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【ギャルゲ風安価SS】侑「また一年が始まる」2

664 :>>1 :2020/12/17(木) 19:16:43.80 ID:J/biDMab.net
やがて、下りた幕が上がって役者の皆さんが揃って挨拶をする。

もう一度大きな拍手が送られて、今度こそ『名誉の涙』は終わりを迎えた。

今すぐ走り出したい。

一番に駆けつけるって約束したんだ。

余韻の鎖に縛られたみたいに重い足を踏み出す。

会いたい──

会いたい──

しずくちゃんに、会いたい──


──侑「歩夢」

──侑「私はずっと、歩夢の一番傍にいるからね」


侑「………っ!」


私は… >>665
1.しずくの元へ行く
2.しずくの元へ行かない

665 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 19:18:15.72 ID:s3tIlbxC.net
2

666 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 19:25:50.49 ID:hh4tziNP.net
うぎゃーマジかー
行って欲しかった……

667 :>>1 :2020/12/17(木) 19:27:09.38 ID:J/biDMab.net
しずくちゃん。

演劇が大好きな後輩。


──しずく「ご挨拶が遅れました、国際交流学科一年生の桜坂しずくといいます」

──しずく「私、演劇をやりたくて虹ヶ咲に来たんです。中学校には演劇部がなかったので、観るばっかりで。ずっと舞台に立ちたくて仕方がなかったので、家からは少し遠いんですが…演劇部の活動が活発な虹ヶ咲に」


私より年下なのにはっきりした目標を持ってて、そのために自分を強く律することができる女の子。


──しずく「ランチをご一緒する口実を見つけられたから、です」

──しずく「先輩、もう少しだけ──無でてほしいです──」


だけどやっぱり年相応の可愛さもあって、そんなギャップがどうしようもなく愛しくなる。

668 :>>1 :2020/12/17(木) 19:28:36.29 ID:J/biDMab.net
きっと、私はしずくちゃんのことが大好きで。

しずくちゃんも私のことを慕ってくれていて。


──しずく「愛しい相手に触れることができない、この気持ちを抱えていきます」


今、交わしたい言葉はたった一つしかなくて──


──『しずくちゃん:公演が終わった後、時間を下さい』

──『しずくちゃん:お話ししたいことがあるんです』


──『拍手し終えたら、一番に駆けつけるよ』


しずくちゃんに会えたら──言いたいことが、たくさんある。

669 :>>1 :2020/12/17(木) 19:32:21.05 ID:J/biDMab.net
たくさん、あるんだ。

あった、んだ。


侑 ………ストン


言うつもりだったたくさんのことを、それでも私は、言えない。


侑 ハァ…


約束したのに、

決めてたのに。


私はしずくちゃんのことを──選べない。


侑「………………………………あゆむ……」ポツ…

670 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 19:33:41.96 ID:5LEkSXhk.net
ええ……
しずくちゃんかわいそうだわ

671 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 19:34:24.60 ID:XaguV0e8.net
これむしろどうやったら歩夢以外に行くんだよ……

672 :>>1 :2020/12/17(木) 19:36:57.95 ID:J/biDMab.net
そのまま、どのくらい経ったんだろう。

何時かのチャイムが鳴る。

気づくと講堂には誰もいなくなってて、


「どうかしましたか?」

侑「──ぇ…」

先輩「あれ、あなた…」


あの日、演劇部の見学に行った日、しばらく傍にいてくれた先輩だ。


侑「………ぁ…」ヨロ…

先輩「待って」パシ

673 :>>1 :2020/12/17(木) 19:40:34.54 ID:J/biDMab.net
先輩「観にきてくださったんですね。ありがとうございます」

侑「…」

先輩「私達の劇、どうでしたか?」

侑「……とても、よかったです」

先輩「そうですか」

侑「…」

先輩「どうしてこんなところにいるんですか」

先輩「どうして、桜坂さんに会いにきてくれなかったんですか」

侑「……っ」

先輩「桜坂さん、ずっと控え室で待ってましたよ。メイクも落とさずに、衣装も脱がずに。役者のみんなが撤収した後も一人だけ」

先輩「──あなたを待ってるんじゃないんですか!?」

674 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 19:42:05.28 ID:ixUZQkbv.net
もいちどチャンスください…

675 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 19:42:57.90 ID:18/a0KSQ.net
は?
単発の庭って荒らしじゃないのか
可愛そうだしムカつくんだけど

676 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 19:45:46.98 ID:ey/0ENo1.net
っしゃああああああああwwwwwwww
ゆうぽむ最高!!ゆうぽむ最高!!

677 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 19:46:42.78 ID:kzE16pXX.net
(重要な安価は複数投票でもいいかなとは思う)

678 :>>1 :2020/12/17(木) 19:47:07.89 ID:J/biDMab.net
先輩「桜坂さん、すごくなかったですか?」

先輩「私、息を呑みましたよ」

先輩「昨日までだってものすごかった。一年生とは思えないほど完成された演技でした」

先輩「誰よりも彼女のことを知り、考えて。きっと脚本を書いた私以上に、桜坂さんは彼女のことを深く深く理解してましたね」

先輩「その彼女を完璧に演じきっていました。昨日までの桜坂さんは」

先輩「でも今日は、そんなレベルじゃなかった」

先輩「もう、桜坂さんなんて…桜坂しずくなんていませんでした。誰かが誰かを演じるという、そんな次元ではなくなってましたよ」

先輩「あのとき酒場にいたのは紛れもなく彼女で、全てを背負って立つ革命家の女でした」

先輩「無念のままに死んでいくその瞬間まで、私は──舞台の上に桜坂さんを見つけることは一秒もできませんでした」

679 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 19:49:17.83 ID:hh4tziNP.net
せめてちゃんと振ってあげて欲しいが
果てして…

680 :>>1 :2020/12/17(木) 19:52:47.50 ID:J/biDMab.net
先輩「一体、桜坂さんはどんな時間を過ごしたんでしょう。どんな風に役と向き合えば、あれほどまでになるんでしょうか」

先輩「憎しみも、悲しみも、悔しさも、怒りも、その全てをただ一人の亡くした最愛の夫を想う深い愛情の上に表現していました」

先輩「劇の後半を私は思い出せませんよ。彼女が撃たれたときに、私まで死んでしまったのかと思うほどです…」

先輩「……桜坂さんが彼女に成ったのは、あなたのおかげじゃないんですか?」

侑「………」

先輩「あなた達の間でどんなことがあったのかは知りません、それを知りたいと思うわけでもない。ただ、役者としての桜坂しずくを完成させてくださったことにお礼を言いたいです」

先輩「………それ、なのに!」

先輩「どうしてあなたは、こんなところでぼーっとしてるんですか!桜坂さんを迎えにいってあげないんですか!」

侑「……っ…」

681 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 19:55:14.08 ID:XaguV0e8.net
さすがにもう一度あるだろ

682 :>>1 :2020/12/17(木) 19:57:37.88 ID:J/biDMab.net
先輩「桜坂さんを、応援したいんだって言ってましたよね」

侑「………はい…」

先輩「それってつまり、役者として大成してほしいという、本当にただそれだけの気持ちだったってことなんですか?桜坂さんの演劇への情熱を支える、それだけが目的だったってことなんですか?」

先輩「──役者として一人前になってしまった桜坂さんには、もう興味がないということなんですか……?」

侑「ち──違うッ!!」

先輩「だったら…だったら、どうして…」

侑「…っ、私は…私、には……」

683 :>>1 :2020/12/17(木) 20:00:41.05 ID:J/biDMab.net
先輩「……桜坂さん、まだ控え室にいると思います」

侑「!」

先輩「せめて、会いにいってあげてくださいよ」

先輩「せめて、あの一幕を褒めてあげてください」

先輩「私達の誰に言われたいわけでもないはずの言葉を、あなたがちゃんと言ってあげてください」

先輩「………せめて、それだけは…」ペコ…

侑「…………………はい…」

684 :>>1 :2020/12/17(木) 20:03:53.77 ID:J/biDMab.net
講堂ステージの控え室。

学校の行事で一回か二回、入ったことがある。

控え室なんていうのもおこがましいくらいの、なんにもない部屋だったと思う。

音も遮らなさそうな薄い扉の一枚向こう、

確かに人の気配がした。

誰かの──すすり泣く、声がした。

685 :>>1 :2020/12/17(木) 20:07:38.12 ID:J/biDMab.net
侑「…」


コンコン


「…」


小さく聞こえていた声が、しゃくるような声と共に止んだ。


「…入って構いませんよ」


掠れた声。

震えていて、か細い。

もうなにも喋ってほしくないと思った。


侑「……私、だよ」

686 :>>1 :2020/12/17(木) 20:10:39.50 ID:J/biDMab.net
侑「高咲侑、です」





侑「……あの…あの、ね……」





侑「………私……」





「あ、ごめんなさい先輩」

侑「え…?」

687 :>>1 :2020/12/17(木) 20:14:44.36 ID:J/biDMab.net
「今私、衣装を着替えてる真っ最中なんです。てっきり部の誰かかと思いました」

「さすがに恥ずかしいので入ってきちゃだめですよ」

侑「…うん」

「ってああ、もうこんな時間!この後みんなで打上げに行くことになってるんです。急がなくちゃ」

「先輩も、来てくださったのにすみません。今日はその、帰ってもらえると、その」

「また週明けにでもお話しましょうね」

侑「…っ、しずくちゃん。私……」

「それは、聞かなくちゃだめですか?」

688 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 20:17:13.50 ID:FIZ31Oyz.net
ふざけんな
侑ちゃん約束破るクズにすんじゃねえよ

689 :>>1 :2020/12/17(木) 20:17:49.88 ID:J/biDMab.net
侑「…っ!」

侑「…このまま、なあなあにするのは…」

「私は構いませんよ」

「なあなあにしておいてもらえたら、終わらないで済むじゃないですか」

侑「……」

「私、イヤですよ。この一時間で、もう充分傷つきました」

「これ以上、傷つかなくちゃ…だめですか……?」

侑「っ……」

690 :>>1 :2020/12/17(木) 20:26:23.70 ID:J/biDMab.net
侑「………私…」

侑「…私、は………」グ…

「そんなカオしないでください、侑先輩」

「私、この一ヶ月間とっても楽しかったですよ」

「先輩が応援してくれてる、見てくれてるって思うだけで、どれだけでも頑張れました。演劇に向かう熱意みたいなものが溢れて止みませんでした」

「なんとか役を勝ち取ることができたけど、役者を始めたばかりの身には難しくて、毎日ああでもないこうでもないって試行錯誤を繰り返して」

「もうわかんないって投げ出したくなることが何回もありました」

「でも、私の傍には先輩がいてくださったから」

「一人きりで汗まみれの稽古だって、もう全然つらくなかったんです」

691 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 20:30:15.16 ID:xVyDplH2.net
安価スレで思い通りにならないならって発狂するなよ、とればいいだけだろバカども
1さんお願いしますワンチャンください歩夢も好きだけどしずくも好きなんです

692 :>>1 :2020/12/17(木) 20:31:41.31 ID:J/biDMab.net
「……そうだ」

「私のわがまま、聞いてくださってありがとうございました」

「昨日、最後の練習を終えて、本当にこれでいいのかって悩んでたんです。悩んで、連絡しちゃいました」

「間違ってないよ、それでいいんだよって言ってほしくて」

「でも、お話してしまうと重ねてきたものが全てまっさらに戻ってしまいそうで、本当は怖くて」

「先輩と話したい、話したくない、会いたい、会いたくないって、連絡してから頭の中でぐるぐる回ってました」

「…本当に、嬉しかったです」

「先輩がくれたお返事。あれで私、悩んでたこともみんな吹っ飛んでしまいました。ああ、こんなにも私のことを考えてくれる人がいるなんて、なんて幸せなんだろうって」

「そう、思いました」

693 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 20:32:15.69 ID:6plPWz/K.net
つっら…

694 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 20:33:39.55 ID:OD+Xs+Cw.net
まぁまぁKYな安価もこういうスレの醍醐味なんだから

695 :>>1 :2020/12/17(木) 20:34:17.03 ID:J/biDMab.net
「……………侑、先輩」

「ありがとうございました」

侑「………!」

侑「しず──

「先輩のおかげで私は役者として何段階もレベルアップできました。今日の舞台にも、心残りは一つもありません」

「今まで、ありがとうございました」

侑「……しずく、ちゃん…」

696 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 20:34:22.86 ID:bApzx7XH.net
同好会に入るか否かも安価1つで決まったわけだしこれも仕方ないわな
それはそれとしてしずく√めっちゃ期待してたが

697 :>>1 :2020/12/17(木) 20:36:57.91 ID:J/biDMab.net
「ねえ、貴方」

「私の勇姿は、どうでしたか?」

「貴方の理想の妻で、いられましたか──?」


侑「………っ」


「…格好よかったよ」


「…ふふ」

「よかったぁ…♡」


演劇を観にいきました… ▼

698 :>>1 :2020/12/17(木) 20:38:46.20 ID:J/biDMab.net
今晩はここで終わります
皆さんのおっしゃることは理解しているつもりなので、少し考えさせてください

699 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 20:40:37.74 ID:5LEkSXhk.net
なんか侑ちゃんの人柄にがっかりしてしまった
今回ばかりはいかんでしょ

700 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 20:44:20.93 ID:kzE16pXX.net
まさかこのスレで胃薬飲むことになるとは
乙です

701 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 20:45:18.87 ID:ixUZQkbv.net
逆に考えよう
ここで反省することによって歩夢への依存を抜け出せられるのでは?
まあ願望なんやけども

702 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 20:46:38.64 ID:SPzhhXZ9.net
おつです
しずくとのこれまでの積み重ねが良すぎたから
これでフラグ折れてしまうの悲しい

703 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 20:47:23.94 ID:QhwiBqJ8.net
こういうのも悪くない

704 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 20:50:03.23 ID:hh4tziNP.net
おつおつ
つらい展開なのにお疲れ様です
これはもう歩夢ドロドロ依存√一直線かなぁ

705 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 20:50:26.07 ID:WvQ6CIIf.net
ストーリーでしずくちゃんのこと振るなら振るでいいけどここで会いに行かないのは違うだろって感じ
なんであそこで安価出したんだよ

706 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 20:54:27.59 ID:q5QkpWMG.net
もとから侑ちゃんには歩夢しかいない>>1は良く分かってるよ

707 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 21:25:53.45 ID:tezM88dN.net
共依存ルート完璧に入ってしまったか…
前日のやり取りからしても行かない選択肢ないレベルに互いの好感度高かったんだし、安価取らずに進めりゃよかったのに
2週目、もしくは分岐ルートに期待

708 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 21:29:20.42 ID:SMockG9h.net
1のことも、安価とれた人のことも、悪く言うつもりはないし、今後、話がどう転ぼうと見守りたいとは思うけど
それでも、ここでのこの選択を考えてしまうと、歩夢ルート以外が不誠実極まりなく感じてしまう。
(レスしておいてなんだけど、ただの感想でしかないので重く捉えないで大丈夫です……

709 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 22:12:02.24 ID:XvsA3oVt.net
歩夢だけ選んでなくても勝手に進展していくのがなぁ……

710 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 23:08:29.97 ID:ODRk7c4w.net
もはや呪い...

711 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 23:14:58.77 ID:ODRk7c4w.net
>>1が悪いわけじゃないけどガチで胃が痛すぎる...

712 :名無しで叶える物語:2020/12/17(木) 23:39:44.30 ID:SMockG9h.net
まぁ実際、初期状態がバランス調整必要なレベルで偏ってるのは公式設定だからなぁってのは

713 :名無しで叶える物語:2020/12/18(金) 00:13:47.92 ID:oSIM6UTE.net
面白かったです今までありがとうございました

714 :名無しで叶える物語:2020/12/18(金) 00:40:35.52 ID:7mofTqGT.net
身も蓋も無いこと言うと、多分ここでしずくを選んだとしても歩夢が選ばれなかったことを嘆く人もいるしね


とは言え、同好会ルートやしずくルートを折るか否かのかなり重要な選択肢は多数決安価にして欲しいとは思う
まぁどれくらい人が来るかわからない一週目は仕方ないとして、次の機会があったら多数決にして欲しい

しずくルートが折れたと見ると、今の好感度的に歩夢依存ルートか、菜々ルートのどっちかだろうな

715 :名無しで叶える物語:2020/12/18(金) 00:55:10.12 ID:qLcW/2Iq.net
>>714
私の意見ですけど、しずくを選ばなかったことに嘆いてるんじゃなくて、約束を破ったことに嘆いているんです…

716 :名無しで叶える物語:2020/12/18(金) 00:56:22.82 ID:MjWu1bzi.net
仕事だろうがなんだろうが、自分が安価をとれる時間にスレに来て、何がなんでも取れたらよかったんだけど、それをしなかった時点でな……ンンンンンンンンン
ただしかし、どんな展開になっても、というかこの時点で既にやはり>>1の書く物語に惹かれているのは変わらないので、これはこれでこれからも楽しみにさせて頂きます!
これからどうなるんや…ドキドキ

717 :名無しで叶える物語:2020/12/18(金) 01:01:26.63 ID:M9td2yoX.net
そうそう
しずくちゃんに一番に会いに行くって約束破るのは付き合う付き合わないとかと別次元だよね
あそこで会いに行かないという選択肢が侑ちゃんの中にあったのに心底がっかりしてる

718 :名無しで叶える物語:2020/12/18(金) 01:10:09.18 ID:qLcW/2Iq.net
とはいえ、この作品は大好きなのでこれからも応援させていただきます!
しずくとのいちゃいちゃも書いてくれたらうれしいなぁ

719 :名無しで叶える物語:2020/12/18(金) 01:14:13.44 ID:m/8mlrQY.net
余計な長文が並ぶ方がよっぽど残念だと思うわ

720 :名無しで叶える物語:2020/12/18(金) 01:15:17.54 ID:7mofTqGT.net
>>715 あー、そう言うことか...

会ったらその時点で告白→付き合う確定か、それとも会った上でさらに分岐があるかだな...
後者のパターンだと歩夢ルートに対する関わり方にも影響出そう


...と言うかよくない流れだなぁ、この手のスレって一人が重要なところでKYすると空気が悪くなって作者のモチベにも関わるし、かといって安価と言う性質上その選択を悪と見做して袋叩きにするのも良いわけないからなぁ
(KYとは書いたけど、こうなる可能性があるフラグ自体はきちんと立てていたから、展開そのものがおかしいとは言いたくないが)

721 :名無しで叶える物語:2020/12/18(金) 01:19:04.28 ID:rR7Urt0U.net
楽しみに待ってるしどんな展開でも受け入れる

722 :名無しで叶える物語:2020/12/18(金) 01:56:15.42 ID:Aek0bgIV.net
安価にKYとか言ったらもう安価で決める意味なくね?

723 :名無しで叶える物語:2020/12/18(金) 05:16:44.58 ID:M5qwm4eA.net
歩夢推しとしてはどっちでも今後美味しい展開が待っていたと思ってる
むしろとことん泥沼見たかったし、自分ならあそこでしずくに会いに行ってもっとこじらせたかったわ!
この手のスレってこんな感じになりがちなのは仕方ないかと
どこで1が安価出そうが誰がどんな選択取るのも自由じゃん
こんなの○○と違う〜とかいちいち聞いてたら完結出来んぞマジで、1よ頑張ってくれずっと見てるぞ

724 :>>1 :2020/12/18(金) 08:12:23.64 ID:CR3WMUkV.net
夕方…


侑 トコ…


『上原』


侑 カチ


ピンポーン…


「はい」

侑「……侑、です」

「侑ちゃん?いいよ入って」

侑「…うん」

725 :>>1 :2020/12/18(金) 08:17:02.56 ID:CR3WMUkV.net
ガチャ…


歩夢「珍しいね、インターホン鳴らすなん…て…」

侑「………歩夢…」

歩夢「侑、ちゃん…」

侑「歩夢………あゆむぅ……」ポロ…ポロ…

歩夢「──っ」タタッ


ギュッ


歩夢「大丈夫、大丈夫だよ侑ちゃん。私がここにいるからね。怖いことなんかないよ、大丈夫」ギュ…

侑 ヒグッ…ヒック……

726 :>>1 :2020/12/18(金) 08:23:23.90 ID:CR3WMUkV.net
歩夢の部屋


侑 …スン………スンスン……

歩夢「落ち着いたみたいだね。ホットミルクとココア、どっちがいい?」

侑「…歩夢がいい」スン…

歩夢「私は飲み物じゃないよ」

侑 キュ

歩夢「もう、侑ちゃんってば子どもみたい」

侑「…」

歩夢「まだしばらくこうしてよっか」ギュ…

侑「うん…」

727 :>>1 :2020/12/18(金) 08:28:00.79 ID:CR3WMUkV.net
侑「………私、ね」

歩夢「うん」

侑「今日、演劇を観にいってたんだ」

歩夢「演劇…それって、演劇部の?」

侑「うん…三年生の卒業公演みたいなやつ」

歩夢「そうだったんだ。誘ってくれたら私も行ったのに」

侑「……しずくちゃん、が」

侑「役者として、出演したんだ」

歩夢「…うん」

728 :>>1 :2020/12/18(金) 08:36:35.03 ID:CR3WMUkV.net
侑「しずくちゃん、ね、オーディションで役が決まってから、ずっと頑張ってた」

侑「…ううん。役が決まる前、オーディションなんか関係なかった頃から、いつも一生懸命だった、よ」

侑「一緒にいて、話すこともほとんど演劇のことだったんだ。自分の演技はどうとか、いい舞台はどんな風とか、そんなことばっかり話してくれた」

侑「一緒に演劇を観にいったときもね、脚本の人が好きなんだとか、演劇を観るときの心構えとか、色んなこと話してくれた」

侑「昔からね、好きだったんだって、演劇。でも中学までは演劇部がなくて、ニジガクを選んだのは、演劇部があるからだって言ってた」

侑「ずっと舞台に立ちたかったんだって、そう、教えてくれた」

侑「だから、だから──私っ……応援したいって、思って…っ応援する、って…決めたんだ…」ック…

729 :>>1 :2020/12/18(金) 08:46:08.41 ID:CR3WMUkV.net
侑「演劇やる人ってね、…すごいんだよ」

侑「役が決まったらね、その役のことを、誰よりも理解しようとするんだ」

侑「革命家なら強さとか決意とか、その人がどんな風に考えてるのか、感じてるのか、ずっとね、向き合って」

侑「…例えば、強そうに見える革命家も、旦那さんを亡くした過去とかが、あって。そしたら、革命家としてだけじゃなくて、一人の女性として、どうなんだろうって、考えるみたい」

侑「亡くなったのが王様のひどい政治のせいだったから、革命家になったんだけど、それって言うほど単純なことじゃないでしょ?」

侑「旦那さんが亡くなったからって、強く立ち上がれる人ばっかりじゃないと思うんだ。いつまでも泣くことしかできなかったり、八つ当たりするみたいになるとか、私だったらどうなっちゃうかわかんないけど、いっそ自分も…って思う人だって、いると思う」

侑「でもね、革命家になったからには、きっと強い覚悟とか気持ちがあったんだって、それは旦那さんを深く愛してたからだって、そこまで踏み込んでさ」

侑「その役に、なりきろうとするんだ」

730 :>>1 :2020/12/18(金) 08:50:09.55 ID:CR3WMUkV.net
侑「旦那さんに会えないのは寂しいだろうなって」

侑「会いたくてどうしようもない日があるんだろうなって」

侑「その気持ちを理解するために、どうしたらいいんだろうって、考えて…さ」

侑「大好きな人に、自分自身が、会わないようにしたりするんだ…」

侑「会いたいし、話したり、頭を撫でたり、励ましてもらったり、したいって」

侑「どんなに、思ってても、ね」

侑「彼女のことを理解するために、そういうのを我慢して、できる、強い人だったんだ…」ズ

731 :>>1 :2020/12/18(金) 08:55:54.76 ID:CR3WMUkV.net
侑「もっと、会えばよかったな、とか」

侑「もっと、話したかったな、とか…」ジワ…

侑「頭も撫でてあげればよかった。好きなところとか、いっぱい伝えて、自信を持ってくれるように…」

侑「今回の、役、すごかった。よかったけど、まだ終わりじゃないのに。しずくちゃんにはあと三年あって、演劇、続けていくのに」

侑「卒業した後も、役者とか…女優とか……きっと、すごい人に、なる、のに」グス…

侑「全然、終わりなんかじゃ、ないのに」

侑「もっと、もっと……力になりたかった」

侑「隣で、支えて、いたかったのに…なぁ…」ポロポロ…

732 :>>1 :2020/12/18(金) 09:01:48.77 ID:CR3WMUkV.net
歩夢「………」グッ…

歩夢 ギュ……

歩夢「もう、隣にはいてあげられないの?」

歩夢「これからも応援してあげることは、できないの?」

侑 …コクン

歩夢「どうして?」

侑「……私、」

侑「しずくちゃんのこと、…好きだった」

歩夢「…」

侑「大好き、だった」

侑「でも、…でもね、選べなかったんだ」

733 :>>1 :2020/12/18(金) 09:05:01.37 ID:CR3WMUkV.net
侑「しずくちゃんと、約束、したのに」

侑「終わったら一番に駆けつけるねって、……約束…した、のに…っ」

歩夢「…行かなかったんだね」

侑「………っ、…」

侑 コクン…

歩夢「…そっか」

歩夢 ポン……ポン……

歩夢 ギュ…

歩夢 ギュウゥ……

734 :>>1 :2020/12/18(金) 09:11:41.39 ID:CR3WMUkV.net
歩夢「そう決めたのなら、それが侑ちゃんの答えだよ」

侑「………!」

歩夢「色んなことを考えたんだよね」

歩夢「侑ちゃんがしずくちゃんのこと、演劇部のこと、たくさん考えてたの知ってるもの」

歩夢「かすみちゃん達とのことがあって、それなのにまだ諦めなかったから、きっと本気なんだなってわかってたよ」

歩夢「それで、今日、しずくちゃんの演劇を観て、大きな決断があったんでしょ」

歩夢「色んなことを、考えたんだってわかるよ」

歩夢「その上で侑ちゃんが選んだ答えは、間違いにはならないよ。ううん、間違いだって思っちゃいけないの」

歩夢「その決断を、侑ちゃんだけは信じてあげなくちゃ」

侑「…………そう、…だよね…」

735 :>>1 :2020/12/18(金) 09:16:51.11 ID:CR3WMUkV.net
私は、ひどい奴だ。

応援するって言った。

約束もたくさんした。

それなのに、たった一回きりの大切な決断を、しなかった。

しずくちゃんのことは好きだった。

だったじゃない、大好きだ。

でも、それ以上に──


歩夢「それに、侑ちゃんのその決断を信じるのは、侑ちゃんだけじゃないよ」

歩夢「私も一緒に信じるもん」

歩夢「だから、たくさん泣いたら──明日は笑おうね」ニコッ

侑「…うん」


歩夢と話しました! ▼

736 :>>1 :2020/12/18(金) 09:18:17.10 ID:CR3WMUkV.net
今朝はここで。
もう残り長くないので、ひとまず止まらずに最後まで駆け抜けます
ifは完結後に要望が多ければ検討します

737 :名無しで叶える物語:2020/12/18(金) 09:24:45.78 ID:cI/x1D78.net
これからは今回みたいな重要な選択肢はもうないよね?
歩夢√望んでる人があの選択肢を選んだのならだったらいいけどただの逆張り野郎なら次の重要な選択肢で歩夢を裏切る選択肢にしそうで不安
なんならこの選択肢を選んだことに不満を持ってる人もそういうことやりそうだし

738 :名無しで叶える物語:2020/12/18(金) 09:34:22.64 ID:rvBIgKAo.net
誰かを選ぶのは仕方ないけど、ここまで好感度上げたらどっちのルートも見たいわがまま

739 :名無しで叶える物語:2020/12/18(金) 09:46:48.03 ID:qLcW/2Iq.net
おつです
私がバカなんかも知らんけど、侑が何考えてるのか全くわからん
歩夢を理由に逃げただけでは?

740 :名無しで叶える物語:2020/12/18(金) 09:57:03.95 ID:pJSH3Gq6.net
おつおつ
しずく推しには悪いけどこういう切ない展開は読み物として好き

741 :名無しで叶える物語:2020/12/18(金) 11:05:13.49 ID:g1hf7RtA.net
今日も更新ありがとう!
昨日ちゃんと読みに来れなくて今追いついた。

安価のタイミングと約束を破ってしまった件、
今の時点では恐らくしずくと歩夢の好感度レベル的なのが共にもう結ばれてもおかしくないくらいまで達してるのははっきりしてるけど、しずくは先に達したけれどしずく√EDに繋がる重大イベントは演劇部の公演後に発生するっていう元々の時期的制約があって、その待機期間にあたる時期中に歩夢も遅れてそのレベルに達したからあのタイミングで読者にどっち√行くか委ねてくれたんだと自分は解釈してる。
物語中でも侑としてはしずくが公演後に大切な話があるから来てくださいって言われた時点で察してたようだったし、しずく自身も“そういうつもり”なの前面に出してたから、約束通り会いに行くこと自体がもう“返事”になり得るんだと侑は考えてるんだと思った。今回選ばれた分岐では侑にとってしずくより歩夢が大切だから、しずくにすぐ会いにいかなかったのは不自然ではないと自分は感じたよ。

742 :名無しで叶える物語:2020/12/18(金) 11:07:43.85 ID:g1hf7RtA.net
胸が締め付けられるような心地を味わったのは確かだけど笑、それ程本当に面白くて惹きこまれるSSだからで、こういう感傷含め楽しませて頂いてます!いつもありがとう。このSSは自分にとって日々の大きな楽しみのひとつです。

でも後で他の√書いてくれるのなら勿論全力でお願いしたい!笑 特にしずくと菜々希望です…。

クソ長文でお目汚しして申し訳ない。
とにかく>>1の思うままに創作してくれたら幸いという思いです!

743 :>>1 :2020/12/18(金) 19:19:58.45 ID:zgrCuULF.net
今晩は更新できなさそうです
明日も怪しく、明後日か月曜日になるかもしれません

744 :名無しで叶える物語:2020/12/18(金) 19:21:06.23 ID:pJSH3Gq6.net
保守はまかせろー(バリバリ)

745 :名無しで叶える物語:2020/12/19(土) 07:00:23.93 ID:dAFDAOUd.net
楽しみ

746 :名無しで叶える物語:2020/12/19(土) 13:41:59.26 ID:TcfzISTM.net
保守

747 :名無しで叶える物語:2020/12/19(土) 19:55:30.94 ID:zuRy6O0e.net
保守保守

748 :名無しで叶える物語:2020/12/19(土) 22:44:04.54 ID:XIc7pIN1.net
保守

749 :名無しで叶える物語:2020/12/20(日) 09:24:14.72 ID:5Fr9QrD8.net
ぽしゅ

750 :名無しで叶える物語:2020/12/20(日) 17:27:07.89 ID:GbxH7DcB.net
しゅ

751 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 01:22:20.29 ID:Sdmusxfg.net
ほし

752 :>>1 :2020/12/21(月) 07:58:28.03 ID:fYxiZD39.net
翌朝…





朝を告げる音。

いつか、歌って聞かせてくれたんだったと思う。

あれはいつのことだったっけな。

そう、確か──


侑「ふぁぁ…」トコ…


ガラッ


侑「おはよう、歩夢」

歩夢「おはよう、侑ちゃん」

753 :>>1 :2020/12/21(月) 08:03:33.80 ID:fYxiZD39.net
歩夢「すっきり晴れてよかったね」

侑「ね。今日も中庭でお昼ごはん食べられそう」

歩夢「もう、侑ちゃんってばいつもごはんのこと考えてるんだから」

侑「そんなことないよ。他にもほら、えっとー…現代文今日から新しい物語だなー、とか」

歩夢「そうだね」

侑「ね?」

歩夢「今日は現代文ないけどね」

侑「あれ?」

歩夢「うふふ。もう一回時間割確認しておかなくちゃだめだからね」

侑「はーい」

歩夢「それじゃまた後でね」スイッ

754 :>>1 :2020/12/21(月) 08:09:06.91 ID:fYxiZD39.net
侑「お母さん、おはよう〜…」コソ

高咲母「おはよう、侑」

高咲母 ジッ

侑「…」

高咲母「うん、今日も可愛いわよ」

侑「もう気にならない?」

高咲母「うん」


くい、と目元を拭ってくれる。


高咲母「顔を洗ってきなさい。それでもう涙はみんな流れちゃうからね」

侑「…うん」

高咲母「目玉焼き食べる人?」

侑「二枚!」ニコッ

755 :>>1 :2020/12/21(月) 08:15:45.16 ID:fYxiZD39.net
寝間着を脱いで、制服を着て。

紐タイを結んで、髪を結って。

歩夢の音で目を覚まして、お母さんのごはんを食べて、歯も磨いたしリップだって塗った。

今日もまた、私の一日が始まる。

一緒に朝を迎えるのは昔からずっと変わらない、大切な──


侑「…あっやば、教科書入れ替えなきゃ!」ハッ


月曜のげは現代文のげ!

ちょうど一年前に歩夢が笑いながら教えてくれた覚え方が、まさか二年になってあだになるなんてね。

大慌てで支度する私は、今日もこうして歩夢を待たせる。

756 :>>1 :2020/12/21(月) 08:21:12.23 ID:fYxiZD39.net
侑「お待たせ〜」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


ずっと続いてきた私達の朝。

歩夢は少しだけオトナっぽくなった。

それは髪型のせいかもしれないし、…私の気持ちのせいかもしれない。

歩夢の目に映る私はどうだろう。

昨日よりも、背は高く見えますか?


歩夢「侑ちゃん」ジッ

侑「な、なに?」

757 :>>1 :2020/12/21(月) 08:26:09.82 ID:fYxiZD39.net
歩夢 スッ…


ツン


歩夢「リップ、お鼻の頭にちょっとついてるよ」

侑「…へ」

歩夢「もう、どうしたらそんなことになるのか全然わかんないよ」クス

侑「あ、あはは…なんだろうね。たまになるよね」

歩夢「ならないよ。…ねえ、覚えてる?侑ちゃんが十一歳のときの誕生日、うちで一緒にパーティやったじゃない?あのとき侑ちゃん、『誕生日にチョコレートのケーキなの初めて!』ってすっごくはしゃいでて──」

侑「気づいたら、おでこにチョコホイップつけてたんだよね」

歩夢「だね」ニコッ

758 :>>1 :2020/12/21(月) 08:36:05.85 ID:fYxiZD39.net
侑「私、あんまり成長してないなぁ」

歩夢「ふふっ、そうだね」

侑「あー、認めた!そこは嘘でも否定してほしかったなぁ」

歩夢「侑ちゃんに嘘をつける私じゃないのでー」

侑「そういうことじゃないよ〜」

歩夢「でもね、私だってあんまり成長してないよ」

侑「ええ、そう?歩夢はいつも頑張ってるし、毎日すごいなぁって思うよ」

歩夢「そう見える?」

侑「見えるよ。まだ弱くて子どものままの私を、いつも支えてくれたり引っ張ってくれたりするもん」

歩夢「だったらそういうことなんじゃないかな」

侑「え、どういうこと?」

歩夢「侑ちゃんがいるから私は成長してるってこと」

759 :>>1 :2020/12/21(月) 08:43:13.86 ID:fYxiZD39.net
歩夢「私、一人じゃなんにもできないよ」

歩夢「臆病で、泣き虫で、進む道だって決められないの」

歩夢「でも、少しだけ先に侑ちゃんがいてくれるから、もう一歩、もう一歩だけ、って踏み出せる」

歩夢「侑ちゃんが転びそうになったら走れるし、悩んでうずくまってたら駆け寄れる。侑ちゃんと一緒に進みたい道だったら、私は一秒も迷わずに決められるの」

歩夢「昔からあんまり成長してない私達かもしれないけど、それって少しは成長してるってことでしょ?小さな一歩も、二人で歩めば二歩だよ」

760 :>>1 :2020/12/21(月) 08:53:44.63 ID:fYxiZD39.net
歩夢「もし、侑ちゃんが色んなこと考えてもうわかんないってなったときには、私が前を歩くから。私が立ち止まっちゃったら、侑ちゃんが手を引いてくれるでしょ?」

侑「…もちろん!」

歩夢 ニコッ

歩夢「私達、これからもきっとたくさん悩んだり迷ったりすると思う」

歩夢「そんなときは、私のことを思って進んでほしい。私と二人でいる明日のために」

歩夢「そうすれば私達、いつまでも、なにがあっても、ずっとお互いの一番同士でいられるはずだから」

侑「そうだね」

761 :>>1 :2020/12/21(月) 09:04:13.14 ID:fYxiZD39.net
侑「歩夢」スッ

歩夢「うん」


私より少し体温が低くて、細い指。

ずっと、ずっと、私の隣にいてくれた人。

これからもそうであってほしいし、そうあれる私でいたい。

選んだ道を、私は──歩夢と一緒に信じて進む。

どれだけ迷っても、悩んでも、またこの手を繋ぐ。

それだけ心に決めておけば、きっと私は大丈夫だ。


侑「ねえ、歩夢」

歩夢「なに?侑ちゃん」

侑「今日は、どこでお昼ごはん食べよっか──!」


【ギャルゲ風安価SS】侑「また一年が始まる」 ―終わり―

762 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 09:06:15.57 ID:YXkQSNXZ.net


ノーマルエンド、かな?
歩夢や菜々は好感度が足りなかったからフラグを建てなかったのか...

763 :>>1 :2020/12/21(月) 09:09:26.36 ID:fYxiZD39.net
概ね二ヶ月間にわたり、ご支援いただきありがとうございました
賛否あるとは思いますが、このSSの本編としては以上で完結となります。

【ノーマルエンド】

です。
一応完結したのであまり長々と居座るつもりはないのですが、消化不良だという声はあると思うので、ご要望があれば可能な範囲で書きます

お疲れ様でした

764 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 09:18:26.84 ID:YXkQSNXZ.net
しずくルートに入った上でフラグを折ったからかなぁ
...やっぱりと言うか何というかあそこの安価が戦犯になっちゃったかぁ(取った人には失礼になっちゃうけど)

歩夢や菜々の√に分岐しなかったのは好感度不足かフラグ建築不足なのかな?

765 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 09:23:15.15 ID:LW3wZPVM.net
他の人の√に入ってフラグ折ると次点のキャラの好感度が高くても強制的にノーマルエンドなんじゃない?
個人的には他のルート観たいけどわざとフラグ折る安価選ぶ奴がいるならここで終わってもいいのかも
どのルートに進んでも結局はフラグ折られて今回のノーマルにしか行かないんだし

766 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 09:32:45.71 ID:zYemxmmR.net

1が書く他の分岐もやっぱり気になるところ。

767 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 09:41:43.84 ID:Fml3WBll.net
お疲れ様です
しずく√と同好会のライブイベント見たいです

768 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 09:45:37.57 ID:2hZQc4Cd.net
乙です
登場人物全員が可愛くて毎日楽しみに見てました
素晴らしいSSに感謝です

個人的にはやっぱりあそこでしずくに会いに行く√が見たいです

769 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 09:47:26.99 ID:vOuZ6Vvd.net
おつおつ、楽しかったわ
しかし√入ってたならなぜあそこ安価にしたのか

770 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 09:54:06.92 ID:ITZ6cSqs.net
おつ
消化不良感あるのでしずく√見たいです

771 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 09:54:36.03 ID:Rczbo1HF.net
乙です
アニメとは違う設定の虹ヶ咲が見れてとても面白かったです
出来れば2周目も見たいところ

772 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 09:55:23.22 ID:eH9/dxIf.net
お願いします
>>664でしずくの元へ行った分岐を書いてください
素晴らしいSSなのに圧倒的に消化不良すぎるので

773 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 10:02:20.97 ID:rp+46DSC.net
まずは完結お疲れ様、そしてありがとう!
本当に自分の感動とかうまく言い表せなくて歯痒いくらいなんだけれど。
いつも当たり前のようにさらっと書いてくれてた朝パート昼パート放課後パート始まる時の侑モノローグも含め大好きだった。>>1のキャラへの理解や愛がすごい伝わってきた。
毎日ワクワクしながらこのスレを覗くのが日課になってた。
ほぼ毎日決まったペースで、しかも安価に合わせてなのに大ボリュームで安定して書いてくれるのすごく大変だろうに続けてくれて有り難い限りだった。
時間も頭も沢山使うだろうに本当にありがとう。

774 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 10:02:48.14 ID:rp+46DSC.net
こんなに良くしてもらったのだからまず一息ついてほしいという思いもありつつ、やっぱりまだまだ読みたいのでリクエストもさせて頂きますね。

個人的には>>664で「1.しずくの元へ行く」を選んだ場合のifかつしずくendはすごく読みたい。

加えて、もう少し受け付けてくれるというのなら、
>>664で「1.しずくの元へ行く」を選んだ場合にしずくend直行じゃないのなら、同好会のライブを観る日まではまたSS楽しみたい。そしてあわよくば菜々end読みたいです。

ただ、リクエストは出したけど自分達は読者“様”ではないので、>>1が可能かつ書いてもいいなと思える範囲で!書くって言ってくれたけど、これで終了でも構いません。

775 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 10:03:02.68 ID:Fml3WBll.net
二週目も出来ればして欲しいです…
ここのキャラみんな可愛いのでもっと見ていたい

776 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 10:04:47.26 ID:mpqTT01k.net
やっぱ見てぇよなぁ

777 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 11:21:10.11 ID:s9M1+vsC.net

雰囲気も良くて面白かったです

778 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 14:11:02.53 ID:C4wwO4lt.net
乙でした
もう散々言われてるけど登場人物がみんなイキイキしてて読んでて楽しかったし、高咲家がかわいくて好きでした。

779 :>>1 :2020/12/21(月) 15:15:22.46 ID:fYxiZD39.net
たくさんの声をありがとうございます、
際限がなくなるので次スレに移行しないという範囲で書けるものを書きます
まずはしずくルートのEDでしょうかね

780 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 15:42:02.59 ID:fbTpYEiJ.net
とりあえず好感度高めのしずくと菜々?せつ菜?ルートは見たい

781 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 16:28:27.27 ID:xx98tmdM.net
しずくifに期待

ちなみに>>664はエンディング分岐確定ですか?もしくはそこから別√に入る可能性はありましたか?

782 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 16:52:51.29 ID:Z7ZBdPCl.net
誰かも言ってたけど、この先も安価があるなら重要な安価は多数決で選べるようにしてくれると非常にありがたい

783 :>>1 :2020/12/21(月) 17:12:12.40 ID:fYxiZD39.net
>>781
確定です
この後にはエンディングしかありません

784 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 17:15:26.64 ID:wd23yWrx.net
菜奈ルート、逝く

785 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 17:53:01.88 ID:C3ff/R5e.net
どこでしずくエンド確定したんだろう?

786 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 18:36:11.61 ID:cjbWxUza.net
1愛してる

787 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 19:00:20.76 ID:IlUKwfEA.net
ひとまず、お疲れ様でした

誰に対する文句でも何でもないが
あそこでの選択に未だもにょらされてて、だからこそ、それほどにすごいssだったんだなぁと感じさせられたな、と
およそ2ヶ月間、ありがとうございました。残りも楽しみにしています

長文を重ねて申し訳ないのですが
一点、希望をば。余裕があればの回答でお願いしたいんですけど
結局、侑ちゃんの親の仕事って何だったんでしょうか…? (見落としてるだけだったらごめんなさい)

788 :>>1 :2020/12/21(月) 19:16:56.97 ID:cFsexyg0.net
やがて、下りた幕が上がって役者の皆さんが揃って挨拶をする。

もう一度大きな拍手が送られて、今度こそ『名誉の涙』は終わりを迎えた。 

今すぐ走り出したい。

一番に駆けつけるって約束したんだ。

余韻の鎖に縛られたみたいに重い足を踏み出す。

会いたい──

会いたい──

しずくちゃんに、会いたい──


──侑「歩夢」

──侑「私はずっと、歩夢の一番傍にいるからね」 


侑「………っ!」

789 :>>1 :2020/12/21(月) 19:20:05.60 ID:cFsexyg0.net
歩夢。

私の大切な幼馴染み。

大切で特別な、お互いにたった一人きりの相手。

ずっと支えられてきた。

ずっと頼りっ放しだった。

気づいてないだけで、きっと私も歩夢に同じだけのものを返してきたんだよね。

私達、二人で一つって言っていいくらいの関係だと思う。

思うんだ。

歩夢が傍にいない未来を私は思い描けないし、きっと歩夢もそうだよね。

790 :>>1 :2020/12/21(月) 19:25:22.84 ID:cFsexyg0.net
友達が百人できたって、

恋人ができたって、

家族ができて、子どもができて。

夢が見つかって別々の進路に向かったって、

いつしかお互いの道で連絡を取らなくなったって。

歩夢。

あなたは私の一番大切な存在だよ。

膝を抱えてあなたが泣くとき、私は全てを置いて駆けつける。

私が光を見失ったとき、きっとあなたがそうしてくれるようにね。

信じてるんだ、私は私達の絆を。

だから、今だけは──


侑「すみません、前通ります!」タタッ


抱き締めたい人がいるんだ。

791 :>>1 :2020/12/21(月) 19:29:10.11 ID:cFsexyg0.net
どこだろう。

講堂の舞台、脇に控え室があったと思う。


会いたい──


そこかな。

ろくに音も遮ってくれなさそうな薄い扉があるだけの、なんにもない部屋だったような気がするけど。


会いたい──


終わったばっかりじゃ、他の部員の人とかみんないるかもしれないな。

突然部外者が訪ねてきたら驚かせちゃうかも。

…別に、いっか。


だって私──なによりも大事な約束があるから!

792 :>>1 :2020/12/21(月) 19:32:50.90 ID:cFsexyg0.net
侑「…………はっ!」タンッ


『ステージ控え室』


ぼろぼろのプレート。

窓から明かりと興奮気味の談笑が漏れる、薄い木製扉の前。


侑「はぁ……はぁ………っ」


時代を飛んじゃったのかと思った。

物語で見るような欧風の服、さっぱりと整えられた髪。

腰には剣を携えてもおかしくないような革ベルト。


美しい革命家の女が、横たわっていた。

793 :>>1 :2020/12/21(月) 19:34:56.91 ID:cFsexyg0.net
侑「…!」タタタ…


駆け寄って、膝を付く。


侑「し  スッ


温かい人差し指が、私の言葉を遮った。


「やっと………会えた、のね」


侑「────……!」

794 :>>1 :2020/12/21(月) 19:43:49.19 ID:cFsexyg0.net
侑 スゥ…

侑 ハァ…

侑 ────


「もう、来てしまったのかい。随分と早かったね」

「…ええ。貴方に会いたくて、急いでしまったの」

「キミは昔からせっかちだね」

「貴方が、のんびり屋だから。…代わりです」

「そうか。そうだね」

「私の、最期を…見てくれた……?」

「ああ、もちろん。見たよ。とても格好よかった。誇りに思うよ」

「……嬉しい。離れている間、とても…寂しかった。怖くて、苦しくて、貴方に触れたいと…毎夜手を伸ばしては、空を掻きました」

「こんな手で、いいかな」キュ

「…この手がいいの。大好きな…貴方の、手」

「二度と離さない、そう誓うよ。別々に進んでしまった物語を、今また一緒に紡ぎ始めよう。ここからが、僕達の物語の新たな幕開けだよ」

「…………たくさん、待たせて、…ごめんね」

「平気だよ。僕は、のんびり屋だからね──」ナデ…

795 :>>1 :2020/12/21(月) 19:52:25.35 ID:cFsexyg0.net
しずく「……侑先輩」スッ

侑「……しずくちゃん」

しずく「えへへ。ありがとうございます、付き合ってくださって」

侑「もう、こういうことやるならやるって言ってよ。倒れてるからびっくりしたよ」

しずく「アドリブとは思えませんでしたよ。先輩、演劇部に入って役者をやる気はありませんか?」

侑「ありません」

しずく「そうですか…」

侑「でも、しずくちゃんの専属マネージャーをやれるんだったら入ってもいいかも」

しずく「…やっぱりだめです。侑先輩、部に入ったらきっとみんなの人気者になってしまいますから」ギュッ

侑「ええ?しずくちゃんが誘ったのになぁ」

796 :>>1 :2020/12/21(月) 19:55:49.43 ID:cFsexyg0.net
侑「これ、衣装でしょ?こんな風に寝転がっちゃっていいの?」

しずく「怒られてしまうかもしれませんね」

侑「とりあえず、ほら、起きよ」グイ

しずく「ぁ…」

侑「ん?」

しずく「…なんだかこの格好、どきどきしますね。まるで、抱きかかえられているみたいです…」//

侑「そ…っ!」

侑「……そういうこと言われると、恥ずかしくなるから…やめてよ……」//

797 :>>1 :2020/12/21(月) 19:59:52.31 ID:cFsexyg0.net
しずく「………」

侑「………」


腕の中に、優しい体温を感じる。

じわり、じわり、温かくなっていく。

すぐ隣からは止まない談笑、少し離れたエントランスからは解放された喧騒が届く。


きゅ、と肩に力が入ったのがわかった。


しずく「侑せんぱい──

侑「しずくちゃん。私ね、しずくちゃんのことが好きだよ」

しずく「──っ…」

798 :>>1 :2020/12/21(月) 20:06:25.44 ID:cFsexyg0.net
侑「演劇に打ち込む真剣な姿がかっこいいって思う」

侑「演劇のことを話す笑顔が可愛いって思う」

侑「ふとした拍子にすぐ演技しちゃうところが、…なんだろうね。大好きだよ」

しずく「…っ、もう…」プイ…

侑「私、しずくちゃんのこと、ずっと傍で応援したいんだ。次はもっと動く役をやって、その次はもっともっと動く役をやって、いつかしずくちゃんが主役の舞台に立つその日まで、ずーーーっと!一番近くで応援してたいんだ」

侑「だめかな?」

しずく「………だめなわけ、ないじゃないですか…」

しずく「どうして侑先輩の方から言っちゃうんですか!」

侑「え?」

しずく「私が!私から!言いたかったのにっ!」ポコッポコッ

侑「あ、いたっ、しずくちゃん、痛くはないけど、ちょっと」アワワ

799 :>>1 :2020/12/21(月) 20:17:12.37 ID:cFsexyg0.net
しずく「私、侑先輩と出会えてよかったです」

しずく「初めての舞台経験、不安なことばっかりでした。でも、いつも先輩が私のことを想ってくださって、傍で支えてくださったから」

しずく「きっと乗り越えられるって、信じてましたよ」

しずく「フリメルダと心を通わせることも、先輩なしには絶対にできませんでした」

しずく「あの日…オーディションの日、愛しい人に触れることができない苦しさを知ることがなければ、私はフリメルダの気持ちを知ることはできなかった。今日の舞台に立つことはなかったと思います」

しずく「それに、昨日。あのお返事が、私にフリメルダの抱える全てを理解させてくれました」

しずく「私の方こそお願いします」ギュ…

しずく「もう、この手を離さないでください。次の舞台に立つときも、その次も、主役としての人生を全うしたその後にも──決して、離さないでほしいんです」

しずく「…だめ、ですか?」

侑「だめなわけ、ないじゃん」ポン

800 :>>1 :2020/12/21(月) 20:23:57.10 ID:cFsexyg0.net
侑「私ね、やりたいことって今までなかったけど、やっとできたんだ」

侑「聞いてくれる?」

しずく「ぜひ、聞かせてください」

侑「──しずくちゃんの夢を応援すること」

侑「夢を追いかけるしずくちゃんを応援できたら、私も、きっとなにかが始まる。そんな気がするから」

侑「世界一の大女優になって、しずくちゃん。その隣に、私をいさせて」

しずく「…世界一の大女優になった後は、どこかへ行ってしまうんですか?」

侑「…まさか」フル…


侑「その後は、私だけのヒロインになってもらうんだよ!」

しずく「──はいっ♡」


【ギャルゲ風安価SS】侑「また一年が始まる」 ―終わり―

【しずくエンド】

801 :>>1 :2020/12/21(月) 20:29:15.60 ID:cFsexyg0.net
当然この一週間後には同好会ライブの予定日を迎えますが、現状しずくエンドとは直接の関係がないので描写は省略します

本日の更新は以上です、
明日からは菜々ルートを書いてみますが、スレの残数の兼ね合いがあるので日常のルートと直接関係がないパートは省くかもしれません
(どのくらいかかるかわからないのですが、恐らくルート進行イベントだけを書いてもギリギリだと思います)

802 :>>1 :2020/12/21(月) 20:32:55.65 ID:cFsexyg0.net
>>787
本編に記載はしていないと思います、
どんな風に話が進んだとしてもルートやエンディングに影響を与えることは恐らく一切ありませんが、高咲父はガス会社勤めの設定で書いていました
漏洩通報に対して出動する緊急班の部署です

803 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 20:38:07.10 ID:Fml3WBll.net
これが見たかったんだ…!
ありがとうございました!!

804 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 20:38:48.91 ID:rp+46DSC.net
本当に本当に本当にありがとう
最高だった
スレ残数ギリギリということでレスするか悩んだけどお礼言いたい気持ちが勝ってしまった……
後は完結するまでレス控えるけど、菜々√も超たのしみにしてます!感謝

805 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 20:39:10.48 ID:LW3wZPVM.net
お疲れ様です!
菜々編も楽しみです

806 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 23:02:08.44 ID:93dqnSAR.net
乙、綺麗なしず子が見れて本当よかった。

807 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 23:09:27.27 ID:47cFXgwj.net

欲を言えば同好会入ったルートも見てみたいな
あそこも大分大きな分岐点だろうし

808 :名無しで叶える物語:2020/12/21(月) 23:37:23.70 ID:8LSThjCV.net
おつです
ついに完結か、すげえなぁ

欲を言えば
気が向いた場合、新スレたてて掌編をぼちぼち書くのとかしていただきものですね…。
個人的には
・スクドル同好会とは別軸で10人集まる話
・愛と連絡先交換する話
・エマと改めて仲良くなる話
・栞子と仲良くなる話
あたりを、一応、希望として挙げさせていただきたい…。

809 :名無しで叶える物語:2020/12/22(火) 00:15:03.81 ID:qlJ6imTD.net
しずく√見れてよかった
欲を言えば同好会がどうなったのかも知りたい

810 :名無しで叶える物語:2020/12/22(火) 02:10:13.86 ID:DmqqD73u.net
やっと最新まで追いついた
各キャラの描写が丁寧で本当にすき

しずく√潰れたときはマジで心痛んだからifで書いてくれて本当に救われた…ありがとう…
菜々√も楽しみ

811 :>>1 :2020/12/22(火) 08:35:32.03 ID:ybKBdXbQ.net
侑自身の好感度や関係性の調整上、

しずく…演劇部の見学以降のイベントなし(2スレ目以降の接触描写を全て破棄)
菜々…ここまでの描写通り
歩夢…しずくに会いにいかなかった以降のイベントなし(最終接触 >> 629)

とした上で、5月25日(月)から開始します。
24日(日)は固定イベント演劇部公演がありますが、見学にも行っていないのでそもそも情報を把握しておらず、結果観劇にもいきませんでした。課題でも頑張っていたことにします

また、ルート進行上の重要な選択肢は安価を出さず最適な選択をしたものとして自動進行させます
この他、なにか描写上の矛盾や気になる箇所などあったらお声がけください

812 :>>1 :2020/12/22(火) 08:48:08.09 ID:ybKBdXbQ.net
5月25日(月) 朝…


侑「お待たせ〜」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


一昨日は果林先輩のお部屋で片付けをして、昨日はなんとか一人で課題を終わらせた。

なんだか、人としてしっかりした週末だったかも!


歩夢「はぁぁ…」シュン

侑「よしよし、朝になって思い出しちゃったんだね」

歩夢「みんな、私のこと変な子って思ったかな」

侑「そんなことないって。私だって授業中に寝てたらビクッてなって席から落ちたことあったけど、みんな笑ってくれただけだったじゃん」

歩夢「侑ちゃんはそういうキャラだから平気だったかもしれないけど〜…」

侑「あはは。……え、私そういうキャラなの?」

歩夢「はあ。教室に行くのが憂鬱だよ…」

813 :>>1 :2020/12/22(火) 08:53:00.52 ID:ybKBdXbQ.net
教室


優花「ああ、あったねそんなこと」ケロッ

歩夢「えっ」

香「なにー?」

優花「金曜の帰りさ、歩夢が大きな声出したんだよ。香はもう部活行ってたから聞いてないと思うけど」

香「そうだったんだ。侑ちゃんと話してたの?」

歩夢「そう、だけど」

香「じゃー痴話喧嘩でしょ」

優花「どうせ侑が変なこと言って怒らせたんだよね」

侑「そ、そんなんじゃないよ!…とは、ちょっと言いづらいけど…」

優花「ほらね。歩夢が大きな声出すなんて侑のことしか有り得ないし、侑のことなら有り得るし。誰も気にしてないでしょ」

ゆうぽむ「「そ、そうなんだ…」」ポカン…

814 :>>1 :2020/12/22(火) 08:57:52.05 ID:ybKBdXbQ.net
お昼休み…


あれから他のクラスメイトにも謝ったけど、みんなだいたい似たような反応だった。

心配したほど問題視されてなくてよかったと思う反面、歩夢と私が周りからどう思われてるのか…

ちょっと不安になってきたなぁ。

でもみんないつも通り歩夢にも私にも接してくれるし、ほんとになんとも思ってないみたい…


侑「…まあ、みんなが気にしてないなら、いっか…」

815 :>>1 :2020/12/22(火) 09:01:02.11 ID:ybKBdXbQ.net
歩夢「侑ちゃん、お昼ごはん食べよう」

侑「中庭行く?」

歩夢「うん…」

歩夢「ううん、教室で食べよ。優花ちゃん達と」

侑「だね。そうしよっか」

侑「優花、お昼一緒に食べようよ」

優花「お。賛成〜」

香「やったー」トトト

816 :>>1 :2020/12/22(火) 09:07:11.41 ID:ybKBdXbQ.net
「「「いただきます」」」

侑「香のお弁当、なんかすごく豪華だね」

香「いーでしょー。弟が遠足だからママが張り切って作ってくれたんだよ」

歩夢「へー、遠足。どこに行くの?」

香「葛西の水族館だって。『中学で水族館とかガキかよ』って言ってたけど、昨日めっちゃ魚の雑学とか調べてたんだよ」

侑「うわあ、可愛いね」

香「生意気盛りだけどねー」

優花「遠足なら台場の海でいいのにな。そしたら放課後遊んであげるのに」

侑「優花みたいなのに絡まれたら中学生怖くて泣いちゃうよ」

優花「なんだとー!?」

817 :>>1 :2020/12/22(火) 09:16:14.11 ID:ybKBdXbQ.net
香「そういえば、石倉ちゃん転科試験受けるかもなんだって」

侑「転科試験?ってなに?」

歩夢「他の学科に移るための試験だよ。入学式で説明されたでしょ」

侑「そんな昔のこと覚えてないよ〜」

優花「いつ?」

香「夏休み明けだって。試験に向けて勉強しなきゃーって言ってたよ」

侑「転科試験って難しいの?」

歩夢「難しいみたいだよ。学科別入試のレベルと、転科時期までに習う範囲が加わるから、範囲も広いんだって」

侑「うへ〜」

優花「専門学校に途中で入るみたいなものだもんな。侑とか私には無理だなー」

侑「なんで巻き込むの!?私はいけるよ!」

優花「歩夢とクラス離れても勉強ついていける?」

侑「………」

香「黙っちゃうんだ」

818 :>>1 :2020/12/22(火) 09:20:54.05 ID:ybKBdXbQ.net
優花「でもそんな試験受けるほどやりたいことが見つかるってすごいかもな」

歩夢「そうだね。入学してからこれまでの間にそういう気持ちになったってことだもんね」

香「なにがきっかけなんだろ。選択授業かな?」

優花「後で聞いてみよ」

香「うんー」


…そういえば、優花も私のこと名前で呼ぶんだ。

果林先輩、愛ちゃん、それに優花。

そのくらいかな。

やっぱり、呼び捨て自体がどうこうってことじゃなくて、関係性が変わったんじゃないかってことが気になったんだよね。

819 :>>1 :2020/12/22(火) 09:26:00.69 ID:ybKBdXbQ.net
──菜々「侑」


正直、嬉しかった。

菜々ちゃんの交友関係は全然知らないけど、呼び捨てをする友達はいないって言ってたし、


──菜々「かすみさんやエマさんのファンだと言ってくれたのだと聞いています」


下級生にも上級生にもきっと態度はほとんど変わらないんだと思う。

そんな中、私にだけくれた、呼び捨て。

お母さんが煽ったのがきっかけっていうのは引っかかるけど、でもその事実は本当のことだもん。

820 :>>1 :2020/12/22(火) 09:28:27.84 ID:ybKBdXbQ.net
例えば、例えばだけど。


──侑「菜々」


侑「…っ」


これは、結構照れるぞ…

歩夢も優花も香も呼び捨てなのに、一度定着した呼び方を変えるのって精神力を使うんだな。

…それを乗り越えようとしてくれてるんだ、菜々ちゃんは。

もっと仲良くなりたいなぁ。

821 :>>1 :2020/12/22(火) 09:31:25.86 ID:ybKBdXbQ.net
歩夢「侑ちゃん?」

侑 ハッ

侑「うん、なに?」

歩夢「もー、月曜日からぼーっとして。話聞いてなかったでしょ」プクー

侑「ご、ごめん」ハハ…

香「あーあー、学ばないなー侑ちゃんは」

優花「ねー。今日も歩夢が大きな声出すかもなー」

歩夢「だ、出さないも〜んっ!」


クラスメイトとお昼ごはんを食べました! ▼

822 :>>1 :2020/12/22(火) 09:32:14.21 ID:ybKBdXbQ.net
今朝はここまでです。
今晩は遅くなるか、更新できないかもしれません

823 :名無しで叶える物語:2020/12/22(火) 20:50:56.59 ID:9oytojZq.net
おつです
ありがとう

824 :名無しで叶える物語:2020/12/22(火) 22:48:33.41 ID:qlJ6imTD.net
保守

825 :>>1 :2020/12/23(水) 08:07:01.10 ID:Ej2F6ea/.net
放課後…


侑「歩夢、はんぺんの様子見にいかない?」

歩夢「いいよ。今日もかすみちゃん達お昼ごはんあげたのかな」


かすみんに連絡してみる?

でも今日はあげてなかったとしたら、責めるみたいになっちゃうかな。

厚意で持ってきてくれてるんだもん、それはよくないよね。


侑「どうだろう。購買覗いてパンでも買っていこっか」

歩夢「まだ残ってるといいね」

侑「だねー。早い日はお昼休みのうちに売り切れちゃったりするもんね」

歩夢「生徒が多いからね」

826 :>>1 :2020/12/23(水) 08:11:45.75 ID:Ej2F6ea/.net
中庭


侑「やっぱりかすみんのとこに寄ってコッペパンの余りがないか聞いたらよかったかなぁ」トボトボ…

歩夢「そしたらはんぺんちゃんにあげた残りは侑ちゃんが食べられたのにね」

侑「うん、最近かすみんのコッペパン不足ー……って違うよ、そんなこと考えてないもん!」

歩夢「うふふ。どうかな〜」

侑「もー、歩夢のいじわるー」

歩夢「…あれ?あそこ、誰かいるよ」

侑「え?璃奈ちゃんとか?」

歩夢「ううん、……あれは…」

827 :>>1 :2020/12/23(水) 08:15:12.95 ID:Ej2F6ea/.net
侑「菜々ちゃん!」

菜々「!」

菜々「侑。それに歩夢さんも」

歩夢「…こんにちは、菜々ちゃん」

侑「珍しいね、中庭で会うなんて。生徒会のお仕事?」

菜々「いえ、お仕事ではありませんが…その…」サッ

侑「? それなに?」

菜々「…ぱ、パンです」

侑「パン?」

菜々「お昼休みに買ったのですが、余ったので、お弁当を持ってきていましたし、食べ損ねて、せっかくなら…その……」ゴニョ

侑「菜々ちゃん、パン余ってるの!?」パァ

菜々「え?ええ、はい、まあ…」

侑「それ、貰ってもいいかな!?」

828 :>>1 :2020/12/23(水) 08:19:03.96 ID:Ej2F6ea/.net
侑「はんぺん、いるか〜?」ヒョコ

はんぺん zzz...

侑「いたけど寝てるや」

歩夢「残念だったね、侑ちゃん」

侑「こんなに近づいても起きないなんて、のんびり屋だなぁ」

歩夢「起こしちゃうから撫でちゃだめだよ」

侑「わかってるってば。…璃奈ちゃんだったら起こさずに撫でられたりするのかな」

歩夢「かもしれないね」

菜々 ジーッ

侑「菜々ちゃんももっと近くにおいでよ。はんぺんがこうしていられるのは菜々ちゃんのおかげなんだから」

菜々「は、はい。それでは」オズ…

829 :>>1 :2020/12/23(水) 08:23:09.92 ID:Ej2F6ea/.net
菜々「白い、ですね」ジ…

侑「…ぷっ」

菜々「!?」

菜々「な、なぜ笑うんですか!?」

侑「だって、そんなにまじめな表情で『白いですね』なんて言うんだもん。白猫なんだから当然だよ」ククッ…

菜々「し、白猫なのだから白いという感想が出るのは当然でしょう!?」//

侑「いや、そう、そうなんだけど。くっ…なんだか、面白くて…」プルプル…

菜々「そんなに笑わないでください!」

歩夢「侑ちゃん、一度笑い始めるとしばらくこうだから、放っといていいよ」

菜々「むぅ…釈然としませんが…」

830 :>>1 :2020/12/23(水) 08:27:54.09 ID:Ej2F6ea/.net
侑「はぁ……はぁ……」

歩夢「やっと落ち着いた?」

侑「うん…」

菜々「忘れませんからね、このこと」キッ

侑「お、怒らないでってば〜…」

歩夢「侑ちゃん、パンどうしよっか?」

侑「そうだね。ちぎって置いといたら食べるかな」

歩夢「食べてくれると思うよ。…あ、でも他の野良猫とかに取られたりしちゃうかな」

侑「あー…あるかなぁ…」

菜々「…恐らくですが、敷地内に他に野良猫はいないと思いますよ」

侑「え、そう?」

菜々「はい。ここ一週間、はんぺんちゃん以外に猫は見かけてませんから」

侑「そっか!」

831 :>>1 :2020/12/23(水) 08:32:44.46 ID:Ej2F6ea/.net
侑「菜々ちゃんがそう言うなら間違いないよね。少し多めに置いといてあげよーっと」ブチ

歩夢「二つか三つに分けておいたら?」

侑「今日の夜ごはんと明日も食べられるように?ナイスアイディア、歩夢!」ブチ…


パン
パン はんぺん zzz...
パン


侑「なんだか捧げ物みたいになったね」

歩夢「あながち間違ってもないんじゃない?」フフッ

菜々「残ったパンはどうしましょうか」

侑「あ…」

歩夢「侑ちゃんが食べるのでご心配なく」

菜々「た、食べるんですか。はんぺんちゃんにあげた残りを」

侑「だ…だって!食べなくちゃもったいないよ!」アセ

832 :>>1 :2020/12/23(水) 08:38:43.92 ID:Ej2F6ea/.net
菜々「元々私が買ったものですし、持って帰りましょうか」

侑「菜々ちゃん、食べる?」

菜々「食べ…ま、す。夕飯に支障を来たすといけないので今は食べませんが、勉強中にでも、コーヒーのお供に」

侑「あんまりパン食べないんだったよね?お弁当もあったのに買っちゃうなんて、よっぽど食べたかったんだよね」

菜々 ギクッ

菜々「そ、それは…」

侑「はんぺんにあげたかっただけだから、返すよ。少しちぎっちゃったけど」エヘヘ

菜々「あ、ありがとうございます」

833 :>>1 :2020/12/23(水) 08:42:13.59 ID:Ej2F6ea/.net
侑「はんぺんも起きないし、そろそろ帰ろっか」

歩夢「そうだね。あんまり賑やかにして起こしちゃうと可哀想だもの」

侑「起きて撫でさせてくれてもいいんだけどな」

歩夢「侑ちゃんにはまだ早いよ」

侑「ちぇ〜」

はんぺん zzz...

侑「私達からのパンだよって、書き置きしとこう」ゴソ

歩夢「ええ?はんぺんちゃんに?」

侑「そ!少しでも懐いてほしいじゃん」カキカキ…

菜々「…?」チラッ

歩夢「たまにこういうよくわからないことをする子なの…」

菜々「そうみたいですね…」

834 :>>1 :2020/12/23(水) 08:47:00.95 ID:Ej2F6ea/.net
パン『侑』
パン『菜々』 はんぺん zzz...
パン『歩夢』


侑「よし!これで私達からの差し入れだってわかってくれるよね!」ムフー

歩夢「わかってくれるといいね」

菜々「どのパンを食べたかではんぺんちゃんが一番誰に懐いているか、占いみたいですね」クス

侑「!」

侑 スッ…

菜々「侑、なにを?」

歩夢「一番大きなのを自分のにしたみたい」

菜々「そうですか…」

侑「だ、だって菜々ちゃんがそういうこと言うから〜!」


菜々とはんぺんのお世話をしました! ▼

835 :>>1 :2020/12/23(水) 08:56:46.75 ID:Ej2F6ea/.net
翌朝…


侑「お待たせ〜」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


あの後、一緒に帰ろうって誘ったけど、菜々ちゃんには「用事がある」ってことで断られてしまった。

今週末に同好会のライブがあるんだし、たぶんスクールアイドルの練習だよね。

…少しでも順調に進んでくれてるといいな。

でも同好会の活動の前に、なんで中庭にいたんだろう?


歩夢「学校に着いたら、はんぺんちゃんの様子覗いていこっか?」

侑「賛成!私のパン食べてくれてるといいな」

歩夢「大きいからって後回しにされてたりして」

侑「そしたら持ってっちゃうから!」

歩夢「やめなさい」クスクス

836 :>>1 :2020/12/23(水) 09:00:44.37 ID:Ej2F6ea/.net
お昼休み…


結局、はんぺんはみんな食べてた。

パンは一つも残ってなくて、歩夢と「食いしん坊だね」って笑った。

ちょっと嬉しかったのは、私達の名前を書いたノートの切れ端が寝床の奥に持ち込まれてたこと。

わかったのかわかってないのか、なんだかお礼を言われたような感覚になっちゃった。


侑「はんぺんのネームプレートでも作ってあげようかなぁ」


あ、そしたら『飼ってる』ことになっちゃうかな。

難しいや。

837 :>>1 :2020/12/23(水) 09:05:37.97 ID:Ej2F6ea/.net
裏庭


「「いただきます」」

侑「果林先輩いなかったね」

歩夢「あんまり、いつも同じところにいるイメージってないかも」

侑「ちょっと気まぐれそうだもんね。猫みたい」

歩夢「あー。果林先輩に言いつけちゃおーっと」

侑「えっ…ええ!?なんで、悪口言ったんじゃないよ!」

歩夢「だったら果林先輩に話しても問題ないよね」

侑「ん…んん!?あれ、確かに……いやでも待って、なんか私だったら怒られそうな気がする!」

歩夢「ほっぺたぐにーってされるんでしょ」

侑「やだぁぁ…」


歩夢とお昼ごはんを食べました! ▼

838 :>>1 :2020/12/23(水) 09:14:45.78 ID:Ej2F6ea/.net
今朝はこの辺りで。
連日すみませんが、今晩も遅くなるか更新できない可能性があります

839 :名無しで叶える物語:2020/12/23(水) 18:39:23.51 ID:avZ3YrPD.net


840 :>>1 :2020/12/24(木) 07:20:19.91 ID:+nZdnLXw.net
放課後…


私なりに考えてみた。

直接同好会のお手伝いをすることはできなくても、例えば菜々ちゃんと話す機会を増やすことで、なにか心配事にヒントをあげられたりできるんじゃないかって。

あるいは、菜々ちゃんじゃなくて他の部員の誰かでもいいのかも。

でも、ライブ直前のこの時期、練習とかの時間は一秒だって惜しいはずだよね。

うーん…どうしよっかなぁ…


誰かに連絡する? >>841
1.菜々
2.かすみ
3.彼方
4.やめておく

841 :名無しで叶える物語:2020/12/24(木) 07:24:06.75 ID:y1SpUj90.net
3

842 :>>1 :2020/12/24(木) 07:33:59.31 ID:+nZdnLXw.net
菜々ちゃん…も、あれだけはっきり言われた以上、そうそう私に頼ってはくれないよね。

かすみんには積極的に同好会の話を振りづらいし、かと言って自分から話してくれることはないよね。

私から『ファンとして応援したい』って伝えちゃったし、さすがに情けない気持ちもある。

一番気兼ねなく同好会の話をできる相手って、もしかして──


侑 スマスマ…


なんか、連絡しても夜にしか返ってこないみたいなことを誰かが言ってたような気がするけど。

連絡しておく分にはいいよね。

843 :>>1 :2020/12/24(木) 07:45:46.40 ID:+nZdnLXw.net
帰り道


歩夢「今年の水着、もう発売されたんだって」

侑「へー、そうなの?まだ五月なのにね」

歩夢「年々早くなってる感じだよね」

歩夢「ね、侑ちゃん。今年はどんな水着にしよっか」

侑「え〜?それじゃまるで毎年水着買い替えてるみたいじゃん」

歩夢「もう、こういうのはどれにしようかなーって考えてお話しするのが楽しいんじゃない」

侑「あはは、ごめんごめん。そうだなー、歩夢にはフリルがついた可愛いやつ着てほしいかも」

歩夢「侑ちゃんはお揃い?」

侑「私はフリルって柄じゃないからさ。こう、ストーンって繋がったやつ……あ、スク水でいいよ!」

歩夢「いいわけないでしょ。はい、一緒にお買い物に行くことが決まりましたー。一番可愛いの買うことに決定でーす」

侑「え〜〜、いいよ〜〜」


歩夢と帰りました! ▼

844 :>>1 :2020/12/24(木) 07:49:51.68 ID:+nZdnLXw.net
夜…


『彼方ちゃん:やっぴ〜』


侑「あ、彼方ちゃんだ」


放課後は同好会だったのかそうじゃないのか、お返事が来たのはもう晩ごはんもお風呂も終えて部屋に引っ込んだ頃だった。


『やっぴー?』

『彼方ちゃん:やっほーのすやぴだよ』


よくわかんないけど可愛いかも!

845 :>>1 :2020/12/24(木) 07:58:14.43 ID:+nZdnLXw.net
『遅くまでお疲れ様?』

《彼方ちゃん:かなー?》

《彼方ちゃん:遥ちゃんと晩ごはん食べ終えたとこだよ〜》

『遥ちゃん!私も会ってみたいな』

《彼方ちゃん:いいよ、いつでも遊びにおいでよ。私がうちにいる日ならね》

『彼方ちゃんって忙しいの?』

《彼方ちゃん:どうだろ?》

《彼方ちゃん:毎週末おうちでのんびりしてるってことはないかもだね》

《彼方ちゃん:連絡してくれたら予定あけとくから大丈夫だよ〜》


※ 非常に見づらかったので、カッコを別表記にしています。他意はありません。

846 :>>1 :2020/12/24(木) 08:06:57.39 ID:+nZdnLXw.net
かすみんも、彼方ちゃんの予定はよくわかんないみたいなこと言ってたもんね。

初めて会った日だってお買い物に出かけたはずが公園で居眠りしてたりしたし、なかなかライフスタイルを把握するのが難しそうだ。


『私は毎週末だいたいヒマしてるよ。反対だね!』

《彼方ちゃん:そうなの?》

《彼方ちゃん:若いんだからたくさん遊ばなくちゃだめだよ》

『彼方ちゃんが声かけてくれたらお買い物にも練習にも付き合うよ!』

《彼方ちゃん:そうだねぇ》


わざと『練習』って言葉を使ってみたけど、返信の速さは特に変わらない。

どうだろう、私からそっちに話題を持っていってもいいのかな…

847 :>>1 :2020/12/24(木) 08:10:32.17 ID:+nZdnLXw.net
と、少し迷ってると、


《彼方ちゃん:ゆーちゃん、せつ菜ちゃんとお友達なんだっけ?》


侑「!」


『うん、そうだよ』


同好会に全員で集まった日、せつ菜さんが私達の名前を呼んじゃったんだよね。

せつ菜さんと友達かって聞かれると怪しいところだけど、菜々ちゃんは友達だもん。


《彼方ちゃん:明日の放課後って予定ある?》

848 :>>1 :2020/12/24(木) 08:19:14.20 ID:+nZdnLXw.net
『ないよ。歩夢と帰ると思うけど、どこか寄り道するかなーどうかなーって感じ』

『なにか手伝う?』

《彼方ちゃん:歩夢ちゃんか〜》

《彼方ちゃん:歩夢ちゃんもせつ菜ちゃんとお友達なんだっけ?》

『そうだよ』


そこで初めて、彼方ちゃんが迷ってるような空白の時間が生まれた。

なんだろう…

せつ菜さんと、私達と、その関係が気になるって。

…あれ、そういえばせつ菜さんが菜々ちゃんだって、同好会のみんなは知ってるのかな?

そう考え事をしてるうちに彼方ちゃんから来たメッセージは、


《彼方ちゃん:明日の放課後、せつ菜ちゃんと一緒にいてほしいなーって思うんだけど》

《彼方ちゃん:お願いできない?》

849 :>>1 :2020/12/24(木) 08:26:42.37 ID:+nZdnLXw.net
『どういうこと?』

《彼方ちゃん:どこか遊びにいくのでも一緒に帰るのでもいいんだけど、せつ菜ちゃんの放課後の予定を抑えちゃってほしいの》


次は私がお返事の手を止める番。

それをすることにどんな意味があるんだろう。

安易にいいよって答えちゃってもいいのかな。

歩夢に、相談してみた方がいい…?


────♪………


侑「!」


『着信:彼方ちゃん』

850 :>>1 :2020/12/24(木) 08:29:22.07 ID:+nZdnLXw.net
侑「も、もしもし!」

彼方『あ、侑ちゃん。やっぴ〜』

侑「あはは、やっぴー、彼方ちゃん」

彼方『急に電話しちゃってごめんね。今大丈夫?』

侑「うん、平気だよ。よかった、どう返せばいいのかわかんなかったから」

彼方『だよね〜。戸惑ってるのが画面の向こうからひしひし伝わってきたよ』

彼方『順を追って話したいんだけど、五分くらい話せる?』

侑「うん、いいよ。聞かせて」

851 :>>1 :2020/12/24(木) 08:38:18.65 ID:+nZdnLXw.net
彼方『せつ菜ちゃんから聞いてるかな。彼方ちゃん達ね、今週の日曜日にライブの予定があるの』

彼方『今はそこに向けてみんなで練習してて』

彼方『前も言ったように、曲の数はどうしても足りないんだけど…それなら一曲一曲のパフォーマンスを高めて、短くても観てくれた人達に満足してもらえるようなライブを目指そうってことになったの』

彼方『それでみんななんとかやってやろう〜って頑張ってはいるんだけど』

彼方『なかなか、温度感が合わなくってね。イマイチ上手く行ってない感じなんだ』

852 :>>1 :2020/12/24(木) 08:46:00.69 ID:+nZdnLXw.net
彼方『練習メニューは今までとはちょっとレベルが違うってくらい激しくなって、放課後の数時間だけでもみんなへとへとになっちゃうの』

彼方『でも、決めたからにはライブを成功させたいって思いで、みんななんとかついていってる』

彼方『自分がしたいパフォーマンスでお客さん達に喜んでもらうには、それができるくらいの実力がなくちゃいけないからね。それをわかってるから、きつくても必要なことなんだってみんな踏ん張ってる…』

彼方『ん、だけどねぇ…』

侑「…ちょっと、きつ過ぎる…?」

彼方『ん〜、さすが侑ちゃあん。よくわかってくれるね、彼方ちゃんの言いたいことを』

侑「うん…」

853 :>>1 :2020/12/24(木) 08:53:24.17 ID:+nZdnLXw.net
彼方『元々ね、せつ菜ちゃんって毎日は練習に来なかったんだ』

侑「なんか、そうらしいね」

彼方『うん。同好会以外にもやってることがあってそっちにも顔を出さなくちゃいけないからって。水曜日と金曜日はお休みだったの』


金曜日…は、生徒会の会議があるって前に言ってたよね。

一緒にブルーレイを買いにいったのは週の中頃だったと思うけど、何曜日だったかな。


彼方『でもね、いざ会場の許可が取れてライブをやるのが決定してからは、毎日かなぁ…うん、たぶんほとんど毎日。用事があっても一時間くらいだけでも顔を出してくれてるんだよね』

854 :>>1 :2020/12/24(木) 08:59:20.48 ID:+nZdnLXw.net
彼方『部長で色んなこと仕切ってくれるし、スクールアイドルの知識も一番あるから、頼りになるんだよ。それは全員思ってるの』

彼方『でも、あんまりにもパワフルっていうか…』

彼方『同好会みんなの体力が、せつ菜ちゃんのレベルについていかないんだよぉ』

侑「……なるほど」

侑「だから、私が明日せつ菜さんを連れ出すことで、みんなの身体を休めたいってことだね」

彼方『そうなの』

855 :>>1 :2020/12/24(木) 09:05:48.45 ID:+nZdnLXw.net
彼方『もちろん、これからスクールアイドルとして活動していこうと思ったら、体力をつけたりハードな練習をこなしたりしなくちゃいけないんだってことはよくわかってるの』

彼方『でも、まだ発足したばっかりの同好会で、メンバーの体力もばらばらの状態で、続けるメニューじゃないって…彼方ちゃんは思うんだよ』

彼方『きちんと言わなくちゃいけないんだけど、やっと、なんとか目標ができて動き始めたのに、今それを言ってもし止まっちゃったら…』

彼方『…もう、二度と……みんなで同じ目標に向かおうって機会が巡ってこないような気がしてね、…怖いの』

856 :>>1 :2020/12/24(木) 09:12:05.16 ID:+nZdnLXw.net
侑「わかった」

侑「明日は私がせつ菜さんを確保するよ。だから彼方ちゃん達はしっかり休んで!」

彼方『侑ちゃあん……!』

彼方『今週のライブまで頑張るんだ。それさえ乗り切ったら、振り返って反省って形できちんと言わなくちゃいけないことは言うから』

彼方『だから、明日だけ甘えてもいい?』

侑「任せて!ちょうど私も菜々ちゃんと話したいなって思ってたから。明日の放課後は私達と一緒にいてもらうよ!」

彼方『…』

彼方『ありがとう、侑ちゃん。また好きなもの作ってあげるからね〜』

侑「ほんと!?やったー、なおさら頑張っちゃうよ!」

857 :名無しで叶える物語:2020/12/24(木) 09:16:06.15 ID:pE8VVzrz.net
あっ...

858 :>>1 :2020/12/24(木) 09:21:58.40 ID:+nZdnLXw.net
彼方『結局私達の問題に巻き込むみたいにしちゃってごめんね』

侑「ううん、そんなことないよ。みんなの力になれるならどんな些細なことだってやりたいんだ。それに、私達の間で変に気を遣うのはなしだって、彼方ちゃんが言ってくれたことだよ」

彼方『おーっと、でしたでしたな〜』

彼方『へへ…あー、よかった。侑ちゃんが連絡してきてくれて』

侑「ね!ちょうどよかったよ」

彼方『これで今夜は安心してすやぴできるなぁ』

侑「ちゃんとお布団で寝てね?」

彼方『すやぁ…』

侑「かなたちゃーーーん!」

彼方『えへへ〜』


彼方と話しました! ▼

859 :>>1 :2020/12/24(木) 09:24:22.63 ID:+nZdnLXw.net
今朝はこんなところで。
たまに安価を出すかもしれませんが、選択肢によって描写や小さな出来事が異なる程度で菜々エンドに至ることは変わらないので、あまり深く考えずに取っていただいて大丈夫です

860 :名無しで叶える物語:2020/12/24(木) 20:10:24.93 ID:IrwczSfp.net
保守

861 :>>1 :2020/12/24(木) 20:24:09.35 ID:+nZdnLXw.net
翌朝…


侑「お待たせ〜」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


今日の私は決意に満ちてる。

昨日の夜、彼方ちゃんと話したこと。

話したのがかすみんだったらきっとだめだったし、私じゃなければ彼方ちゃんも頼ってくれなかったと思う。

なんとか掴んだ、同好会のみんなの役に立てる機会。

ううぅ、頑張るよ…!


侑「歩夢、今日もお弁当だよね?」

歩夢「そうだよ。もしかして、侑ちゃんパン?いいよ、購買部に行くのくらい付き合うよ」

侑「あー…じゃなくってね」

侑「今日のお昼ごはん、菜々ちゃんと食べない?」

歩夢「………へえ?」

862 :>>1 :2020/12/24(木) 20:32:06.86 ID:+nZdnLXw.net
お昼休み…


侑「歩夢、行こ」

歩夢「はいはい」ガタ…


あんな話をしたばっかりで菜々ちゃんとのごはんを提案するのは、さすがの私も結構覚悟が必要だったけど。

目的をきちんと話したら、歩夢も頷いてくれた。

この作戦には歩夢の協力が必須だもんね。


侑「手伝ってくれてありがと、歩夢」

歩夢「スクールアイドル同好会には口出ししないって言ったのに。今回だけだからね」

侑「わかってるー」

863 :>>1 :2020/12/24(木) 20:34:58.88 ID:+nZdnLXw.net
『生徒会室』


コンコン


「います。どうぞ」

侑「なーなちゃんっ」ガラッ

菜々「侑。歩夢さん」パァ

侑「こんにちは、来ちゃった。一緒に食べない?」

菜々「お二人なら大歓迎ですよ。どうぞ入ってください」

侑「お邪魔しまーすっ」

歩夢「失礼します」ペコ

864 :>>1 :2020/12/24(木) 20:38:34.99 ID:+nZdnLXw.net
「「「いただきます」」」

侑「菜々ちゃん、今日はパン買ってないの?」

菜々「んぐっ!」

菜々 ゴホッ…ゴホッ…

侑「ええっ!?だ、大丈夫!?」

菜々「大丈夫です、大丈夫…」ハァ

菜々「今日は、そうですね。買ってません。お弁当と両方は食べられないことがわかりましたからね」

侑「そりゃそうだよ〜。もう、菜々ちゃんってば意外と食いしん坊なんだから」

菜々「は、はは…」

歩夢「お弁当とグラタン食べた人に言われたくないよね、菜々ちゃん」

菜々「え?」

侑「あ、歩夢!なんでそういうこと言うの!」

菜々「そんなに食べたんですか…?というか、学校でグラタン…?」

侑「あーもーほら〜、変な目で見られたぁ!」

865 :>>1 :2020/12/24(木) 20:43:46.57 ID:+nZdnLXw.net
侑「そういえばはんぺんのことだけど」

菜々「んぐっ!」

菜々 ゴホッ…ゴホッ…

侑「え…えええっ!?菜々ちゃん大丈夫!?今日なんかおかしいよ!」

菜々「だ、大丈夫です…」フゥ

侑「昨日、朝様子見にいったんだけどね、パン三つとも食べちゃってたんだよ。一晩で!」

菜々「そ、そうなんですか。へえ〜…」チラッ

歩夢 ニコニコ

菜々「ぅ…」

侑「誰のパンを最初に食べたのかはわかんなかったけど、みんな食べてくれたからあいこだね!」

歩夢「名前の紙も大事にしてくれてたんだよ。お家の奥の方に持ち込んでたの」

菜々「侑達のことを覚えてくれているといいですね」

侑「うん!」

866 :>>1 :2020/12/24(木) 20:49:11.00 ID:+nZdnLXw.net
侑「お昼はいつもかすみん達がパンあげてくれてるみたいだからいいけど、放課後とか朝とか、なにか持っていってあげた方がいいかな?」

歩夢「食パンも三日くらいもつし、一枚を何日かに分けて持っていってあげてもいいかもね」

菜々「…」

侑「ね、菜々ちゃん」

菜々「…そう、ですね」

菜々「せっかく触れ合える距離にいるのなら可愛がりたいという気持ちはよくわかりますが、あまりに構い過ぎるのは…」

歩夢「飼ってるってことに、なっちゃう?」

菜々「そう思われないようにしておくのが無難ではあると思います。はんぺんちゃんが見逃されているのはあくまでも『飼い猫ではないから』ですから」

侑「そっか…」

侑「じゃあ、毎日はんぺんの寝床の前を歩くときにうっかりパン落としちゃおうよ!」

歩夢「ヘンゼルとグレーテル?」

菜々「計画的に落とし物をしないでください」

867 :>>1 :2020/12/24(木) 20:55:10.13 ID:+nZdnLXw.net
何気ない談笑。

屈託のない笑顔でお弁当をつつく菜々ちゃん。

その隙を突いてアイコンタクトを交わす私達。

自然に、自然に。

だけど、確実に。

──いくよ、歩夢!

868 :>>1 :2020/12/24(木) 21:04:04.71 ID:+nZdnLXw.net
侑「ところで菜々ちゃん。今日の放課後、なにか予定ある?」

菜々「はい?」

菜々「そうですね、今日は──」

歩夢「うちに遊びにこない?」

菜々「え、歩夢さんのお家にですか?」

菜々「…すみません。お誘いはありがたいのですが、今日…というか今週末までは、」

侑「今日ね、歩夢がお菓子作ってくれるんだけどね!なんだっけー?」

歩夢「お…」

歩夢「お休みの日のとくべつドーナッツ、だよ」


菜々「──────!!」ピキピキーン

869 :>>1 :2020/12/24(木) 21:06:49.60 ID:+nZdnLXw.net
菜々「今、歩夢さん、な…なんと…?」

歩夢「お…」

歩夢「お休みの日のとくべつドーナッツ、だよ」


菜々「──────!!」ピキピキーン


侑「二回目でもそうなっちゃうんだ」

菜々「それはその、なんというか、歩夢さんのお家に代々伝わる秘伝のレシピのドーナッツをそう呼んでいるとかそういうお話ですか?そ、それとも…」

歩夢「えっと、この間やってたアニメでそんなのを作ってて、私もやってみようかなって…」

菜々「ややややややっぱりそうだァーーー!!!」ドヒャーーーッ

870 :>>1 :2020/12/24(木) 21:10:06.16 ID:+nZdnLXw.net
歩夢「基本は普通のドーナッツなんだけど、ハニーグレーズっていうお砂糖のシロップみたいなのをかけてね、」

菜々「しっしっ知ってます!!」

菜々「あっあっ、あぁあ……あんなに美味しそうなドーナッツを!歩夢さん!あなたは再現できるというんですか!?」フンスフンス

歩夢「ど、どうかな…そんなに難しくないだろうから、できる…と、思うよ…」

菜々「んんんんんんんっっっ!!」ピーッ

侑 (菜々ちゃん大喜びだなぁ)

871 :>>1 :2020/12/24(木) 21:14:07.33 ID:+nZdnLXw.net
侑「どうかな?菜々ちゃん。みんなで食べたらきっと美味しいよ!おいでよ!」

菜々「ぅ、ぐ…っ!」

侑「歩夢が作るお菓子美味しいんだよ。作りたてのドーナッツなんて、考えただけでよだれ出ちゃいそうだよ!」

菜々「しかも、ただのドーナッツではなく……お休みの日のとくべつドーナッツ…っ!」

侑「ほら、歩夢に料理教えてもらうみたいな話もあったでしょ?まずは歩夢が作ってるのを眺めるだけでも勉強になると思うよ」

菜々「そ、それはっ……そう、でしょうけれど……!」

侑「どうする?」

侑「菜々ちゃん、自分で作れるようになっちゃうかもよ?お休みの日のとくべつドーナッツ」

菜々「行きますッ!!行かせてくださいッッ!!!」カッッ

872 :>>1 :2020/12/24(木) 21:19:08.90 ID:+nZdnLXw.net
菜々 ────ハッ!!!

侑「やったーっ、行くって!!」

歩夢「やったね侑ちゃん」


パチン


菜々「あっ、や!ま…待ってください、今のはつい感情の赴くままに口が勝手に発言してしまっただけというか──」

侑「え、来てくれないの?行くって言ったよね?」

菜々「ううううっ」ギクッ

侑「菜々ちゃんと一緒にドーナッツ食べられると思ったのに…」シュン

菜々「あ…あのあの侑、すみません、例えば来週にするというのはどどどどうですか…」オロオロ

侑「ずっと前から楽しみにしてたのにな…」

侑「菜々ちゃんと稲妻」ポツリ

菜々「申し訳ありませんでした!!行きます、もちろん行きます!!この中川菜々、一度口にしたことを安易に取り下げるような教育は受けていませんからっ!!!」

侑「やったーっ!」ピョンピョン

菜々「く、くぅぅ……!」

歩夢「振り回されてるなぁ」

873 :>>1 :2020/12/24(木) 21:26:44.67 ID:+nZdnLXw.net
侑「それじゃ菜々ちゃん、また放課後にね。授業が終わったらまっすぐ校門でね!」

菜々「せ、せめて一時間………」

侑「また後でね」ニコッ

菜々「……はい」ガクッ

歩夢「侑ちゃんに狙われちゃったらそうなるよね。わかるよ」ホロリ…

菜々「…」

菜々「行くと決めたからには思い切り楽しむことにします」スクッ

菜々「楽しみにしていますね。歩夢さん」

歩夢「うん。頑張って美味しく作るからね」

菜々「はいっ!」ペカー

874 :>>1 :2020/12/24(木) 21:29:29.14 ID:+nZdnLXw.net
侑「…よかった、なんとか上手くいったね。ありがとう、歩夢」

歩夢「あんな方法で無理やり連れ出すなんて申し訳ないなぁ…」

侑「いいんだって、菜々ちゃんも吹っ切れて楽しみにしてるって言ってたし!」

歩夢「言わせたようなものでしょ。まったく」

侑「えへへ〜」

侑「じゃあ歩夢、お願いします!」っスマホ

歩夢「ハニーグレーズなんか作ったことないのに〜」ハァ…


菜々とお昼ごはんを食べました! ▼

875 :>>1 :2020/12/24(木) 21:29:50.16 ID:+nZdnLXw.net
今日はこんなところで終わりです。

876 :名無しで叶える物語:2020/12/24(木) 22:14:14.43 ID:yLdAcQh7.net
おつおつ
結局押し負けるせつ菜いいぞ

877 :>>1 :2020/12/25(金) 08:05:15.82 ID:vET/VGBt.net
放課後…


歩夢に任せっ放しにするのもよくないかなと思って一応レシピを見てみたけど、よくわかんなかった。

でもドーナッツが出来上がっていく様子が丁寧に画像で載ってて期待はすごく膨らんじゃった!

揚げたてって熱いのかなぁ。

楽しみだなぁ。


侑「帰ろう、歩夢!」ジュルリッ

歩夢「まずはお買い物しなくちゃだからね」

侑「わかってるー!」

878 :>>1 :2020/12/25(金) 08:08:41.57 ID:vET/VGBt.net
侑「菜々ちゃ〜ん」

菜々「今日も一日お疲れ様でした」ペコッ

歩夢「お疲れ様でした」ペコ

侑「なに言ってるの、二人とも。本番は今からだよ!」

菜々「侑は一日楽しく過ごせましたか?」

侑「うん!今日も楽しかったよ」

菜々「それはよかったです」

侑「でも今からの時間もきっと楽しくなると思うんだ!」

菜々「そうですね」クス

歩夢「材料を買わなくちゃいけないから、スーパーに寄って帰るね」

菜々「はい。よろしくお願いします」

879 :>>1 :2020/12/25(金) 08:16:56.90 ID:vET/VGBt.net
侑「今日はなに買って帰るの?」

歩夢「小麦粉はどっちともあったはずだから、ドライイーストと牛乳が必要だね。ソース用のチョコレートと、ハニーグレーズ用にレモンとハチミツ、…あ、粉糖もいるんだね」

菜々「フントウとはなんですか?」

歩夢「お菓子用の粉状のお砂糖だよ」

菜々「普通の砂糖ではだめなんですか?」

歩夢「だめってことはないんだけど、粉糖と普通のお砂糖では役割が違うの。粉糖は生地をサクッとさせたいときに使うものなんだよ」

菜々「へえ…!歩夢さんは物知りですね」

歩夢「そんな。ずっとやってたから覚えちゃっただけだよ」

侑「砂糖って普通粉じゃないの?」

菜々「砂糖は結晶ですね」

侑「??」

880 :>>1 :2020/12/25(金) 08:24:19.77 ID:vET/VGBt.net
スーパー


侑「菜々ちゃん、チョコはなにが好き?」

菜々「板チョコならやはりガーナではないでしょうか!」

侑「じゃガーナにしようっと。いいよね?歩夢」

歩夢「うん。種類はなんでもいいと思うよ」

菜々 キョロキョロ…

侑「どうしたの?」

菜々「私、あまりお菓子コーナーに来ることがないので。なんだか興味深くて」

侑「そうなんだ。普段からお菓子食べないの?」

菜々「母が買ってきて家に置いているものは食べますが、自分で買うことはほとんどありませんね」

歩夢「侑ちゃんなんかお菓子コーナーと駄菓子屋さんの常連なのにね」

侑「じょ、常連ってほどじゃないもん!」

881 :>>1 :2020/12/25(金) 08:27:53.87 ID:vET/VGBt.net
歩夢「…よし、買い忘れはないね」

侑「やっとだー、楽しみだなぁ」ウキウキ

菜々「あ、お支払いは私がしますよ」

歩夢「え?いいよ、そんな」

菜々「いえいえ!ただでさえお世話になるというのに、材料費まで負担していただくわけにはいきませんよ!今日のお礼ということで、出させてください」

歩夢「そう…?それじゃ、甘えようかな」

菜々「お任せください!」

882 :>>1 :2020/12/25(金) 08:29:52.10 ID:vET/VGBt.net
侑「菜々ちゃんってお金出したがるよね」

菜々「べ、別にそんなことはありませんが…」

侑「だってブルーレイボックスのときもそうだったよ」

菜々「あれは、私が欲しくて買ったものなので…」

侑「私も観たかったものだよ?」

菜々「こ、この話はもう済んだではないですか」

侑「ドーナッツも、私も食べたいものだしなぁ」

菜々「それはだから、」

侑「私も半分払うよ!あ、歩夢はいいからね!とびっきり美味しいの作ってね!」

菜々「えっちょっ侑…」オロ

歩夢「はーい」クス

883 :>>1 :2020/12/25(金) 08:33:58.66 ID:vET/VGBt.net
歩夢の家


侑「ではお菓子作りを始めます!」

菜々「は…はいっ」ソワソワ

侑「そんなに緊張しないで、菜々ちゃん。歩夢がついてるから大丈夫だよ」

歩夢「そこは侑ちゃんじゃないんだ…」

侑「私は指示されたことしかできないからね!」フフン

菜々「まずはなにをするんですか?」

歩夢「ドーナッツは生地を寝かせて発酵させる時間が必要だから、まず生地を作っておかなくちゃいけないの」

菜々「ほう…」ジーッ

侑 ルンルン…

歩夢「…」

884 :>>1 :2020/12/25(金) 08:38:05.40 ID:vET/VGBt.net
歩夢 トントン…

歩夢「これが薄力粉と強力粉。これがドライイーストで、お砂糖とお塩ね」

歩夢「これをみんなボウルに入れて、よく混ぜてもらってもいい?」

菜々「これが、ドーナッツの生地になるんですね。責任重大ですね…!」

歩夢「粉を混ぜるだけだから大丈夫だよ、あんまり気負わなくていいからね」

侑「歩夢はなにするの?」

歩夢「私はタマゴと牛乳を温めるよ。こっちは火を使うし加減があるから」

侑「へー、さすが〜」

歩夢「侑ちゃんもなにかしたい?」

侑「できることあるかな?」

歩夢「…」

歩夢「私のが終わったら、一緒にやろっか」

侑「はーい!」

885 :>>1 :2020/12/25(金) 08:44:25.15 ID:vET/VGBt.net
歩夢 ザクッザクッ

菜々「私の粉が、固まっていきます…」

侑「こういうの見てると面白いよね」

菜々「母が料理している様子はたまに見ますが、お菓子となるとまた全然過程が違うものなんですね」

侑「料理と違って、粉とか牛乳とかがみんな固まって形が変わっていくんだよね。それが不思議で面白いから、私は料理よりお菓子作り見る方が好きだな」

菜々「こう手際よく作れると楽しいでしょうね」

侑「ねー」

歩夢「…こんなものかな」フゥ

歩夢「今から生地をこねるけど、二人ともやりたい?」

菜々「生地をこねる!焼きたてジャぱんを何度も読んだので、もうプロ級の腕前ですよ!ぜひやらせてください!」

侑「はいはーい、私もやるー!」

歩夢「じゃあみんなでやろうね」

886 :>>1 :2020/12/25(金) 08:48:47.91 ID:vET/VGBt.net
生地 モチーン


菜々「丸くて可愛いですね」

歩夢「これは一時間くらい寝かせるから、その間に洗い物済ませちゃうね」

侑「あ、それくらい私やるよ」

歩夢「そう?それじゃ──」

侑「菜々ちゃんは拭いてもらっていい?」

菜々「はい!」

侑「布巾はね、こうやって拡げて、お皿を挟むように持ってね」

菜々「だから大丈夫ですってば!」//

侑「あははっ、ごめんごめん。やろっか。歩夢は休んでて!」

歩夢「う…うん」

887 :>>1 :2020/12/25(金) 08:52:21.42 ID:vET/VGBt.net
一時間後…


歩夢 ツンツン

歩夢「うん、よさそうだね」

菜々「!」

侑「完成?」

歩夢「完成なわけないでしょ。まだもう一回発酵させなくちゃいけないんだよ」

侑「また!?」

菜々「侑!」ガシッ

侑「ぅえっ、なに!?」

菜々「ドーナッツ作りはここが本番のはずですよ。ねえ、歩夢さん!?」

歩夢「え、えっと…そう、かな?」

菜々「ここからやることは私にもわかります。即ち──」

888 :>>1 :2020/12/25(金) 08:56:34.10 ID:vET/VGBt.net
侑「わわ、上手くできないよ〜歩夢〜」

歩夢「大丈夫、一旦こうやって伸ばして…」グニ

侑「こう………わぁ、できた!」

歩夢「上手にできたね、侑ちゃん」

侑「見て見て菜々ちゃん、ドーナッツっぽくなったよ──」


菜々 グリ…グリ……

菜々 ジッ

菜々「少しあけ過ぎでしょうか。もっと詰まった感じでしたよね…」グリ…


歩夢「…菜々ちゃん?」

侑「あれは職人さんの目だね」

歩夢「一体なんの職人さんなの…?」

889 :>>1 :2020/12/25(金) 09:00:59.03 ID:vET/VGBt.net
ドーナッツ型の生地達 ズラリ…


侑「楽しかった〜。そっか、本番ってドーナッツの形を作ることだったんだね」

菜々「はい。これをせずしてドーナッツ作りは語れないというものです」ムフー

歩夢「すっかり満足げだね、菜々ちゃん」

侑「…一つだけ、ハニードーナツみたいなやつが混じってるけど…」

菜々「なにを言うんですか!お休みの日のとくべつドーナッツというからには、これがないと始まらないでしょう!」

侑「そ、そうだっけ」

歩夢「ここからまた寝かせるから、その間にチョコソースとハニーグレーズを作っちゃうよ」

侑「よく寝るなぁ、ドーナッツは」

菜々「寝る子は育つと言いますが、それが発酵という形でありありと見えるのは面白いですね」

890 :>>1 :2020/12/25(金) 09:06:52.84 ID:vET/VGBt.net
やがて…


ジュワァァァアア………


菜々「ど、ドーナッツが出来上がっていきます…」

侑「いい匂い…!我慢できないよ〜!」ウズウズ

歩夢「二人とも、ソースとお皿を用意しておいてもらえる?揚げ終えたらソースを着けて、冷めたら完成だよ」

侑「やったー!もうすぐ完成だー!」

菜々「侑、言われたことをやらなければ!ドーナッツが完成しませんよ!」アワアワ

侑「い…いけない!えっとソースとお皿…お皿…」ワタワタ


ジュワァァァアア………

891 :>>1 :2020/12/25(金) 09:11:19.79 ID:vET/VGBt.net
ドーナッツの山 テテーン


侑「うわぁぁぁ………!!」

菜々「………っ!」

歩夢「やっぱりところどころ寝かせる時間があるから、結構かかっちゃったね」

菜々「し、七時ですか…」

侑「菜々ちゃん、お家大丈夫?連絡しておかなくていいかな?」

菜々「いえ、今から帰れば普段より少し遅いくらいにしかならないので大丈夫かと…」

侑「なに言ってるの、今からドーナッツ食べるんだよ!?」

菜々「い、今から食べるんですか!?もう夕飯の時間ですよ!?」

侑「今日の晩ごはんはドーナッツだよ!」

菜々「聞いていませんが!!」

892 :>>1 :2020/12/25(金) 09:15:53.38 ID:vET/VGBt.net
歩夢「放課後から作り始めたら、こうなっちゃうよね」

侑「私はお母さんに晩ごはん歩夢のとこで食べるって話してるよ」

歩夢「そ、そうだったんだ。いつの間に…」

菜々「というか歩夢さんのお家のお夕飯に差し支えるのではありませんか?」

歩夢「………えっと、」チラッ


上原母 ……b グッ


歩夢「あ、大丈夫みたい」

侑「つまり後は菜々ちゃんだけだね!」

菜々「…ふふ、わかりました。今日は夕飯を食べて帰ると、母に連絡してきます。まさかドーナッツだとは言えませんけどね」

侑「小麦粉だからごはんだよ!」

菜々「なんですか、それは」フフッ

893 :>>1 :2020/12/25(金) 09:20:37.39 ID:vET/VGBt.net
「「「いただきます」」」

菜々「こ、これが…夢にまで見た……お休みの日のとくべつドーナッツ…!」

歩夢「そんなに憧れのものだったんだ。美味しくできてるといいんだけど」

菜々「もうっ、もうっ…!これほど完璧に再現されていれば、文句のつけどころもありませんよ!私は今、武蔵境の住人になった気分でいっぱいです!」

歩夢「…?」

侑「ん、おいし〜〜〜!」

菜々「ああっずるいですよ侑!私はこのつむぎさんドーナッツを…」

菜々「……くっ、可愛くて食べるのがもったいない…」

侑「チョコすごく手についちゃうよ!歩夢ティッシュ〜!」

歩夢「………ふふっ」クスクス

侑「ねーえー、笑ってないでティッシュ取って〜」

歩夢「はいはい」

894 :>>1 :2020/12/25(金) 09:27:56.25 ID:vET/VGBt.net
菜々 ………フゥ

侑「あー美味しかった〜」

歩夢「三つも食べるとお腹いっぱいだね」

侑「揚げたてのドーナッツなんて初めて食べたよ。ね、菜々ちゃん」

菜々「そうですね」

侑「疲れちゃった?」

菜々「いえ、少し考え事を思い出しまして」

侑「同好会のこと?」

菜々「…はい」

菜々「本当は今日も練習に顔を出さなければいけなかったのですが、皆さんどうしているかと…」

菜々「あっ、侑達を責めたいのではなくて!」

侑「わかってるよ」

895 :>>1 :2020/12/25(金) 09:33:14.91 ID:vET/VGBt.net
侑「無理やり連れてきちゃってごめんね。今日はどうしてもって思ってさ」

菜々「謝らないでください。行くことを決めたのは私の意思ですし、最近は根を詰め過ぎていた自覚もあるので、いい気分転換と休息になりました」

侑「なら、よかった」

菜々「もう、日曜日ですからね。大詰めをしなければと思うとどうしても力んでしまって、皆さんにもきっと負担を──」ハタ…

侑「菜々ちゃん?」

菜々「歩夢さん、その…」

歩夢「…うん、わかってるから、大丈夫だよ。それに私はなにも聞いてないし、聞いたとしても口を出すことはないから」

菜々「…ありがとうございます」

歩夢「無理だけはしないでね」

侑「落ち着いたら、次は歩夢に料理教えてもらおうね」

菜々「はい。ぜひ」ニコ…


菜々とドーナッツを作って食べました! ▼

896 :名無しで叶える物語:2020/12/25(金) 09:35:24.96 ID:mlx5cXGB.net
(せつ菜が料理に関わってるのに事故が起こらなかった...だとっ!?)

897 :>>1 :2020/12/25(金) 09:35:27.57 ID:vET/VGBt.net
今朝はこの辺りで。
展開上、菜々ルートとせつ菜ルートは概ね統合されたものだと思っていただいて構いません
明日から生活ルーティンが変わる兼ね合いもあり、今晩以降、更新が不規則になるかもしれません

898 :名無しで叶える物語:2020/12/25(金) 10:16:07.43 ID:vwBh5Org.net
把握

899 :名無しで叶える物語:2020/12/26(土) 05:41:18.31 ID:HkQF+pgT.net
ほし

900 :名無しで叶える物語:2020/12/26(土) 14:42:15.39 ID:H5cZmtXD.net
保守

901 :名無しで叶える物語:2020/12/27(日) 08:25:08.04 ID:v20rvEIP.net


902 :名無しで叶える物語:2020/12/27(日) 19:11:06.55 ID:XIPUZvA/.net
保守

903 :>>1 :2020/12/28(月) 07:43:15.66 ID:2w1/+vuk.net
翌朝…


侑「お待たせ〜」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


昨日の夜、菜々ちゃんを家まで送っていった帰り、彼方ちゃんからラインが来た。

頼んでおきながらあのせつ菜ちゃんを本当に連れ出せるとは思わなかったよ〜って、まったく彼方ちゃんったら!

でもおかげでみんなきちんと休息を取れたとのことで、ここからライブまではなんとかなりそうだって。

よかった。


侑「菜々ちゃんと料理するならなにがいいかな?」

歩夢「そうだなぁ、最初はやっぱりハンバーグとかじゃない?」

侑「ハンバーグ!いいね、菜々ちゃんにぴったりだと思う!」

歩夢「侑ちゃんが食べたいだけでしょ」クス

904 :>>1 :2020/12/28(月) 07:50:58.86 ID:2w1/+vuk.net
お昼休み…


今日は食堂でお弁当を食べることにした。


侑 キョロ…

歩夢「誰か探してるの?」

侑「うん、エマ先輩に会えないかなと思ったんだけど」

歩夢「あれきり話してない?」

侑「うん。かすみんと彼方ちゃんとはお話しできたから、あとはエマ先輩だけなんだけどな…」

歩夢「ライブ、日曜日なんだよね。それが終わったら一回スクールアイドル同好会に挨拶に行ってみよっか。私も一緒に行くから」

侑「ほんと!?ありがとう、歩夢」

歩夢「いいよ。だから、それまでもうあんまり首を突っ込んじゃだめだよ」

侑「ぅ…はーい…」


項垂れる私をくすくすと笑うと、歩夢はエビフライを一本くれた。

こんなもので慰められる私じゃ…………美味しい。

905 :>>1 :2020/12/28(月) 08:03:10.43 ID:2w1/+vuk.net
放課後…


日曜日の天気予報は晴れ。

普段見慣れない雨雲レーダーとやらも頑張って見てみたけど、うん、雲はなさそう!

会場がどこなのか聞きそびれたけど…

スクールアイドルっていうんだし、きっと学校の近くだよね?


侑「って、いやいや!応援しにいくんだから会場は聞いとかなくちゃだめでしょ!」ハッ


菜々ちゃんに連絡しとかなきゃね。


放課後どうしようかな? >>906
1.歩夢とまっすぐ帰る
2.お台場に寄って帰る

906 :名無しで叶える物語:2020/12/28(月) 08:18:57.53 ID:dNkVPutO.net
2

907 :>>1 :2020/12/28(月) 08:34:49.26 ID:2w1/+vuk.net
お台場


侑「歩夢、抹茶飲んでこー!」

歩夢「うん。私はホットにしようかな」

侑「暑い時期でも抹茶は温かいのが美味しいよね。私はどうしよっかなー…」ウーン…

侑「決めた!ほうじ茶ラテ!」

歩夢「抹茶じゃないんだ…」

侑「だっていい匂いがするんだもん!それに、」

歩夢「私の貰うんだもんね?」

侑「さっすが歩夢、わかってるぅー!すみませーん、抹茶ラテとほうじ茶ラテくださーい!」

歩夢「うふふ…」

908 :>>1 :2020/12/28(月) 08:41:05.58 ID:2w1/+vuk.net
侑「どこで飲もっか」

歩夢「外の階段のところ行かない?」

侑「うん!ホット飲むなら外の方がいいね」

侑「クンクン…あ〜、抹茶もいい匂いするなぁ」

歩夢「もう、すぐそこなんだから我慢してください」サッ

侑「ああっ、私の抹茶ラテ遠ざけないで!」

歩夢「侑ちゃんのじゃないもん」

侑 クピ…

侑「ぷへぁ」

歩夢「歩きながら飲まないの、お行儀悪いよ」

侑「はーい」

909 :>>1 :2020/12/28(月) 08:47:27.99 ID:2w1/+vuk.net
フェスティバル広場


侑 クピ…

侑「ん〜〜〜っ、美味しい」

侑「歩夢も飲むでしょ?」

歩夢「うん、貰うね」クピ…

歩夢「はぁ、ほうじ茶の香りが落ち着く」

侑「ねー」

歩夢「そういえば侑ちゃん、予備校のこと考えた?」

侑「ぅ」

歩夢 ジトー

侑「ほ、ほら、そういうのってじっくり吟味しないといけないでしょ?簡単に通うとこ変えられるものじゃないし。だから、ね」

歩夢「もう。後でうちにあるパンフレット渡すから読んでおいてね」

侑「はぁい……」


「え!せつ菜ちゃんライブやるんだ!」


侑「…………え?」

910 :>>1 :2020/12/28(月) 08:52:41.79 ID:2w1/+vuk.net
侑「ねえ歩夢、今…」

歩夢「うん、なに?」

侑「せつ菜さんがどうって聞こえなかった?」

歩夢「え?そう…?」

侑 キョロキョロ…


「新しいグループのお披露目だって〜」

「へー、せつ菜ちゃんグループ組んだんだー」


歩夢「ぁ…」

侑「やっぱり!ね!」

歩夢「うん、そうみたいだね。えっと…」キョロ

侑「………あれかも!」タタタ

歩夢「えっ侑ちゃん、ちょっと!」

911 :>>1 :2020/12/28(月) 08:59:49.00 ID:2w1/+vuk.net
『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 お披露目ライブ』


ゆうぽむ「「………!」」

侑「5月31日、日曜日…」

歩夢「場所はフェスティバル広場、ここでやるんだね…」

侑「そうだったんだ。確かに、たまに小さなイベントとかやってるもんね」

侑「にしても、ポスター作ったんだ…」


せつ菜さん、彼方ちゃん、かすみん、エマ先輩。

緊張した表情の四人が並んで映る縦看板ポスター。

わかってた。

わかってたことだけど、こうやって告知したってことは──


──菜々「告知をまだ打っていなかったことだけは不幸中の幸いと言えますか。そもそも31日にライブの予定があることは、部員以外まだ誰も知りませんから」


もう、後には退けないってことだ。

912 :名無しで叶える物語:2020/12/28(月) 09:05:20.83 ID:dNkVPutO.net
いよいよアニメ1話のシーンか

913 :>>1 :2020/12/28(月) 09:09:24.31 ID:2w1/+vuk.net
大丈夫──


──彼方「いやぁ、うちの同好会、曲の数がとっても少なくてね。ライブしたくても披露する曲が足りないんだよ」


大丈夫──


──エマ「うちの同好会、曲を作れる人がせつ菜ちゃんしかいなくて、でもせつ菜ちゃんも忙しいから最近は曲作りができてないんだって。だからひとまずせつ菜ちゃんが一人でやってた曲をやるんだけど──」

──かすみ「曲は、ライブまでになんとかします。だから、このことは黙っててくれませんか」


大丈夫──だよ──ね──?


──菜々「かすみさんやエマさんのファンだと言ってくれたのだと聞いています。その気持ちを裏切りたくないと、部員の全員が考えているんです。結成したばかりでまだまだ不安定な私達ですが、どうか応援して、愛してくださると嬉しいです──」


侑「……っ」ブル…

914 :>>1 :2020/12/28(月) 09:15:07.92 ID:2w1/+vuk.net
歩夢「侑ちゃん」ソッ

侑「…!」

侑「歩夢…」

歩夢 コクン…

歩夢「一番前で応援しようね」


──侑「たとえ来週ライブができなくても、今回のステージが使えなくなっちゃっても、私はずっと応援してるよ。いつになっても、どこになっても必ず駆けつけて最前席で応援するから!」


侑「…っ、そう、だよね…」

歩夢「そうだよ」ニコッ

侑「会場に一番乗りしなくちゃね!」

歩夢「寝坊しないでね」

侑「…頑張ります!!」


歩夢とお台場に寄り道して帰りました! ▼

915 :>>1 :2020/12/28(月) 09:30:55.15 ID:2w1/+vuk.net
夜…


ダイバーシティ東京プラザのサイトを確認してみたら、イベント一覧のページにも小さく記載があった。

熱心にここを確認してる人がどのくらいいるのかはわからないけど、確実に誰かの目には触れてる。

そのうちの何人かは観にくるはずだ。

友達とか家族を連れて、楽しみにして、来るんだ。


侑 ドキドキ…


誰かに連絡する? >>916
1.菜々
2.かすみ
3.彼方
4.しない

916 :名無しで叶える物語:2020/12/28(月) 09:35:09.08 ID:xNXpZzu2.net
かすみ

917 :>>1 :2020/12/28(月) 09:41:59.63 ID:2w1/+vuk.net
侑 ドキドキ…


彼方ちゃんが練習してた、『スクールアイドルみんなの曲(だっけ?)』。

たぶん、せつ菜さんが一人でやってた曲っていうのとは違うよね。

これで二曲。


侑 ドキドキ…


スクールアイドルのライブって普通何曲くらいやるものなんだろう。

同じ曲を何回かやったりするものなのかな。

一人で歌って踊るよりは、みんなで歌って踊ってる方がなんだかアイドルって感じするし、じゃなきゃみんなで練習したり、そもそもグループを作ったりする必要もなくなっちゃうよね。


侑 ドキドキ…


どんな心構えで観にいけばいいんだろう。

他のライブを観て予習しておいた方がいいかな?

いやでも今他のスクールアイドルのこと考えたくないな。


侑「…………ああっだめだ緊張してきた!かすみんに連絡しよう!」バッ

918 :>>1 :2020/12/28(月) 09:43:59.53 ID:2w1/+vuk.net
『かーすみんっ』

『こんばんは!』


送ってから我に返る。

なんでよりによってかすみんを選んじゃったんだ…

もうなんでもいいから誰かと話してないとそわそわしちゃって仕方なかったんだけど、

…なんでよりによってかすみんなんだ…


『かすみん:こんばんは』

『かすみん:どうかしたんですか?』


侑「!」


やばっ、お返事来た!

どうしよう!!

919 :>>1 :2020/12/28(月) 09:48:28.32 ID:2w1/+vuk.net
思ったより返信が速くて驚いたのもある。

どう返そうか迷って、


『なんか、誰かと話したくて連絡しちゃった』

『今なにしてるの?』


思ったことをそのまま文章にしたような、どことなくごまかして適当に繋いだような、どっちとも付かない感じになってしまった。


『かすみん:さっき夜ごはんを食べ終えたので、お風呂に入ろうと思ってたところですけど』


うう、ごめんねかすみん…なんの用もないのに引き止めちゃったよ…


『あ、そうだったんだ。邪魔しちゃってごめんね』

920 :>>1 :2020/12/28(月) 09:50:28.19 ID:2w1/+vuk.net
『かすみん:別にいいですけど』

『かすみん:侑せんぱいはなにしてたんですか?』


あれ、お話続けてくれるんだ。

…えへへ、やった。

921 :>>1 :2020/12/28(月) 10:00:29.76 ID:2w1/+vuk.net
『私はごはんもお風呂も済ませちゃって、ぼーっとしてたとこだよ』

『かすみん:それで誰かと話したくなったんですか』

『かすみん:侑せんぱい、さみしがり屋さんなんですか?』

『え、そんなことないよ!』

『かすみん:わざわざ後輩に連絡しなくても、歩夢せんぱいとお話ししたらいいじゃないですか』

『歩夢とは放課後たくさん話したもん』

『かすみん:一緒に帰ったんですか?』

『そうだよ。お台場に寄ってからね』

『かすみん:ほんとに仲良しさんなんですね』

『まあね!羨ましいでしょ!』

『かすみん:別に羨ましいとは思いませんけど。かすみんだって璃奈ちゃんと仲良しですもん』

922 :>>1 :2020/12/28(月) 10:12:24.82 ID:2w1/+vuk.net
『かすみん:璃奈ちゃんが嬉しそうでしたよ。せんぱいがごはんに誘ってくれたって』

『そうなんだよ!お母さんも璃奈ちゃんのこと可愛がってたし、また誘っちゃおうっと』

『次はかすみんも来るよね?』

『かすみん:考えときます』

『もー、かすみんってば素直じゃないんだから〜』

『璃奈ちゃんとどこか遊びにいったりした?』

『かすみん:まだしてませんね』

『かすみん:今週までは忙しいので、そのうち行きたいですけど』


テンポよく続いてたラリーを、そこで止めてしまった。

聞きたい、と思ってしまったから。

練習の調子はどう?困ってることはない?昨日はちゃんと休めた?

でも、それを私から聞くのは──


『かすみん:まあまあ順調だと思いますよ、ライブの準備』


侑「!」

923 :>>1 :2020/12/28(月) 10:22:44.20 ID:2w1/+vuk.net
『かすみん:昨日、せつ菜せんぱいが練習をお休みするようにしてくれたんですよね』

『かすみん:彼方せんぱいから聞きましたよ』

『かすみん:正直ちょっと疲れてたので、助かりました。ありがとうございます』


かすみん…!

なんだか、たったそれだけのことで、うっかり涙が出そうになってしまった。

いけないいけない、黙りっ放しになっちゃうよ。


『私もせつ菜さんと仲良くなりたかったし、いい機会だったよ。順調ならよかった!』

『かすみん:せつ菜せんぱいのプライベートって全然想像つかないんですけど、どんな風なんですか?』


う…っ。

924 :>>1 :2020/12/28(月) 10:32:06.80 ID:2w1/+vuk.net
えっと…

この感じ、やっぱりせつ菜さんが菜々ちゃんだって同好会のみんなは知らない、のかな。

少なくともかすみんは知らないっぽいよね。

そうなるとなにを話していいのかも難しくなってくるけど…


『昨日は歩夢と三人でドーナッツ作ったんだけどね、せつ菜さんあんまり料理とかやらないらしくて興味津々で楽しそうだったよ』

『かすみん:お料理しそうなイメージはないですもんね。楽しんでたならよかったです』

『かすみん:放課後にドーナッツ作ったことの方が驚きですけど』

『すっごく時間かかったよ!だから昨日の晩ごはんは三人でドーナッツ食べたんだ〜』

『かすみん:せつ菜せんぱいもですか?』

『そうだよ』

『かすみん:そういうの厳しそうですけど、なんか意外です。明日からかっちゃおうっと』

『え!?それ私がせつ菜さんに怒られない!?』

『かすみん:どうでしょうねぇ』

『なしなし!言っちゃだめだよ!』

『かすみん:どうしましょうかねぇ』

『ちょっと〜!』


かすみとラインで話しました! ▼

925 :>>1 :2020/12/28(月) 10:39:06.82 ID:2w1/+vuk.net
とりあえずこんなところで。
保守お任せしっ放しですみません、いつもありがとうございます。

926 :名無しで叶える物語:2020/12/28(月) 19:34:12.78 ID:nbr0RNzb.net
こちらこそいつも良いものを読ませてくれてありがとう

927 :名無しで叶える物語:2020/12/29(火) 00:50:46.76 ID:JsIMiKMy.net
やっと追い付いた!
描写がとても丁寧でええな
こんな百合ギャルゲやりてぇわ

928 :名無しで叶える物語:2020/12/29(火) 09:09:05.39 ID:8dGyaw01.net
保守

929 :名無しで叶える物語:2020/12/29(火) 21:49:22.01 ID:3+Pg3i9s.net
ほし

930 :名無しで叶える物語:2020/12/30(水) 18:21:27.10 ID:l7NwSSif.net
保守

931 :>>1 :2020/12/31(木) 07:43:00.60 ID:Uz+NQcfq.net
翌朝…


侑「お待たせ〜」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


結局、かすみんはあれからしばらくお話に付き合ってくれて、いい時間になってしまった。

流れで『璃奈ちゃんとお出かけしたら報告する』って約束までしてくれたけど、せっかくなら私も混ぜてほしいなぁ…なんていうのは図々しいよね。

それよりも菜々ちゃんに怒られないか、そっちの方が心配だよ。

かすみんが変にからかわなきゃ、そこまで怒られるようなことじゃないと思うんだけどなぁ…


歩夢「一昨日のレモンが余ったから、レモンティーを作ってきたよ。お昼のとき一緒に飲もうね」っ水筒

侑「わあ、レモンティー!甘いやつ?」

歩夢「ほんのりね。ハチミツで味を調えたの」

侑「楽しみになってきた!」ウキウキ

932 :>>1 :2020/12/31(木) 07:49:15.46 ID:Uz+NQcfq.net
お昼休み…


侑「歩夢、レモンティー!」ズイ

歩夢「ゆ、侑ちゃん。ごはんにはたぶん合わないから、食べ終わったら飲もう?」

侑「そっかぁ」

歩夢「お昼ごはんどうする?優花ちゃん達と食べる?」

侑「…」ム…

歩夢「侑ちゃん?」

侑「…レモンティーって、四人で分けたら少なくなっちゃう?」キリッ…

歩夢「………ぷっ」

侑「え?」

歩夢「ふ……うふふっ。そうだね、今日は二人だけでお昼にしよっか」

侑「え?え?なに、なんで笑うの?」

歩夢「なんでもないよ。さ、行こ」クス…

侑「ねー、なんで笑うのー?」


歩夢とお昼ごはんを食べました! ▼

933 :>>1 :2020/12/31(木) 07:55:39.62 ID:Uz+NQcfq.net
放課後…


裏庭を覗いたら誰もいなかったので、そこで歩夢とお昼ごはんを食べた。

果林先輩がいたら一緒にレモンティーを楽しめたのに、こう学校が広いとなかなか会えないものだね。

そういえば、前に果林先輩が『裏庭に変な子がいることがある』って言ってたけど、あれはなんだったんだろう…


今日はどうしようかな? >>934
1.歩夢とまっすぐ帰る
2.裏庭に寄って帰る
3.誰かに連絡する(果林、菜々、璃奈から選択)

934 :名無しで叶える物語:2020/12/31(木) 08:15:11.80 ID:WgERZiBN.net
2

935 :>>1 :2020/12/31(木) 08:20:02.02 ID:Uz+NQcfq.net
歩夢「侑ちゃん、帰ろう」

侑「歩夢。ね、ちょっと裏庭寄ってっていい?」

歩夢「うん、いいよ。忘れ物でもしちゃった?」

侑「ってわけじゃないんだけどね。むしろ思い出したって感じかな」

歩夢「?」

侑「とりあえず行こ!」ギュ

歩夢「わわ…」トト

936 :>>1 :2020/12/31(木) 08:23:55.80 ID:Uz+NQcfq.net
裏庭


歩夢「どうして急に裏庭なの?」

侑「ほら、前に果林先輩が『放課後はたまに変な子がいる』って言ってたでしょ。もしかしたら会えないかなーと思ってさ」

歩夢「ああ、言ってたかも。よくそんなこと覚えてたね」

侑「ふと思い出しただけなんだけどね。でも放課後になるとちょっと肌寒いくらいなのに、ほんとにこんなところに誰かいるのかな」キョロキョロ

歩夢「どうだろうね。果林先輩にしか見えないお友達だったりして」

侑「えっ!?それ、どういうこと…!?」

歩夢「どういうことかな〜………あ、あれ…」ハタ

侑「ひぃっ!?な、なに!?誰かいた!?」ビクッ

歩夢「あそこ、誰か倒れてない…?」

侑「え…た、大変じゃん!行こう!」タタッ

歩夢「うん!」タタッ

937 :>>1 :2020/12/31(木) 08:27:40.26 ID:Uz+NQcfq.net
侑「…ぁ」タタ…

歩夢「どうかしたんですか!?大丈夫ですか!?」

侑「歩夢」

歩夢「侑ちゃん、先生呼んできた方がいいかな!?」

侑「歩夢。大丈夫、たぶんなんともないよ」

歩夢「えっ、ど…どうして…?」

侑「よく見て、その人。彼方ちゃんだよ」

歩夢「え…」

歩夢「ほ、ほんとだ…」

歩夢「っでも、彼方先輩だったらなおさら心配じゃない。早く保健室に──」

侑「大丈夫だよ」スッ

歩夢「侑ちゃん…!」

938 :>>1 :2020/12/31(木) 08:30:15.27 ID:Uz+NQcfq.net
侑「彼方ちゃん、彼方ちゃん。起きて」トントン

彼方 zzz...

侑「おーい、彼方ちゃ〜ん。もう放課後だよ〜」トントン

彼方「……………んむ……」

歩夢「!」

侑「彼方ちゃん。同好会の練習はいいのー?」

彼方「……んん〜…同好会…………」

彼方「………はっ!せつ菜ちゃんに怒られちゃう!」バッ

歩夢「きゃっ」

侑「おっと。おはよう、彼方ちゃん」

彼方「あれ、侑ちゃんじゃん…おはよぉ」

939 :>>1 :2020/12/31(木) 08:35:12.63 ID:Uz+NQcfq.net
侑「おはよ。よく寝てたね」

彼方「ふぁぁ………」

彼方「起こしにきてくれたの?ありがとねぇ」

侑「私達はたまたま通りかかって、そしたら彼方ちゃんが寝てたから驚いて起こしただけだよ。ね、歩夢」

歩夢「う、うん…」

彼方「お〜、歩夢ちゃんもいたんだね。おはよぉ」

歩夢「お、おはようございます…?」

侑「もー、だめだよ彼方ちゃん。ここ陽もあたらないし寒いでしょ?」

彼方「彼方ちゃんがすやぴし始めたくらいの時間は、まだあったたかったんだけどなぁ」

侑「いつから寝てたの?授業は?」

彼方「彼方ちゃんの学科、午後は実習になることも多くてね〜。早く終わったら片付けて帰っちゃっていいんだよ。そしたら同好会の練習まで空いちゃうから、誰もいないここでたまにすやぴしてるの」

侑「そういうことだったんだー」

940 :>>1 :2020/12/31(木) 08:46:21.79 ID:Uz+NQcfq.net
彼方「やー、侑ちゃん達が通りかかってくれて助かったよ〜。お寝坊したらせつ菜ちゃんに怒られちゃうからねぇ」

侑「今から同好会の練習に行くんだね」

彼方「うん。ラストスパート、頑張らなくっちゃ」

歩夢「明後日なんですよね。侑ちゃんと応援に行きますね」

彼方「ありがとう、歩夢ちゃん。観にきてくれたみんなに恥ずかしくないパフォーマンスができるように頑張るよ〜」

侑「みんなの体力は大丈夫そう?」

彼方「ん〜…ま、もう間もなく本番だからなんとか乗り切れると思うよ。これが来週だったらって考えると、さすがの彼方ちゃんもちょいとビビっちゃうけどね」

侑「そっか…」

彼方「そんなカオしないで」ポン

941 :>>1 :2020/12/31(木) 08:50:44.94 ID:Uz+NQcfq.net
彼方「一昨日侑ちゃんが協力してくれたこと、本当にみんなのためになったんだよ。身体を休められた彼方ちゃん達だけじゃなくて、これはせつ菜ちゃんのためにもなったことなの」

彼方「こんなに近くで私達を応援してくれる侑ちゃんがいるから、みんな頑張れてるんだからね」

彼方「彼方ちゃん達のライブを観るときまでそんなしょぼくれたカオしてちゃだめだぜ〜?」ウリウリ

侑「わわっ…や、やめてよ彼方ちゃ〜ん」

彼方「さって!」スクッ

彼方「せっかく侑ちゃん達に起こしてもらったんだから遅刻せずに行かないとね」

侑「もう、髪ぼさぼさになっちゃったじゃん!」

彼方「いひひ。スクールアイドルの彼方ちゃんより可愛かったから、いじわるしちゃいました〜」

侑「も…もーっ!」

942 :>>1 :2020/12/31(木) 08:54:51.99 ID:Uz+NQcfq.net
彼方「そいじゃ彼方ちゃんは行くよ。ありがとね、二人とも」ノシ

侑「行ってらっしゃい!」ノシシシ

歩夢「頑張ってくださいね」ノシ

侑「………果林先輩が言ってたのって、彼方ちゃんのことだったんだね」

歩夢「みたいだね。お昼寝してただけなんて、びっくりしちゃったよ…」

侑「あはは。私は前にも公園で寝てる彼方ちゃん見たことあったから、今回もそうなんだーってすぐにわかったよ」

歩夢「だ、大丈夫なのかなぁ」

侑「やめなよって言ったんだけどな。ま、学校の中なら安全なんじゃない?」

侑「それより歩夢、髪やってー」

歩夢「はいはい。もう、こんなにぼさぼさにしちゃって」クシクシ

侑「わ、私のせいじゃないじゃ〜ん!」


裏庭で彼方とお話ししました! ▼

943 :>>1 :2020/12/31(木) 08:57:15.64 ID:Uz+NQcfq.net
夜…


侑「とうとう明後日かぁ。明日もみんな練習するのかな?あんまりやり過ぎないでほしいけど…」

侑「ライブが終わったらせつ菜さんときちんと話すって言ってたし、私が心配することじゃないよね…」

侑 ウーン…

侑「私にできることって、やっぱりもうないのかなぁ…」


考え事をして過ごしました! ▼

944 :>>1 :2020/12/31(木) 08:57:56.12 ID:Uz+NQcfq.net
短いですが。
今晩も少し更新できる、かも。

945 :>>1 :2020/12/31(木) 17:37:42.68 ID:Uz+NQcfq.net
翌朝…


侑「んー…」ゴロ


朝日。


侑「…」ゴロ…


突っ伏す格好で目覚めた後、ぐるりと仰向けに寝返り。


侑「お腹、空いたなぁ…」


お腹が空きました。


どう過ごそうかな? >>946
1.お母さんに朝ごはん作ってもらう!
2.歩夢とランチに行く!
3.明日に向けて課題を終わらせる!?

946 :名無しで叶える物語:2020/12/31(木) 17:53:37.87 ID:wFtJ0r0t.net
2

947 :>>1 :2020/12/31(木) 18:02:23.36 ID:Uz+NQcfq.net
侑「ん〜〜〜」ムムム… ←仰向け

侑「…よし!今日は朝ごはん食べずに、歩夢と思いっ切りお昼ごはん食べよう!」

侑 スマスマ…

歩夢『はい。おはよう侑ちゃん』

侑「おはよう歩夢!もう朝ごはん食べちゃった?」

歩夢『ううん、まだ食べてないけど…どうかしたの?』

侑「今日さ、ランチ行こうよ!歩夢と行きたかったお店があるんだ〜」

歩夢『うん、いいよ。えっと、もう出るってこと?遠いの?』

侑「遠くはないんだけど、お腹空いたから早めに行きたいなーと思って」

歩夢『朝ごはんは食べないの?』

侑「うーん…食べない。思いっ切りお昼ごはんを食べたいんだ!」

歩夢『なにそれ』クス

歩夢『わかった。それじゃ私も朝ごはん食べないことにするね』

侑「シャワー浴びたいから、んー…後で連絡するね!」

歩夢『はーい』

948 :>>1 :2020/12/31(木) 18:04:38.59 ID:Uz+NQcfq.net
侑「お待たせ〜」タタタ

歩夢「もう、誘っておきながらのんびり屋さんなんだから」

侑「えへへ、ごめんごめん」

歩夢「ところでどこに行くの?電車に乗るんでしょ?」

侑「うん。行きたいのはね、もんじゃ屋さんなんだ!」

歩夢「もんじゃ屋さん?…って、もしかして…」

侑「そう!愛ちゃんのお家に行ってみようよ!」

949 :>>1 :2020/12/31(木) 18:09:47.59 ID:Uz+NQcfq.net
もんじゃ みやした


侑「んー………あ、ここかも」

歩夢「『宮下』だって。そうみたいだね」

侑「ちょっと着くの早かったかなぁ。まだ準備中かもしれないね」

歩夢「あれ?侑ちゃん、これ…」スッ


『本日貸切!』


侑「えーっ、貸切…!?」ガーン…

歩夢「あちゃあ。事前に確認したらよかったね」

侑「…」

歩夢「どうしよっか。せっかくこの辺まで来たんだし、神田辺りにでも行ってみる?」

侑「………いや!聞くだけ聞いてみる!」

歩夢「えっ、貸切って書いてあるのに!?」

侑「昨日から看板戻してないだけかもしれないからさ。すみませーん」ガララ

歩夢「え…ええっ、侑ちゃん…!」

950 :>>1 :2020/12/31(木) 18:14:19.04 ID:Uz+NQcfq.net
「「「ハッピバースデー!!愛ちゃーーーん!!」」」


パン! パパン! パン!!


ゆうぽむ「「──うわっ!?」」ビクッ

「愛ちゃん何歳になったんだー!?」

「くそーっ、俺があと20歳若ければ〜!」

「俺はまだまだ10代の気持ちだぞ!」

「わ、お客さん来ちゃった!ちょっと待ってみんな、ストップストップ!」

歩夢「な、なに…?」

愛「…って、侑じゃん!歩夢も!」

歩夢「あ、愛ちゃん…こんにちは…」

侑「愛ちゃん!私達ランチしにきたんだけど、今日ってほんとに貸切なの?」ズイッ

愛「おおっと」

951 :>>1 :2020/12/31(木) 18:16:07.59 ID:Uz+NQcfq.net
歩夢 キョロ…

歩夢「あっ、侑ちゃん見て!」クイ

侑「え?」


『愛ちゃん お誕生日おめでとう!!!』


歩夢「もしかして今日って…」

侑「愛ちゃん、お誕生日なの!?」

愛「そうだよー!だから常連のみんなに集まってもらって愛さんの誕パやってんだー!」

侑「だから貸切だったんだ…!」

952 :>>1 :2020/12/31(木) 18:23:45.64 ID:Uz+NQcfq.net
歩夢「そういうことだったんだね。タイミングがいいのか悪いのか…あ、愛ちゃん。お誕生日おめでとう」

愛「ありがと!ピチピチの17歳になりました!」ゞ

愛「あっという間に、もーもー17歳!ピチピチだけにピーチってね!」

侑「あはははっ……ピーチでもーもー17歳だって!あははは………!」ヒィヒィ

歩夢「お誕生日パーティやってるんじゃ、さすがにランチでお邪魔するわけにはいかないね…」

愛「へ?なに言ってんの、水臭いこと言わないでよ!」

歩夢「え?」

愛「こんなチョーサイコーのタイミングで来てくれたんだもん、一緒に祝ってってくれなきゃ愛さん悲しいぞ!」

953 :>>1 :2020/12/31(木) 18:25:24.49 ID:Uz+NQcfq.net
歩夢「で、でも常連さんだけのパーティなんじゃ…」

愛「お祝いは誰にされたっていいわい!なんつって!誕パの日に友達追い返すなんて有り得ないっしょ!ねー、みんな!」

「そうだそうだ、せっかく来たんだから一緒にお祝いしようぜお嬢ちゃん!」

「愛ちゃんの友達なら俺達の友達みたいなもんだよなあ!」

「大将!みやしたスペシャルをあの子達に!」

愛「いやそれ愛さんが言うやつだからー!………ね?今日はランチの料金貰わないし、もう帰すつもりないからさ、入って入って!」

歩夢「それなら…お言葉に、甘えようかな。ね、侑ちゃん──」

侑 ヒーッヒーッ 床ベシベシ

愛「ちょっとちょっと侑〜、今からそんなんじゃついてこらんないよ?今日は愛さん絶好調でダジャレ飛ばしまくってくからね!」

侑「か、勘弁してぇ…!」

954 :>>1 :2020/12/31(木) 18:31:41.05 ID:Uz+NQcfq.net
愛「はいー!みやしたスペシャルに愛さんスペシャル、出来上がり!」

「おーっ、来た来た!」

愛「侑と歩夢にはこれもね!」

侑「あっこれ…!愛ちゃん特製のスペシャルドリンクだ!」

愛「お気にだったっしょ?いっぱい飲んでよ」

侑「ありがとう愛ちゃん!歩夢、これ前に話したやつ!」

歩夢「わぁ…!侑ちゃんに聞いてから飲んでみたかったの。頂くね、愛ちゃん」

愛「どーぞどーぞ」

ゆうぽむ ゴクビッ…

歩夢「……美味しい!」

愛「でしょーっ」ニカッ

侑「歩夢、それめちゃくちゃもんじゃに合うんだよ。食べよう!愛ちゃんも座って、一緒に食べようよ!」

愛「だね。もんじゃはみんなで食うもんじゃ!サイコーの加減で焼いたげるからちょい待ちね!」チャッチャッチャッ

歩夢「すごい手捌き…」

侑「ねー、これ見てるだけでも満足しちゃいそうだよ」グゥゥ…

歩夢「…満足してなさそうだね」

侑「もーっ、私のお腹〜!」

955 :>>1 :2020/12/31(木) 18:42:21.46 ID:Uz+NQcfq.net
「そんで課長が電話に絶対出たがらないんだよ。課長の内線にかかってきてるのに、一回こっちで出て繋がなきゃいけなくてさ〜」

愛「内線に出ない選択があるんかい!ってね」

「聞いてよ愛ちゃん、主人が目も合わせてくれないから何度も詰め寄ったら、照れながら『結婚記念日の』ってピアスくれたのよ。用意したけどどうやって渡せばいいかわからなくて照れてたんだって!」

愛「おーっ、それはハッピーな明日になりそうだね!ピアスだけに!」

「愛ちゃん、まだビール飲んでいいかな!?かみさんがお義母さんとこ行ってて留守にしててさ、帰っても寂しいからここで飲んでっちゃいたいんだよ!」

愛「う〜ん……今日は奥さんに代わって愛さんがゆるーす!留守の間だけね!」


侑「愛ちゃん、すごいね。大人気だぁ…」

歩夢「ね。料理も運んで焼くのもやってくれて、ああやってお話ししたり一緒に食べたりしてくれて、常連さん達ともみんな仲良しなんだね」

956 :>>1 :2020/12/31(木) 18:48:17.88 ID:Uz+NQcfq.net
侑「こんなに楽しいお店なら、常連になりたくなっちゃうのもわかるよね」

歩夢「うん。もっと近かったらたくさん来ちゃいそう」

愛「学校からうちなんてすぐじゃん、そう言わないでいつでも来ちゃってよ!」ヒョコ

歩夢「わ、愛ちゃん。聞いてたの?」

侑「愛ちゃんが一つの部活に入らないのって、お店があるからなの?」

愛「え、どうかな。考えたことないけど、そうだね。たまに助っ人するのはいいけど毎日ってなるとなぁ、お店でこうやってみんなと話してるのが一番楽しいからね」

侑「へえ、楽しいんだぁ…!楽しそうだなぁ…!」

愛「お。侑、興味ある?愛さんと一緒に看板娘やる?」

侑「看板娘…!!」パァ

歩夢「えっ侑ちゃん!?」

957 :>>1 :2020/12/31(木) 18:53:36.73 ID:Uz+NQcfq.net
愛「ま、愛さん一人いればホールは間に合っちゃうからさ。職場見学がてら、暇なときにでもやりにおいでよ!侑なら大歓迎だしみんな可愛がってくれるよ」

侑「うんっ、やるやる!」

歩夢「ちょっと侑ちゃん…!」

侑「たまにだってば、放課後なんにもすることなくて暇だーって日だけ!ね?」

歩夢「もう、またすぐそうやってやること増やすんだからぁ…」

愛「あははっ、なんなら歩夢も一緒においでよ。したら暇なとき連絡して、せずに来ても全然いいけど!」サラサラ…

愛「ほい、愛さんのライン」っ紙

侑「ありがとう愛ちゃん!」

歩夢「も、も〜…!」

愛「今日もまだまだ楽しんでってよ。みんな、愛してるよ!愛だけにっ☆」


愛の誕生日パーティに参加しました!
愛の連絡先を手に入れました!    ▼

958 :>>1 :2020/12/31(木) 18:56:19.98 ID:Uz+NQcfq.net
今晩は…というか、今年はこれで最後の更新になると思います。
年内に完結させたかったのですが間に合いませんでした、年始何日から書けるか不明ですがもうしばらくお付き合いください。

皆さん、よいお年を!

959 :名無しで叶える物語:2020/12/31(木) 20:59:34.72 ID:XUhuVmYN.net
よいお年を

960 :名無しで叶える物語:2020/12/31(木) 22:26:26.08 ID:WgERZiBN.net
よいお年を

961 :名無しで叶える物語:2020/12/31(木) 23:30:21.04 ID:4TPyiq8y.net
良いお年を!

962 :名無しで叶える物語:2021/01/01(金) 16:16:28.29 ID:Hr4oH5qP.net
あけおめ

963 :名無しで叶える物語:2021/01/02(土) 07:32:41.95 ID:bG/SzKUj.net
年始の保守

964 :名無しで叶える物語:2021/01/02(土) 22:33:39.36 ID:fqXlQ+kM.net


965 :名無しで叶える物語:2021/01/03(日) 04:50:53.82 ID:hU3lLeJZ.net
保守

966 :>>1 :2021/01/03(日) 09:41:04.34 ID:oMXPABdg.net
翌朝…


侑「お待たせ〜」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


ライブはお昼前、11時から。

少し早めに歩夢と待ち合わせて商業エリアに向かう。


歩夢「侑ちゃん、早かったね」

侑「寝坊なんかしないよ、この大事な日に」

歩夢「鳴らしても鳴らしても出なかったから、お家まで行っちゃおうかと思ったよ」

侑「ごめんごめん、起きたよって連絡すればよかったね」

歩夢「本当に楽しみにしてるんだね」

侑「──もちろん!!」

967 :>>1 :2021/01/03(日) 09:50:49.59 ID:oMXPABdg.net
お台場、フェスティバル広場


侑「おお…」


開演より30分ほど前なのに、会場にはそれなりに人がいる。

みんながみんな同好会のライブを観にきた人達ってわけじゃないだろうけど、それはつまりアンテナを張ってなかった人達にも観てもらえる機会ってことだから、むしろいいことだよね。

当然中にはチラシを手に持ってる人もいる。


侑「すごいね歩夢、あそことあそこ、あっちの人も…ライブを観にきたみたい」

歩夢「うん。あのグループはさっき看板を眺めてたから、初めて知って立ち止まったのかも」

侑「ああ〜っ、チラシたくさん取ってきたらよかった!開演までの時間で一人でも多くの人に宣伝したかったよ〜!」

歩夢「せっかくこんなにアクセスのいい場所でやるんだもんね。待合せに早く着いちゃった人とか、いるかもしれないし」

侑「……私、チラシ探してくる!インフォメーションとかに置いてあるかな!?」ガタ…

歩夢「ま、待って待って侑ちゃん!もう行って取ってくるほどの時間ないよ。侑ちゃん自身が見逃しちゃうよ!?」ガシッ

侑「うおっと、そっか、それはだめだね…」フー…

歩夢「もどかしい気持ちはわかるけど、今日はしっかり応援することに集中しよう?ね、最前列で観るんでしょ?行こ」

侑「うん…!」

968 :>>1 :2021/01/03(日) 09:58:13.64 ID:oMXPABdg.net
初めてのドキドキ。

ずっと楽しみにしてた映画の上映開始直前。

新学期に教室の扉を潜る瞬間。

クリスマスの朝、枕元のプレゼントをひらく気持ちにも似てるかもしれない。

しずくちゃんと観にいった演劇のときと同じ気持ちのような、違う気持ちのような。

期待と、不安と。

歩夢と繋いだ左手の温もりがなかったら、私はおとなしくしていられたかな。

周りのざわざわが大きくなったり小さくなったり、私の心臓に合わせるように様子を変えて──


コツ、と澄んだヒールの音が響いた。

969 :>>1 :2021/01/03(日) 10:07:18.28 ID:oMXPABdg.net
侑 ──ハッ…


コツ、

コツ、

コツ──


赤をベースにした制服風の衣装。

黒のベーシックスカートを覆うようにはためくフリルとプリーツ。

力強く、鈍く、すらっと脚を包むハイブーツ。

サスペンダーと同じ色合いのネクタイが、明るい上半身の印象をぎゅっと引き締める。

太ももの花飾りと頭にちょこんと乗った小さなハットが可愛らしさも見せてくれる。


そんな──そんな、


「せつ菜ちゃーーーん!!!」


優木せつ菜が──現れた。

970 :>>1 :2021/01/03(日) 10:18:21.43 ID:oMXPABdg.net
侑「歩夢、あれ…!せつ菜ちゃんだ…!!」

歩夢「う、うん…!」


心なしか歩夢の声も少し高い。

ぎゅう、と二人の手に力が入る。

目を伏せたまま、丁寧に階段を下りてくる。

周囲からちらほら飛ぶ声援はまるで聞こえないかのように、自分の意識だけを大切に抱えて。


──コツ


階段を下りきって中腹のステージに辿り着く。

口元は、笑ってる?噛み締めてる?震えてる?

どうにだって受け取れるように、控えめのルージュがチカッと照明を返した。


レザーのグローブが軋む音。

大きく息を吸ったのは、優木せつ菜か、お客さん達か、それとも──私か────


せつ菜「♪走り出した!思いは強くするよ 悩んだら、君の手を握ろう──」


優しく詩を詠むような透明に響く声、


せつ菜 ──フッ

侑「────っ……!」ドキン…



♪────ッッッ!!!

971 :>>1 :2021/01/03(日) 10:39:41.33 ID:oMXPABdg.net
せつ菜さんが伸ばした手。

私はいつの間にか同じように右手を伸ばしてしまっていて、あと1cm──触れ合える直前、音と熱の暴力が私達の間を駆け抜けていった。

これまで動画でいくつか観たどんなスクールアイドルの曲よりも熱く、激しく、情熱的で、身体も意識も置いていかれるような魂のミュージック。

せつ菜さんの手が動く。脚が動く。

もしかして、せつ菜さんの身体が楽器で、その動きがこの強烈な音を奏でているの──?

声が、表情が、振り下ろす腕が、踏み締める脚が、

一つ一つ、ズシンと私の胸を揺らす。

心臓がどんどん速くなっていくのを感じてしまう。

伸ばしたまま下ろせずにいる右手は気づけば痛いほどに握り締めていて、駆け巡る血液があと少しでも速くなってしまったら血管が切れちゃうんじゃないかってくらい熱くて、熱くて、熱くて、熱くて──


せつ菜「────────────ッ!!!」


その叫びで、なにかが吹っ切れてしまった。

痛っ、と聞こえた気がしたけど、それどころじゃない。

全身が内側からこみ上げる感情の行き場を探してガタガタと震える。

届け!届け!届け!届け!

私は今、あなたに世界の全てを奪われたんだ。

終わる──終わってしまう──終わらないでほしい、もっと声を聞かせて──もっとお話ししよう──


せつ菜さん──!

せつ菜さん──!!

せつ菜さん────!!!

972 :>>1 :2021/01/03(日) 10:51:40.22 ID:oMXPABdg.net
────ッ♪………


はぁっ……はぁっ………はぁっ…………


キラキラと輝きが舞い上がっていくように、曲は終わりを迎えた。

会場に響く歓声は、せつ菜さんの声より何倍も大きい。

だけど、私にはたった一人が奏でた音だけがじんじんと残っている。

胸を焦がすような高鳴りが、止まない。止まない。

瞼を閉じれば何度だって出会えそうなほどに焼き付いてしまった衝撃が私を捕まえて離さない。


──パタッ


侑「!」ハッ


ひとしずく、汗が石畳にはねて、ふと我に返る。


せつ菜 ──ニッ

せつ菜「皆さん、ようこそお越しくださいました!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のグループ結成ライブへ!」


そんな口上を聞いて、全身から力が抜けていく。


歩夢「……侑ちゃんっ」ガシッ

侑「あ、あゆむ…」

歩夢「だ、大丈夫?随分聞き入ってたけど…」

侑「ああ、うん、大丈夫。ありがとう」

侑「すごかったね。私、なんて言えばいいのか…わかんないくらい、…感動しちゃった」

歩夢「────」

歩夢「そう、だね。すごかったね。でもほら、今日のライブはせつ菜さんだけのものじゃないんだよ。みんな出てくるみたい」

侑「っと、そうだった。気を抜いてる場合じゃないよね」ットト

973 :>>1 :2021/01/03(日) 11:09:00.50 ID:oMXPABdg.net
彼方ちゃん、エマ先輩、かすみんがそれぞれ思い思いの様子でステージに下りてくる。

かすみんは手をぶんぶん振りながら一段飛ばしで階段を駆け下り、一番にせつ菜さんの隣に並んだ。

エマ先輩は嬉しそうに瞳をきらきらさせながら会場を眺めるように視線をあちこちへ向けていて、私と歩夢に気がつくと小さく手を振ってくれた。

彼方ちゃんは最初に姿を見せたにもかかわらず、とぼとぼと歩くせいでステージに着いたのは最後だった。


ずらり、

ステージに四人の視線が並ぶ。

せつ菜さんがみんなに目配せをすると、それぞれ姿勢を変えて綺麗な陣形に移る──


歩夢「みんな、緊張してるね」

侑「そう、だね」


彼方ちゃんも、かすみんも、エマ先輩も。

口元こそ柔らかな曲線を描いてるけど、すごく力が入ってるのが目に見える。

目と眉はさまよわせる余裕もなく、ただただ前方に向けられるばかりで。

全員の様子を確認したせつ菜さんでさえ、さっきとは打って変わって──どこか、不安そうな表情を浮かべてる。


みんな、頑張れ──!


聞き覚えのあるイントロが流れ出して、二曲目が始まった──………

974 :>>1 :2021/01/03(日) 11:25:06.83 ID:oMXPABdg.net


せつ菜「────本日は、ありがとうございました!」

「「「ありがとうございました」」」

せつ菜「これからも私達は、皆さんに応援していただき愛していただけるよう、精いっぱい精進していきますので、よろしくお願いします!」

せつ菜「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会でした!」


パチパチパチ…

まばらな拍手に見送られて、同好会のみんなは袖へと引っ込んだ。

歩夢と繋いだ左手、お互いに力がこもる。

二曲。

せつ菜さんの一曲と、四人での一曲。

今日のライブで披露されたのはそれだけで、時間はまだ11時半にもなってない。

たぶんだけど、他の曲をやる予定はあったんだと思う。

でもそれを、せつ菜さんが止めた。

二曲目が終わった後、せつ菜さんがステージの袖に視線を送る不自然な空白の時間があって、そのまま最後の挨拶に移った。

理由は──会場の空気だ。

せつ菜さんの曲で確かに盛り上がっていた空気は、二曲目が進むにつれて徐々に──徐々に──落ち着いていった。

それはきっとパフォーマンスをしてたみんなにも伝わってしまったはずで、これ以上続けるのはよくないってせつ菜さんが判断したんだと思う。

私達はいつの間にか離してた手を改めて繋ぎ直したし、お客さんの数は減った。

975 :>>1 :2021/01/03(日) 11:35:52.77 ID:oMXPABdg.net
同好会のみんな、四人での曲は、決して悪くなかった。

少なくとも目立つような歌や踊りのミスはなかったし、きちんと最後までやりきった。

でも、それだけだった。

心を奪われるような熱とか、目を離せなくなるほどの圧倒とか、そういうものを感じなかった。

どちらかといえばハラハラしながら見守ってしまう気持ちの方が大きくて、正直なところ、パフォーマンスを充分に楽しめたとは言えない。


侑「…でも、結成したばっかりのグループなんだもん。最初はみんなそうに決まってるよね」

歩夢「そうだね」

侑「みんな、練習頑張ってたもん。次のライブはもっとよくなるし、その次はもっともっとよくなるよ」

歩夢「私も、そう思うよ」

侑「なのに、みんな…途中で帰っちゃったりして……ひどいよ…」

歩夢「……そう、だね」


二曲目が半分くらい進んだ頃、どこかから聞こえてきた会話。


──「せつ菜ちゃん、グループ組むんだね」

──「ね。ずっとソロでやるのかと思ってた」

──「なんでグループ組むんだろうね」


──「一人の方が、いいのに」


私はショックだった。

目の前でみんなが一生懸命パフォーマンスしてるのにそんな会話をされてることもそうだし、曲よりもそんな会話が耳に入ってしまったこともそう。

でもなによりも、


────確かにね…────


そんなことないって真っ先に思えなかった自分が、恥ずかしくて恥ずかしくて──悔しかったんだ。

976 :>>1 :2021/01/03(日) 11:42:19.58 ID:oMXPABdg.net
すっかりいつもの風景に戻った広場で、私達はまだ手を繋いでぼうっと立っていた。


歩夢「侑ちゃん」

侑「うん」

歩夢「みんな、まだステージの近くにいるかもしれないよ」

侑「!」

歩夢「会いにいかなくて、いい?」ジッ

侑「会いに…」


侑「……ううん、いい」フル…

侑「今は私が会いにいくタイミングじゃないと思う。みんなだけで話したいことが、きっとたくさんあると思うんだ」

歩夢「…わかった」コク

歩夢「それじゃ、お昼ごはんでも食べてから帰ろっか」

侑「うん…」


同好会のライブを観にいきました! ▼

977 :>>1 :2021/01/03(日) 14:59:32.67 ID:oMXPABdg.net
※ スレ残数の関係上、展開を詰めています。ご理解ください。


夜…


『菜。』


トーク履歴は何日か前のままで止まってる。

まずはライブを労いたかった。

でも、なんて言えばいいのかわからなくて、こんな時間になるまでメッセージを送れずにいた。

せつ菜さんのパフォーマンスが素晴らしかったこと。

感じた想いや胸の高鳴りをそのまま伝えたい。

それと、全体曲。ライブの話をすれば絶対に避けられない。

私はよかったと思った。

素人の目にもいくつか課題はあるように見えたけど、そんなことはきっとみんなが一番わかってることで、私がわざわざ言う必要なんかない。

だけどライブをあそこで止める判断をした、その引き金になったのであろう空気。聞こえた感想。

あまりにもかけ離れた二曲について、どんな風に話せばいいのかどうしても整理できずにいた。

もう、いい時間になっちゃう。

このまま明日を迎えたら、私は同好会のみんなと──せつ菜さんと、今日のライブの話をできなくなってしまうような気がする。


──歩夢「みんな、まだステージの近くにいるかもしれないよ。会いにいかなくて、いい?」


あのときみんなの元に行かなかったのが、そのタイミングじゃないと思ったからなのは嘘じゃない。

でも本当の理由は違って、私は、


侑「せつ菜さんと話したいんだ──」ポツ…


せつ菜さんと。

せつ菜さんだけと、話がしたい。


侑「…よし」


手近な上着を羽織って、お母さんに一言、家を出て電話を鳴らした。

978 :>>1 :2021/01/03(日) 15:14:53.88 ID:oMXPABdg.net
近所の公園


菜々「侑」ジャリ…

侑「こんな時間に呼び出してごめんね」

菜々「本当ですよ。消耗品の管理ができない子だと思われたらどうするんですか」

侑「私は全然できてないから大丈夫だよ」

菜々「それは大丈夫ではありません」クス…

侑「隣、座らない?」

菜々「それでは失礼して」スッ

侑「…誰もいないね」

菜々「児童遊園ですよ?こんな時間に子どもが遊んでいる方が問題です」

侑「遊具もあんまりないから、私近所なのにほとんど来たことないよ」

菜々「私は…どうでしょうか。元々外で遊び回る幼少期ではなかったので、そうですね、あまり馴染みがないように思います」

侑「っていうかこんなに近所だったらニジガク入る前にも何回か会ってそうだよね」

菜々「会っていたかもしれませんね。まあ、とは言えこの辺には世帯が多いのでそんな相手はごまんといそうですが」

侑「もー、菜々ちゃんってばつれないなぁ。そこは実は幼稚園の頃一番の大親友だった相手ってことにしようよ」

菜々「ふふ。それは歩夢さんなのではないですか?」

侑「そうだね、間違いないや」

菜々「幼馴染み設定は上手く使うのが難しいものなんですよ」

侑「設定?」

菜々「ラノベの話です」

侑「ああ」クス

979 :>>1 :2021/01/03(日) 15:21:47.37 ID:oMXPABdg.net
侑「…ライブ、お疲れ様」

菜々「…ありがとうございます」

侑「どうしても今日中に言いたくてさ、会いにきちゃった」

菜々「ラインや電話でもよかったのに。侑のそういうところ、素敵ですよ」

侑「……ううん、そうじゃないんだ」

菜々「と、言いますと?」

侑「なんて言えばいいのか…わかん、なくて」

侑「会えば言葉が出るかなって思ってね」

菜々「…そうでしたか」

侑「うん」

菜々「………侑」ス──

侑「うん、なに?菜々ちゃ──わっ!?」グイッ

菜々 ジィィィ…

菜々「私の顔が見えますか?」

侑「よ、よく見える…けど…」

菜々「言葉は出そうですか?」ニコッ

侑「ぁ…」

侑「……あぁぁぁ………もう、何事かと思ったよ…」ヘナ

菜々「会えば言葉が出そうだったと、侑が言ったんじゃないですか」

侑「そうだけど、菜々ちゃん…心臓に悪いなぁ…」ハァ

菜々「?」

980 :>>1 :2021/01/03(日) 15:41:06.85 ID:oMXPABdg.net
侑「私ね、スクールアイドルのライブって生で初めて見たんだけど」

侑「せつ菜さんのパフォーマンス、すっっっごく、よかったよ!!」

菜々「!」

侑「熱くて激しくて情熱的で、もう…これだーっ!って感じだった。胸のときめきが抑えられなくて……あっそうだよ、うん…私、すっごくときめいたんだ!」

菜々「それは…とても、嬉しいです…」//

侑「せつ菜さんが友達だってこととか普段の様子とか吹き飛んじゃって、なんか…なんていうのかな…手とか伸ばしちゃった。触れたかったのかも」

菜々「伸ばしてくれてましたね」

侑「えへへ、見えてた?」

菜々「当然見えますよ。最前列にいてくれましたし、手を伸ばしてたのなんか侑くらいでしたから」

侑「だ…だってぇ…」

菜々「…」

菜々「………触れたかった、というのは」

菜々「どういう想いですか?」

侑「え?」

菜々「せつ菜のパフォーマンスが侑に響いたというのなら、それほど喜ばしいことはありません。たくさんのお客さんが来てくれていましたが、最も目を輝かせてくれていたのは侑でしたよ」

菜々「私もステージの上では日頃のことなどすっかり忘れてしまう方なので、一人のスクールアイドルとしてあなたというお客さんと向き合えたことが純粋に嬉しく思います」

菜々「ですが、せつ菜はやはりスクールアイドルとしての姿であって、私は──今の私は、菜々です」

菜々「せつ菜のことを語る侑の瞳が嬉しくくすぐったい反面、どこか…もやもやとしてしまうんです」

菜々「…侑」

侑「は、はい」

菜々「あなたが憧れ、手を伸ばし、触れたいと思ったのはきっとせつ菜なのでしょう。そんな侑の手を、『私』が取っては──いけませんか?」

侑「そ、れ…は」

981 :>>1 :2021/01/03(日) 15:57:58.78 ID:oMXPABdg.net
じっと、視線が交わる。

ステージの上に見たせつ菜さんの燃えるような瞳とは違う、穏やかで凛々しい光。

このどちらも同じ人だなんて、見てしまった今こそどこか信じられない気分だ。

肩口で左右に結んで垂らした髪。

家用の髪型なのかな、生徒会室でよく会うときより雰囲気が柔らかい。

決して高くない背。

私より少し高く感じるのは、きりっとした印象のせいか、姿勢がいいせいか。


私が伸ばした手。

あれは、なにを求めたんだろう。

自分にない輝く意志を持った姿に、思わず伸びてしまったんだけど。

もしもあの手を取ってくれる誰かがいたなら、それは──せつ菜さんがよかった?それとも菜々ちゃんがよかった?

私は…


侑「…わかん、ない」

侑「あのときなんで手を伸ばしちゃったのか、自分でもわかんないんだ」

侑「触れたかった、のは、せつ菜さんがあんまりにもカッコよかったから。自分が持てないものを持ってるように、感じたから、かな」

侑「触れられないってわかってたから伸ばしたのかもしれない。もし触れられてたら、そこで憧れが違うなにかに変わっちゃってたのかも……なんて…」

侑「…あはは、ごめん、ほんとにわかんないんだ──」

菜々 スッ──


…ギュ


侑「…ぁ…」

菜々「触れて、しまいました」

侑「菜々、ちゃん…」

菜々「せつ菜の魅力が触れられないことにあるというのなら、この温もりは、『私』にしか与えられないものですね」

侑「────……っ…」ドキッ…

982 :>>1 :2021/01/03(日) 16:34:50.07 ID:oMXPABdg.net
侑「あの、あの…菜々ちゃん…」

菜々「私、スクールアイドルを引退するつもりでいます」

侑「────えっ…」

侑「なん……なん、で…?」

菜々「小さな理由はいくつかあるのですが、あえてなぜと訊かれると、同好会の皆さんのため…でしょうか」

侑「同好会の、ため…?」

菜々「今日のライブを観ていて、わかったでしょう。こんなことを認めたくはありませんが、私──せつ菜の存在は、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が活動をする上では邪魔にしかならないんです」

菜々「一年の活動実績がある私と活動を始めたばかりの同好会の皆さんでは、どうしてもパフォーマンスに差が出てしまいます。それは練習量や経験値などの積み重ねであって、一朝一夕で埋まるものではない」

菜々「今回、ライブに向けて皆さんの練習を私がまとめる形になったのですが、……控えめに言って最悪でしたよ」

菜々「私は生来手を抜ける性分ではないですし、せつ菜を客観的に見る視点も持ち合わせています。皆さんのパフォーマンスをせつ菜と同じところまで、せめて同じステージに立ってお客さんに違和感を与えないところまで引き上げるには、あまりに期間が短過ぎました」

菜々「時間が取れない分、質を高めようとすれば、高校生の身体には負担の強いメニューが続いてしまう。それがわかっていても、合理的に考えるとそうせざるを得なかったんです」

菜々「全員なんとか喰らいついてはくれましたが、限界寸前だったと思います」

菜々「…先日、侑達にドーナッツ作りへ誘ってもらえたこと、だから本当はよかったと思ったんです。あの日練習を休んでいなかったら、疲労で誰かがケガをしていたかもしれない」

菜々「……それをわかっていてもなお、私は止まることができませんでした」

菜々「私と皆さんが同じステージに立つのは、今の時点では現実的じゃない。ですがスクールアイドルである以上、同じ虹ヶ咲学園に通う私達が異なる組織として活動をすることもできない」

菜々「私はスクールアイドルを続けている限り、立てるステージを逃すという選択をきっと取れないでしょう。そして、同好会の皆さんはそのたびにせつ菜と並ぶための異常な練習をこなすことになる」

菜々「今回はなんとか全員無事に乗り切れましたが、次もそうである保証はない。誰かがケガをしてしまうか、あるいはスクールアイドルを諦めてしまうか。そんな未来が待っています」

983 :>>1 :2021/01/03(日) 16:51:52.55 ID:oMXPABdg.net
侑「そんな…」

侑「菜々ちゃんっ……せつ菜さんは、本当にそれでいいの?」

侑「同好会のみんな、きっとこれからどんどんすごくなるよ。練習はきついかもしれない、次のライブではまだまだかもしれないけど、少しずつ上達していって、いつかせつ菜さんに並ぶよ。ううん、追い抜いちゃうかもしれない!」

侑「そんなみんなと一緒にライブしたくないの?見てるだけなんて、悔しくない!?」

菜々「………ふふ。なにを言い出すかと思えば…」

菜々「悔しいに決まってるじゃないですか」

侑「!」

菜々「優木せつ菜はいつだってその瞬間の自分ができる最高のパフォーマンスをしてきました。明日の自分には及ばなくとも、昨日の自分は絶対に越えてきたつもりです」

菜々「同好会の皆さんが日々成長するというのなら、私だって同じだけ──それ以上に成長します。共に切磋琢磨しながらどんどんお互いを高め合っていきたい。そうやって、虹ヶ咲学園こそがスクールアイドルのトップだと胸を張って言いたい」

菜々「…ですがそれを叶えるには、色々なものが噛み合いませんでした」

菜々「私が一年生だったのなら、どんなによかったでしょうか。いっそ彼方さんもエマさんも一年生で、かすみさんと四人でここから、今からスクールアイドルを始められたなら、どんなに」

菜々 ………フゥ…

菜々「私はスクールアイドルでいる自分が大好きですが、それと同時にスクールアイドルそのものの大ファンでもあるんです」

菜々「私がこれから立ったのであろうたくさんのステージで、私ではないスクールアイドル達がどんな風にパフォーマンスをするのか。隣からでは見えないそんな景色を存分に楽しむ生活に戻ろうと思います」

侑「……っ」グ…

菜々「…そんな日々を、一緒に過ごしてはくれませんか?」

侑「…ぇ…」

984 :>>1 :2021/01/03(日) 17:19:22.98 ID:oMXPABdg.net
菜々「なにも侑の全てを私に下さいとは言いません」

菜々「ただ、今までせつ菜と共に過ごしてきた日々が終わりを迎える。守りたかった生活がなくなり、このままだと私は生真面目一辺倒の生徒会長に戻ってしまうでしょう。その隣に、いてほしい」

菜々「侑と過ごす時間が楽しいんです」

菜々「たくさんの感情を素直にぶつけてくれて、私が知らないことをたくさん教えてくれます。あなたのために、明日も頑張る私でいたいと思える」

菜々「侑」ギュ…


菜々「私にとって、明日も頑張る理由でいてくれませんか──?」


侑「…菜々、ちゃん…」


私は、

菜々ちゃんの笑う顔が好きだ。

ライトノベルやアニメのことを話すとき、心から楽しそうに、嬉しそうに話す顔。

調子に乗って失敗しちゃった私を見て呆れたように微笑む顔。

はんぺんのことでなんとか議論を勝ち取ったと語ったときの、どこかいたずらっぽく誇った笑顔。

初めて私の名前を、名前だけを口にして、戸惑いながらはにかんだ顔。

もっと色々な表情を見てみたい、私だってそう思う。

自分の夢を必死に追いかけてきた菜々ちゃんの決断に、私が言えることがもうないとするなら、

せめて。

985 :>>1 :2021/01/03(日) 17:22:23.39 ID:oMXPABdg.net
侑「…せつ菜さんがいなくなっても、この温もりはなくなっちゃわないってことで、いいんだよね」ギュ…

菜々「はい、もちろんです」

侑「菜々ちゃんの隣にいても恥ずかしくないように、私も…毎日少しずつ、頑張ってみるね」

菜々「…ふふ」

菜々「私が、あなたの頑張る理由になってみせますよ。これからよろしくね、侑!」

侑「──ぁ…」

菜々「? どうしましたか?」

侑「…ううん、なんでもないよ。お手柔らかにね、菜々!」

菜々「はいっ!」ペカー


菜々「…………あれっ…!?」//


【ギャルゲ風安価SS】侑「また一年が始まる」 ―終わり―

【if...菜々エンド】

986 :>>1 :2021/01/03(日) 17:27:01.55 ID:oMXPABdg.net
以上で、ifを含め完結となります。
思ったよりも相当ギリギリで、要望に応えられそうな部分とか書いてる場合じゃありませんでした。
話したいことや感想を聞かせていただきたい気持ちなどあってスレ残数が全然足りませんが、お付き合いいただきありがとうございました
拙い点も多かったと思いますがとても楽しかったです


明けましておめでとうございます、
今年もたくさん皆さんと話したりSSを読んだり書いたりできたらいいなと思います。
それでは、またお会いしましょう!

987 :名無しで叶える物語:2021/01/03(日) 17:44:40.42 ID:G1+iC1gX.net
楽しかった!乙

988 :名無しで叶える物語:2021/01/03(日) 17:57:49.69 ID:GyQHeDee.net
おつおつ!とても面白かったです!
ただ、それだけに展開が急になってしまったのがもったいないなぁ…

989 :名無しで叶える物語:2021/01/03(日) 18:04:10.49 ID:aduwKGNw.net
お疲れ様でした!
2スレに渡り、素晴らしいssをありがとうございました!
ひとまずはゆっくりお休みください!
(もしも、仮に、気が向くようなことがあれば、続編?もお願いします!)

菜々ちゃんかわええな。せつ菜も好きだけど、菜々も十分かわいい、いいね……
にしても、菜々エンド、かなりビターっていうか、退廃的なものを感じる苦さがあるもんですね……

990 :名無しで叶える物語:2021/01/03(日) 18:19:45.91 ID:AMf9NIBb.net
まずは完結お疲れ様でした!超大作になったね。
感想レスしたい場面は多々(というか毎回)あれど必要そうな保守以外は我慢していたので、そのお心遣いにも感謝。

めちゃめちゃ言いたいこと沢山あるのだけど、とりあえずは個人的にはリクエストさせて頂いたしずく√endと菜々√endが読めて感無量でした。最高でした。ありがとう!
勿論もう少し読みたい気持ちはあったけれど、もし>>1がまた別のSS書くことあればそちらに活かして頂ければ個人的には幸い。嗅ぎつけます。笑

本当にここのところずっと、日々の大きな楽しみだったよ!愛と熱のこもった素敵な作品をありがとうございました。
言い足りないことはTwitterに感想溢すかも知れんから、もしやっててよかったらエゴサしてください(小声)

991 :名無しで叶える物語:2021/01/03(日) 19:37:26.48 ID:aIXcpd9L.net
乙でした。今更ではありますがifルートまで書いていただきありがとうございます。(特に菜々ルートはレス数も減ってきた中で)
設定とか立場とかが変わってもキャラがそのキャラのまま生き生きと動くさまは読んでてとても楽しかったです。

992 :名無しで叶える物語:2021/01/03(日) 19:43:54.42 ID:ULFPVEug.net
次スレ行かないって言うからずっと書き込み我慢してたけどようやく書ける
おつでした!
しずくちゃん菜々ちゃん√本当にありがとう
菜々√についてはかなりビターな感じだけど見られてよかった
今はそういう結論でもせつ菜ちゃんと侑ちゃんならきっとこの先も色々な選択があるんじゃないかと妄想が膨らみますね
本当におつでした
めちゃくちゃ良かったです

993 :名無しで叶える物語:2021/01/03(日) 21:38:09.96 ID:kYwq255J.net
超大作になった分増分に楽しませてもらった!乙

994 :名無しで叶える物語:2021/01/03(日) 23:47:08.91 ID:+LsSNK3Q.net
ちょっと前から1000レスに達しそうでスレ内に収まるかヒヤヒヤしてたけど書き切ってくれて本当に良かった
しずくルートと菜々ルートが両方見れて最高だった
菜々ルートでスクールアイドル引退は驚いたけど、せつ菜ルートとの差別化にはもってこいだと思うから納得

前スレからずっとこのSSが生き甲斐の1つだった、ありがとう
すごい丁寧な描写で感動したから今後の新作SSもすごい楽しみにしてる

995 :名無しで叶える物語:2021/01/04(月) 00:25:15.38 ID:nHAXfgbt.net
完結おつです!!!!!

都度都度感想書きたくなるくらいめっちゃ良かったけど次スレはないということだったので我慢してました……
日常会話の描写とか侑のモノローグとかめっちゃ好きだし、それぞれのキャラとの出会い方とか仲の深め方とかも丁寧で本当に素晴らしい
欲を言えば全キャラのエンド全部見たいくらいでした(ifでしずくENDと菜々ENDを描いてくれて本当に感謝です)

次回作も楽しみにしてますよ!!!!!

996 :名無しで叶える物語:2021/01/04(月) 01:21:23.28 ID:XEuv3ifG.net
完結おめでとう
スレ見つけてから更新毎日楽しみにしてました
ありがとう😊

997 :名無しで叶える物語:2021/01/04(月) 17:53:04.04 ID:jYKialMW.net
引き込まれる作品でしたよ乙ですよ

998 :名無しで叶える物語:2021/01/04(月) 20:29:21.58 ID:O9juxgA/.net
おつおつ!
最初の方から楽しく読んでたよ
次回作も楽しみにしてる!

999 :名無しで叶える物語:2021/01/04(月) 21:32:17.13 ID:cBwd3387.net


1000 :!omikuji!dama:2021/01/04(月) 22:06:01.82 ID:DD/7pyNl.net


1001 :2ch.net投稿限界:Over 1000 Thread
2ch.netからのレス数が1000に到達しました。

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