だ。父親は小学6年のときにガンがリンパにできて全身に転移し早くに亡くなってしまったそうだ。私も同じ境遇なのでお互い悩みを打ち明けるようになった。実際に少し天然なところもあり私はそんなO絵が大好きになった。


学校をやすんでディズニーランドに行ったりもした。ふざけて追いかけっこもした。


私は笑いながら走っていたら地面の突起物につまづき転んでしまった。地面に膝小僧をぶつけてしまった。せっかく固まってきたかさぶたが割れ、血が飛散した。このかさぶたを見ていると、N子をどうやって復讐しようか、こころの中で燻っていた憎悪が呼び醒まされるのであった。

24 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:21:26.20 ID:9nhLXMhSl
O絵というパートナーができ精神的に安定したかにみえた。しかし、それは長く続かなかった。


久しぶりに学校裏サイトを開いてしまった。開くに必要もないのに、わたしがスレッドを覗きにいく気持ちは、犯罪を犯した犯人が気になって現場に戻ってしまう心境に似ている。


インターネットで興味本意で開き、恨み辛みが世界中に発信されてしまうことなど考えずに言いたいことを書き殴る。そしてそれらは永久に残るのだ。


そこで私は驚愕の事実を知ることになる。スレッドの画面上には怨念に満ちた発信が残されていた。



犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は
瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋
犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は
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犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋


スレッドに書いたこと、久しぶりに覗いたこと。

後悔先に立たずである。寒気と吐き気が止まらない。

25 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:22:44.52 ID:9nhLXMhSl
誰がこんなことを…


私の脳裏に浮かんだ犯人は、N子である。

でもなんとなく違和感を感じる。


N子はイジメの対象を私からO絵に変えたのだ。



N子のとりまき、H菜かF実が書いた可能性がないわけでもない。



もしかしたら、O絵?


本音で語り、価値観を共有し、親友になれたのだから、こんなことを書くわけがないに決まってる。

O絵が裏切るわけがない。



でも、その誤った思い込みが私を絶望に淵に導くのであった。



私はO絵に電話し、翌日学校で会うことを約束した。

26 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:23:36.11 ID:9nhLXMhSl
翌朝、天気はあいにく雨だった。


O絵は教室に入るや否や満面の笑みで迎えてくれた。そう、これからは一人ではないのだ。


N子とその取り巻きたちは教室の隅で何かをしゃべっていたが、気にしないことにした。N子たちはO絵が私と接することが気にくわないようだった。


N子たちとO絵の関係を壊した張本人がO絵と親しくしていることが心底気に入らないようだ。


『おい、O絵! なに瘡蓋としゃべってんだよ!

類は友を呼ぶってか?』

N子は周りに聞こえるように大きな声でまくし立てた。取り巻き連中は不快な笑い声をあげている。



わたしは、N子たち傍若無人に振る舞う姿を我慢できなかった。もう、私の友達を奪われたくない。


わたしはN子の近くまで走っていき、

『ふざけるな!』 とビンタをする態勢を取った瞬間、O絵に制止された。


『わたしは大丈夫だから』 とO絵が私を説得するように言う。私は挙げた手をゆっくり下げた。


『もう、昔の私じゃないから。O絵、行こう!』


私はN子達に吐き捨てるように言った。

私の瘡蓋が少しずつ剥がれだした。



『おい、待てや!瘡蓋、お前が犯人なんだろ!』

N子が反撃してきた。

27 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:24:41.03 ID:9nhLXMhSl
『だから、何回も言うけど私が犯人だという証拠があるのかしら?あったら出してもらいたいわね』

私は皆の前で声高らかに言った。


『もう一回言ってみな?』とN子


『だから、証拠はあるの?』


『もう一回言ってみろっつーの?』


『だから、』と、言おうとしたところをF実が制止した。


突然、私の後ろにいたO絵がボイスレコーダを取り出し再生しはじめた。


『ジジ、ジジ、、ガタンゴトン』

高架橋を電車が通る音だ。



『サイトに書き込んだの、瘡蓋?』

O絵の声である。


『誰でも言いたくないことってあるよね』


ギャハハハハ

N子は声高らかに笑っている。

私はパニックになった。


『O絵、、どうして?』

28 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:26:10.63 ID:9nhLXMhSl
本文

そう、O絵は虐められているフリをしていたのだ。

体育館で虐められていたことも、ディズニーランドで仲良く楽しんだこともは、全てO絵のなかで私に復讐するための演技をしていたのだ。


『あなたにされたことをしただけだから』


高架下で共に流したO絵の涙に瘡蓋は騙されていたのだ。


N子は畳み掛けるようにこう言った


『訴えようかな〜』


激しい動悸が止まらない。


クラス全員が私に注目する


犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋
犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋
犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋
犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋
犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋
犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋
犯人は瘡蓋犯人は瘡蓋

29 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:27:23.78 ID:9nhLXMhSl
O絵、どうして……


私は裏切られた気持ちと投稿者として暴露されたことで戦意を喪失した。


もう、どうしようもない。


Y子に訴えられ多額の慰謝料も払わなければならないのか。。


そのお金は親が払うのか。。ママに請求されるのか。わたしのせいで?


思考が停止し、震えが止まらない。


周囲はざわつきが止まらない。


このような中で、O絵が喧騒をかき消すかのように大声でこう叫んだ。


『これでおあいこね! 瘡蓋!』


わたしはO絵の発言の意味がわからなかった。

30 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:28:28.06 ID:9nhLXMhSl
O絵は、静かに、そして力強くこう言った。


『あなたはわたしの大事な親友Y子を殺した。


さらには瘡蓋まで追い込もうとしている。


私もあなたに殺されかけた。


あなたは本当に何者なの?』


O絵は、みずから制服を脱ぎ始め、渾身の力でこう叫んだ。


『あなたは、わたしをここまで追い込んだ!』


O絵のアザだらけの肢体がさらされた。



『ヒ!』


『きゃあ!』


無惨なO絵が皆に晒されている。

いや、自分から曝しているのだ。


『ここまであなたを駆り立てるものは何なの?』




わたしも勇気を振り絞ってスカートを脱いだ。


『わたしも、運動会からずっとこの痛みと共存していたの。治りかけたらピンセットで剥がされての繰り返し。膿んでいて痛くて夜は眠れない。』


あたりの雰囲気が一変している。


傷ついたO絵とわたしを皆が囲んでいる。


笑うものや面白がる見物人など誰もいなかった。


不憫に思ってか、近くの女子がタオルをかけてくれた。


温かい。

31 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:29:31.83 ID:9nhLXMhSl
『うわあ…』


『かわいそう…』



『どうしたらこうなるの…?』



『人間のやることじゃないよね…』



『いままでほんと辛かったんだね…』




『どうして…』



『よく学校に来れたね… わたしなら二度と来ないよ』



『いや、わたしなら自殺するよ…』




『大丈夫…?』


『これはひどい…』



『これは訴えるべき案件…』



さまざまな声が教室にこだまする。私たちの味方が増えてきたように感じると、わたしとO絵はほっと安堵した。




N子はその場にしゃがみこみ、頭をかかえている。



『あなたが憎い。あなたが憎い』


二回も言うO絵は涙を流していた。


その憎悪はN子から正常な思考を奪うほど強烈なもので、次第にいままでの恨み辛みが増殖し、幻覚症状を引き起こす。

32 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:30:42.75 ID:9nhLXMhSl
『あああぁ、わわわたし悪くない』


O絵を見てY子は身震いしている。なんと、O絵の肩ごしに見える人影。


『キャアぁああー』


自殺したY子が薄ら笑いをしながら恨めしそうにN子を視ている。O絵の怨念が連れてきたのだろうか。


そして、O絵、Y子、瘡蓋3人の悲壮な姿を見たY子は、半狂乱になった。


『来るな来るな来るな来るなーぁああ』


ついにY子は教室のベランダから飛び降りた。


『ペキャッ』


教室は6階だ。


キーンコーンカーンコーン

33 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:31:37.89 ID:9nhLXMhSl
看護婦『さーて検診の時間ですよ〜』


事件が発生して早一ヶ月が経とうとしていた。


幸いN子は花壇のぬかるみに全身を強打したが奇跡的に命をとりとめた。ただ、介護なしには生活できない体になっていた。


N子は呼吸器を付け、点滴を繋ぎ見るも無惨な姿になっていた。


看護婦『今日は良かったわね〜N子ちゃん。お友達が2人来てるわよ〜』


N子の友達、F実とH菜かと思ったが実は違った。


『チャーオ』


O絵と瘡蓋だ。


N子の心拍数が急上昇する。


O絵『そんな顔しないでよ〜N子。私たち、友達でしょ?』


瘡蓋『今日はどうしよっかな〜』


ピンセットを取り出した。


N子『フーwフーw』


N子の心拍数が尋常ではないくらい上がり呼吸困難を起こしている。


逆襲は始まったばかりである

34 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:32:23.10 ID:9nhLXMhSl
H菜とF実はその後の度重なる警察、学校、PTAからの尋問によりそのままの学校生活が送ることが出来なくなり、隣町の中学に引っ越した。そのあとの行方はよくわからない。


そして担任は度重なる不祥事で懲戒免職となった。そもそも生徒たちを思いやる心が無かったので当然といえば当然か。


心残りは誰がインターネットに『犯人は瘡蓋』を連発して書いていたのかである。


その答えは身近にあった。


瘡蓋は誹謗中傷を書き込んでしまったことに大変後悔していた。


その後悔の念から、実は気がつかぬうちに自分で書き込みをしていたのだった。瘡蓋が無意識に書いていたことを母は気づいていたが、見守っていたこともわかった。これらの根拠は警察からの調べでわかったことであり、IPアドレスの痕跡から判明したためである。


インターネットの誹謗中傷は恐ろしく、人格まで狂わせてしまう。

身をもって体験し、節度をわきまえた書き込みをしようと心に誓うのであった。


わたしの瘡蓋は時と共に自然に剥がれ、その部分は硬い皮膚に変化していくのであった。

35 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:32:53.54 ID:9nhLXMhSl
おしまい

36 :彼氏いない歴774年:2018/12/27(木) 23:36:35.75 ID:9nhLXMhSl
ご清聴有り難うございました。中学生時代の実体験を若干アレンジしていますが、スカッとする話として聞いていただけたら幸いですー

37 :彼氏いない歴774年:2020/07/02(木) 02:41:43.39
アスペ乙

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