【妻たちのプロレス】ターザン山本！244【高島さんにはセメント】

1 ：お前名無しだろ (ﾜｯﾁｮｲ 6e74-HF2j)：2020/08/26(水) 19:37:46 ID:gRnipcYK0.net

「『金権編集長』ザンゲ録」以来10年ぶりの出版物を共著ながらついにドロップした先生
事前インタビューでは「変化球」「誰にもできないよ」と自画自賛を振りまいたが市場の反応はいかに

レスラーの妻たちより自分の元妻たちをインタビューした方がきっと面白いターザン山本！先生をウォッチするスレです

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431 ：お前名無しだろ ：2020/09/27(日) 15:03:00.19 ID:esNTB9rTp.net

今日42回目のコールにも夢香は出なかった。
合間合間にかけた山崎夫妻からも コールバックは無かった。
深夜２時。ついに山本は携帯電話を塀に叩きつけ、破壊した。

腹が減ったので、お湯をわかし、インスタントラーメンを作った。
すると食べながら 山本はつぶやきはじめた。「やっぱり歌さんラーメンは最高ですよぉおお」
その一言によって、山本の中の何かが崩れはじめた。「ダチキン先生、この映画はいまいちだね」
「浮谷さん、マッサージは食べてからにしてよぉ」「え！？ジャン窪さんたちも来るの？ウワー、満員だぁ」
「クリクリ、ビール買い込みすぎだよぉ」
「谷賢、また面接だめだったのか」
ストーブもついてない薄暗い部屋で山本は朝まで話しつづけた。

432 ：お前名無しだろ ：2020/09/27(日) 15:03:54.35 ID:esNTB9rTp.net

朝方、歌さんが言った。”そろそろお開きにしませんか”
するとみんなは後片付けしてくれて、ついでに掃除までしてくれた。
「ええー、もう終わり？もっと飲んで食べて楽しくやろうよ！永遠に・・・」
すると歌さんが山本の両肩に手をやり、強い口調で言った。
”山本さん、もうおしまいなんですよ”　そうか・・・わかった・・
「みんなありがとう。楽しかったよ。ボクは本当に幸せだよぉおお！
いまからお礼のポストカード書くよ！じゃあみんな、さようなら・・・・」

山本の腐乱死体が見つかったのは、5ヵ月後だった。テーブルには ラーメンの食べかけと書きかけの手紙が残されていたが、何と書いてあるかは 誰も読めなかった。

433 ：お前名無しだろ ：2020/09/27(日) 15:05:05.63 ID:esNTB9rTp.net

「私、もう帰っていいですか！？」イビジェから唯一お通夜の手伝いに来てた 宮下が、不機嫌そうに言った。
山崎は「ウン、いいよ。お疲れさん・・・」と力なく答えた。
彼女は山本と夢香の気まぐれで嫌な思いをしていた。本当は手伝いにも来たくなかったんだろう。
それにしても見事なまでにお通夜に誰も来ない。来たのはウチパクさん、与作の兄ちゃんとお母さん。
ノトヤのお母さん。ケーフェイの編集者、吉田豪さん、白沢さん・・・
別室で軽い食事と酒を用意していたが、誰も手をつけずに帰っていった。
本来ならここで生前の山本さんを偲んで朝まで語り合うはずなんだが・・
いつもの夢香スマイルを浮かべ受付してる夢香を見て、山崎は今更ながら 後悔した。
もう夜10時。そろそろ終わりにするか・・
テリー伊藤、谷川貞治、ビートたけし等から来た豪華な花輪が、一層会場の
寂しさを際立たせていた・・・

434 ：お前名無しだろ ：2020/09/27(日) 15:06:40.27 ID:esNTB9rTp.net

寂しさばかりが募る中で夜は明け、出棺の時間がやってきた。
安物の棺を担ぐ人手すら揃わず、葬儀社の人間が手伝う始末。
「せめて、10年前に死んでたらなあ」
内パクがこぼした言葉は不謹慎ではあったが多くのターザン関係者が抱いていた、共通の本音だったろう。

「お墓のほう、どうなってるんですか？」
火葬場の待ち時間、わざわざ店を閉めて付き添った与作の兄ちゃんが山崎に尋ねた。
「ああ、合同墓に入れてもらえることになったよ。ホームレスのだけど」
「そ、それはあんまりじゃ……」絶句する与作の兄ちゃん。
決まり悪そうに背を向けつつも、山崎は言い訳がましくまくし立てた。
「だってオレの会社が立て替えた借金、全然減ってないんだよ！　講座は閑古鳥だし本は返品の山だし、ついでに会計体操DVDは売れないし」
そう言われては返す言葉もない。所詮、ターザンとは戻りガツオだけの関係なのだから。
「うわーっ、ターちゃんが煙になって空に上っていくよ！　これこそまさにアチャーだわ」
嬉しそうに写メを撮る夢香を諫める気力などもう、誰にも残っていなかった……。

そんなときだった。数年前に袂を分かった、彼が現れたのは。

435 ：お前名無しだろ ：2020/09/27(日) 15:08:05.60 ID:esNTB9rTp.net

「またぐなよ！」
いつも以上に歯をむき出して、夢香が威嚇する。
が、歌枕は一瞥すらくれず歩を進める。
喪服も着ず、それどころか全身泥だらけの元一番弟子は 真っ赤に腫れた目で山崎を見据えた。
「骨は、オレがもらっていきます。今までずっと、庭に墓穴を握っていました。山本さんは家の庭で眠ってもらいます。もう決めたんです。……だってオレの師匠は、これから先もずっとターザン山本！だけだから！」
「うん、うん……」
涙を流しながら山崎は頷いた。そして、ハッと気がついた。
歌さんの野良仕事は、この日を見越していたからなのだ、と。
歌枕伝説が幕を開けた、というわけでもなかった。

436 ：お前名無しだろ ：2020/09/27(日) 15:09:41.93 ID:esNTB9rTp.net

夢香が叫んだ。「あ！武ちゃん、希ちゃん、来てくれたの！」
山崎と歌枕が振り返ると、女性が二人立っていた。
すると夢香は「じゃあ山ちゃん、みんなとデニーズ行くから後はお願いね！」と香典を手にしたまま立ち去ろうとする。
山崎は二人に「せめてお線香の一本でもあげていってくださいよ・・」と懇願したが、「もう遅いでしょ！電車なくなるよ！」と夢香の反撃にあった。
歌枕が何か言いそうになったが、山崎は止めた。
こうなったのも全てオレの責任だ・・・山崎は天を仰いだ。
急ブレーキの音がして、タクシーから新間寿が駆け足で受付に向かってきた。
「遅くなってスマン！みんな来てるだろ、どこに集まってる？」
しかしガランとした式場、ポツンと立ち尽くしてる山崎と歌枕を見て、全てを悟った。
新間は弔問客の記帳を一瞥すると、烈火のごとく怒り出した。
「アンタら一体何やってんだ！こんな形式だけの適当なことやってたら、山ちゃんも浮かばれないぞ！」

437 ：お前名無しだろ ：2020/09/27(日) 15:10:55.62 ID:esNTB9rTp.net

「私はできる限りのことはしたつもりです。式の費用は自費ですし、寿司も30人前用意しました・・」
「僕は山本さんに捨てられた立場なんで・・・」二人は言い訳した。
「そうやってすぐゴニョゴニョ言い訳するけど、アンタらが山ちゃんと付き合ってたのは、ゼニカネだったんか！違うだろ！確かに山ちゃんと付き合ってるとカネはかかる。でもそれ以上に楽しいこと、面白いことを提供してくれたんじゃないのか！？だから今この場にいるんだろ！だったら最後くらい楽しませてもらったみんなで山ちゃんの思い出話を肴に語り合わなきゃダメだろ！ こんなの・・・山ちゃんが可哀相すぎる・・・！」
新間はテリー伊藤や谷川の花輪を蹴っ飛ばし、泣きながら破壊しはじめた。
それを見ていた歌枕は座り込み嗚咽を漏らした。山崎も歯を食いしばり拳を握って涙が零れそうになるのを耐えた。
「オレは認めん・・・！こんな式は認めぞ・・・！」新間の声が静寂の中鳴り響いた・・・

438 ：お前名無しだろ ：2020/09/27(日) 15:11:50.95 ID:esNTB9rTp.net

ますます怒り狂う新間、仏壇代わりのミカン箱を蹴り壊し位牌を踏み潰し骨壷を粉砕、見つけたバットで柱を叩き折り壁を叩き破り天を仰ぎてはらはら泣きながら乱暴狼藉の限りを尽くす。
その時突如新間の携帯が「なに！猪木さんが２時間も早く到着とな！」
ネクタイを締め直し肩の埃を払い「では失敬」と香典を差し出す事すら忘れ成田へ向う新間。
呆然と凶行をながめていた歌枕と山崎はまさに崩壊直前の家での身の危険を察知しあたふたと退出した。

後には山本のハチャメチャな人生を象徴するかの如く崩壊寸前の陋屋が残されるばかりだった。

439 ：お前名無しだろ ：2020/09/27(日) 15:12:21.21 ID:esNTB9rTp.net

新間が見えなくなったあと
「いくらなんでもやりすぎですよね」
と急に強気になった歌枕が蹴り飛ばした石ころ。

それは山本の頭がい骨だった・・・。