2ちゃんねる スマホ用 ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50    

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

歩夢「せつ菜ちゃんに侑ちゃんを寝取られた……」愛「2」

1 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 20:25:04.43 ID:OmL0u+/J.net
代行


前スレ
歩夢「せつ菜ちゃんに侑ちゃんを寝取られた……」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1609947572/
の続きです

2 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 20:25:44.99 ID:ftSm1+nQ.net
期待

3 :>>1スレ立て代行ありがとうございます:2021/02/02(火) 20:28:01.48 ID:lJI0qgF9.net
〜翌日、放課後、練習後〜



歩夢(昨日侑ちゃんから遊びの誘いを受けた私は、予想外の出来事に驚きながらもひとまず愛ちゃんに連絡をしてみたんだけどそしたら……)



愛「じゃあ今日はよろしくカリン!」

歩夢「よろしくお願いします!」

果林「えぇ、よろしくね」



歩夢(『ゆうゆから遊びの誘い!?それってデートじゃん!なら勝負服が必要だよね!』っていう話になって)

歩夢(そこから愛ちゃんが『こういうときは専門家を呼ばなきゃね!』って果林さんに声をかけて……そのまま練習終わりに三人で私の服を買いに行くことになったの)

歩夢(……愛ちゃんの決断力と行動の速さは本当に凄いなぁ、私も見習わなきゃ)

4 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 20:28:29.72 ID:1LV3sjLC.net
保守

5 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 20:28:40.98 ID:lJI0qgF9.net
果林「それにしても、愛経由とはいえ……歩夢が私にそういった頼み事をするなんてね」

歩夢「い、いきなりすぎでしたよね、すみません……」

果林「いや別に怒ってるんじゃないわよ」クスッ

果林「私自身、前から歩夢には私の選んだ服を着せてみたいと思ってたしね」

歩夢「えっ、そんなことを……?」

果林「えぇ……だから、今日はこうして頼ってもらえて嬉しいわ」

歩夢「そ、それならよかったです……!」

果林「……さて、せっかくこうして実現したんだもの」



果林「今日は色んな服を着てもらうからそのつもりで……ね?」

歩夢「はい……!」

6 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 20:28:41.20 ID:7p/8UGX/.net
@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ

7 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 20:29:39.41 ID:lJI0qgF9.net
〜しばらくして、お台場、商業エリア〜



果林「さあどんどん試着してもらうわよ!」

愛「いえーい!」

歩夢「あ、あの……お手柔らかにお願いしますね……?」



歩夢「どうですか……?」

愛「可愛いね!歩夢って感じがする!」

果林「そうね、歩夢が元々持っている可愛いらしい雰囲気を活かせているし……我ながらいいコーデになってると思うわ」



歩夢「な、なんかいつも着ない感じの服装なんですけど……どうですか?」

愛「おー!大人っぽくて綺麗な感じだね!」

果林「そうね、もしかしたら少し背伸びした感じになるかと思ってたけど……想像以上に似合ってていいわよ」



歩夢「わ、私のイメージと真逆な感じかなって思うんですけど……大丈夫ですか?」

愛「カッコ可愛いって感じだね!愛さんそういうのも好きだよ!」

果林「そうね、クールな感じのコーデにボーイッシュ要素も取り入れてみたんだけど結構……いや、かなりいいわね」



歩夢「あ、あの……ちょっとこれは……その、大胆すぎるかな……って」カァァァ

果林「確かに普段の歩夢と比べるとそうかもね……でも、時には全く違う格好をしてみせるのもオシャレの楽しみよ」

歩夢「そ、そういうものなんですか……?」

果林「そういうものよ、愛もそう思うわよね?」

愛「……うーむ」ジーッ

果林「……愛?」

歩夢「あ、愛ちゃん……?」

8 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 20:29:59.68 ID:l9priN6n.net
🌸cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ 支援

9 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 20:30:52.91 ID:lJI0qgF9.net
歩夢「あの……あんまり見つめられると、恥ずかしいなって」

愛「……ちょいエロ可愛いって感じでいいね!」

歩夢「えっ、エ……!?」

愛「肩出しニットにニーハイ、そして髪型もポニテで……普段見えないところが露出されまくる組み合わせって感じでセクシーだね!」

歩夢「……っ」カァァァ

愛「これならどんな人でも落とせちゃうんじゃないかな〜?」アハハ

歩夢「な、何言ってるの!愛ちゃんってば!」

愛「あはは、愛さんはこういうのも好きだよ」

歩夢「も、もう……!」

シャーッ

愛「あっ、ちょっと!なんでカーテン閉めちゃうの?」

歩夢「愛ちゃんが変なこと言うからです!」

愛「え〜?愛さん別に変なこと言ってないと思うけど」

歩夢「っ、さ、さっきちょいエ……なんて言うんだもん!」

愛「え?」



愛「ダメなの?」

歩夢「えっ」

10 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 20:31:14.79 ID:Tsb2hsN9.net
来てたーーー😭😭😭😭😭😭

11 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 20:31:43.50 ID:lJI0qgF9.net
愛「愛さんは別にそういうファッションもありだと思うし、自分もそういう感じの格好したりするからさ」

愛「だから全然オッケーじゃない?って思うんだけどな」

歩夢「そ、それは……愛ちゃんだからOKというか……」

愛「うーん……まあ確かに普段の歩夢のイメージとは違うかもだけどさ」

愛「自分はこういうイメージなんだからこうしなきゃ!って考えに縛られる必要はないんじゃない?」

果林「……」

歩夢「それは……そうだけど……」

愛「……だからさ」



愛「その格好、もっとよく見せて?」

歩夢「結局それが目的なの!?」

12 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 20:32:09.73 ID:RXU640mY.net
前スレまだまだ埋まってなくね
何でもう次立てたの早漏かよ

13 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 20:34:05.12 ID:lJI0qgF9.net
愛「どうしてもダメ……?」

歩夢「だ、だから恥ずかしくて……!」

愛「え〜、カリンの選んだ服が恥ずかしいってこと?」

果林「あら、それは残念ね……」

歩夢「そ、そういうことじゃ……」

愛「じゃあどういうこと?」

歩夢「う、うぅ〜……!」

愛「歩夢〜?」

歩夢「……愛ちゃんのイジワル」

愛「あはは、ごめんね?」

愛「でも、さっき見た歩夢が可愛いと思ったのはホントだよ」

愛「それは嘘じゃないから、さ」

歩夢「……」

歩夢「……もう、わかったよ」

愛「!」

歩夢「でも、私が外に出るのは恥ずかしいから……」



歩夢「だから、愛ちゃんが中に入ってきて……?」

愛「えっ」

14 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 20:37:10.70 ID:lJI0qgF9.net
歩夢「試着室の外に出て知らない人達に見られるのは、恥ずかしいから……」

愛「……そっか」

歩夢「だから、この中でだけなら……」

愛「……うん、わかったよ」

愛「じゃあ、中で見せてもらうね?」

歩夢「……うん」



────少しだけカーテンを開けて、試着室に足を踏み入れる


愛「……入るよ」


────外からは見えないよう、自分が入り終えたらすぐにカーテンを閉め直す


愛「……歩夢」


────正面に向き直ると、目を伏せて恥ずかしそうに立っている歩夢がいた


歩夢「あっ……」


────アタシが入ってきたことに気づいたからか、ニットから露出された肩がびくついて


歩夢「えっ、と……」


────そのまま、ニットとニーハイの間に見える太ももを隠すように左手でニットを僅かに引き下げて


歩夢「うぅ……」


────右手は、胸の前でぎゅっと握り締めながら


歩夢「……や、やっぱり、試着室の中でも」


────顔を赤くしながらも、はにかんだ笑顔を浮かべる歩夢は


歩夢「じっと見つめられると……恥ずかしいね」


────なんだか、いつも以上に可愛く見えた気がした

15 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 20:40:20.94 ID:lJI0qgF9.net
愛「……」

歩夢「や、やっぱりこの格好で外を歩くのは難しそうかな……なんて」

愛「…………」

歩夢「……あ、愛ちゃん?どうしたの?」

愛「……えっ」

歩夢「なんだかボーっとしてたみたいだけど……」

愛「あっ、あー……っと、歩夢のあまりのエロ可愛さにちょっと見惚れてたのかなー?」

歩夢「えっ……」

愛「な、なんてね〜、あはは」

歩夢「っ、だ、だからそのエ……って言うのは……!」

愛「……そんなにエロ可愛いって言うのダメ?褒めてるつもりなんだけどな」

歩夢「褒めてくれてるのはわかるけど……その表現はちょっと……」

愛「そっか〜……じゃあセクシー可愛いとかは?」

歩夢「……まあ、それなら」

愛「よし!ならその格好セクシー可愛いよ歩夢!」ニカッ

歩夢「う、うん……」



歩夢「……ありがとう」カァァァ

16 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 20:43:24.24 ID:lJI0qgF9.net
歩夢「えっと……じゃあ、そろそろ着替えようかな……?」

愛「そうだね〜……あっ、カリンは見せてもらわなくても平気?」

果林「……私はいいわ、さっき見せてもらえたしね」

愛「そっか!じゃあアタシは外で待ってるね」

歩夢「うん」

愛「よっ」


シャーッ


愛「……ふーっ」

果林「……ふふっ」

愛「ん?どしたのカリン」

果林「いえ、あなた達二人のやりとりを聞いてたらね」クスクス

愛「えぇ?どゆこと?」

果林「ふふ、後で少し話しましょうか」

愛「?いいけど」

果林「……それにしても」ソッ



果林「愛がそんな風に真っ赤になってるなんて、珍しいわね?」ボソッ

愛「んなっ……!?」カァァァ

17 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 20:47:04.92 ID:lJI0qgF9.net
愛「ウソ!?そんなこと……!」

果林「耳まで真っ赤よ?」

愛「……っ、ちょっとアタシお手洗い行ってくる!」ダッ

果林「じゃあここで待ってるわね」クスクス



愛「はーっ……」

愛(アタシが真っ赤ってそんなこと……)ピト

愛「……確かに顔あっついかも」

愛(なんでこんな……)


───────


歩夢「じっと見つめられると……恥ずかしいね」


───────


愛「……っ」

愛(さっきの歩夢を思い浮かべると……なにこれ……?)

愛「……」

愛(……わからない)

愛(知らないよ……アタシはこんなモノ……)

愛「……はぁ」

愛(とりあえず、ちょっと落ち着いてから戻ろう……うん、時間を置けば大丈夫なはず)

愛(そうだ、落ち着けアタシ……)



歩夢「お待たせしました……あれ?愛ちゃんは?」

果林「愛なら少しお手洗いに行ってるわ」

歩夢「あっ、そうなんですね」

果林「えぇ」

果林(……本当にそうかは知らないけど、ね)

18 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 20:49:15.19 ID:lJI0qgF9.net
〜しばらくして〜



歩夢「今日はありがとうございました!」

果林「こちらこそ、私も楽しかったわ」

愛「いや〜さすがカリンって感じだったね〜」

歩夢「本当に色々探してくれて……凄く助かりました」

歩夢「今度何かお礼を……」

果林「あら、お礼なんていいのに」

歩夢「で、でも!」

果林「そう?……なら、またこうやって一緒に買い物に行きましょう」

歩夢「え?」

果林「まだまだ歩夢には色んな服を着せてみたいのよ……ダメかしら?」

歩夢「だ、ダメじゃないです!是非またお願いします!」

果林「ふふ、それならよかったわ」

果林「あっ、でも」



果林「そのときはまた……愛も一緒に、ね?」

愛「!」

19 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 20:52:17.68 ID:lJI0qgF9.net
歩夢「愛ちゃんも……?」

果林「ええ」

愛「ちょ、ちょっとカリン……!」

歩夢「……はい!愛ちゃんも一緒に!」

愛「っ」

果林「……ふふ、ならまた三人で行きましょう?」ニコ

歩夢「はい」ニコッ

愛「……」



歩夢「それじゃあ私はここで」

果林「ええ、また明日ね?」

愛「……また明日ね〜!」

歩夢「うん」フリフリ


果林「……さて」

果林「歩夢と別れたし聞かせてもらうけど」

愛「なに?」



果林「あなた達、いつの間にそういう関係になってたの?」

愛「……は?」

20 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 20:56:05.49 ID:lJI0qgF9.net
果林「最近やたらと仲良くしてたし……少し怪しいとは思ってたのよね」

愛「か、カリン……?」

果林「でも、てっきり歩夢は侑のことが好きなのだとばかり思ってたのだけど……違ったのかしら?」

愛「……!それは……っ」

果林「それとも、傷心中の歩夢を愛が慰めて……とかだったりす」

愛「カリン!!」

果林「!」

愛「……一人で、勝手に話を進めないでよ」

果林「……ごめんなさいね、少し無神経なことを言ってしまったかしら」

愛「うん、マジで言ってたから気をつけて」

果林「えっ」

愛「まあそれは一旦置いといて」

果林「……」



愛「アタシと歩夢は、別に恋人じゃないよ」

果林「……あら、そうなの?」

21 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 20:59:08.50 ID:lJI0qgF9.net
愛「うん」

愛「アタシと歩夢はただの友達……それだけだよ」

果林「……本当に?」

愛「そうだよ」

果林「……そう」

果林「まあ、愛がそこまで言うならそういうことにしておくわ」

愛「いやホントにそれ以外ないって」

果林「……」

果林「愛」

愛「……なに?」

果林「私がこれから話すことについて」

果林「肯定も否定もせずに、ただの独り言として聞いていてほしいのだけど」

果林「少し……いいかしら?」

愛「……いいよ」

果林「それじゃあ話すわね」

果林「……私はね」



果林「歩夢が、侑のことを好きなんだと思ってるわ」

果林「もちろん、恋愛的な意味合いでね」

果林「そしてそれは」



果林「侑とせつ菜が付き合った今でも、変わってないと思ってる」

愛「……」

22 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:02:12.48 ID:lJI0qgF9.net
果林「侑とせつ菜が交際を始めたと報告してきたとき、明らかに歩夢がショックを受けているのが見て取れたもの」

果林「もっとも、侑相手にはそれを上手く隠し通したみたいだけれど」

愛「……」

果林「……ただ、その後もしばらく浮かない顔をしてたから歩夢のことは気にしてたのよ」

果林「今までの侑への入れ込みようは十分過ぎる程見てきたから……これがきっかけで何か起きたりしないか少し心配で」

果林「でも、ここ数日で元気を取り戻したみたいだったから何か変わったのかしら?って思って見てたのだけど……」

果林「そしたらね」



果林「愛」

果林「あなたが歩夢の隣にいたのよ」

愛「……!」

23 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:03:46.79 ID:wYtXCn6q.net
>>13-22
妄想変態馬鹿オタク

24 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:04:54.32 ID:wYtXCn6q.net
>>1
妄想変態代行馬鹿オタク

25 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:05:06.70 ID:lJI0qgF9.net
果林「そして今日こうしてあなた達二人の様子を見ていて……愛と恋人になったことで歩夢は元気を取り戻したんだと確信したんだけど」

果林「全部、私の勘違いだったってことでいいのかしら?」

果林「……まあ、ただの独り言だから返事が来ることはないんだけどね」

愛「……」

果林「なんにせよ、歩夢が元気になってくれたのは素直に嬉しいわ」

果林「それに……たとえ愛と歩夢が恋人ではなくただの友達だとしても」

果林「歩夢に笑顔が戻ったのは、愛のおかげなんじゃないかしら?」

愛「……!!」

果林「それだけは本当のことだと思うけど……まあそれも全て愛次第なのかしらね」

愛「……」



愛「……わかんないよ、アタシには」

果林「あら……返事が来るとは思わなかったわね」クス

26 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:08:22.72 ID:lJI0qgF9.net
果林「でも、そうね……愛が今何に悩んでそんな難しい顔をしているのかはわからないけれど」

果林「あなた、さっきこう言ってたわよね?」


───────


愛「自分はこういうイメージなんだからこうしなきゃ!って考えに縛られる必要はないんじゃない?」


───────


果林「……って」

愛「……っ」

果林「その言葉を、自分自身に当てはめて考えてみてもいいんじゃないかしら」

果林「……私もそうだけど、愛も大概カッコつけたがりだからね」

果林「たまには自分の気持ちに素直になってみるのもいいと思うわよ?」

愛「……」

果林「……なんてね」

果林「愛に年上ぶれる時なんてなかなかないから、少し調子に乗りすぎちゃったかしら?」

愛「……うん」

果林「えっ」

27 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:09:00.19 ID:l9priN6n.net
俄然おもしろくなってきた

28 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:11:00.88 ID:2fvsoADs.net
ずっと待ってた

29 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:11:31.03 ID:lJI0qgF9.net
愛「カリンも、大概カッコつけたがりだよね」

果林「うっ……いざそう言われるとなかなか効くものがあるわね」

愛「……でも」

愛「今はアタシの方が、よっぽどカッコつけたがりだなって思うよ」

果林「愛……」

愛「状況が状況なだけに、これでスッキリしたなんて言えないけど……それでも、少し冷静になれたかも」

愛「だから、ありがとね」

果林「……ふふ、どういたしまして」


愛「さて、これからのこと少し考えなくちゃかな〜」

果林「あら、それは私には話せないことなのかしら?」

愛「……うん、これはカリンにも相談できないや」

果林「そう……」

愛「でも」



愛「全部終わったら話すかもしれないから」

愛「そんときはさ、ゆっくり話聞いてよ」ニカッ

果林「……ええ、いいわよ」ニコ

30 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:12:03.43 ID:nsbuxU2s.net
素晴らしい...

31 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:14:37.33 ID:lJI0qgF9.net
愛「……それじゃ、また明日ね!」

果林「ええ、また明日」

果林「……あ、そうそう」

愛「?」



果林「歩夢と三人での買い物、楽しみにしてるわよ?」

愛「……!」

愛「うん!アタシも楽しみにしてる!」

果林「……ふふ、ならよかった」

愛「じゃあね〜!」タッ

果林「ええ」フリフリ

32 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:17:44.93 ID:lJI0qgF9.net
────カリンと別れた後、アタシは家に着くまで走り続けることにした


愛「はぁ……はぁ……」


────そうすれば、やけに心臓がうるさいのは走ったからだと……自分に対してそう誤魔化せると思ったんだ


愛「……はぁ……はぁ」


────だって、今はまだこの"想い"を形にするときじゃないと思うから


愛「……っ」


────今はまだ、アタシの出番じゃないから


愛「はぁっ……はぁっ……!」


────でも、もしもアタシの出番が来るようなことがあったら


愛「……はぁっ……はぁっ……!」


────そのときは、きっと……!

33 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:18:38.76 ID:Tsb2hsN9.net
侑依存の歩夢を救い出せ....愛

34 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:21:21.62 ID:lJI0qgF9.net
〜一方その頃〜



せつ菜「……そう、ですか」

侑「うん……」

せつ菜「歩夢さん、と……」

侑「こんなこと、ホントはダメだってわかってるけど……」

侑「でも、たぶんこうしないと私は前に進めないと思うから」

侑「だから……!」

せつ菜「……」



せつ菜「……はぁ、わかりました」

侑「!」

35 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:25:30.03 ID:lJI0qgF9.net
せつ菜「いいですよ、それで侑さんの気持ちがはっきりとするなら」

侑「せつ菜ちゃん……!」

せつ菜「……もちろん、本当は嫌ですよ」ジト

侑「うっ」

せつ菜「でも、そんな風にモヤモヤした気持ちを抱えたまま過ごされるのも大変だと思いますから……」

せつ菜「ですから!今回限りの特別ですからね!」ビシッ

侑「は、はい……!」

せつ菜「……まあでも」

せつ菜「ある意味、侑さんらしいというかなんというか……」



せつ菜「気持ちを隠さず正直に話してくださったのは、とても嬉しいですよ」ニコ

侑「……ありがとう、せつ菜ちゃん」

36 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:28:35.38 ID:lJI0qgF9.net
侑「こういうときに言うのもなんだけどさ」

せつ菜「?」

侑「せつ菜ちゃんってホントに素敵な子だよね」

せつ菜「へっ……?」

侑「だって、普通はこんなこと恋人に頼まれても受け入れない人がほとんどなんじゃないかなって思うし」

侑「せつ菜ちゃんの器が大きすぎて凄いっていうか……」

侑「……ホントに、私にはもったいないくらい素敵な恋人だと思う」

せつ菜「……そう思ってくださるのなら」

せつ菜「……」

侑「?どうしたの?」

せつ菜「……いえ、なんでもないです」

侑「そう?」

せつ菜「はい!」

せつ菜「……それより」

せつ菜「せっかくのお休みに、恋人を放っておいて別の人と遊びに行くんですから……」


ギュッ


侑「!」

せつ菜「せめて今くらいは……恋人としての 時間を一緒に過ごしてはくれませんか……?」

37 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:31:45.98 ID:lJI0qgF9.net
────そう言って、私は侑さんの袖をぎゅっと掴みます


侑「……そうだよね」


────本当は、今すぐにでもその胸に飛び込みたいのに


侑「ごめんね……やっぱり私、こういうところがダメなんだろうなぁ」ギュッ


────こうやって、侑さんから抱き締めてもらえるのを求めてしまいます


せつ菜「……そうですよ」


────こうすることで、侑さんにちゃんと恋人だと思ってもらえているかを確認しようとしてしまうんです


せつ菜「これからは、もっと色々気を使えるようになってくださいね……」ギューッ


────侑さんを抱き締める力が日に日に強くなっていくのは、この幸せな瞬間がいつまでも続くという自信がないからでしょうか


せつ菜「私も、頑張りますから……」


────この温もりが、いつ消えてしまうともわからないものだと考えているからでしょうか


侑「うん、頑張るよ……」


────侑さんが私のそばから離れてしまう、そんな嫌な未来が見えるからでしょうか


せつ菜「……約束ですよ」


────先ほど、口にせず飲み込んだ言葉が頭に思い浮かびます


侑「……うん」


────侑さん


せつ菜(もし私のことを、素敵な恋人だと……そう思ってくださるのなら)


────私のそばから、離れようとしないでくださいよ……!

38 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:35:07.20 ID:lJI0qgF9.net
〜日曜日、朝、高咲家、侑の部屋〜



侑「……ふぅ」


侑(さすがに今日は、一人でちゃんと起きないとね)

侑「……」チラ

侑(歩夢との待ち合わせまでには、まだ結構時間がある……けど)

侑(たまには、私が先に歩夢を待ってたっていいよね……)

侑「……よし!」



〜同時刻、上原家、歩夢の部屋〜



歩夢「……はぁ」


歩夢(今日は、いよいよ侑ちゃんとお出かけの日……)

歩夢(今日、私は侑ちゃんに想いを伝えるんだ……ちゃんと、きっぱり、はっきりと……!)

歩夢「すぅ……はぁ……」

歩夢(……大丈夫だよ)

歩夢(一人で考えてたらダメだったかもしれないけど……あんなに愛ちゃんに相談に乗ってもらったんだもん)

歩夢(服だって、愛ちゃんと果林さんと一緒に選んだものだし……)

歩夢(今の私は、一人で想いを抱え込んで悩んでた頃の私じゃないから……)

歩夢(一歩踏み出す為の勇気を、愛ちゃんにもらったから……!)

歩夢(だから大丈夫!今の私なら大丈夫……!)

歩夢「……よし!」



歩夢(愛ちゃん……!私、頑張るよ……!!)

39 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:38:22.47 ID:2fvsoADs.net
信じて送り出した侑ちゃんが…になるのかそれとも

40 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:38:57.07 ID:lJI0qgF9.net
一旦ここまでです!!!!!
続きは今日の夜かまた明日以降に書ければと思います!!!!!

41 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:39:09.89 ID:UZCXmb0A.net
もう夜だぞ

42 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:40:23.35 ID:xF0mcmP3.net
>>39
流れ的にあいぽむぽい

43 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:43:04.27 ID:Tsb2hsN9.net
>>41
お前新参か?

44 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:46:36.63 ID:YwIs+GGC.net


45 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:49:38.32 ID:2fvsoADs.net
ついにこの時間に今日の夜って言い始めるのは笑う

46 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 21:50:17.64 ID:UZCXmb0A.net
>>43
夜とか言いながら朝5時6時に続きが投下されるって話か?

47 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 22:00:09.04 ID:X112fwz0.net
このSSの本文で一度グロポムが出ているという事実

48 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 22:13:55.30 ID:6CpRFj4I.net
とってもワクワクして参りました

49 :名無しで叶える物語:2021/02/02(火) 23:37:50.33 ID:CwB36Sdc.net
ただただクールな果林さんすき

50 :名無しで叶える物語:2021/02/03(水) 00:00:27.61 ID:3JmdX5rL.net
今日の夜にが週に一時間ずつ遅くなってついに完全に夜になってるの笑う

51 :名無しで叶える物語:2021/02/03(水) 00:42:41.09 ID:Ah0uvbSM.net
まだルート1も残ってんだろ
どんだけ俺らを満足させるつもりだよ

52 :名無しで叶える物語:2021/02/03(水) 01:29:25.76 ID:lnHuIh8F.net
 ┌○┐
 │支│˶ˆ ᴗ ˆ˵リ
 │援|/ /
 └○┘ (⌒)
    し⌒

53 :名無しで叶える物語:2021/02/03(水) 03:05:28.42 ID:TXnyAiJY.net
このスレの"夜"は3時あたりからだからな〜

54 :名無しで叶える物語:2021/02/03(水) 05:01:45.21 ID:9d7OKP8S.net
主さんの書くせつ菜ちゃんが健気で好き過ぎるから頑張ってほしい… 完全にあいぽむの話になってる

55 :名無しで叶える物語:2021/02/03(水) 07:45:48.01 ID:EMIkIi0k.net
あれこれがルート1じゃないのか?
ゆうせつ あいぽむって

56 :名無しで叶える物語:2021/02/03(水) 08:10:19.37 ID:JaWwQAIi.net
ルート1は歩夢が自主的に距離を置いて侑ちゃんが耐えられなくなったとこで中断
ルート2は愛さんの協力で距離を置かせて侑ちゃんに意識させるルート

57 :名無しで叶える物語:2021/02/03(水) 17:51:57.85 ID:FI63fQH6.net
ポムッポムッ

58 :名無しで叶える物語:2021/02/03(水) 18:22:24.37 ID:/BXBGlKW.net
これからどうなるか期待保守

59 :名無しで叶える物語:2021/02/03(水) 18:41:00.39 ID:9QLrnFe1.net
保守

60 :名無しで叶える物語:2021/02/03(水) 22:41:38.80 ID:lnHuIh8F.net
@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ
  O┬O )    キキーッ!
 ◎┴し'-◎ ≡

61 :名無しで叶える物語:2021/02/04(木) 06:20:02.41 ID:8NJb3IfU.net
補修

62 :名無しで叶える物語:2021/02/04(木) 12:52:35.17 ID:ihH/h0j0.net
ぽむむっ

63 :名無しで叶える物語:2021/02/04(木) 21:33:15.04 ID:8NJb3IfU.net
保守

64 :名無しで叶える物語:2021/02/05(金) 03:10:32.87 ID:jtg+boBg.net
   @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ
   @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ   @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ
   @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ     / つ¶¶ 
  〔 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄〕=〔~ ̄ ̄ ̄〕
≡  ◎◎――◎◎――◎◎――◎   ◎――◎
~~""~"~~~"~~""~~~~~~"~~~~""~"~~~~""~"~~~"~~""~~~~~~"~~~~""~"~~

65 :名無しで叶える物語:2021/02/05(金) 18:07:47.96 ID:WgSdx9Qu.net
   @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ
   @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ           @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ  この辺に置いておくね
   @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ              / つ¶¶    
  〔 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄〕           〔~ ̄ ̄ ̄〕 
  √◎◎――◎◎――◎◎――√       ≡≡ ◎――◎  
~~""~"~~~"~~""~~~~~~"~~~~""~"~~~~""~"~~~"~~""~~~~~~"~~~~""~"~~

66 :名無しで叶える物語:2021/02/05(金) 23:37:04.13 ID:ahxk25SE.net
〜駅前〜



侑(歩夢はまだ来てないみたいだね)キョロキョロ

侑(……よし!ちゃんと歩夢より早く着けた!)

侑(私が先に来てるって気づいたら歩夢驚くかな〜……お?)


歩夢「────」キョロキョロ


侑(歩夢だ!)

侑「おーい!歩夢〜!」ブンブン

歩夢「!……侑ちゃん!?」

侑「おはよ〜……ってなに?その驚いた顔は」

歩夢「おはよう……えっと、まさか先に来てるとは思わなかったから……」

侑「へへ、なら作戦成功だね!」

歩夢「作戦?」

侑「うん、いっつも歩夢の方が早いからさ……だから私の方が早かったら驚いてくれるかなって」ニシシ

歩夢「もう、侑ちゃんってば」クスクス

侑「ふふっ……あれ?」

歩夢「?どうしたの?」



侑「なんか今日の歩夢……いつもと違くない?」

歩夢「!」ドキッ

67 :名無しで叶える物語:2021/02/05(金) 23:37:54.03 ID:ahxk25SE.net
侑「なんだろう……何かが違うような……」ジーッ

歩夢「……」ドキドキ

侑「……あっ、わかった!」

歩夢「!な、なに?」

侑「服!私が見たことない服着てるんだ!だからなんか違うな〜って思ったんだ!」

歩夢(!侑ちゃん気づいてくれた……!)

侑「最近新しく買ったの?」

歩夢「う、うん……どうかな?」

侑「歩夢らしくて可愛い!よく似合ってるよ!」

歩夢「そ、そっか……それなら、よかった」

歩夢(……やった!侑ちゃんに褒めてもらえたよ!愛ちゃん!果林さん!)

侑「でも服買いに行くなら私も一緒に行きたかったな〜……一人で買いに行ったの?」

歩夢「え?えっと……」



歩夢「……愛ちゃん、と」

侑「!」ピクッ

68 :名無しで叶える物語:2021/02/05(金) 23:38:57.25 ID:ahxk25SE.net
歩夢「……それから、果林さんも一緒にね」

侑「あっ……そ、そっか!三人で行ってきたんだ!」

歩夢「うん」ニコ

歩夢「……愛ちゃんにね、新しい服が欲しいなって話をしてたんだけど……そしたら愛ちゃんから果林さんに声をかけてくれて」

侑「へ、へぇ〜」

歩夢「それで、果林さんが私に着せたい服がたくさんあるって色々選んできてくれて」

侑「果林さんが?」

歩夢「うん!それで私が試着したのを愛ちゃんと果林さんに見てもらって、どれがいいかなって色々見て回ってたの」

侑「なんか楽しそうだね!」

歩夢「うん、今度また三人で行こうって約束したんだ」

侑「そっかぁ、三人で、ね……」

侑「……」

歩夢「……侑ちゃん?」

侑「あっいや、なんでもないよ!」

歩夢「そう?」

侑「うん、なんでもない!」

歩夢「なら、いいんだけど……」

歩夢「……」

歩夢「あのね、侑ちゃん」

侑「ん?」

歩夢「その三人で、買いに行くのも楽しかったんだけど……でも」



歩夢「……今度は、侑ちゃんとも買い物に行きたいな」

侑「……!」

69 :名無しで叶える物語:2021/02/05(金) 23:39:41.63 ID:ahxk25SE.net
侑「私、と?」

歩夢「うん」

歩夢「侑ちゃんと私の二人で……ダメかな?」

侑「だっ、ダメじゃない……よ……っ!」

歩夢「そっか……」

侑「ダメじゃ、ない……と思う」

歩夢「……ならよかった」ニコ

歩夢「前はよく侑ちゃんと二人でお買い物に行ったりしてたでしょ?」

歩夢「でも、今は……」



歩夢「……侑ちゃん、せつ菜ちゃんと付き合ってるから」

侑「あっ……」

70 :名無しで叶える物語:2021/02/05(金) 23:40:26.11 ID:ahxk25SE.net
歩夢「だから、こういうお誘いも気軽にしちゃダメかなって思って」

侑「そ、そんなこと……」


───────


せつ菜「これからは、もっと色々気を使えるようになってくださいね……」ギューッ


───────


侑「……!」

歩夢「……侑ちゃん?」

侑「ごめん……そんなこと、あるかもしれない」

歩夢「……そっか」

侑「ごめんね……特に今日は私から誘っておいて何言ってんだって感じだろうけど」

歩夢「……ううん、大丈夫だよ」

歩夢「今日は、侑ちゃんが誘ってくれて本当に嬉しかったから」

侑「歩夢……」

歩夢「……だから」



歩夢「ひとまず、今日はこのお出かけを楽しまない?」ニコッ

侑「……そうだね!」

71 :名無しで叶える物語:2021/02/05(金) 23:40:37.64 ID:vVjekJ1t.net
待ってました!!!!!

72 :名無しで叶える物語:2021/02/05(金) 23:40:49.88 ID:WgSdx9Qu.net
@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ
 _/_ つ/ ̄/
     /_/ ̄

73 :名無しで叶える物語:2021/02/05(金) 23:42:55.46 ID:aQIXf7UY.net
きた!起きろ!!

74 :名無しで叶える物語:2021/02/05(金) 23:45:46.80 ID:ahxk25SE.net
〜電車で移動中〜



侑「……」


侑(歩夢、愛ちゃんと一緒に服買いに行ったんだ……まあ、果林さんもいたから二人だけではないけど)

侑(……さっき、私は)


───────


歩夢「うん、今度また三人で行こうって約束したんだ」


───────


侑(歩夢から、ああいう風に話を聞いて)


侑(……愛ちゃんと二人でじゃなくてよかった、って)


侑(心のどこかで、そんな風に安心してしまった自分がいるのを確認して)

侑(それと同時に……)


───────


愛「近いうちに、歩夢に告白しようかなって思ってる」


───────


侑(……歩夢と愛ちゃんが、恋人になる)

侑(そんな未来が、着々と迫ってきていることに不安を覚える自分がいるのも)

侑(……確認、できてしまった)

75 :名無しで叶える物語:2021/02/05(金) 23:46:36.31 ID:3qgowl1B.net
キター

76 :名無しで叶える物語:2021/02/05(金) 23:46:39.98 ID:ahxk25SE.net
侑(歩夢と愛ちゃんが恋人になることに不安を覚えるこの感情は……どこから生まれているのかな)

侑(仮に歩夢と愛ちゃんが付き合ったとして、それ自体は何の問題もないはずで)

侑(愛ちゃんがいい子なのは私も十分知っているし……先日私自身が落とされかけたくらいには魅力的な子だってこともわかってる)

侑(どこの馬の骨ともわからない人が歩夢と付き合ってしまうよりかは、よっぽど良いことのはずで)

侑(それでも……)



侑「……」チラ

歩夢「?」ニコ

侑「!」ドキッ

歩夢「……どうかした?」

侑「い、いや……なんでもないよ」

歩夢「そう?」

侑「……うん、大丈夫だよ」ニコ



侑(歩夢が、誰かとそういった特別な関係になることに対して)

侑(……私は、モヤモヤした気持ちを抑えられないでいるんだよね)

77 :名無しで叶える物語:2021/02/05(金) 23:47:34.10 ID:ahxk25SE.net
〜しばらくして、映画館〜



歩夢「それで、侑ちゃんが見たい映画って?」

侑「えっとね、これなんだけど……」

歩夢「……えっ?本当にこれなの?」

侑「な、なにその反応は」

歩夢「だってこれ、恋愛映画だよ……?」

歩夢「しかも……女の子同士、の……」カァァァ

侑「……変かな?」

歩夢「!い、いや変じゃないよ!」

歩夢「けど、いつもだったらアクションとかコメディとかそういうのを選ぶから……珍しいな、って」

侑「まあ、いつもだったらそういうのを選ぶけど……今日は、ね」

侑「……でも、歩夢が嫌だったら別のでも大丈夫だよ」

歩夢「えっ……い、嫌じゃないよ!大丈夫!む、むしろ私も見てみたいなって!」

侑「そっか、ならよかった」ニッ

侑「じゃ、チケット買いに行こっか」タッ

歩夢「う、うん」



侑(……よかった、歩夢と一緒に見られることになって)

78 :名無しで叶える物語:2021/02/05(金) 23:48:42.10 ID:+CjZ7WSm.net
>>76
妄想変態馬鹿オタク

79 :名無しで叶える物語:2021/02/05(金) 23:49:37.43 ID:ahxk25SE.net
〜上映中〜



侑(この映画の主要人物は三人)

侑(一人目は主人公で、大人しくて引っ込み思案なところがあるけどとっても優しい高校生の女の子)

侑(二人目は主人公の幼馴染で、主人公とは生まれてからずーっと一緒に仲良く育ってきた仲で)

侑(主人公が小さい頃、男の子にからかわれたりしてるところに颯爽と助けに来るヒーローみたいな女の子で)

侑(主人公が高校生になって、別のクラスになった今でも自分が主人公を守るんだー!って甲斐甲斐しくお世話を焼こうとする程主人公の子と仲良し!って設定)

侑(三人目は、主人公と同じクラスの女の子で……クラスでは不良扱いされてて、学校でもあまり友達がいないって噂されてるんだけど)

侑(……でも、不良扱いされてるのは目付きや言葉選びが悪かったりするだけで、本当は優しい一面も持っていて)

侑(主人公と仲良くなるまでは、それを家族や動物に対してだけしか見せることができなかったシャイな性格の持ち主……って設定みたい)


侑(物語は、ある日主人公が帰り道にガラの悪い人達に絡まれてるところを、不良の子に助けられる場面から始まる)

侑(その後、主人公と不良の子は徐々に仲良くなって学校でも話すようになっていくんだけど、それを快く思わなかった幼馴染の子が不良の子と対立し始めちゃって)

侑(主人公はどっちも大切な友達として仲良くしたかったんだけど、ある日不良の子から突然キスされて『アタシと付き合ってほしい』って言われちゃって)

侑(悩みに悩んでそのことを幼馴染に相談するんだけど、そしたら『私もずっと前から好きだったんだよ……!』って押し倒されちゃって)

侑(その日以降、幼馴染と不良の子の間で主人公を巡っての苛烈な争いが繰り広げられるようになる、っていう……まあ話自体はよくありそうな三角関係恋愛モノなんだけど)

侑(その三角関係が全員女の子で構成されてるっていうところが話題を呼んで、結構な話題作になってるみたい)


侑(……でもまあ、いくら話題作でも普段の私だったらこういう作品には手を伸ばさないんだけど)

侑(今の私は、実際にリアルの女の子と付き合っているわけで)

侑(そして、幼馴染の女の子がさらに別の女の子と付き合うかもしれないということにモヤモヤした感情を抱いているわけで)

侑(だから、この映画を見たら何か学べることがあるかなって思ってチョイスしてみたんだ)

侑(それに……)



侑(……歩夢がこれを見て、どう思うのかも気になったんだよね)

80 :名無しで叶える物語:2021/02/05(金) 23:51:00.59 ID:ahxk25SE.net
侑「……」チラ

歩夢「……」


侑(歩夢は、この映画に真剣に見入っているようで)

侑(映画の場面に合わせて、コロコロとその表情を変化させている)

侑(たぶん、歩夢自身はそのことについて無自覚なんだろうけど……それも含めて、歩夢のこういうところは可愛いと思う)

侑「……」


───────


愛「そっか〜、ゆうゆは女の子同士とか気にしないタイプなんだね〜」


───────


侑(……あのとき、愛ちゃんにそう言われて)

侑(私は恋愛対象を考えるにあたって、性別については特に気にしてないんだってことに気づいて)

侑(むしろ、普段身近な存在である分……男の子よりも女の子の方がそういう対象として意識しやすいみたいで)

侑(だからきっと……せつ菜ちゃんに告白されたときも、女の子同士の問題だとかそういうのよりも前に素直に嬉しいって気持ちが出てきたんだと思う)

侑(そして……そこから一つ、改めて疑問に思ったことがあって)

侑(誰でもOKってわけじゃないけど、それでも女の子を恋愛対象として見ることができる私が)

侑(そんな私が)

侑(ずっとそばにいた幼馴染のことを)



侑(歩夢のことを、恋愛対象として見ていなかったのは)

侑(……どうしてなんだろう?)

81 :名無しで叶える物語:2021/02/05(金) 23:56:43.27 ID:ahxk25SE.net
侑(目の前のスクリーンには、ちょうど幼馴染の子が主人公の子を押し倒して告白するシーンが映し出されていて)

侑(隣の歩夢は、固唾を呑んで次はどうなるのか見守っている様子だった)

侑(この幼馴染の子は、小さい頃から主人公のことをずっと好きだったみたいで……押し倒したまま今までどれだけ想ってきたかを赤裸々に語り続けている)

侑「……」


侑(私にとっての、歩夢は)

侑(幼馴染で)

侑(昔からずっと一緒で)

侑(家族以上に家族みたいな存在で)

侑(一緒にいるのが当たり前で)

侑(当たり前、すぎて)


侑(……だから、なのかな)

侑(私の日常に歩夢がいるのは当たり前のことだ、って)

侑(そう思っている、私がいて)

侑(そう思っているから、こそ)



侑(……歩夢が、誰かと付き合うことで)

侑(私が当たり前だと思っている日常が)

侑(歩夢が朝私のことを起こしに来て、その後リビングでお母さんを交えた三人で他愛もない話をして過ごす……)

侑(……そんないつも通りの風景が崩れてしまうのが)



侑(……どうしようもなく、嫌なんだ)

82 :名無しで叶える物語:2021/02/05(金) 23:57:32.76 ID:ahxk25SE.net
侑(……なに、これ)

侑(こんなの、ただの私の我が儘じゃん……)

侑(私の日常が崩れるのが嫌だから……だから歩夢には私のそばから離れてほしくない、なんて)

侑(……私、自己中にも程があるよ)

侑「……」

侑(……愛ちゃんにも、悪いことしちゃったかな)


───────


愛「アタシは歩夢が好き」

愛「本気だよ」


───────


侑(……愛ちゃんは、真剣に歩夢を好きになってるだけなのに)


───────


歩夢「……愛ちゃん、凄く優しくて良い人なんだよ」


───────


侑(……歩夢だって、そう言ってたのに)

侑(なのに)


───────


歩夢「────」ニコニコ

愛「────!」


───────


侑(……二人が楽しそうにしてるところを見て)

侑(嫉妬、しちゃうなんて……)

83 :名無しで叶える物語:2021/02/05(金) 23:59:18.42 ID:ahxk25SE.net
侑(……そもそも、私だってせつ菜ちゃんと付き合ってるし)

侑(もし、歩夢が私と同じように考えていたとしたら)

侑(……私、歩夢のことすっごく傷つけてたのかもしれない)

侑(歩夢……)

侑「……」チラ


歩夢「……」


侑(……歩夢は、真剣な眼差しでスクリーンを見つめていた)

侑(映画の方は、お互いにどっちも主人公が好きになっていることを知った幼馴染と不良の子が向かい合った状態でバチバチと火花を散らしていて)

侑(主人公はというと、一歩引いたところでその様子を不安げに見ているだけだった)

侑(……この主人公は、どっちかの子を選んだりするのかな)

侑(選ぶとしたら、どっちを選ぶんだろう)

侑(幼馴染か、不良の子か……)

侑「……」

侑(……なんとなく)

侑(本当に、なんとなくだけど)



侑(主人公が歩夢で)

侑(幼馴染が私で)

侑(それで……不良の子が愛ちゃん)

侑(そんな風に、重なって見えてしまって)

侑(……歩夢は)



侑(私と愛ちゃんのどっちかを選べ、って言われたら)

侑(そしたら、どっちを選ぶのかな)

侑(……なんて)

侑(そんなくだらないことを、考えてしまう私がいた)

84 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 00:00:18.83 ID:k+M7DhV9.net
〜上映終了後〜



歩夢「……」

侑「……」

歩夢「……びっくりしたね」

侑「……そう、だね」

歩夢「主人公の子は、どっちの子を選ぶんだろうと思って見てたけど……」

侑「……まさか、どっちのパターンもやるなんてね」

歩夢「恋愛映画でこんなの初めて見たかも……」

侑「もしかしたら、こういうところが話題になってたのかな……?」

歩夢「どうなんだろう……」

侑「……とりあえず、出よっか」

歩夢「……そうだね」



侑(後から調べてみたら、この映画は元々幼馴染の子と不良の子どっちかだけが選ばれる構想で制作してたみたいなんだけど)

侑(作ってる最中に『どっちのパターンもやったら斬新で面白いのでは?』という監督の思いつきで急遽どちらもやることになったらしく)

侑(結果的にその目新しさが大きな反響を呼び、恋愛映画の界隈に賛否両論の嵐を巻き起こしていたらしい)

侑(私もてっきりどっちかだけが選ばれると思ってただけに、これにはかなり驚いて)

侑(……それと同時に)



侑(これが現実だったら、どっちかしか選べないのに)

侑(なんかずるいな……って、そう思ってしまった)

85 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 00:01:10.79 ID:k+M7DhV9.net
〜しばらくして、ファーストフード店〜



侑「いや〜でもなんだかんだ面白かったね〜さっきの映画」

歩夢「うん……!すっごく感情移入して見入っちゃったよ……」

侑「あはは、じーっと真剣に見てたもんねぇ」

歩夢「えっ、みっ見てたの!?」

侑「え、うん」

歩夢「う、嘘……恥ずかしい……」カァァァ

侑「へへ、映画見てるときの歩夢ってコロコロ表情変わるから見てて楽しいんだよね」ニッ

歩夢「もう、侑ちゃんってば……!私じゃなくてちゃんと映画を見てくださーい!」ポムポム

侑「いたた、ちゃんと映画も見てたってば〜」アハハ

侑(ホントは全然痛くないけど)

歩夢「う〜……侑ちゃんのイジワルっ」

侑「はいはい、ごめんごめん」ポンポン

歩夢「!……もうっ」

侑「……」

侑(やっぱり……)



侑(……歩夢って、可愛いなぁ)

86 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 00:06:22.92 ID:k+M7DhV9.net
侑(いや歩夢が可愛いのは前からわかってたけどさ)

侑(なんかこう、改めて接してみてわかるものがあるというか……)

侑(コロコロ表情が変わるところも)

侑(ちょっとしたことで真っ赤になったりするところも)

侑(怒って叩いてきても全然痛くないところも)

侑(頭ポンポンしたら黙って受け入れる感じになるのも)

侑(なんか、そういう歩夢の色んなところが)

侑「……」

侑「歩夢ってさ」

歩夢「?なにかな?」



侑「凄く可愛いよな〜、って思って」

歩夢「!?」ドキッ

87 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 00:06:56.74 ID:k+M7DhV9.net
歩夢「な、なに……急に……?」

侑「んー……別に急にってわけでもなくて」

侑「なんか、普段無意識に思ってたことがつい口に出たっていうか」

歩夢「ふ、普段無意識に……?」

侑「うん、たぶんそうだと思う」

歩夢「へ、へぇ〜……そう、なんだ……」

侑「……」ジッ

歩夢「ゆ、侑ちゃん……?」

侑「そっか……」



侑(……私の幼馴染って、こんなに可愛かったんだ)

88 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 00:07:03.15 ID:6P+0BMzY.net
罪な女だ…

89 :次レスから書き貯め投下ではなくリアタイで書くのでペース落ちます:2021/02/06(土) 00:08:26.98 ID:k+M7DhV9.net
侑「……」ジーッ

歩夢「ど、どうしたの……?」

侑(……そりゃ、これだけ可愛かったら愛ちゃんが好きになってもおかしくないよね)

歩夢「侑ちゃん……?」

侑(というか、愛ちゃん以外にも歩夢のこと好きな人がたくさんいてもおかしくないよ)

歩夢「あの……」

侑(……私の知る限りでは、今まで歩夢が誰かと付き合ってたなんて話はなかったけど)

歩夢「そ、そんなに見つめられると、その……」

侑(もしかしたら、私の知らない間に付き合ってる人がいたなんてことは……あったらショックだな〜)

歩夢「は、恥ずかしいなって……」カァァァ

侑「……」

歩夢「あ、あの……」

侑「……歩夢はさ」



侑「好きな人とかって、いたことある?」

歩夢「……えっ!?」ドキィッッ

90 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 00:11:48.74 ID:LDbsVI0v.net
こいつこれで振ったら悪魔だろ
と言うかせつ菜に対してもだしやっぱただの悪魔だわ

91 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 00:17:05.04 ID:ofRHFOhy.net
自分の気持ちすらまったく気づかないのに人の恋心を察せるわけないよなあ

92 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 00:21:32.30 ID:k+M7DhV9.net
侑(私の記憶では、今まで歩夢と二人でそういう話をしたことは一切ない)

歩夢「なっ……ぁ……っ」

侑(恋愛なんて私達には縁のないものだって……少なくとも、私はそう思っていたし)

歩夢「えっ、と……」

侑(だから歩夢もそうなんじゃないかなって、なんとなく勝手に思っていた)

歩夢「えー……っと」

侑(けど、それもただの私の思い込みに過ぎなくて……もしかしたら歩夢は────)

歩夢「あ、あはは……」



歩夢「……うぅ」カァァァ

侑(────誰かにずっと、恋をしていたかもしれないんだ)

93 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 00:31:11.99 ID:k+M7DhV9.net
侑(でも、今いるとしたら……誰なんだろう?)

侑(そもそも、歩夢は女の子と男の子……どっちを好きになるのかな)

侑(……仮に、どっちも好きになれるんだとしたら)

侑(小学校や中学校では男の子も一緒だったし、もしかしたらクラスにいたカッコいい男の子の誰かを好きだったのかもしれない)

侑(……いや、もしかしたらその頃から付き合ってて今でも連絡を取り合ってる、なんてこともあるのかもしれない)

侑「……っ」

侑(ダメだ、歩夢が男の子とそんなことしてるなんて考えてたら気分悪くなってきた……今のはなしだよ!なし!!)


侑(……気を取り直して、仮に女の子だとして)

侑(それも、今仲良くしてる人達の誰かだとしたら)

侑(誰が一番あり得そうかな……?)

侑「……」

侑(……もし)



侑(もしも、歩夢の好きな人が愛ちゃんだったら)

侑(このまま愛ちゃんに告白されたら、絶対付き合っちゃうよね……)

94 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 00:34:17.24 ID:Ht7mKCpv.net
人の気持ちに鈍感とか以前に恋愛する精神年齢に達してなさそう

95 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 00:37:38.38 ID:6P+0BMzY.net
自覚してもこっからせつ菜をどうするかってのがまだ残ってるからなあ

96 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 00:39:38.91 ID:LDbsVI0v.net
正直ぽむせつで付き合ってほしい
この侑ちゃんは振る資格も愛を受ける資格も無いわ

97 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 00:40:26.22 ID:ofRHFOhy.net
それはぽむせつが決めることなので…

98 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 00:40:36.63 ID:k+M7DhV9.net
侑(やっぱり、気になるなぁ……)


侑「……歩夢」

歩夢「なっ、なに!?」

侑「もしも誰か好きな人がいるなら、教えてほしいな」

歩夢「っ」

侑「……私にできることがあるなら、なんでも協力するからさ」

歩夢「な、なんでも……?侑ちゃんが……?」

侑「うん」

歩夢「侑ちゃんが、なんでも……」

侑「もちろん、できる範囲での話だけどね」

歩夢「できる、範囲で……」

歩夢「……」



歩夢「……それなら」

歩夢「私のお願い、聞いてくれるかな……?」

99 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 00:56:18.07 ID:k+M7DhV9.net
〜しばらくして、お台場、商業エリア〜



歩夢「侑ちゃん!これも着てみて!」

侑「う、うん」

歩夢「それとこれもお願い!」

侑「うん……」

歩夢「あっ!あとこれも!」

侑「……たくさんあるんだね」

歩夢「この間果林さんに服見てもらったときに、侑ちゃんに着てもらいたいな〜って服見つけちゃってたからね!まだあってよかったよ〜」

侑「そ、そうなんだ」アハハ

侑「え、っと……じゃあ試着してくるね」

歩夢「うん!着替え終わったら言ってね!見たいから!」

侑「うん」

シャーッ



侑「ふぅ……」


侑(……さっき言われた、歩夢のお願い)

侑(それは『好きな人に想いを伝える為のデート……その"練習"がしたい』というもので)

侑(それってつまり、歩夢にもちゃんと好きな人がいるということで)

侑(……でも、それが誰なのかについては練習が終わるまでお預けって言われちゃって)

侑「……」ムムム



侑(まさかホントに好きな人いるなんて!!)

侑(一体誰!?歩夢の好きな人って!?)

100 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 01:05:02.87 ID:k+M7DhV9.net
侑(まさかホントに愛ちゃんだったり……!?)

侑(ここ数日で……いや私が知らなかっただけで実はもっと前から……!?)

侑「……」ムムム

侑(めちゃくちゃ気になるよ……!)


歩夢「……侑ちゃーん?大丈夫?」

侑「あっ、うん!もうちょっと待ってて」

侑(……ひとまず今は着替えよう)

侑(この"練習"が終わったら教えてもらえるんだから……!)



シャーッ

侑「着替え終わったよ〜」

歩夢「……!見せて見せて!」

侑「うん……でも、ちょっと私には可愛すぎないかな?」

侑「ほら、私って普段男物とか着ることが多いしさ……こういうのはあんまり」アハハ

歩夢「そんなことないよ!」ズイッ

侑「!」ドキッ

101 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 01:15:26.94 ID:k+M7DhV9.net
歩夢「侑ちゃんだって可愛い女の子なんだよ?ちゃんと似合ってるよ!」

侑「そ、そうかな……」

歩夢「うん、とっても可愛いよ」ニコッ

侑「っ」ドキッ

侑「そ、そっか……歩夢がそう言うなら、そうなんだよね……たぶん」

歩夢「たぶんじゃなくてちゃんと可愛いよ」ニコニコ

侑「……ありがと」カァァァ


侑(こういうときに、歩夢ははっきりと『可愛い』って言ってくれる)

侑(私も口ではなんだか言うけど……やっぱり、可愛いと言われて嬉しくないわけはなくて)

侑(……でも)



侑(もし今後歩夢がその"好きな人"と付き合ったら)

侑(今私に向けてくれている可愛いという言葉や笑顔は……全部その人に向けられることになるのかな)

侑「……」

侑(……なんだか、それは)



侑(嫌、だな……)

102 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 01:20:59.62 ID:ov8/x1Z4.net
この侑ちゃんは恋愛ベイビーだからあまり責めないで欲しい...
ちゃんと考えているだからな...ここからだぞ....

103 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 01:36:55.12 ID:k+M7DhV9.net
〜夕方、海辺の公園〜



侑(その後、一通り歩夢に渡された服を試着したものの……今は持ち合わせがなかったので買うのはまた今度ということにした)

侑(『それなら私が買うよ!』と歩夢は言ってくれたけど、そこまでしてもらうのはさすがに悪いので断った……歩夢は納得してなさそうだったけどね)

侑(それからは、二人でちょっとした小物を見て回ったりスイーツを食べ歩きしたりと……なんだかいつも私と歩夢がお出かけでしていたようなことで)

侑(不思議に思った私は『練習なんだからもっと色んなとこ行っても大丈夫だよ?』と聞いてみたんだけど)

侑(帰って来たのは『これで……ううん、これがいいの』という言葉と歩夢の笑顔で)

侑(歩夢がいいならいいのかな……?とそのまま付き合うことにした)

侑(そして……)



侑「いつの間にか夕方だね〜」

歩夢「……そうだね」

侑「なんだかんだあっという間だったなぁ」

歩夢「……うん」



歩夢「侑ちゃんといる時間はいつも楽しくて」

歩夢「本当に……本当に、あっという間だよ……」

侑「……?」

104 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 01:40:23.15 ID:LtGvBtkr.net
どんな結末でも私は歓迎する、感動した!

105 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 01:46:03.09 ID:YR5X3Sho.net
ここまできたら侑が暴れまくる展開も見てみたいな。ないだろうけど

106 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 01:47:27.17 ID:k+M7DhV9.net
侑「歩夢……どうかした?」

歩夢「……ううん、大丈夫だよ」

侑「ホントに……?」

歩夢「うん……」

侑「……」

歩夢「……それよりさ」

侑「?」

歩夢「最後は、あれに乗りたいな」

侑「あれ、って……観覧車?」

歩夢「うん」

侑「おお……やっとデートっぽいのが来たね!」

歩夢「……私にとっては"これまでのも"全部ちゃんとデートだよ」

侑「そう?さっきも言ったけどなんかいつも通りだったような……」

歩夢「……」ジト

侑「?どしたの?」

歩夢「……なんでもないよ」クスッ



歩夢「じゃ、いこっか」ニコッ

侑「……うん!」

107 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 01:57:01.80 ID:k+M7DhV9.net
〜観覧車、ゴンドラ内〜



侑(ゴンドラの中、私と歩夢は向かい合うように座った)

侑(最初は隣に座ろうかなと思って歩夢の方に行こうとしたんだけど、向かい合わせで座りたいとお願いされたので従うことにした)

侑(……『好きな人』に告白するときは、こういう風にしたいってことなのかな)

侑「……」ムムム

侑(ダメだ、それを考えるとまたモヤモヤが止まらなくなっちゃう……!)

侑(後で誰なのかは教えてもらえるんだから……今は"練習"にちゃんと集中しなきゃ!)



歩夢「……今日はありがとう」

侑「え?」

歩夢「朝も言ったけど、誘ってくれて本当に嬉しかったから……だからありがとう」

侑「そんな……こっちこそ来てくれてありがとうだよ!」

侑「久々に歩夢と遊べて楽しかったし!」

歩夢「ふふ、そっか……」



歩夢「……それなら、私も嬉しいな」

侑「!」ドキッ

108 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 02:03:21.56 ID:k+M7DhV9.net
────なんだろう、これ



歩夢「ね、侑ちゃん」



────ゴンドラ内に差し込む夕陽に照らされてるせい、なのかな



歩夢「……私もね」



────心なしか、いつもよりもずっと



歩夢「侑ちゃんと、久々に二人で遊べて……」



歩夢「……すっごく、楽しかったよ」



────歩夢の笑顔が、輝いて見えた気がした

109 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 02:08:34.27 ID:k+M7DhV9.net
侑「綺麗……」ボソッ

歩夢「え?」

侑「……え?」

歩夢「侑ちゃん……?今なんて」

侑(……しまった!口に出てた!?)

侑「あっ、あー!夕陽が!夕陽がね!?綺麗だなーって!」

歩夢「えっ、夕陽?」

侑「うん!ほら!」ビシッ

歩夢「……そう、だね」

侑「でしょ!?綺麗だよね!」



歩夢「うん、私も綺麗だと思う」

侑「……!」ドキッ

110 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 02:18:15.05 ID:k+M7DhV9.net
侑(なっなに今の……!?)

ドッドッドッ

侑(窓の外に視線反らしたから平気だと思ったのに……!)

ドッドッドッ

侑(……そんな綺麗な横顔見せるなんて、ずるいよ……!)

侑「っ」フイッ

歩夢「……?侑ちゃん、どうしたの?」

侑「えっ、あー……ぎゃっ逆側の景色はどーかなーってね?気になってさ!」

歩夢「……侑ちゃん、景色見るのとか好きだったっけ」

侑「え!?」

歩夢「……」ジーッ

侑「そ、そりゃせっかく観覧車乗ったんだしさ、景色楽しまなきゃ損だよ!損!だから、ね!?」

歩夢「……そっか」

侑「そう!そうだよそ」

歩夢「でも」スクッ


ストンッ


歩夢「私は、景色以外にも色々あると思うな」ニコッ

侑「!?」

侑(な、なんでこのタイミングで隣に移動してくるの……!?)

111 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 02:24:20.72 ID:k+M7DhV9.net
侑「あ、歩夢……?ど、どうして隣に……?」

歩夢「……ダメ?」

侑「いっいや、ダメじゃない、けど……」

歩夢「じゃあいいよね」ピト

侑「!」ドキッ

侑(あっ歩夢の肩が触れて……!?)

歩夢「……ね、侑ちゃん」

侑「な、なに……?」ドキドキ

歩夢「私ね……」



歩夢「……好きな人が、いるの」

侑「……!!」

112 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 02:32:14.18 ID:LtGvBtkr.net
尊い。尊いんす、、、

113 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 02:34:44.18 ID:k+M7DhV9.net
侑「そっそうなんだ……!はっ、初めて知ったな〜!」

歩夢「……侑ちゃんには、初めて言ったからね」

侑「あっ、でっでもさっき『好きな人に告白する為のデートの練習』がしたいって言ってたもんね!いなかったらそんなこと言わないもんね!?」

歩夢「……うん」

侑「あ、あはは〜!私ったら気づかないでバカだな〜!」

歩夢「……本当に、侑ちゃんはおバカさんなんだから」

侑「そ、そうだよね〜」アハハ

歩夢「……絶対、違う意味で受け取ってるよね」

侑「えっ、どっどういうこと?」

歩夢「……」

侑「ちょ、ちょっと、そこで黙らないでほしいな〜……なんて」

歩夢「……侑ちゃん」



歩夢「私の好きな人が誰なのか、知りたい……?」

侑「……!」

114 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 02:40:28.61 ID:k+M7DhV9.net
侑「し、知りたいよ……!」

歩夢「……どうして?」

侑「へっ?」

歩夢「どうして、知りたいと思うの……?」

侑「どうして、って……」

侑「それは……」

侑「……」

侑「……歩夢が」



侑「歩夢が……私にとって大切な存在だから!」

歩夢「!」

侑「だから、歩夢が好きだって言う人なら……」



侑「……私も、好きになりたいし」

歩夢「……え?」

115 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 02:50:41.70 ID:k+M7DhV9.net
侑「だって、もし歩夢の好きな人がだよ……?」

侑「私の……その、きら……苦手な、人だったりしたら……」

侑「なんか、お互いに嫌じゃん……」

歩夢「侑ちゃん……」

侑「だ、だから……!歩夢がちゃんと好きな人だって言うんなら……」

侑「……私も!その人のこと好きになって、ちゃんと歩夢におめでとうって言えるようになっておきたいっていうか」

歩夢「……」

侑「後になってなんであんなやつと歩夢が〜!って思いたくないし……」

歩夢「……ふっ」

侑「ま、まあ歩夢が選ぶ人に限ってそんなことは……え?」

歩夢「ふふ……そ、そっか……そんなこと、考えてたんだ……」

侑「な、なんで笑ってるの……!?私は真面目に……!」

歩夢「あっ……ご、ごめんね?今のは侑ちゃんをバカにしてるとかじゃなくてね」

歩夢「ただ……」



歩夢「……私のこと、ちゃんと考えてくれてたんだなって」

侑「!」

116 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 02:58:24.72 ID:k+M7DhV9.net
歩夢(もちろん、私の望んでいる形ではないけれど)


侑「あ、当たり前じゃん!」

歩夢「当たり前なの?」クスッ


歩夢(侑ちゃんは、侑ちゃんなりに考えてくれていたみたいで)

歩夢(それがとっても嬉しくて……だけど同時に────)


侑「もちろん!だって歩夢は私の────」



侑「────大切な幼馴染なんだから!」


歩夢(────どうしようもなく、もどかしいの)

117 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 03:00:41.39 ID:qr6fCehx.net
侑ちゃんの等身大な感じすごい良い

118 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 03:04:06.85 ID:Lp8wG9I5.net
相当低めの等身大な気が…

119 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 03:16:01.40 ID:k+M7DhV9.net
────でも、このもどかしさとも今日でお別れ


歩夢「……ねえ、侑ちゃん」

侑「?なに?」


────今日ここで私は、これまでずっと踏み出せなかった大きな一歩を踏み出します


歩夢「デートの練習、付き合ってくれてありがとね」

侑「え?うん……でも、まだ観覧車の途中だよね?」

歩夢「ううん」


────大丈夫


歩夢「練習は、もうおしまい」


────一歩踏み出す為の勇気は、愛ちゃんにもらったから


歩夢「それでね」


────今の私なら、ちゃんと伝えられる


歩夢「私」


────たとえ、どんな結果になったとしても


歩夢「侑ちゃんに、言いたいことがあるの」


────せめてこの"想い"だけは、ちゃんと伝えるって決めたから……!

120 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 03:32:56.92 ID:k+M7DhV9.net
歩夢(心臓が、やけにうるさい)


歩夢「さっきさ、私侑ちゃんにおバカさんって言ったよね」

侑「えっ?……ああ、言ってたね」


歩夢(だけど、不思議と心は穏やかで)


歩夢「あれはね、侑ちゃんがずっと気づいてくれないことに対して言ってたの」

侑「……ごめんね、まさか歩夢に好きな人がいるなんて」

歩夢「違うよ」


歩夢(次に紡ぐべき言葉も、すらすらと出て来て)


歩夢「侑ちゃんが、私の"想い"に気づいてくれないことに対して言ってたの」

侑「歩夢の……想い?」

歩夢「うん」


歩夢(自分の想いを明かすことに、もう躊躇いなんてなくなっていて)


歩夢「幼稚園に通ってた頃も、小学生、中学生、高校生になってからも……ずっと気づいてくれないなぁって思ってたんだよ」

侑「えぇ!?そんな前から……!?ていうかそ、それって」

歩夢「私ね────」



歩夢「────侑ちゃんのことが好き」

歩夢「ずっとずっと、特別な意味で大好きだったの」


歩夢(想像していたよりも、遥かにスムーズに伝えることができた)

121 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 03:45:42.35 ID:k+M7DhV9.net
侑「────ぇ」


侑(歩夢が、私のことを、特別な意味で好き?)

侑(ずっとって、一体いつから?)

侑(いや、それよりも)

侑(今でも?せつ菜ちゃんと付き合ってからも?)

侑(それじゃ────)


───────


歩夢「せつ菜ちゃんとの時間、大切にしてあげて?」

歩夢「せっかく付き合ったんだから、帰り道くらい二人で帰りなよ」

歩夢「侑ちゃん」

歩夢「ね?」


───────


侑(────あのときも?)

122 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 03:46:40.66 ID:k+M7DhV9.net
侑「そん、な」

侑(歩夢は、一体)


───────


侑「えぇ〜?も〜歩夢がいじめてくるよせつ菜ちゃーん」ギュッ

せつ菜「わわっ、ゆ、侑さんってば」

侑「えへへ」ニコニコ


───────


侑(どんな気持ちで見ていたのだろう)


───────


侑「私も親離れ……じゃなくて」

侑「歩夢離れ?するときがついに来たか〜」アハハ


───────


侑(どんな気持ちで聞いていたのだろう)


───────


侑「────世界に一人しかいない"大事な幼馴染"だよ」ニッ


───────


侑("大事な幼馴染")

侑(私にとってはかけがえのない存在を意味する言葉)

侑(それを、歩夢は)



侑(一体、どんな風に受け取っていたのだろう)

123 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 03:55:48.57 ID:k+M7DhV9.net
侑(『好きな人に想いを伝える為のデート……その"練習"がしたい』というお願い)

侑(そして先程の『練習はおしまい』という発言)

侑(さすがの私も……これらを聞いた上で、歩夢の告げた『特別な意味で大好き』という言葉の意味を履き違える程馬鹿ではなくて)

侑(でも、それじゃ)

侑(歩夢がずっと恋していた相手は他の誰でもない────)



侑(────私、だったんだ)

124 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 03:56:53.51 ID:i1FUxG15.net
ぽむの想いがどうか報われて欲しい...

125 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 04:07:46.28 ID:k+M7DhV9.net
侑(それなのに、私は愛ちゃんに嫉妬して……)

侑「……」

侑(愛ちゃんは、このことを知ってたのかな……)


───────


愛「でもほら、歩夢ってゆうゆといつも一緒にいたじゃん?だから二人は付き合ってるもんだと思っててさ〜」

愛「そうだよね、二人はチョー仲良しの"幼馴染"だもんね?」

愛「今なら、ゆうゆが歩夢のそばにいないでしょ?」

愛「攻めるなら今がチャンス!って思ってさ!」

愛「なんか、歩夢もゆうゆと一緒にいられる時間が減って寂しいみたいだし」

愛「だからまあ愛さんがその寂しさを埋められたらいいなって、そう思ってね」



愛「アタシの告白、上手くいくと思う?」


───────


侑(……歩夢の気持ちに気づいてたからこそ、あんな顔してたのかな)

侑(愛ちゃん……)

126 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 04:21:16.24 ID:k+M7DhV9.net
侑(……それに、愛ちゃんだけじゃなくて)

侑(ひょっとしたらせつ菜ちゃんも……)


───────


せつ菜「今は、行かないで……ください」ギュッ

せつ菜「私とのデート中なんですから、他の人のことは気にしないでください!」

せつ菜「あの、歩夢さんはなんて言ってましたか……?」

せつ菜「私のこと、好きですか……?」

せつ菜「……もちろん、本当は嫌ですよ」ジト

せつ菜「せめて今くらいは……恋人としての 時間を一緒に過ごしてはくれませんか……?」

せつ菜「これからは、もっと色々気を使えるようになってくださいね……」ギューッ



せつ菜「……約束ですよ」


───────


侑(……もし、歩夢の気持ちに気づいていたとしたら)

侑(絶対に、私と歩夢を二人で遊ばせるなんてしたくなかったはずなのに)

侑(せつ菜ちゃん……)

127 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 04:32:33.57 ID:k+M7DhV9.net
侑(……そうだ)

侑(たとえ、歩夢が私のことをずっと前から好きだったとしても)

侑(私は、今はせつ菜ちゃんと付き合っていて)

侑(せつ菜ちゃんが、私の恋人なんだ)

侑(それなら、私は……)


───────


愛「近いうちに、歩夢に告白しようかなって思ってる」


───────


侑「……あっ」

歩夢「……侑ちゃん?」

侑(もし、私が今ここで断ったら……どうなる?)

侑(私にフラれた歩夢に愛ちゃんが告白したら……)

侑(二人が付き合うことになる可能性は、かなり高いんじゃ……?)

侑(そしたら、歩夢は……)



侑(歩夢は、私のそばを離れちゃうのかな……?)

128 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 04:47:00.77 ID:k+M7DhV9.net
侑(歩夢が私のそばを離れて、愛ちゃんのところへ行ったら……)


───────


歩夢「私も、侑ちゃんだけは"特別"だよ」ニコ

歩夢「……侑ちゃん」

歩夢「……今度は、侑ちゃんとも買い物に行きたいな」

歩夢「う〜……侑ちゃんのイジワルっ」

歩夢「うん、とっても可愛いよ」ニコッ

歩夢「……すっごく、楽しかったよ」



歩夢「────侑ちゃんのことが好き」


───────


侑(今私に向けてくれているモノは、全部愛ちゃんに向けられることになって……)

侑(もう二度と、私には……)

侑「……っ」

侑(……それは)



侑(それは、嫌だ……ッ!!)

129 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 04:50:36.49 ID:wu2rxfx2.net
せつ菜が辛すぎるよ…

130 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 04:56:14.50 ID:k+M7DhV9.net
歩夢「……侑ちゃん」

侑「!な、なにっ……?」

歩夢「なに?じゃないよ……私、告白したんだよ?」

歩夢「告白してきた相手にすること……わかるよね?」

侑「……っ、で、でも……今の私はせつ菜ちゃんと付き合ってて……!」

歩夢「わかってるよ」

侑「!」

歩夢「そんなの、わかってるよ」

歩夢「その上で、侑ちゃんがどう思ったかを……どう思ってるかを聞きたいの」

侑「あゆ、む……」

歩夢「……ね、聞かせて?」



歩夢「侑ちゃんの……"今の"想いを」

侑「……ッ」

131 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 05:00:40.37 ID:k+M7DhV9.net
侑(私、は……)


───────


歩夢「侑ちゃん!」ニコッ


───────


侑(私は……!)


───────


せつ菜「侑さんっ!」ペカー


───────


侑(私は……ッ!!)



2-1.歩夢を選ぶ
2-2.せつ菜を選ぶ
※どちらも書きますので後味を想像して先に見たい方をお選びください

↓2

132 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 05:22:08.84 ID:i1FUxG15.net
2-2

最後はゆうぽむがいいな

133 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 05:24:32.38 ID:wu2rxfx2.net
2-2

134 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 05:42:28.28 ID:k+M7DhV9.net
2-2を選択



侑「すぅ……はぁ……」

侑「……」

侑「歩夢」

歩夢「……なに?」


侑「歩夢の気持ち、凄く嬉しかったよ」

侑「告白されて凄くドキドキしたし、今もドキドキしてる」

侑「でもね」

侑「私には、恋人がいるんだ」

侑「せつ菜ちゃんが……いるんだ」

侑「だから」



侑「私は、歩夢とは付き合えない」

侑「歩夢の想いには応えられない」

侑「ごめんなさい……!!」

135 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 05:57:33.68 ID:IkIU/qEl.net
しかしこれだけ長くて分岐が多いと途中までのあらすじ忘れちゃうなw

136 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 06:00:03.47 ID:k+M7DhV9.net
────隣には、ぎゅっと目を瞑って座ったまま軽く頭を下げる侑ちゃん


歩夢「……」


────本当に申し訳なさそうなその表情に、なんだか侑ちゃんらしさを感じられて


歩夢「……そっ、か」


────そうだよね、侑ちゃんならそう言うよね……と


歩夢「私とは、付き合えない……か」


────不思議な納得感が、私の中で生まれ始めると同時に


歩夢「……そっかぁ」


────侑ちゃんにフラれた、という事実が私の心にゆっくりと染み渡っていって


歩夢「私の想いには応えられない、かぁ……」


────自然と、侑ちゃんの言葉を咀嚼するかのように復唱し始めて


歩夢「そっかぁ……」


────下を向く侑ちゃんとは対照的に、私は天井を見上げて


歩夢「……そう、なんだぁ」


────この想いが溢れ出さないように、必死に自分を抑えつけることにした

137 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 06:08:31.08 ID:k+M7DhV9.net
侑「ごめん……本当に……」

歩夢「……もう、侑ちゃんってば」

歩夢「あんまり謝られると……私、もっと惨めになっちゃうよ……?」

侑「あっ、ごめ……っ!」バッ

歩夢「……ふふっ」

歩夢(慌てて自分の口を押さえる侑ちゃんがおかしくて、思わず笑い声が漏れてしまった)


侑「……?」


歩夢(口を押さえたまま、首を傾げる侑ちゃんがなんだか可愛くて)


歩夢「……それにしても」



歩夢「付き合ってなんて言ってないのに、侑ちゃんは早とちりだね」ニコ


歩夢(……フラれた腹いせじゃないけど、少しだけ虐めたくなってしまった)

138 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 06:16:44.16 ID:k+M7DhV9.net
侑「えっ……?」

歩夢「だって私、侑ちゃんのことが好きって言っただけで……付き合ってとは言ってないよ?」

侑「えっ、あっ……」

歩夢「それなのに……ふふ、私フラレちゃったんだね」

侑「い、いやだって、好きってことはそういうことかなって……!」

歩夢「ふふ、もう侑ちゃんってば」クスクス

歩夢「私だってわかってるよ……今の侑ちゃんにはせつ菜ちゃんがいるから付き合うのは無理だってことくらい」

侑「……!」

歩夢「……それでもね、伝えたかったの」

歩夢「侑ちゃんの返答がどんな内容でも」

歩夢「それでも、伝えたかったの」

歩夢「そうしないと、きっとずっと苦しいままだったから」

歩夢「……だからね、侑ちゃん」



歩夢「私の自己満足に付き合ってくれて、ありがとう」ニコ

139 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 06:28:22.47 ID:k+M7DhV9.net
侑「っ!」ズキッ

侑「じ、自己満足って……!」

歩夢「……そうだよ」

歩夢「これは、私が納得する為に必要なことだったの」

歩夢「私が、十数年大事にしてきた想いに……折り合いをつける為に」スッ

侑「!」

侑(歩夢の肩が、離れて)

歩夢「……」スクッ

侑(続けて、歩夢自身も私の隣から離れて)


ストンッ


侑(歩夢は、最初に座っていた向かい側の座席に戻ってしまって)

歩夢「……」ニコ

侑(わかりやすい作り笑顔を一度、私に向けて)

歩夢「……」

侑(その後は、窓の外の景色に視線を向けたっきりこちらを向くことはなく)

侑(それから、私達の間で言葉が交わされることは────)



侑(────観覧車が一周し終えるまで、一切なかった)

140 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 06:34:08.29 ID:k+M7DhV9.net
〜観覧車降り口〜



歩夢「……」スタスタ

侑「あ、歩夢……あの」

歩夢「侑ちゃん」ピタッ

侑「!な、なに?」

歩夢「ごめんね……先に帰っててもらってもいいかな」

侑「……え?」

歩夢「少し、海を眺めてから帰ろうかなって」

侑「で、でももう日も落ちるし……一緒に」

歩夢「侑ちゃん」



歩夢「お願い、今は一人にさせて」

歩夢「……ね?」ニコ

侑「……ッ!」

141 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 06:40:00.45 ID:k+M7DhV9.net
侑(ダメだよ、歩夢)

侑(私と一緒に帰ろう?夜に一人は危ないよ)

侑(そんな顔した歩夢放っておけないよ)

侑(一人になんてさせられないよ)

侑(そばにいたいよ)

侑(歩夢と一緒にいたいよ)

侑(歩夢の隣にいさせてよ)

侑(私のそばから離れないでよ)

侑(どこにも行かないでよ)

侑(……なんて)

侑(歩夢を引き止める為の言葉が、いくつも頭に思い浮かぶけど)

侑(でも)



侑(今の私に、そんなこと言う資格ないよ……っ!!)

142 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 06:50:47.89 ID:k+M7DhV9.net
歩夢「……じゃあね」タッ

侑「あっ……」

侑(あゆ、む……)

侑(私……私、は……)



〜しばらくして、宮下家、愛の部屋〜



愛「……」

愛(歩夢……上手くやれてるかな……)

愛(ゆうゆにちゃんと、伝えられてたらいいんだけど……)


───────


果林「……私もそうだけど、愛も大概カッコつけたがりだからね」

果林「たまには自分の気持ちに素直になってみるのもいいと思うわよ?」


───────


愛(自分の気持ちに、素直に……)

愛(……ダメだよ……少なくとも、今は"まだ"そのときじゃない)

愛(まだこの"想い"は言葉にしちゃいけない……!)

愛「……っ」ギュッ

愛(それよりも今は、歩夢の想いの方が大事で────)


ピコン


愛「!!」ガバッ

143 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 06:59:25.45 ID:Lp8wG9I5.net
>>132
もう片方もゆうぽむで終わるとは限らない気もする。どういう展開になるかわからないし

144 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 07:00:08.70 ID:k+M7DhV9.net
愛「電話……誰から……!」スッ


『着信中:上原歩夢』


愛「!!」バッ

愛「もしもし!歩夢?」

歩夢『……ぁい、ちゃん』

愛(声、震えて……!でも、ひとまずは普通に……)

愛「やっほ〜、どったの?」

歩夢『……』

愛「……歩夢?」

歩夢『……愛、ちゃん』

愛「……大丈夫、アタシだよ」

歩夢『……ん』

愛「……歩夢、今どこにいる?」

歩夢『……ぇ?』

愛「場所教えて」



愛「今すぐ、ソッコーでそっち行くからさ」

145 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 07:02:35.95 ID:k+M7DhV9.net
すみませんが眠気ひどくなってきたので一旦ここまでです!!!!!
起きたら続きを書きますができればそのままルート2-2の終わりまで行ければと思います……!

146 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 07:05:09.35 ID:UQvjeElj.net
泣いた😭😭😭😭

147 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 07:05:29.77 ID:UQvjeElj.net
お疲れ様です!!!

148 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 07:06:37.80 ID:UQvjeElj.net
マジで分岐全部書いてくれるの嬉しみ

149 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 08:02:18.07 ID:6P+0BMzY.net
相変わらずクソ面白え

150 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 09:34:11.22 ID:qM4UNyXJ.net
乙!楽しみにしてる

151 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 10:26:39.02 ID:ov8/x1Z4.net
乙!
正直に言うとこの侑ちゃんにとって歩夢の存在はあまりにも大きすぎる...歩夢を傷つけるまでせつ菜と付き合いし続ける覚悟を本当に持っているのか....

152 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 12:11:25.95 ID:S2RZvsVn.net
夕方から夜までぶっ続けで書いてたのか……乙

153 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 12:42:43.32 ID:ov8/x1Z4.net
この侑ちゃんは恋愛ベイビーだからあまり責めないで欲しい...
ちゃんと考えているだからな...ここからだぞ....

154 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 12:46:20.41 ID:i1FUxG15.net
歩夢が離れていく事に対して寧ろ侑ちゃんが割り切れないだろうに
一生モヤモヤして生きていく事になりそう

155 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 15:28:10.63 ID:mJwMW1YI.net
なんだこれ
めっちゃ面白いじゃん
ゆうぽむ√も書いてくれるとか神か

156 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 17:51:28.13 ID:k+M7DhV9.net
ルート2-2の続きですが、また今日の夜から明日の早朝辺りまでを使ってリアタイで書いていく感じでいきたいと思いますのでしばしお待ちください……!

157 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 20:47:07.78 ID:fh6CA+1P.net
せつ菜救いなさすぎるだろ。侑ちゃん歩夢に未練あるし、もう片方のルートでは侑ちゃん取られるし。
歩夢煽ったじゃんって言っても、玉砕覚悟で告白したせつ菜からしてみれば行動しないで取られたとか何甘っちょろいこと言ってんだって話でしょ。しかもずっとチャンスがあった歩夢がそれ言ってるんだから。

158 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 20:51:10.49 ID:pv/rserP.net
3人仲良くイチャ着けばいい

159 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 21:22:02.03 ID:/MeaHC1p.net
今まで通りにはいかないけど、いつかは笑って話せる時が来たらいいねえ(泣)

160 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 21:28:43.92 ID:ov8/x1Z4.net
まぁゆうせつの関係性は高校生ではよくあるものだからね....歩夢が侑ちゃんに恋愛感情を持ってなければゆうせつは成立できるだろう
逆に言うと、歩夢がその気があればゆうせつの完全勝利はほとんど不可能...

161 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 21:40:14.49 ID:bT9IITst.net
🌸cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ 無理な戦いを挑むからだめなんだよ♡

162 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 22:10:55.96 ID:ptBe+uyB.net
歩夢がせつなすぎる

163 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 22:21:18.59 ID:oJzOBXwq.net
>>157
最後のルートがせつ菜完全勝利ルートになるんじゃないの。ただそっちは歩夢が諦めようと決めたのに
告白させて振られるというわりと鬼畜な流れになりそうだけど
結局侑ちゃんが恋愛以前に未熟過ぎてどう考えても愛さんの方が魅力的に見えちゃうんだよな

164 :名無しで叶える物語:2021/02/06(土) 23:16:10.26 ID:vKXGMiID.net
>>160
それこのスレにおいてはゆうせつ勝利不可能ってことになりませんかね…そもそもの発端が歩夢が寝取られたってせつ菜に噛み付いたことだし

165 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 00:20:56.99 ID:4MplQxpE.net
後味悪いくらいが丁度良いかなって
どちらかが割り切れたり時間が解決する程度の想いじゃないでしょ

166 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 00:45:36.01 ID:Oj6Gocau.net
〜少し前、海辺の公園〜


歩夢「……」

歩夢(侑ちゃん……)


───────

侑「歩夢の気持ち、凄く嬉しかったよ」

───────


歩夢(私の気持ち、嬉しかったんだ)


───────

侑「告白されて凄くドキドキしたし、今もドキドキしてる」

───────


歩夢(私の告白に、ドキドキしてくれたんだ)

歩夢(こんな私の、告白でも……)

歩夢(……だけど)


───────

侑「私は、歩夢とは付き合えない」

侑「歩夢の想いには応えられない」

侑「ごめんなさい……!!」

───────


歩夢(ちゃんと……)

歩夢(きっぱり、はっきりと断られちゃったなぁ……)

歩夢(……断られたってことは、私の想いが侑ちゃんに受け入れられることはないっていう意味で)

歩夢(受け入れられない以上、もうこの想いを抱え続けていても……ただただ苦しいだけで)

歩夢(苦しいだけなら、もうこの想いはどこかに消し去ってしまった方がよくて)

歩夢(想いを、消し去るってことは)

歩夢(もう、本当にこれで……)



歩夢(終わり、なんだ)

167 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 00:59:28.05 ID:Oj6Gocau.net
歩夢(もうこれで、私が侑ちゃんに恋する時間はおしまいで)

歩夢(明日からは、私にとっての侑ちゃんはただの幼馴染になってなくちゃいけなくて)

歩夢(私は、私の想いが受け入れられなかったという事実を受け入れなくちゃいけなくて)

歩夢(私は、私は……)

歩夢「……っ」

歩夢(……ダメだ)

歩夢(一人でいると、ぐるぐると嫌な考えが頭を回り続けて)

歩夢(突きつけられた現実に、押し潰されてしまいそうで)

歩夢(胸の奥が、ズキズキと痛くて)

歩夢(……侑ちゃんに先に帰ってもらってまで、一人になることを選んだのに)

歩夢(それなのに、今さら一人は嫌だなんて)

歩夢(私、すっごく我が儘だよ……)

歩夢「……」

歩夢(……誰か)

歩夢(誰か、助けて……)

歩夢(私のことを……助けて……)

歩夢(お願い……誰か……)


───────


愛「歩夢!」


───────


歩夢「……!」

168 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 01:10:00.50 ID:Oj6Gocau.net
────泥のように、深く暗い闇に沈んでいく私の心に


歩夢(……そうだ)


────きらきらと、太陽のように輝く


歩夢(……愛ちゃん)


────愛ちゃんの、笑顔が浮かんで


歩夢(愛、ちゃん……)


────これ以上、迷惑をかけちゃいけないと思うのに


歩夢(愛ちゃん、なら)


────もう十分、助けてもらったはずなのに


歩夢(愛ちゃんなら、私のこと)


────それでも、私の心は


歩夢(……助けて、くれるかなぁ)


────愛ちゃんに、縋り付こうとしていた

169 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 01:10:39.68 ID:H5tUASKH.net
待ってたぞ!

170 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 01:24:00.05 ID:Oj6Gocau.net
歩夢(震える手で、そっとスマホを取り出し)

歩夢「……」スッ…スッ…

歩夢(躊躇いながらも、愛ちゃんに電話をかける)

歩夢「……ふぅ……ふぅ」

歩夢(緊張で、変な風に息をしてしまう)

愛『もしもし!歩夢?』

歩夢(ワンコールで、愛ちゃんが電話に出てくれた)

歩夢「……ぁい、ちゃん」

歩夢(私は、名前を呼ぶのも精一杯になってしまって)

愛『やっほ〜、どったの?』

歩夢(それに対して、いつも通りな愛ちゃんの返答に……少しだけ、ほっとして)

歩夢「……」

愛『……歩夢?』

歩夢(だけど、何を喋っていいかわからなくて)

歩夢「……愛、ちゃん」

愛『……大丈夫、アタシだよ』

歩夢(そんな私に、愛ちゃんは優しい声色で答えてくれて)

歩夢「……ん」

歩夢(それでも、私は言葉を上手く紡げなくて)

歩夢(……でも)

愛『……歩夢、今どこにいる?』

歩夢「……ぇ?」

歩夢(そんなおかしな私の様子を察したのか、愛ちゃんはこう言った)

愛『場所教えて』

愛『今すぐ、ソッコーでそっち行くからさ』

歩夢(……なんで)

歩夢(私、まだ何も言ってないのに……)

歩夢(……どうして)



歩夢(どうして愛ちゃんは、ここまで私に優しくしてくれるの……)

171 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 01:32:29.43 ID:Oj6Gocau.net
〜しばらくして、海辺の公園〜



愛「はぁ……はぁ……」

愛(歩夢に教えてもらった場所だと、ここら辺のはずだけど……)


歩夢「────」


愛「……いた!」ダッ


愛「歩夢!」タッタッタッ

歩夢「……ぁ」

愛「はぁ……よかった……ちゃんといた……」ゼェハァ

歩夢「ぁい、ちゃん……」

愛「ごめん……ちょっとだけ……待って……」ゼェハァ

愛「息、整えるから……さ……」ゼェハァ

歩夢「……走って、来たの?」

愛「ん……まーね……もちろん、電車も使ったけど……」ゼェハァ

愛「それ以外は……ね」ゼェハァ

歩夢「……」

愛「いや……久々に……こんなに全力、出したかも……」ゼェハァ

歩夢「愛ちゃん……」



歩夢「……ごめん、ね」

愛「……え?」

172 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 01:38:44.03 ID:Oj6Gocau.net
歩夢「だって……愛ちゃんがそんなに息切らしてるところ、初めて見たから……」

愛「……」ゼェハァ

歩夢「私が電話しなかったら、そんな風にならなかったのかなって……」

愛「……すぅ……はぁ……」

歩夢「だから……ごめ」

愛「せいっ!」トンッ

歩夢「んっ!?」

歩夢(な、なに……頭にチョップされたの……?)

愛「……歩夢さぁ」

歩夢(え……や、やっぱり怒って……)

愛「こういうときは」



愛「ごめんじゃなくて、ありがとうの方が愛さん嬉しいなぁ」

歩夢「……え?」

173 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 01:43:07.54 ID:Oj6Gocau.net
愛「謝られちゃうとさ、しなきゃよかったのかなーって思っちゃうじゃん?」

愛「でも感謝されたらさ、やってよかったー!って思えるじゃんか」

愛「だから」

愛「こういうときはさ、ありがとうの方が嬉しいなって愛さんは思うよ」ニッ

歩夢「愛、ちゃん……」

愛「ね?」

歩夢「……うん」



歩夢「ありがとう……私の為に、全力で走ってきてくれて」

愛「ん、どーいたしまして!」

174 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 01:56:47.93 ID:Oj6Gocau.net
愛「隣、座ってもいい?」

歩夢「……うん」

愛「ありがと!よっ、と」

愛「ふーっ……これでやっと一息つける〜」

歩夢「そっか……」

愛「……あ、そうだ」ゴソッ

歩夢「?」

愛「はい、これ」スッ

愛「飲み物買ってきたんだけど、どっちがいい?」

歩夢「……あっ」

歩夢(これ……)


───────


愛「だからさ、ここは歩夢のオススメ教えてくれたらウレシーなって」

歩夢「えっと、じゃあ……これ、かな?」

愛「おっ、んじゃそれにしーよっと」ピッ


───────


歩夢(……あのとき、私がオススメした飲み物だ)

歩夢(覚えてて、くれたのかな)

175 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 01:58:46.35 ID:Oj6Gocau.net
歩夢「……それじゃあ、こっちにしようかな」

愛「オッケー、じゃあこっちは愛さんがもらっちゃうね」

歩夢「あ……そうだ、お金払うよ」

愛「ん?あー、いーよいーよ気にしなくて」

歩夢「え、でも……」

愛「……じゃあさ」

愛「また今度、愛さんに何か奢ってよ」

歩夢「また、今度……?」

愛「うん、また今度!ダメかな?」

歩夢「……ううん」



歩夢「じゃあ、また今度ね」ニコ

愛「おーまた今度!」ニッ

176 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 02:07:44.81 ID:Oj6Gocau.net
歩夢(『また今度』……それは次があることを意味する言葉で)

歩夢(つまり、愛ちゃんがまたこうやって二人で過ごす時間を希望してくれているということで)

歩夢(今の私には、それがとても嬉しく感じられて)

歩夢(それに……)


愛「……んー」ノビーッ

愛「はぁ〜……なんか、こうやってぼんやり海を眺めるのもいいね〜」

歩夢「……うん」

愛「日も落ちて、夜景もいい感じになってきたし」

歩夢「……そうだね」

愛「ぼーっとしたいときに、結構いいかも」ニシシ

歩夢「……」

歩夢「……ねぇ、愛ちゃん」

愛「んー?」



歩夢「何があったか……聞いたりしないの?」

愛「……」

177 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 02:23:27.33 ID:Oj6Gocau.net
愛「ん〜そうだなぁ……」

歩夢「……」

愛「……もちろん、聞きたくないわけじゃないけど」

愛「でもさ」


愛「アタシがここに来たのは」

愛「電話越しじゃ、ちゃんと歩夢のそばにいられないなって思ったからで」

愛「ちゃんと歩夢のそばにいるには、直接歩夢のそばに行くしかないなって思ってさ」

愛「それで、場所聞いてここに来たんだよ」

歩夢「……!」


愛「……アタシがしたかったのは、とにかく歩夢のそばにいることで」

愛「歩夢に何があったかを聞き出すよりも、まずはそっちの方が大事かなって」

愛「だから、歩夢が何か話し出すまでは……こうやってそばにいよっかなって思ってさ」ニッ

歩夢「愛ちゃん……」

愛「……電話だとさ、声を出さなきゃ通じ合えないけど」

愛「でも、こうやって隣合って座ってればさ……何も言わなくてもなんか通じ合える感じするじゃん?」

歩夢「何も、言わなくても……?」

愛「や、もちろんなんでもわかるってわけじゃないよ?愛さんエスパーじゃないしね」アハハ

愛「……でも」


ギュッ


歩夢「!」

178 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 02:40:02.28 ID:Oj6Gocau.net
────私の手に、愛ちゃんの手がそっと重ねられて


愛「……ほら」


────包み込むように、ぎゅっと優しく握られる


愛「こうやって触れ合えば」


────愛ちゃんの手は、とても温かくて


愛「さっきよりもっと、歩夢の心に寄り添えるんじゃないかな?」


────その温かさが、暗く沈んでいた私の心に染み渡って


愛「……なんて、ちょっとクサすぎたかな」アハハ


────少しずつ、明るく照らしていって


愛「……まあとにかくさ」


────以前も、こうして手を握ってもらったことを思い出して


愛「今は、アタシがそばにいるから」


────だけど、今は


愛「だから、安心してよ」ニッ


────大好きで"特別だった"幼馴染に、重なって見えることはなかった

179 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 02:41:00.81 ID:ouLMClZJ.net
歩夢は振られたら愛さんに助けてもらえるけど、せつ菜は振られたら誰も助けてくれないんだよな……登場人物全員歩夢の味方なんだもんな

180 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 02:46:55.98 ID:GAFl2sPj.net
だから侑を最速最短で勝ち取るせつ菜がすげーんだわ

181 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 02:50:14.30 ID:Oj6Gocau.net
歩夢「ぁ……」

歩夢(そうだ、前にもこうやって愛ちゃんから勇気をもらった……)

歩夢(そのときは侑ちゃんのことを思い浮かべたけど……)

歩夢(でも、今はもう……)

歩夢(……だから)

歩夢「……すぅ……はぁ……」

歩夢「……」

歩夢「よしっ!」カッ



歩夢「愛ちゃん」

愛「ん?」

歩夢「私の話……聞いてくれる?」ニコ

愛「……もちろん!」ニカッ



歩夢(侑ちゃんへの"想い"に、ちゃんとさよならをしなきゃ……!)

182 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 02:59:35.53 ID:Oj6Gocau.net
すみません最後まで書き続けたかったのですが眠気がひどくなってきたので一旦ここまでとさせていただきます……!
起きたら続きを書きます!!!!!

183 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 03:00:06.34 ID:07LAftsl.net
乙です
惹き込まれるなぁ

184 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 03:44:47.56 ID:ouLMClZJ.net

なんだかんだ楽しみに待ってます

185 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 04:48:25.60 ID:vc0H0rUH.net
>>165
侑がどっちとも良い関係を続けたいと考える限りどこかおかしくなるわな
歩夢が辛いなら同好会やめても引き止めないよくらいはっきりしないと

186 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 07:33:16.49 ID:5aH4vbAe.net
>>185
これ
侑ちゃんは自分の選択になんの代償も負いたくたない身勝手な子供だわ

187 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 07:45:19.20 ID:8RMV/n4H.net
>>185
元々侑は歩夢の恋心を気づいてないから、彼女が出来でも歩夢が10年以上にずっと一緒にいる幼馴染の事実も変わらないからそりゃ良い関係を続けたいだろ...
せつ菜の告白を受ける時はもしそれが幼馴染との関係を影響することが知ってるなら多分断るだろ

188 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 07:58:25.67 ID:bc+nDJOw.net
愛さんの笑顔が侑と重なって見えなくなったってとこいいね……

189 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 09:27:01.36 ID:vc0H0rUH.net
>>187
気持ち知ったならどっちもなんて通らないだろう。いやまあ話的に振られても仲良くするエンドもあるんだろうけど
侑が恋愛赤ちゃんだろうと自分に置き換えれば想像できないかな。私は振られた後でも仲良くできるよとか思うなら
そもそもどちらも大して好きじゃないんじゃないかと

190 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 09:52:39.42 ID:5aH4vbAe.net
改めて読み直して見たら恋愛赤ちゃんって精一杯の擁護をされてきたけどもうこれギャルゲーの主人公だわ
ヒロイン候補が可哀想主人公消えろって言われるタイプの

191 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 12:22:23.10 ID:Ry4+3J75.net
愛さんのイケメンムーヴが強すぎてこの歩夢が落ちても仕方ない

192 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 13:42:04.83 ID:Wo3s8RxW.net
わしはこの侑ちゃんみたいな子も好きやで

193 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 13:51:41.58 ID:kN1C36sE.net
これ侑ちゃんが一番悪いよな。歩夢の気持ちに気付いてたらせつ菜の告白断ってただろうから。
よく考えずOKしたせいで歩夢もせつ菜も傷付けてるし。

194 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 14:04:45.24 ID:H5tUASKH.net
ここの侑ちゃんはそーゆー恋愛下手で間違った選択しちゃう人間味あるところが良いんだろ?みんなが好感持てる感じではないけど、こーゆー恋愛物では必要なキャラだと思うぞ

195 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 14:17:14.20 ID:vc0H0rUH.net
まあ侑がその辺わかるキャラだったり歩夢がすんなり諦めて身を引くキャラになってたら話が転がらずに終わるしな

196 :名無しで叶える物語:2021/02/07(日) 23:32:14.31 ID:4Vbiqj0s.net
保守

197 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 03:03:30.82 ID:emoravt+.net
まだ起きてないのかなわくわく

198 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 11:39:54.09 ID:DpRauLcN.net
観覧車を告白の場所に選んだのは断られたときすぐに飛び降りるのかと思ったひやひやしたわw

199 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:16:02.39 ID:LJq5vsK/.net
──────
────
──



愛「……そっか」

愛「ちゃんとゆうゆに……好きって、言えたんだね」

歩夢「うん……」

歩夢「……でも」

歩夢「やっぱり、せつ菜ちゃんがいるから」

歩夢「だから、私の想いには応えられない……って」

歩夢「はっきりと、断られちゃって……」

愛「……うん」


歩夢「……けどね」

歩夢「変な話だけど……侑ちゃんなら」

歩夢「……私の好きな侑ちゃんなら、きっとそう言うだろうなって」

歩夢「なんか……不思議と納得しちゃって」

愛「……」

歩夢「……だから」

歩夢「私の"想い"を侑ちゃんに伝えたいっていうお願いは、もう叶ったから」



歩夢「……これでもう、侑ちゃんを好きでいるのはやめようって」

歩夢「……そう、決心できたの」

愛「歩夢……」

200 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:16:49.87 ID:LJq5vsK/.net
歩夢「……愛ちゃん」

歩夢「たくさん、相談に乗ってくれて」

歩夢「ありがとう……ね」ニコ…

愛「……!」

歩夢「私……きっと一人じゃ、侑ちゃんに想いを伝えることなんてできなかったから」

歩夢「だから……こうして侑ちゃんに告白できたのは、愛ちゃんに一歩踏み出す為の勇気をもらえたおかげだよ」

歩夢「本当に、ありがとう……」

愛「……」

愛「……歩夢」ポンッ

歩夢「!」



愛「今まで……よく頑張ったね」ナデナデ

歩夢「……ぇ」

201 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:18:01.20 ID:LJq5vsK/.net
────私に語りかける愛ちゃんの声色は、とても優しいもので


愛「アタシはさ、歩夢がゆうゆを好きでいた時間の十分の一にも満たない……たった数ヶ月間しか二人のことを知らないけど」


────私の頭を撫でる手つきも、とても優しいもので


愛「それでも……歩夢がゆうゆを想う姿は、ずっと見てたから」


────だけど、そのせいで私は上を向くことができなくて


愛「何様のつもり、って思うかもしれないけど」


────観覧車のときみたいに、この想いが溢れ出さないように抑えつけることは


愛「それでも私は」



愛「よく頑張ったね……って」

愛「歩夢に、そう言いたいんだ」


────もう、できなかった

202 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:18:56.77 ID:LJq5vsK/.net
────ポツリ、と……握り締めた私の手の甲に雫が一つ落ちて


歩夢「ぁ……」


────そのまま、二つ三つ四つと数を増していく


歩夢「……っ」


────止めなくちゃと思って、強引に手で拭おうとするけど


愛「待った」


────愛ちゃんに、腕を掴まれてしまって


愛「手で拭っちゃうと良くないから……」


────代わりに、差し出されたのは


愛「はい、ハンカチ」

歩夢「……ぇ」

愛「目元が腫れたりしたらさ、せっかくの可愛い顔が台無しじゃん」

愛「だから……ね?」

歩夢「……うん」



歩夢「……ありがとう」

愛「どーいたしまして!」

203 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:19:37.09 ID:LJq5vsK/.net
歩夢「ん……」

歩夢(……あれ)

歩夢「……」ポロポロ

歩夢(ハンカチで、拭ってるのに)

歩夢「……っ」ポロポロ

歩夢(拭っても拭っても、止まらない……!)

歩夢「なん、で……」ポロポロ

歩夢(止まって……止まってよ……!)

歩夢「う、うぅ……」ポロポロ

歩夢(お願いだから……!)


ギュッ


歩夢「!」

204 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:25:01.77 ID:LJq5vsK/.net
愛「歩夢……」

歩夢(ぁ……私……)

愛「いいよ、無理に止めなくても」

歩夢(愛ちゃんに、抱き締められて……)

愛「出したいときは、止めなくていい」

愛「我慢しなくて、大丈夫だから」

愛「今は、アタシしか見てないから」

愛「何を言っても、アタシしか聞いてないから」

愛「だからさ」



愛「遠慮せずに思いっきり、全部出しちゃっていいんだよ」

歩夢「────っ」

205 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:26:09.67 ID:LJq5vsK/.net
歩夢「わた、し……」

歩夢「私……ずっと、前から……っ」

歩夢「ずっと……ずっとずっと侑ちゃんのこと……好きだったのに……」

歩夢「なんで……なんでせつ菜ちゃんのとこに、行っちゃったの……っ」

歩夢「なんで私……もっと、もっと早く好きって言わなかったの……っ」

歩夢「私が、もっと早くに……ちゃんと、ちゃんと好きって言ってれば……!」

歩夢「侑ちゃん……と……っ」

歩夢「私……は……」

歩夢「……う」

歩夢「うぅ……!」



歩夢「────────ッ!」

愛「────」ギュッ



──
────
──────

206 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:31:32.89 ID:LJq5vsK/.net
──────
────
──



歩夢「……」

愛「……」

歩夢「……ごめんね」ギュッ

愛「……なにが?」

歩夢「服……汚しちゃって……」

愛「あー……いーよいーよこれくらい」

愛「洗濯すればだいじょーぶ!」

愛「……それよりさ」

歩夢「?」



愛「汗……臭わなかった……?」

歩夢「え……?」

207 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:33:06.02 ID:LJq5vsK/.net
愛「ほら、アタシここまで全力で走ってきたからさ」

愛「だから汗もかいてたし……ね」

歩夢「……」

愛「自分から抱き締めといてなんだけど、つい気になっちゃってさ……」アハハ

歩夢「……大丈夫」

愛「!そ、それならよかっ」

歩夢「少し臭うくらいだから……気にしなくて大丈夫だよ」ニコ

愛「え!?それってだいじょーぶじゃなくない!?」

歩夢「ふふっ」

歩夢「……冗談、だよ」クスッ

愛「!あっ歩夢〜!今のはちょっと心臓に良くないぞ〜!」

歩夢「ふふ、ごめんね?」クスクス

歩夢「それと……」



歩夢「……ありがとう」ギュッ

愛「!」

208 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:34:18.93 ID:LJq5vsK/.net
歩夢「……侑ちゃんにフラれて、ここに一人でいたときは」

歩夢「とにかくこの想いを消さなきゃって必死で」

歩夢「それで……凄く、苦しくなっちゃって」

愛「……」

歩夢「……でもね」


歩夢「愛ちゃんがこうしてここに来てくれて」

歩夢「何も言わずに、私のそばにいてくれて」

歩夢「優しく、手を握ってくれて」

歩夢「私の話を、じっくり聞いてくれて」

歩夢「私の汚いところも、全部受け止めてくれて」

歩夢「それで……」



歩夢「すっごく、救われた気持ちになったから……!」

愛「歩夢……」

209 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:35:19.40 ID:LJq5vsK/.net
歩夢「……もちろん、すぐにこの想いを消すことなんてできないけど」

歩夢「それでも、愛ちゃんが隣にいてくれたことで……凄く救われたの」

歩夢「だから……だから感謝を伝えたくて」

愛「……そっか」

歩夢「本当に……ありがとう」ニコ

愛「ん……どーいたしまして、だね」

歩夢「……」

歩夢「ね、愛ちゃん」

愛「ん?」

歩夢「一つ、聞いてもいいかな……?」

愛「おーなになに?」

歩夢「あのね……」



歩夢「……どうして、ここまで私に優しくしてくれるの?」

210 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:36:38.26 ID:LJq5vsK/.net
愛「!……どうして、って」

歩夢「……ごめんね、こんなこと聞いて」


歩夢「でも、あのとき自販機の前で声をかけてくれたときから……愛ちゃんはずっと優しくて」

歩夢「こんな私のことを、応援してくれて」

歩夢「こうすることで……もしかしたら、せつ菜ちゃんに嫌われちゃうかもしれないのに」

歩夢「それでも、ずっと私に優しくて……今もこうして、優しくしてくれるから……」

歩夢「それは、なんでなんだろうなって」

愛「……」

歩夢「……もちろん、愛ちゃんが困ってる人を放っておけない人だってことは知ってるよ?」

歩夢「"部室棟のヒーロー"なんて呼ばれてるくらいだもん……今までだって、きっとこんな風に色んな人を助けてきたんだろうなとも思うよ」

歩夢「……それでも、私はこれまで愛ちゃんに何か特別なことをしてあげたわけじゃないと思うし」

歩夢「愛ちゃんに、こんな風に助けてもらえる程……私は良い人間じゃ」

愛「歩夢」

歩夢「!」ビクッ



愛「それは、言っちゃダメだよ」

歩夢「愛、ちゃん……?」

211 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:38:14.24 ID:LJq5vsK/.net
愛「たとえ自分のことであってもさ……そんな風に悪く言っちゃダメだよ」

歩夢「……うん」

愛「それに……これはアタシがそうしたいと思ったからそうしてるだけで」

愛「歩夢に何かをもらったからそれを返したいとか、そういう話じゃないんだ」

愛「だから……どうしてとかそういうのは気にしなくていいんだよ」

歩夢「……そう、なのかな」

愛「そうだよ」ニッ

愛「それに、もらったから返さなきゃとか、あげたんだから返してほしいとか……そういうのは愛さんの性に合ってないしね!」

歩夢「……そっか」

愛「だから歩夢は気にしなくてだいじょーぶ!オッケー?」

歩夢「……うん」

歩夢(……愛ちゃんがそういうなら、そうなんだよね)

歩夢(それなら、私は……)



歩夢「ありがとう、いつも優しくしてくれて」ニコッ

愛「へへ、どーいたしまして!」ニッ

212 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:39:26.99 ID:LJq5vsK/.net
歩夢「……それにしても、明日からどうしようかな」

愛「明日からって?」

歩夢「えっと……前にも話したと思うけど、私毎朝侑ちゃんの家に行ってたから」

愛「あー……」

歩夢「それにお昼もずっと一緒だったし……」

歩夢「でも、今は……」

愛「んー……」

歩夢「どうしよう……」



愛「……いいんじゃない?ゆうゆの家に行かなくてもさ」

歩夢「え?」

213 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:41:13.35 ID:LJq5vsK/.net
愛「だって、今の状態で行ったって気まずいっしょ」

愛「それに……たぶんそれはゆうゆも同じだと思うよ」

歩夢「侑ちゃんも……」

愛「……お昼もさ、ゆうゆと一緒が気まずいんならアタシんとこに来ればいーし」

歩夢「え……いいの?」

愛「いいよ!りなりーも喜ぶだろうしさ」

歩夢「あっ、そっか……いつも璃奈ちゃんと食べてるんだっけ?」

愛「うん!まあさすがに毎日ってわけじゃないけどさ」

歩夢「そっか……」

愛「こういうのは人数多い方が楽しいしね」ニシシ

歩夢「……」

歩夢「……あのね、愛ちゃん」

愛「ん?なに?」



歩夢「明日のお昼……私と二人じゃ、ダメかな……?」

愛「えっ?」

214 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:42:04.87 ID:LJq5vsK/.net
歩夢「あっ……ご、ごめんね!変なこと言って!」

愛「……」

歩夢「あはは、な、何言ってるんだろう私……」

愛「……いいよ」

歩夢「明日は璃奈ちゃんと一緒に……え?」

愛「いいよ、歩夢と二人で」

歩夢「えっ……い、いいの?」

愛「もちろん!」

愛「さっきも言ったけどさ、りなりーとは毎日必ず一緒に食べてるってわけじゃないから」

愛「今日は別の子と約束あるんだーってちゃんと言えばだいじょーぶ!」

歩夢「そう、なんだ……」

愛「うん!だからさ」



愛「明日は、二人で食べよっか」ニッ

歩夢「う、うん……!」

215 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:43:04.80 ID:LJq5vsK/.net
愛「したらどこで食べよっか?せっかくだしいつも食べないところとか行ってみる?」

歩夢「そうだね……それなら、裏庭とかどうかな?」

歩夢「この前愛ちゃんとお昼休みに二人で話してたときに、静かでいい場所だなって思ったんだ」

愛「おっ、なら裏庭にしよっか!」

歩夢「うん!」

愛「へへ、なんか歩夢と二人だけでお昼って新鮮かも」

歩夢「ふふ、そうだね」

歩夢「……」

愛「ん?どったの?」

歩夢「あっ、ううん!大丈夫!」

歩夢「……ただ、さっきまでは明日はどうしようって不安でいっぱいだったのに」

歩夢「今はもう、明日が来るのが楽しみになってるから……」

愛「歩夢……」

歩夢「ふふっ……これも全部、愛ちゃんのおかげだね」

愛「え〜?そんなことないって」

歩夢「ううん、そんなことあるよ」



歩夢「本当に……ありがとね」ニコッ

愛「!」ドキッ

216 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:43:51.86 ID:LJq5vsK/.net
愛「な、ならそういうことにしとこっか〜!」フイッ

歩夢「うん」ニコニコ

愛「ははっ……」ドキドキ


愛(……なに、これ……!?)

愛(歩夢の笑顔を見たら……心臓が……!)


───────


果林「たまには自分の気持ちに素直になってみるのもいいと思うわよ?」


───────


愛(だーっ!なんで今カリンの言葉が頭に思い浮かぶの!)

愛(自分の気持ちに素直になんてアタシは……)

愛「……!」

愛(……待って)

愛(あのときは"まだ"って思ったけど)

愛(ひょっとして……)



愛(今なら、もういいのかな……?)

217 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:45:14.22 ID:LJq5vsK/.net
愛(歩夢は……ゆうゆにフラレちゃったし)

愛(ゆうゆも、歩夢のことをフったってことは……ちゃんとせっつーを選んだってことだろうし)

愛(今なら……いいのかな)

愛「……」

愛(……でも)

愛(今の歩夢は、ゆうゆへ向けてた想いに頑張って折り合いをつけようとしてるところだし)

愛(それに、傷心で弱ってるようなところにつけ込むなんて……そんなカッコ悪い真似アタシは────)


───────


果林「……私もそうだけど、愛も大概カッコつけたがりだからね」


───────


愛(────っ!)

愛(……いーじゃん、別にカッコつけたがりでも)

愛(ヒールを演じるのも終わったし、今のアタシはまたいつもみたいにヒーローの愛さんでいなきゃ────)


───────


愛「自分はこういうイメージなんだからこうしなきゃ!って考えに縛られる必要はないんじゃない?」


───────


愛(────!!)

218 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:46:28.90 ID:LJq5vsK/.net
愛(ここで跳ね返ってくるのかあのときのアタシの言葉〜!)

愛(……でも)

愛(仮に素直になって、カッコつけるのをやめるにしたって)

愛(今度は、どうやって振る舞ったら……)


歩夢「愛ちゃん?」ズイッ

愛「!」ドキッ

愛「な、なに?」

歩夢「えっ、と……急に静かになってたから、どうしたのかなって」

愛「あー……いやなんでもないよ!」

歩夢「そう……?」

愛「うん!だいじょーぶだいじょーぶ!」

歩夢「そっか……それならよかった」

愛(……セーフ!なんとか誤魔化した!)

歩夢「……でもね」


ギュッ


愛「!」

219 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:47:59.92 ID:LJq5vsK/.net
────アタシの手に、歩夢の手がそっと重ねられて


歩夢「もしも、何か悩んでることがあるなら」


────包み込むように、ぎゅっと優しく握られる


歩夢「遠慮なく、私に相談してね」


────それはまるで、さっきアタシが歩夢にしたことのようで


歩夢「……愛ちゃんはさ、もらったら返したいとか、そういうことは考えたりしてないってさっき言ってたけど」


────歩夢に触れられた手から、全身に熱が広がっていって


歩夢「それでも、私は愛ちゃんにもらったものをちゃんと返したいって思うから」


────それと同時に、心臓の鼓動が徐々に加速していって


歩夢「だから……」


────気がついたら、アタシは身も心も


歩夢「何か言いたいことがあったら、遠慮なく言ってね」ニコッ


────歩夢を求めて、激しく燃え上がっていた

220 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:49:02.63 ID:LJq5vsK/.net
愛(……ああ、そっか)

愛「歩夢……」

愛(こんなに心臓がうるさいのも)

愛「……ありがとう」

愛(こんなに全身が熱いのも)

歩夢「ううん、これは私がしたいなって思ったことだから」

愛(こんなに緊張するのも)

歩夢「それに、まだ何かしたわけじゃないし……」

愛(全部……)

歩夢「だから、お礼なんて……」

愛(全部、歩夢が────)


愛「……ううん」

愛「今の歩夢の言葉で、勇気をもらえたから」

愛「だから、ありがとう」

歩夢「えっ……えっと、それならよかったな」

歩夢「でも、何の話かなって」

愛「歩夢」ギュッ



愛「アタシね、歩夢のことが好きだよ」

221 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:50:18.93 ID:LJq5vsK/.net
歩夢「……え?」

愛「もちろん、"恋人になりたい"って意味の好きでね」

歩夢「…………えっ、と」

愛「ただ、歩夢がゆうゆを好きだったのは十分理解してるし」

愛「今は、アタシのことなんて考えられないと思うから」

愛「だから、今すぐ付き合ってほしいなんて……そんなことは言わないし」

愛「今この場で、返事をもらおうだなんて思ってないからさ」

歩夢「ぁ……愛、ちゃ」

愛「……それでも」

愛「今この場で、伝えておきたかったんだ」


愛「アタシは歩夢が好き」

愛「本気だよ」



歩夢「……っ!?」

222 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:51:14.21 ID:LJq5vsK/.net
愛「……さて、と」スクッ

愛「もうすっかり夜になっちゃったし、このまま外にいて体冷やすといけないから」

愛「帰ろっか?」

歩夢「……」

愛「……歩夢?」

歩夢「……ぁ、あの」

歩夢「ほ……本当に……私のこと……」

愛「……うん」



愛「本気で……好きだよ」

歩夢「!!」

愛「……信じられない、かな?」

歩夢「……そういうわけじゃ、ない……けど」

歩夢「でも……なんで、私なんか……」

愛「……」


ギュッ


歩夢「!?」

223 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:51:54.30 ID:LJq5vsK/.net
愛「聞こえる……?」

ドッドッドッ

歩夢「……!」

愛「アタシの心臓……めっちゃうるさいっしょ」

歩夢「……うん」

愛「本気で好きじゃなかったら……こんな風にならないよ」

歩夢「そ、そう……だよね……」

愛「……」

歩夢「……」

愛「……」ギュッ

歩夢「!あ、愛ちゃん……?」

愛「ごめん歩夢……」

愛「なんか……好きだって、はっきり言ったらさ」



愛「離したく、なくなっちゃった……」ギューッ

歩夢「!」ドキッ

224 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:53:34.20 ID:LJq5vsK/.net
歩夢「離したくない、って……」

愛「……ごめんね」

愛「歩夢が、今弱ってるのもわかってるし、そこにつけ込むような真似してるのもわかってる……」

愛「……それでも」

愛「歩夢になんでも言ってねって言われたら……止めらんなくなっちゃった」ギューッ

歩夢「な、なんでもとは……言ってなかった、ような……?」

愛「……そうかもね」

歩夢「……」

愛「……」

歩夢「……あの、一つ聞いてもいいかな?」

愛「なに?」

歩夢「その……」

歩夢「どうして、私のことを……」

歩夢「す……好きに、なってくれたのかな、って……」

愛「んー……そうだなぁ」



愛「……どうして、なんだろう」

歩夢「え……?」

225 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:54:22.95 ID:LJq5vsK/.net
愛「気がついたら……歩夢のこと好きだなって思う気持ちが、アタシの中に生まれてたから」

歩夢「……そ、それっていつ頃の話かな」

愛「……わりと最近かな」

歩夢「も、もしかして……私の相談に乗ってくれたのも……?」

愛「いや、その頃はまだ……ホントに、つい最近なんだ」

歩夢「そ、そうなんだ……」

歩夢「……本当に、行動が早くて凄いなぁ」ボソッ

愛「アタシは、思いついたらすぐ実行したいタイプだからね」

歩夢「えっ……い、今の聞こえてたの!?」

愛「えっ、うん……そりゃこんだけ近いんだし」

歩夢「ぅ……」

歩夢(侑ちゃんだったら、大体こういうの聞こえてないのに……)

愛「……でも」



愛「歩夢に惹かれ始めたのは、ずっと前なのかも」

歩夢「……え?」

226 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:56:35.11 ID:LJq5vsK/.net
愛「歩夢が恋してるのは、同好会に入ってすぐに気づいたからさ」

歩夢「えっ!?」

愛「……気づいてなかった?かなりわかりやすかったんだけどね」ハハ

歩夢「う、嘘……」

愛(たぶん割と皆気づいてたと思うけど……これは今は言わなくていっか)

愛「……それで、歩夢のことはその頃からずっと見てたからさ」

愛「だから、自覚してなかっただけで……ずっと気になってはいたのかなって」

歩夢「そっ、か……」

愛「うん……」

歩夢「そう、なんだ……」

歩夢「……」

歩夢「……ごめんね」

愛「えっ」

歩夢「私ね、ずっと好きな人はいたけど……」

歩夢「でも……私自身がこういう風に好きって言ってもらえたことはなかったから」

歩夢「だから……」



歩夢「どんな反応したらいいのか、わからなくて……」カァァァ

227 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:57:42.39 ID:LJq5vsK/.net
愛「……っ」

歩夢「だから、その……」

愛「……」ギュッ

歩夢「えっ」

愛「……」ギューッ

歩夢「あ、愛ちゃん……?」

愛「……たぶん、周りの人達が見る目なかったんだよ」

歩夢「そんなことは、ないと思うけど……」

愛「あるよ」ギュッ

歩夢「!そ、そう……なのかな……?」

愛(……もしくは、ゆうゆがずっとそばにいたから誰も手出しできなかったとか……かな)

愛「……まあでも」

愛「そっか……じゃあ、告白されるのは初めてなんだ」

歩夢「う、うん……」

愛「へへっ、それなら────」



愛「────歩夢の初めて、アタシが一つもらっちゃったね」ニカッ

歩夢「!」ドキッ

228 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 15:58:50.77 ID:LJq5vsK/.net
歩夢「ぁ……愛ちゃん……」

愛「……さて」パッ

歩夢「あっ……」

愛「……」

愛「今度こそ、帰ろっか」

歩夢「う、うん……」

愛「……立てる?」スッ

歩夢「……うんっ」ギュッ

愛「よっ」グイッ

歩夢「わっ……」


ポフッ


歩夢「!」

229 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 16:00:37.85 ID:LJq5vsK/.net
────立ち上がり様、バランスを崩した私は愛ちゃんにくっつく姿勢になってしまって


歩夢「ご、ごめん……!」


────慌てて、体を離そうとしたんだけど


愛「いいよ」

歩夢「!」


────ぎゅっと、抱き締められてしまって


愛「……さっき、離れたときにさ」

愛「残念そうな顔、してたでしょ?」


────そっと耳元で、そんなことを囁かれて


歩夢「そっ、そんなこと……っ」

愛「なくてもいいよ」

歩夢「……えっ」

愛「それに今のも……歩夢がアタシの方に倒れるように、わざと強く引っ張ったからね」

歩夢「なっ……」

愛「……歩夢の本心がどっちだったとしても」スッ


────そのまま、私の目の前に現れた愛ちゃんの表情は


愛「アタシが歩夢のこと抱き締めたいって思ってたのは」

愛「なんにも、変わらないからさ」


────小悪魔のような微笑みを、浮かべていた

230 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 16:02:15.37 ID:LJq5vsK/.net
歩夢「なっ……ぁ……!」カァァァ

愛「……へへ」

愛「今日は、これくらいにしとこっか」パッ

歩夢「あっ……」

愛「……」スタスタ

愛「あっそうだ」ピタッ

愛「……明日のお昼さ!」クルッ



愛「二人で食べられるの、楽しみにしてるよ!」ニカッ

歩夢「……!」ドキッ

231 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 16:18:17.19 ID:emoravt+.net
やばいな愛ちゃん強すぎるなんとも言えないわwwww
侑ちゃんちゃんと勉強しな

232 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 16:25:27.68 ID:LJq5vsK/.net
〜夜、上原家、歩夢の部屋〜



歩夢「……はぁ」ボフッ


歩夢(今日は、凄く疲れたからかな……いつもよりベッドが気持ちよく感じる……)

歩夢「……」

歩夢(侑ちゃんに、私の想いはちゃんと伝えられた)

歩夢(結果として、私はフラれることになってしまったけど)

歩夢(それでも、言わないでいるよりはずっとよかったし)

歩夢(それに、もしもそれで侑ちゃんが私のことを選んでくれたとしても……)

歩夢(……今度は、せつ菜ちゃんが一人になっちゃう)

歩夢(よく考えなくても、そんなことわかるはずなのに……)

歩夢(侑ちゃんにも、苦しい思いさせちゃったかな……)

歩夢(……私、自分のことしか考えてなかったな……)

歩夢(侑ちゃんやせつ菜ちゃんの気持ちを考えてる余裕がないくらいに……私は……)

歩夢「でも……」

歩夢(これで、私の想いに対する侑ちゃんの答えは聞けたし)

歩夢(後は、私がこの気持ちに折り合いをつけていくだけ)

歩夢(だから……)



歩夢「きっと、これでよかったんだよね……」

233 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 16:33:57.19 ID:LJq5vsK/.net
歩夢(それに……)


───────


愛「アタシね、歩夢のことが好きだよ」


───────


歩夢「……っ」カァァァ

歩夢(まさか……愛ちゃんが……)

歩夢(最初は……私のことを励まそうとしてくれるのかな、なんて考えたけど)

歩夢(でも……)


───────


愛「アタシは歩夢が好き」

愛「本気だよ」


───────


歩夢「……うぅ」

歩夢(あんな真剣な目で見つめられたら……何も言えなくなっちゃうよ……)

234 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 16:44:34.01 ID:LJq5vsK/.net
歩夢(愛ちゃんは可愛くてカッコよくて、学校でも人気者で……いつも輝いて見える人)

歩夢(そんな愛ちゃんが、こんな私に優しくしてくれる)

歩夢(それだけで、凄く嬉しいことなのに)

歩夢(それだけじゃなくて、私のことを……)

歩夢「……」ギュッ


歩夢(……不思議)

歩夢(さっきまでは……侑ちゃんにフラれたことで、心の中にぽっかり穴が空いたような気持ちになってたのに)

歩夢(今はそこに、愛ちゃんがいる……)

歩夢「……」

歩夢(……本当に、ずるいよ愛ちゃん)

歩夢(傷ついてるときに、あんな風に優しくされて)

歩夢(それに加えて、好きだなんて言われて)

歩夢(ぎゅーって抱き締められなんてしたら)

歩夢(そんなの……)


ドッドッドッ


歩夢「ドキドキしちゃうに、決まってるよ……っ」

235 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 16:56:00.62 ID:LJq5vsK/.net
〜一方その頃、宮下家、愛の部屋〜



愛「……ふぅ」ドサッ

愛「……」



愛(うああああ〜!!ついに言っちゃったよ〜!!)ゴロゴロゴロ

愛(人生で初めての告白〜!!よかったのかなあれで〜!?)ゴロゴロゴロ

愛(でもでもあの場ですぐに歩夢に断られるようなことはなかったしひとまずセーフだよねきっと!?)ゴロゴロゴロ

愛「あぁ〜でも恥ずかしい!!」ゴロッ

ドンッ!

愛「いった!」

愛「っつぅ……勢い余ってベッドから落ちちゃった」

愛(ホントに……歩夢の前ではカッコつけてたけど、正直余裕なかったな……)

愛「……よく頑張ったなアタシ」ハハ

愛(……それにしても)


───────


歩夢「私ね、ずっと好きな人はいたけど……」

歩夢「でも……私自身がこういう風に好きって言ってもらえたことはなかったから」

歩夢「だから……」



歩夢「どんな反応したらいいのか、わからなくて……」カァァァ


───────


愛(……真っ赤になってる歩夢、可愛かったな)

236 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 17:06:11.35 ID:KESGOGqT.net
愛さんさすがっす

237 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 17:10:08.05 ID:26r5BJyu.net
あゆあいどっちも少女マンガのヒロインみたいで可愛い

238 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 17:10:53.58 ID:LJq5vsK/.net
愛(いや前から可愛いなとは思ってたけど……自分の気持ちをはっきりさせてから改めて見ると……ね)

愛「……はぁ」

愛(これが……)

愛(このドキドキする気持ちが、恋愛感情としての好きってやつなのかな……?)

愛(だとしたら……これから歩夢の前ではずっとこの状態なのかな)

愛(……ちゃんとカッコつけていられるかな、アタシ)

愛「ふぅ……」ドサッ


愛(……まあひとまずは)

愛(歩夢がちゃんと告白できて、ホントによかったな)

愛(それにゆうゆが断ったから、せっつーに関してもたぶん大丈夫だろうし)

愛(もしゆうゆが歩夢を受け入れていたら、代わりにアタシが……なんて考えてたけど)

愛(そんなことしても、ゆうゆの代わりになんてなれるわけがないのにね……)



愛「今思うと、かなり無茶なことやろうとしてたなぁ……」ハハ

239 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 17:24:47.03 ID:LJq5vsK/.net
愛(……アタシは歩夢のことが好き)

愛(だけど、ゆうゆの代わりになんてなるつもりはないし)

愛(今度は、歩夢を助けるヒーローを演じる為にそばにいるわけでもなくて)

愛(この恋は……アタシがアタシ自身の為にするものなんだ)

愛(それだけは、間違えちゃいけない)

愛「……でも」


───────


果林「それに……たとえ愛と歩夢が恋人ではなくただの友達だとしても」

果林「歩夢に笑顔が戻ったのは、愛のおかげなんじゃないかしら?」


───────


愛(……カリンが言っていたことが、ホントなんだとしたら)

愛(それは、凄く凄く嬉しいことで)

愛(もしアタシがそばにいることで、歩夢が笑顔でいられるのなら)

愛(たとえ……この恋がどんな結果になったとしても)



愛(それでもアタシは、歩夢のそばにい続けたい)

愛(この想いだけは、決して嘘なんかじゃないよ……!)

240 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 17:27:03.48 ID:ha75Hos+.net
愛さんかっこいい〜〜〜堕ちるわ

241 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 17:38:04.58 ID:LJq5vsK/.net
〜翌朝、高咲家、侑の部屋〜



侑「……」パチッ

侑「……もう、朝になっちゃったんだ」


侑(昨日の夜、歩夢から『明日からは朝起こしに行くのやめるね』ってメッセージが来てて)

侑(その後に『ごめんね』の一言が追加で来てて)

侑(だから、今日から私は一人で起きなくちゃいけなくて)

侑(でも……)


侑「……起きようと思えば、意外と起きられるもんだなぁ」ハハ

侑「……」

侑「……着替えよ」

242 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 17:47:25.10 ID:LJq5vsK/.net
〜昼休み、教室〜



侑(朝は、わざと遅刻ギリギリを狙って学校に着くようにした)

侑(おかげで、ホームルームの前に歩夢と話さなくても済んだ)

侑(授業の合間の休み時間も……トイレに行ったり他の場所に行ったりして時間を稼いだおかげで、歩夢と話さなくても済んだ)

侑(でもさすがにお昼休みは……と思っていたんだけど)

侑(直接話す前に、先に歩夢から『別の人と食べるね』ってメッセージが来てて)

侑(安心する反面、寂しさも覚えて)

侑(せつ菜ちゃんを誘ってみようかな、なんて考えたけど)

侑(なんとなく、そんな気にもなれなくて)

侑「……」



侑(……どこか、一人で静かに食べられる場所を探そうかな)

243 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 17:55:28.84 ID:7OTl8H44.net
やっぱ愛さんは癒しだわ

244 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 17:57:44.17 ID:LJq5vsK/.net
〜裏庭〜



侑(教室、食堂、中庭、屋上……いつも行くような場所は、どこも人が溢れていて)

侑(そういえば……この前愛ちゃんとここで話したときは周りに人がいなくて静かだったな、なんて)

侑(そんなことを思い出して、裏庭に来てみたけど……)

侑「……」キョロキョロ

侑(やっぱり他に人いなさそうだし……うん、ここなら大丈夫そうかな?)

侑「……ん?」



歩夢「────」



侑「!!」

侑(あ、歩夢……!?)

侑(しっしかも、隣にいるのは……)



愛「────」



侑「……愛、ちゃん」

245 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 17:59:31.38 ID:QqHTiACj.net
あいぽむくっそ甘酸っぱい雰囲気してそう

246 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 18:02:30.50 ID:4/QooeK3.net
侑ちゃん歯ぎしり展開待ってた

247 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 18:03:39.62 ID:8UOQhPD8.net
こんなん惚れるに決まっとるやろ

248 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 18:09:11.66 ID:LJq5vsK/.net
侑(歩夢の言ってた『別の人』って、愛ちゃんのことだったんだ……)

侑(また、隠すような言い方されちゃったんだ私……)

侑(まあでも、歩夢が誰と食べてようとそれは歩夢の自由で)

侑(ましてや……歩夢をフった私がそんなことを気にしてたらダメ……だよね)

侑「……」チラ



歩夢「────」ニコニコ

愛「────」アハハ



侑(歩夢も愛ちゃんも、二人とも笑ってる)

侑(歩夢……昨日私と別れる直前は、凄く危なっかしい雰囲気だったのに)

侑(今は、全然そんなことなさそう……)

侑「……」


───────


愛「なんか、歩夢もゆうゆと一緒にいられる時間が減って寂しいみたいだし」

愛「だからまあ愛さんがその寂しさを埋められたらいいなって、そう思ってね」

愛「……実際、アタシといるときの歩夢楽しそうにしてくれてるしさ〜」


───────



侑(歩夢、本当に楽しそう……)

侑(愛ちゃんのおかげ、なんだろうな……)

侑「……」



侑「……いいなぁ」ボソッ

249 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 18:13:59.89 ID:YVTrarOy.net
激重侑ちゃんほんと好きだから期待

250 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 18:15:19.13 ID:LJq5vsK/.net
侑「……!?」

侑(私、何言って……!)

侑「……」

侑(覗き見なんて、悪趣味だよね)

侑(別のところに行かなきゃ、ダメだよね)

侑(今は、歩夢と顔合わせるの気まずいし)

侑(愛ちゃんとも、どんな話していいのかわからないし)

侑(……でも)チラ



歩夢「────」アハハ

愛「────」ニシシ



侑(なんで、なのかな)

侑(歩夢と愛ちゃん……)



侑(二人から、目を離せないよ……っ)

251 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 18:25:57.48 ID:LJq5vsK/.net
侑(……あっ)

侑(愛ちゃんが、歩夢にあーんしようとしてる……!)

侑(……照れてる歩夢、可愛いな……)

侑(あっ、でも結局食べるんだ)

侑(……驚いてる)

侑(愛ちゃんの煮物、美味しかったのかな……どんな味なんだろう)

侑(……あっ、今度は歩夢が愛ちゃんに……!?)

侑(あれ、卵焼きだ……!)

侑(私の好きな、歩夢の卵焼き……)

侑(……)

侑(……あっ……愛ちゃん、食べちゃった)

侑(……美味しい〜って感じの反応してるなぁ)

侑(……当たり前だよね、歩夢の卵焼きは世界一美味しいもん、当たり前だよ)

侑(まずいなんて言ったら私が許さないよ)

侑(……?)

侑(なんか、やけに歩夢が照れてるような……)

侑(友達に美味しいって褒められたくらいで、あんな風になるかな……?)

侑(……私の知ってる歩夢なら、あんな風になるのは)



侑(私が美味しいよ、って)

侑(そう言ったときくらいのはずなのに……!)

252 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 18:27:21.17 ID:7OTl8H44.net
せつ菜通りかかってくれ

253 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 18:28:07.86 ID:YVTrarOy.net
このルートで歩夢愛さんを振って侑の元にでも行こうとするものなら暴動を起こしますよ😡😡

254 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 18:36:33.40 ID:emoravt+.net
当たり前と思ったことは当たり前ではないになったな....
この気持ちを気づけなければこれほどの辛さを味わないだろう....
今まで歩夢が背負った辛さは今度侑のとこに転移したじゃん....

255 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 18:36:37.42 ID:LJq5vsK/.net
侑(歩夢……愛ちゃんにもあんな顔するんだ……)

侑(……)

侑(なんだろう、これ)

侑(なんか、胸がムカムカする感じ……)

侑(モヤモヤより、もっと強いこの感じ……)

侑(これも嫉妬、なのかな……)

侑(……でも)

侑(歩夢をフった私に、嫉妬する資格なんて……)

侑(そんなの……)

侑(……だけど)


侑(苦しいよ)

侑(二人が楽しそうにしてるの見てると、凄く苦しいよ)

侑(歩夢が愛ちゃんに笑顔向けてるの見るの、凄く嫌だよ)

侑(歩夢の笑顔は、私に……!)


───────


歩夢「私の自己満足に付き合ってくれて、ありがとう」ニコ


───────


侑「……っ!」ズキッ

侑(観覧車のときの、なんで今……!)


───────


歩夢「お願い、今は一人にさせて」

歩夢「……ね?」ニコ


───────


侑「っ……!」ズキズキッ

256 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 18:40:51.23 ID:LJq5vsK/.net
侑「はぁっ……はぁっ……」ズキズキ

侑(なに、これ……痛い……)

侑「うっ……ぁ……っ」ズキズキ

侑(凄く、痛いよ……)

侑「く……ぅ……」ズキズキ

侑(嫌だよ……)

侑(最後に私に向けられた歩夢の笑顔が、あんな作り物の笑顔だなんて)

侑(そんなの……)



侑(そんなの、辛すぎるよ……ッ!!)

257 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 18:43:41.77 ID:KESGOGqT.net
誰かが救われ誰かが傷つく
これこそ恋愛ドラマのおもろいとこよな

258 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 18:53:17.92 ID:LJq5vsK/.net
侑「ぅ……」グスッ

───────

歩夢「そこまでお願いされたらしょうがないよね……これからも起こしに来るよ」ニコ

───────

侑(歩夢……)

───────

歩夢「まだまだ私に甘え足りない、ってことかな?」ニコ

───────

侑「うぅ……」ヒック

───────

歩夢「私も、侑ちゃんだけは"特別"だよ」ニコ

───────

侑(歩夢……!)

───────

歩夢「ひとまず、今日はこのお出かけを楽しまない?」ニコッ

───────

侑「うぅぅ……っ」ポロポロ

───────

歩夢「うん、とっても可愛いよ」ニコッ

───────

侑(歩夢……!!)

───────

歩夢「────侑ちゃんのことが好き」

───────



侑「うあぁぁ……っ!!」ポロポロ

259 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 18:55:23.54 ID:LJq5vsK/.net
すみませんがご飯食べたらまた続きを書きますのでしばしお待ちください……

260 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 18:57:43.39 ID:ha75Hos+.net
この失って初めてどれほど大事な存在だったか分かるの最高すぎる めちゃくちゃ脳に良い

261 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 19:02:44.15 ID:YVTrarOy.net
>>259
やっぱり天才だわ....何回このSSにドキドキ刺せられて貰ってるんだ

262 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 19:03:35.25 ID:emoravt+.net
でもよく考えたら、侑の立場も相当やばいじゃん?
彼女を持つ状況でめちゃくちゃ煽られて、歩夢のこと意識させ、その状況で告られた。そこで歩夢を受け入れ、せつ菜を裏切ったらそれ絶対クズの行いでしょ...
でも歩夢を断ってももう歩夢のことを意識し始めたからそれは自分を苦しむだけ....
やばいな.....

263 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 19:14:08.45 ID:7OTl8H44.net
せつ菜が選ばれて歩夢が朝起こしに行くような関係を続けたら負けヒロインにウエディングケーキを作らせたニセコイみたいになるわ
まあ誰も傷つかないであろうハーレムルートが一番人間味がないからこのssの締めをどうするのか期待

264 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 19:15:47.29 ID:eYfHpXpg.net
卵焼きの使い方がめちゃくちゃ上手い……!!!

265 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 19:19:34.26 ID:t9vNECgx.net
>>264
たまごやきが言うと説得力が違うわ

266 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 19:26:54.92 ID:2PehWox8.net
心理描写がうますぎる...

267 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 19:27:28.16 ID:kk2L1bPp.net
ルート分岐多すぎて何読んでんのかわかんなくなってきた
今俺はどこにいる

268 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 19:53:28.46 ID:BPtnbIV4.net
今は歩夢が想いをはっきり伝えたいって告白することを選んだルート、侑ちゃんは受け入れなかった
歩夢と愛さんはいい感じになってるけど、侑ちゃんは苦しんでる

269 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 20:11:55.09 ID:LJq5vsK/.net
────頭の中に、これまで私に向けられた歩夢の笑顔がフラッシュバックする


侑「歩夢……歩夢……っ」


────今思い返せば、歩夢はいつだって私に好きの気持ちを向けていてくれたのに


侑「歩夢……っ」


────私はそれを、当たり前なことだと思い込んでいたんだ


侑「あゆ、む……っ」


────馬鹿だ、ホントにどうしようもなく馬鹿だ


侑「ぁゆ……む……っ」


────ずっと一緒だったから気づけなかったなんて、そんなのただの言い訳でしかない


侑「ぁ……あ……」


────失ってから、初めて気づくなんて


侑「……ぁぁぁあああ!!!!」


────本当に、どうしようもない程の大馬鹿だ

270 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 20:14:37.20 ID:cIUoAEYc.net
これってせつ菜ちゃんが「寝取られたはまちがいです!」から始まったSSだよね。たまげたなぁ

271 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 20:21:10.63 ID:LJq5vsK/.net
侑「……っ!!」ガバッ

侑(もうダメだ)

侑「はぁっ……!」ダッ

侑(ここにいたら、頭がおかしくなっちゃいそう)

侑「はぁっ……はぁっ……!」タッタッタッ

侑(ここにいたくないここにいたくないここにいたくないここにいたくないここにいたくないここにいたくない)

侑「はぁっ、はぁっ、はぁっ」タッタッタッ

侑(もう何も、見たくない……!!)



愛「……あれ〜?誰かいるっぽかったんだけどな」

歩夢「なんだったんだろうね……?」

愛「うーん……どっかに行っちゃったのかな」

愛「……まあいっか」

愛「それよりも、歩夢のお弁当の味の方が気になるしね」ニッ

歩夢「!もっもう、愛ちゃんってば……!」

愛「へへっ、じゃあ戻ろっか」

歩夢「うん」

歩夢(……でも、さっきの叫び声)



歩夢(なんとなく、侑ちゃんの声に似ていたような……?)

272 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 20:23:47.76 ID:KESGOGqT.net
歩夢が侑への想いを諦めない
 →告白された侑がせつ菜を選ぶ(今ここ)
 →告白された侑が歩夢を選ぶ(ルート2-1)
歩夢が侑への想いを諦める
 →侑が拗らせる(ルート1)

273 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 20:38:13.29 ID:LJq5vsK/.net
〜お昼休み終了間際、教室〜



歩夢「ふぅ……なんとか間に合った……!」

歩夢(愛ちゃんとのお喋りに夢中で、危うく授業に遅刻するところだったよ)

歩夢「……」チラ

歩夢(侑ちゃんは……まだ来てない、か)

歩夢(……結局、あれからまだ侑ちゃんと話せてないな)

歩夢(私もそうだけど、侑ちゃんも朝から私のことを避けてるみたいだし)

歩夢(だけど、放課後の練習で全く話さないのはさすがに難しいよね……)

歩夢(それに、私達が変な風になってたら皆に心配かけちゃうだろうし)

歩夢(どうにかしなきゃいけないんだろうけど……)

歩夢「……」

歩夢(でも、前みたいに仲良くお喋りなんて……もう……)


───────


愛「実際にやってみなきゃ、わかんないっしょ」ニッ


───────


歩夢「……!」

歩夢(……そうだよね)

歩夢(実際にやってみなきゃ、わからないよね……!)

歩夢(できないと思ってた告白だってできたんだもん!頑張ればなんとかなるよ!)

歩夢(そうと決まれば、どうやって侑ちゃんと話すか考えておかなくちゃ────)



歩夢(────けど)

歩夢(その後、午後の授業開始を告げるチャイムが鳴っても)



歩夢(侑ちゃんが教室に戻ってくることは、なかった)

274 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 20:55:08.75 ID:7OTl8H44.net
ええ...
歩夢は侑に振られた事全く引きずってないのか...

275 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 20:56:31.36 ID:LJq5vsK/.net
〜放課後、教室〜



歩夢(『ごめんなさい、体調が悪いので今日は練習に参加できません』)

歩夢(同好会のグループ宛に送られた侑ちゃんからのメッセージ)

歩夢(簡素なそのメッセージが、逆にただ単に体調が悪いだけじゃないということを強く訴えかけているように見えて)

歩夢(侑ちゃんを助けなきゃ!って、そう考えたんだけど)

歩夢(……でも)

歩夢(今の私が、そんなことしてもいいのかな……?)

歩夢(侑ちゃんが今どんな状態かもわからないのに……)

歩夢「……」


───────


侑「あっ……」


───────


歩夢(……昨日の別れ際、私は自分のことで精一杯だった)

歩夢(でも、突然あんな風に冷たく突き放されたら……傷つくよね)

歩夢(侑ちゃん……)

歩夢(……やっぱり、侑ちゃんと話さなきゃ!)



菜々「……上原さん、少しいいですか?」

歩夢「!?」

276 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 21:09:41.73 ID:Y7vq4EQ/.net
菜々ちゃん!!!

277 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 21:10:06.80 ID:emoravt+.net
待ってた!!!!!!

278 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 21:10:29.55 ID:LJq5vsK/.net
〜裏庭〜



歩夢「……そっか、せ……菜々ちゃんは知ってたんだ、昨日侑ちゃんと私が一緒にお出かけしてたこと」

菜々「ええ、事前に侑さんから相談されていたので」

歩夢「そうなんだ……」

菜々「……私は歩夢さんの気持ちを知っていたので、正直その話をされたときは気が気じゃなかったですよ」

歩夢「……それは」

菜々「でも、侑さんにどうしてもとお願いされたので……侑さんを信じて承諾したんです」

歩夢「……そっ、か」

菜々「……それで、昨日は侑さんがどんな様子だったのか聞いておこうかと思いまして」

歩夢「!」

菜々「昨日から体調が悪そうだったとか、そういったことはありませんでしたか?」

歩夢「……どうして私にそんなことを?」

菜々「それは……」

菜々「……」



菜々「私から連絡しても、侑さんから何も返事が来ないんですよ……」

279 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 21:31:26.17 ID:LJq5vsK/.net
歩夢「えっ……」

菜々「ですから、昨日一緒にいた歩夢さんなら何か知っているんじゃないかと思いまして……」

歩夢「そっか……」

菜々「何か、知りませんか……?」

歩夢「……体調については、わからないかな」

菜々「……そうですか」

歩夢「でも……」

歩夢「……」

菜々「……でも?なんですか?」

歩夢「……ううん」

歩夢「たぶんこれは、私からじゃなくて侑ちゃんから聞いた方がいいと思う」

菜々「……!侑さんに何かしたんですか!?」ガタッ

歩夢「!へっ変なことはしてないよ!」

菜々「……本当ですか?」ジッ

歩夢「……大丈夫だよ」

歩夢「侑ちゃんは……菜々ちゃんと付き合ってるんだもん」



歩夢「私と変なことなんて、そんな真似しないよ……」

菜々「……」

280 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 21:34:12.50 ID:BIeeRLwJ.net
もう振られてるのにこんなこと言わされる歩夢も惨めだし
彼女なのにこんなこと聞かないといけないせつ菜も辛いな

281 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 21:34:31.13 ID:Vz9vB+ic.net
>>279
妄想変態馬鹿作家

282 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 21:41:37.44 ID:LJq5vsK/.net
菜々「……わかりました」

菜々「そこまで言われるのであれば、私は侑さんを信じます」

菜々「もちろん、歩夢さんのことも」

歩夢「……うん」

菜々「ただ……そうなるとなぜこうなったのかわかりませんね……」

歩夢「そうだね……」

菜々「侑さん……大丈夫でしょうか……」

歩夢「……」

歩夢「ね、菜々ちゃん」



歩夢「一つ、私からお願いしてもいいかな……?」

菜々「?はい」

歩夢「ありがとう」ニコ

歩夢「あのね────」

283 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 21:51:01.94 ID:LJq5vsK/.net
〜しばらくして、一方その頃〜



愛(……歩夢遅いな)

愛(ゆうゆからは休みって連絡あったし、せっつーもまだ来てないし……)

愛(ひょっとしてアタシの知らない間に何かあったんじゃ……!)


愛「……気になるなぁ」ムムム

果林「歩夢のこと?」ボソッ

愛「うわぁっ!?」ビクッ

果林「あら、凄い驚きようね」

愛「か、カリン〜!いきなり耳元で囁かないでよ!」

果林「ふふ、なんだか難しそうな顔してたから……つい気になっちゃって、ね?」

愛「だったらフツーに話しかけてくれればいいのに〜」

果林「それはごめんなさい」クスクス

愛「はぁ……」



愛(……もうちょっと待って来なかったら、連絡入れて探しに行ってみよっかな)

284 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 22:02:07.35 ID:LJq5vsK/.net
〜高咲家、侑の部屋〜



侑(……あの後、私は逃げるようにして裏庭を走り去って)

侑(その勢いのまま教室に駆け込んで荷物を持って職員室に走り)

侑(先生に早退する旨を伝えると、急いで自宅に帰って来て)

侑(今はベッドの上で、一人毛布にくるまって寝転がっている)

侑(我ながら、あまりにも手際が良すぎてびっくりするくらいスピーディーな早退だったな……)

侑「はは……」

侑「……はぁ」

侑「……」



侑(……なんで私、ここにいるんだろう)

285 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 22:08:30.17 ID:LJq5vsK/.net
侑(授業も同好会の練習も何もかも放置して逃げてきて……)

侑(一体、何してるのかな……)

侑「……」

侑(でも……あのままあそこにいたら、おかしくなっちゃいそうだったし)

侑(そんな状態で、歩夢と同じ教室で授業を受けることなんてできなかったし)

侑(ましてや、歩夢も愛ちゃんもいる同好会の練習に参加だなんてそんなこと……)

侑(……できるわけ、ないよね)

侑「はぁ……」

侑(これから私……どうすればいいんだろう……)

侑(もう……どこにも居場所、ないよね……)

侑(……歩夢)

侑(私、ホントに馬鹿だよね……)

侑「……っ」グスッ



コンコンコン

侑「!」ビクッ

286 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 22:13:03.21 ID:LJq5vsK/.net
侑(だ、誰……!?)

侑(お母さんならノックしないし……)

侑(もしかして……)

侑「……ぁ」



「……あの、侑さん」

侑「!」

「入っても……よろしいでしょうか……?」

侑(この声、は……)

侑「……うん、いいよ」

「ありがとうございます……では」

ガチャ



菜々「……失礼します」

侑(菜々ちゃん……!)

287 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 22:26:07.32 ID:4/QooeK3.net
お、この流れならあゆあい ゆうせつ共存できそう

288 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 22:32:52.13 ID:dtcWIMAE.net
このSSの歩夢は悪魔みたいになったり聖人になったり極端だな

289 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 22:41:35.43 ID:ZTjGryGh.net
めちゃくちゃ面白いです!!!!!!

290 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 22:48:47.92 ID:LJq5vsK/.net
〜一方その頃、同好会部室〜



歩夢「ごめんね、遅くなっちゃった」

愛「歩夢!」

歩夢「……今は愛ちゃんだけ?」

愛「うん、他の皆はアップしに行ってさ……だから今はアタシしかいないよ」

歩夢「そっか……」

愛「……何かあった?」

歩夢「えっとね……せつ菜ちゃんと、ちょっと話してて」

歩夢「……侑ちゃんの、ことで」

愛「!そっか」


歩夢「侑ちゃん、家に帰ってたみたいだから……だからせつ菜ちゃんに様子見に行ってもらうことにしたの」

愛「そうなんだ……よくわかったね?」

歩夢「侑ちゃんの家の電話にかけたら、侑ちゃんのお母さんが出てくれて……それで、ね」

愛「……さすが歩夢だね」

歩夢「そんなこと……」ハハ

291 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 22:49:45.07 ID:LJq5vsK/.net
歩夢「……最初はね、私が行こうかなって思ったんだけど」

歩夢「でも、昨日のことがあったし……私自身、まだ侑ちゃんと上手く話せる自信はなくて……」

歩夢「それに、もし侑ちゃんの弱ってる姿を見たりしたら……」

歩夢「きっと、侑ちゃんへの想いに折り合いをつけようっていう……昨日の決心も揺らいじゃうから」

愛「……」

歩夢「……だから、せつ菜ちゃんに行ってもらった方がいいなって思って」

歩夢「せつ菜ちゃんなら……侑ちゃんの恋人だし、ね?」

愛「……そっか」

歩夢「……こういうときに侑ちゃんのそばに行くのは、もう私の役目じゃないと思うから」

歩夢「だから……ね……」ポロポロ

愛「歩夢……」

歩夢「……ご、ごめんね、昨日あんなに泣いたのにね」グスッ

歩夢「まだ涙が出るなんて、思わなくて……」ヒック

愛「……いいよ」


ギュッ


歩夢「!」

292 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 22:50:41.39 ID:LJq5vsK/.net
愛「泣きたいときは、泣いていいんだよ」

歩夢「……うん」グスッ

愛「……」ポンポン

歩夢「……私、愛ちゃんに甘えすぎてないかな」

愛「そんなことないよ」

愛「……むしろ、今までが一人で抱えすぎだったんだよ」

歩夢「そう、なのかな……」

愛「そうだよ」ナデナデ

歩夢「……愛ちゃん、基本的になんでも肯定してくれるよね」

愛「そうかな?」

歩夢「そうだよ……」

愛「へへ、そっか」

歩夢「……」



歩夢「……愛ちゃんと一緒にいると、私ダメ人間になっちゃいそう」

愛「え!?」

293 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 22:51:36.17 ID:LJq5vsK/.net
歩夢「だって、私が何しても優しくしてくれるんだもん……」

歩夢「私、このままだと愛ちゃんなしじゃ生きられなくなっちゃいそうだよ……」ギュッ

愛「っ」ドキッ

愛「あ、歩夢……」

歩夢「なに……?」

愛「そういうことは……他の人に言っちゃダメだからね」

歩夢「え?」

愛「……」ギュッ

歩夢「あ、愛ちゃん……?」

愛(……ゆうゆもかなりのたらしだな〜と思ってたけど)



愛「歩夢も、大概たらしなところあるよね……」

歩夢「えっ」

愛「……これはちゃんと見張っておかないと危ないな〜」

歩夢「ど、どういうこと……?」

294 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 22:56:24.36 ID:4/QooeK3.net
3-1ルートのゆうぽむの雰囲気模してるっぽくてこれは勝ち確ですわぁ

295 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 22:56:37.77 ID:KESGOGqT.net
あざてぇ〜でもそういうとこが好き

296 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 23:07:29.14 ID:LJq5vsK/.net
〜高咲家、侑の部屋〜



菜々「侑さん……」

菜々「いきなり押しかけてしまって……すみません」

菜々「その……何度も連絡をしたのですが、返事をいただけなかったので……」

侑「えっ……」

菜々「……もしかして、気づいていませんでしたか?」

侑「……う、うん」

菜々「そうでしたか……」

侑「……ごめんね」

菜々「いえ……」



菜々「……無視されていたわけではないとわかったので、安心しました」ニコ

侑「……っ」

297 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 23:13:25.76 ID:LJq5vsK/.net
菜々「それで……体調の方はどうですか?」

侑「えっ、と……」

侑「……そ、そこまで悪いわけじゃないんだ」

侑「ただ、無理したらいけないかなーって思って……それで、ね?」ハハ

菜々「……そうですか」

菜々「それなら、よかったです……!」

侑「うっ、うん……」

菜々「……」

菜々「侑さん」

侑「ん?」

菜々「体調が優れないときに聞くのは、その……申し訳ないとも思うのですが」

菜々「それでも、聞かせていただきたいことがあるんです」

侑「……なにかな?」

菜々「その……」



菜々「……昨日、歩夢さんと何かありましたか?」

侑「!!」ビクッ

298 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 23:34:15.09 ID:LJq5vsK/.net
侑「なん、で……?」

菜々「……こちらに来る前に、歩夢さんと話したんです」

侑「あ、歩夢……と?」

菜々「はい……その際になんですが、これは歩夢さんではなく侑さんから聞いた方がいい……といったことを言われまして」

侑「わ、私から聞いた方がいいこと……?」

菜々「ええ……何か、心当たりはありませんか?」

侑「えっと……」

菜々「……」ジッ

侑「えー、っと……」

菜々「……」ジーッ

侑「うぅ……」

菜々「……」

菜々「……ふぅ」

侑「あ、あの……」

菜々「……侑さん」ソッ


ギュッ


侑「!」

299 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 23:35:19.81 ID:LJq5vsK/.net
────膝上で震える程固く握り締めていた両拳に、菜々ちゃんの柔らかい手がそっと触れて


菜々「私は、いつだって侑さんの味方ですよ」


────胸の前辺りに持ち上げられ、そのまま優しく包み込むように握られる


菜々「だからそんなに強張らないで……安心してください」


────語りかける声色は、キツく責めるようなものではなく


菜々「どんな内容でも、私は受け止めますから……」


────むしろ、優しさに満ち溢れたもので


菜々「何があったか、教えていただけませんか……?」


────私を心配していることが、強く強く伝わってきた

300 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 23:45:20.68 ID:LJq5vsK/.net
侑(菜々ちゃん……私のこと、凄く心配してくれて……)

侑(なのに私は……変なこと言ったら怒られるんじゃないかとか、自分の心配ばかりして……)

侑(そんな、子ども染みたことを考えてて……)

侑(……私、また馬鹿なことをするところだった)

侑(菜々ちゃんに、ちゃんと言わなきゃ……)

侑(昨日、何があったかを……!)


侑「……菜々ちゃん」

侑「私ね、菜々ちゃんに言わなきゃいけないことがあるんだ」

侑「上手く話せるかはわからないけど」

侑「それでも……」

侑「聞いて……くれるかな?」

菜々「……もちろんです」

菜々「前にも言いましたが、侑さんが話してくださることなら」

菜々「私は、どんなお話でも聞きますから」

菜々「だから」



菜々「ゆっくりと、聞かせてください」ニコッ

301 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 23:57:31.75 ID:LJq5vsK/.net
侑「っ」ドキッ

侑「……ありがとう」

侑「それじゃ、話すね……?」

菜々「はい」


侑「……昨日ね、歩夢とお出かけして」

侑「それで、その最後にね……歩夢が、観覧車に乗りたいって言ってね」

侑「二人で、観覧車に乗ったんだけど」

菜々「……はい」

侑「そこで、ね……」

侑「あ、歩夢に……」

侑「歩夢、に……」

侑「ぁ、歩夢、に……」ブルブル

菜々「……」


菜々「……大丈夫です」ギュッ

侑「……!」

302 :名無しで叶える物語:2021/02/08(月) 23:58:22.15 ID:LJq5vsK/.net
菜々「ちゃんと、聞いてますから」

侑「……うん」

菜々「一回、深呼吸でもしましょうか」

侑「そう、だね……」

侑「すぅ……はぁ……」

侑「……」

菜々「……落ち着きましたか?」

侑「うん……ありがとう」

菜々「では……」

侑「……歩夢に、ね」



侑「好きって、告白されたんだ」

菜々「……!!」

303 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 00:08:01.75 ID:fPt2VOyG.net
菜々「こ、告白、ですか……!?」

侑「……うん」

菜々「あ、歩夢さんが……」

侑「…………うん」

菜々「……へ、変なことはしてないとは言ってましたが……!」

侑「変なこと……?」

菜々「い、いえ!なんでもありません!」

菜々「……そ、それで……侑さんは、どっどうされたんですか?」

侑「……私には、せつ菜ちゃんがいるから」

侑「だから、歩夢の想いには応えられない……って」

侑「はっきり、断ったよ……」

菜々「…………っ!」ガバッ

ギューッ

侑「な、菜々ちゃん!?」

菜々「……よかった、です」ブルブル

侑(!菜々ちゃん、震えて……)

菜々「わ、私……歩夢さんが、侑さんのことを好きなのは……し、知っていたので」

侑「えっ!?そ、そうなの!?」

菜々「はっ、はい……だから……っ」



菜々「だから、昨日のこと……すっごく……すっごく不安で……!」グスッ

侑「……!!」

304 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 00:35:56.74 ID:fPt2VOyG.net
菜々「事前に、相談されたときにも言いましたけど……!」グスッ

菜々「本当は……本当は、行ってほしくなかったんです……!」ヒック

侑「菜々、ちゃん……」

菜々「でも、でもそれじゃ侑さん苦しそうなままだから……だから……っ」ポロポロ

侑「……ごめん」ギュッ

侑「歩夢に告白されたときに、もしかしてとは思ったけど……本当にそうだなんて知らなくて」

侑「ごめんね……」ナデナデ

菜々「うぅ……」グスッ

侑「……私、ホントに馬鹿だなぁ」

侑「こんな風に菜々ちゃん泣かして……歩夢のことも傷つけて……」

侑「なんにも、気づけてなくてさ……」ハハ

菜々「……本当、ですよ」ヒック

菜々「侑さんの察しがよかったら、こんなことになってなかったと思います……」

侑「……返す言葉がないよ」

菜々「……でも」



菜々「もし、侑さんの察しがよかったら」

菜々「きっと私じゃなくて……歩夢さんがもっと早くに、侑さんの恋人になってたと思いますから」

菜々「だから……」



菜々「私は、察しの悪い侑さんでよかったなって……そう思いますよ」ギュッ

侑「菜々ちゃん……」

305 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 00:37:04.91 ID:fPt2VOyG.net
菜々「……なんて、これじゃフォローになってるかどうか怪しいですけどね」

侑「……ふふ、そうだね」

菜々「でも、本当にそうだと思うので……」

侑「……」

侑「あのね、菜々ちゃん」

侑「実は、もう一つ菜々ちゃんに言わなきゃいけないことがあって……」

菜々「……なんですか」

侑「……他の人には、絶対秘密にしてね?」

菜々「……わかりました」

侑「えっと、実はね……」



侑「先週、愛ちゃんから……歩夢のことが好きなんだ、って言われて」

菜々「…………えっ?」

306 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 00:41:26.59 ID:SYB+lxan.net
ヤベェ、歩夢を選ぶルートのせつ菜ちゃんの気持ちを想像するだけでもう死ぬ

307 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 00:48:20.64 ID:hW2UK8eg.net
私の好きな侑ちゃんなら断るみたいに言ってたから字面通りになるかはわからないんじゃないか
想いに区切りを付けるために告白するみたいな感じだったし

308 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 00:56:33.41 ID:LzO01jPj.net
いざ実際に言われてみたら納得したってとこもあるだろうし
ここの侑ちゃんは意識さえしてれば歩夢が一番だったわけだからどうなるかな 気が早いけど楽しみ

309 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 00:58:36.43 ID:Fw6Ku98D.net
考え無しに勢いで人と付き合ったらいかんな
俺も気をつけよう

310 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 01:02:10.52 ID:0BW3Dlcw.net
どっちも選ばないルートとかもあるのかな
せつ菜とも別れて歩夢ともせつ菜とも付き合わないでどっちもこれ以上傷つけたくないからって二人から離れる侑ちゃん

311 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 01:20:50.39 ID:fPt2VOyG.net
中途半端なところで切れててすみません……
このままルート2-2完結まで駆け抜けたかったのですが眠気がひどいので今回は一旦ここまでです……

312 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 01:55:36.51 ID:tQKjl4s9.net
あれ心にせつ菜を飼ってるから歩夢を選ばれたら脳が壊れる

313 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 02:44:22.76 ID:zUAVAaOu.net
なに生っちょろいこと言ってんだこちとら@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ飼ってるからスレタイからすでに爆発してるんだよ

314 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 02:54:16.09 ID:U2zVwo3z.net
アニメせっつーならそこまでガチ感ないからダメージ軽減できる

315 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 03:00:34.51 ID:ASvz5X4V.net
歩夢選ぶルートのせつ菜もその時は愛さんがフォローしてあげようって
予防線は一応張ってたと思う

316 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 03:07:27.50 ID:semefJKR.net
結果的に愛さんとくっついた方が幸せになれそうだからどちらに転んでも大丈夫だぞ

317 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 05:29:53.83 ID:SSCK86St.net
>>315
愛さんがフォローするのは安心感あるけど、愛さんが歩夢手伝ったこと知ったらヤバそう

318 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 13:24:25.11 ID:Pe6lI0XS.net
てかどう分岐しても
•侑は本心では歩夢が好き
•交際しながら幼馴染との関係も続けていきたいという恋人、友人双方に無神経な屑
って部分までは確定しちゃってるから逃れようが無いんだよね

319 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 13:50:33.89 ID:SSzAviU2.net
しょうがねえだろ赤ちゃんなんだから

320 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 18:01:00.42 ID:fPt2VOyG.net
菜々「愛さんが……歩夢さんを……?」

侑「……うん」

菜々「最近やけに二人でいるのは……」

侑「歩夢にアタックを仕掛けてたから……なんだって」

侑「……今なら、私が歩夢のそばにいないから」

菜々「……!」

侑「だから、攻めるなら今がチャンスって……愛ちゃん、そう言ってた」

菜々「そ、それは……一体いつの話で……」

侑「先週、菜々ちゃんが私の相談に乗ってくれた翌日かな」

侑「……ちょうど、私が嫉妬してるって教えてくれた直後だね」

菜々「……っ」

侑「……愛ちゃんからその話聞いたときにね、正直凄く不安になったの」

侑「もし歩夢と愛ちゃんが付き合ったら」



侑「私と歩夢の関係は、どうなっちゃうのかなって」

321 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 18:02:08.25 ID:fPt2VOyG.net
菜々「それ、は……」

侑「……私なりにね、色々考えてみたんだ」

侑「でも、はっきりとした答えは決められなくて」

侑「だから、歩夢と二人だけで過ごしたら……何か気づけるかなって」

侑「そう思ったから、菜々ちゃんに相談したの」

菜々「……」

侑「ごめんね、なんでそう思ったのかとか……もっと細かく話しておいた方がよかったね」

菜々「……本当、ですよ」

菜々「細かく聞かずに承諾した私も悪いと思いますが……そういうことは、ちゃんと話してくださいね」

侑「……ごめん」

菜々「侑さんは、自分一人で色々と抱えようとしすぎなんです……」

侑「……ごめんね」

菜々「……本当に、もう」ポスッ

侑「……反省します」


菜々「……ふふ」

侑「?菜々ちゃん……?」

菜々「いえ……ここに来てから、侑さんに謝られてばかりだなと思いまして」

侑「……そう、だね」

菜々「……でも、いいんですよ」

菜々「反省を活かして、少しずつでも成長できるのなら……それでもいいんです」

菜々「侑さんには、侑さんのペースがあるんですから」

菜々「だから、都度反省するのももちろん大事ですが……そのせいで落ち込みすぎないでください」



菜々「……ね?」ニコッ

侑「!」

322 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 18:03:33.31 ID:fPt2VOyG.net
侑(私は、私のペースで……)

侑(そうだ、前にも同じようなことを……)


───────


せつ菜「侑さんは侑さんのペースで!それでいいんですよ!」ペカー


───────


侑「……ふふ」

侑「菜々ちゃんは、ホントに優しいね」

侑「ホントに、私にはもったいないくらい……」

菜々「……以前も、そのように言われてましたね」

侑「だって、ホントにそう思ってるからね」ニッ

菜々「そう思うのであれば……」

菜々「……」

侑「?菜々ちゃん?」

菜々「……いえ」

菜々「そう思うのであれば、侑さん自身が私に見合っていると思える人間になればいいのでは?と思いまして」クスッ

侑「うっ……それは、そうだね……」

菜々「ふふ、応援しますよ」

侑「……が、頑張るよ!」

菜々「はい、頑張りましょう」ニコッ

侑「……」

侑「あのね、菜々ちゃん」



侑「最後に、もう一つ伝えたいことがあるんだけど……いいかな?」

323 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 18:04:27.37 ID:fPt2VOyG.net
菜々「最後に、もう一つ……?」

侑「うん」

侑「……正直、これを口にするかどうかは迷ったんだけどね」

侑「でも、今ここではっきりと言葉にすることで……ちゃんと自分の気持ちに向き合って」

侑「それで、ケジメをつけたいなって……そう思ったんだ」

侑「だから、今ここで菜々ちゃんに……せつ菜ちゃんに、聞いてほしいんだ」

侑「私の話、聞いてくれるかな?」

菜々「……それは」


シュル

バサッ


せつ菜「もちろんです!!」

侑「……ありがとう」ニコ

324 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 18:05:30.39 ID:fPt2VOyG.net
侑「今から話すのは、私の正直な気持ちだから」

侑「最後まで、しっかり聞いてくれたら……嬉しいな」

せつ菜「……はい!」

侑「じゃあ、言うね……」

侑「すぅ……はぁ……」

せつ菜「……」ゴクッ



侑「……私ね」

侑「今日、まだ一言も歩夢とまともに話してなくて」

侑「お昼も別々に取ろうって話になったんだけど」

侑「裏庭で、歩夢と愛ちゃんが一緒に食べてるのを見かけて」

侑「二人が仲良さそうに笑い合ってるのを見て、胸の辺りがムカムカしてきてね」

侑「凄く……嫌な気持ちになってね」

侑「これも、きっと嫉妬なんだろうなって思って」

侑「それで」

侑「それでね」

侑「私」

侑「私、は」

侑「……すぅ……はぁ……」

侑「……」



侑「私は」

侑「歩夢のことが好きだったんだな、って」

侑「その気持ちに、気がついたの」

325 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 18:07:38.58 ID:fPt2VOyG.net
せつ菜「……っ!」


侑「……今まで、ずーっと一緒にいたから」

侑「歩夢が隣にいることが、当たり前だったから」

侑「歩夢が私に笑いかけてくれることが、当たり前だったから」

侑「だから、気がつけなかったんだ」

侑「ずーっと一緒にいることが特別で」

侑「歩夢が隣にいてくれることが特別なことで」

侑「歩夢が、私に向けてくれる笑顔が特別なんだってことに」

侑「全部、当たり前なことなんかじゃなくて」

侑「特別で、取り返しのつかない……大切なことだったんだって」

せつ菜「……」


侑「……でもね」

侑「私は、歩夢の気持ちを受け入れなかった」

侑「歩夢から向けられる好きの気持ちに、応えないことを選んだ」

侑「歩夢を……選ばないことに決めたんだ」

侑「あのときは、そのことの重大さをちゃんと理解してなかったけど」

侑「今は……ちゃんとわかってるつもり」

侑「そしてそれと同時に」



侑「せつ菜ちゃんが向けてくれる好きの気持ちにも」

侑「今ここで、ちゃんと向き合おうと思うんだ」

326 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 18:08:48.71 ID:fPt2VOyG.net
せつ菜「えっ……?」

侑「……せつ菜ちゃんはホントに、すっごくすっごく優しいから」

侑「私は私のペースでいいって、言ってくれたけど」

侑「でも、やっぱりそれじゃいけないかなって」

侑「せつ菜ちゃんが向けてくれる"大好き"に対して、それじゃ失礼なんじゃないかなって」

侑「……そう、思うんだ」

せつ菜「そん、な……そんなこと……!」

侑「せつ菜ちゃん」スッ

せつ菜「!」

侑「最後まで……聞いてほしいな」

せつ菜「……はい」

侑「ありがとう」ニコ


侑「……これは、せつ菜ちゃんには話してなかったと思うんだけど」

侑「今、ちゃんと伝えるね」



侑「私が、どうしてせつ菜ちゃんの告白を受け入れたのかを」

せつ菜「……!」

327 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 18:10:32.52 ID:fPt2VOyG.net
侑「私ね」

侑「人生で初めてだったんだ」

侑「あんな風に、誰かに好きって言ってもらえたことが」

侑「これまで誰かと付き合ったことなんてなかったし」

侑「誰かと恋人になりたいなって、本気で考えたこともなかった」

侑「だから」

侑「告白されたことそのものに、凄くときめいちゃってね」

侑「それもその相手が……私がスクールアイドルに興味を持つきっかけになったせつ菜ちゃんだったってことにも、凄くときめきを感じて」

侑「これまでにないほど……胸がドキドキしたんだ」

侑「それに、恋愛感情抜きにせつ菜ちゃんのことは素敵な子だと思ってたから」

侑「だから、そんな素敵な子が私に大好きを向けてくれることが……すっごく嬉しくて」

侑「そんな素敵な子と恋をしたらきっと楽しいだろうな、って」



侑「そう思って、せつ菜ちゃんの告白を受け入れたの」

せつ菜「……」

328 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 18:12:12.79 ID:semefJKR.net
侑も歩夢も失恋してるある意味平等な展開

329 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 18:12:15.45 ID:fPt2VOyG.net
侑「……でも、今思い返すとね」

侑「そんな軽い気持ちで、受け入れちゃダメだったのかなって……そう思う自分がいて」

侑「……もちろん、せつ菜ちゃんと付き合ってから一緒に過ごす時間は楽しかったよ!」

侑「付き合ってからはまだまだ日が浅いけど、それでも一緒にいて楽しいし、ドキドキしたし……せつ菜ちゃんのことを可愛いな、素敵だなって」

侑「たくさん、そういう風に思ったし感じたよ!」

侑「……でもね」

侑「歩夢との出来事があって……そこで色々考えて……」

侑「……誰かと恋人になるって、楽しいことばかりじゃないんだなって感じて」

侑「誰かを選ぶってことは、それ以外の誰かを選ばないってことなんだって気がついて」

侑「せつ菜ちゃんと、ちゃんと恋人になるなら……歩夢とも今まで通り過ごしたいって、そんな風に考えてたらダメなんだって」

侑「そう、思ったんだ」

せつ菜「侑、さん……」

侑「……自分が見る立場になって、やっと気がついたよ」



侑「好きな人が別の人を見てるって、こんなに辛いんだね……」ニコッ…

せつ菜「……っ!」

330 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 18:12:51.19 ID:vS4NudR2.net
つらいにゃ
でもひきこまれるにゃ……

331 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 18:13:33.20 ID:fPt2VOyG.net
侑「……だからね、せつ菜ちゃん」

侑「私は」

せつ菜「っ!ゆ、侑さん、待ってくださ」



侑「歩夢のことが"好きだった"」

侑「この気持ちを、ちゃんと認めて」

侑「それで……この気持ちにさよならをする」

侑「そう、決めたんだ」


せつ菜「……え?」

侑「それでね、せつ菜ちゃん」



侑「せつ菜ちゃんとの関係を、やり直させてほしいんだ」

せつ菜「……!?」

332 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 18:17:10.08 ID:fPt2VOyG.net
せつ菜「そ、それって……」

侑「……うん」

せつ菜「そ、そんな……」

侑「……でも、たぶんこうしないと私が納得できないし」

侑「それに、せつ菜ちゃんにも失礼だと思うから」

せつ菜「そんな、そんなの……!」

侑「だから、言うね」

せつ菜「……ゃ……」

侑「せつ菜ちゃん」ガシッ

せつ菜「……ぃや……!」



侑「私は、せつ菜ちゃんのことが好き」

侑「だから……改めて、私とちゃんと付き合ってほしいんだ」



せつ菜「……ぇ……?」

333 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 18:23:02.81 ID:fPt2VOyG.net
侑「こんな馬鹿な私でよければ……だけどね」

せつ菜「……」

侑「どう、かな……?」

せつ菜「…………」

侑「……せつ菜ちゃん?」



せつ菜「……っ」ポロポロ

侑「!?」

334 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 18:29:06.52 ID:fPt2VOyG.net
せつ菜「ぅ……っ……」ポロポロ

侑「えっ、せっ、せつ菜ちゃん!?」

せつ菜「ぅぅ……」ポロポロ

侑「だ、大丈夫……?」

せつ菜「〜っ……!」ポロポロ

侑「ど、どうしよう……そ、そんなに嫌がられるなんて、思ってなくて……」

せつ菜「……ちがい、ます……!」グスッ

侑「……へ?」

せつ菜「だって……やり直したいなんて……言うから……っ」ヒック

せつ菜「そんなこと、言われたら……っ」グスッ



せつ菜「私と、別れたいのかな……って、そう思うじゃないですか……っ!」

335 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 18:38:16.41 ID:fPt2VOyG.net
侑「えっ」

せつ菜「だから、だから……っ」グスッ

せつ菜「そうじゃなくて、しかも……好きって……」ヒック

せつ菜「付き合って、って……言われて……」グスッ

せつ菜「安心、とか、驚きとかで……っ」ヒック

せつ菜「……よくわからないけど涙が止まらないんです……っ!」

侑「……」

せつ菜「うぅ〜……!」ポロポロ

侑「……ごめんね」ギュッ

侑「紛らわしい言い方、しちゃったね」ポンポン

せつ菜「もぅ……侑さんのバカ……っ」

侑「ホントにそうだよね……」

せつ菜「バカ、バカです……!」ポコポコ

侑「はは、いたいよせつ菜ちゃん」

せつ菜「……でも」



せつ菜「嬉しい……っ」ギュッ

侑「……!」

336 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 18:47:43.69 ID:fPt2VOyG.net
せつ菜「初めて、侑さんにちゃんと好きって言ってもらえた気がします……」グスッ

せつ菜「……もちろん、今までも言ってくれてましたけど」

せつ菜「でも……今のは」

せつ菜「今の"好き"は、私と同じ意味での好きだって」

せつ菜「なんとなく……そう感じられたので」

せつ菜「……だから」

せつ菜「すっごく!嬉しかったです……!!」ペカーッ

侑「!!」ドキッ

せつ菜「侑さん!!」ガバッ

侑「わっ……!?」


ドサッ

337 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 18:58:09.92 ID:Ikb6zfx0.net
推しが幸せそうでひたすら泣いてる

338 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 19:21:58.89 ID:ZvZgEK9I.net
幸せだね

339 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 19:31:35.07 ID:SYB+lxan.net
侑ちゃん成長したけど本当にせつ菜ちゃんのこと好きかな??
マジてせつ菜には報われて欲しい

340 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 19:53:25.16 ID:zZvhs6cR.net
道が一つしかなくなったからそれに縋ってる的なね。でもせっつーも幸せならウィンウィンでうぇいうぇいじゃん。そういうのもありだと思うよ?

341 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 19:55:55.95 ID:LER7mWtL.net
せつ菜は歩夢が侑のことを好きだって分かってる状態でそこから寝取ってるんだから性格悪いだろ

342 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 19:56:25.63 ID:YFYnzY+c.net
歩夢と愛もだけど少しずつ育んでいくのも一つの形

343 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 20:05:07.97 ID:SSCK86St.net
歩夢は今までいくらでもチャンスあった訳だし、先越されたのは行動しなかった自分が悪い。せつ菜に寝取られたなんて言うのは筋違いだろ。

344 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 20:07:31.62 ID:fPt2VOyG.net
────気がつけば、私はベッドに押し倒されていて


侑「てて……」

せつ菜「……ごめんなさい、侑さん」


────見上げると、そこには照れ気味の笑みを浮かべたせつ菜ちゃん


せつ菜「つい勢いでやっちゃいましたけど……大丈夫ですか?」


────ほんの少しだけ、申し訳なさそうな表情を含んでいるけど


侑「うん、大丈夫だよ」

せつ菜「ならよかったです……」ホッ

せつ菜「……えいっ!」ドサッ

侑「!?」


────私の返答に安心したようで、そのまま覆い被さるように倒れ込んできて


侑「せつ菜、ちゃん……?」


────ちょうどよく、私の心臓とせつ菜ちゃんの心臓の位置が重なったようで


せつ菜「侑さん……」


────ドッドッドッ、と……強く鳴り響く鼓動が私にも伝わってきて


侑「……うん」


────私の心臓も、つられて激しく動き始めて


せつ菜「先ほどの返事、ですが」


────体は重ねたまま、私の目の前に現れたせつ菜ちゃんの顔は


せつ菜「……私も、侑さんのことが大好きです」

せつ菜「だから……是非お付き合いお願いいたします!」


────満面の笑みというに相応しい、素敵な笑顔だった

345 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 20:24:27.70 ID:fPt2VOyG.net
────その笑みを見て、私の心臓が一際高く跳ねる


侑「……ありがとう」


────今の私は、この笑顔が私だけに向けられた特別なものだってちゃんと理解しているから


侑「凄く……凄く嬉しいよ」


────だから、これまで以上にせつ菜ちゃんからの"大好き"が伝わってきて


せつ菜「私も……凄く嬉しいです……」


────私の中に、目の前の素敵な女の子を特別大切にしたいっていう強い想いがあるのに気づいて


侑「……好きだよ、せつ菜ちゃん」


────昨日までとは違う意味で、その言葉が自然と口から零れて


せつ菜「私も、好きです……」


────その言葉が返ってくることの素晴らしさに、ときめきが止まらなくて


侑「せつ菜ちゃん……」


────もっと、もっとせつ菜ちゃんにこの気持ちを伝えたいっていう想いが溢れ出して


せつ菜「侑さ……っ!?」


────自然と吸い込まれるように、自分の唇をせつ菜ちゃんの唇に重ね合わせていた

346 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 20:29:04.75 ID:si53nG+H.net
俺の心の中のぽむが曇ってきた

347 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 20:40:22.62 ID:QeVUgQIC.net
>>320-329
妄想変態馬鹿オタク

348 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 20:41:12.63 ID:QeVUgQIC.net
>>329-336
妄変馬オ

349 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 20:41:35.48 ID:fPt2VOyG.net
────せつ菜ちゃんの後頭部に、そっと手を添えて


侑「……ん……」


────もう一方の手は背中に回して、私の方へと抱き寄せる


せつ菜「っ……」


────それに反応するかのように、せつ菜ちゃんの体が少しだけびくんと震える


せつ菜「……ん……っ」


────でもそれも一瞬のことで、そのまま私の方へ身を沈めるように重心を落としてきた


侑「……ん、ぅ……っ」


────重ねた唇も、身じろぎする度に漏れる吐息も熱くて


せつ菜「……む……ぅ」


────息苦しさを覚えて少しだけ離すけれど、すぐにまた欲しくなって


侑「せっ、ちゃ……」

せつ菜「侑……さ……っ」


────どちらともなく、唇を重ね合って


侑「────」

せつ菜「────」


────そうしてしばらく、互いを求める行為に耽っていた

350 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 20:42:06.40 ID:QeVUgQIC.net
>>341-345
妄想馬鹿オタク

351 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 20:42:21.22 ID:QeVUgQIC.net
>>349
妄想変態馬鹿作家

352 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 20:46:39.98 ID:fPt2VOyG.net
──────
────
──



侑「……」

せつ菜「……」

侑「……せつ菜ちゃん」

せつ菜「……なんですか」

侑「そろそろ、さ……こっち向いてほしいなって」

せつ菜「……ダメです」

侑「で、でももう結構時間経ったし」

せつ菜「ダメです」

侑「そっ、そっか」

せつ菜「……すみません」

せつ菜「でも今の顔を見られたら……」



せつ菜「……恥ずかしすぎて、死んでしまいますから……!」カァァァ

353 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 20:47:41.77 ID:zZvhs6cR.net
>>346

ζ㎗^ ᴗ^リつ⛱

354 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 20:49:08.29 ID:lQEY4/6Q.net
この茸エロ要素なくても出てくるんだな

355 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 20:55:07.45 ID:fPt2VOyG.net
侑「わぁ……せつ菜ちゃん耳まで真っ赤だよ」

せつ菜「言わないでください!」

侑「あはは、そう照れなくてもいいのに」

せつ菜「で、でも……」

侑「……せつ菜ちゃんのそういうところ、ホントに可愛くて好きだな」

せつ菜「!」

侑「結構大胆なことするときもあるのに、照れ屋さんなところも好きだし」

せつ菜「なっ!」

侑「勢いに任せてやった後に、大丈夫だったかなって不安そうな顔するところも好きだし」

せつ菜「な、なっ」

侑「それからね」

せつ菜「も、もう!言わなくて大丈夫ですから!」ガバッ



侑「……笑顔が可愛くて素敵なところ、ホントに大好きだよ」ニコッ

せつ菜「〜っ!!」

356 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 21:06:36.47 ID:fPt2VOyG.net
せつ菜「も、もう!どうしたんですかいきなり!」

侑「え?思ったことをただそのまま言ってるだけだけど」

せつ菜「!そ、そういうことじゃなくてっ」

侑「?」

せつ菜「な、なんでそんな……たくさん好きって……!」

侑「……それはね」


侑「私の中に生まれた好きの気持ちをたくさん伝えたいから」

侑「今までせつ菜ちゃんが私に向けてくれた好きの気持ちと同じくらい……ううん、それ以上になるように」

侑「一個でも多くの"好き"をせつ菜ちゃんに伝えたいって」

侑「心の底から、そう思うから」

侑「だからね」



侑「せつ菜ちゃんのこんなところが好きだよ〜!って」

侑「これからは、たくさんたくさん伝えていくつもりだよ!」

侑「……だから」



侑「覚悟、しててね?」

せつ菜「……!!」

357 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 21:21:43.95 ID:fPt2VOyG.net
せつ菜「なんですか、それ……」

せつ菜「……私だって」

せつ菜「私だって侑さんのこと好きなんですから!負けませんよ!!」

侑「……なら、どっちがよりたくさんの好きを伝えられるか勝負かな?」

せつ菜「望むところです!!」

侑「よーし、じゃあこれから毎日勝負だね!」

せつ菜「はい!」

侑「……ははっ」

せつ菜「ふふっ……」

侑「……ホントに、ありがとね」

せつ菜「……?何に対してのお礼ですか?」

侑「……せつ菜ちゃんが今日ここに来てくれなかったら、私はきっと……この部屋から出られなくなってたから」

侑「それに、今までも私の話色々聞いたりして……そばにいてくれたから」

侑「だから、せつ菜ちゃんにはホントに感謝してて……ありがとう」

せつ菜「そんな……!私は侑さんの恋人なんですから、これくらいは────」


───────


侑「全部、当たり前なことなんかじゃなくて」

侑「特別で、取り返しのつかない……大切なことだったんだって」


───────


せつ菜(────!)

せつ菜(……そうでした、これは当たり前なことじゃないんですよね)

せつ菜(であれば……)



せつ菜「……はい!どういたしまして!」ペカー

358 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 21:24:16.48 ID:36nliSR1.net
心に@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ飼っちゃってしまっているせいでモヤモヤしている自分がいる.....
歩夢は前を向いているというのになんで俺がモヤッてんの.....

359 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 21:25:29.66 ID:SYB+lxan.net
立ち直った侑ちゃん強すぎるだろwwww

360 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 21:28:21.05 ID:IEVtjacf.net
完全に別人だなwwそうならないと話終わらないけど

361 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 21:33:05.76 ID:D+GvkPiW.net
ゆうせつ軌道に乗ってきたな いいぞ

362 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 21:42:06.15 ID:fPt2VOyG.net
せつ菜「……ただ、一つだけよろしいですか?」

侑「ん?なに?」

せつ菜「実は……今日ここに来たのは」

せつ菜「……歩夢さんの、提案なんです」

侑「……!歩夢、の?」

せつ菜「はい……侑さん、きっと助けを求めてるんじゃないかって」

侑「……」

せつ菜「それで、侑さんが自宅にいるのも歩夢さんが調べてくださいましたし……家がどこにあるのかも歩夢さんが教えてくださったんです」

せつ菜「……そもそも私は、侑さんの自宅がどこにあるのかすらも知りませんでしたからね」

侑「……そっ、か」

せつ菜「……」

せつ菜「……だから、侑さんが立ち直ったのは歩夢さんの助力があってこそで」

せつ菜「むしろ、歩夢さんがいなければ……私だけでは、侑さんは……」

せつ菜「……結局、侑さんを助けたのは歩夢さんの力であって私は」



侑「それは違うよ」

せつ菜「!」

363 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 21:47:34.97 ID:fPt2VOyG.net
侑「確かに、せつ菜ちゃんがここに来れたのは歩夢のおかげなんだと思う」

侑「そこは、私も歩夢に感謝しなきゃいけないと思ってる……」

せつ菜「でしたら……」

侑「でもね」


侑「実際にこうしてここに来てくれたのはせつ菜ちゃんで」

侑「私の話を聞いてくれたのもせつ菜ちゃんで」

侑「私の気持ちを受け止めてくれたのもせつ菜ちゃんで」

侑「今こうしてここにいてくれるのも……せつ菜ちゃんなんだよ」

侑「だから」



侑「私が立ち直れたのは、ちゃんとせつ菜ちゃんのおかげだから」

侑「そんなに苦しそうな顔、しなくていいんだよ……」ニコッ

せつ菜「……!」

364 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 21:55:22.74 ID:fPt2VOyG.net
せつ菜「侑、さん……」

侑「せつ菜ちゃんがいなかったら……私は、ホントにダメになるところだった」

侑「だから、私のこの感謝の気持ちは……素直に受け取ってくれると嬉しいな」

せつ菜「……わかりました」

せつ菜「それでは、素直に受け取らせていただきます!」

侑「うん」ニコ


侑「……あっ、もうこんな時間だ」

せつ菜「!す、すみません、結構長居してしまいましたね」

せつ菜「門限もギリギリですし……名残惜しいですが、そろそろお暇させていただきます」スクッ

侑「……もしよかったらなんだけどさ」



侑「夕飯、ウチで食べてかない?」

せつ菜「……えっ?」

365 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 22:05:29.54 ID:fPt2VOyG.net
侑「せっかくウチに来てくれたし、それに色々あったし疲れてたりしてないかなって」

せつ菜「ゆ、侑さんの家の夕食に……私が……!?」

侑「うん」

侑「あっ、二人きりじゃなくてお母さんもいるけどね」

せつ菜「お、お義母様も!?」

侑「お父さんは帰り遅くてさ、いっつも二人で食べてるんだよね」

侑(後は……いやこれは言わなくていいね)

せつ菜「お、お義父様はいらっしゃらないんですね……」

侑「……ちょっと気まずいかもしれないけど、でもお母さんも悪い人じゃないからさ」

侑「もちろん、せつ菜ちゃんがよければだけど……」

せつ菜「うっ……」

せつ菜「……」ムムム

侑(せつ菜ちゃん、凄い考え込んでるなぁ)

せつ菜「……侑さん」

侑「ん?」

せつ菜「その、大変申し訳ないのですが……」



せつ菜「今回は、お断りさせていただこうかと思います……」

366 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 22:15:45.75 ID:fPt2VOyG.net
侑「えっ」

せつ菜「あっ、もっもちろん大変嬉しく思いましたし有難い申し出でしたよ!?」

せつ菜「でも、今日はその菓子折りも何も用意できてませんし、その身なりもちゃんとしてませんし、準備が色々足りてないというか……!」

侑「……そ、そっか」

せつ菜「そ、それと……」



せつ菜「これ以上何かあるのは、許容量オーバーと言いますか……」カァァァ

侑「……え?」

せつ菜「な、なんでもありません……!」フイッ

侑「……え〜なになに?気になるんだけど?」ズイッ

せつ菜「だ、だからなんでもないですって!」フイッ

侑「えー……」



侑「……私には『なんでもちゃんと話してくださいね』って言ってたのに」

侑「せつ菜ちゃんは話してくれないんだ……」

せつ菜「!」

367 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 22:20:05.78 ID:fPt2VOyG.net
侑「ふーん、そっかぁ……」

せつ菜「……」

侑「……寂しいなぁ」

せつ菜「……!」

侑「私はなんでも話そうと思ってるのになぁ」

せつ菜「……っ」

侑「でもせつ菜ちゃんが話したくないならしょうがないかぁ」

せつ菜「〜っ」プルプル

侑「悲しいけど、しょうがないよね……」

せつ菜「……もう!わかりましたよ!話せばいいんですよね!話せば!」

侑「!話してくれるの!?」

せつ菜「そこまで言われたら敵いませんよ……」

侑「やったー!それでそれで?何が許容量オーバーなの?」

せつ菜「聞こえてたんじゃないですか!」

侑「いいからいいから!さ、教えて?」

せつ菜「うぅ……恥ずかしいから言わなかったのに……」

せつ菜「……」

せつ菜「さっき……したじゃないですか」

侑「え?」

せつ菜「だ、だから……!」



せつ菜「きっ……キス、したじゃないですか!」カァァァ

侑「!」

368 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 22:29:32.06 ID:fPt2VOyG.net
せつ菜「そ、それに、侑さんの方から改めて告白もされましたし……」

せつ菜「それらの出来事で、今日はもうお腹いっぱいと言いますか……」

せつ菜「こ、これ以上何か起きるのは、その……」



せつ菜「……幸せすぎて、逆に怖くなってしまうんです」

侑「……幸せ、すぎて……?」

せつ菜「はい……」

せつ菜「今日ここに来るまで、ずっと不安でしたから……」

せつ菜「今こうしていられるのも、もしかしたら夢なんじゃないか……って」

せつ菜「そんな風に思っている私が、いるんです……」

侑「……」

せつ菜「な、なので!幸せになれるイベントは後日にまた取っておきたいと言いますか……!」

せつ菜「あまり一度にたくさんのことが起きたら、逆にこれで大丈夫なのかなって……そう思ってしまって……」

侑「……せつ菜ちゃん、顔上げて」

せつ菜「……?」


チュ


せつ菜「!!」

369 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 22:32:35.91 ID:QUyDCxK9.net
ここまでやれる侑ならもともとこんな拗れてないだろうな

370 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 22:34:10.51 ID:fPt2VOyG.net
せつ菜「なっ……ぁ……!」カァァァ

侑「……今のは夢じゃなくて」

侑「ちゃんと、現実の出来事だよ」

せつ菜「……」

侑「だからさ、安心してよ」



侑「私は、せつ菜ちゃんから離れたりしないからさ」ニコッ

せつ菜「……っ」ダッ


ギュッ


侑「わっ、ととっ……」

せつ菜「……」ギューッ

侑「せつ菜ちゃん……?」

せつ菜「……私、ずっと不安だったんです」

せつ菜「いつ侑さんが私のそばを離れてしまわないか……わからなかったので」

侑「私が……?」

せつ菜「……私、気づいてたんです」



せつ菜「ふとしたときに、侑さんが歩夢さんを見ているのを」

侑「……!」

371 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 22:48:13.10 ID:fPt2VOyG.net
せつ菜「だから、私と付き合っていても……本心では歩夢さんが好きなんじゃないかって、ずっとその考えが頭にあって」

せつ菜「……結果は、その通りでしたけど」

侑「……」

せつ菜「でも、先ほど歩夢さんへの想いにはさよならをすると言われて……その上私に改めて告白してくださったので」

せつ菜「それで、それでやっと……!」


せつ菜「私は、ちゃんと侑さんの恋人で」

せつ菜「この幸せな瞬間も、今だけのものじゃなくて」

せつ菜「この温もりも、すぐに消えてしまうものじゃなくて」

せつ菜「侑さんが、私のそばから離れるなんてそんな嫌な未来は……ただの私のおかしな妄想なんだって」

せつ菜「自信を持って、胸を張って言えるようになったんです……!」

侑「せつ菜ちゃん……」

せつ菜「……ねぇ、侑さん」


せつ菜「明日も、侑さんは私のそばにいてくれますよね……?」

侑「……もちろん」



侑「私は、明日も明後日もその先も……ちゃんとせつ菜ちゃんのそばにいるよ!」

侑「だから……せつ菜ちゃんも私のそばにいてね?」

せつ菜「……っ、もちろんです!!」

372 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 23:04:13.36 ID:fPt2VOyG.net
〜夜、高咲家、侑の部屋〜



侑(あの後……私は少しの時間せつ菜ちゃんと好きの気持ちを確認し合ってから、自宅に帰ることにしたせつ菜ちゃんを駅まで見送ることにした)

侑(夕飯はいつも通りお母さんと二人で済ませて、お風呂も上がり今は……ぼーっと天井を見上げている)

侑「……」

侑(……そうだ、歩夢にちゃんとお礼を伝えなきゃ)

侑(……でも)

侑「……」ゴロン

侑(昨日の今日で直接話すのは、さすがに気まずいし……)

侑(それに、せつ菜ちゃんの為にも……これからの歩夢との距離感は、ちゃんと考えないといけない)

侑(……せつ菜ちゃんがあんなに不安を抱えているなんて、全然気づけなかったんだから)


───────


せつ菜「これからは、もっと色々気を使えるようになってくださいね……」ギューッ


───────


侑(……あのときのせつ菜ちゃんの言葉が、今になって深く突き刺さるなぁ)

侑「はぁ……」

侑(大馬鹿を卒業するには、まだまだ時間がかかりそうだなぁ……)

侑(……昨日までの私だったら、ここで歩夢とベランダで会話しようとしたりするんだろうけど)

侑(今は、直接会話しなくても済む便利なアイテムがあるもんね……!)

侑(こいつで歩夢にメッセージ送信、と……)



侑(……よし、こんな感じで大丈夫だよね)

侑「送……信!」

373 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 23:13:25.97 ID:fPt2VOyG.net
侑「…………ふぅ」ゴロン


侑(……さすがに、そんなにすぐに割り切れるわけじゃないし)

侑(この"想い"に折り合いをつけるのは、そう簡単な話じゃない)

侑(なんせ、私がこの気持ちを自覚してからまだ半日も経ってないし)

侑(正直、頭の中はぐちゃぐちゃになりそうだ)


侑(……だけど)

侑(それでも、今の私の心の真ん中には……せつ菜ちゃんがいるから)

侑(そこだけは、絶対にブレさせちゃいけない)

侑(私の恋人はせつ菜ちゃんで)

侑(私が一番好きなのもせつ菜ちゃん)

侑(一番優先すべきなのもせつ菜ちゃんで)

侑(それ以外の人は二の次……はちょっと言い過ぎかな?)

侑(……でも、それくらいの気持ちでいないと)

侑(きっと、馬鹿な私はすぐにブレてしまうから)

侑(だから)


侑「私、頑張るよ……!」

侑(こんな馬鹿な私を救ってくれた、せつ菜ちゃんの為に)

侑(そして)



侑(そんなせつ菜ちゃんが好きだと言ってくれた、私自身の為にも……!)

374 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 23:15:46.96 ID:fPt2VOyG.net
本日は一旦ここまでです!!!!!
今回は分岐点からだいぶ長く続いてますが、おそらく明日の更新でルート2-2完結まで行けると思います……!

375 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 23:17:22.72 ID:zZvhs6cR.net
乙です!待ってます!

376 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 23:20:08.00 ID:Svp8QIRs.net
いっぱい更新ありがとう
本当にこのssが最近の楽しみになってる

377 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 23:25:50.06 ID:k3BuwmN9.net
おつです!!
楽しみにしてます!!!

378 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 23:27:07.39 ID:A6NBvXLP.net
気持ち悪いレベルで別人になってるな。展開のためにキャラ変えすぎ

379 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 23:28:14.40 ID:si53nG+H.net
こっちは収まるところに収まったからこっからぐちゃぐちゃになりそうなルート2-1が早くも楽しみ

380 :名無しで叶える物語:2021/02/09(火) 23:51:07.39 ID:D+GvkPiW.net


381 :名無しで叶える物語:2021/02/10(水) 00:19:14.47 ID:zHaaW9tC.net
乙やで!
ゆうせつたまらん

382 :名無しで叶える物語:2021/02/10(水) 02:25:54.28 ID:wPKZmGtu.net
おつ!あゆせつゆうの3人が好きだから3人が仲良くする話もあってほしいです
ずっと読んでいたいと思える作品なので応援してます

383 :名無しで叶える物語:2021/02/10(水) 02:30:45.80 ID:LcWUfJuO.net
侑がどちらも選ばない選択でもしない限り3人仲良くは無理だろ。それこそ人間味なくなる

384 :名無しで叶える物語:2021/02/10(水) 02:34:44.63 ID:1JvFQvm5.net
選ばれなかった方を見てて辛いから3人で仲良くは無理してやらないて良いかなって

385 :名無しで叶える物語:2021/02/10(水) 22:18:22.93 ID:JnCq/a6m.net


386 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 01:34:28.32 ID:h+ZTfNuW.net
〜同時刻、上原家、歩夢の部屋〜



ピコン

歩夢「!」スッ

歩夢(……侑ちゃんから、メッセージだ)

歩夢(なんだろう……)

歩夢(……開くの、怖いな)

歩夢(でも……)

歩夢「ちゃんと向き合わないと……だよね」ギュッ

歩夢(大丈夫……今の私なら……)

歩夢「……すぅ……はぁ……」

歩夢「……っ」ゴクリ

歩夢「……えいっ」スッ

歩夢「……」ジッ

歩夢「……」

歩夢「……えっ」

歩夢「……」スッスッ

歩夢「……侑ちゃん」



歩夢(今日のことについて……ありがとう、か……)

歩夢(……せつ菜ちゃん、上手く話せたみたいだね)

歩夢(……それと)



歩夢(しばらく距離を置きたい、かぁ……)

387 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 01:35:20.15 ID:h+ZTfNuW.net
歩夢(その言葉は、付き合ってる人達が使うものなんじゃないかなぁ……)

歩夢「……侑ちゃんってば、もう」クスッ

歩夢「……」

歩夢「……」ドサッ

歩夢(でも、侑ちゃんと私は今までずっと一緒にいたし)

歩夢(これからは、今日みたいに会話しないで過ごすんだとしたら……)

歩夢(それは確かに、『距離を置く』っていう表現でもいいのかも)

歩夢(……だけど)

歩夢「はぁ……」ゴロン

歩夢(やっぱり、改めてこういうことを言われると)



歩夢「……辛い、なぁ」

388 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 01:36:36.48 ID:h+ZTfNuW.net
歩夢(今日は、私からメッセージを送って)

歩夢(私自身の意志で、侑ちゃんから離れることを選んだけど)

歩夢(こういう風に、侑ちゃんからそれを言われるのは……)

歩夢「……っ」ズキッ

歩夢(……でも、仕方ないよね)

歩夢(私が、侑ちゃんに想いを伝えなければ)

歩夢(ただ仲良しな幼馴染のままだったら、ずっとそばにいられたかもしれないけど)

歩夢(今の侑ちゃんと私の関係は、フった人とフラれた人で)

歩夢(しかも、侑ちゃんにはせつ菜ちゃんっていう恋人がいて)

歩夢(私自身も、もう侑ちゃんのそばにいるのは苦しくて)

歩夢(……そんな二人が、これからもずっと一緒に仲良くいるなんていうのは)

歩夢(漫画の中でもない限りは……あり得ない話、だよね)

歩夢(だから、これは仕方のない話で)

歩夢「……」ギュッ

歩夢(……でも)

歩夢(頭では、そのことを十分に理解しているつもりでも)

歩夢(それでも……)



歩夢「……やっぱり、侑ちゃんと離れるのは寂しいなぁ」ポロポロ

389 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 01:37:43.34 ID:h+ZTfNuW.net
歩夢「……っ」グスッ

歩夢(私、侑ちゃんにフラれてから泣いてばっかだ……)

歩夢(色んな出来事が重なって、切り替えられたつもりでいても)

歩夢(やっぱり、侑ちゃんへの想いは……そう簡単に忘れられるものじゃないよ……)

歩夢「うぅ……」ポロポロ

歩夢(侑ちゃんのことを考えると、涙が止まらなくなっちゃう……)

歩夢(いつまでもこういう風にしてちゃダメって、わかってるのに……)

歩夢(でも……でも……)


───────


愛「泣きたいときは、泣いていいんだよ」


───────


歩夢「……っ」

歩夢(愛ちゃんは、そう言ってくれたけど)

歩夢(いいのかな……)

歩夢「愛ちゃん……」グスッ

歩夢(……愛ちゃんと、話したいな)

歩夢(でも、いきなり電話かけてもいいのかな……)

歩夢(迷惑だったりしないかな……)


───────


愛「……むしろ、今までが一人で抱えすぎだったんだよ」


───────


歩夢(……甘えすぎてないかな?って聞いたときに、愛ちゃんはこう言ってくれてた)

歩夢(それなら、いいのかな……)

歩夢「……よし」



歩夢(いきなり電話じゃなくて、まずはメッセージで聞いてみよう……!)

390 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 01:38:39.47 ID:h+ZTfNuW.net
〜しばらくして〜



歩夢「……うん……ありがとう」

歩夢「……うん、おやすみなさい」

歩夢「……えっ!?」

歩夢「も、もう愛ちゃんってば……!」

歩夢「……おやすみ!」

歩夢「……ふぅ」


歩夢「……」

歩夢「愛してるよ、愛だけに」

歩夢「……かぁ」

歩夢「…………っ」カァァァ

歩夢(ふ、普段だったら、冗談だって流せそうなのに……)

歩夢(電話越しで、しかもあんな吐息混じりの声で急に囁かれたら……)



歩夢「もっ、も〜……っ!」ボスボスボスッ

391 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 01:40:30.31 ID:h+ZTfNuW.net
歩夢「うぅ……!」ドサッ

歩夢「……」

歩夢(……でも)


歩夢(そのおかげで、さっきまでの嫌な感じが今はなくなってて)

歩夢(愛ちゃんの優しい声や言葉が、私の心を満たしてくれている)

歩夢(……一人で色々考えてると、嫌なことばかり考えちゃうけど)

歩夢(愛ちゃんと話しているときは、そんなことにはならなくて)

歩夢(こうして会話し終えた後も、暖かい気持ちが私の中に残っている)


歩夢(……侑ちゃんと離れるのは、凄く凄く寂しいことで)

歩夢(侑ちゃんの代わりになれる人なんて、世界中どこを探したって絶対に見つからないけど)

歩夢(それでも、私の中にある寂しいと思う気持ちは……きっと変えられるはず)

歩夢(……私が一人のままだったら、それも無理だったかもしれないけど)

歩夢(でも……)



歩夢(今の私のそばには、愛ちゃんがいてくれる)

歩夢(こんな私を好きだと言ってくれる、素敵な人がいる)

歩夢(それなら、私は)

歩夢(愛ちゃんがそばにいてくれるなら、私はきっと────)

392 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 01:41:46.66 ID:h+ZTfNuW.net
〜一ヶ月後のある日曜日、夕方〜



愛「いや〜今日も遊んだね〜」ノビーッ

歩夢「ふふ、そうだね」



歩夢(今日は愛ちゃんと二人でお出かけの日で、今はその帰り道)

歩夢(……侑ちゃんにフラれてからは、こうして愛ちゃんと一緒に過ごす時間が増えた)

歩夢(学校でもお昼は基本的に毎日一緒だし、帰り道も途中まで一緒に帰るし)

歩夢(同好会の練習がお休みの日も、予定が合う日は一緒にお出かけしたりで)

歩夢(愛ちゃんの存在は、すっかり私の日常に溶け込んでいた)

歩夢(でも、私はまだ……)


───────


愛「アタシは歩夢が好き」

愛「本気だよ」


───────


歩夢(……あのときの愛ちゃんの告白に、ちゃんと返事をしないまま過ごしていた)

歩夢「……」

歩夢(……でも)

歩夢(いつまでも愛ちゃんの好意に甘えて、曖昧な関係を続けるのは良くないと思うし)



歩夢(そろそろ、ちゃんとした答えを出さないとだよね……)

愛「……」

393 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 01:43:03.69 ID:h+ZTfNuW.net
愛「……っと、ここでお別れだね」

歩夢「えっ」

愛「それじゃ、アタシはこっちだから……」

歩夢「う、うん……」

愛「また明日、学校でね」

歩夢「うん……」

愛「……帰り道、気をつけてね?」

歩夢「……愛ちゃんもね」

愛「愛さんはだいじょーぶ!それより歩夢のがよっぽど心配だよ!」

歩夢「え、どうして?」

愛「どうしてって、それは……」スッ



愛「歩夢が可愛いからに、決まってるじゃん」

歩夢「!」ドキッ

394 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 01:44:16.48 ID:h+ZTfNuW.net
────愛ちゃんの手が、私の頬に添えられて


愛「……正直言うとね」


────もう一方の手は、するりと腰に回される


愛「こんなところで、別れたくないし」


────頬に添えられた手は、首すじを通って後頭部へと流れるように移動して


愛「できることなら、歩夢の家まできっちり送り届けるか……」


────そのまま、私の体は引き寄せられるようにして


愛「……もしくは、このままアタシの家に連れて帰りたい」


────愛ちゃんの元に、すっぽりと収まってしまって


愛「だってアタシは────」



愛「────歩夢のこと、好きだから」


────耳元で、吐息混じりの声でそう囁かれてしまった

395 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 01:45:04.04 ID:h+ZTfNuW.net
歩夢「……っ!!」カァァァ

愛「歩夢、顔真っ赤だよ」

歩夢「だ、だって……!」

愛「……へへっ」ギューッ

歩夢「……も、もう……!」

歩夢「……」


歩夢(愛ちゃんに面と向かって好きだと告げられるのは、いつまでも慣れなくて)

歩夢(その度に、顔だけでなく全身が熱くなってしまって)

歩夢(嬉しさと恥ずかしさが混じり合って……胸の辺りがとっても温かくなる)

歩夢(この感覚は……私の中に芽生え始めているこの"想い"は)

歩夢(やっぱり……)


愛「……歩夢」

歩夢「……へっ?」

愛「だいじょーぶ?何か難しい顔してたけど」

歩夢「えっ、と……」

愛「……」ジッ

歩夢「……大丈夫、だよ?ちょっと、ぼーっとしちゃってただけだから」

愛「……」



愛「……ホントに?」ズイッ

歩夢「……え」

396 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 01:46:16.95 ID:h+ZTfNuW.net
愛「ホントに、なんでもないの?」

歩夢「えっと……」

愛「……ここ最近の歩夢、今みたいにたまにぼーっとしてるときあったから」

愛「だから、ちょっと気にしてたんだよね」

歩夢「……!」


愛「ホントになんでもないなら、それでいいんだけどさ」

愛「もしも何か言いたいことがあるなら……遠慮なく言っていいんだよ」

愛「……って、これは前に歩夢がアタシに言ってくれた言葉だけどね」ハハ

歩夢「……そう、だっけ」

愛「えぇ!覚えてないの?」

歩夢「……ごめんね、人から言われたことは覚えてるんだけど自分で言ったことはあんまり」ハハ…

愛「そっかぁ……アタシはあの言葉に勇気づけられて、それで歩夢に告白したんだけどな〜」

歩夢「!そ、そうなの……?」

愛「……まあ、覚えてなくてもいいよ」

愛「アタシが伝えたいのはさ」ガシッ

歩夢「!」



愛「歩夢の話なら、どんな内容でもアタシはちゃんと聞くってこと」

歩夢「愛ちゃん……」

愛「……だからさ」



愛「安心して、なんでも話してよ」ニッ

397 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 01:47:45.97 ID:h+ZTfNuW.net
歩夢「……あっ」


───────


愛「だから、安心してよ」ニッ


───────


歩夢「……前にも、同じようなこと言ってくれたね」

愛「え?そうだっけ」

歩夢「……愛ちゃんも、自分が言ったことは覚えてないんだね」クスッ

愛「!ちょ、ちょっと待って、今思い出すから……!」

歩夢「無理しなくてもいいのに」クスクス

愛「む、無理はしてないよ……!」

歩夢「そう?」

愛「そうだよ!えーと……」ムムム

歩夢「……ふふ」

歩夢「……」



歩夢「ね、愛ちゃん」

愛「ん?なに?」

歩夢「好きだよ」

愛「……ん?」

歩夢「あれ、聞こえなかったかな?じゃあもう一度言うね」



歩夢「私は、愛ちゃんのことが好きです」

歩夢「こんな私でよければ……恋人になってくれませんか?」

398 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 01:49:52.29 ID:DRfeZrTG.net
えんだああああ!!!

399 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 01:50:04.61 ID:h+ZTfNuW.net
〜数日後、放課後、喫茶店〜



果林「……そう、あなた達も色々と大変だったのね」

愛「まあね……でも、今となっては貴重な経験できてよかったかな〜って思うよ」ゴクゴク

果林「……そのおかげで、可愛い恋人もできたものね」ニコ

愛「っ!?げほっごほっ!」

果林「あらあら、大丈夫?」

愛「か、カリンが変なこと言うから……!」

果林「私は事実を言っただけだけど?」

愛「そ、そうだけどさ〜」

果林「あら、歩夢のことちゃんと可愛い恋人だと思ってるのね」

愛「うん、それはそう」

果林「……そこは動じないのね?」

愛「実際可愛いからね」

果林「……へぇ、なんだか妬けちゃうわね」

愛「とにかくさ、イタズラするのも程々にしてよね」

果林「ふふ、それはごめんなさい」クスクス

400 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 01:52:03.72 ID:h+ZTfNuW.net
果林「……それにしても、やっと全部話してくれて嬉しいわ」

果林「前に歩夢の服を買いに三人で出かけたときは、あなた達二人の雰囲気にやきもきさせられたんだから」

愛「……その節はお世話になりました」

果林「あら、随分と素直なのね」

愛「……あのときカリンと話さなかったら、たぶん自分の気持ちを認めてもいいって考え方はできなかったからさ」

愛「だから、そこはホントに感謝してるんだ」

愛「……ありがとね」

果林「そう……それはどういたしまして、ね」ニコ

愛「それと……」

果林「?」

愛「三人でまた買い物に行こうって約束、そろそろ実現させたいなって思ってさ」

果林「それは嬉しいわね……でも二人は恋人になったわけだし、お邪魔じゃないかしら?」

愛「邪魔なわけないよ!アタシも歩夢もカリンのことは好きだし……あっ、これはもちろん友達としての意味ね?」

果林「わかってるわよ」クスクス

果林「……でも、それなら」



果林「お言葉に甘えようかしら、ね」ニコッ

愛「……うん!」

愛「じゃあ三人で予定合わせてさ、どっか休みの日とかに────」

401 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 01:53:27.23 ID:h+ZTfNuW.net
〜夜、宮下家、愛の部屋〜



愛「────ってわけでさ、今度またカリンと三人で服買いに行こーよ!」

愛「……そーそー、そういう感じ!」

愛「うん……じゃあまた詳しい日取りは後日って感じで!」

愛「……はーい!……じゃあまた明日学校でね〜」

愛「あっ、あゆ……」

愛「……えっ?」

愛「えっ、ちょっと待って、今のもっかい言って」

愛「いや、待って切らないで!……あっ!」

愛「き、切られた……」

愛「……」



愛(ま、まさか『愛してるよ……愛ちゃんだけに』なんて言われるなんて)

愛(しかもめっちゃ照れ気味でちょっと声上擦ってたし)

愛(いつもアタシが電話切る前にやってたことの真似……というか仕返しのつもりなんだろうけど)

愛「はぁ……」ドサッ

愛「……歩夢は、ホントに可愛いなぁ」

402 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 01:55:38.19 ID:h+ZTfNuW.net
愛(でも、その歩夢とアタシは……今はもう……)


───────


歩夢「私は、愛ちゃんのことが好きです」

歩夢「こんな私でよければ……恋人になってくれませんか?」


───────


愛「……っ」カァァァ

愛(あ〜!!ホントに恋人になっちゃったんだアタシ達!!)ゴロゴロゴロ

愛(アタシが告白してから一ヶ月……!!返事はすぐにしなくても大丈夫って言ったけど内心いつフラれるかわからなくて不安だった一ヶ月……!!)ゴロゴロゴロ

愛(でも、でもこれで晴れて堂々と恋人として色々……!!)ゴロゴロゴロ

愛「……あぁ〜でもいざ意識すると恥ずかしいかも!?」ゴロッ

ドンッ!

愛「いった!」

愛「っつぅ……また勢い余ってベッドから落ちちゃった」


愛(……ホントに、歩夢の前では常にカッコつけて接してたけど)

愛(内心では、歩夢に拒絶されたらどうしようって不安だったんだよね)

愛(でもこれで……)

愛(いや……むしろここからが大事だよ)

愛(アタシは……付き合うことが目的で歩夢に告白したんじゃなくて)

愛(歩夢のそばにいたくて、歩夢を笑顔にしたくて……その為に歩夢の恋人になったんだ)

愛(だから、ここからようやく始まるんだ)



愛(歩夢も……そしてアタシ自身も幸せになる為の恋愛が……!!)

403 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 01:57:03.70 ID:h+ZTfNuW.net
〜エピローグ〜



侑(私とせつ菜ちゃんが改めて付き合い始めてから約一ヶ月後……)

侑(歩夢と……愛ちゃんが恋人になったという事実が、私を含む同好会メンバー全員の前で報告された)

侑(反応は人によって様々で……)


侑(いつからそんなことに!?と言わんばかりに驚く人)

侑(気づいてなかったけど、素直に祝福する人)

侑(以前から察していたのか、早速二人をいじりに走る人)

侑(そして……複雑な心境をなんとか隠して祝福しようとする人)


侑(……正直、全く動揺しなかったと言えば嘘になるし)

侑(知らされたときに、胸の奥にチクリと痛みが走ったのは……決して気のせいなんかじゃない)

侑(それでも、二人の幸せそうな雰囲気と)

侑(今私に一番大好きを向けてくれる人のことを思い浮かべたら)

侑(この胸の痛みには……もうしばらく時間を置けばちゃんとさよならできそうだと、そう考えて)

侑(私は、二人に祝福の意を込めた拍手を送った)



侑(そして、それからさらに数ヶ月後……)

404 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 02:13:41.24 ID:h+ZTfNuW.net
侑「おはよー」

侑母「おはよう」

侑「ふぁ〜……ねむ……」

侑母「……すっかり一人でも起きられるようになったわね」クスッ

侑「ぇ?どしたのいきなり」

侑母「ううん、数ヶ月前までは……いつも歩夢ちゃんが起こしに来てた頃は全然起きられてなかったのに、って思ってね」

侑「……いつの話してるのさ」

侑「今の私はもう"歩夢離れ"したんだからね……いつまでも昔の私と同じだと思ってたら大間違いだよ」ニッ

侑母「あらそう……ならもう本当に一人立ちする日も近いのかしら?」クスッ

侑「そうかもね〜」


侑母「……」

侑「ん?どしたの?」

侑母「いえね、いつかは来るものだと思ってたけどいざそのときが来るとやっぱり寂しくなっちゃって」

侑「……大丈夫だよ、私はまだしばらくこの家にいるからさ」

侑母「あら、侑のことじゃなくて歩夢ちゃんのことよ?」

侑「ええ!?そこは娘の一人立ちが近いことを憂う母親心的なあれじゃないの!?」

侑母「まあもちろんそれもあるけど……でも、数ヶ月前までは、朝は歩夢ちゃんも含んだ三人で過ごすのが当たり前だったから」

侑母「……なんだか、無性に寂しくなっちゃってね」ニコ

侑「……そっか」

侑母「朝は忙しいとしても……夕飯だったらいつ食べに来てもいいんだけどね」

侑母「まあ歩夢ちゃんも忙しいだろうし無理強いはできないでしょうけど」

侑「……そうだね」

侑「……」



──────
────
──

405 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 02:21:44.05 ID:jOn7LUtX.net
今追いついた。読んでると、興奮と戦慄でゾクゾクしてきたわ

406 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 02:26:38.70 ID:h+ZTfNuW.net
──────
────
──



侑「ただいま〜」


侑母「おかえりなさい……あら」



せつ菜「こ、こんばんは!ほ、本日はお邪魔させていただきます……!」

侑母「せつ菜ちゃん、いらっしゃい」ニコ

せつ菜「は、はい!」

せつ菜「あっあの、こちら……」スッ

侑母「あら、毎回ご丁寧にありがとうね」

せつ菜「い、いえ……!」

侑母「……え、ちょっとこのお菓子高かったんじゃ……!?」

せつ菜「だっ大丈夫です!そんなに大したものでは……あっ、ダメなものではないですよ!?ですが、その、そこまで高価なわけでは……!!」

侑「ちょっとお母さん!せつ菜ちゃんを困らせちゃダメだよ!」

せつ菜「い、いえ!これは私の説明が悪くてですね!お義母様に非があるわけでは……!」

侑母「ふふ……ホントに真面目で面白い子ねぇ」ナデナデ

せつ菜「あ、ありがとうございます……」カァァァ

侑「!ちょっと!何勝手にせつ菜ちゃんに触ってるの!?」バッ

侑母「あら、ダメだった?」

侑「だっダメだよ!せつ菜ちゃんは……わ、私の……なんだから!」

せつ菜「ゆ、侑さん……」カァァァ

侑母「あらあら……じゃあ後はお若い二人に任せて、おばさんは退散しようかしら」クスクス



──
────
──────

407 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 02:39:42.63 ID:h+ZTfNuW.net
──────
────
──


ピンポーン


侑「!」

侑母「侑〜今手離せないから出てくれるかしら〜」

侑「は、はーい」

せつ菜「……侑さん」

侑「……大丈夫」

チュ

せつ菜「!」

侑「今はもう、せつ菜ちゃんが一番だから……ね?」

せつ菜「は、はい……」カァァァ

侑「じゃあ……行こっか!」

せつ菜「……はい!」


ガチャ

愛「こんばんはー!」

侑「いらっしゃい、愛ちゃん!」

愛「おー!今日は呼んでくれてありがとね」ニカッ

せつ菜「愛さん、こんばんは!」

愛「おっ、せっつーはもう来てたんだね!」

せつ菜「はい、一足お先に!」


「……こんばんは」

侑「!」



侑「……いらっしゃい、歩夢!」ニッ

歩夢「……お邪魔します、侑ちゃん」ニコッ


──
────
──────

408 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 02:51:32.64 ID:h+ZTfNuW.net
──────
────
──



愛「うおっ、なにこれめっちゃ美味しー!」

せつ菜「美味しいです!!」ペカー

侑母「たくさん作ったからじゃんじゃん食べてね〜」

歩夢「……やっぱり、侑ちゃんのお母さんの料理は美味しいですね」ニコッ

侑母「……ふふ、それはよかった」ニコッ

侑「……」



──
────
──────

409 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 03:00:13.73 ID:h+ZTfNuW.net
──────
────
──



侑「……今日は、来てくれてありがとね」

侑「お母さん……歩夢に会えて嬉しそうだったから」

歩夢『……こちらこそ、呼んでくれてありがとうだよ』

侑「……うん」

侑「……」

侑「それと、ね……」

歩夢『?』

侑「……いや、やっぱりなんでもない」

歩夢『……そっか』

侑「また明日、練習でね」

歩夢『うん、また明日』

侑「じゃあ……おやすみ」

歩夢『うん……おやすみ』


侑「……ふぅ」

侑(いくら変な意味がないとしても、もうこういうのは言っちゃダメだよね)

侑(……でも)

侑(お母さんだけじゃなくてさ)



侑(私も、歩夢と久々にごはん食べられて……嬉しかったよ)

侑(……もちろん、幼馴染としてね!)

410 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 03:22:39.03 ID:h+ZTfNuW.net
────もう、あの頃の当たり前を取り戻すことはできないし



────私達の関係も、もうあの頃には戻れないけど



────でも、それでもいいんだと思う



────確かに、私が十数年大事にしてきた想いは報われなかったし



────そのことについては、やっぱり悲しくてたくさん泣きもした



────始めに思い描いた通りのハッピーエンドにはたどり着けなかったし



────私以外の皆も、少なからず何かしらで傷ついたと思うけど



────それでも、失うものばかりじゃなく得たものもあったと思うし



────素敵な恋人だって、できた



────だからきっと、明日の私達は



────幸せな日々を過ごしていると、今ならそう信じられるんだ



────だから



────だからね



────さよなら……私の初恋



〜ルート2-2:ゆうぽむ双方失恋のちにあいぽむ・ゆうせつ成立ルート、完〜

411 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 03:28:58.13 ID:h+ZTfNuW.net
これにてルート2-2完結です!!!!!

引き続きルート2-1を書いていきますが、次の更新は数日空いてしまいそうなのでしばしお待ちください……!

412 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 03:33:05.79 ID:/EEKYad/.net
乙 長い道のりだった
ゆうぽむ互いに良結末迎えられたけど最後「さよなら……」で締めるのが切ないね

413 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 03:40:53.80 ID:80o0sTIx.net
すごいよかった!次のルートも楽しみに待ってるよ!

414 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 04:17:52.13 ID:ZCB90W4+.net
乙でした!!
もう十分堪能したのにまだまだ楽しめるの最高です

415 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 07:31:58.58 ID:Ycs/FvjJ.net
ほろ苦い 素晴らしかった 乙!

416 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 07:55:36.45 ID:l2dryBfY.net
そっかりなりーか…
どこかビターだなあ

417 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 09:10:41.80 ID:EKufpwru.net
>>394
>>411
妄想変態馬鹿オタク

418 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 12:17:06.08 ID:0KBxtj5z.net
おつ!このルートめちゃくちゃ好きだわ他のルートも楽しみにしてるー

419 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 19:06:17.04 ID:JvE7dXYT.net
残りはルート2ゆうぽむ編とルート1か
気が早いがルート4とかルート5も続けて欲しいくらい好き

420 :名無しで叶える物語:2021/02/11(木) 23:16:14.07 ID:RO5Ozf0T.net
乙!2-1も楽しみ!

421 :名無しで叶える物語:2021/02/12(金) 01:01:13.85 ID:nYpwY2HQ.net
個人的には、恋敵→恋仲のぽむせつルートがあることを期待している。

422 :名無しで叶える物語:2021/02/12(金) 01:21:28.53 ID:vTzSJo2O.net
せつ菜にも歩夢にも幻滅するからそのルートは無いかな

423 :名無しで叶える物語:2021/02/12(金) 03:19:34.53 ID:lwX+7Uc5.net
愛に嫉妬する侑がもっと見てえ

424 :名無しで叶える物語:2021/02/12(金) 10:43:28.45 ID:Tma3j2uc.net
>>421
これあれば期待
>>422
もう既に侑に幻滅してるからセーフ

425 :名無しで叶える物語:2021/02/12(金) 15:32:37.30 ID:C2s37iCn.net
おつです!
このルートが1番二人の成長を感じられて良いね!

426 :名無しで叶える物語:2021/02/12(金) 16:02:03.33 ID:3LhmgI1K.net
二人とも切り替えが早すぎて成長じゃなくて別人になったみたい

427 :名無しで叶える物語:2021/02/12(金) 18:47:38.99 ID:5WBlfHy2.net
1ルートくそガキ侑ちゃんバリバリ嫉妬してるから続きに期待やね

428 :名無しで叶える物語:2021/02/12(金) 21:13:11.52 ID:57cLjKsF.net
他ルートのせつ菜救済も愛さんならなんとかしてくれそう感がやばい

429 :名無しで叶える物語:2021/02/12(金) 21:17:05.14 ID:CONOqv7H.net
この愛さんなら侑ですら落とせそう

430 :名無しで叶える物語:2021/02/13(土) 10:28:50.82 ID:gXpS44nn.net
>>272
ルートがわからなくなってきたぼく
272さんに圧倒的感謝

431 :名無しで叶える物語:2021/02/13(土) 14:58:58.50 ID:VtZOGgrj.net
本当の

432 :名無しで叶える物語:2021/02/13(土) 22:04:52.89 ID:wK2Y6r9Y.net
保守

433 :名無しで叶える物語:2021/02/14(日) 15:14:16.16 ID:s6nhyJKv.net
保守

434 :名無しで叶える物語:2021/02/14(日) 21:07:49.25 ID:gPfthVxj.net
保守です!!

435 :名無しで叶える物語:2021/02/15(月) 07:50:53.91 ID:wrAf5+wk.net
保守ぴ

436 :名無しで叶える物語:2021/02/15(月) 18:16:03.42 ID:MogdtZLC.net
保守してア・ゲ・ル

437 :名無しで叶える物語:2021/02/16(火) 00:04:39.65 ID:sLaI1pR5.net
@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ

438 :名無しで叶える物語:2021/02/16(火) 10:23:52.47 ID:BNO0D58F.net
保守みんです

439 :名無しで叶える物語:2021/02/16(火) 17:16:52.62 ID:4P1k71QU.net
@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ

440 :名無しで叶える物語:2021/02/16(火) 21:01:13.11 ID:Dan9yOfN.net
ほしゅあげ

441 :名無しで叶える物語:2021/02/17(水) 00:23:08.51 ID:dp0cEiR7.net
🇨🇳

442 :名無しで叶える物語:2021/02/17(水) 12:03:23.71 ID:ESHcuWEC.net
保守

443 :名無しで叶える物語:2021/02/17(水) 21:31:24.35 ID:aHPQ6cG2.net
保守

444 :名無しで叶える物語:2021/02/17(水) 22:41:47.52 ID:GdXzfFxS.net
@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ

445 :名無しで叶える物語:2021/02/18(木) 10:09:18.41 ID:mgwAWhDn.net
補修

446 :名無しで叶える物語:2021/02/18(木) 20:55:25.14 ID:UWKSm13h.net
保守

447 :名無しで叶える物語:2021/02/19(金) 07:06:06.57 ID:qtHiypGz.net
星野源

448 :名無しで叶える物語:2021/02/19(金) 11:39:48.12 ID:AhdkMZZO.net
次に書かれる2−1ってゆうぽむ、せつあい(?)ルートでおk?

449 :名無しで叶える物語:2021/02/19(金) 11:46:22.99 ID:WxxREP9v.net
作者にしかわからんだろ。せつあいどころかゆうぽむかどうかもわからんし
スレタイからだとここからゆうぽむルートなくても不思議はないが

450 :名無しで叶える物語:2021/02/19(金) 22:27:34.86 ID:Xo0uO5ji.net
保守

451 :>>3です:2021/02/20(土) 01:20:58.49 ID:Vu9XVAYx.net
保守していただきありがとうございます!
この土日のうちに更新したいなと考えていますので今しばらくお待ちいただければと思います……

452 :名無しで叶える物語:2021/02/20(土) 10:59:57.12 ID:haF8qYim.net
ゆっくりでええんやで

453 :名無しで叶える物語:2021/02/20(土) 13:20:09.43 ID:Ka6/GtLB.net
>>449
これ
だから何処にも気を使って曲げないで書きたい方向で書いてほしい

454 :名無しで叶える物語:2021/02/20(土) 21:47:51.92 ID:wJ+B25fC.net
ゆっくりでいいのでお待ちしております!

455 :名無しで叶える物語:2021/02/21(日) 08:01:16.04 ID:vPMkQRGp.net
私待つわ

456 :名無しで叶える物語:2021/02/21(日) 16:54:52.15 ID:8bMGvOqs.net
いつまでも待つわ

457 :名無しで叶える物語:2021/02/22(月) 10:19:15.12 ID:wjHHU/Ih.net
保守ぴょん

458 :名無しで叶える物語:2021/02/22(月) 16:01:40.73 ID:ytQdy86l.net
忙しいのかな。ゆうせつルートを書いて満足しちゃったのかな

459 :名無しで叶える物語:2021/02/22(月) 22:04:08.35 ID:irkMahjE.net
ずっと待ってる

460 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 02:50:33.46 ID:9DbwwK/m.net
たくさんの保守ありがとうございました、そして長らくお待たせいたしました……!
ようやくルート2-1を書く覚悟が完了しましたので更新再開していきます……!

461 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 02:51:44.34 ID:9DbwwK/m.net
>>131から
2-1を選択した場合



────膝上で固く握り締めた両拳の震えが、そのまま両脚にも伝わるように広がっていって


侑「……っ」


────同時に、腋や額からじんわりと汗が噴き出すのを感じて


侑「はぁ……はぁ……っ」


────まるで内臓を鷲掴みにされたかのような、そんな気持ちの悪さが体を包み始めて


侑「ぅ……っ」


────思わず、先ほど口にしたスイーツの数々を戻してしまいそうになったけど


侑「……すぅ……はぁ……」


────すんでのところで、なんとか堪える


侑「ふぅ……ふぅ……」


────緊張のせいか、呼吸の仕方がおかしくなってきて


侑「う……っ……」


────今すぐ、ここから逃げ出してしまいたくなるような衝動に駆られるけど


侑「ぐっ……」


────でも、それじゃダメなんだってわかってるから


侑(……ちゃんと、言わなきゃ……)


────だから私は、これからすることが最低な行為だとわかっていても


侑(私の……"今"の想いを……ッ!!)


────それでももう、止めることなんてできなかった

462 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 02:52:29.79 ID:9DbwwK/m.net
侑「……ねぇ、歩夢」

歩夢「……なぁに」

侑「あの、ね……」

侑「私……ここ数日で気づいたの……」

侑「私……ね」

侑「……」

侑「……歩夢が」



侑「歩夢が……隣にいてくれないと……」

侑「そうじゃないと……ダメになっちゃうみたいなの……」

歩夢「……え?」

463 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 02:53:30.10 ID:9DbwwK/m.net
侑「ここ最近さ……私達あんまり一緒にいなかったじゃん?」

歩夢「……うん」

侑「私は……せつ菜ちゃんと一緒にいて」

侑「歩夢は……愛ちゃんと一緒にいてさ」

歩夢「……」

侑「それで……」

侑「……」

侑「……私ね」

侑「歩夢が愛ちゃんと楽しそうにしてるの……凄く気になっちゃって」

侑「それこそ、二人が一緒にいるのを……無意識のうちにずっと、目で追っちゃうくらいには……」

歩夢「……それ、って」

侑「……うん」

侑「私……」



侑「歩夢が、愛ちゃんに笑顔を向けてるのを見て」

侑「嫉妬……しちゃってたんだ」

歩夢「……!」

464 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 02:54:26.50 ID:9DbwwK/m.net
侑「凄く……物凄く身勝手なことだってわかってるけど」

侑「でも……私以外の誰かと楽しそうにしてる歩夢を見てたら」

侑「胸の辺りに、もやもやしたものを感じちゃって……」

侑「それで……」

侑「……」

侑「……変、だよね」

歩夢「え?」

侑「だって……私にはちゃんとした恋人がいるのに」

侑「それなのに、仲の良い幼馴染とはいえ……付き合ってるわけじゃない子が別の誰かと二人でいることに嫉妬するなんてさ」

歩夢「それは……」

侑「……だからね」

侑「今日のお出かけで、はっきりさせようと思ったの」

侑「どうして私は嫉妬しちゃうのかってことと」

侑「……それと」



侑「私にとって……歩夢はどういう存在なのか、ってことをね」

歩夢「!」

465 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 02:55:34.63 ID:9DbwwK/m.net
歩夢「そう、だったんだ……」

侑「……うん」

侑「だから、今歩夢に告白されて……好きって言われて」

侑「……すっごく、びっくりしてるんだ」

侑「私の気持ちをはっきりさせる前に、歩夢の本心を伝えられるなんて思ってもいなかったからさ……」

歩夢「……」

侑「……でも」

侑「そのおかげで、はっきりしたよ」

歩夢「!」

侑「私は……」

侑「歩夢の、ことが……」

歩夢「……っ」ゴクリ



侑「……好き、なんだと思う」



歩夢「……!!!」

466 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 02:57:31.15 ID:9DbwwK/m.net
侑「……今まで、ずっと一緒にいたけど」

侑「ずっと一緒にいたからこそ、気づかなかっただけで……たぶん私は……」

侑「……いや」

侑「たぶんじゃなくて、本当は……」

侑「本当は、ずっと前から私も歩夢のこと────」


ガバッ


侑「────!?」

歩夢「……」ギュウッ

侑「歩夢……?」

歩夢「……っ」ギューッ

侑「あ、歩夢……ちょっと苦し」

歩夢「……ばか」

侑「……え?」

歩夢「侑ちゃんの、ばか……っ」ギューッッ

侑「あゆ、む……っ」

歩夢「……気づくの、遅いよ……!」

侑「……うん」

歩夢「本当に、遅すぎるよ……っ」ギュッ

侑「……でも、やっと気づけたから」

侑「だから……ちゃんと顔見ながら言わせて?」

歩夢「……わかった」スッ

侑「ありがとう」

侑「……歩夢」

歩夢「……うん」



侑「私は、歩夢のことが好きだよ」

侑「世界で一番……ううん」



侑「宇宙で一番、歩夢のことが好き」

467 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 02:58:17.54 ID:9DbwwK/m.net
歩夢「……っ」

侑「他の誰にも渡したくないって、そう思うんだもん」

侑「だったらそれは……この宇宙で一番好きってことだよね?」

歩夢「……そう、だね」

侑「……へへ、照れてる歩夢も可愛くて好きだよ」

歩夢「うぅ……」カァァァ

侑「わぁ、耳まで真っ赤だよ歩夢」

歩夢「もう……そういうことは言わなくていいのっ」ポムポム

侑「あはは、痛いよ歩夢〜」

侑(本当は全然痛くないけどね)

歩夢「……本当に、もう」ポスッ

侑「……ん」

歩夢「……侑ちゃん」

侑「ん?」

歩夢「私も、ね……」



歩夢「侑ちゃんのこと……宇宙で一番好きだよ」

侑「!!」ドキッ

468 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 02:59:00.57 ID:9DbwwK/m.net
歩夢「本当に好き……」

侑「あ、歩夢……」ドキドキ

歩夢「……っ」グスッ

侑「!」

歩夢「ずっとね……ずっ、と……こういう風に……好きって、言いたかったの……」ポロポロ

侑「歩夢……」

歩夢「侑ちゃん……すき……」ポロポロ

侑「……うん」ポン

歩夢「すきだよ……」グスッ

侑「……私も」ナデナデ

歩夢「すきなの……っ」ヒック

侑「……私もすきだよ」ナデナデ

歩夢「だいすき……」ギューッ

侑「……ん」ナデナデ

歩夢「ゆう、ちゃん……」

侑「……なぁに」

歩夢「……私、と」



歩夢「ずっと……一緒にいてくれる……?」

469 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:00:10.65 ID:9DbwwK/m.net
────私を見つめる歩夢の瞳からは、大粒の涙が溢れ出していて



侑「……!」



────頬を伝って滴る雫が、夕陽を受けて輝いているように見えて



侑「……うん」



────それはそれは、とても綺麗な光景なのかもしれないけど



侑「もちろん」



────でも、私は歩夢には笑っていてほしいから



侑「私は」



────だから、涙なんて吹き飛ばすくらいとびっきりの笑顔を作って……こう言った



侑「この先もずっと、歩夢と一緒にいるよ!」



────その言葉が、『あの子』にとってはどれだけ残酷なモノだったかなど考えもせずに

470 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:01:01.50 ID:9DbwwK/m.net
〜観覧車降り口〜



侑「……」

歩夢「……一周、しちゃったね」

侑「……うん」

歩夢「……」

侑「……あのさ、歩夢」

歩夢「?」

侑「さっきの……告白の件、なんだけど」



侑「正式な返事は……まだ、少しだけ待っててもらえるかな……?」

471 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:01:39.61 ID:9DbwwK/m.net
歩夢「……えっ?」

侑「私、今は……せつ菜ちゃんと付き合ってるから……さ」

歩夢「……っ」ズキッ

侑「だから……」

侑「……」

侑「……私が」

侑「ちゃんとけじめつけ終えるまで、待っててほしいんだ」

歩夢「けじめ……って……?」

侑「……うん」



侑「せつ菜ちゃんと……ちゃんとお別れする……」

472 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:03:31.51 ID:9DbwwK/m.net
歩夢「!」

歩夢(……そっか)

侑「せつ菜ちゃんには、本当に申し訳ないし」

歩夢(侑ちゃんが私のことを好きになるっていうことは)

侑「本当に、謝っても謝りきれないけど」

歩夢(せつ菜ちゃんと別れるっていうことで)

侑「でも、それでも」

歩夢(侑ちゃんが私を選んでくれるっていうことは)

侑「"今"の私は……歩夢が好きって気づいたから……」



侑「だから、私に好きって言ってくれたせつ菜ちゃんには……ちゃんと伝えておきたいんだ……!」

歩夢(せつ菜ちゃんが……侑ちゃんに選ばれない、ってことなんだ)

473 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:05:14.12 ID:9DbwwK/m.net
歩夢「……っ」ズキッ

歩夢(私……自分の気持ちで精一杯になってて気づいてなかったけど)

歩夢(せつ菜ちゃんに……凄く酷いことをしようとしてるんだ)

歩夢「……っ!」ズキズキッ

歩夢(せつ菜ちゃんが侑ちゃんを好きなのは十分知ってる……ずっと、一番近くで見てたから)

歩夢(だから、私が十数年できなかったことを……ものの数ヶ月も経たないうちにやってのけたせつ菜ちゃんがどんなに凄いのかも)

歩夢(……どれだけ侑ちゃんのことを好きなのかも、大体理解してるつもり)

歩夢「……」

歩夢(……いいのかな)

歩夢(せつ菜ちゃんを傷つけてまで……そうまでして侑ちゃんを振り向かせるなんて、そんなこと……)



侑「歩夢?」ズイッ

歩夢「!」ビクッ

474 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:06:44.96 ID:9DbwwK/m.net
歩夢「ど、どうしたの?」

侑「それはこっちのセリフだよ」

歩夢「えっ?」

侑「せつ菜ちゃんの話してたらいきなり神妙な顔して黙り込んじゃうだもん……何かまずかったのかなって」

歩夢「あっ……う、ううん!大丈夫だよ!」

侑「……ホント?」

歩夢「うん!」

侑「そっか……ならよかった」

侑「……歩夢には、笑顔でいてほしいからさ」ニコッ

歩夢「……!」

歩夢(そうだ……)

歩夢(私は……侑ちゃんの笑顔が他の人に向けられるのが嫌で……)

歩夢(私だけにその笑顔を向けてほしくて……だからこの"想い"を諦めないことにしたんだ……!)

歩夢(だったら……)



歩夢(このチャンスを逃すようなことしちゃ……絶対にダメ、だよね……!)

475 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:08:25.06 ID:9DbwwK/m.net
────ごめんね、せつ菜ちゃん


歩夢「……そっか」


────十数年間焦がれ続けて……ついにやっと欲しかったモノが手に入りそうなの


歩夢「そう言ってくれるの、嬉しいな」


────だから、これが最低な行為だってわかってるけど


歩夢「……私もね」


────軽蔑されても仕方のない、汚い真似だってわかってるけど


歩夢「侑ちゃんには、笑顔でいてほしいな」ニコッ

侑「!」


────一生恨まれても文句は言えないような、酷いことしようとしてるってわかってるけど


侑「……それなら」


────それでも、私は


侑「私も、笑顔でいられるようにしなきゃね」ニコッ


────私だけに向けてくれる侑ちゃんの笑顔が、欲しくてたまらないの……!!

476 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:09:34.27 ID:9DbwwK/m.net
〜夜、宮下家、愛の部屋〜



愛「……」

愛(歩夢……上手くやれてるかな……)

愛(ゆうゆにちゃんと、伝えられてたらいいんだけど……)


ピコン


愛「!!」ガバッ

愛(メッセージ!誰から……!)


歩夢『やったよ愛ちゃん!私ちゃんと侑ちゃんに告白できました!』


愛「おお……!」

ピコン

愛「!次のメッセージ……!」


歩夢『それでね……』


愛「それで……!?」ドキドキ

ピコン

愛「!きた……!」



歩夢『侑ちゃんにも……好きって言ってもらえたんだ』



愛「!!おおー!!!」

愛(それなら……!)スッスッ

愛「……」プルルル…

ガチャ

歩夢『あっ、も、もしもし愛ちゃ』

愛「おめでと歩夢ー!!」

歩夢『っ!?』

477 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:10:09.44 ID:9DbwwK/m.net
愛「やったじゃん歩夢!!」

歩夢『あ、愛ちゃ』

愛「凄い……凄いよ歩夢!!」

歩夢『う、うん』

愛「そっか、そっかぁ……ちゃんと言えたかぁ……」

歩夢『……うん』

愛「それで……ゆうゆも……」

歩夢『うん……私のことね……恋愛としての意味で好きだった、って……やっと気づけたって言ってた……』

愛「……そっか」

歩夢『……愛ちゃん』

愛「ん?」



歩夢『……ありがとう』

愛「……!」

478 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:11:04.72 ID:9DbwwK/m.net
歩夢『私……一人だったらこんな風に告白できなかっただろうし』

歩夢『愛ちゃんがいなかったら……侑ちゃんの気を引くことなんてできなかったと思うから』

歩夢『だから……本当にありがとう』

愛「……ん、どーいたしまして……だね!」

歩夢『うん……!』

歩夢『……』

歩夢『……でもね』

愛「ん?」

歩夢『まだ一つだけ……最後に残ってることがあって』

愛「残ってること……?」

歩夢『うん……』



歩夢『……せつ菜ちゃんのこと、なんだけど』

愛「……」

479 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:12:26.99 ID:9DbwwK/m.net
愛「……ゆうゆはなんて言ってたの?」

歩夢『えっとね……私には、待っててほしいって』

歩夢『……せつ菜ちゃんときちんとお別れして、けじめつけ終えるまでは……って』

愛「……そっか」

愛(けじめ、ね……)

歩夢『……うん』

歩夢『明日……練習後にせつ菜ちゃんと直接話してくる、って……そう言ってた』

愛「明日……」

歩夢『うん……』

歩夢『……せつ菜ちゃんには、すっごく悪いことしてると思うけど』

歩夢『でも、それでも私は……』


愛「……ゆうゆのことが欲しかった、でしょ?」

歩夢『!……うん』

愛「……わかってるよ、アタシも共犯者だからね」

歩夢『共犯、って』

愛「……言い方は悪いけどね」

愛「でも、アタシ達がしたことは……非難されても仕方のないことで」

愛「……場合によってはさ」



愛「今の立場を……心地の良い居場所を失うくらいの覚悟をしておかなきゃいけないことなんだよ」

歩夢『……っ!』

480 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:13:22.64 ID:9DbwwK/m.net
歩夢『私、は……』

愛「……まあ、とはいえだよ」

愛「アタシ達まだ高校生なんだし……付き合ったり別れたりなんていくらでもあることだろうし」

愛「結婚してるとか、法律上の関係とか制約があるわけでもないし」

愛「……そりゃ、せっつーには凄い酷いことしちゃったなって思うかもしんないけどさ」

愛「それでも……」

愛「今の関係を壊すことになってでも、欲しいモノがあったんでしょ」

歩夢『……うん』

愛「……だったら、さ」

愛「掴んだ幸せは、ちゃんと離さないようにして……それで」



愛「歩夢は……ちゃんと幸せにならなきゃ、ね?」

歩夢『……!』

481 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:14:23.02 ID:9DbwwK/m.net
愛「そうじゃなきゃ……」

愛(せっつーはもちろん……)

愛(……いや、これはどうでもいいか)

愛(今はそれよりも……)


愛「……愛さんの言ったこと、わかった?」

歩夢『……うん』

愛「よし……それなら、せっつーのことはゆうゆを信じるとしてさ」

愛「歩夢は……ゆうゆとちゃんと付き合ってからどうするかとか、そういうこと今のうちに考えときなよ〜?」

歩夢『えっ』

482 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:15:17.56 ID:9DbwwK/m.net
愛「だってずっと付き合いたかったんでしょ?ならやりたかったこととかあるだろうし……付き合ったらすぐ行動に移せるように今のうちにまとめといたらいいんじゃない?」

歩夢『そ、それは……たっ確かにある、けど……』

愛「ほら、じゃあやっときなよ!」

愛「……なんなら、愛さんまとめるの手伝っちゃうよ〜?」

歩夢『!だ、大丈夫だよ!一人でできるから!』

愛「ええ〜?ホントに〜?」

歩夢『で、できるってば!』

愛「ほ〜……でもさっきは一人だったらできなかった〜って言ってたしな〜」

歩夢『そ、それとこれとは話が違うでしょ!』

愛「え〜?そうかなぁ」

歩夢『そうだよ!』

愛「そっかな〜」

歩夢『……もう、愛ちゃんってば』

愛「……へへ」

歩夢『……ふふ』

愛「……ね、歩夢」

歩夢『?』



愛「本当に……おめでとう」

歩夢『……うん』



歩夢『愛ちゃんも、本当にありがとう』

愛「……ん、どーいたしまして」

483 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:16:05.94 ID:9DbwwK/m.net
〜しばらくして〜



愛「……うん」

愛「じゃあ、また明日学校でね」

ツーツーツー

愛「……」

愛「……」スタスタ

ドサッ

愛「……ふぅ」

愛「……」ゴロ…

愛「……そっか」

愛「歩夢……上手くいったんだ……」

愛「よかった……」

愛(これで……ちゃんと……)

愛(歩夢の笑顔が、元に戻って……)


───────


果林「歩夢に笑顔が戻ったのは、愛のおかげなんじゃないかしら?」


───────


愛(……カリンは、ああいう風に言ってたけど)

愛(……その笑顔じゃあさ、ダメなんだよ)

愛(ゆうゆと一緒にいるときの歩夢の笑顔には……とてもじゃないけど勝てないよ)

愛(だから……)

愛(これで、よかった……って)

愛(そう、思ってる……はずなのに)

愛「……なんで」



愛「なんでこんなに、胸が痛いんだろ……」ズキズキ

484 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:16:50.22 ID:9DbwwK/m.net
愛(『歩夢の想いが叶うところを見たい』)

愛(アタシのその"想い"は、これで無事叶ったはずだ)

愛(アタシが静かに見守っていた二人の関係が……少し形は変わるけど、それでもあのときの……ゆうゆとせっつーが付き合う前の二人が戻ってくるはずだ)

愛(アタシは、それを……あの頃みたいに笑ってる歩夢を見たくて……今回力を貸したんだよね……?)

愛(だったら……こんな風にならないはずじゃん)

愛(むしろ、もっと喜びで満ち溢れたような気分でいるべきはずなのに……)

愛(……歩夢と電話で話してたときは、こんな風にならなかったのに)

愛「……なんで?」

愛(アタシ、今……)



愛(すっごく、泣きたい気分になってる……)

485 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:17:17.67 ID:9DbwwK/m.net
愛「……いやいや!」ガバッ

愛(おかしいでしょ……なんでそうなるのさ)

愛(だって、アタシは歩夢とゆうゆをくっつける為に……)

愛(歩夢に、あの頃みたいにまた笑ってほしくて……)

愛(だから、アタシは……)


───────


果林「……私もそうだけど、愛も大概カッコつけたがりだからね」

果林「たまには自分の気持ちに素直になってみるのもいいと思うわよ?」


───────


愛(自分の気持ちに、素直に……)

愛「……!」

486 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:18:12.19 ID:9DbwwK/m.net
愛(……ああ、そっか)


────ダメだ


愛(アタシ、歩夢の笑顔が見たかったんだ)


────やめろ


愛(……でも)


────これ以上、考えるな


愛(笑顔が見たいのは、今でも変わらないけど)


────ここで、止まれ


愛(……途中から、思っちゃったんだ)


────それ以上は、戻れなくなる


愛(アタシに笑いかけてくれる歩夢の笑顔が、凄く可愛かったから)


────今なら、まだ勘違いで済むから


愛(だから)


────まだ、引き返せるから


愛(歩夢の笑顔を、アタシは)


────だから……ッ!



愛(自分のモノにしたい、って)

愛(いつの間にか、そんな風に思っちゃってたんだ)

487 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:19:01.30 ID:9DbwwK/m.net
愛「……ッ!!」


バチンッッ!!


愛「……っつぅー……」ヒリヒリ

愛(まさか、自分で自分のほっぺたを引っぱたくことになるとは……)

愛(でも……)

愛「……少しだけ、冷静になれたかな」


愛「ふぅ……」

愛(……確かに、アタシは歩夢の笑顔を自分のモノにしたいと思ったときがあった)

愛(でも)

愛(それはゆうゆから歩夢を奪おうとする悪女を演じていたからとか)

愛(歩夢に『愛ちゃんが、私のことをそういう意味で好きなんて……あるわけないのにね』とか言われたから意識してしまっただけであって)

愛(決して、アタシの本心ではない)

愛(……演劇に備えて練習してるときのしずくと一緒だ)

愛(役に入り込みすぎて、その役の考え方が頭に染み付いてしまっている……ただそれだけのことだ)

愛(そうだよ……ヒールの愛さんを演じる時間はもう終わりなんだ)

愛(明日からは、またヒーローの愛さんに戻らなきゃ)

愛(だから……)

愛(だからさ……!)



愛(早く消えてくんないかな……!このもやもやとした感じ……!)

488 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:19:39.71 ID:9DbwwK/m.net
愛(こんなの抱えてたら、ヒーローとして気持ちよく振る舞えないよ)

愛(こんなの、いつもの愛さんじゃないよ)

愛(こんな、こんなの……!!)


───────


愛「自分はこういうイメージなんだからこうしなきゃ!って考えに縛られる必要はないんじゃない?」


───────


愛(……うるさいッッ!!!!)

愛(アタシは……アタシは……!!)

愛「〜ッ!!」ボスボスボスボスッ!!

愛「あーもうっ!!」ボフッ!!

愛「あ〜!!」ゴロゴロゴロ

愛「う〜!!」ゴロゴロゴロ

愛「む〜!!」ゴロッ

ドンッ!

愛「いった!」

愛「っつぅ……勢い余ってベッドから落ちちゃった」

愛「……はぁ」



愛(何してんだろ、アタシ……)

489 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:20:26.38 ID:9DbwwK/m.net
愛(……なんかすっごく余裕ないし)

愛「はぁ……」

愛(……すっごくカッコ悪いな、今のアタシ)

愛「……」

愛(……でも)

愛(あのとき、カリンと話した後の帰り道に感じた"想い"は……)

愛(まだ、ちゃんと形にしてないから)

愛(だから……今なら)

愛(今ならまだ、全部なかったことにできるはずだから)

愛(だから……)

愛(……今は全部忘れて、それよりも目の前のことに集中しなきゃ)

愛(今一番大事なのは、アタシのこのよくわかんないもやもやとした想いじゃなくて)



愛(せっつーのことを……なんとかしなきゃ……!)

490 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:22:01.83 ID:9DbwwK/m.net
一旦ここまでです!!!!!
続きはまた明日以降書ければと思います!!!!!

491 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 03:33:51.65 ID:YXwnZ5sC.net
待ってた
更新ありがとう

492 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 04:49:13.73 ID:0+HQDce8.net
歩夢ルート待ってた
どう落ち着くか楽しみだけど同時に不安だ

493 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 09:00:39.74 ID:8h9o9WCk.net
あえて幼馴染の線を超えるのは大変でもしせつ菜が幼馴染だったら
歩夢と同じようにその勇気はなかなか持てなかったと思う
逆に出会って数ヶ月だからこそできたことで

494 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 11:39:27.69 ID:fnhwcMqx.net
侑が歩夢への想いにもっと早く気付いてても言えてなかっただろうな。だからこういう話が作れるんだけど

495 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 17:27:16.72 ID:yhmvmYmh.net
ノレcイ´=ω=)「待ってるぜ」

496 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 20:23:55.99 ID:Nbw3VKe9.net
愛さんせっつーのことなんとかしなきゃって言ってるけど、が歩夢のこと手伝ったのが知られたらバッドエンド直行になるんじゃないかって怖さがある

497 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 20:50:01.03 ID:yhmvmYmh.net
⁄/*イ`◉_◉リ になってしまう

498 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 23:33:23.42 ID:WNcseNuL.net
侑と歩夢は罪悪感を感じているようですけど
恋人がいる人に告白すること、恋人がいる中で新たに好きな人ができることは、
悪いことでも非難されることでも最低なことでもないと思います。

499 :名無しで叶える物語:2021/02/23(火) 23:54:47.47 ID:Nbw3VKe9.net
>>498
恋人いる人に告白するのも、恋人がいる中新たに好きな人ができるのも、確かにそれ自体が悪いこととは言えないと思う。
ただ告白が成功すれば奪うことに、新たにできた好きな人を選ぶなら捨てることになる訳だから、そうなったら非難されるでしょ。

500 :名無しで叶える物語:2021/02/24(水) 00:51:31.15 ID:XLEZaz83.net
中断してる1ルートみたいに、せつ菜の方から歩夢に告白させるような展開でもない限り罪悪感を覚えるのが普通じゃないか
そんなんするくらいなら初めから二人で一緒に告白しろよってなるけど

501 :名無しで叶える物語:2021/02/24(水) 01:06:48.30 ID:s/ksBYxE.net
二股ならともかく別に好きな人が出来て別れるのは自然な事だよね
当人たちに罪悪感が芽生えるのは自由だけれど外野から非難される言われはないね
同好会の活動に支障が出そうって意味では何らかの落としどころは必要になるけれど

502 :名無しで叶える物語:2021/02/24(水) 01:20:35.29 ID:XLEZaz83.net
外野がとやかくいうことじゃないというのはその通りだろうね。どちらが悪いという話でもないから

503 :名無しで叶える物語:2021/02/24(水) 03:47:33.42 ID:PP3Q3fbS.net
しょっぱなにグロぽむが出てたのもう誰も信じないだろ

504 :名無しで叶える物語:2021/02/24(水) 04:16:47.26 ID:QEE5mYbP.net
結婚みたいに永遠の愛を誓ってるわけではないからな
同時に複数と付き合うとかしない限り、乗り換えるのはなにも悪いことではない

505 :名無しで叶える物語:2021/02/24(水) 05:23:52.96 ID:iy8kihzn.net
>>500
これ見て思い出したけどルート1やっぱり鬼畜すぎるわ
書き直すんかな?

506 :名無しで叶える物語:2021/02/24(水) 13:06:24.08 ID:EFQUnRS7.net
応援してる

507 :名無しで叶える物語:2021/02/24(水) 13:27:57.51 ID:kvomZv8B.net
鬼畜でも何でも作者の好きに書くのが一番いいよ

508 :名無しで叶える物語:2021/02/24(水) 22:27:56.91 ID:iSsCmSeh.net
保守

509 :名無しで叶える物語:2021/02/25(木) 11:46:21.57 ID:Ued80FLv.net
保守

510 :名無しで叶える物語:2021/02/25(木) 22:16:05.51 ID:gj98sUlh.net
待ってるべ

511 :名無しで叶える物語:2021/02/26(金) 11:28:07.29 ID:nUMn8t5R.net
保守

512 :名無しで叶える物語:2021/02/26(金) 23:24:13.83 ID:bdXs54xv.net
保守

513 :名無しで叶える物語:2021/02/27(土) 19:21:04.22 ID:PhbRkSJk.net
保守

514 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 01:44:08.71 ID:MJjcP78A.net
まだかな

515 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 14:15:49.55 ID:7mWO14JI.net
〜翌日、練習後、部室〜



侑「それじゃ先に上がるねー」

せつ菜「お疲れ様でした!」

侑「……」チラ

歩夢「……!」

侑「……じゃ、行こっかせつ菜ちゃん」

せつ菜「はい!」

バタンッ


歩夢「……」


───────


侑「せつ菜ちゃんと……ちゃんとお別れする……」


───────


歩夢(……きっと、この後せつ菜ちゃんと……お別れ、するんだよね)

歩夢「……」ギュッ


愛「……」チラ

愛「……あっ、そーだ!愛さんも今日は早く帰らなきゃいけないんだった!」

愛「ってことで皆お疲れ様ー!また明日ね〜」

歩夢「あっ、お疲れさ」

バタンッ

歩夢「ま……」


歩夢「……」ポツン


歩夢(……そういえば、愛ちゃんにまだ直接お礼言えてないな)

歩夢(今日は何かとタイミングが合わなかったし……また明日話せたらいいなぁ)



璃奈「……」

516 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 14:19:15.55 ID:7mWO14JI.net
〜しばらくして、裏庭〜



侑「……いや〜ごめんね、練習後なのにわざわざ残ってもらって」

せつ菜「大丈夫ですよ!」

せつ菜「むしろ、こうして侑さんと二人で人の少なくなった学校にいるのも……なんだか、特別な気分になれるので……その……」

せつ菜「……好き、ですしね」カァァァ

侑「っ!」ズキッ

せつ菜「あっ……す、すみません!」

せつ菜「漫画とかでよく見るシチュエーションでしたので……少し浮かれてしまいました」

侑「そっ、そっか……!」

せつ菜「……それで」



せつ菜「大事なお話、というのは……なんでしょうか?」

517 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 14:26:09.49 ID:7mWO14JI.net
────せつ菜ちゃんの瞳が、真っ直ぐに私を捉えたと同時に


侑「……!」


────私の心臓が、一際高く跳ねて


侑(……言わなきゃ)


────まるで耳元で鳴っているかのような錯覚を抱くほどに、その鼓動はうるさくなっていって


侑(ちゃんと……言わなきゃ……)


────つられるようにして、呼吸は乱れ始め


侑(逃げたりなんてしたら……ダメだ)


────緊張のせいか、急速に口の中が渇いていくのを感じるけれど


侑(今ここで、ちゃんと言うんだ……!)


────それら全部を、かき消すくらいのつもりで私は


侑(せつ菜ちゃんに)


────強く強く、両の拳を握り締めて


侑("今"の、私のこの想いを……!)


────真っ直ぐに、せつ菜ちゃんの瞳を見つめ返した

518 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 14:27:22.65 ID:7mWO14JI.net
侑「……せつ菜ちゃん」

せつ菜「?」

侑「これまで、色んな相談に乗ってくれて本当にありがとう」

せつ菜「!」

侑「それとね……」


侑「昨日、私と歩夢が一緒に出かけるのを許可してくれて……ありがとう」

せつ菜「……っ!」

侑「そのおかげで私は……このもやもやした気持ちがなんなのか、ようやく答えを決められたんだ」

せつ菜「侑、さん……?」

侑「せつ菜ちゃん、私ね」

せつ菜「!ま、待ってくださ」



侑「歩夢のことが好きだって、気づいたの」

せつ菜「……!!!!」

519 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 14:32:50.13 ID:7mWO14JI.net
せつ菜「そん、な……」

侑「ごめんね……私は、今はせつ菜ちゃんと付き合ってるのに」

せつ菜「……っ、そう、ですよ」

せつ菜「侑さんは、今は……私の、恋人で……」

侑「……ごめん」

侑「でも、突然昨日好きになったわけじゃなくて……」

侑「自覚してなかっただけで、私は歩夢のことを……」

せつ菜「……」



せつ菜「……何か、されたんですか?」

侑「え……?」

520 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 14:36:57.41 ID:7mWO14JI.net
せつ菜「昨日、何かされたんですか?……歩夢さんに」

侑「!」

せつ菜「答えてください……」

侑「……うん」

侑「昨日、歩夢とお出かけして……その、最後に……」

侑「告白、されたんだ」

せつ菜「……!!」

侑「……でもね」

侑「歩夢からの告白は、あくまで気づく為のきっかけでしかなくて」

侑「この想いは……歩夢を好きな気持ちは、きっとずっと前から私の中にあったんだと思う」

せつ菜「……」

侑「だから、歩夢から告白されなかったとしても……」



侑「それでも私のこの想いには、いつか気づくことになってたと思うんだ」

せつ菜「……っ」

521 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 14:38:01.31 ID:7mWO14JI.net
せつ菜(そん、な)

侑「……ごめんなさい、せつ菜ちゃん」

せつ菜(……ダメ)

侑「本当に、ごめんなさい」

せつ菜(やめて……)

侑「でも……この気持ちを持ったまま今の関係を続けるのは、せつ菜ちゃんに失礼だと思うから」

せつ菜(待って)

侑「だから」

せつ菜(お願いだから)

侑「私と」

せつ菜(言わないで……ッ!!)



侑「別れてください……!」

522 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 14:43:08.40 ID:7mWO14JI.net
────目の前には、深々と頭を下げる侑さんの姿


侑「……」


────強く握り締めた両拳は、ぶるぶると震えていて


侑「……っ」


────これを告げることが、侑さんにとってもどれだけ苦しいことなのかが伝わってきて


せつ菜「……」


────そんな侑さんから視線を外して、ふと天井を見上げて


せつ菜(……そっか)


────ここに来るまで胸に抱いていた高揚感が、欠片もない程に消え去っていることに気づいて


せつ菜(結局、私は……)


────温かくなっていたはずの私の心は、完全に冷え切った状態に変わってしまっていて


せつ菜(私なんかじゃ、歩夢さんには……)


────ここで駄々を捏ねても、きっともう侑さんの心は変わらないだろうから


せつ菜「……わかり、ました」


────だから、私は


せつ菜「私、達……」


────せめて侑さんの思い出の中に、ほんの少しでも私の姿を残してほしくて


せつ菜「……別れましょう、か」


────精一杯の笑みを顔に貼り付けて、はっきりとそう告げました

523 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 14:45:17.37 ID:7mWO14JI.net
せつ菜「そもそも……私から告白して、その勢いのままに付き合っていただいたようなものでしたし……」

侑「!そんなこと……!」

せつ菜「……私と付き合ってからも、侑さんが歩夢さんの方を見ているのには……気づいていましたし」

侑「えっ……!」

せつ菜「だから……いつかはこうなるんじゃないかって考えが、ずっと頭の片隅にあって……」

せつ菜「だから……だから……」ブルブル

侑「せつ菜、ちゃん……」

せつ菜「……っ」



せつ菜「……先に、帰っていただけませんか?」

侑「え……?」

524 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 14:49:06.81 ID:7mWO14JI.net
せつ菜「侑さんの話は……これで終わりですよね?」

侑「そう、だけど……」

せつ菜「……なら、私にもう用はないんですよね」

侑「!そ、そんな言い方しなくても」

せつ菜「……いいんです」

せつ菜「これで私と侑さんの関係は……恋人じゃなくなるんですから」

せつ菜「ただ学年が同じで、同好会も一緒っていうだけの……元の関係に戻るんですから……」

侑「それは……それは違うよ!せつ菜ちゃんは私の友達で」

せつ菜「侑さん!!!!!」

侑「っ!」ビクッ

せつ菜「……ダメ、ですよ」



せつ菜「フった相手にそんなこと言ったら、ダメですよ……!」グスッ

侑「!」

525 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 14:50:28.43 ID:7mWO14JI.net
せつ菜「恋人でいるのをやめて、別れた後は友人関係に戻る……それはそれで、よくある話なのかもしれません……」

せつ菜「私自身も……いつかはそうなるのかな、って……ずっと考えてましたから……」

せつ菜「でも……」


せつ菜「大好きな人にフラれてしまうことが、こんなに辛いなんて……私知りませんでした……っ」

侑「……っ」ズキッ

せつ菜「私以外の方のところに行ってしまうことが、こんなに辛いなんて……知りません、でした……」

侑「ぅ……」ズキズキッ

せつ菜「だから、もう……」グスッ

侑「……せ、せつ菜ちゃ」スッ

せつ菜「ダメです!!」

侑「っ」ビクッ

せつ菜「……今、優しくされたら」

せつ菜「そんなことされたら、私は」



せつ菜「侑さんのこと、離したくなくなっちゃいますから……っ」

侑「……!」

せつ菜「だから……その手は……」

せつ菜「私じゃなくて……」



せつ菜「歩夢さんに、差し伸べてあげてください……」ニコ…

526 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 14:54:40.19 ID:7mWO14JI.net
────そう言って、涙を浮かべながら寂しげに微笑むせつ菜ちゃんを見た瞬間


侑「……ッ!!」


────私の胸に、張り裂けそうなほど強い痛みが走るのを感じて


侑(そっ、か)


────差し伸べかけた手を、ゆっくりと戻しながら


侑(これ、が)


────目の前で傷ついて泣いている女の子に、何もできない事実が


侑(この、痛みが)


────傷つけた張本人が、自分である事実が


侑(一人だけを選んで……他の人を選ばないってことで)


────私の、心に


侑(私はもう、せつ菜ちゃんには……)



侑(手を差し伸べることは、できないんだ……ッ!!)


────残酷な現実となって、深く鋭く突き刺さっていた

527 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 14:55:31.55 ID:7mWO14JI.net
侑(だから、今私にできることは)

侑「……うん」

侑(これ以上、せつ菜ちゃんを傷つけないでいる為には)

侑「……わかった」

侑(私はもう、何もせずに)

侑「それじゃあ……」

侑(何も言わずに、黙ってこの場を)

侑「……っ」タッ



侑(立ち去ること……だけなんだ……!)

528 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 14:59:02.12 ID:7mWO14JI.net
────せつ菜ちゃんに背を向けて駆け出した直後、目頭が熱くなり出して


侑(ダメ……)


────視界が、じんわりとぼやけるのを感じたけれど


侑(私は、フった側なんだから……)


────そんなことは許されないことだと、自分に言い聞かせて


侑(そうしたいのは、せつ菜ちゃんの方なんだから……)


────溢れ出しそうになる感情を、走るスピードを上げる力に置き換えるようにして


侑(私に……)



侑(私に泣く資格なんて、ないんだよ……!)


────そのまま全力で私は、裏庭から走り去ることにした

529 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 15:00:59.34 ID:7mWO14JI.net
侑「────」タッタッタッ



せつ菜(……行って、しまいましたね)

せつ菜「……」ヘタッ

せつ菜(なんだか……どっと疲れが出てきました……)

せつ菜「……」

せつ菜(もう、立ち上がる力もありません……)

せつ菜「……」ジワ

せつ菜(このまま顔がぐしゃぐしゃになったとしても、どうでもいいです……)

せつ菜「……っ」グスッ

せつ菜(今はもう、何も考えたくありません……)

せつ菜「うっ……」ヒック

せつ菜(もう、何も……)



せつ菜「うわぁぁぁ……っ」ポロポロ

530 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 15:04:24.80 ID:7mWO14JI.net
────先ほど、侑さんから差し伸べられた手に……どれほどすがってしまいたかったことか


せつ菜「うぅ……」ポロポロ


────その手を握り締めて、私の涙を受け止めてほしかったことか


せつ菜「うっ……うっ……」ポロポロ


────その胸に飛び込んで、優しく抱き締めてほしかったことか


せつ菜「ぅ……ぐっ……」ポロポロ


────優しく頭を撫でて、安心させてほしかったことか


せつ菜「ぅぅ……っ」ポロポロ


────今の出来事は、ただの悪い夢だったと言ってほしかったことか


せつ菜「……」ポロポロ


────でも


せつ菜(今の話は、まぎれもなく現実の出来事で)

せつ菜(侑さんは、歩夢さんのことが好きで)

せつ菜(私の"大好き"は侑さんに向けていたけれど)

せつ菜(侑さんの"大好き"が私に向けられることは、最後までなくて)

せつ菜(結局、本当の意味で私は……侑さんを振り向かせることはできていなくて)

せつ菜(きっと、最初からずっと……侑さんの心は歩夢さんの方を向いていて)

せつ菜(ただそれに気がついていなかっただけで……私じゃ……私なんかじゃ)



────歩夢さんのような存在には……なれなかったんだ……!

531 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 15:07:58.35 ID:7mWO14JI.net
せつ菜「……っ」


───────


侑「せつ菜ちゃんはホントに可愛いなぁ!」ギュッ

侑「……手、繋いで帰ろっか?」スッ

侑「私達、恋人だもんね?」

侑「今の嬉しがってたせつ菜ちゃん、すっごく可愛かったから……!」


───────


せつ菜(私の頭の中に、今まで侑さんがくださった言葉の数々が浮かんできて)

せつ菜(……だけど)


───────


侑「そして、それはきっと"今"だけじゃなくて……"これから"もそうなっていくんじゃないかなって……そう思うんだ」

侑「だから」



侑「さっきまでと今が違うように」

侑「明日の私はきっと、今よりもっとせつ菜ちゃんのことを好きになってるって」

侑「そう思うよ……!」


───────


せつ菜(結局は……)

せつ菜「……侑さん」



せつ菜「"これから"なんて……そんなもの、ありませんでしたね……」ポロポロ

532 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 15:11:10.90 ID:7mWO14JI.net
せつ菜(最後に……侑さんと抱き締め合ったとき)


───────


侑「こういうときに言うのもなんだけどさ」

侑「せつ菜ちゃんってホントに素敵な子だよね」

侑「だって、普通はこんなこと恋人に頼まれても受け入れない人がほとんどなんじゃないかなって思うし」

侑「せつ菜ちゃんの器が大きすぎて凄いっていうか……」

侑「……ホントに、私にはもったいないくらい素敵な恋人だと思う」


───────


せつ菜(……そう言って、あなたは私のことを褒めてくれましたけど)

せつ菜(でも……そう思うんだったら……)



せつ菜「どうして……どうして他の人のところに行っちゃったんですか……!」

533 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 15:14:09.60 ID:7mWO14JI.net
せつ菜「約束、したのに……」

せつ菜(……ダメです)

せつ菜「これからはもっと色々気を使ってくださいね……って」

せつ菜(何も考えたくないと、そう思っているはずなのに)

せつ菜「約束、したのに……っ」グスッ

せつ菜(それなのに、私の頭には侑さんのことばかり浮かんできて)

せつ菜「侑さんの……嘘つき……」ヒック

せつ菜(今はもういない恋人に)

せつ菜「嘘、つき……っ」ポロポロ

せつ菜(伝えたいことばかり浮かんできて)

せつ菜「うっ……」ポロポロ

せつ菜(だけどもう、それが届くことはなくて)

せつ菜「うぅ……」ポロポロ

せつ菜(私の"大好き"は、もう二度と────)



スッ



せつ菜「……?」

せつ菜(ハン、カチ……?)

534 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 15:17:17.17 ID:7mWO14JI.net
せつ菜(一体、誰の……)

「……やっほ」

せつ菜「……ぇ」

「わっ……もう、すっごいぐしゃぐしゃじゃん……!」

せつ菜「なん、で……」

「ちょーっと動かないでね〜、そーっと拭いちゃうからさ」

せつ菜「ぅ……」


「……よし、これでひとまずよしっと!」

せつ菜「……ありがとう、ございます」

「どーいたしましてっ」

せつ菜「……あの」

「ん?」

せつ菜「どうして……」



せつ菜「どうして、あなたがここに……?」

「……そんなの、決まってるじゃん」

せつ菜「え?」

「こんなに泣いてる女の子がいるんだもん、そこに駆けつけなきゃあ────」



愛「────ヒーローの名が廃るってもんでしょ」ニカッ

535 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 15:20:28.61 ID:7mWO14JI.net
せつ菜「……」

せつ菜「……愛さん」

愛「ん?」

せつ菜「さすがに……カッコつけすぎです」

愛「えっ」

せつ菜「ハンカチで拭いてくれたところまではよかったのですが……」

愛「そ、そんな……!せっつーだったらこういうの好きかなって思ったのに……愛さんショックだよ……!!」

せつ菜「物語の中でそういうやりとりがあるのは嫌いではないですが……こう、実際にやられるとなんとも……」

愛「そんな〜!」

せつ菜「……ふふっ」

愛「……お?」

せつ菜「今の……私を笑わせようと思ってやってくれたんですよね……?」

愛「……さて、どうかなぁ」

せつ菜「いいですよ、隠さなくても」クスッ

せつ菜「……ありがとうございます、愛さん」

愛「ん……」

せつ菜「……それで」



せつ菜「実際は、どうしてここに……?」

536 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 15:25:23.95 ID:7mWO14JI.net
愛「んー……そうだなぁ」

愛「……ここは一つ!女のカンってことで」

せつ菜「……」ジト

愛「……うん、正直に言うね」


愛「……さっき、凄い勢いで走ってるゆうゆを見かけてね」

せつ菜「!」

愛「でも、ゆうゆはせっつーと一緒に帰ったはずじゃなかったっけ?って思って」

愛「……ひょっとして、何かあったのかなぁって考えてさ」

せつ菜「っ」

愛「それで、つい気になって……走ってきた方向から逆算して辿っていったら」

愛「……しゃがみこんで、泣いてるせっつーを見つけたって感じかな」

せつ菜「……そう、だったんですね」

愛「うん」

せつ菜「……」

愛「……」

せつ菜「……聞かないんですか」

愛「……何を?」

せつ菜「……ここで、何があったか」

愛「んー……そうだなぁ」



愛「……せっつーは、聞いてほしいの?」

せつ菜「……え?」

537 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 15:30:30.75 ID:7mWO14JI.net
愛「確かに……せっつーがどうして泣いてるのかとか、ゆうゆはせっつー放置して何してるのかとか……色々気になることはあるよ」

せつ菜「……それなら」

愛「でも」


愛「せっつーが話したくないことなら、無理に聞き出そうとは思わないよ」

せつ菜「!」

愛「話したくないことを無理に聞き出そうとされるなんて……少なくともアタシだったら嫌だな〜って思うし」

愛「……だから、こっちから無理に聞き出すことなんてしないよ」

せつ菜「……」

せつ菜「なら……」



せつ菜「どうして……私に話しかけたんですか……?」

せつ菜「話を聞くつもりがないなら、話しかける必要も……」

愛「なーに言ってんの」

せつ菜「……?」

愛「アタシが話しかけたのはさ」



愛「せっつーを……一人にさせたくなかったからだよ」

538 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 15:34:17.55 ID:7mWO14JI.net
せつ菜「……え」

愛「今はもう、練習も終わってからしばらく経つから……たぶん、同好会の皆ももう帰っちゃっただろうし」

愛「それに、学校自体にももうあんまり人残ってなさそうだし……いるとしたら他の部活の子とかセンセーが何人か残ってるくらいじゃない?」

愛「だから、今から愛さん以外の誰かがここに来るとしたら……たぶん警備の人ぐらいなんじゃないかな?」

愛「そしたらきっと……早く帰れー!って注意されて、そのまま学校追い出されちゃうだろうし」

せつ菜「それは……そうかもしれないですけど……」

愛「それに、さ」スッ

せつ菜「!」



愛「話を聞かなくてもさ、同じ目線で向かい合ってテキトーな話をしてるだけでも……何かいいと思わない?」

せつ菜「……何か、ってなんですか」

愛「んー……なんか通じ合える的な何か?」

せつ菜「なんですかそれ……」

愛「ははっ、なんだろーね?」

せつ菜「……愛さんもわかってないんじゃないですか」クスッ

愛「まーね」ニッ

せつ菜「ふふ、なんで自慢気なんですか?」

愛「……だってほら」



愛「今ので、せっつー笑ってくれたからね!」

せつ菜「……あっ」

539 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 15:37:52.52 ID:7mWO14JI.net
愛「へへっ」

せつ菜「愛、さん……」

愛「……これはさ、愛さん自身の考えだけど」

愛「楽しいときは誰か一人でもそばにいてくれたら、その人数分だけ楽しさも倍に増えていくけど」

愛「悲しいときは……人数分だけ、悲しさを半分こして小さくできるんじゃないかなーって」

愛「だから……」



愛「愛さんがそばにいたらさ、せっつーが今持ってる……泣いちゃいたいくらい悲しい気持ちを、半分こにできないかな?」

せつ菜「……!」

愛「どうかな?」

せつ菜「それ、は……」

せつ菜「……」

せつ菜「……わかりません」

愛「……そっか」

せつ菜「……でも」

愛「?」

せつ菜「少なくとも……愛さんがこうしてそばに来てくれたことで、私は……」



せつ菜「少しだけ、笑顔になることができました……」ニコッ…

540 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 15:41:10.49 ID:7mWO14JI.net
愛「……そっか、それならよかった!」

せつ菜「……」

せつ菜「……あの、愛さん」

愛「ん?」

せつ菜「少しだけ……少しだけでいいので」



せつ菜「あそこのベンチで……話を聞いていただけませんか……?」

愛「……もちろん!」

愛「少しと言わず、いくらでもOKだよ!」

せつ菜「……ありがとうございます」ニコ

愛「よし、っと」スクッ

愛「……立てる?」スッ

せつ菜「……はいっ」ギュッ



璃奈「……」ジッ

541 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 15:44:35.11 ID:7mWO14JI.net
〜夜、上原家、歩夢の部屋〜



歩夢(あの後、私は一人で帰ることにしたんだけど……)

歩夢(それから、侑ちゃんから連絡が来るようなことは特になくて)

歩夢(侑ちゃんがせつ菜ちゃんと話した結果どうなったのか……未だにわからないままでいる)

歩夢(……お別れの話、上手くいかなかったのかな)

歩夢「……」

歩夢(仮に私が侑ちゃんと既に付き合っていたとして、もし急に別れたいなんて言われたら……)

歩夢「うっ……」

歩夢(想像するだけで、胸が苦しくなっちゃうよ……)

歩夢「せつ菜ちゃん……」

歩夢(侑ちゃんと、別れたくないに決まってるよね……)

歩夢(……私だったら、別れたくない!って……必死に侑ちゃんにすがりついちゃうかも)

歩夢(せつ菜ちゃんは……どうしたんだろう)

歩夢「侑ちゃん……」

歩夢(……どうなったのか、聞いてみようかな)


ピコン


歩夢「!」

歩夢(メッセージ……?誰からだろう)

歩夢「……」スッスッ


侑『今大丈夫?』


歩夢(……侑ちゃん!)

ピコン

侑『少し、話せないかな』

ピコン

侑『できれば……ベランダで直接話したいの』

歩夢「……!」

542 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 15:47:47.42 ID:7mWO14JI.net
〜上原家、ベランダ〜



歩夢「侑ちゃん……!」

侑「……歩夢」

歩夢「!」

歩夢(侑ちゃんの目元、赤く腫れてる……)


侑「ありがとね、来てくれて」

歩夢「ううん……ちょうど、私も侑ちゃんと話したいなって思ってたから」

侑「そっか……それならよかった」

歩夢「……侑ちゃん」

侑「ん……?」

歩夢「その……」

歩夢「……」

歩夢「……手」スッ

侑「……え?」



歩夢「手、出してくれる?」

543 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 15:58:59.48 ID:7mWO14JI.net
侑「手……?」

歩夢「うん」

侑「……はい」スッ

歩夢「……えいっ」ギュッ

侑「!」

歩夢「えっと……脈拍は異常なし、かな?」

侑「歩夢……?手の平じゃ脈は測れないよ……?」

歩夢「わ、わかってるよ!大事なのはそういうことじゃなくて……!」

歩夢「……侑ちゃんが、前に言ってくれたんだよ?」

侑「え……?」

歩夢「こうやって手を繋いだらさ……」



歩夢「……安心、してくれるんじゃないかなって」ニコッ

侑「……!」

544 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 16:02:58.78 ID:7mWO14JI.net
歩夢「侑ちゃん、なんだか凄く暗い顔してたから……もしも、何か不安なことがあるなら」

歩夢「……こうやって手を繋いだら、少しでもマシになるんじゃないかなって思って」ギュッ

侑「歩夢……」

歩夢「……どう、かな?」

侑「……うん」



侑「少しだけ、マシになったかも」

歩夢「そっか……それならよかった」

侑「……ね、歩夢」

歩夢「ん?」

侑「話したいことがあるんだけど……聞いてくれる?」

歩夢「……うん、いいよ」ニコ

侑「……ありがと」

545 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 16:06:11.81 ID:7mWO14JI.net
侑「今日の練習後にね、せつ菜ちゃんに話したの」

侑「私が、歩夢のことを……」

侑「……好きなんだって、気がついたことを……」

歩夢「……うん」

侑「それでね……この気持ちを抱えたまま、せつ菜ちゃんと付き合い続けるのは失礼だから」

侑「だから……」

侑「……私と、別れてくださいって」

侑「そう、言ったんだ……」

歩夢「……」

侑「そしたら、せつ菜ちゃんは……わかりました、って」

侑「別れましょうか、って……そう言ってくれたの」

歩夢「……!」

侑「でも……」

歩夢「……でも?」

侑「せつ菜ちゃん……」



侑「……凄く辛そうな表情で、泣いてたんだ」

546 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 16:09:40.80 ID:7mWO14JI.net
歩夢「それは……」

侑「……そりゃ、そうだよね」

侑「いきなり恋人にこんなこと言われたら、泣きたくもなるよね……」

歩夢「……」

侑「それにね……せつ菜ちゃん、こうも言ってたんだ」

侑「せつ菜ちゃんと付き合ってからも……私が歩夢の方を見てた、って」

歩夢「……えっ」

侑「私は自覚してなかったけど……でも、そばにいたせつ菜ちゃんが言うんだから……きっとそうなんだと思う」

侑「特にここ最近は……歩夢が愛ちゃんと仲良くし始めてからは……そうだったかなって、私も思うし」

歩夢「……!」

侑「……思い返してみても、私のいるところで歩夢と愛ちゃんが話してるときは……意識がそっちに向いちゃってたなぁって」

侑「だから……いつかこうなるんじゃないかって……ずっと考えてたみたい」

歩夢「……そう、なんだ」

侑「……私」

侑「せつ菜ちゃんを……傷つけちゃった」

侑「凄く凄く、傷つけちゃった……」

侑「……でも」



侑「私……せつ菜ちゃんに何もしてあげられなかった……ッ!」

547 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 16:13:08.66 ID:7mWO14JI.net
侑「目の前で泣いてるのに……凄く傷ついてるのに……」

侑「だけど……その傷をつけたのが私だから……」

侑「それを解決するには……せつ菜ちゃんを……」

侑「……でも、今の私は……」

侑「歩夢が……歩夢が一番好きだから……!」

侑「だから……私にできることは、もう何もなくて……!」

侑「泣いてるせつ菜ちゃんを置いて、その場から立ち去ることしかできなくて……!」

侑「でも……私は……!」

侑「せつ菜ちゃんに、泣いてほしかったわけじゃ……!」グスッ

歩夢「侑ちゃん……」

侑「うぅ……ダメなのに……」ヒック

侑「私には……泣く資格なんてないのに……!」グスッ

歩夢「……」

侑「うっ……ぅ……っ」

歩夢「……侑ちゃん」



歩夢「ちょっとだけ、待っててもらえる?」

548 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 16:17:19.55 ID:7mWO14JI.net
侑「……ぇ?」

歩夢「……」パッ

歩夢「……」スタスタ

侑「ぁ、歩夢……?へ、部屋に戻っちゃうの……?」

歩夢「ううん、違うよ」

歩夢「……今からそっちに行こうと思って」

侑「……!」

歩夢「……ここじゃ、手を握ってあげることくらいしかできないんだもん」

歩夢「それだけじゃ、今の侑ちゃんの気持ちを受け止めるには……足りないと思うから」

歩夢「だから、こんな時間に迷惑だと思うけど……それでも、侑ちゃんのそばに行きたいの」

侑「歩夢……」

歩夢「……ダメ、かな」

侑「……ううん」

侑「ダメじゃ、ないよ……」

歩夢「……そっか」

侑「……歩夢」



侑「ありがとう……ね」

歩夢「……うん」ニコッ

549 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 16:20:38.28 ID:7mWO14JI.net
〜一方、宮下家、愛の部屋〜



愛「ふぅ〜疲れた〜」ドサッ

愛「……」


愛(あの後、アタシはせっつーから一連の流れについて教えてもらった)

愛(せっつーが……ゆうゆにフラれてしまったこと)

愛(ここ最近、ゆうゆから歩夢に関して相談を受けていたこと)

愛(そもそも……付き合い出してからもゆうゆから本当に好かれていたのか……ずっと自信を持てていなかったこと)

愛(せっつーは……包み隠さずに、正直に自分の気持ちをアタシに話してくれた)

愛「……」ゴロ…


愛(せっつー……すっごく泣いてた)

愛(あんなに弱々しく涙を流してるせっつー……初めて見たな……)

愛(きっとそれだけ……ゆうゆのことを本気で好きだったってこと……だよね)

愛(せっつー……)

愛「……っ」ズキッ

愛(せっつーがああなった直接の原因は、ゆうゆにフラれたことだけど……)

愛(……でも)



愛(本当の原因は……アタシのせい、だと思う)

550 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 16:24:05.01 ID:7mWO14JI.net
愛(……歩夢が言ってた)

愛(アタシが……愛さんがいなかったら、きっとこんな風にゆうゆに想いを伝えられなかった……って)

愛(だから……もしアタシが歩夢の相談に乗ってなかったら)

愛(歩夢がゆうゆに告白することはなくて……きっと、今もせっつーとゆうゆは……)

愛(……だから、せっつーが泣くことになったのは)

愛(アタシのせい……なんだ)

愛(……だから)



愛(今度は、せっつーがまた笑顔になれるように)

愛(アタシが……せっつーを……)

愛「……」

愛(……ひとまず、明日から同好会ではせっつーのそばにいるようにしよう)

愛(せっつーとゆうゆの今の状況を知ってるのはアタシと……)

愛(……もしかしたら、歩夢が知ってるかもしれないくらいで)

愛(せっつーとゆうゆが、いつ別れたことを皆に言うかはわからないし)

愛(ゆうゆが……いつ歩夢と付き合い出すのかも、まだわからないから)

愛(少なくとも、それまではアタシが上手く立ち回って)



愛(せっつーが、同好会に居づらくならないようにしなきゃ……!)

551 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 16:28:44.24 ID:7mWO14JI.net
愛(まずは……何も言わなくても今の状況を察してくれそうな子とか、会話の中でうっかり地雷を踏みそうな子とか……その辺りを考えておいて)

愛(今のせっつーが、安心して同好会に参加できるようにして……)

愛(それで、ゆうゆと歩夢とは……)

愛「……」

愛(……しばらく、距離を置いてもらうしかないよね)

愛(たぶんそうした方が……あの三人にとっていいはずだろうし)

愛(それに、アタシ自身も……)

愛「……っ」ズキッ


愛(……大丈夫)

愛(今のアタシは、もうヒールを演じてたときのアタシじゃない)

愛(今のアタシは、ヒーローの愛さんなんだから)

愛(だから……)

愛(今のアタシは、もう歩夢のことなんてなんとも……!)


───────


歩夢「愛ちゃんが、私のことをそういう意味で好きなんて……あるわけないのにね」ニコ


───────


愛「……ッ!」ズキズキッ

552 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 16:33:15.61 ID:7mWO14JI.net
愛「……もう!」ボフッ!!

愛(アタシは……)

愛(アタシは、歩夢のことなんて……)

愛「……っ」ギュッ


愛(……ダメだよ)

愛(せっつーを泣かせておいて……自分だけそんなこと考えるなんて、都合が良すぎる)

愛(それに歩夢は……やっとゆうゆと好き合ってるってことがわかって……幸せになれそうなところなんだから)

愛(だから、アタシにそんな資格なんて)



愛(歩夢を好きになっていい資格なんて、ないんだよ……ッ!!)

553 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 16:38:48.12 ID:7mWO14JI.net
一旦ここまでです!!!!!


それと、普段使ってるブラウザが「余所でやってください」の規制を食らって一切書き込むことができなくなりました
今は別のブラウザから書き込むことで事なきを得ていますが、最悪の場合ラ板では続きを書けなくなるかもしれません……

一応ここで書けなくなった場合はしたらば辺りで再開しようかなと考えていますので、もしそうなったらあちらで続きを読んでいただければと思います……!

554 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 16:57:05.36 ID:+TgovDka.net
切ないけど好きなルートだ…せつ菜だけに
規制はどうしようもないけど続けてくれるならありがたいわ乙

555 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 20:33:33.60 ID:+FfbI3mm.net
>>515-553
妄想馬鹿オタク

556 :名無しで叶える物語:2021/02/28(日) 21:58:53.24 ID:xaekYk7L.net
せつ菜ちゃんの切ない顔を見たくないよぉぉぉぉぉ.......

557 :名無しで叶える物語:2021/03/01(月) 00:35:33.99 ID:NIePEgcT.net
だいぶ規制ひどいみたいね

558 :名無しで叶える物語:2021/03/01(月) 20:52:49.95 ID:EXJ5ORfH.net
保守

559 :名無しで叶える物語:2021/03/02(火) 03:53:41.80 ID:vTpenZyS.net
>>553
ブラウザってことはUA依存だろうからUA変更なり偽装なりすればなんとかなると思う
そちらの環境はわからないけど「<専ブラ名> UA 偽装」とかで検索すれば何かしら出てくるかも

560 :名無しで叶える物語:2021/03/02(火) 19:12:25.68 ID:Iprx/ut/.net
保守

561 :名無しで叶える物語:2021/03/03(水) 02:16:08.39 ID:pCFheGeZ.net
捕手

562 :名無しで叶える物語:2021/03/03(水) 21:54:42.01 ID:IjqFozDE.net
@cメ*˶˘ ᴗ ˘˵リ

563 :名無しで叶える物語:2021/03/04(木) 15:50:18.14 ID:LhuDab/h.net
保守

564 :名無しで叶える物語:2021/03/04(木) 15:58:34.28 ID:wMEFHnMy.net
ぽむご満悦の様子

565 :名無しで叶える物語:2021/03/04(木) 20:58:44.00 ID:8gxHk9/l.net
あかん
こころのせつ菜の脳が破壊される

566 :名無しで叶える物語:2021/03/05(金) 14:31:43.71 ID:/4Y9Xskz.net
保守

567 :名無しで叶える物語:2021/03/05(金) 23:29:23.40 ID:ZBuPZG6E.net


568 :名無しで叶える物語:2021/03/06(土) 13:56:24.25 ID:exxhzAm9.net
これまた長いスレだな、保守

569 :名無しで叶える物語:2021/03/06(土) 19:37:46.13 ID:0IA2XChM.net
規制なんとかなんねえかなあ

570 :名無しで叶える物語:2021/03/07(日) 06:14:27.37 ID:yATK7BEG.net
@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ

571 :名無しで叶える物語:2021/03/07(日) 18:09:45.04 ID:hZq+bncJ.net


572 :名無しで叶える物語:2021/03/08(月) 00:55:43.92 ID:7yQDS334.net
570は、なぜぽむのAAを入力できるのだ?

573 :名無しで叶える物語:2021/03/08(月) 01:11:22.44 ID:ze+S5k0w.net
@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ iPhoneで書き込むか*を文字コードで打つといけるよ

&#42; を半角にすると*になるよ

574 :名無しで叶える物語:2021/03/08(月) 01:44:10.48 ID:/74kDyFj.net
よそにたってたりする?

575 :名無しで叶える物語:2021/03/08(月) 09:15:21.05 ID:yugTa//h.net
規制でなければ>>460みたいなこと言ってたしこのルート書くのが辛くなったのかもしれないし、
ゆうせつルート書き上げて満足してるのかもしれないし、単に忙しいのかもしれない
他所に立てるにしろもしエタるにしてもこの作者さんなら一言あるんじゃない

576 :名無しで叶える物語:2021/03/08(月) 09:49:39.13 ID:QcNkBjKR.net
>>553が読めんのか

577 :名無しで叶える物語:2021/03/08(月) 22:57:41.45 ID:C9nZS/AH.net
保守

578 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 02:36:36.70 ID:UzmJ/QST.net
昨日このスレに気付いて前スレから読んだけどルートごとで一つの作品にできるくらい面白い

579 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:31:19.64 ID:jbBRg0jX.net
〜翌朝、高咲家、侑の部屋〜



侑「……ん」パチッ

歩夢「すー……すー……」

侑(……歩夢?)

侑「なんで歩夢が私のベッドに……」

侑(昨日は確か……ベランダで歩夢と話して……それから、歩夢が私の部屋に来て……)

侑「……あっ」

侑(そうだ……歩夢が泣いてる私のことを抱き締めてくれて……結局、そのまま歩夢に泊まっていってもらうことにしたんだ)

侑(私が……歩夢から離れたくなかったから……)

侑「……」ジッ

歩夢「……すー……」

侑(まだ寝てる……よね)

侑(時間は……うん、まだ全然大丈夫)

侑(それなら……)


ギュッ


侑(このまま……)

侑(歩夢にくっついたまま……もう一眠りしてもいいよね……)

580 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:32:12.55 ID:jbBRg0jX.net
〜しばらくして〜



歩夢「……んん」

歩夢「……」

歩夢「ん……?」パチッ

歩夢(なにか……胸の辺りが苦しいような……)チラ


侑「すー……すー……」

歩夢「……!?」

歩夢(ゆっ侑ちゃん!?)

歩夢(ど、どうして私の胸に顔を埋めて……!?)

歩夢「……っ」

歩夢(ど、どうしよう……ドキドキしてるの、聴こえちゃうかな……)

侑「んん……」モゾッ

歩夢「っ」ピクッ

侑「んぅ……」モゾモゾ

歩夢「んっ……」ビクッ

侑「ん〜……」モゾモゾ

歩夢(く、くすぐったいよぉ……!)

581 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:33:07.04 ID:jbBRg0jX.net
歩夢(……でも)

歩夢(こんな風に侑ちゃんに抱きついてもらえるなんて……数日前は考えられなかったな……)

侑「ん〜……」ムニャムニャ

歩夢「……ふふ」

歩夢(前に私が勝手に侑ちゃんのベッドに潜り込んだときは後ろから……それも、私が一方的に抱き締めてただけだった)

歩夢(けど、今は)

ギュッ

侑「んぅ……?」

歩夢(ちゃんと正面から、侑ちゃんと抱き締め合っていて)

歩夢(それに体だけじゃなくて……気持ちの方も、ちゃんと通じ合っていて)

歩夢(私だけが侑ちゃんを好きなんじゃなくて、侑ちゃんも私のことを────)



歩夢(────好き、なんだよね)

582 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:34:18.08 ID:jbBRg0jX.net
────そのことを考えた瞬間、心が温かくなるような感じがして


歩夢「……ふふ」


────思わず、笑みが溢れる


歩夢「……」


────以前私と侑ちゃんの間にあった数センチの距離は、今はもうなくて


歩夢「……ね、侑ちゃん」


────だけど、それでももっと……もっと侑ちゃんに近づきたくて


歩夢「……好き」


────前は言えなかったその言葉を、今度ははっきりと口にして


歩夢「好きだよ……」


────この時間が、決して夢なんかじゃないことを噛み締めるように


歩夢「大好き……」


────この温もりが、今この瞬間だけのものじゃないことを確かめるように


歩夢「本当に、大好きだよ……」


────その言葉に、これまで伝えられなかった想いを込めるようにして


歩夢「侑ちゃん……」


────そのまま、そっと侑ちゃんの額に口付けを一つ落とした

583 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:35:31.90 ID:jbBRg0jX.net
歩夢「……ぷはっ」


歩夢(……しちゃった)

歩夢(寝てる侑ちゃんに……勝手にキス……しちゃった……!)

歩夢「……っ」カァァァ

歩夢(ど、どうしよう……侑ちゃんのこと好きだなぁって気持ちが溢れちゃって、つい……!)

歩夢(で、でもでも!今はその……両思い……なわけだし……!)

歩夢(こ、これくらいは……)チラ


侑「……」ジッ

歩夢「……」

侑「……」ジーッ

歩夢「……あ……お、起きたんだ……?」

侑「……うん」

歩夢「あ、あはは……」

侑「……」

歩夢「はは……」


ガバッ


歩夢「えっ」


チュッ

584 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:36:51.62 ID:jbBRg0jX.net
歩夢「……えっ」

歩夢(今……侑ちゃん……私のおでこに……)

侑「……お返し」

歩夢「へ?」

侑「私のおでこに……勝手にキスしてたでしょ?」

歩夢「……え」

侑「だから……そのお返し」

歩夢「お……起きてたの……?」

侑「……うん」

歩夢「い、いつから……?」

侑「……歩夢が、私に向かって好き好き言ってる辺りから」

歩夢「……っ」カァァァ

侑「……ね、歩夢」



侑「私も、歩夢のこと好きだよ」

585 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:37:38.31 ID:jbBRg0jX.net
歩夢「……!」

侑「好き」

歩夢「ゆ、侑ちゃ」

侑「大好き」

歩夢「ちょ、ちょっ」

侑「だ〜いすきだよ、歩夢!」ギュッ

歩夢「……〜っ!!」カァァァ

侑「へへっ」ギューッ

歩夢「うぅ……」

侑「……よし、これでお返し完了かな!」パッ

歩夢「あっ……」

侑「じゃあ学校行く準備しよっか」

歩夢「……うん」

侑「……」

歩夢「……」

侑「……もう、歩夢ってば」スッ


ギュッ


歩夢「!」

侑「そんな寂しそうな顔しなくてもさ……言ってくれたらいつでもこうするのに」

歩夢「……うん」ギュッ

侑「……もうちょっとだけ、こうしてよっか?」

歩夢「……うん!」ニコッ

586 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:38:43.70 ID:jbBRg0jX.net
〜高咲家、リビング〜



侑母「……二人とも、何かいいことでもあった?」

侑・歩夢「えっ」

侑「なっ、なんで?」

侑母「いや、なんとなく……ね?二人の雰囲気が……こう、幸せオーラ的なものに包まれているというか」

侑「し、幸せオーラ……!?」

侑母「ふふ……まあなんでもいいんだけどね?あなた達が幸せならそれで」

侑「お母さん……」

歩夢「……そうですね」

侑母「?」

歩夢「安心してください」


歩夢「侑ちゃんのことは、ちゃんと幸せにしてみせますから」

侑「!?」

侑母「あら、それは頼もしいわね」

歩夢「はい、侑ちゃんのことは任せてください」ニコッ

侑「ちょっ」

侑母「ふふっ、歩夢ちゃんなら侑を任せても安心ね」ニコッ

侑「お母さん!?」

侑母「お父さんにはいつ話そうかしら」

侑「お母さん!!」ガタッ

587 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:40:05.77 ID:jbBRg0jX.net
〜登校中〜



侑「はぁ……朝から疲れた……」

歩夢「ふふ、お疲れ様」

侑「なに他人事のように言ってるの……半分は歩夢のせいなんだからね!?」

歩夢「えー?」

侑「可愛く惚けてもダメ!」

歩夢「ふふっ、冗談だよ」

侑「もうっ……!」

歩夢「あ、でも」



歩夢「侑ちゃんを幸せにしたいっていうのは……冗談なんかじゃなくて、本当のことだからね」ニコッ

侑「……!」ドキッ

588 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:41:11.34 ID:jbBRg0jX.net
侑「そ、そっか……」フイッ

歩夢「?どうしたの侑ちゃん」

侑「な、なんでもない」

歩夢「そう?」

侑「っ」コクッ

歩夢「……そっか」クスッ

歩夢(侑ちゃんの耳が真っ赤になってるのは……言わない方がいいよね)

歩夢「ふふ……」


歩夢(……凄く、楽しいな)

歩夢(一見、前と同じような朝だけど……でも)

歩夢(侑ちゃんと私の想いが通じ合っている……ただその一点が違うだけで、こんなにも変わるなんて)

歩夢「……侑ちゃん」

侑「な、なに?」

歩夢「……なんでもないよ」ニコ

侑「?」

歩夢「……」


───────


愛「掴んだ幸せは、ちゃんと離さないようにして……それで」

愛「歩夢は……ちゃんと幸せにならなきゃ、ね?」


───────


歩夢(……うん、大丈夫だよ愛ちゃん)

歩夢(私、ちゃんと幸せになれそうだよ……!)

589 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:42:19.86 ID:jbBRg0jX.net
〜放課後、学校、部室前〜



せつ菜「……」

せつ菜「……すぅ……はぁ……」

せつ菜「……」ギュッ

せつ菜「よし……!」スッ


ズキッ


せつ菜「……っ」

せつ菜(あれ……なんでしょう……)

せつ菜(ドアノブに触れる直前で……急に……お腹が痛く……)

せつ菜「ぅ……」ズキズキ

せつ菜(……練習までは、まだ時間がありますね)

せつ菜(ひとまず、お手洗いに行って……)

せつ菜(もし、それでもダメなら……)



せつ菜(今日の、練習は────)

590 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:43:45.01 ID:jbBRg0jX.net
〜しばらくして、部室〜



ガチャッ

愛「こんにちはー!」


歩夢「あっ……」

歩夢(愛ちゃん……!)

侑「……」ジッ


歩夢「あっ愛ちゃん、こんにち」

璃奈「……こんにちは」ヒョコッ

歩夢「あっ……璃奈ちゃんこんにちは」ニコ

璃奈「うん」

侑「……二人とも!こんにちは!」ズイッ

愛「お、やっほ〜ゆうゆ」

侑「今日は二人で一緒に来たんだね」

璃奈「愛さんが、教室まで迎えに来てくれたから」

侑「へぇー……相変わらず仲良いね〜?」

愛「まーね!」

璃奈「……うん」ギュッ

愛「おっ?」

璃奈「……愛さんは、私と仲良しだよ」

愛「へへ、ウレシーこと言ってくれるねりなりー!」ギュッ

歩夢「ふふ、本当に二人は仲良いよね」

愛「……ん、まーね」


愛「……そういえば、来てるのはまだゆうゆ達だけ?」

侑「ん?うん、そうだよ」

愛「そっか!」

愛(……てっきり、またせっつーが一番乗りだったりするかな〜って思ったけど……今日は違ったか)

愛(せっつー……ちゃんと来れるといいんだけど)

591 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:44:57.99 ID:jbBRg0jX.net
〜さらにしばらくして〜



果林「……そろそろ時間ね」

エマ「彼方ちゃ〜ん、そろそろ起きる時間だよ〜」

彼方「うぅ……あと五分……」ムニャムニャ

しずく「もう、彼方さんってば……」


璃奈「あと来てないのは……せつ菜さんだけかな」

かすみ「……侑先輩、何か聞いてたりしますか?」

侑「えっ……い、いや、何も聞いてないかな……」

かすみ「そうですか……侑先輩も知らないとなると、生徒会の仕事とかですかね?」

しずく「でも、それならそうと連絡入れてくれそうだけど……」

かすみ「なら……緊急のお仕事とか!それで連絡入れる隙もなかったとか……ありそうじゃないですか?」

璃奈「それなら仕方ない」

果林「なんにせよ、私達はもう着替えも終わってるし……先にアップでも始めておきましょうか」

エマ「そうだね〜」

侑「じゃ、じゃあ先に移動しちゃおっか……!」

皆「はーい!」


歩夢「……」

愛「……」

歩夢(せつ菜ちゃん……)

愛(もしかして……)



ガチャッ


歩夢・愛「!」

592 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:45:59.08 ID:jbBRg0jX.net
せつ菜「すみません!遅くなりました!」

愛「せっつー!」

愛(よかった、ちゃんと来てくれた……!)


果林「大丈夫、まだ練習は始めてないわ」

せつ菜「それならよかったです!」

かすみ「生徒会のお仕事とかですか〜?」

せつ菜「えっと……そんなところです!」

せつ菜「間に合うと思ったのですが、思ったより時間がかかってしまって……」

エマ「こうして間に合ったんだから大丈夫だよ」

彼方「うんうん、焦らずのんびり行こうぜ〜」

せつ菜「……はい!」


侑・歩夢「……」ホッ

593 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:47:30.94 ID:jbBRg0jX.net
〜練習中〜



侑「じゃあまずはいつも通りストレッチから!」



歩夢(よし、今なら愛ちゃんに直接お礼言えるよね……!)

歩夢「愛ちゃ」


愛「せっつー!一緒にやらない?」

せつ菜「へ……?私、ですか……?」

愛「うん!」

せつ菜「……はい、いいですよ!」

愛「やったー!」ギュッ

せつ菜「わっ、あっ愛さん!?」

愛「へへ、じゃああっちでやろっか」グイッ

せつ菜「は、はい」


歩夢「……あっ」

歩夢(い、行っちゃった……)

璃奈「……歩夢さん」

歩夢「え?」

璃奈「一緒に、やってくれる?」

594 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:48:39.65 ID:jbBRg0jX.net
歩夢「えっ」

歩夢(り、璃奈ちゃんが私を……?)

歩夢「うっ、うん……いいよ!」

璃奈「よかった……それじゃ、あっちでやろう」グイッ

歩夢「わっ……!?」


侑「……」ジーッ

かすみ「……あれ〜?侑先輩が空いてるなんて珍しいですね〜」

侑「……えっ、そっそうかな?」

かすみ「そうですよぉ、だってせつ菜先輩と付き合い出してからは……いっつもせつ菜先輩とやってたじゃないですかぁ」

侑「っ……そう、だね」

かすみ「でも〜今日は空いてるみたいですし……かすみんの相手、してもらえませんかぁ?」

侑「……うん、いいよ」ニコ

かすみ「やった!それじゃあっちでお願いします!」グイッ

侑「わっ、ちょ、ちょっとかすみちゃん……!」



果林「……」

595 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:50:19.42 ID:jbBRg0jX.net
〜練習後、部室〜



エマ「あれ、せつ菜ちゃんまだ帰らないの?」

せつ菜「ええ、今日練習したステップに納得がいかない箇所がありまして……帰る前にそこの確認を済ませようかなと」

かすみ「……はっ!こっそり居残り練習してかすみん達に差をつけるつもりですね!」

しずく「こっそりやるんだったら、わざわざ私達に言わないんじゃないかな?」

せつ菜「そうですね、別にこっそりというわけではないのですが……とりあえず!そういうわけなので皆さんは先に帰っていただいて大丈夫ですよ!」

エマ「そっか、でもあんまり遅くならないようにね?」

彼方「練習のやりすぎもよくないからねぇ〜」

せつ菜「はは……大丈夫ですよ、その辺りはきちんとわかってますから」

かすみ「……じゃあじゃあ」



かすみ「侑先輩も、一緒に残るんですかぁ〜?」

歩夢・せつ菜・愛・果林「!」

侑「……えっ」

596 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:51:30.27 ID:jbBRg0jX.net
かすみ「だって、せつ菜先輩が残るなら当然侑先輩も」

ガシッ

果林「かすみちゃん、ちょっといいかしら」

かすみ「へ?なんですか?」

果林「いいから」グイッ

かすみ「わっ、かっ果林先輩?一体どこへ……!?」ズルズル

果林「さて、どこかしらね」

かすみ「せ、せめて帰って来られる場所にしてくださいね……!?」ズルズル


エマ「あはは……じゃあ私達もそろそろ帰ろっか」

彼方「そうだねぇ〜」

しずく「……って言いながらも起き上がる気配全然ないじゃないですか」

彼方「だってエマちゃんの膝枕気持ちいいから……つい、ねぇ」スリスリ

エマ「そっかぁ〜」ナデナデ

しずく「……エマさんがそうやって甘やかすから、彼方さんもそんな感じなんですよ?」

エマ「そうなのかな?」ナデナデ

彼方「ん〜どうだろうねぇ」

しずく「……もう!」


璃奈「しずくちゃん、大変そう」

愛「はは、そうだね」

愛「……」チラ


歩夢・侑・せつ菜「……」


愛(……これはまずいかも)

597 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:52:55.24 ID:jbBRg0jX.net
愛(ここはアタシがなんとかしないと……!)


愛「……よーし!んじゃいい加減そろそろ帰ろっか!」

愛「ほら、カナちゃん起きて!」グイッ

彼方「あ〜エマちゃんの膝枕が〜」

愛「はい、後はしずくよろしく!」ポイッ

しずく「え?」


彼方「……あ〜れ〜」ギュッ

しずく「!ちょ、ちょっと彼方さん何をして……!?」

彼方「ちっちっちっ甘いよしずくちゃん……今のは彼方ちゃんを放り投げた愛ちゃんが悪いんだぜ?」

しずく「だ、だからってそのまま私に抱きつくことないじゃないですか」フイッ

彼方「え〜?ダメ〜?」

しずく「だ……ダメじゃ……ないですけど」

彼方「やった〜」ギュッ

しずく「うっ……」カァァァ

彼方「えへへ、今日はしずくちゃんを抱き枕にしながら帰るとしようかな」

しずく「な、何を言ってるんですか!」

エマ「……そうだね」グイッ

しずく「あっ」

彼方「あれ?」

エマ「彼方ちゃん、あんまりしずくちゃんに迷惑かけちゃダメだよ?」ニコッ

彼方「わ、わかってるよぉ、冗談だってば〜」

エマ「ならいいんだけどね」ニコニコ

しずく「……」

598 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:55:17.82 ID:jbBRg0jX.net
愛「ゆうゆ達は帰る準備できた?」

侑「えっ、と……うん、大丈夫」

歩夢「私も大丈夫だよ」

愛「よし、んじゃ皆揃って帰ろっか!」

愛「せっつー、最後に部室閉めるのよろしくね!」

せつ菜「……はい!お任せください!」

愛「んじゃお疲れ様ー!」

皆「お疲れ様ー!」

せつ菜「お疲れ様でした!」フリフリ

バタン

せつ菜「……」フリフリ

せつ菜「……ふぅ」

せつ菜「……」

せつ菜(まさか、かすみさんにあんなことを言われるなんて……)


───────

かすみ「侑先輩も、一緒に残るんですかぁ〜?」

かすみ「だって、せつ菜先輩が残るなら当然侑先輩も」

───────


せつ菜(……まあ、そうですよね)

せつ菜(もしも私と侑さんが今も付き合っていたなら……そうしていた可能性が高いですから)

ズキッ

せつ菜(だから、かすみさんの質問は当然で)

ズキズキッ

せつ菜(かすみさんは、何も悪くなくて)

ズキズキズキズキ

せつ菜(もしも、誰かが悪いとするなら)

ズキズキズキズキズキズキズキズキ

せつ菜(それは……フラれたにも関わらず、未だに侑さんへの大好きの気持ちを消せていない────)


せつ菜(────私、ですよね)

599 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:58:31.21 ID:jbBRg0jX.net
〜しばらくして、学校を出てすぐの場所〜



愛(……そろそろいいかな)

愛「あっ……やっば!忘れ物しちゃった!」

歩夢「えっ、大丈夫?」

愛「うーん……ちょっと取りに戻るね!皆は先帰ってて大丈夫だからー!」ダッ


エマ「愛ちゃんの忘れ物……なんだろうね?」

しずく「急いで取りに行くほどですから……明日提出の課題とかでしょうか」

彼方「そうかもね〜」

侑「……なんにせよさ、先帰ってて大丈夫って言われたし帰ろうよ」

歩夢「そうだね……」

璃奈「……」

璃奈「私も、忘れ物したかも」

しずく「え?璃奈さんも?」

璃奈「うん、私も取りに行こうと思う……皆は先に帰ってて」タッ

しずく「あっ、うん」

歩夢「……」ジッ

600 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 17:59:38.34 ID:jbBRg0jX.net
彼方「皆忘れ物多いんだねぇ」

しずく「……そういう彼方さんも何か忘れてたりするんじゃないですか?」

彼方「彼方ちゃんは大丈夫、出る前にしっかり確認してきたからね」ドヤッ

しずく「いつの間に……」

エマ「ふふ、さすが彼方ちゃん」ナデナデ

彼方「えへへ、もっと褒めてくれてもいいのだよ」フンス


歩夢「……」

侑「歩夢?どしたの?」

歩夢「あっ……ううん、なんでもないよ」

侑「そう?」

歩夢「うん」ニコッ


歩夢「……」チラ

歩夢(璃奈ちゃん……)

601 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 18:01:02.04 ID:jbBRg0jX.net
〜遡ること数時間前、練習中〜



歩夢「……最近の愛ちゃんの様子?」

璃奈「うん……歩夢さんはどう思う?」

歩夢「えっと……特に気になるようなことはないかな?」

璃奈「そう……」

歩夢「……どうかしたの?」


璃奈「……最近の愛さん、何か変な感じがするの」

歩夢「変?」

璃奈「うん」

歩夢「えっと、具体的には……?」

璃奈「何かまではわからないけど……ずっと考え事をしてるみたいなの」

歩夢「考え事?」

璃奈「一瞬だけど、時々難しい顔をしてるときがあって……でも、私には特に何も言わないからそれがなんなのかまではわからなくて」

璃奈「それに……」

歩夢「それに?」



璃奈「最近は、私よりも歩夢さんとよく一緒にいるみたいだから……」

歩夢「……!」

602 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 18:01:57.54 ID:jbBRg0jX.net
璃奈「だから、歩夢さんなら何か知ってるかなって思って聞いてみたの」

歩夢「……」

璃奈「……私は、愛さんと友達だから」

璃奈「だから、もし愛さんが何かで悩んでるなら……力になりたいの」

歩夢「……そっか」

璃奈「でも、歩夢さんでも知らないなら……」

歩夢「……璃奈ちゃん」

璃奈「?」

歩夢「これは……他の人には秘密にしておいてほしいんだけど……」

璃奈「……わかった」

歩夢「ありがとう」ニコ


歩夢「あのね、実は私……最近愛ちゃんにあることで相談に乗ってもらってたの」

璃奈「相談?」

歩夢「うん」

歩夢「だから……もしかしたら、そのことで愛ちゃんにも色々難しいことを考えさせちゃってたのかも……」

璃奈「……そうなんだ」

歩夢「もしかしたら、だけど……でも」

璃奈「でも?」

歩夢「その話はね、もう解決したの」


歩夢「愛ちゃんのおかげで……ね」ニコッ

璃奈「……!」

603 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 18:03:11.91 ID:jbBRg0jX.net
歩夢「だから、もしも私の相談が原因でそうなってたんだとしたら……たぶんもう大丈夫だと思うよ」

璃奈「……そっか」

璃奈「なら、昨日のあれはまた別の……?」ブツブツ

歩夢「……璃奈ちゃん?」

璃奈「!……なんでもない」

璃奈「それより……ありがとう歩夢さん、これで解決に一歩近づいたかもしれない」

歩夢「そう……?それならよかった」

璃奈「うん……!」璃奈ちゃんボード「にっこりん」



〜そして現在〜



歩夢(璃奈ちゃん、愛ちゃんのことを凄く気にしてた……)

歩夢(だから、今のもきっと本当は忘れ物なんかじゃなくて愛ちゃんを追いかけて……)

歩夢「……」

歩夢(愛ちゃんも璃奈ちゃんも……大丈夫、だよね……?)



侑「……」

604 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 18:04:28.69 ID:jbBRg0jX.net
〜一方その頃、部室前〜



愛(せっつー……練習中はなんだかんだわりと大丈夫そうだったけど)

愛(さっき言ってた居残り練習は……ゆうゆと一緒に帰るのを避ける為っぽかったし)

愛(それに……かすみんが皆の前で見事に地雷踏み抜いちゃってたし……大丈夫かなぁ……)


ガタッ


愛「……あれ?」

愛(鍵かかってる……なら部室じゃなくて練習場所かな、そっちを見に行ってみよう)



〜練習場所〜



愛(……いた!)


せつ菜「っ……ふっ……!」バッバッ


愛(……フツーに練習してるっぽい?なら、大丈夫かな……?)


せつ菜「……ぁっ!」ズルッ


愛「!」ダッ


せつ菜「ぃたっ!」ズデッ

せつ菜「……てて……やっぱり上手くいきませんね……あれ?」

せつ菜「……愛さん?」

愛「……あっ」

605 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 18:05:41.63 ID:jbBRg0jX.net
せつ菜「どうしてここに……?皆さんと一緒に帰られたはずじゃ……」

愛「あはは……」

愛(……あちゃ〜、助けようと思って飛び出たのに間に合わなかった上に見つかっちゃった)

愛(とりあえずここは……)

愛「……いや〜実は忘れ物しちゃってさ、それで部室に向かったんだけど鍵かかってたから」

せつ菜「あっ、そうなんですね……すみません、今渡しますので」

愛「サンキュー!……っと、練習の邪魔してごめんね?」

せつ菜「いえ、大丈夫です!お気になさらず!」

愛「そっか……ねぇ、さっきやってたとこなんだけどさ」

せつ菜「?」

愛「なんかちょっとリズムがずれてたかなーって思って」

せつ菜「リズムが……?」

愛「うん!なんかこう……」

せつ菜「こう……?」

愛「……ちょっと待ってて」タッ

せつ菜「え?」



愛「お待たせ〜」

せつ菜「愛さ……えっ!着替えてきたんですか!?」

愛「うん、口で言うよりアタシが一緒にやって見せた方が早いし……それなら着替えた方がいいかなって!」

せつ菜「そんな……わざわざそこまでしていただかなくても」

愛「いーの!愛さんがやりたくてやってんだから!」

せつ菜「そう……ですか?」

愛「そ!ほら、さっきのとこの確認やっちゃお!」

せつ菜「は、はい!」



璃奈「……」ジーッ

606 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 18:06:45.74 ID:jbBRg0jX.net
〜少し前、とある空き教室〜



果林「ここでいいかしら、誰もいないし」

かすみ「も〜、話って一体なんですか?」

果林「……さっきのあれは何かしら」

かすみ「え〜なんのことですか〜?」

果林「惚けないで」

かすみ「うっ……」

果林「侑とせつ菜が付き合ってる件に関しては……デリケートな話だってこと、かすみちゃんもわかってるでしょ?」

かすみ「……はい」

果林「ああいうのを聞いたら、歩夢がどう思うか……わかるでしょ?」



果林「……あなただって、侑のこと好きだったんだから」

かすみ「……」

607 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 18:08:18.32 ID:jbBRg0jX.net
かすみ「……わかってますよ、そんなことは」

果林「それなら」

かすみ「でも!」

果林「!」

かすみ「……今日の侑先輩とせつ菜先輩、練習前も練習中も全然喋ってなかったので……なんか変だなぁって思ってて」

かすみ「それとなく探りを入れるつもりで、侑先輩とストレッチ一緒にやりながら色々話してみたんですけど……全然わからなくて」

かすみ「だから、ああいう風にしたら何かわかるかなって……」

果林「そう……」

果林「……だとしても、あまり褒められたやり方ではないわね」

かすみ「……」

果林「……でもまあ、確かに今日はおかしかったわね」

果林(侑とせつ菜……それに加えて歩夢も愛も、ね)

かすみ「……ひょっとして」



かすみ「侑先輩とせつ菜先輩、上手くいってないんじゃないですか……?」

608 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 18:09:25.54 ID:jbBRg0jX.net
果林「……そう思う理由は?」

かすみ「だって、付き合ってるのに……恋人同士なのに一言も話さないなんておかしくないですか?」

果林「……そうかしら、人前では話さない恋人なんてよくいるじゃない」

かすみ「そうですけど……でも、侑先輩とせつ菜先輩は別にそういうわけでもなかったじゃないですか!なのにいきなりあんな風になるのは……!」

果林「……仮にそうだとして」

果林「それがかすみちゃんに……何か関係あるのかしら?」

かすみ「っ!そ、それは……かすみん部長ですし!?私情のもつれをスクールアイドル活動に持ち込んでほしくないというか、そもそも恋愛自体が御法度というか……!」

果林「あら、かすみちゃんも侑に恋してたのに?」クスッ

かすみ「ぐっ……!そ、それを言われると痛いですけど……!」

果林「それに、恋愛自体が御法度だって言うのなら」グイッ

かすみ「きゃっ……」



果林「……今の私とかすみちゃんの関係も、ダメになるんじゃないかしら?」

かすみ「っ!!」

609 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 18:10:40.23 ID:jbBRg0jX.net
かすみ「そ、それは……」

果林「それは?」

かすみ「……た、確かにかすみん達付き合ってはいますけど」

かすみ「……でも、かすみんは果林先輩のこと……まだそういう意味でちゃんと好きになったわけじゃないですから」ジト

果林「……あら、そうなの?」

かすみ「そうですっ」フイッ

果林「そう……それは残念ね」

かすみ「……だって、あんなの反則です」


かすみ「心が弱ってるときにあんなに優しくされたら……誰だって甘えたくなっちゃいますよ……!」

果林「ふふ、甘えてはくれるのね」

かすみ「っ……そ、そもそも!侑先輩とせつ菜先輩が付き合ったのがショックで泣いてたかすみんの唇をいきなり奪ったのは果林先輩じゃないですか!あれまだ許してませんからね!!」

果林「あら……まだダメなのね」

かすみ「ダメです!」

果林「じゃあ……どうしたら許してくれる?」クイッ

かすみ「うっ……」

果林「ね、かすみちゃん……教えて?」ソッ

かすみ「か、果林せんぱ────」

610 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 18:11:24.10 ID:jbBRg0jX.net
〜そして現在〜



かすみ「……」

果林「……ふふ、またボーッとしてるわね」

かすみ「だ、だって……」

果林「……可愛い」ボソッ

かすみ「っ」カァァァ

果林「ふふ……ん?」



愛「────!」

せつ菜「────!」



果林(あれは……愛とせつ菜?……練習、してるのかしら)

果林(せつ菜は残って練習するって言ってたけど、愛も残ったのね)

果林(……?)



璃奈「────」



果林(……璃奈ちゃん?)

611 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 18:13:00.46 ID:jbBRg0jX.net
果林(愛とせつ菜からちょっと離れたところに……もしかして、あの二人を見てる……?)

果林(でも、あそこまで来たなら声をかければ……)


かすみ「……ちょっと果林先輩!」

果林「!」

かすみ「可愛いかすみんを放置して、何余所見しながらボーッとしてるんですか!」

果林「……ああ、ごめんなさい」

かすみ「一体何を見て……ん?」

かすみ「あれ……りな子……?それに、せつ菜先輩と愛先輩も……」

果林「……ええ」

かすみ「あっちの二人は練習してるみたいですけど、りな子は何を……」

果林「さて、何してるのかしらね……?」


果林(……今日の練習、何故かせつ菜の近くには愛がずっといた)

果林(まるで、先週歩夢の近くに愛がいたときのような……それを彷彿とさせる感じで)

果林(でも、今日私が見る限りだと侑とせつ菜だけでなく……愛と歩夢もろくに会話していなかったような……?)

果林「……」



果林(何か、嫌な予感がするわね……)

612 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 18:16:18.78 ID:jbBRg0jX.net
一旦ここまでです!!!!!

間が空いてしまいすみません……!
書き込み規制の件ですが、今まで使っていたのとはまた別の良い感じに使えるブラウザを見つけたので、そちらから書き込むようにすることで解決しました!
なのでまた数日おきくらいのペースでなら更新できるようになると思いますので引き続きよろしくお願いいたします!!!!!

613 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 18:25:45.93 ID:Oymr8M3N.net
mateなら更新したら書き込めるようになった

614 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 20:13:03.02 ID:8m23eIEP.net
相関図がやばい事になってら

615 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 21:36:12.11 ID:IEWFyhuP.net
乙です
まさか同好会全体の人間関係がすごいことになってる

616 :名無しで叶える物語:2021/03/09(火) 21:49:55.17 ID:U1K0cPT8.net
侑ちゃんのゲージも地味に溜まってない?
めっちゃこじれてきて楽しみ

617 :名無しで叶える物語:2021/03/10(水) 01:04:16.07 ID:cyGtixY4.net
待ってましたぜ!

618 :名無しで叶える物語:2021/03/10(水) 13:23:20.64 ID:cyGtixY4.net
ゆうぽむせつ愛以外も付き合ってるの草

619 :名無しで叶える物語:2021/03/10(水) 21:02:39.88 ID:bfuYU9nu.net
保守

620 :名無しで叶える物語:2021/03/11(木) 16:43:10.97 ID:h26Igp5o.net
保守

621 :名無しで叶える物語:2021/03/12(金) 00:02:20.87 ID:ANXcOBly.net
お、きてた

622 :名無しで叶える物語:2021/03/12(金) 14:35:57.73 ID:wmZHciY7.net
保守

623 :名無しで叶える物語:2021/03/12(金) 23:39:14.58 ID:66vAf5cW.net
保守

624 :名無しで叶える物語:2021/03/13(土) 14:32:32.30 ID:cc+mHCcG.net


625 :名無しで叶える物語:2021/03/13(土) 21:52:29.62 ID:GlRZ2rsB.net
保守

626 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 17:26:31.99 ID:+hJu3Syq.net
保守

627 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 17:54:32.92 ID:U57ghk+i.net
〜深夜、中川家、菜々の部屋〜



菜々「……はぁ」

菜々(体は疲れているはずなのに……なかなか寝付けません……)

菜々「……」ゴロ

菜々(……居残り練習は、一人で残る為の言い訳でしたが……)

菜々(でも……愛さんが付き合ってくださったので、結果的に一人じゃありませんでした)

菜々(……同好会の練習中も、愛さんがいてくれたおかげで他のことを考えずひたすら練習に打ち込むことができましたし)

菜々(愛さんには、感謝しないとですね……)

菜々「ふぅ……」


菜々(……結局、侑さんとは一言も会話しませんでしたね)

菜々(私から話しかけることも、侑さんから話しかけてくださることもなく)

菜々(視線すらも、一切交わることはなく……)

菜々「……」

菜々(侑さん……)


───────


侑「せつ菜ちゃん!」ニコッ


───────


菜々「……!」

628 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 17:55:42.99 ID:U57ghk+i.net
────頭に浮かんだのは、かつて侑さんが私に向けてくれていた笑顔で


菜々「……ぁ」ジワ


────今はもう、決して向けられることのない笑顔


菜々「……ぁあ」ポロポロ


────今日、最初に部室に入る直前にお腹が痛くなったのは……直面したくなかったからだ


菜々「あぁぁ……」ポロポロ


────部室に入ったら、同好会の練習に参加したら……否が応でも思い知らされることになるからだ


菜々「ああぁぁ……」ポロポロ


────『侑さんと別れた』という事実に……現実に、向き合わなきゃいけなくなるからだ



菜々「ぁ……っ」グスッ


────だから、そこから逃げ出したくて


菜々「うっ……」ヒック


────『あの場所に行かなくてもいい』という、理由が欲しくて


菜々「くぅ……っ」グッ


────だから、私は……

629 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 17:56:28.26 ID:U57ghk+i.net
菜々(……ダメ、ですね)

菜々(体を疲れさせても……寝ようと思ってベッドに寝転んでも……頭に浮かぶのは侑さんのことばかり)

菜々(……こんな状態では、余計に苦しくなる一方です)

菜々(それならいっそ、起きて何かしていた方がマシ……)

菜々(何か……何か別のことを……)

菜々(まだ見てないアニメの視聴……いや、こんな精神状態では物語に集中できません)

菜々(読書……も、同じ理由でダメですね……)

菜々(できれば、何か体を動かせるものの方がいいのですが……)

菜々(ダンス練習は……こんな深夜にやったら怒られてしまいます)

菜々(筋トレは……かえって目が冴えてしまいそうですね)

菜々(それなら……)



菜々(勉強でも、しましょうかね……)

630 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 17:57:21.68 ID:U57ghk+i.net
〜朝、中川家、菜々の部屋〜



菜々「……ん」パチッ

菜々(……あれ……)

菜々(……机?)

菜々(……ああ、そうでした)

菜々(昨日はなかなか寝れなくて、眠くなるまで勉強をすることにしたんでしたね)

菜々(それで……そのまま寝落ちしてしまった、といったところでしょうか……?)

菜々(時間は……そろそろ起きる時間ですね)

菜々(ベッドで寝直す時間はないですし……このまま学校に行く準備をしてしまいましょう)

菜々「……っ」

菜々(椅子で寝ていたせいか……体に違和感が……)



菜々(……まあ、後でちゃんとほぐせば大丈夫でしょう)

菜々「……」フラフラ

631 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 17:58:32.99 ID:U57ghk+i.net
〜昼休み、学校、食堂〜



璃奈「愛さん」

愛「?」

璃奈「昨日言ってた忘れ物……ちゃんと見つかった?」

愛「……ああ」

愛「うん、ばっちし!ちゃんと見つかったよー!」

璃奈「そうなんだ、よかった」

愛「心配してくれてたの?ありがとー!」

璃奈「うん」


璃奈「……私も、昨日忘れ物して取りに帰ってたから」

愛「……へぇ〜、そうだったんだ!奇遇?だねぇ」ハハ

璃奈「うん」ジッ

愛「それで、りなりーの方はちゃんと見つかったの?」

璃奈「……」ジーッ

愛「……りなりー?」

璃奈「!……うん」

璃奈「ちゃんと、見つかったよ」

愛「そっか、ならよかった!」

璃奈「うん……」



璃奈(……やっぱり、ちょっとおかしい気がする)

632 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 17:59:42.67 ID:U57ghk+i.net
璃奈(違和感があったのは、先週から)

璃奈(そのとき、一緒にいたのは歩夢さんだったけど……次はせつ菜さん……?)

璃奈(ただ仲良くしてるだけなら、いいんだけど)

璃奈(侑さんを含めたあの三人の状況は特別だから……どうしても気になってしまう)


璃奈(……今でも、覚えてる)

璃奈(侑さんとせつ菜さんが付き合ったことを教えてくれたあの日)

璃奈(愛さんが……普段見ないような怖い顔をしてて)

璃奈(でも、それがなんでなのか私にはわからなくて)

璃奈(……結局、あれ以来愛さんがあの表情を見せることはなかったけど)

璃奈「……」

璃奈(もう、あんな怖い顔した愛さんは見たくない……)

璃奈(だから……)



璃奈「……っ」ギュッ

愛「……りなりー?」

璃奈「……愛さん」



璃奈「何か……あったの?」

愛「……え?」

633 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 18:00:23.86 ID:U57ghk+i.net
────目の前には、アタシの手首を掴んで真っ直ぐとこちらを見つめるりなりー


愛「……何か、って?」


────質問の意図を探る為、まずはそのまま返したけど


璃奈「……最近の愛さん、少し様子がおかしかったから」


────その返答に、一瞬だけアタシの心臓がびくんと小さく跳ねる


璃奈「時々難しい顔をして、何かを考え込んでるような……そんな感じだったから」

愛「……そう?アタシそんな顔してたかな」アハハ

璃奈「うん」

愛「っ」


────りなりーのはっきりとした頷きに『惚けても無駄』と、そう言われている気がして


璃奈「……それに」


────アタシの心臓が、徐々に鼓動を速めていった瞬間


璃奈「……歩夢さん」

愛「!」


────なるべく考えないようにしていたあの子の名前が、りなりーの口から飛び出してきた

634 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 18:07:26.57 ID:U57ghk+i.net
璃奈「……先週、急に歩夢さんと仲良くなってて」

璃奈「それで、同好会の練習中もそれ以外の時間も歩夢さんと一緒にいたみたいだから……少し、気になって……」

愛「……なになにりなり〜?もしかして歩夢にヤキモチ妬いちゃった的な感じだったり?」

璃奈「……」ジッ

愛「……っ、ごめん……茶化す場面じゃなかったよね」

璃奈「……別に、いい」

璃奈「その可能性も、考えなかったわけじゃないから」

璃奈「……でも」


璃奈「それよりも、愛さんの行動の方が気になるの」

愛「アタシの……?」

璃奈「うん」コクッ

璃奈「愛さん、先週は歩夢さんと一緒にいたのに……」



璃奈「今週は、せつ菜さんと一緒にいるみたいだから」

愛「!」

635 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 18:08:20.44 ID:U57ghk+i.net
璃奈「……歩夢さんが言ってたの、愛さんに相談に乗ってもらってたって」

愛「!歩夢が……?」

璃奈「うん」

璃奈「詳しい内容は聞いてないけど……そのことで愛さんに色々難しいことを考えさせちゃったんじゃないか、って」

愛「……」

璃奈「でも、歩夢さんはそのことはもう愛さんのおかげで解決したって言ってたの」

璃奈「だから……もしかしたら次はせつ菜さんの相談に乗ってるのかな、って思って」

愛「……せっつーの?」

璃奈「……うん」

璃奈「昨日練習が終わった後……せつ菜さんと一緒に居残り練習してるの、見かけたから」

愛「!」

璃奈「それに……」



璃奈「……一昨日は、泣いてるせつ菜さんと一緒にいるところ……見ちゃったから」

愛「……!!」

636 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 18:09:10.51 ID:U57ghk+i.net
愛「……りなりー」

璃奈「?」

愛「もしかして、そのときアタシ達が何話してたかも……聞こえた?」

璃奈「……いや、何を話してたかまでは聞こえなかった」

璃奈「声をかけようとも思ったんだけど、とてもそんなことができる雰囲気には見えなかったから……」

愛「そっか……」

璃奈「……何があったか、聞いてもいい?」

愛「……ごめん」

愛「この件については……アタシからは話せないや」

愛「アタシ自身も、"偶然知っちゃった"感じだしさ……せっつーが話してくれるときが来るまでは、こっちからも何も聞かない方がいいと思うんだ」

璃奈「……そっか」

愛「ごめんね、何も話せなくてさ」

璃奈「大丈夫……そういうときも、あると思うし」

璃奈「……」


璃奈「……愛さんは大丈夫?」

愛「……え?」

璃奈「あのせつ菜さんがあんなに泣く程の事があって、それを愛さんに相談してるとしたら……愛さんも、大変だろうから」

璃奈「だから……」


ポンッ


璃奈「!」

637 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 18:09:44.37 ID:U57ghk+i.net
愛「……愛さんは大丈夫だよ」ナデナデ

璃奈「……本当に?」

愛「うん」ニッ

璃奈「……」ジッ

愛「……あれ〜?愛さんそんなに信用なかった?」ハハ

璃奈「そういうわけじゃない、けど……」

璃奈「……愛さん、肝心なところで本音を言ってないように感じるときがあるから」

愛「……そうなの?」

璃奈「私の勘、だけど……」

愛「……そっか」

璃奈「……ねぇ、愛さん」

愛「?」

璃奈「もしも、愛さんだけじゃ大変だなって思うことがあったら……」



璃奈「私のことを……頼ってほしい」

愛「……!」

638 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 18:12:31.10 ID:U57ghk+i.net
璃奈「私は……愛さんの友達だから」

璃奈「友達が大変なときは……助けたいって思うから」

璃奈「私なんかじゃ役に立たないかもしれないけど、でも」

愛「りなりー」ビッ

璃奈「!」


愛「ありがとね!」ニカッ

璃奈「えっ」

愛「りなりーのその気持ち、愛さんすっごくウレシーよ!」

愛「だから……私"なんか"、なんて言わないでよ」

愛「りなりーがそばにいてくれたら、愛さんそれだけで頑張れちゃうし!」

璃奈「愛さん……」

愛「……本当に大変なときは頼らせてもらうから、さ」

璃奈「……うん」

璃奈「……」

璃奈「愛さん」

愛「ん?」

璃奈「無理だけは……しないでね」

愛「だいじょーぶ!無理はしないよ!」

璃奈「……約束だよ」

愛「……うん!」

639 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 18:13:34.14 ID:U57ghk+i.net
〜一方その頃、裏庭〜



侑「今日は天気もいいし、外でゆっくりするのにちょうどいいねぇ」

歩夢「そうだねぇ」

侑「歩夢の膝枕も最高だし、このままお昼寝するのも良さそうだなぁ」ゴロ

歩夢「もう、侑ちゃんってば……」クスッ


歩夢(今日のお昼は侑ちゃんの提案で裏庭で食べることになりました)

歩夢(今は侑ちゃんが持ってきたレジャーシートの上でのんびりしてるんだけど……なんだか今日の侑ちゃんは甘えたさんみたいで)

歩夢(裏庭に来たのも私と二人っきりで過ごしかったから……って言ってたし)

歩夢(こんな日が来るなんて……本当に夢みたい)


歩夢「……それにしても、ここって本当に人が来ないんだね」

侑「そうだね〜」

歩夢「前に来たときも、全然人がいなかったなぁ」

侑「……前?」

歩夢「静かだし、良い穴場スポットだよね」

侑「歩夢」

歩夢「?」



侑「前に……誰かとここに来たことあるの?」

歩夢「えっ?」

640 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 18:14:05.24 ID:U57ghk+i.net
侑「私とここに来るよりも前に、誰かと一緒に来たの?」

歩夢「侑ちゃん……?」

侑「教えて」ジッ

歩夢「!う、うん」

歩夢「前に来たときは……愛ちゃんとだったかな」

侑「!」ピクッ

歩夢「そのときにも、人いないね〜って話をしてたかも?」

侑「……」ムクリ

侑「歩夢」

歩夢「?なに?」



侑「……なんで、愛ちゃんとここに来てたの?」

歩夢「え……?」

641 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 18:14:38.50 ID:U57ghk+i.net
侑「お喋りするだけなら、わざわざこんなところまで来ないだろうし」

侑「何か……二人きりじゃないといけないことでもあったの?」

歩夢「えっと……侑ちゃん?どうしてそんなこと」

侑「歩夢」ガシッ

歩夢「!」ビクッ

侑「私には、話せないようなことなの?」

歩夢「え……?」

侑「……」ジッ

歩夢「えっ、と……」

侑「……」ジーッ

歩夢「ゆ、侑ちゃんどうしたの……?なんか変だよ……?」

侑「……答えて」

歩夢「……っ」


歩夢(ど、どうしよう……!)

642 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 18:15:56.51 ID:U57ghk+i.net
歩夢(前にここに愛ちゃんと一緒に来たのは、侑ちゃんのことを相談したかったからだっていうのは覚えてる)

歩夢(そのときに、愛ちゃんと一緒に侑ちゃんを嫉妬させよう作戦を立てたのも……ちゃんと覚えてる)

歩夢(でも……それを今ここで侑ちゃんに話してもいいのかな……?)

歩夢(そんなこと考えてたって侑ちゃんに知られたら……嫌な子だって思われちゃわないかな……)

歩夢(侑ちゃんはせつ菜ちゃんと付き合ってたのに……それをわかった上で、私の方を振り向かせる為にあれこれしてたなんて知られたら……)

歩夢「……」


侑「……歩夢?」

歩夢「っ」ビクッ

侑「どうしたの……?」

歩夢「……う、ううん、なんでもないよ?」

歩夢「前に来たときも、そんな大したことは話してないし……お喋りしながら歩いてたら、たまたまここにたどり着いただけだから……」

侑「……本当に?」

歩夢「う、うん……」

侑「……」

歩夢「……し、信じてくれない……の……?」

侑「……ううん」



侑「歩夢がそう言うなら……信じるよ」ニコ

歩夢「!」

643 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 18:16:32.08 ID:U57ghk+i.net
侑「ごめんね、変に問い詰めるようなことしちゃって」

歩夢「う、ううん……大丈夫だよ」ニコ

侑「愛ちゃんと……私以外の人と来たことあるって言うから……なんか気になっちゃってさ」

歩夢「えっ……!」

歩夢(そ、それって……)

侑「別に……歩夢が誰とどこで何してたかなんて、私が口出していいことじゃないんだけど……さ」

歩夢(もしかして、侑ちゃんは……)

侑「……ねぇ、歩夢」



侑「愛ちゃんには……膝枕とか、してない……よね?」

歩夢(愛ちゃんに、嫉妬してくれてる……!?)

644 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 18:17:03.97 ID:U57ghk+i.net
歩夢「し、してないよ!」ズイッ

侑「!」

歩夢「愛ちゃんには膝枕なんてしてないから……安心して?」

歩夢「私がこういうことするのは……侑ちゃんにだけだから」ニコッ

侑「!!」ドキッ

侑「そ、そっか……」

歩夢「うん」

侑「それなら……よかった」

歩夢「……侑ちゃん」

侑「?」

歩夢「……膝枕、いいよ?」ポンポン

侑「!……うんっ」ゴロッ

ポフッ

侑「……はぁ、落ち着く……」

歩夢「そう?ならよかった」ニコニコ

侑「うん……」

侑「……」

侑「ね、歩夢……」

歩夢「なぁに?」



侑「こういうの……私以外にはしないでね」

歩夢「……!」

645 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 18:17:35.64 ID:U57ghk+i.net
侑「歩夢が他の人にしてるの想像したら……嫌な気持ちになっちゃったから」

侑「だから……お願い……」

歩夢「侑ちゃん……」


歩夢「……うん、しないよ」

歩夢「さっきも言ったでしょ?私がこういうことするのは……侑ちゃんにだけ、って」

歩夢「だから、安心して……」ナデナデ

侑「……うん」

歩夢「……ふふ」

侑「……なに?」

歩夢「いや……侑ちゃんって、結構ヤキモチ妬き屋さんなのかなって思って」ニコ

侑「なっ!?」

歩夢「私の膝枕、独り占めしたいんだね」ニコニコ

侑「うっ……」カァァァ

歩夢「えへへ」ニコニコ

侑「……そ、そうだよ!」

歩夢「!」

646 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 18:18:22.11 ID:U57ghk+i.net
侑「私は……歩夢のこと独り占めしたいの……!」

侑「他の人に取られるなんて……そんなのやだもん……」ギュッ

歩夢「ゆ、侑ちゃん……」

侑「……ごめん、ワガママで」

侑「でも……」

歩夢「……大丈夫だよ」

侑「え?」

歩夢「私は……侑ちゃんのことが大好きだから、だから大丈夫だよ」ニコッ

侑「歩夢……」

歩夢「それに……私のことを好きになってくれる人なんてなかなかいないだろうしね……」ハハ

侑「……」

歩夢「あ、もっもちろん恋愛的な意味での話だよ?スクールアイドルとしての私のことを、ファンの人達が好きって言ってくれてるのとはまた別の話だから……」

侑「……ないもん」

歩夢「……え?」



侑「そんなこと、ないもん……」ムスッ

647 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 18:19:11.22 ID:U57ghk+i.net
侑「そういう意味で歩夢のこと好きになる人、絶対いるもん……」

歩夢「そ、そうかな……?」

侑「それに今だって……」

侑「……」

歩夢「……?」

侑「……なんでもない」

歩夢「えっ……なに……?」

侑「なんでもない!」フイッ

歩夢「えぇ……?」

侑「……」ムクリ


ギュッ


歩夢「あっ」

侑「……好きだよ、歩夢」

歩夢「!」ドキッ

侑「……」ギューッ

歩夢「ゆ、侑ちゃん……?」ドキドキ

侑「……ねぇ、歩夢」

歩夢「な、なに?」ドキドキ

侑「……私と」


キーンコーンカーンコーン


侑・歩夢「!」

648 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 18:19:52.20 ID:U57ghk+i.net
侑「……あっ」

歩夢「予鈴……鳴ったね」

侑「……」

歩夢「えっと……」

侑「……いこっか!教室!」スクッ

歩夢「え?」

侑「ほら、次の授業間に合わなくなっちゃうかもだよ歩夢!」

歩夢「えっ、あっ……う、うん!」


歩夢(侑ちゃん……何を言いかけてたのかな……?)

歩夢(……後で聞いてみようかな)



侑「……」

649 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 18:20:36.39 ID:U57ghk+i.net
一旦ここまでです!!!!!

650 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 18:59:58.41 ID:cLbUGw3Y.net
待ってた

651 :名無しで叶える物語:2021/03/14(日) 21:30:26.41 ID:+hJu3Syq.net
なんか不穏だな…乙

652 :名無しで叶える物語:2021/03/15(月) 09:14:35.66 ID:qm9WgNyV.net
誰も幸せにならないエンドになっちゃうのか…?

653 :名無しで叶える物語:2021/03/15(月) 23:07:31.11 ID:N8G7EDSb.net
保守

654 :名無しで叶える物語:2021/03/16(火) 13:21:02.78 ID:l1cGqipO.net


655 :名無しで叶える物語:2021/03/16(火) 23:29:39.94 ID:LWIeDZKC.net


656 :名無しで叶える物語:2021/03/17(水) 07:11:51.96 ID:ZyeLk/5t.net


657 :名無しで叶える物語:2021/03/17(水) 15:53:15.19 ID:88IX6dl4.net


658 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 00:07:52.43 ID:P7+3jTK+.net
保守

659 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 15:41:52.60 ID:P7+3jTK+.net
保守

660 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 18:07:26.82 ID:n4b4eOKT.net
〜放課後、部室前〜



せつ菜「すぅ……はぁ……」

せつ菜「……」ギュッ

せつ菜「……よし!」スッ


ガチャッ


せつ菜「すみません!遅くなりました!」

愛「お!せっつー来た!」

璃奈「……大丈夫だよせつ菜さん、まだ練習は始めてないから」

せつ菜「おっとそうでしたか……ならよかったです!」

エマ「ひょっとして、また生徒会のお仕事?」

せつ菜「……ええ、そんなところです」ニコ

かすみ「連日大変ですね〜」



歩夢・侑「……」

661 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 18:08:27.53 ID:n4b4eOKT.net
彼方「今日はしずくちゃんも演劇部の方に顔出すからお休みって言ってたし……やっぱり兼任してるものがあると大変だねぇ」

果林「まるで他人事のように言ってるけど……彼方だってバイトやってるし大変そうじゃない」

彼方「彼方ちゃんは大丈夫だよ〜、だって」

エマ「遥ちゃんがいるから……だよね?」

彼方「お〜さすがエマちゃん、彼方ちゃんのことよくわかってるねぇ」

エマ「えへへ」

果林「そんなものなのかしら……」

彼方「果林ちゃんにも可愛くてだ〜いじな妹ができればわかるよ〜」

果林「妹……それは難しそうね」

果林(……でも)チラ



かすみ「?なんですか?」

果林「……なんでもないわ」

662 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 18:09:07.24 ID:n4b4eOKT.net
かすみ「え〜?なんですかも〜教えてくださいよ〜」

果林「仕方ないわね……なら教えてあげる」

かすみ「おっ!なんですかなんですか?」

果林「……コッペパン」ボソッ

かすみ「え?」

果林「コッペパンの食べかす、口元についてるわよ」ヒソヒソ

かすみ「え!?そ、そんなはずは……!」バッ

果林「……冗談よ」クスッ

かすみ「なぁっ!?」

果林「……さて、それじゃあ人も揃ったことだし練習始めようかしらね」スタスタ

かすみ「ちょっ……ちょっと果林先輩!今のなんですか!?」タッタッタッ


エマ「……」

彼方「……あの二人、最近仲良いねぇ」

エマ「……そうだね」

彼方「……彼方ちゃん達も練習行こっか〜」

エマ「……うん」ニコ

663 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 18:09:49.81 ID:n4b4eOKT.net
〜練習中〜



侑「じゃあまずはいつも通りストレッチから!」



愛「せっつー!一緒にやろ!」

せつ菜「は、はい!」


エマ「彼方ちゃん!」

彼方「よ〜しやろっか〜」


璃奈「……歩夢さん、今日もいいかな?」

歩夢「!う、うん」


かすみ「じゃあかすみんは〜……」

ガシッ

かすみ「!」ビクッ

果林「私とやりましょ?」ニコ

かすみ「……はい」



侑「……」

侑(今日は私が手伝う必要なし……だね)

664 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 18:11:28.10 ID:n4b4eOKT.net
侑「……」ジッ


歩夢「────」グッグッ

璃奈「────」ノビー


侑(歩夢の相手は……今日も璃奈ちゃんか)

侑(まあ……璃奈ちゃんなら安心だよね)

侑(それと……)チラ


愛「────!」ググーッ

せつ菜「────!」ノビーッ


侑(……せつ菜ちゃん、今日も愛ちゃんと組んでるんだね)

侑(よかった、元気そうで……)ホッ

侑(もしかしたら、しばらく休んだりしちゃうかなって思ってたんだけど……ちゃんと来てくれてて安心……だね)

侑(……なんて、せつ菜ちゃんを傷つけた張本人の私が言えた口じゃないんだけどさ……)

侑「……」

侑(それにしても……)



愛「────」アハハ



侑(……愛ちゃんは、何を考えてるんだろう)

665 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 18:12:36.80 ID:n4b4eOKT.net
侑(先週の感じだと、てっきり歩夢にぐいぐい来るかなって警戒してたんだけど……)

侑(愛ちゃんからせつ菜ちゃんに声かけてたし、どういうことなのかな……?)

侑(だって、愛ちゃんは……)


───────


愛「アタシは歩夢が好き」

愛「本気だよ」


───────


侑(……歩夢のこと、好きって言ってたし)

侑(でもまあ……歩夢に近づいて来ないなら安心だしそれでいっか……)

侑「……!?」

侑(……いや、いやいやいや!私何考えてるの!?)

侑(愛ちゃんは友達なのに……!それなのに、歩夢に近づかない方が安心なんて……なんでそんなこと……)


───────


歩夢「いや……侑ちゃんって、結構ヤキモチ妬き屋さんなのかなって思って」ニコ


───────


侑「……っ、はぁ……」

侑(私、結構嫉妬深いのかな……?でも……)



侑(歩夢が愛ちゃんに……他の人に取られるなんて……そんなの考えたくないよ……)

666 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 18:13:49.40 ID:n4b4eOKT.net
〜練習後、部室〜



エマ「あれ、せつ菜ちゃん今日も居残り練習?」

せつ菜「ええ、今日もちょっと納得いかない箇所がありまして……」

愛「……なら、愛さんも残ろっかな!」

せつ菜・侑「!」

愛「いや〜アタシもちょっと確認したいところあるからさ」アハハ


璃奈「……私も、今日は残る」

愛・せつ菜・歩夢「!」

璃奈「確認したいところ、あるから」

かすみ「むむむ……それならかすみんも残ります!」

せつ菜・愛・璃奈「!」


かすみ「昨日は見逃しましたが……これ以上差をつけられるわけにはいきませんので!」

果林「見逃しって……かすみちゃんは一体どういう立ち位置なのよ」

かすみ「かすみんは部長です!なので他の人に負けるわけにはいかないんです!」

せつ菜「……かすみさん!!」ガシッ

かすみ「!?」

667 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 18:15:05.22 ID:n4b4eOKT.net
せつ菜「そのライバル精神……素晴らしいですね!おかげで私もさらにやる気が上がりました!!」

かすみ「ぐっ……かすみんだって負けませんよ!」

せつ菜「はい!私も負けません!」

果林「……じゃあ、私も残ろうかしら」

かすみ「えっ」

果林「……ダメ?」

かすみ「い、いや……別にいいですけど」

果林「そう……ならよかった」ニコ

せつ菜「頑張りましょう!!」

果林「ええ……といってもあくまで居残り練習だし、無理しない程度にね」

せつ菜「……はい!」


彼方「よ〜し、じゃあここは彼方ちゃんも〜……って思ったけど、夕食の準備しなきゃだから帰るねぇ」

エマ「私も課題やらなきゃだから帰るね」

歩夢「……私達も帰ろっか?」

侑「……そうだね」

璃奈「じゃあ、また明日」フリフリ

歩夢「うん、また明日ね」フリフリ



侑「……」

668 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 18:16:05.21 ID:n4b4eOKT.net
〜夜、上原家、歩夢の部屋〜



歩夢「はぁ……」ボフッ

歩夢(結局、侑ちゃんはお昼に何を言いかけてたのか……教えてくれなかったなぁ)

歩夢(……でも)


───────


侑「私は……歩夢のこと独り占めしたいの……!」

侑「他の人に取られるなんて……そんなのやだもん……」ギュッ


───────


歩夢(侑ちゃんが、あんなことを言ってくれるなんて……)

歩夢(前に愛ちゃんと考えた作戦のおかげで侑ちゃんが嫉妬してくれたことはあったけど……そんなことしなくても、侑ちゃんはちゃんと嫉妬してくれるんだ……)

歩夢「……ふふっ」

歩夢(ヤキモチ妬いちゃうのは、私だけじゃなかったんだね)

歩夢(それと、侑ちゃんには悪いけど……嫉妬してる侑ちゃんも可愛かったなぁ……)

歩夢(侑ちゃんでも、あんな表情するんだね……)

歩夢「……」

歩夢「……!?」

歩夢(いや、私何考えてるの……!?)

歩夢(嫉妬するのって辛いし苦しいことなのに……それを見て可愛いなんて……ましてや)



歩夢("嬉しい"だなんて……そんなこと思ったら、ダメだよ……!)

669 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 18:19:55.61 ID:n4b4eOKT.net
歩夢「はぁ……」

歩夢(……でも)

歩夢(あの侑ちゃんが、私に……)


───────


侑「こういうの……私以外にはしないでね」


───────


歩夢(……なんて、そんな台詞言ってくれるなんて……思わなかったんだもん……)

歩夢(いつだって嫉妬するのは私だけで、侑ちゃんはそんな私の気持ちには気がつかない……ずっとずっと、そんな関係が続くと思ってたから)

歩夢(だから……)

歩夢「……」ギュッ

歩夢(嫉妬してくれるくらい、私のことを好きでいてくれるのは嬉しいって)

歩夢(少しくらいはそう思っても……いいよね……?)

歩夢「……」

歩夢(なんて、聞いたら……)



歩夢(愛ちゃんなら、なんて答えてくれるかな……?)

670 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 18:22:58.41 ID:n4b4eOKT.net
〜一方その頃、中川家、菜々の部屋〜



菜々「はぁ〜……」ドサッ

菜々「今日も疲れました……」


菜々(寝不足のせいで昨日の疲れも取りきれてませんでしたし……予想通り、練習前は腹痛が酷かったですし)

菜々(授業や練習も、精彩を欠いてしまいました……)

菜々(このままではいけないと、頭ではわかっているのですが……)

菜々「はぁ……」


菜々(……ですが)

菜々(居残り練習は……楽しかったですね……)

菜々(愛さんに璃奈さん……そしてかすみさんと果林さん……あの四人となら、練習に集中できましたし……)

菜々(……まあ、昨日のかすみさんの発言には少々驚きましたけどね)

菜々「……」

菜々(……それでも)

菜々(歩夢さんと侑さんが一緒にいるところで練習するよりは……ずっと……)



菜々「……!」ガバッ

671 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 18:26:04.48 ID:n4b4eOKT.net
菜々(何を……何を考えているんですか私は……!?)

菜々(歩夢さんと侑さんがいないところなら、集中できるとでも言うのですか……!?)

菜々(勉強や練習が上手くいかないのを人のせいにするなんて……!)

菜々(これは……私の心の問題なんです!)

菜々(私が……私がちゃんと立ち直りさえすれば……)

菜々(侑さんへの"大好きの気持ち"さえ、ちゃんと消せれば……!)

菜々「……はぁ」

菜々(ダメですね、私……)

菜々(いつの間にか、また侑さんのことを考え始めてしまっています……)

菜々(少し……頭を冷やしましょう)

菜々「ふぅ……」



菜々(……また、眠くなるまで勉強でもしますか)

672 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 18:29:20.32 ID:n4b4eOKT.net
〜一週間後の朝、中川家、菜々の部屋〜



菜々「……ん」パチッ

菜々「……」

菜々(……また、勉強途中に寝落ちしてしまったようですね……)

菜々(ここのところ、毎日こんな感じのような……)

菜々「……っ」ズキッ

菜々(なんだか……体が痛いような……?)

菜々「……くしゅっ!」

菜々「……?」

菜々(風邪……でしょうか……?"また"何もかけずに寝てしまいましたし、体を冷やしてしまいましたかね……)

菜々(それに……体だけでなく、頭も重く感じるような……)

菜々(……まあでも、動けないという程ではありませんし……学校にはちゃんと行かないと……)

菜々「……」フラフラ


ガンッ


菜々「……ぃたっ!?」

菜々(あ、足の小指をぶつけてしまいました……!)

菜々「っつぅ……痛い……です……」

菜々「はは……ついて、ないですね……」

菜々「は、はは……」

菜々「は……」



菜々「……っ」ジワッ

673 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 18:32:27.54 ID:n4b4eOKT.net
菜々「う、うぅ……」グスッ

菜々(……ダメです)

菜々(ここで泣いたら……弱気になったら……ダメです……!)

菜々「……っ」ゴシゴシ

菜々(……大丈夫)

菜々(これは、私の心の問題ですから……)

菜々(弱気にならなければ、大丈夫なはずです……!)

菜々(私は……スクールアイドルですから……!)

菜々(皆に大好きを届ける優木せつ菜が……こんなことに負けていては、ダメですから……!)

菜々「だから……!」ググッ

菜々「今日も一日……頑張らなきゃ……!」ガバッ

菜々「はぁ……はぁ……」

菜々「……すぅー……はぁー……っ」

菜々「……」

菜々「……よしっ」



菜々「まずは……学校に行く準備でもしましょうか……!」フラフラ

674 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 18:35:43.44 ID:n4b4eOKT.net
〜放課後、学校、部室前〜



愛「思ったより時間かかっちゃったなぁ〜」タッタッタッ

愛(他の部活の助っ人、しばらくはやってる余裕ないから断ってたんだけど……まさかあそこまで粘られるとは……)

愛(そりゃ愛さんだって何もなかったら喜んで協力するけどさ……今はちょっと、ね……)

愛「遅れちゃったけど、開いてるかな……」

ガチャッ

愛(お!開いてる!誰か他にも遅れて来た人いるのかな?)

愛「お疲れー!」


璃奈「……愛さん」

愛「おっ、りなりーだったか」

璃奈「愛さんも今から?」

愛「うん、ちょーっと野暮用でね〜」

璃奈「そっか」

愛「りなりーも?」

璃奈「うん、焼き菓子同好会の皆に呼ばれて……これもらって来たの」スッ

愛「おおー!美味しそう!」

璃奈「皆の分もあるよ」

愛「やったー!」

675 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 18:38:47.28 ID:n4b4eOKT.net
璃奈「それと……これは愛さんにだけ」スッ

愛「え?」

璃奈「……色葉ちゃんが、愛さんに渡してほしいって言ってたの」

璃奈「色葉ちゃん、愛さんの大ファンだから」

愛「おお!マジで!?や〜これはウレシーなぁ、今度お礼言わなきゃだね」

璃奈「ちなみに、私も私だけのをもらった」

愛「ありゃ、そうなの?」

璃奈「うん、こっちは浅希ちゃんからだけど……『これは璃奈の為だけに作ったから』って、そう言って渡された」

愛「……なるほどねぇ」

愛(そういえば、あの子はりなりーにそういう視線向けてたもんなぁ……)

愛「……いやぁりなりーも隅に置けないね〜」

璃奈「?」

愛「はは、たぶんそのうちわかるよ」

璃奈「よくわからないけど……それと、あとは」



璃奈「歩夢さんだけのも、あるよ」

愛「……!」

676 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 18:42:04.92 ID:n4b4eOKT.net
璃奈「今日子ちゃんが、歩夢さんに渡してほしいって言ってたの」

愛「……そっか〜」

愛(歩夢……)

璃奈「……愛さん?」

愛「……はは、歩夢もなかなか隅に置けないね〜!」

璃奈「……」

愛「さてと……それじゃあこれは後でいただくとして、アタシ達も練習行かなきゃね!」

璃奈「そうだね」

愛「いや〜練習後に食べるの楽しみだな〜」

璃奈「……うん」



璃奈(……愛さん、また一瞬だけ難しい顔してた)

璃奈(本当に、どうしたんだろう……)

677 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 18:45:13.89 ID:n4b4eOKT.net
〜しばらくして、練習場所〜



愛「ゆうゆ〜!」

侑「!」

愛「遅れてごめんね、今何やってる?」

侑「ちゃんと連絡くれたし大丈夫だよ!……っと、今はストレッチが終わってランニングを始めたところだね」

愛「オッケー!んじゃその後の練習には少し遅れて参加するね」

侑「うん、わかった」

愛「よし、んじゃサクッとストレッチやっちゃおっか!」

璃奈「うん」

愛「おっと、そうだ……」

愛(せっつーも、ちゃんといるよね……?)


せつ菜「────」タッタッタッ


愛(……よかった、ちゃんといた)ホッ

愛(でも……)


せつ菜「────」ハァハァ


愛(なんか、いつもよりかなりペースが遅いような……?)

678 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 18:48:47.30 ID:n4b4eOKT.net
────そう思ったのも束の間


せつ菜「────」グラッ


────せっつーの足元が、不自然にもつれて


せつ菜「────」ズザァッ!


────正面から、勢い良くグラウンドへと叩きつけられて


せつ菜「────」


────そのまま、うつ伏せになった状態から起き上がる気配がなくて


愛「……!!」


────気がつけばアタシの身体は


愛「せっつー!!!!」


────一直線に、倒れたままのせっつー目掛けて駆け出していた

679 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 18:52:13.57 ID:n4b4eOKT.net
一旦ここまでです!!!!!

680 :名無しで叶える物語:2021/03/18(木) 19:35:33.26 ID:KiQooqOP.net
あいぽむの作戦のこと教えてないからゆうあいラインでも疑念が生まれちゃうのか
乙です

681 :名無しで叶える物語:2021/03/19(金) 01:21:04.55 ID:X+Yr2hHf.net
待ってた

682 :名無しで叶える物語:2021/03/19(金) 01:36:35.41 ID:JiqWgmTn.net
侑から見ると愛ちゃんの行動は明らかに変だろ...

683 :名無しで叶える物語:2021/03/19(金) 09:16:25.55 ID:kJxejlZW.net
ネタバラシしないとゆうぽむは依存はしても不信も孕みそうだ

684 :名無しで叶える物語:2021/03/19(金) 09:26:55.44 ID:AufrhACg.net
友達に相談したりそれに協力するのは普通のことだからな

685 :名無しで叶える物語:2021/03/19(金) 10:30:17.56 ID:5620OdYh.net
普通にネタバラシしても納得して終わりで話が転がらないし

686 :名無しで叶える物語:2021/03/19(金) 18:37:49.98 ID:/B2sRA1S.net
侑視点だと歩夢と愛の関係に何かありそうでモヤモヤするよね

687 :名無しで叶える物語:2021/03/20(土) 12:09:02.56 ID:GphYKprw.net
保守

688 :名無しで叶える物語:2021/03/20(土) 21:28:33.63 ID:dXrgcAiX.net


689 :名無しで叶える物語:2021/03/21(日) 13:41:58.38 ID:uLeEkHZi.net
保守

690 :名無しで叶える物語:2021/03/21(日) 23:09:59.80 ID:VzaQnV4s.net
保守

691 :名無しで叶える物語:2021/03/22(月) 03:28:07.72 ID:hk86UtEc.net
果林視点のスピンオフがいつか来ると俺は信じている

692 :名無しで叶える物語:2021/03/22(月) 17:20:08.64 ID:6kUB2Uaq.net
部しずかすあたりでも似たような話ができそう

693 :名無しで叶える物語:2021/03/23(火) 09:59:15.13 ID:vJuFwwdj.net
保守

694 :名無しで叶える物語:2021/03/23(火) 17:44:24.51 ID:qLbSA9Vd.net


695 :名無しで叶える物語:2021/03/24(水) 09:05:56.15 ID:zuHsvmKc.net
保守

696 :名無しで叶える物語:2021/03/24(水) 22:42:53.60 ID:XqAR7cYH.net
保守

697 :名無しで叶える物語:2021/03/25(木) 16:07:59.47 ID:V3L5w210.net
保守

698 :名無しで叶える物語:2021/03/26(金) 01:47:28.60 ID:gZ75xHKj.net
私待つわ

699 :名無しで叶える物語:2021/03/26(金) 22:05:27.98 ID:uX/6APKn.net
保守

700 :名無しで叶える物語:2021/03/27(土) 16:47:27.82 ID:IhdmeGmj.net
保守

701 :名無しで叶える物語:2021/03/28(日) 03:57:06.10 ID:ugg63iGm.net
かりかすみたいな関係すき

702 :名無しで叶える物語:2021/03/28(日) 23:12:18.47 ID:jQ83BSUo.net
保守

703 :名無しで叶える物語:2021/03/29(月) 20:12:21.79 ID:TqJxAJGd.net
保守

704 :名無しで叶える物語:2021/03/30(火) 00:13:02.40 ID:RXrYAZM8.net
保守

705 :名無しで叶える物語:2021/03/30(火) 21:26:43.96 ID:clQkfFcM.net
保守

706 :名無しで叶える物語:2021/03/31(水) 11:20:53.37 ID:LrvWuwrU.net


707 :名無しで叶える物語:2021/03/31(水) 23:13:03.32 ID:8zYNgbCr.net
保守

708 :名無しで叶える物語:2021/03/31(水) 23:31:05.42 ID:mu1NzpiD.net
〜少し前、部室前〜



せつ菜「はぁ……はぁ……」フラフラ

せつ菜(お腹の痛みは……なんとか落ち着きましたが……)

せつ菜(今は……なんだか凄く頭がボーっとするような……)

せつ菜(連日の寝不足のせい……?それともやはり風邪を……?)

せつ菜(それなら、休んでしまっても……)

せつ菜「……っ」

せつ菜(……ダメです)

せつ菜(今休んでしまったら……ここで逃げてしまったら……)

せつ菜(きっと私はもう、この場所には……!)

せつ菜(だから、意地でもなんでもいいので……!)

せつ菜「すぅ……はぁ……」

せつ菜「……」

せつ菜「……!」カッ


ガチャッ


せつ菜「お疲れ様です!」

せつ菜(この場所から、逃げるわけにはいかないんです……!!)

709 :名無しで叶える物語:2021/03/31(水) 23:32:24.74 ID:mu1NzpiD.net
かすみ「あっ、せつ菜先輩!」

エマ「こんにちは、せつ菜ちゃん」

せつ菜「こんにちは!……っと、今日はなんだか人が少ないですね……?」

かすみ「あれ、メッセージ見てませんか?」

せつ菜「?え、ええ……そうですね、見てませんが」

エマ「そっか、ならしょうがないね」


かすみ「しず子はいつも通り演劇部、彼方先輩は今日は早い時間からバイトで……果林先輩は読モの仕事だとかなんかで、みーんなお休みなんですよ〜」

エマ「それと、愛ちゃんと璃奈ちゃんはちょっと遅れるって」

せつ菜「愛さんと璃奈さんが……?」

エマ「うん……と言っても、璃奈ちゃんは焼き菓子同好会に寄ってくるだけだから……そんなにはかからないんじゃないかな」

かすみ「愛先輩の方は他の部活の人に捕まってるとか書かれてましたけど……」

エマ「きっとまた助っ人のお話だよ〜」

せつ菜「助っ人……」

かすみ「ふふん、皆が休んだり遅れたりしてる間もかすみんはちゃんと真面目にやっちゃいますよ!それで同好会人気ナンバーワンはかすみんのものに……!」

エマ「かすみちゃんは頑張っててえらいね〜」ナデナデ

かすみ「えへへ……って!さりげなくかすみんを懐柔してナンバーワンの座を横取りするつもりですね!?そうはさせませんよ!」

エマ「ええ?そんなつもりじゃなかったんだけどなぁ」

かすみ「全く、油断も隙もないですね……ん?」


せつ菜「……」

かすみ「せつ菜先輩?」

せつ菜「……え?」

710 :名無しで叶える物語:2021/03/31(水) 23:33:20.06 ID:mu1NzpiD.net
かすみ「どうかしましたか?なんだかボーッとされてましたけど」

せつ菜「えっ……そ、そうでしたか?」

かすみ「てっきり『私も負けてられませんね!うおおおお!』って乗ってくるかな〜なんて思ってたんですけど」

エマ「わぁ、それせつ菜ちゃんのモノマネ?かわいい!」

かすみ「そ、そうですか?えへへ……じゃなくて!」

エマ「?」

かすみ「せつ菜先輩がボーッとしてるって話ですよ!」

せつ菜「……すみません、確かにちょっとボーッとしてたかもしれません」

かすみ「ふふん……その調子なら、かすみんが人気ナンバーワンの座になる日も近いですね!」

せつ菜「ま、負けませんよ……!」

エマ「ふふ、じゃあ私も負けないよ〜」


ガチャッ


侑「戻ったよ〜」

歩夢「ごめんね、待たせちゃったかな……?」


せつ菜「……!」ズキッ

711 :名無しで叶える物語:2021/03/31(水) 23:34:10.75 ID:mu1NzpiD.net
かすみ「あ〜やっと戻ってきましたね!」

侑「ごめんごめん、ちょっとトイレが混んでて……」

エマ「大丈夫だよ〜まだ時間になってないし」

歩夢「ならよかったです……」ホッ

せつ菜「……」ズキズキ

かすみ「ひとまず、これで今集まれるメンバーは揃いましたね!」

エマ「じゃあ練習行こっか〜」

侑「……そうだね!」

歩夢「うん」

せつ菜「は、はい……」ズキズキ

せつ菜「……っ」ズキズキ



侑「……」

712 :名無しで叶える物語:2021/03/31(水) 23:35:03.03 ID:mu1NzpiD.net
〜練習中〜



侑「それじゃあまずはストレッチから!」



せつ菜(ど、どうしましょう……)

せつ菜(ここ最近はずっと愛さんがすぐに声をかけてくださってたおかげで、特に何も考えずに済んでいましたが……今日はまだ、愛さんがいません……)

せつ菜(……ゆ、侑さんか歩夢さんとやることになったら気まずすぎますから……は、早くエマさんかかすみさんに声をかけないと……!)

せつ菜「あっ……あのっ」


かすみ「せつ菜せーんぱいっ」

せつ菜「!」

かすみ「かすみんと!一緒にやりませんか?」

せつ菜「は……はい!是非お願いしますっ!」ズイッ

かすみ「わ!?ち、近いですよ……!」

せつ菜「あっ、すっすみません……」


エマ「じゃあ私達でやろっか〜」

歩夢「は、はい!」


侑(今日は私が手伝う必要なし……か)

侑「……」



侑(エマさんなら安心……だよね?)

713 :名無しで叶える物語:2021/03/31(水) 23:36:25.45 ID:mu1NzpiD.net
〜しばらくして〜



侑「じゃあ次はランニングね!」



かすみ「今日はかすみんが一位を取ります!」ダッ

エマ「負けないよ〜!」ダッ

歩夢「わっ……ふ、二人とも待って!」ダッ

せつ菜「……っ」ダッ



せつ菜「はぁっ……はぁっ……!」

せつ菜(なんでしょう……いつにも増して、体が重く感じます……)

せつ菜(いつも以上に全身が熱くて……呼吸が整いません……)

せつ菜(頭も……どんどんボーッとしてきて……思考が……)

せつ菜(……あ……なんだか……視界がチカチカと……点滅────)


グラッ

ズザァッ!


せつ菜「────ッ」

714 :名無しで叶える物語:2021/03/31(水) 23:37:37.61 ID:mu1NzpiD.net
────気がつけば、私の体は地面に伏していて


せつ菜「……ぇ……」


────起き上がろうにも、起き上がれなくて


せつ菜「……?」


────まだ明るい時間のはずなのに、私の視界にはチカチカと星が瞬いていて


せつ菜「……」


────頭はどんどんボーッとしていく一方で、手足にはビリビリとした痺れを感じ始めて


せつ菜「……ぁ……」


────助けを求めようにも、声が出なくて


せつ菜「…………っ」


────それでも、私の耳には


「せっつー!!!!」


────あの人の叫び声だけは、きちんと届いていました

715 :名無しで叶える物語:2021/03/31(水) 23:38:42.57 ID:mu1NzpiD.net
〜そして現在〜



愛「せっつー!!大丈夫!?」ザッ

せつ菜「……ぁ……」

愛(はっきりとした返事が返ってこない……!)

愛「せっつー、アタシの声は聴こえる……?」トントン

せつ菜「……ぅ……」コクッ

愛「よかった!……なら、アタシの手は見えてる?」ヒラヒラ

せつ菜「……?」

愛(これは……見えてない……?意識はあるみたいだけど……これ、かなりやばい状態なんじゃ……!?)


侑「愛ちゃん!」

エマ「せつ菜ちゃん大丈夫!?」

かすみん「ど、どうしちゃったんですか一体!?」

歩夢「な、なにが……!?」

璃奈「せつ菜さん……!?」

愛「今確認中……ひとまず、ゆうゆとエマっちと歩夢の三人で保健室行って先生呼んできてもらえる?あともし担架があるならそれも取ってきてほしい!」

侑「わ、わかったよ!」

エマ「任せて!」

歩夢「う、うん!」


璃奈「私は?何をしたらいい?」

かすみ「か、かすみんも……何か……!」

愛「りなりーとかすみんはひとまず飲み物とタオル持ってきて、たぶんその辺りにあるはずだから」

璃奈「わかった」

かすみ「は、はい!」

716 :名無しで叶える物語:2021/03/31(水) 23:39:57.72 ID:mu1NzpiD.net
愛「せっつー……」

愛(ひとまず、聴覚は機能してるみたいでよかった……でも、視覚が……?)

愛「せっつー、ちょっとおでこ触るよ」スッ

せつ菜「……」コクッ

愛「……あっつ!?」

愛(なっ……なにこれ、こんな熱ある状態で走ってたの!?)

愛「は、早く冷やさないと……!」

愛(保健室に……!でも、この状態でおんぶしたり抱っこしたりして大丈夫なのかわからないし……ひとまずゆうゆ達が担架持ってくるまでは待つしか……!)


かすみ「あ、愛せんぱーい!」タッタッタッ

愛「!」

璃奈「飲み物とタオル、持ってきた……!」タッタッタッ

愛「ありがと!ちょうど欲しかったんだ!」


愛「ひとまずタオルを枕にして……そんでうつ伏せから回復体位に……せっつー、ちょっと動かすよ……?」

愛「……よし……で、気道の確保は……呼吸はできてるみたいだし、大丈夫そうだね」

愛「なら、とりあえずペットボトルをタオルで包んで脇に……せっつー、ちょっと腕持ち上げるね」

愛「で、後はおでこにも……よし、とりあえず高熱への対処はこれでなんとか……」

愛「後は……飲み物も飲めればよさそうなんだけど……ちょっと今は怪しいな……」

かすみ「あ、愛先輩……せつ菜先輩どうしちゃったんですか……?」

愛「とりあえず……今は高熱と、それと……」



愛「目が……ちゃんと見えてないみたい」

かすみ「え!?」

璃奈「め、目が……?」

717 :連投規制解除できなくなったので3分置きの投下になります:2021/03/31(水) 23:43:19.28 ID:mu1NzpiD.net
せつ菜「……ぁ……ぁと……」

愛「!せっつー?どしたの?」ズイッ

せつ菜「……ぇ……ぁ……」

愛「……大丈夫、愛さんはここにいるから……ゆっくりで大丈夫だから……」

せつ菜「……ぇ……て……」

せつ菜「て……が……」

愛「手……?」チラ

せつ菜「ぁ……ぁし……し……しび……れ……」

愛「……手と足が、痺れてるの……?」

せつ菜「……ぅ……」コクッ

愛「……!わかった、教えてくれてありがとね」

愛(手と足の痺れ……それと呂律も回ってない……これは……)



愛(ただの高熱……じゃない……?)

718 :名無しで叶える物語:2021/03/31(水) 23:46:26.21 ID:mu1NzpiD.net
〜夕方、病院〜



愛(あの後……ゆうゆ達は保健室の先生を連れて戻ってきてくれた)

愛(でも、先生曰く救急車を呼んだ方がいいって話になって……せっつーはそのまま病院に運ばれることになった)

愛(付き添いは先生と、せっつーの状態を見てたアタシ……それから、部長ということでかすみんも一緒に来ることになった)

愛(その日の活動はそのまま中止で、残った皆もついてきたいって話になったけど……救急車の定員オーバーってことと、遅くなるかもしれないからということで……無理矢理先生に帰らされた)

愛(だから、せっつーの安否報告はアタシとかすみんの二人に任されることになったんだけど……)



〜病院内、待合室〜



かすみ「ぅ……うぅ……」グスッ

愛「かすみん……」

かすみ「かすみんが……わたしが……!」ポロポロ

かすみ「ちゃんと……ちゃんと気を付けてれば……せつ菜先輩は……!」ポロポロ

愛「……ハンカチ、使いなよ」スッ

かすみ「うぅ……あ、ありがとうございます……」

愛「それと……せっつーが倒れたのは、かすみんのせいじゃないから」

愛「だから……そんなに自分を追い込まなくてもいいんだよ」

かすみ「でも……でも……!」



愛「かすみん」ギュッ

かすみ「!」

719 :名無しで叶える物語:2021/03/31(水) 23:49:46.71 ID:mu1NzpiD.net
愛「せっつーはさ、自分が倒れたのをかすみんの……誰かのせいにするような子じゃないと思うんだ」

かすみ「ぅ……」グスッ

愛「だから、自分を責めるよりも……今はせっつーの無事を祈ろうよ」

かすみ「せつ菜先輩の……無事を……」

愛「うん!」

愛「それでさ、せっつーが回復したら……とびっきりの笑顔で会いに行こうよ」

愛「回復してよかったー!って、皆でお祝いしに行こう!」

かすみ「お祝い……ですか」

愛「そ!……だからさ」


愛「自分を……そんなに責めないであげてよ」ポンッ

かすみ「愛先輩……」

愛「……涙なら、いくらでも流していいから……ね?」ポンポン

かすみ「うぅ……!」ポロポロ

愛「よしよし……」ナデナデ

愛(かすみん……ごめんね、責任感じさせちゃって……)

愛「……」ナデナデ

愛(本当に責任を感じるべきなのは……本当に悪いのは……)



愛(……アタシ、なのにね)

720 :名無しで叶える物語:2021/03/31(水) 23:53:02.98 ID:mu1NzpiD.net
〜しばらくして〜



愛「……落ち着いた?」

かすみ「はい……」グスッ

愛「そっか、ならよかった」ポンポン

かすみ「ん……」



果林「かすみちゃん!愛!」

かすみ「!」

愛「カリン……?えっ、読モの仕事は!?」

果林「もう終わったわ……それで、帰ろうとしてたときにちょうどせつ菜が倒れたって連絡を見て急いで来たのよ」

愛「そっか……ありがとね、来てくれて」

果林「ええ……それで、せつ菜は?」

かすみ「……まだ、何もわかりません……」

果林「そう……」

かすみ「……」

果林「……かすみちゃん」

かすみ「……なんですか」

果林「隣、座ってもいいかしら?」

かすみ「……どうぞ」

果林「ありがとう」スッ

かすみ「……」



果林「……大丈夫よ」ギュッ

かすみ「!」

721 :名無しで叶える物語:2021/03/31(水) 23:56:05.85 ID:mu1NzpiD.net
果林「せつ菜はそう簡単にやられる子じゃないわ……きっと無事よ」

かすみ「……わかってますよ」

果林「ふふ、それならいいんだけど……さっきまで泣いてたみたいだから……ね?」ナデナデ

かすみ「!な、なんでそれを……!」

果林「目元、赤くなってるから」

かすみ「!」バッ

果林「それに……さっきまで愛に慰められていたみたいだし、ね」チラ

愛「!」

かすみ「み、見てたんですか!?」

果林「ええ、頭ポンポンされてたわね」

かすみ「まさか……かすみんが愛先輩の胸に優しく抱かれながら涙を流していたところも!?」

果林「……そんなことしてたの?」

愛「まあ、言い方はアレだけど……間違ってはいないね」ハハ

かすみ「えっ、そっそこは見てなかったんですか!?」

果林「ええ、まあ……着いたのは本当についさっきだから」

かすみ「ぐっ……これはまんまとしてやられました……!まさかこんな誘導尋問に引っ掛かってしまうなんて……!」

果林「別にそんなつもりはなかったのだけど……」

愛「あはは、かすみんが勝手に自己申告しただけなのにね」

かすみ「ぐぬぬ……!」

722 :名無しで叶える物語:2021/03/31(水) 23:59:28.49 ID:mu1NzpiD.net
果林「……私の胸でも泣いていいのよ?」

かすみ「泣きません!」

果林「あら、残念ね」

かすみ「……だって、何されるかわかったものじゃないですから」ボソッ

果林「?何か言ったかしら?」

かすみ「なんでもないです!」

果林「そう?」

かすみ「そうです!」


愛「……へへ」

愛(かすみん、カリンが来たら元気になったみたいでよかった)

愛(……こんな風に、せっつーも元気になってくれたらいいんだけどな)



保健室の先生「……あなた達、少しいい?」

愛「あっ、先生!」

「……あなた達が、菜々の付き添いで来てくれた子達かしら?」

愛「はい!……ん?」

かすみ「えっと……先生、この人は?」

「ああ……ごめんなさいね、名乗りもせずに話し出してしまって」

果林「いえ……」

「はじめまして、私は────」



菜々母「────中川菜々の、母です」

愛・かすみ・果林「……!!」

723 :名無しで叶える物語:2021/04/01(木) 00:02:31.99 ID:vFIFJuC8.net
愛(この人がせっつーの……!)

かすみ(母親……!?)

果林(娘が倒れたのだから当然と言えば当然だけど……もしかしてこの状況、まずいんじゃないかしら……?)


菜々母「まずは……娘が迷惑をかけてしまったようで、ごめんなさいね」ペコリ

かすみ「そんな……!迷惑だなんて……!」

菜々母「先程先生から聞きましたけど、倒れた直後は処置をしてくださったとか……」

愛「まあ処置と言っても、簡単なことしかできませんでしたけどね……」

菜々母「それでも、何もせずにいたよりは良かったでしょうから……感謝しています」

果林「……菜々さんのお母様も、先生から話を聞いて来られたんですか?」

菜々母「ええ、学校から電話が来てそれで……ね」

果林「そうでしたか……」

保健室の先生「……それで、中川の状態だけど」

愛・かすみ・果林「!」



保健室の先生「おそらく今日は面会できる状態にまで回復しなさそうだから……後はお母様に任せて、私達は帰宅しようという話になった」

愛「えっ……」

かすみ「回復しなさそう、って……そんな……!」

果林「そんなに酷い状態なんですか……?」

保健室の先生「……この子達にも、話してよろしいですか?」

菜々母「……はい、大丈夫です」

保健室の先生「ありがとうございます……では、今の中川の状況だけど────」

724 :名無しで叶える物語:2021/04/01(木) 00:05:48.68 ID:vFIFJuC8.net
〜しばらくして、病院からの帰り道〜



愛(先生から聞いたせっつーの容態は……想像していたよりも酷いものだった)

愛(アタシが把握していた高熱、手足の痺れ、呂律が回らない、目が見えないなどの症状だけでなく……あれから意識がはっきりしなくなり、まともにコミュニケーションが取れなくなってしまったらしい)

愛(今のところ原因は不明……ひとまずは点滴を打ちながら衰弱状態になるのを防ぎつつ、一晩病院で様子を見ることになった)

愛(……以上が、先生から受けた説明の概要)


愛(かすみんは自分も一晩病院に残りたいと主張したけど、先生にそれはダメだと言われて……結局アタシ達三人共帰宅することとなった)

愛(カリンの登場で元気を取り戻したかに見えたかすみんは……再び今にも泣きそうなくらい落ち込んだ表情に戻ってしまっていて)

愛(カリンも、いつもの余裕ある大人びた雰囲気はなくて……今はかすみんが崩れないよう寄り添うので一杯一杯といった様子で)

愛(アタシにできることも……最早何もない状態で……)

愛(そして……なによりもまずいのが……)



かすみ「……せつ菜先輩がスクールアイドルやってること……親にバレちゃいましたね……」

愛「……」

725 :名無しで叶える物語:2021/04/01(木) 00:09:22.49 ID:vFIFJuC8.net
果林「こんな事態になった以上、仕方ないけれど……でも……」

かすみ「こんな……こんな形でバレちゃうなんて……!」

愛「……」


愛(せっつーは本名の『中川菜々』ではなく、わざわざ『優木せつ菜』という偽名を使って正体を隠しながら活動している)

愛(しかし、その事実を"一番隠したかった相手"である両親に"このタイミング"でバレてしまったということが、せっつーが『優木せつ菜』で在り続けることに対してどれほど都合が悪いか……真実を知るアタシ達には十分すぎる程わかっていて)

愛(アタシ達の脳裏に、最悪の結末が浮かぶ────)

かすみ「せつ菜先輩……」



かすみ「同好会……辞めさせられたり、しませんよね……?」

愛「……っ」

かすみ「かすみんは……そんなの嫌ですよ……!」

果林「かすみちゃん……」

かすみ「せつ菜先輩は、かすみんの大事な……大事なライバルなんですから……!」

かすみ「こんな……こんなところでいなくなるなんて……そんなの……!」グスッ

果林「……」ギュッ

かすみ「う、うっ……うぅ……」ポロポロ

果林「ひとまず、今日は帰って休みましょう?」

かすみ「でも……っ」グスッ

果林「……かすみちゃんにまで倒れられたら、私が耐えられる自信がないの……だからお願い、ね?」

かすみ「……」

かすみ「わかり、ました……」

果林「……愛も、今日は帰ってゆっくり休みましょう?私達が心配のしすぎで倒れてたら……回復して元気になったせつ菜を困らせてしまうでしょうし、ね」ニコ

愛「……そう、だね」



愛「アタシ達も、倒れないように気を付けなきゃ……ね」ニコ

726 :名無しで叶える物語:2021/04/01(木) 00:12:27.45 ID:vFIFJuC8.net
一旦ここまでです……!

727 :名無しで叶える物語:2021/04/01(木) 00:14:19.64 ID:KgUp1hzI.net
せつ菜でここまでなるなら歩夢が振られたらその場でショック死しそう

728 :名無しで叶える物語:2021/04/01(木) 01:05:26.08 ID:7sapc6Fe.net
倒れる描写がリアル過ぎる
あとかすかり助かる

729 :名無しで叶える物語:2021/04/01(木) 01:06:12.73 ID:xbAoX91N.net

想像以上にヤバい展開で続きが気になる

730 :名無しで叶える物語:2021/04/01(木) 02:08:50.01 ID:c1FUOITh.net

毎回更新が楽しみ

731 :名無しで叶える物語:2021/04/01(木) 07:06:51.90 ID:jnlMOMRC.net
>>727
まあ実際自殺したしな

732 :名無しで叶える物語:2021/04/01(木) 20:45:52.81 ID:1HT/JikN.net
拗れるなぁこれは

733 :名無しで叶える物語:2021/04/02(金) 08:23:32.21 ID:4Rr1Ggn7.net
次も楽しみ

734 :名無しで叶える物語:2021/04/02(金) 18:10:53.81 ID:qFracXlU.net


735 :名無しで叶える物語:2021/04/03(土) 10:30:46.55 ID:EBH3b/h1.net
保守

736 :名無しで叶える物語:2021/04/03(土) 21:48:12.96 ID:EBH3b/h1.net


737 :名無しで叶える物語:2021/04/04(日) 19:44:09.52 ID:/26nPHil.net
保守

738 :名無しで叶える物語:2021/04/05(月) 00:53:57.59 ID:ZITF+l0j.net
保守

739 :名無しで叶える物語:2021/04/05(月) 16:35:09.95 ID:rzFx1PV0.net
保守

740 :名無しで叶える物語:2021/04/06(火) 11:39:46.30 ID:827WYDPE.net
保守

741 :名無しで叶える物語:2021/04/06(火) 18:39:59.61 ID:2zJFi0J1.net
〜夜、高咲家、侑の部屋〜



侑「……」


侑(さっきかすみちゃんから来たメッセージに書かれてたせつ菜ちゃんの容態……まさか、今夜は病院から帰れないだなんて……)

侑(せつ菜ちゃん……大丈夫かな……)

侑「……」ギュッ


侑(もしも……もしも私がせつ菜ちゃんのことをちゃんと見ていれば、きっとこんなことにはならなかったはず)

侑(だけど私は……せつ菜ちゃんと別れて以来、せつ菜ちゃんから目を逸らしてばかりで……練習中ですら、せつ菜ちゃんのことをあまり見られないでいた)

侑「……っ」ズキッ

侑(私が……私がせつ菜ちゃんから目を逸らしていなければ……こんなことにはならなかったのに……!)

侑(だから、せつ菜ちゃんが倒れたのは……)



侑「私のせい、だ……!」

742 :名無しで叶える物語:2021/04/06(火) 18:40:51.65 ID:2zJFi0J1.net
侑(でも……でも……!)

侑(私の手は、せつ菜ちゃんにはもう……!)


───────


せつ菜「だから……その手は……」

せつ菜「私じゃなくて……」



せつ菜「歩夢さんに、差し伸べてあげてください……」ニコ…


───────


侑「……ッ!」ズキズキッ

侑(なら……それなら……!)

侑(今の私が……!せつ菜ちゃんにできることなんて、もう何も……!)


侑「はぁ……はぁ……!」ズキズキ

侑(せつ菜ちゃんを助けたいのに……!)

侑「はぁ……ぐっ……!」ズキズキ

侑(だけど……今の私には歩夢がいるから、せつ菜ちゃんのことはもう……!)

侑「ぅ……うぅ……っ」ズキズキ

侑(痛い……痛いよ……)

侑「はぁっ……はぁっ……」ズキズキ

侑(やだ……嫌だよ……!)

侑「……けて……」ズキズキ



侑「たすけて……ぁゆむぅ……!」グスッ

743 :名無しで叶える物語:2021/04/06(火) 18:41:38.05 ID:2zJFi0J1.net
〜同時刻、上原家、歩夢の部屋〜



ピコン

歩夢「!」

歩夢(こんな時間に電話……?誰から……)スッ


『着信中:高咲侑』


歩夢「!」バッ

歩夢「もしもし侑ちゃん?どうし────」



侑『────ぁゆむ』グスッ

歩夢「!?侑ちゃん!?どうしたの!?」

侑『いたいの……』ヒック

歩夢「痛い……!?えっ大丈夫!?」

侑『たすけて……あゆむ……』グスッ

歩夢「え、えっと……!侑ちゃん今どこに……!?」

侑『へや……』ヒック

歩夢「え?」

侑『自分のへや……』グスッ

歩夢「そ、そっか……!」ホッ

歩夢(よかった!外だったらどうしようかと……)

侑『……あゆむに会いたい』

歩夢「……えっ」ドキッ

侑『ぎゅってしてほしい……』

歩夢「ゆ、侑ちゃん……?本当に大丈夫……?」

侑『……来てくれないの?』グスッ

歩夢「今行くよ」スクッ

744 :名無しで叶える物語:2021/04/06(火) 18:42:29.94 ID:2zJFi0J1.net
〜高咲家、侑の部屋〜



ガチャ

歩夢「侑ちゃん!大丈夫!?」

侑「……あゆむ?」グスッ

歩夢「!侑ちゃん!」ダッ

侑「あゆむ……!」

ギュッ

歩夢「侑ちゃん……!」ギューッ

侑「あゆむぅ……!」ギューッ

歩夢「よしよし……」ナデナデ

侑「うぅ……」ギューッ

歩夢「……」ナデナデ

歩夢(侑ちゃんがこんな風になるなんて……)

歩夢「侑ちゃん、さっき電話で痛いって言ってたけど……大丈夫?」

侑「……」ギューッ

歩夢「侑ちゃん……?」

侑「……うん」



侑「歩夢にぎゅってしてもらったら……治ったよ」ニコ…

歩夢「!……よかった」ニコ

745 :名無しで叶える物語:2021/04/06(火) 18:45:43.38 ID:2zJFi0J1.net
歩夢「……」ナデナデ

侑「ん……」

歩夢「……侑ちゃん」

侑「?」

歩夢「何があったか……聞いてもいいかな……?」

侑「……」


侑「……あのね」

侑「今日……せつ菜ちゃんが倒れたことについてなんだけど」

歩夢「!」

侑「私がちゃんとせつ菜ちゃんのことを見ていれば……あんな風にはならなかったんじゃないかなって思って……」

歩夢「侑ちゃん……」

侑「でも……今の私は、せつ菜ちゃんにはもう……」

歩夢「……」



侑「……情けないよね、私」

歩夢「え……?」

746 :名無しで叶える物語:2021/04/06(火) 18:46:52.27 ID:2zJFi0J1.net
侑「自分からせつ菜ちゃんを突き放して傷つけた癖に……心の奥底では未だにせつ菜ちゃんに手を差し伸べたがってるなんて、さ」

歩夢「……」

侑「でも、"今の私"がせつ菜ちゃんに手を差し伸べたとしても……せつ菜ちゃんを余計に傷つけるだけで、何の救いにもならないってわかってるから……だから、結果として何もできないでいるんだ……」

歩夢「侑ちゃん……」

侑「助けたいのに助けられないって、こんなに苦しいんだね……」ハハ…

歩夢「……っ」

侑「しかも……それを歩夢に愚痴って、こうして慰めてもらってるなんてさ……本当に、情けなくてしょうがないよ……」

歩夢「そんなこと……!」

侑「あるよ」

歩夢「っ」

侑「……ごめんね、今の私……凄く嫌な子だ……」

歩夢「侑、ちゃん……」

侑「けど私……どうしたらいいかもうわからなくて────」


ギュッ


侑「────!?」

歩夢「……いいよ」



歩夢「わからなくても、いいんだよ」

侑「……え?」

747 :名無しで叶える物語:2021/04/06(火) 18:47:54.93 ID:2zJFi0J1.net
歩夢「情けなくてもいいよ」

歩夢「嫌な子でもいいよ」

歩夢「侑ちゃんがどんな風になっても……私は侑ちゃんのことを嫌いになんてなったりしないから」

侑「歩夢……」

歩夢「侑ちゃんが苦しいなら、私にもその苦しみを分けてほしいし」

歩夢「侑ちゃんが悲しいなら、私にもその悲しみを分けてほしい」

歩夢「どんなときでも、侑ちゃんのそばにいたいの」

歩夢「だから……」スッ



歩夢「私の前では、無理に格好つけようとしなくたって……いいんだよ」ニコッ

侑「……!」

歩夢「……あっ、もちろん格好つけようと頑張ってる侑ちゃんも好きだよ?でもそれとはまた別で、私の前では肩肘張らなくていいというかありのままの侑ちゃんでいてもらいたいというか……あっいや、いてもらいたいっていうのは私の願望であって無理に侑ちゃんに押し付けるわけじゃなくて、基本的には自然体でいてくれて大丈夫というかなんていうかあのその」

侑「……ぷっ」

歩夢「だから……え?」

侑「ふふっ……途中まではカッコよかったのに……」クスクス

歩夢「ちょ、ちょっと……!何笑ってるの侑ちゃん……!」

侑「いや、だって歩夢が」

歩夢「……もう!私は真剣に言ってたのに!」

侑「はは……」



侑「……ありがとね、歩夢」

歩夢「……うん、どういたしまして」

748 :名無しで叶える物語:2021/04/06(火) 18:49:05.10 ID:2zJFi0J1.net
侑「……ね、今日もうちに泊まっていかない?」

歩夢「いいの?なんだか最近はほぼ毎日泊めてもらってるような気がするけど」

侑「いいよ!その方が長く歩夢と一緒にいられるし!」ギュッ

歩夢「そ、そっか……」カァァァ

侑「……あっ、もちろん歩夢が良ければだけど……さ」パッ

歩夢「……それじゃあ、今日も泊めさせてもらうね」ニコッ

侑「やったー!」

歩夢「ふふっ」


侑「いや〜最近はホントに歩夢の温もりなしじゃ寝られない体になってきててさぁ」

歩夢「えっ!?」ドキッ

侑「抱き心地も最高だし……ホントに歩夢がいてくれてよかった!」ギュッ

歩夢「だ、抱き心地って……何言ってるの侑ちゃん!」カァァァ

侑「へへ……でも、ホントのことだよ?」

歩夢「!も、もう……!」フイッ

侑「あ〜目逸らした〜!こっち向いてよ歩夢〜」

歩夢「ダメです」フイッ

侑「むぅ……それなら」


チュッ


歩夢「……へっ」

749 :名無しで叶える物語:2021/04/06(火) 18:52:23.28 ID:2zJFi0J1.net
侑「へへ……ほっぺにちゅーしちゃった……」

歩夢「ゆ、侑ちゃ……!?」

侑「あ、こっち向いてくれたね」ニッ

歩夢「い、いきなり何するの……!」ポムポム

侑「え〜?だって歩夢が私にイジワルするから」

歩夢「そ、それは……だって侑ちゃんが……!」

侑「それに……」スッ

フニッ

侑「……歩夢のほっぺ、柔らかそうだな〜って思ってさ」ニシシ

歩夢「なっ」

侑「おお、指で触るのも楽しいねこれ」フニフニ

歩夢「……もう!」ガバッ

侑「わっ」


ドサッ


侑「……あら?」

歩夢「……」ジーッ

侑「えっと……歩夢?どうしたの、そんな怖い目で見下ろしたりして……」

歩夢「……侑ちゃんが悪いんだからね」

侑「え?」

750 :名無しで叶える物語:2021/04/06(火) 18:55:42.34 ID:2zJFi0J1.net
歩夢「……それっ」コチョコチョコチョコチョ

侑「!?ぷはっ、歩夢っやめっ」ジタバタ

歩夢「やめませーん」コチョコチョコチョコチョ

侑「ダメっくすぐった……!やめ、しんじゃうからっ」ジタバタ

歩夢「ダメでーす」コチョコチョコチョコチョ

侑「ちょ、歩夢ホントに……んっ」ビクッ

歩夢「あっ」パッ

侑「はぁっ……はぁっ……」

歩夢「えっ、と……ごめん、ね?」

侑「……どうして、謝るの?」

歩夢「だって、今……」

侑「……」

侑「……いいよ」

歩夢「え?」



侑「歩夢なら、いいよ……?」

751 :名無しで叶える物語:2021/04/06(火) 18:58:48.09 ID:2zJFi0J1.net
歩夢「……!?」ドキッ

侑「……」ジッ

歩夢「あ、あの……侑ちゃん……?」ドキドキ

侑「……歩夢」ジーッ

歩夢「うっ……え、えっと……」ドキドキ

侑「……」

歩夢「あの……」

侑「……そろそろ寝よっか」

歩夢「え?」

侑「私、歯磨いてくるね」スクッ

歩夢「ゆ、侑ちゃん……?」

侑「歩夢も、一旦家に戻って磨いて来なよ」

歩夢「う、うん……」スクッ

歩夢「じゃあ……また後でね?」

侑「うん」フリフリ



バタン



侑「……ふぅ」

侑(私、何してるんだろ……)

侑(歩夢に、もっと触ってほしかったのかな……)

侑(もっと触ってもらって、それで……)

侑「……っ」ブンブンッ

侑(何考えてるの私……!せつ菜ちゃんが大変なときにそんな……!)

侑「はぁ……」



侑「ホントに……情けないな、私……」

752 :名無しで叶える物語:2021/04/06(火) 19:01:53.97 ID:2zJFi0J1.net
〜一方、宮下家、愛の部屋〜



ドサッ


愛「……」


愛(せっつー……)

愛(あんな風に……倒れちゃうなんて……)

愛「……っ」

愛(アタシが……今日の練習にちゃんと最初から参加していれば……!)

愛(……いや、せっつーのことをちゃんとよく見ていれば……もしかしたらもっと早くに気づけたんじゃ……?)

愛(せっつーが毎日居残り練習してたのも、練習開始ギリギリまで生徒会活動を頑張ってたのも知ってたんだから……もうちょっとせっつーのことを気にかけていれば……)

愛(……そうだ、アタシが……アタシがもっとせっつーのことをちゃんと……!)


───────


かすみ「せつ菜先輩……」

かすみ「同好会……辞めさせられたり、しませんよね……?」


───────


愛(……大丈夫)

愛「……」ギュッ

愛(アタシが……)



愛(アタシが、なんとかしてみせる……!)

753 :名無しで叶える物語:2021/04/06(火) 19:04:57.70 ID:2zJFi0J1.net
短いですが一旦ここまでです……!

754 :名無しで叶える物語:2021/04/06(火) 19:05:13.35 ID:Gv2xSyqb.net
がんばれヒーロー

755 :名無しで叶える物語:2021/04/06(火) 21:27:46.98 ID:z63ljjdk.net
🌸cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ いやっふううううい!!

756 :名無しで叶える物語:2021/04/06(火) 23:14:15.70 ID:NYchGWOp.net
作者のねらいなんだろうけど、愛と侑がよく対比されていますね
読者視点で見ると侑の言動が胸糞悪い
せつ菜の事故に誰も直接的には責任はないけど、心配したり責任を感じている愛・かすみ
に対して侑は歩夢といちゃこら
マネージャーとして道義的には他のメンバーよりは侑の監督責任は重いだろうに
これからどうなるか、続き楽しみです

757 :名無しで叶える物語:2021/04/06(火) 23:28:27.71 ID:LDWBrt5S.net
侑達も普通に心配してないか。少なくとも歩夢を振った後に
でもこれからも仲良くしようね^^とか言ってた侑と比べると
ずっとまともに見える

758 :名無しで叶える物語:2021/04/07(水) 00:13:45.49 ID:SqVGkUs3.net
別ルートだと侑もせつ菜も似たような状況になったら押しかけていきそうなサイコっぽさがあったからな

759 :名無しで叶える物語:2021/04/07(水) 10:25:41.43 ID:6xFUzYRt.net
侑もつらいけど何も出来ない(する権利ない)から逃避するしかないんじゃん
侑も辛い立場だと思うよ

760 :名無しで叶える物語:2021/04/07(水) 21:51:22.05 ID:/ZoyTU+J.net
保守

761 :名無しで叶える物語:2021/04/08(木) 06:58:50.50 ID:pKHyZCRM.net
保守

762 :名無しで叶える物語:2021/04/08(木) 21:36:08.88 ID:sjTF6HdD.net
保守

763 :名無しで叶える物語:2021/04/09(金) 02:11:58.25 ID:+Ewt2y4a.net
保守

764 :名無しで叶える物語:2021/04/09(金) 21:08:50.93 ID:mynS+M+P.net
保守

765 :名無しで叶える物語:2021/04/10(土) 12:51:29.69 ID:XrzaYx/E.net
保守

766 :名無しで叶える物語:2021/04/11(日) 01:23:22.31 ID:EUAtU2WY.net
保守

767 :名無しで叶える物語:2021/04/11(日) 21:19:37.64 ID:P4DMHv6P.net
保守

総レス数 767
382 KB
掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50
read.cgi ver 2014.07.20.01.SC 2014/07/20 D ★