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海未「……嫌われようと、思うんです」

1 :立て直しました(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 22:47:22.55 ID:U75X8VAz.net
ことほの「「え」」


…今日は、屋上で食べませんか。

相談があるんです、と言われ、3人で屋上に上がって、誰もいない昼の屋上で、開口一番。


穂乃果「なんか突然、だね…」

海未「すみません…」


本当に申し訳なさそうに目を伏せる幼馴染からは、いつも私の寝坊とか居眠りとかを注意するときの勢い、強さみたいなものは感じられない。

ただただ弱くて、触れたら消えてしまいそう。


ことり「どうしてそんな…」


誰に、とは聞かない。

そんなことは、相手は、私ももう1人の幼馴染もわかりきっている。


海未「…昨日、徹夜で考えたんですよ」


そう苦しげに呟く海未ちゃんの目は赤く充血していた。

そういえば、授業中もなんだかぼーっとしてたっけ。


海未「私がどんなに想っても、あの人には届かない」


海未「もう…疲れたんです」

2 :名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 22:48:47.28 ID:hVVXlY/6.net
文字化けひどかったやつか?

3 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 22:48:58.45 ID:U75X8VAz.net
海未「だからもういっそ…嫌われたほうが、諦めもつくかと…」


真っ赤な瞳から、涙がこぼれ落ちる。


穂乃果「海未ちゃん…」


まさか、ここまで追い詰められていたなんて。

どんなに挫けそうでも、最後には「まだ頑張ってみます」「諦めません」と前向きになっていた海未ちゃんが。

今まで何度か相談に乗ってきたけど、ここまでつらそうなのは初めてだった。


まったく…あの人は何やってるんだろう。


考えていたことは、ことりちゃんも同じだったみたいで。


ことり「海未ちゃん、もしかして何かあったの?」


海未「…」


何も言わないのは、肯定の印。

長い沈黙が続いたあと、海未ちゃんはゆっくりと口を開く。


海未「ーー見て、しまったんです…」


そして、静かに話し始めた。

4 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 22:50:09.75 ID:U75X8VAz.net
昨日、私は帰りに弓道部に寄っていたので、2人は先に帰りましたよね。

実は、用事を済ませたあと、部室に忘れ物をしてしまったので取りに行ったんです。

もちろん、誰もいないと思っていました。

でも…ドアの前まで来たとき、中から話し声が聞こえたんです。

こんなに遅くまで残っているメンバーがいるなんて珍しいとは思いつつも、特に何も感じることもなく、私はいつものようにドアノブに手をかけました。


しかしーーそのときでした。



「ーー好きよ」

「…好きに決まってるじゃない」



その言葉だけは、妙にはっきりと聞こえました。

耳に、脳裏に、焼きつくように。



だって、この声はーー

5 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 22:51:37.58 ID:U75X8VAz.net
中にいるのは恋人どうし。

もしくは、告白の現場に居合わせてしまったか。

どちらにせよ、こんなとき、部外者は早急に立ち去るべきです。


しかし私は、悪いとは思いながらも、夢だと信じたい一心で、ドアノブをひねってしまったのです。


けれど覗いてみてしまって、後悔しました。


夢だと信じたかった、

それは確信に変わってしまったのです。



わずかな隙間から残酷にも鮮明に映るのは、美しい金色の髪。



「ーー当たり前やん」

「えりちはこんなに可愛いんやから」

「…ちょっと、目、閉じてくれん?」



もうひとつの影が、金髪の彼女に近づいていくのがわかりました。


唇が触れる寸前の距離。



私はそれ以上見ていられなくなって、ようやくその場を去ったのです。

6 :名無しで叶える物語(雨が降り注ぐ世界)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 22:51:51.82 ID:0sdqMmd1.net
おー久しぶり
ここからスタートだな

7 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 22:52:07.77 ID:ZG1ceK1k.net
きたい

8 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 22:52:17.42 ID:U75X8VAz.net
海未「ーーそれからどう帰ったのか、覚えていません」

海未「ただ、家に着いた瞬間、母に抱きしめられましたから…相当ひどい顔をしていたのでしょうね」


そこまで話してから、海未ちゃんは自嘲するように笑った。


海未「やはり私では…駄目だったんです」


ことほの「…っ」


私たちはしばらく言葉が出なかった。

だって、どっからどう見ても海未ちゃんと絵里ちゃんは両想いだったはずだから。


それにーー




希ちゃんはにこちゃんと付き合ってたはずじゃ…

9 :名無しで叶える物語(有限の箱庭)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 22:53:20.19 ID:dpWoSjeo.net
ははははは

10 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 22:55:56.49 ID:U75X8VAz.net
海未「2人には今までは恋愛相談に付き合ってもらっていましたが…」

海未「今からは…失恋相談、でしょうか」

海未「どうすれば完全に嫌われることができるのか…教えてほしいんです」


ーーこんなとき、なんて言ったらいいんだろう。

今までは、絵里ちゃんも海未ちゃんのことが好きだっていう確信があったから、ちょっと無謀に思えることも勧めたりしてた。

けど、今は。

次に言った言葉次第で、海未ちゃんが本当に壊れちゃうんじゃないかって。

私はそれが怖くて、何も言えなかった。


でも、ことりちゃんは違った。


ことり「…海未ちゃんは、本当にそれでいいの?」

海未「えっ…」


ことり「もし海未ちゃんが言ったことが本当なら…」


ことり「ーー絶対に嫌われる、いい方法があるんだけど」

11 :名無しで叶える物語(浮動国境)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 22:57:43.55 ID:zj5Gz/du.net
楽しみ

12 :名無しで叶える物語(おにぎり)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 22:58:18.68 ID:9gTStYjp.net
きたか

13 :名無しで叶える物語(有限の箱庭)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 22:58:53.96 ID:b5vPVgtM.net
とっとと書けよ

14 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 23:00:18.30 ID:U75X8VAz.net
ことり「もう一度聞くよ」

ことり「本当に…嫌われてもいいの?」


海未「ぅ…」


ことりちゃんの問い詰めに、海未ちゃんはぐっと唇を噛む。


…そうだよね。

ずっと好きだった人。その人に嫌われたいなんて、心から言える人はどのくらいいるのだろう。

きっと、海未ちゃんだって…


ことり「そんなこと…ないんだよね」


海未「…そんなの…当たり前じゃ、ないですか…っ」ジワッ


膝の上で固く握った手の甲に、ぽたぽたと滴る雫。

これが、海未ちゃんの本心…。


海未「でも…駄目です…。絵里は優しいから…その優しさが、きっと辛くなる…」ポロポロ


こんな姿を見たら、さっきまで躊躇っていたのは何だったんだろう、って思えてきて。


穂乃果「ーーそれじゃあさ」


自分でもよく考えないまま、口が走っていた。



穂乃果「…奪っちゃえば、いいんじゃない?」

15 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 23:02:25.76 ID:U75X8VAz.net
海未「うば、う…?」グスッ


穂乃果「そう。希ちゃんから、絵里ちゃんを奪うの」

穂乃果「海未ちゃんは、相手がちょっと別の方向を向いちゃっただけで諦めるの?穂乃果の知ってる海未ちゃんはそんな人じゃないよ」


海未「で、でも…っ!今まで私の方には少しも振り向いてくれませんでした…」


だってそりゃあ…海未ちゃんも絵里ちゃんもヘタレ鈍感だもんね。

絵里ちゃんだって、今まではちゃんと海未ちゃんの方を見てたよ。

それなのに、こうも簡単に乗り換えるなんて。

いったい何があったんだろう…

…と、そんなことは置いといて。


穂乃果「じゃあ、このまま諦める?」


海未「…」


穂乃果「海未ちゃんの頑張り次第で、形勢逆転もアリだよ?」


ことり「…!」


穂乃果「穂乃果はね、ここでただ嫌われに行くだけなんて、絶対後悔すると思うんだ」


海未「穂乃果…」


と、そのとき。

黙って聞いていたことりちゃんが、突然笑いを漏らした。


ことり「ふふふっ…」



海未「こと、り…?」

穂乃果「ことりちゃん…?」

16 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 23:04:53.45 ID:U75X8VAz.net
穂乃果「ど、どうしたの!?穂乃果、おかしなこと言ったかなぁ…?」アセアセ


ことり「ごめんね、違うの…ふふっ。なんか、穂乃果ちゃんらしいな〜って思って」


穂乃果「…どういうこと?」キョトン


ことり「あのね、ことりも、穂乃果ちゃんとおんなじこと考えてたの」


穂乃果「そうなの!?すごいっ!なんたる偶然っ!」


海未「いや…待ってください…!あなた、さっき、絶対に嫌われる方法、って…」


ことり「うん…。たぶん、解釈の違いだと思う」


海未「解釈…?」


ことり「そう。だって、好きな人と無理やり引き離されたら、誰だって嫌でしょ?」


ほのうみ「「…!」」


穂乃果「そっか…。希ちゃんから絵里ちゃんを奪おうとすれば、絵里ちゃんに嫌われちゃう可能性もあるんだね…」


ことり「ことりは逆に、うまくいけばチャンスになる、なんて思いつかなかったなぁ。さすがだね、穂乃果ちゃん♪」


穂乃果「えへへ…。でも穂乃果も、この作戦に穴があるのには気づかなかったよ!」


海未「…最後のチャンスになる、ということですね」

17 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 23:12:11.78 ID:U75X8VAz.net
ことり「それで…どうする?海未ちゃん」


そう問いかけることりちゃんに、海未ちゃんは小さく笑った。


海未「そんなの…」

海未「…答えなんか、決まりきってるじゃありませんか」フフッ


その瞳はまだ潤んだままだったけど。


穂乃果「だよねっ!そうこなくっちゃだよっ!」ダキッ

海未「ほ、穂乃果っ!?」


穂乃果「…やっと、笑ってくれた」ギュゥウ


それが、嬉しくて、嬉しくて。


海未「穂乃果…」


ことり「それじゃあ、ことりもっ!ぎゅーっ♡」ギュゥウ


海未「こ、ことりまで…!」


ことり「うふふっ♪ …でも海未ちゃん?勝負はここからだよ」


海未「ここ、から…?」



穂乃果「そうだね!さっそく作戦会議だよっ!」

ことり「おーっ♪」

海未「さ、作戦…!?」



こうして、ひとりの幼馴染の反撃が始まろうとしていた。

18 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 23:17:35.48 ID:U75X8VAz.net
お騒がせした割に低クオリティで申し訳ないです

次から安価入れる予定

19 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 23:30:36.17 ID:f2IcNoab.net
機体

20 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 23:35:22.40 ID:2Dv2slhe.net
気体

21 :名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 23:37:05.66 ID:qEKdYmIo.net
北井

22 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 23:37:46.74 ID:wDQaYi56.net
お、きしめんお帰り

23 :名無しで叶える物語(雨が降り注ぐ世界)@\(^o^)/:2015/04/15(水) 23:59:06.38 ID:0sdqMmd1.net
ふぁいとー

24 :名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 00:52:47.90 ID:UJAke0jm.net
しえん

25 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 01:00:51.88 ID:b0L8mMu1.net
待ってた

26 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 01:22:30.20 ID:ru6NtPa2.net
うみのぞだと思ってた………

27 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 01:27:13.45 ID:ZxxHN2Cx.net
前の時の藍紫髪から金髪になってる
これは、のぞうみとうみえり2つのルートが期待できますね(ゲス顔)

28 :名無しで叶える物語(有限の箱庭)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 02:26:06.25 ID:gvmZu1/H.net
待ってた


29 :名無しで叶える物語(なっとう)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 02:53:36.30 ID:4A4Zoius.net
楽しみ

30 :名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 05:56:10.65 ID:usRFCFQH.net
なんだ

31 :名無しで叶える物語(雨が降り注ぐ世界)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 07:05:45.41 ID:qeqokKGQ.net
>>27
あれは俺の勝手な解釈だったから気にしない方がいい

32 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 07:24:24.44 ID:whyJlYNx.net
待ってた

33 :名無しで叶える物語(はんぺん)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 07:31:27.98 ID:tM1DXlZg.net
ftp://" target="_blank">ftp://

34 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 12:55:55.59 ID:sdjUZVSf.net
待ってました!

35 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 19:29:57.16 ID:9/fYNLJN.net
ーー放課後ーー

<海未side>



キ-ンコ-ンカ-ンコ-ン


海未「はぁ…」


ついにやってきてしまいました…この時が…。


授業終わりのチャイムと同時に、クラスのみんなは次々と立ち上がる。

部活に行く者、下校する者、様々ではあるが、多くが荷物をまとめて教室からぞろぞろと出て行った。

そんな中、ひとり溜め息をつく私のもとに、密着するように近づく2つの影。


穂乃果「ほら、海未ちゃん何やってるの」ヒソヒソ

ことり「早くしないと、絵里ちゃんたち帰っちゃうよ」ヒソヒソ

海未「で、でも…こんなの、やっぱりおかしいですよ…」


実は今日2人から、練習後に一緒に帰ろうと絵里を誘うように言われていました。

しかし、1年生の間で風邪が流行っているみたいで、花陽は欠席、凛は早退。

おまけに、にこも家に帰らないといけないとかで、今日の練習は休みになったのです。


練習後ならまだ自然に誘うこともできたかもしれませんが、何もない日にわざわざ教室まで赴くなんて…

36 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 19:30:43.75 ID:9/fYNLJN.net
穂乃果「何言ってるの!むしろ見せつけるチャンスじゃん!」


ことり「そうそう!それに、時間がある分、いろんなとこ行けちゃう♪」


海未「えっ!?寄り道するんですか!?」


穂乃果「え、逆にしないつもりだったの!?」


海未「だ、だって昨日の話ではそんなの…!」


ことり「それは練習後だったときのプランだよ〜」


海未「ぅ…」


穂乃果「海未ちゃん。…『奪う』んでしょ?」ズイッ


ことり「早くしないと、手遅れになっちゃうよ?」ズイズイ

海未「…っ」


2人はぐいぐいと顔を近づけてくる。

と同時に、いつまでも行動に移せない自分の弱さに、嫌気がさしました。


海未「もうっ!わかりましたよ!行けばいいのでしょう!?行けば!」


一気に吹っ切れたような気がします。


穂乃果「そうそう!その意気だよっ!」


ことり「昨日言ったこと、ちゃんと実行してね♡」


2人が、そっと、背中を押してくれる。


海未「…はい。では行ってきます!」ダッ


それを受けて、私は走って教室を後にしました。

37 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 19:31:28.16 ID:9/fYNLJN.net
ーー私はとにかく夢中で走りました。

普段、穂乃果に廊下を走らないよう注意していることすら忘れて。


走っている時間は、随分と長く感じられました。


ようやく3年生の教室に辿り着いたときには、残っていたのは絵里と希の2人だけ。



希「ーーこれで日直の仕事終わったよ」

絵里「お疲れ〜。早いのね」

希「えりちが手伝ってくれたおかげやん♪」

絵里「て、手伝うなんて当たり前じゃない!さっ、早く帰りましょ」グイグイ

希「そんな引っ張らんどいて。もう…えりちはウチには積極的なんやから…」

希「…そんなにウチと帰りたいん?」


教室をちらりと覗くと、危うく帰ろうとしているみたいでした。

もう少し遅れていたら間に合わなくなっていたところです。


…絵里を誘うなら、今しかないでしょう。

38 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 19:32:46.34 ID:9/fYNLJN.net
今からの作戦、成功すれば、今度こそ絵里を振り向かせることもできるかもしれない。

失敗しても、始めの願い通り、きっぱりと嫌われることができる。

しかし、進んで嫌われようなんて、今の私は少しも思ってはいません。


私は…


1. 強引に連れ去る
2. あくまで謙虚に

>>40

39 :名無しで叶える物語(かぶらずし)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 19:34:41.64 ID:Aiaf7+fH.net
1

40 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 19:37:31.76 ID:c8b3uwxF.net
1

41 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 21:02:39.73 ID:9/fYNLJN.net
昨日部室に忘れたスケジュール帳。

それを朝わざわざ教室まで届けに来てくれた希のことを考えると少々心が痛みますが…

こんなところで謙虚になっていては今までと全く変わりません!

私にも私なりの意思があります。

希、許してくださいね…!


海未「絵里!」


私は教室から出て行こうとする2人に、すぐさま駆け寄った。


絵里「う、海未っ!?」

希「海未ちゃん!?」


すると絵里は驚いたのか希の制服の袖をパッと離す。

その隙をーー狙う!


海未「絵里! 一緒に帰りましょう!」ガシッ

絵里「ちょっ、海未!い、いきなり何するのよ!」

海未「この後、用事とか無いですよね!」

絵里「な、無いけど…」

海未「それならいいじゃないですか!希、絵里はお借りしますね!」グイッ

絵里「きゃっ!?引っ張らないでぇええっ!!」

絵里「たすけてのぞみィイイっ…!」
 

希「…」





希「海未ちゃん…」



希「…………やるなぁ」ニヤリ

42 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 22:13:42.84 ID:9/fYNLJN.net
絵里「はぁ…、はぁ…」

絵里「海未…どこまで走るつもりなの…」ゼェハァゼェハァ

海未「」ハッ

海未「す、すみません…」


いささか夢中になりすぎていたようです。

すぐに絵里から手を離し、2人で並んで歩き始めたけれど…


絵里「…」

海未「…」


待っていたのは重い沈黙。

やはり強引に希と引き離したのはまずかったのでしょうか。

ことりの言っていた通り、確実に嫌われてしまったかもしれません…

それもそのはず。

だって、絵里は最後まで希の名前を呼んでいたのですから。


しかし無理やり連れ出してしまった以上、私もここで引くわけにはいきません。

まずはどこに向かいましょうか…

>>44

43 :名無しで叶える物語(雨が降り注ぐ世界)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 22:17:16.01 ID:qeqokKGQ.net
kskst

44 :名無しで叶える物語(舞妓 どすえ)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 22:19:55.26 ID:vOiPLVQZ.net
喫茶店

45 :名無しで叶える物語(わたあめ)@\(^o^)/:2015/04/16(木) 23:33:44.83 ID:6LNhaV5p.net


46 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/17(金) 01:00:44.72 ID:3/4igDCc.net
しゅ

47 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/17(金) 21:05:58.29 ID:+iP8pzAy.net
もうこうなったら、天国か地獄か、どちらかにしか転びません。

あとは突き進むだけ…


海未「…」スッ


覚悟を決めて、再び絵里の手をとる。

さりげなく手を繋ぐというのは、ことりに言われたことのひとつでした。



絵里「う、海未…!?」ビクッ


絵里「…ど、どこ行くのよ!私の家はあっちなんだけど…!」


海未「実は、この先に、絵里と行ってみたかったお店があるんですよ!一緒に行きませんか?」


絵里「えっ、お店!?いったい何を…!」


海未「説明は後ですっ!さぁ、行きますよ〜!」タッタッタ


絵里「ぇえっ!?また走るの〜!?」

48 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/17(金) 21:06:39.42 ID:+iP8pzAy.net
ーー喫茶店ーー


絵里「…は、ハラショー……」


絵里「すごいわ!フォンダンショコラにチョコレートパフェにチョコレートマフィンに…全部美味しそう…☆」キラキラ


海未「ふふっ、絵里は本当にチョコレートが好きなんですね」



メニューの写真に子供のように目を輝かせて…

さっきまでの沈黙がまるで嘘のよう。



海未「今日は私が出しますから、何でもお好きなものをどうぞ」


絵里「ほ、ほんと!?」パァアア


海未「ええ」クスッ



絵里って、意外と単純なんですね。

ですがそんなところも愛おしく思えてしまうのは、惚れた弱みというものなのでしょう。



絵里「い、いや、でも…やっぱり悪いわ。自分で払うわよ」


海未「無理やり引っ張ってきてしまったのは私です。気にしないでください」


絵里「クスッ、それもそうね。それじゃあ、ご馳走になろうかしら」


海未「はい!ところで、注文はどうしますか?」


絵里「う〜ん…迷うけど、カフェラテとチョコレートパフェにするわ」


海未「では、私はホットコーヒーとガトーショコラにしますね」

49 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/17(金) 21:07:23.01 ID:+iP8pzAy.net
絵里「ーーはぁ〜、しあわせ〜♡」トロン


絵里「海未、よくこんな美味しいお店知ってたわね…。正直そういうの疎いと思ってたわ」


海未「穂乃果やことりとたまに来るんですよ。ことりはチーズケーキばかり頼んでいるのですが、ここは特にチョコレートのスイーツに力を入れているみたいです」


絵里「なるほどね〜。どうりで」


絵里「海未のガトーショコラも…美味しそうね…」ジ-


海未「はい、とっても美味しいですよ」


絵里「ホントに美味しそうね…」ジ-ッ


海未「えぇと…食べます、か?」


絵里「!」コクコク

50 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/17(金) 21:07:55.75 ID:+iP8pzAy.net
…な、なんなのですか、この人。

チョコレートを前にするとこんなにもキャラが変わってしまうのでしょうか…

意外な一面、というやつですね。


ーーしかし。



海未「あ、あの…どうぞ///」


一口分のガトーショコラをフォークに刺し、勇気を出して絵里の前に突き出してみたのですが。



絵里「…っ」


絵里「…ありがと♪ いただくわ」パクッ



一瞬、絵里の笑顔が曇ったのがわかりました。


…心のどこかでは、わかっていたことです。

あなたの心が、私に向くはずなんてないことなど。


でも、それでも。


海未「…どうですか?」

絵里「ハラショー!このほろ苦さがいいのよね〜♡」


海未「そうですか。…よかった」ニコッ



ようやく口をつけたコーヒーは、すっかり冷めきっていて。

ただ、虚しいほどの苦味だけが口の中に残っていました。

51 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/17(金) 21:39:41.34 ID:+iP8pzAy.net
お会計を終えて外に出ると、いつの間にか辺りは薄暗くなりかけていました。


絵里「あ〜美味しかった!海未、ごちそうさま♪」

海未「いえ、気に入ってもらえてよかったです」

絵里「ていうか、もうこんなに時間経ってたのね…。そろそろ帰りましょうか」


そう言って、絵里はすぐに歩き出そうとする。


海未「ぁ…」


このままでは、もう今日はお別れになってしまう…

こんな中途半端で終わらせるなんて…

そう思ったら。


海未「ま、待ってくださいっ!」


反射的に、体が動いていました。


海未「…っ」ガシッ


絵里「え、海未…?」



ーーもう、奪うなんて贅沢なことなんて言いません。

だから、せめて最後の時間を…



海未「……最後に行きたい場所が、あるんです」

52 :名無しで叶える物語(舞妓 どすえ)@\(^o^)/:2015/04/17(金) 22:07:01.16 ID:JCGVapiC.net
来たか

53 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/18(土) 20:50:02.07 ID:FLu1WGBs.net
到着したときには、辺りは真っ暗になっていました。


絵里「ーー海未が来たかったのって…遊園地?」


海未「…はい。閉園まで、もう少し時間がありますから…」


海未「……ひとつだけ。あれ、乗りませんか」



絵里「…」

54 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/18(土) 20:50:45.42 ID:FLu1WGBs.net
ゴトン...ゴトン...


近所の小さな遊園地ですから、夜は閑散としていて。

ここのシンボルとも言える色とりどりのゴンドラをぶら下げた観覧車は、私たちふたりのためだけに回り始めました。


絵里「観覧車なんて、久しぶりだわ」

海未「そうですね。小さい頃は3人でよくここに来て、観覧車にも乗ったものですが…」

絵里「じゃあ思い出の場所、なのね」

海未「…はい」

絵里「夜景、綺麗ね…」


気づけば、窓ガラス越しに外を眺めて小さく呟くその横顔を、私はじっと見つめていた。

絵里のことを独り占めできるのは、これで最後。


『観覧車 回れよ回れ』


ふと、そんな短歌のワンフレーズを思い出す。

あなたにとっては取るに足らない記憶となって、やがて頭から消えていくのでしょうけれど。

私にとってはーー

…ああ、こんな幸せな時間が、ずっと続けばいいのに。


海未「綺麗、ですね…」


奪われているのは、私の方ではないですか。

55 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/18(土) 20:51:30.98 ID:FLu1WGBs.net
絵里「…」

こちらの視線に気づいたらしい絵里が、前に向き直る。

絵里「…何よ、夜景なんて見てないじゃない」ハァ

海未「い、いや、あのっ…すみません…」


初めて外を見ると、いつの間にか随分と高い位置まで上ってきたことがわかる。


これが一周するまでに、告げなければならない。

終わらせなければ、ならない…


私は、膝の上で手のひらをギュッと握りしめる。

海未「」スゥ...

深呼吸をして、絵里の眼をまっすぐに見据えて。


海未「…絵里。言わなければならないことがあります」


ーー悪夢の始まりはこの言葉からだったのか。

はたまた、今日絵里を誘ってしまったことからなのか。

あるいは、絵里を好きになってしまった瞬間からだったのか。


そのときの私には、知る由もなかったのです。

56 :名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/:2015/04/18(土) 20:56:34.08 ID:phGifb85.net
栗木京子か。俺もその短歌好き

57 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/18(土) 21:01:03.57 ID:FLu1WGBs.net
絵里「な、何よいきなり…」


頂点を越したゴンドラは、ただ下降するばかり。

それが私を焦らせた。


海未「…私は弱い人間です。今まで、この気持ちはずっと隠してきました」


海未「ですが、それも今日で終わりにします。…けじめをつけさせてください」


絵里「え…ちょっと…」


海未「今日は、無理やり連れ回してしまって、すみませんでした」


海未「本当は、一緒に帰って、喫茶店に寄ったり、遊園地に来たり、そんなこと、するんじゃなくて。…きっぱりと、諦めようと思っていました」


海未「でも…やっぱり諦めきれない自分がいて。少しでも、絵里と一緒にいる時間が欲しいと思ってしまったんです」


絵里「……めてよ…」


ーー私は焦っていました。


海未「今日のことは、いい思い出になりそうです。もう、後悔はありません」


海未「ですが…最後にひとつだけ、伝えさせてください」


海未「私は、絵里のことがーー」


絵里「…っ」ギリッ


ーーだから、絵里の表情に、気づかなかった。


海未「絵里のことが、ずっ

絵里「やめてって言ってるでしょ!?」パシ-ン!



海未「ぇ………」

58 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/18(土) 21:01:39.57 ID:FLu1WGBs.net
絵里「はぁ…、はぁ……」


海未「え、り…?」



一瞬、何が起こったかわからなかった。

ただ、左頬がヒリヒリと痛むのを、ぼんやりした頭で感じていた。



絵里「…ごめんなさい。…でもお願いだから、それ以上は言わないで」



ぽつ、ぽつ、と音がする。

…雨、でしょうか。



絵里「ーーそれから」



いつの間に地上に降りたのか、係員のアナウンスとともに、ゴンドラのドアが開く。




絵里「…もう私に話しかけないほうがいいわよ」

59 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/18(土) 21:02:20.76 ID:FLu1WGBs.net
海未「…そ、そん、な……っ」


茫然とする私をよそに、目の前の人は金色のポニーテールを揺らして視界から消える。


絵里「…今日はありがとね、海未」


海未「そんなっ…!いやです!なんで…どうしてですかっ!まって…」


自分もあとを追うようにゴンドラから飛び降りるけれど。


精一杯伸ばした手は、空を虚しく掴むだけだった。


走ろうとして、躓いて、転んで、地面に這いつくばって。


海未「えりーーっ!」


枯れるほど名前を叫んでも、届かない。



海未「どうして…絵里…っ」ポロポロ


どんどん強くなる雨の音に紛れて、遠ざかる足音。



私は絵里に拒絶されたのです。

それも、告白を断られたのではなくて。

想いを伝えることすら許されなかった…



海未「ぅわぁああぁあああぁあああああぁあああっ」


これが最初に望んでいた結末?

惨めな叫び声は、アスファルトを打つ雨音にかき消された。

60 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2015/04/18(土) 21:21:17.99 ID:oaOaJYRa.net
ポロポロ

61 :名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/:2015/04/18(土) 21:24:21.75 ID:osnFsxlV.net
あかん

62 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/18(土) 21:24:50.33 ID:jBb1o9Dm.net
泣いた
もしかして>>1ってこの前までほのうみにこ書いてたきしめん?
違ってたらごめん

63 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/18(土) 21:47:59.54 ID:FLu1WGBs.net
>>62
え、なぜわかった
まあ自分のはにこうみ(+ほのうみ)だったつもりだけど

64 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/04/18(土) 21:58:04.25 ID:VVTccpTq.net
>>62-63
URL希望 タイトルでもいいけど

65 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/18(土) 22:17:20.89 ID:jBb1o9Dm.net
>>63
あ、やっぱそうだわ。伏線回収に期待
>>64
海未(……え…どう、して…?視界が…ぼや、け、て…)
http://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1425825652/l50

66 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/04/18(土) 22:27:12.21 ID:VVTccpTq.net
>>65
thx
既読だったわwww

67 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/18(土) 22:40:58.50 ID:jBb1o9Dm.net
>>66
まじかwwww
このきしめんの文章とか構成とか割と好き

68 :名無しで叶える物語(舞妓 どすえ)@\(^o^)/:2015/04/18(土) 23:51:44.72 ID:oCDwOpjc.net
あのssの人か!
ほのうみエンドにこうみエンドどっちも面白かった

69 :名無しで叶える物語(有限の箱庭)@\(^o^)/:2015/04/19(日) 08:54:29.53 ID:Nc6Tz4yq.net
この人だったのか!
期待

70 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/19(日) 19:22:26.82 ID:N/O2t0Ib.net
>>65
それですね!
前回も読んでくださった方がいるなんて嬉しい…
今回も迷走するけどエタることは絶対しないのでよろしくお願いします

71 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/19(日) 19:23:04.31 ID:N/O2t0Ib.net
<穂乃果side>


穂乃果「ふぁ〜っ、疲れた〜!」ドサッ 

ふらふらの足でベッドに倒れこむ。

まったく、家に帰ったら早々に店の手伝いなんて…


穂乃果「雨、か…」


雨の日は、なんとなく憂鬱な気分になる。

外で遊べないし、屋上で練習ができないし、暗いし。


そこでふと、先日の会話を思い出す。

72 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/19(日) 19:25:09.07 ID:N/O2t0Ib.net
穂乃果『あぁ〜、もう、また雨〜?』


海未『…穂乃果は、雨は嫌いですか?』


穂乃果『嫌い嫌い嫌〜いっ!海未ちゃんは好きなの?』


海未『そうですね…。確かに憂鬱になるときもありますけど、感じ方によって、ですかね』


穂乃果『感じ方?』


海未『はい。雨と一口に言っても、いろいろな性格があるんですよ』



穂乃果『う〜ん、例えば?』


海未『まずは<行動を妨げる雨>。雨がひどいときには、外出する気分になりませんよね。人が雨を厭う理由のほとんどはこれです』


穂乃果『そうそう!だから嫌いなんだよ!』


海未『それから、<恵みの雨>。雨のおかげで植物が育ち、私たちはその恩恵を受けています』


穂乃果『ふむふむ。確かに…』


海未『あとは少々文学的ですが、<涙を隠す雨>とか。涙を流す人にとっては、雨の存在がありがたかったりもするんです』


穂乃果『あっ、漫画でもそういうシーンあったよ!そういうの思いつくってことは…海未ちゃんも雨の中で泣いたことあるんだ〜』


海未『そ、それは、秘密ですっ!ニヤニヤしないでくださいっ!』


穂乃果『あはは…ごめんごめん。あとは、どんな雨があるの?』


海未『そう、ですね…。<すべてを洗い流す雨>、でしょうか』


穂乃果『すべてを、洗い流す…?』


海未『ええ。雨を見たり、雨に打たれたりすると、心が洗われるような気がして…悩みなども不思議と消えていくような気がして…私は好きです』


穂乃果『そっか…。雨にもいろいろあるんだね。穂乃果も考えてみるよ!』

73 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/19(日) 19:26:13.70 ID:N/O2t0Ib.net
海未ちゃんって、いろんなこと考えてるんだなぁ…

今の雨は、どんな雨だろう。

少し、考えてみるけど。


穂乃果「う〜ん、やっぱりこの雨は好きになれないかも…」


出かける予定もないし、理由は特にないんだけど、なんか、こう…

…胸騒ぎがする、っていうか。


穂乃果「あっ、そういえば」


ふと思い出して、腕を伸ばしてケータイを探る。

ディスプレーを確認すれば新着の連絡は0件。


穂乃果「はぁ…、海未ちゃんたちどうなったんだろう…」


うまくいきすぎて連絡くれる暇もないのか、

それとも…


穂乃果「いやいやっ!そんなこと絶対ないっ!」フルフル


最悪の展開を想像してしまって、慌てて頭をぶんぶんと振る。

できれば前者であってほしい。

そう思うのに、不吉な想像をしてしまうのは、この雨のせいなのか。

<予感を告げる雨>…とでもいうのだろうか…


穂乃果「だから、ちがうってば…!」


不安で胸が押し潰されそうになって、枕に顔を埋める。


しかし、そのときだった。


プルルルルルルルル... プルルルルルルル....


穂乃果「…!」ハッ 


握りしめていたケータイが、突如鳴り響いた。

74 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/19(日) 19:28:04.43 ID:N/O2t0Ib.net
すぐに飛び起きて発信者を確認すると、案の定海未ちゃんからで。


穂乃果「もしもし海未ちゃんっ!?」


少しの安堵と大きな不安を吐き出すように電話に出たんだけど。


海未『…』


聞こえてくるのは激しい雨の音だけ。


穂乃果「聞こえてないの!?穂乃果だよ!?」


海未『…』


穂乃果「…」


ところが、少し耳を澄ませてみると、雨音に混じって何か聞こえてきた気がした。


海未『……っぐ…、ぅ…うっ…』


穂乃果「うみ、ちゃん…?」


海未『…のか……めん、なさ…っ』


もしかして…泣いて、るの…?


海未『……こ、えが…きき、たく…てっ……』グスッ


自分の中で、何かが弾けた。

75 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/19(日) 19:28:52.93 ID:N/O2t0Ib.net
穂乃果「海未ちゃん今どこ!?」


言ってから、返事も待たずに階段を駆け下りた。


雪穂「お、お姉ちゃん!?こんな時間にどこ行くのさーっ!」


穂乃果「すぐ戻るからっ!」ガラッ


雪穂「雨降ってるよーっ!傘はーっ!?」


妹の声が飛んできたときにはすでに、傘も差さずに外へ飛び出していた。

ひとつだけ、心当たりのある場所があった。



穂乃果「今そっちへ行くからね…海未ちゃん」

76 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/19(日) 19:30:49.11 ID:N/O2t0Ib.net
目的地に近づいてくると、遠くに黒い影を見つけた。

離れていてもわかる。

あの影はーー


穂乃果「…やっぱり、ここにいたんだね」


海未「ほ、のか…?」


海未「どう…して…ここが…」


穂乃果「そんなの、すぐにわかるよ。…海未ちゃん、つらいことがあるといつもここに来るんだもん」


海未「…」


それは近所の公園。私たちが初めて遊んだ場所だった。


海未「ほの、か…びしょぬれでは、ないですか…」


穂乃果「それ、海未ちゃんが言う?」



穂乃果「……ねえ、海未ちゃん」

77 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/19(日) 19:31:34.37 ID:N/O2t0Ib.net
海未「ふぇっ…!?ほ、ほのか…?」ビクッ


細い身体をそっと抱きしめると、小さく震える身体は完全に冷え切っていた。


穂乃果「ごめんねっ…穂乃果があんな提案してなければ…!」ギュッ


海未「そん、な…ほのかのせいじゃ、ないです…っ」


海未「わたし、が…わたしが、えりを…女性を、すきになってしまったから…!」


穂乃果「そ、そんなの!関係ないよ!」


海未「関係あります…っ!嫌われるとか、そんなことのまえに…えりは…さいしょから、わたしのことなんて…っ」グスッ


穂乃果「え…?」


海未「ほのかぁ…っ、わたしは…これから、どうやって…生きていけば、いいんですか…」ポロポロ


消え入りそうな声で叫んで、海未ちゃんは私の腕を強く掴んだ。

痛い、と思った。

まだ2人の間に何があったのかはわからないけれど。

でも、きっと海未ちゃんは私の腕の痛みよりもずっと痛い、心の傷に苦しんでいる。

雨が、海未ちゃんの涙を隠しきれないほどの、深い傷に。



ーーああ、お願いだから。

雨よ、すべてを洗い流す雨となれ。

78 :名無しで叶える物語(舞妓 どすえ)@\(^o^)/:2015/04/19(日) 19:57:00.42 ID:Za+sXnDp.net
辛い…

79 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/19(日) 20:16:46.63 ID:m3UbTPIw.net
カープが好きだから…

80 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/19(日) 20:41:46.21 ID:PnRuTekg.net
あぁ‥‥

81 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/19(日) 21:07:43.46 ID:N/O2t0Ib.net
<亜里沙side>


う〜ん、遅いな…お姉ちゃん…。

雨も降ってきたし…傘も持っていってなかったから雨宿りしてるのかな…。

でも、希さんが、お姉ちゃんは海未さんと一緒だって言ってたから大丈夫だよね。


そんなことを考えていると。


ガチャ


玄関のドアが開いて、ちらりと制服が見えた。

やっと帰ってきた!

お姉ちゃんが帰ってきたってだけで少し嬉しくなって、ちゃんとお迎えするためにドアのもとへ走る。

…でも。

82 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/19(日) 21:08:47.83 ID:N/O2t0Ib.net
亜里沙「お姉ちゃん!おか…え…り…」


私は入ってきたその人を見て、固まってしまいました。


すらりと背が高くて、金髪のポニーテール。

その人は確かにお姉ちゃん。だけど。


絵里「…ただいま、亜里沙」


冷たく言い放つその人の目は赤く腫れ上がっていて、生気がない。


亜里沙「お姉ちゃん…>>84


1.「いつもと違うよ」
2.「泣いてるの…?」
3.「海未さんと何かあったの?」

83 :名無しで叶える物語(有限の箱庭)@\(^o^)/:2015/04/19(日) 21:12:49.15 ID:ZSzx475R.net
2

84 :名無しで叶える物語(芋)@\(^o^)/:2015/04/19(日) 21:14:23.61 ID:+RYY33+O.net
3

85 :名無しで叶える物語(わたあめ)@\(^o^)/:2015/04/20(月) 00:57:08.44 ID:ihj63C3D.net
期待してます

86 :WiFi回線が使えないので一時的にSB(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/21(火) 20:54:49.71 ID:0JsQq4fP.net
亜里沙「お姉ちゃん…海未さんと何かあったの?」


絵里「」ビクッ


絵里「…何もないわよ」


亜里沙「嘘。今、びくってしたもん」


亜里沙「亜里沙、わかるんだよ。お姉ちゃんはいつも隠そうとするけど」


絵里「…たとえ何かあったとしても、亜里沙には関係のないことよ。早く寝なさい」


亜里沙「なんでそういうこと言うの?亜里沙は、今のお姉ちゃんを見てるのがつらいよ…」


絵里「…」


亜里沙「ねえ、海未さんと喧嘩でもしたの?それなら、早く仲直りしたほうがーー」


絵里「……ったのよ」


亜里沙「えっ…」

87 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/21(火) 20:55:24.24 ID:0JsQq4fP.net
絵里「…フったのよ。海未のこと」


亜里沙「ふっ、た…?」


前に一緒にドラマを観たとき、雪穂が教えてくれたことがある。

確か、この言葉は…


亜里沙「お姉ちゃん、海未さんのこと嫌いって言ったの?お別れしようって言ったの…?」


絵里「…多少違うけど、そんなところよ」


亜里沙「ひどいっ!それに、おかしいよ…」


絵里「何がおかしいのよ。世の中にはフラれて失恋する人なんてごまんといるわ。海未がその一人だっただけよ」


亜里沙「そういうことじゃないよ!海未さんのこと嫌いって、お姉ちゃんが一方的に言ったことでしょ!?海未さんはお姉ちゃんのこと好きだったんじゃないの!?」


絵里「…っ」


亜里沙「それなのに、なんでお姉ちゃんがそんなに苦しそうにしてるの…?本当に苦しいのは、海未さんではないの…?」


絵里「……」


私がそう言うと、お姉ちゃんはぐっと唇を噛み、しばらく肩を震わせていた。

だけど突然、キッと表情が変わった。


絵里「…るさいわね」ギロッ


亜里沙「ぇ…」


絵里「あなたに私たちの何がわかるって言うのよ…!」


絵里「もうこれ以上海未の話をしないで…っ!」バタンッ


亜里沙「お姉ちゃん…!」



それきり、お姉ちゃんは部屋に閉じこもってしまいました。

最後の言葉が震えていたのは、どうして…?

88 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/21(火) 20:55:58.97 ID:0JsQq4fP.net
ーーあれからどのくらいの時間が経ったんだろう。

お姉ちゃんが部屋に入ってから、仕方なく私もベッドに潜り込んだのだけれど…


亜里沙「…眠れるわけ、ないよ……」


お姉ちゃんは帰ってきたとき、バケツの水をかぶったみたいにびしょびしょだった。

まだお風呂にも入ってないみたいだし、風邪を引いたら大変…。ご飯もまだ食べてないし…。

それに、なんとなく、今のお姉ちゃんをひとりにするのは危ないような気がしていた。


やっぱり心配だし…部屋を見に行ってこようかな。


ーーそう決断して、ベッドから起き上がった、そのときでした。



『…ぅ、ぐぅ…がはぁ…っ』



隣の部屋から、悲痛な叫び声。



亜里沙「お姉ちゃん…!?」



どうしようもなく嫌な予感が胸を支配する。


私は我を忘れて自分の部屋を飛び出しました。

89 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/21(火) 20:57:27.02 ID:0JsQq4fP.net
亜里沙「お姉ちゃん!?開けるよ!」


そう言ったときには、既に声は聞こえなくなっていて。


返事も待たずにドアノブをひねる。



亜里沙「ーーっ!」



一瞬だけ、アイスブルーの瞳と目が合った。


それは、哀しげで、儚げで。




ーーそこからは、スローモーション。




瞳を閉ざした <お姉ちゃん> は、重力に逆らおうともせずに、そのまま椅子から転げ落ちる。

無力なそれは、まるで人形のよう。

濡れた金色の髪が、カーペットの上に散らばった。



亜里沙「え……う、そ………」



思考が完全に停止する。

全身の力が抜ける。

さっきまでの出来事が、

頭の中でぐるぐると巡る。



細くて白い首に、巻きつけられているのはーー




亜里沙「いやぁあああああぁあああぁああああっ」

90 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2015/04/21(火) 21:01:41.74 ID:VtX9rCFh.net
あかん

91 :名無しで叶える物語(地震なし)@\(^o^)/:2015/04/21(火) 21:05:09.93 ID:RhiRTjQn.net
ま〜たこのネタか
前のssでもやってたけどはっきり言ってつまんねぇーんだよ

92 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2015/04/21(火) 21:18:59.10 ID:qUnpquHx.net
自分に合わなかったらわざわざ書かずにそっ閉じしたらええんやで

93 :名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/:2015/04/21(火) 21:28:23.01 ID:FEUvqEa5.net
え……何故……って、理由は後で言うんだろうけどあんまりだぁ

94 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2015/04/21(火) 21:42:03.90 ID:rzMdv8Bp.net
久しぶりだなお前

95 :名無しで叶える物語(わたあめ)@\(^o^)/:2015/04/21(火) 23:09:21.11 ID:QwvfB7Kg.net
え!?

96 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/21(火) 23:47:07.33 ID:VzleMjAM.net
まあ、前スレでも書きましたがほんとに軽い気持ちで暇つぶしに書こうと思ったネタなので、この通り内容は保障できません…
>>91さん言ってることは正しいです。つまらないと感じたら非読を推奨します

97 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/22(水) 00:08:37.16 ID:e0FEKujS.net
何心折れとんのじゃ続きはよ

98 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/04/22(水) 00:09:52.55 ID:Bxi+P98L.net
>>96
俺はたのしみにしてるんやで
暇つぶしはよ〜

99 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2015/04/22(水) 01:03:28.04 ID:4gISWQd7.net
>>91
いいから死ね

100 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/22(水) 05:48:33.03 ID:Gpf3xdrg.net
まってるで〜

101 :名無しで叶える物語(地震なし)@\(^o^)/:2015/04/22(水) 06:56:03.06 ID:FMq5DkV8.net
>>99
お前が死ねよクズww

102 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2015/04/22(水) 07:25:59.70 ID:wKrAOn/a.net
なんと稚拙な煽りだろうか

103 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/04/22(水) 11:08:45.76 ID:id8m45XR.net
なんでまた来てんだよ
非読推奨されてんだからおとなしく失せればいいだろ

104 :名無しで叶える物語(地震なし)@\(^o^)/:2015/04/22(水) 15:17:06.00 ID:VqKcFg8r.net
お前らってマジ頭悪いな
荒らしにそんなこと言ったら荒らされるとか思わんのか?www

105 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/22(水) 16:01:41.66 ID:agIs88vw.net
>>104
アスペかな?

106 :名無しで叶える物語(地震なし)@\(^o^)/:2015/04/22(水) 16:24:10.22 ID:VqKcFg8r.net
>>105
お前がなwww

107 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/22(水) 16:59:09.23 ID:0BljIO/x.net
地震なしが叩いてるものは良SSの鉄則

108 :名無しで叶える物語(地震なし)@\(^o^)/:2015/04/22(水) 17:34:02.95 ID:VqKcFg8r.net
俺が叩いてるんが良SSばっか?
アホちゃうwww ならほのみんのSSも良SSなんかよwwwww

109 :名無しで叶える物語(プーアル茶)@\(^o^)/:2015/04/22(水) 20:27:06.70 ID:o0o0OpDX.net
触れなきゃいいのに(鼻ホジ)

110 :名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/:2015/04/23(木) 02:31:17.51 ID:xMErBYPA.net
ほのみんスレをまず潰すべきなんだよなぁ

111 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2015/04/23(木) 07:26:53.24 ID:NGW5qoH7.net
ほのみんスレはもう終わったんだ...
帰ってこい...

112 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/04/23(木) 10:33:39.30 ID:5yTQp73C.net
待ってるで

113 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/23(木) 23:39:57.00 ID:I+1SGH70.net
ワイも待ってるで

114 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2015/04/26(日) 09:40:18.33 ID:5o6RbStE.net
保守

115 :きしめんが名残惜しいがやわ銀になりました(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/04/26(日) 20:15:33.99 ID:FCSAqu/t.net
<絵里side>


………………………………………。


ここは…どこかしら…?


私は…何をしていたんだっけ?


…………………。


あ…そうだ。私、亜里沙と喧嘩して……。



私…死んだの……?



あのとき、私はひどく混乱していた。


本当に、亜里沙の言うことは正論だった。


だからこそ、自分が許せなかった。


どうしてあんなことをしたのだろう、と。


気がついたら、ロープを手に取っていた。


こんなの、所詮は言い訳。わかってる。


馬鹿だ…。私は、逃げたんだわ。


まだ、やるべきことはあったはずなのに。



今更ながら悔しさがこみ上げてきて、拳をぎゅっと握りしめる。


………。

116 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/04/26(日) 20:16:06.20 ID:FCSAqu/t.net
…………あら?


手が…動く?


指も、足も、口も…



ーー目も、開く。



霞んだ視界に、まず最初に映ったのは…





希「ーー意識が戻ったんやな。…えりち」



絵里「…のぞ、み……?」

117 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/04/26(日) 20:17:06.47 ID:FCSAqu/t.net
絵里「私…生きてるの…?」


希「…」


絵里「…ごめんなさい、希……」


希「ウチより先に、謝るべき相手がいるんやない?」


絵里「え…」


希「…亜里沙ちゃん。泣きながらウチに電話かけてきたんよ?お姉ちゃんが死んじゃった、どうしたらいいんですか、って」


絵里「ぁ…」


希「えりちは気を失ってるだけやから先に寝ていいよって言うても、お姉ちゃんが目を覚ましてくれるまで起きてます、って」


希「まあ、えりちが生きてるってことに安心したのもあるんやろなぁ、ついさっき寝たところよ」


絵里「…」


見れば、亜里沙は希の隣でスースーと寝息を立てている。

瞼から頬にかけて、涙の跡がいくつも見えた。


絵里「亜里沙…ごめんね……」


髪を撫でてやると、安心したようにふにゃりと微笑む。

私はこの子を、こんなにも悲しませてしまったんだ…

118 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/04/26(日) 20:18:11.42 ID:FCSAqu/t.net
希「ーーフったんやって?海未ちゃんのこと」


唐突に、希は真剣な眼差しをこちらに向けてくる。


絵里「…ええ。やっぱり私には、こうすることしかできなかったーー」


私は、希と別れてからの出来事をひとつひとつ話し始めた。

話が終盤になるにつれて、希の表情が徐々に険しくなっていくのがわかる。


すべてを話し終えると、希はただ一言、冷たく言い放った。



希「………最低やね」



希がこんなにも苛立ちを露わにするなんて、今回が初めてかもしれない。



絵里「本当にひどいことをしてしまったと思ってる…。でも、これで終わらせることができるわ」



絵里「…よかったのよ。海未にとっても、ね」

119 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/04/26(日) 20:19:57.04 ID:FCSAqu/t.net
希「ーーえりちは、それで終わらせることができるって、本気で思ってるん?」


絵里「こんなことをするような人間に、わざわざ近づいてくるような物好きはいないでしょう?」


希「…本当にまだ、わからない?」


絵里「……どういうこと?」


希「今回は絞めどころが悪かったおかげで、えりちは今こうして生きてるけどーー」


希「ーーいや、今はむしろそれ以前の問題やね」


希「えりちは海未ちゃんの気持ちをなんにも考えてない」


絵里「…っ」


希「海未ちゃんのためを思うなら、諦めさせたいにしても、ちゃんと話を聞いてから断ってあげるべきやったと思うよ」


希「それに…」



希「…あとは、本当は自分でもわかってるんやろ?」




絵里「…」

120 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/04/26(日) 20:22:59.80 ID:FCSAqu/t.net
ーー翌日ーー

<穂乃果side>



穂乃果「ふぁっくしょんっっ!!!」


穂乃果「ーーということがあったみたいで…」クシュンッ


ことり「…そう、だったんだ……」


私は、あのあと海未ちゃんから聞いたことを、ことりちゃんに全部話した。

今日は、海未ちゃんは高熱を出して学校を欠席。

雨のせいか、失恋のショックのせいか…。


ことり「穂乃果ちゃんも無茶しすぎだよ〜。傘も差さなかったなんて…」


穂乃果「あのときは夢中で、傘を差してる時間ももったいなくって…」アハハ


ことり「あっ、それじゃあ、絵里ちゃんが体調を崩して早退したっていうのも…」


穂乃果「たぶん…昨日のことがあったからだと思う」


ことり「凛ちゃんたち、自分たちが風邪をうつしちゃったかもって心配してたけど、違ったんだね」


穂乃果「そうじゃない分…余計に心配だよね…」


ことり「今日も練習なくなっちゃったし、2人でお見舞いに行こっか」


穂乃果「うん、賛成!…っくしゅん!」


ことり「…穂乃果ちゃんも、無理しないようにね」

121 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/04/26(日) 20:23:57.74 ID:FCSAqu/t.net



穂乃果「ーーえ…海未ちゃん、そんなにひどいんですか…?」


海未母「ええ。昨晩から何も口にすることができていないばかりか、熱は上がり続ける一方で…」


ことり「そ、そんな…」


海未母「よければ少し、顔を見せてやってください。一昨日辺りから、何やらかなり思い詰めていたみたいですので…」


ことほの「「もちろんです!」」


海未母「ふふ、ありがとうございます。どうぞ、お上がりください」

122 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/04/26(日) 20:24:56.82 ID:FCSAqu/t.net
………。


海未母「ーーそれでは、私は台所におりますので、何かあったら呼んでくださいね」


穂乃果「はいっ!わかりました!」


ことり「ほ、穂乃果ちゃん…!あんまり大きな声は…」ヒソヒソ


穂乃果「あ、ごめんなさい…っ」

 
海未母「いえいえ、あまりお気になさらず。海未さんも、ご友人の声が聞こえるほうが安心できるでしょうから」


海未母「では、少しの間、海未さんをよろしくお願いしますね」


そう言って、額のタオルを取り替えたお母さんは部屋をあとにした。

123 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/04/26(日) 20:25:38.08 ID:FCSAqu/t.net
穂乃果「うみちゃーん?穂乃果だよー?」


ちょっと顔を近づけて、囁いてみる。

けれど。


海未「…………」ハァ..ハァ...


聞こえてくるのは荒い呼吸だけ。


ことり「寝てるみたいだね…。それにしても、すごく苦しそう…」


穂乃果「うん…。ここまでつらそうな海未ちゃん、初めて見たよ…」


さっき取り替えられたばかりのタオルに触れれば、もう既にぬるくなっていた。


穂乃果「そんな…すごい熱…」


私は再び、側に置いてあった桶に入った水でタオルを冷やす。

すると、絞っているとき、ことりちゃんがぽつりと呟いた。


ことり「ねえ、穂乃果ちゃん…。海未ちゃん、何か言ってない?」


穂乃果「えっ?」

124 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/04/26(日) 20:36:26.47 ID:FCSAqu/t.net
見ると、声は聞こえないものの、呼吸の間に口が少し動いているのがわかった。


穂乃果「本当だ…。なんて言ってるんだろう」


口元に耳を寄せてみるとーー


海未「…そ……な………」


穂乃果「っ!?」

ことり「穂乃果ちゃん…!?」


声が聞こえると同時に海未ちゃんの手がゆっくりと天井に伸びていき、私は慌てて飛び退く。


海未「いやです…っ………な……で……ど…して……っ…」ハァ..ハァ...


その手のひらは何かを掴もうとするように、一心に宙を彷徨う。


穂乃果「海未、ちゃん…」


私は思わずその手をとった。

たぶん…昨日の夢をみてるんだ…。


ことり「…」


ことりちゃんも、下ろしている反対の手をそっと握る。

125 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/04/26(日) 20:37:04.66 ID:FCSAqu/t.net
ーーそうしているうちに安心したのか…


海未「……」ス-ス-


ことり「…よかった、ちょっと落ち着いたみたい」

穂乃果「だいぶうなされてたね…大丈夫かな…」

ことり「そうだね…。もう少し、こうしていよっか」


ことりちゃんが、乱れた黒髪をさらりと撫でると、目尻から溢れた雫が1粒、布団に流れ落ちた。

そんな様子を見て、私も頷きかけたんだけど。


穂乃果「うん、そうしよーー」


同時にくしゃみが出そうになって、慌てて反対側を向く。


穂乃果「…っくしゅん!」


ーーと、そのときだった。


換気のために半分開け放たれた障子の向こう。

誰かが逃げるように駆けていくのが見えた。

一瞬で目に焼き付いたのは……すっかり見慣れた金髪のポニーテール。



穂乃果「………え…あれって…まさか……」


いや、そんなはずは……

だけど…


絵里ちゃん…いったい何を考えているの…?

126 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/04/26(日) 21:59:18.43 ID:frFZ2gTE.net
きてたか

127 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/26(日) 22:21:01.48 ID:Mc8muhfC.net
久しぶりやな!

128 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/27(月) 05:14:19.93 ID:3nskBQys.net
支援

129 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/04/29(水) 21:05:59.13 ID:zufxa6V5.net


130 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/04/29(水) 21:34:46.85 ID:18kuLgJb.net


131 :名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/04/29(水) 23:51:46.53 ID:TvhKyOpk.net


132 :名無しで叶える物語(有限の箱庭)@\(^o^)/:2015/04/30(木) 20:26:38.23 ID:HqzXKJqO.net


133 :名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 00:42:31.96 ID:xM8H/p8m.net


134 :名無しで叶える物語(もこりん【23:54 震度2】)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 02:19:51.39 ID:xHkotj6T.net


135 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 23:11:12.78 ID:9PAl4vaf.net
<絵里side>


はぁ…

何やってるんだろう、私…。

仮にも体調不良という理由で早退しているのに。

確かにぼーっとしちゃって授業も全く入ってこなかったけれど…

希としては頭を冷やせってことなのよね。


『本当は、もうわかってるんやろ?』


…ええ。わかってる。

彼女の中で終わりになったとしても、自分の中では終わっていない、ってこと。

だから…


…………だから?


だから何だって言うのよ。

とりあえずあんなものを置いてはきたけど…

直接目も合わせられない私に、あの子と話す資格なんてあるのかしら…


これから、私はどうすれば…?


…ああ、本当に頭が痛くなってきた。

136 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 23:11:58.26 ID:9PAl4vaf.net
<海未side>


ーー雨が、降っている。

私は、家から持ってきていた折り畳み傘を鞄に忍ばせたまま、濡れたアスファルトの上を歩いていました。

一歩、また一歩。

足を地面につける度、ぱしゃりと小さな飛沫が上がって、水溜まりに波紋が広がる。

濡れた髪がしつこく肌にまとわりついていました。



ーーこの光景には、見覚えがありました。



『…どうして、好きになってしまったのでしょう』


私はひとり呟く。


その疑問は、誰に答えられるわけでもなく、ただ、雨の静けさに溶けていくだけでした。

137 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 23:12:36.59 ID:9PAl4vaf.net
『…女性、ですよ?』


口に出してみて、なぜだかおかしくなって、思わず口元から笑いが漏れる。


ふと周りを見れば、カラフルな傘をくるくると回しながら楽しげに駆けていく小学生たちに混じって、ひとつの傘の下、仲睦まじく歩く男女の姿。


頬を伝うのは、雨か、それとも。



ーーそう。初めて絵里が好きなんだと気付いたとき、一度は思ったのです。

諦めなくてはならない、と。

このまま好きでいたら、きっと絵里に迷惑がかかる。

だから、この雨に隠してしまえ、流れてしまえ、と。


なのに…


『海未、びしょ濡れじゃない!傘、一緒に入りましょ』


突然差し出された傘が、雨を遮る。


私を見つけてしまったのは、いちばん会いたくて…いちばん会いたくなかった人。

138 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 23:13:31.92 ID:9PAl4vaf.net
『もう、びっくりしちゃった。傘、忘れたの?』

『…え、えぇと…そんな、ところです』


これは、俗に言う相合傘というもので。

先ほど見かけた男女がやっていた行為そのものでした。


『珍しいわね、海未が忘れ物なんて。今日なんか降水確率90%だったのに』


『そ、そうなのですか…。でも、雨に濡れるのも嫌いではなくて…』


『何言ってるの。風邪ひいたりしたら大変だし、ちゃんとお風呂に入って、身体を温めなきゃ駄目よ?』

139 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 23:14:30.33 ID:9PAl4vaf.net
本当は、すぐにでも逃げ出したかった。

このままこうしていたら、もう後戻りできなくなるような気がしたのです。

でもその反面、ずっとこのままでいたいと思ってしまう自分がいて。

逃げ出そうと思えばできたはずなのです。けれど、私はそれをしなかった。

思えば、このときから私は諦めが悪かったのでしょう。

欲に揺らぐ、弱い心。

言ってしまえば、自業自得でした。

好きな人に、同性愛を押し付けようとしてしまった、私の…


『それに…髪は雨に濡れるだけで傷むのよ』


絵里はそう言って、私の髪をやさしく撫でる。

たったそれだけで、高まる熱。


『私は海未の髪、大好きなんだから』



…絵里。

あなたはわからなかったでしょうけれど。

私はずっと、どきどきしていたんですよ?



ーー少し傾いた傘から零れ落ちた雨粒が、微熱を帯びた私の額を、ひんやりと濡らした。

140 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 23:19:49.66 ID:9PAl4vaf.net
………。


ふいに訪れた、「冷たい」という感覚。

それから、徐々に感じ始めた何かの気配。



ーー気がついたら、目の前には少女の顔。



亜里沙「あっ、起こしちゃいましたか!?すみませんっ!」



海未「…あり、さ……?どうして…」

141 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 23:20:28.00 ID:9PAl4vaf.net
ゆっくり周りを見渡せば、ここは雨降る帰り道ではなく、夕陽の差し込む自分の部屋でした。


亜里沙「お見舞いに来たんですけど…驚かせちゃったみたいですね。すみません…」


…ああ、そうか。今までのは夢で…

先ほどの冷たさは、亜里沙が額にのせてくれたタオルによるものだったのですね。


海未「そんなに謝らないでください。来てくれて嬉しいです」ムク


亜里沙「あぁっ!海未さん、起き上がって大丈夫なんですか!?」


海未「ええ。熱もだいぶひいたみたいですし…」

海未「それに、せっかく亜里沙が来ているのに、寝ているなんて申し訳ないですから」


亜里沙「そんな…海未さん、まだ熱あります」


海未「昨日、穂乃果たちも来てくれていたようなのですが…私は気づくことすらできませんでした。それに比べたら今日なんて軽いものですよ」


亜里沙「で、でも無理はダメですよ…!」


海未「…亜里沙」


亜里沙「は、はいっ」


海未「お気遣い、ありがとうございます。でも、それより…」



海未「……少し、縁側で話をしませんか」

142 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 23:22:14.66 ID:9PAl4vaf.net
ーー縁側ーー

亜里沙「あ、あの…本当に、大丈夫なんですか?」


海未「ええ。…それより、亜里沙のほうこそ、話したいことがあるのではないんですか?」


亜里沙「えっ、あ、亜里沙…ですか」


海未「いえ、なんとなく…言いたいことがあるような顔をしているように見えましたので…」


亜里沙「…」


海未「…」ハァ


海未「……絵里は、どうしたんですか」


亜里沙「えっ」ビクッ


海未「いつもならこの時間…あなたは校門前で絵里を待っているはずです。…何か、あったんですか?」


亜里沙「ぁ…」


私がそう言うと、亜里沙は少しの間うつむいてから、やがて小さく頷いた。


亜里沙「……喧嘩、したんです。お姉ちゃんと」

143 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 23:23:07.78 ID:9PAl4vaf.net
海未「喧嘩…ですか」


亜里沙「…はい」


亜里沙「……全部、聞きました。海未さん…お姉ちゃんのこと…」


海未「ええ。……好き、だったんです」


海未「…なのに、私は最低なことをしてしまいました」


海未「絵里の気持ちも考えず、ただ自己の欲求ばかりを押し付けようとしてしまったのです」


海未「…喧嘩、と言いましたね。こういう話を振るということは…それは、私のせいですか」


亜里沙「ち、違います…!海未さんの、せいなんかじゃ…」


海未「いや、しかし…」


亜里沙「海未さんっ!!」


海未「…!」


今まで躊躇いがちにうつむいていた亜里沙の眼が、その一瞬で私の瞳を鋭く射抜く。

先ほどまでとは別人のような気迫に、私は何も言えなくなってしまいました。



亜里沙「……最低なのは、お姉ちゃんのほうです」

144 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 23:25:01.13 ID:RxPznH2f.net
支援

145 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 00:59:46.20 ID:ZAXOURJE.net
相変わらず昼ドラしてるな

146 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 02:37:48.72 ID:T9NBZI9v.net
亜里沙「海未さん…告白も聞いてもらえなかったんですよね」


海未「…」コクン


亜里沙「そんなのあんまりです…っ」


亜里沙「お姉ちゃんは、希さんの気持ちも、海未さんの気持ちも、なんにもわかってない…」


海未「」ハッ


亜里沙の言葉に、ハッと気づく。

目の前のことに必死で忘れていた、希の存在。

そう…絵里と希がそういう関係であるなら。

絵里が拒んだのは、同性としての私ではなく。


ーー園田海未という、個人だったのか。

147 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 02:38:47.73 ID:T9NBZI9v.net
亜里沙「それで…亜里沙、お姉ちゃんが許せなくて…」


海未「亜里沙…もう、いいんです…」


亜里沙「え…」


海未「どちらにせよ、私は拒まれたのです。遅かれ早かれ、どんな理由であろうと…」


海未「これまで、穂乃果たちに相談して、いろいろ試しました。恋文もしたためましたし、お出かけのお誘いも何度かしました」


海未「その結果が、これなのです。ですから、もう諦める以外の選択肢は、私には残されていない」


海未「最後くらい、潔く身を引きたいと思います。絵里にとっては、私なんてただのーー」


亜里沙「そんなこと、言わないでください…!」


海未「あ、亜里沙…?」

148 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 02:42:32.28 ID:T9NBZI9v.net
私の言葉を突然遮った亜里沙は、急に顔をずいと近づけてくる。


亜里沙「海未さん…」


海未「…っ」


姉譲りの美しい碧眼に、目を奪われる。目が、離せない。


少女は、言った。




亜里沙「ーー私じゃ…ダメですか?」

149 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 05:31:27.98 ID:4bQo7Fgf.net
どうなっちゃうの!

150 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 09:11:05.86 ID:5kg+GQoO.net
えりうみかと思ったらのぞえりかと思ったらありうみなのか…?
期待

151 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 12:17:51.81 ID:Ag621AvY.net
昼ドラ感凄いな

152 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 14:22:32.70 ID:3EL19FQM.net
お、おぉ...

153 :名無しで叶える物語(西日本)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 01:32:51.58 ID:zezKceU7.net
まだ続いてたのかw

154 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 10:28:00.31 ID:aLjAJzx9.net
何故良SSにはアンチが湧くのか

155 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 18:58:17.27 ID:37Pswg6B.net
キャラdisとかしてるわけじゃないしアンチとか批判は気にせず続けてほしいな

156 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/05/04(月) 22:18:45.22 ID:QuzQ5yvi.net
はよはよ

157 :名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/:2015/05/05(火) 07:59:35.30 ID:vs+XNqqU.net
ひょえー
アリーチカ強い

158 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/05/07(木) 11:34:36.16 ID:yZ1H8MDX.net
ほしゅ

159 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/07(木) 16:21:55.57 ID:gnl5q0kj.net
亜里沙「海未さん…、私じゃ…ダメですか?」


海未「えっ…」


そ、それは…どういう…?


聞き返す間もなく、私の身体が細い腕に包まれるのを感じました。


亜里沙「…私、海未さんのこと、好きなんです」


海未「…!」


亜里沙「ずるいのはわかってます。でも…亜里沙は、海未さんの心の支えになりたい」


海未「心、の…支え…?」


亜里沙「はい。つらいこと、悲しいこと、全部、亜里沙が受け止めます」


亜里沙「亜里沙は、いつだって海未さんの味方です」


亜里沙「…ずっと、大好きでいます」

160 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/07(木) 16:23:37.61 ID:gnl5q0kj.net
亜里沙はゆっくりと顔を上げ、上目遣いで私を見つめる。


その切なげな表情は、なぜか、あのときの絵里によく似ていました。


私の髪が好きだと言ってくれた、あの雨の日の彼女に。


亜里沙「…今はまだ、亜里沙のこと好きじゃなくてもいいんです」


亜里沙「その…ゆっくりお互いのことを知っていけたらいいなって…」


海未「亜里沙…」


その瞳から、声音から、私を抱きしめる腕から、彼女なりのやさしさが伝わってくる。


ーーどうして、こんなにどきどきしてしまうのでしょう。


私は自分がわからなくなりました。




亜里沙「海未さん…、亜里沙を…選んでくれますか?」

161 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/07(木) 16:26:06.42 ID:gnl5q0kj.net
熱がぶり返してきたのか、頭がくらくらする。


このまま亜里沙に身を預けてしまえば、亜里沙は私のすべてを包み込んでくれるような気がしました。


絵里とはもう、話すことすら拒まれ続けるかもしれない。



けれど、亜里沙となら……




海未「…亜里沙……私…っ!」



私は、ついに目の前の少女に身を寄せた。

162 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/07(木) 16:26:39.28 ID:gnl5q0kj.net
(夜にまた書きます)

163 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2015/05/07(木) 16:27:51.16 ID:5/kdGKHy.net
おつ
選んでくれませんか?じゃなくて選んでくれますか?な所がいいね
がんばってくれ

164 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/05/07(木) 16:43:10.45 ID:SbxfohKw.net
待ってましたぁ!
この後の展開に期待

165 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2015/05/07(木) 18:23:32.91 ID:XcvCWgiU.net
乙です
果たして海未ちゃんはどちらを選ぶのかきになります…

166 :名無しで叶える物語(わたあめ)@\(^o^)/:2015/05/07(木) 22:57:10.48 ID:3pOEUopa.net
まっとるよ

167 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/07(木) 23:57:20.81 ID:gnl5q0kj.net
ーー翌日の放課後ーー


海未「…」

絵里「…」


練習後、みんな帰ってしまった部室の中。

ふと、絵里が立ち上がる。



絵里「……そろそろ、帰りましょうか」


海未「…ええ」




ーー昨日、亜里沙が帰った後、母から渡された一通の封筒。

前日に受け取った見舞いの品の中に紛れ込んでいたようでした。

穂乃果とことりの他にも訪ねて来てくれた方がいたのでしょうか、そう母に尋ねれば、その人は玄関で品を渡すだけ渡して逃げるように帰ってしまったらしく…


封を開けると、そこには折り目正しい丁寧な字で、こう書いてあったのです。



『次に学校に来れたとき、また一緒に帰ってほしい。

あなたにひどいことをしたことを謝りたい。

それと、言わなければならないことがある。

お大事に。


絢瀬絵里』




ーー私は確信しました。

この日、ようやく初恋を終わらせることができるのだと。

168 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/07(木) 23:58:05.45 ID:gnl5q0kj.net
校舎の外に出ると、途端に雨が降ってきました。

ふふっ、おかしいですね。

始まりも、そして終わりも、雨だなんて。



絵里「ーー百合…っていうのかしら」


傘を開き、少し歩いたところで、絵里がぽつりと呟きました。


絵里「私ね、今まで全く理解できなかったの」


絵里「おかしいことだって思ってた。同性間で恋愛なんて」


海未「…」


絵里「だから、海未の言葉に混乱しちゃって…」


絵里「それであんなひどいことをしてしまった…。本当に、ごめんなさい」

169 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/07(木) 23:58:47.33 ID:gnl5q0kj.net
ぴたりと歩みを止めた絵里は、こちらを向いて深々と頭を下げる。


海未「…いいんです、絵里。普通に考えて、簡単に理解できるものではありません」


絵里「いいえ。私は人の感情を踏みにじったの。許される行為ではないわ」


絵里「…それにね、」


そう言って、絵里はひとつ溜息をついた。


絵里「全く理解できなかった…それは『今まで』の話」


絵里「…本当は、理解していたはずなの。百合ってやつ」


絵里「だって……皮肉なものよね。私が好きになったのは、女の子なんだもの」


絵里「きっと、認めたくなかったのかもしれない。…自分の正直な気持ちを」


海未「…」


そうか。その相手こそがーー


海未「……希、ですか」

170 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/07(木) 23:59:41.61 ID:gnl5q0kj.net
これで全て合点がいきました。


絵里は、始めは同性愛を理解できなかった。

けれど希を好きになってしまって、事実上はその概念を理解することになる。

…が、心の中では依然として抵抗があり、私の言葉に対して混乱してしまった……といった具合でしょうか。



海未「絵里は希が好きで…希も絵里が好きで…。なのに、そこに付け入ってしまったのは私です」


海未「感情を踏みにじったのは、私の方です…」


海未「お願いです。どうか、ひと思いにフってください…!そうしたら、今度こそ、ちゃんと諦めますからーー」


ーーと、そこまで言いかけた、そのときでした。

171 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/08(金) 00:03:07.15 ID:XMIT0YuB.net
海未「…っ!?」


次の瞬間には、私の手からは傘がこぼれ落ちていて、絵里の端正な顔が目の前にありました。


背中に回っているのは…手?


雨の音すら聞こえなくなる。


まるで、私たちの周りだけ時が止まったかのように。



絵里「…どうして希が出てくるの?」


海未「え…」


唇にかかる、絵里の吐息。

その熱が、目の前の出来事が現実であることを鮮明に物語っていた。


絵里「…つらい思いをさせてしまったこと、本当にごめんなさい」


絵里「何を勘違いしているのかわからないけれど…、私が好きなのはーー」


息をすることすら、忘れていた。




絵里「………海未、あなたよ」

172 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/05/08(金) 00:33:36.26 ID:het17O1r.net
亜里沙…

173 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/05/08(金) 08:00:03.80 ID:lJh9qbV3.net
亜里沙ちゃんどうなるんや…

174 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2015/05/08(金) 13:04:32.92 ID:TAJawm0t.net
姉妹丼だろ

175 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/05/08(金) 20:15:50.49 ID:zihnUQtA.net
昼ドラ全開。悪くないがダラダラ続くと荒れそう

176 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2015/05/08(金) 20:18:29.55 ID:QwmLoODF.net
こいつのこのパターンマジ飽きるしつまらなすぎw

177 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/05/10(日) 02:54:16.10 ID:GV3SjzwF.net
はよ

178 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/05/10(日) 22:10:33.29 ID:+dZNGawT.net
はよー

179 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/05/13(水) 01:00:35.15 ID:pWu1b1ms.net
いっぺん100レス以内で完結する話書いてみろよ。いつもいつもダラダラダラダラかきやがって

180 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/05/13(水) 11:44:49.43 ID:URClCbgh.net
お前は完結した漫画しか読めないのか

181 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/05/14(木) 00:25:16.81 ID:ZtCxmNDP.net
このワクワク感がいいんだろ

182 :!yome(茸)@\(^o^)/:2015/05/14(木) 06:09:57.87 ID:rHRgFsb1.net
はよ

183 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2015/05/16(土) 18:10:49.32 ID:QZkoaDyU.net
叩かれるとすぐに執筆ペースがゲキ落ちする豆腐メンタル

184 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/05/17(日) 01:11:33.12 ID:yfdkrI8x.net
早く書けよ

185 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/17(日) 18:32:11.06 ID:6pp51VA5.net
外野は黙ってろ

186 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2015/05/17(日) 20:01:44.45 ID:5rIGUA3Z.net
>>185
スレ主さんチーッスwww

187 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/17(日) 21:18:28.45 ID:MTIjnIce.net
>>1です
この数日、多忙と体調不良と電波不調で書き込みできませんでした。
近日中に続き書きます、すみません。
ちなみに>>185は私ではないですよ

188 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2015/05/17(日) 21:27:04.81 ID:baivFtem.net
このタイミングで書き込む時点でお前だろwww
見苦しいな^ ^

189 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/17(日) 22:01:11.74 ID:MTIjnIce.net
いや、本当に違うんですけど
じゃあ明日にID変わった状態で>>187を言ったら信用できるんですか?
確かにタイミングは悪かったですけどね

190 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/05/17(日) 22:37:22.72 ID:W/us4BCE.net
毒茸なんか相手にするな

191 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/05/17(日) 22:42:40.35 ID:3qXQuM+j.net
みんなわかってるから大丈夫
どうしても掲示板の特性上声が大きく聞こえてくるだろうけどそんなのごく一部に過ぎないし相手しなくていい

192 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2015/05/17(日) 23:02:21.44 ID:CDZtGeQP.net
笑自演下手すぎwww
ちょっとは頭働かせろよ

193 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/05/17(日) 23:17:52.77 ID:KBPZW/Tr.net
なんで茸はいちいちID変えてんだよ
迷惑だから早く消えろ

194 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2015/05/17(日) 23:32:12.24 ID:jEPE7Z8s.net
iPhoneお前はお呼びじゃねぇよカス
あれ?もしかして>>1がID変えて文句言ってんのかな?^ ^

0時までに返答ないとまた疑われるぞwww

195 :名無しで叶える物語(あゆ)@\(^o^)/:2015/05/18(月) 21:52:55.63 ID:WhV1o0ru.net
アスペかな

196 :名無しで叶える物語(わたあめ)@\(^o^)/:2015/05/19(火) 06:32:49.83 ID:oFc3eTVr.net
待ってます!

197 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2015/05/19(火) 07:18:32.26 ID:5ALVhOqk.net
都合悪くなるとなんも言えない雑魚はもう書くな

198 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/05/20(水) 00:50:18.83 ID:gdp8cCLJ.net
書くネタがないけど書く宣言して引っ込みつかないから煽りに反応して体良く逃げ出した1さん続き早くーw
書きます宣言してからもう2日ですよーwwwww

199 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/05/20(水) 06:58:03.57 ID:V9RLINMa.net
なんでこのssこんな荒れてんだ?

200 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/21(木) 00:01:25.50 ID:xrwZ4mfj.net
え……?

今、絵里は何と…?

脳裏に反響する言葉が、未だに信じられない。

絵里が好きなのは……私…って。


海未「そ、そんな…嘘です…っ」


そう、聞き間違いに決まっています。

今までどうしても捨て切れなかった願望が、幻聴となって現れただけ…


嘘だと言って欲しい。

「何のこと?」と聞き返されてもいい。

そう思うのに、嘘じゃないと言って欲しい。

我儘が招くのは、矛盾。


しかし、絵里は私の疑問には答えませんでした。



絵里「…ねえ、海未」



絵里「ーー相合傘、ね」

201 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/21(木) 00:02:07.20 ID:xrwZ4mfj.net
海未「なっ…///」


た、確かにひとつの傘の下にふたり入ってますけど…

この姿勢は、少し違うのでは…!?


と、そこまで考えて、絵里とかなり密着しているということに改めて気づく。


それなのに、絵里はさらに強く私を引き寄せてきて。


海未「え、り……?」


絵里「ほら、もっと中に入らないと。…せっかく綺麗な髪が傷んじゃうわよ」


海未「…!」


ーー心に浮かぶのは、昨日の夢。


絵里「……私ね、今、すごくどきどきしてるの」


海未「え…」


絵里「あの日のこと、覚えてる?海未が雨の中びしょ濡れになって歩いてた、あの日…」


絵里「あのときも、今と同じ気持ちだった。…あなたはわからなかったでしょうけれど、ね」


海未「そ、そんな……」


そんな…あのときから、絵里も…?

202 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/21(木) 00:02:45.09 ID:xrwZ4mfj.net
ですがーー


海未「だったら…先日、私が見たものは何だったんですか…?」


海未「練習後の部室で、希と何をしていたんですか…?」


絵里「何を、していたか…?」


胸にひっかかる疑問。

絵里はしばらくきょとんとした表情を浮かべていましたがーー


絵里「練習後……部室……………あっ…」


心当たりがあったのか、絵里は気まずそうに回していた手を下ろし、目を逸らしました。


海未「…」


絵里「……見ていたのね、海未…」

203 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/21(木) 00:03:20.85 ID:xrwZ4mfj.net
海未「…すみません、忘れ物を取りに戻ったら声が聞こえてきて…。つい中を覗いてしまったのです」


絵里「はぁ…、よりによって海未に見られていたとはね…。あなたにだけは、知られたくなかったのだけれど」


海未「どういう、ことですか…?」


海未「さっきのは嘘だったのですか?やはり希とーー」


絵里「ちょ、ちょっと待って。さっきから、私が希のこと好きとか…何か、勘違いしてるんじゃないかしら…?」


海未「えっ…」


絵里「私たちの会話を、全部聞いていたわけではないのね?」


海未「は、はい。そう、ですけど…」


絵里「…」ハァ 


絵里「そうよね。確かに、全部聞いていたならそんな勘違いをするどころか…」


絵里「……いいわ。あまり気は進まないけれど…あの日のこと、全部、話すから」



………………

………



204 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/21(木) 00:04:17.82 ID:xrwZ4mfj.net
ーー練習が終わって、みんなが出て行った後の部室。

私と希だけが残ったわ。

少し雑談して、それから2人で戸締りとか忘れ物とか確認して…

そしたら、海未のスケジュール帳を見つけてね。

…気がついたら、それを手に取ったまま、ちょっとぼーっとしてたみたい。

希の呼びかけで我に返ったの。


希『えりち』


絵里『……はっ。え、えぇと…どうしたの?』


希『確認作業、終わったよ』


絵里『あ、あ…ありがと』


希『それ、確か…海未ちゃんのやんな』


絵里『そうね…。希、明日にでも海未に渡してあげてくれないかしら』


希『ウチは別にいいけど…ウチやなくても、えりちが渡してあげたらええんやない?』


絵里『いや、でも、私は……』


希『……』


希『…えりちは、海未ちゃんのこと、好きやないん?』


絵里『そ、そんなこと…っ!』


絵里『…』




絵里『ーー好きよ』


絵里『…好きに決まってるじゃない』

205 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/21(木) 00:05:25.44 ID:xrwZ4mfj.net
希『それなら……』


絵里『だからこそよ。私はあの子と距離を置かなくてはならないの』


希『えりちは…本当にそれでいいん?後悔しない?』


絵里『…ええ。そのほうが、きっと海未のためにもなるわ』


絵里『それに…言えないわよ。女の子に、あなたのことが好きです、なんて』


絵里『言えないくせに距離を縮めて、引き返せなくなってもね…』


絵里『こんな私なんかに、振り回されてほしくないもの』


希『こんな私、って…。えりちはやるときはやる!って感じやん』


絵里『どういうつもりよ…。あなたは、私に告白しろとでも言うの?』


希『当たり前やん』


希『…えりちはこんなに可愛いんやから、もっと自信もっていいんよ?』


絵里『可愛いって、そういう問題じゃーー』


希『ーーあっ、えりち』


絵里『え、どうしたの?』


希『…ちょっと、目、閉じてくれん?』


絵里『ん?目?わかった…こうでいいのね?』


希『そうそう、ちょっとじっとしててね………はい、取れたよ』



…………………

………



206 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/21(木) 00:06:04.97 ID:xrwZ4mfj.net
絵里「ーーそれで、希が睫毛についてたゴミを取ってくれて…」


絵里「それから、こう言ったのよ。『これでもう、視界もはっきりしたやん?もう少し、勇気を出してみん?』、ってね」


絵里「でも私…やっぱり一歩踏み出すことができなくて」


絵里「最後には、希にしがみつく始末。…本当は、私のほうから一緒に帰ろうって誘うべきだったのに」


絵里「こんな自分が嫌になった。だから…いっそ、嫌われようと思ったの。そうすれば、この片想いは終わらせることができるって…そう、思い込んでいたの」


絵里「海未と一緒にいるのは、やっぱりすごく楽しかった。だからこそ、怖くなったわ。引き返せなくなるんじゃないか、ってね」


絵里「そんなことを考えたら、半分自暴自棄になっちゃって…。他にも方法はあったはずなのに、海未を傷つけることを選んでしまったの」


絵里「……ね?情けないでしょう?だから、あまり話したくはなかったのだけれど…………って、海未?」


海未「…」ポカ-ン



ーー私は、絵里から話された事の真相に、言葉が出ませんでした。

まさか、今まで見てきたものは、すべて、勘違いの産物だったとは……

それに…絵里と私が考えていたことは、ほとんど同じだったなんて。

ふたりして、片想いだと思い込んでいたなんて。

207 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/21(木) 00:07:18.18 ID:xrwZ4mfj.net
海未「ーー似ているのかもしれませんね…私たち」


絵里「…え?」


海未「私も、絵里と同じことを考えていました。相手から突き離されれば、確実に諦めることができると」


絵里「…!」


絵里「で、でもあなた…」


海未「…はい。私は、絵里と希がその…付き合っていると思っていたので……だから、絵里を無理やり連れ回すことにしたのです」


海未「そうしたらあのようなことになって…最初から、嫌われていたのだと思いました。これできっぱりと諦めることができると…そう思っていたのですが……」


絵里「ねえ海未。あなたまさか、まだ私のこと嫌っていないと言うの…?」


海未「嫌っている?むしろ逆ですよ。…どうしてでしょうね…。あなたのことしか、考えられなくなりました」


絵里「海未…」


絵里「…そうね。似ているかもしれないわ」


絵里「私だって、関係ないの。海未が私のことを嫌っていたとしても、あなたの中で終わったとしても、私はずっと引きずってた」


絵里「…そして、ずっと、逃げてきた。希からも、海未からも、それから、自分からも」


絵里「でも、今日は言うわ。ーー海未、あなたのことが好き。こんな私でよければ…付き合ってください」

208 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/21(木) 00:08:55.00 ID:xrwZ4mfj.net
海未「絵里…」


目の前で、吹っ切れたようにうっすらと笑みを浮かべる絵里に、言葉で表せないような、色々な感情が沸き起こる。


私は…私は……



ーー口が勝手に、動いていました。





海未「………ごめんなさい」





絵里「…え?」




海未「申し訳ありませんが、絵里の気持ちには、応えられません」




海未「私には…亜里沙がいますから」

209 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/21(木) 00:10:11.20 ID:xrwZ4mfj.net
(このSSも暇つぶしで始めたものですが、皮肉にも最近ほとんど暇がなくなってしまいました。ラストは近いですが、この通り亀更新になります。
この遅筆加減に耐えられないのであればこのまま何も書き込まずスレを落としてもらっても結構です。
また、私が自演をしているのだと思っているなら、それを不快に思っているなら、読まないほうがいいと思います。)

210 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2015/05/21(木) 00:31:44.43 ID:pPulxf5l.net
更新おつ
ごめん書き込んじゃったから落ちないかも

211 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/05/21(木) 00:51:58.65 ID:FQoM/cfV.net
いちいち反応するから余計荒れるってことわからんのかね

212 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/21(木) 00:55:52.03 ID:YZ5C9grw.net
みんなわかってんのに荒らしに反応していくスタイル
嫌いじゃないよ

213 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2015/05/21(木) 02:36:07.27 ID:HLkDKEcv.net
おもしろい
待ってるよ

214 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/05/21(木) 06:51:44.63 ID:Gfn06D1N.net
こういう話あんまりないから楽しみにしてる
保守して待ってるよ

215 :名無しで叶える物語(芋)@\(^o^)/:2015/05/21(木) 21:46:49.65 ID:U5VVQl1x.net
えりうみ切ない

216 :名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/:2015/05/22(金) 00:59:05.66 ID:8hYLQjgP.net
ハッピーエンドになって欲しいけど
こういうことってありえるからなぁ
色々と引っ込みつかなくなる感じ

217 :名無しで叶える物語(有限の箱庭)@\(^o^)/:2015/05/22(金) 22:37:59.48 ID:3xCoSB53.net
おつ

218 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/05/25(月) 07:29:54.50 ID:zpNDapUE.net


219 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/05/25(月) 23:38:43.12 ID:Gm3C82EE.net


220 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/05/26(火) 19:57:56.55 ID:tCP8Lafw.net
T

221 :名無しで叶える物語(有限の箱庭)@\(^o^)/:2015/05/26(火) 21:37:53.41 ID:k1K9JfjN.net


222 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/05/29(金) 23:45:37.79 ID:NEdB+Xc0.net
そろそろ保守せんと

223 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/05/30(土) 19:12:38.79 ID:Qq8CrRJI.net
唯一ずっと見続けてるSS

どうか書いて欲しい

224 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/05/30(土) 23:56:05.70 ID:kc/WZaHK.net
無理しないでいいから
とにかく最後まで書ききってほしい

225 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/01(月) 00:41:04.29 ID:GmLHsq9E.net
すみません>>1です
今の時点である程度書き溜めてはいるのですが、
区切りがつかないのでこのまま最後まで書き終えてから投下しようと思います
とりあえず現実でレポート等を片付けてから再開しますのでよろしくお願いします

226 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/01(月) 21:56:31.53 ID:GmLHsq9E.net
期待待機

227 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/01(月) 22:07:26.02 ID:GmLHsq9E.net
>>226は身内のいたずらです…
どうか無視してください(;_;)

228 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2015/06/01(月) 22:46:29.47 ID:oGo5nPUg.net
自演失敗www
言い訳は通らないぞ

とうとうバレちゃったねwwwww

229 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/01(月) 23:13:17.97 ID:GmLHsq9E.net
まあこればかりは自演って言われても仕方がないでしょうね…
茸さんの言う通り今回こそ何を言っても言い訳にしか聞こえないと思うので何も言いません
荒らしたいなら次に続きを書きに来るまでにどうぞご自由に

230 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/02(火) 00:01:50.16 ID:ZC84bUTZ.net
とりあえずがんばって続き書こう

231 :名無しで叶える物語(きびだんご)@\(^o^)/:2015/06/02(火) 12:37:37.04 ID:QszJz96U.net
追いついた
支援

232 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/02(火) 23:50:22.79 ID:VJ2jtM4g.net
>>225-226
すまん笑った

233 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/06/03(水) 02:54:49.66 ID:tHbQIa12.net
どうでもいいからあくしろよ

234 :名無しで叶える物語(もみじ饅頭)@\(^o^)/:2015/06/03(水) 03:59:22.97 ID:X1KKkjbt.net
追い付いた支援

235 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2015/06/03(水) 13:50:21.02 ID:6qregxQx.net
期待

236 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/03(水) 19:28:54.23 ID:Pw8HSiMV.net
なんだ全然荒れてないじやないですか
もっと荒らしていいんですよ茸さん?

237 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/03(水) 20:17:13.91 ID:EBKOwydR.net
保守ありがとうございます
長いこと空けてしまってすみません

>>225->>227 >>229 >>236
ナリはやめてくださいね

238 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/03(水) 20:22:58.44 ID:EBKOwydR.net
絵里「え……あ、亜里沙…?」


海未「ええ。私、亜里沙と付き合うことになりました」


海未「だから…絵里とはお付き合いできません」


絵里「……」



絵里「……………そう……」


絵里「私は一歩遅かった、ってことね…」


海未「…」



ため息混じりにそう漏らす絵里は、今度こそ諦めたような、そんな表情をしていました。


それが少しばかり悔しい、なんて。


なんて、貪欲なのでしょう。



海未「こんなことになるとは…思ってもいませんでした」


海未「まさか、絵里も私のこと…なんて…」


絵里「…」




海未「ですから、普通なら今、このような展開になっていたのでしょうけれどーー」



絵里「え…?」



海未「私は……自分で思っていたよりずっと、欲深くて諦めの悪い性格だったみたいです」

239 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/03(水) 20:23:41.53 ID:EBKOwydR.net
絵里「ちょ…ちょっと待って。じゃあ、今のって……」


海未「…昨日、亜里沙が家に来たのは本当です。ですが…」


海未「私は彼女の告白を、断ってしまいました」


絵里「そんな…亜里沙が…」


海未「絵里には嫌われていると思っていました。だったら、亜里沙の好意に応えてあげることが定石……のはずなのですが」


海未「抱きしめてくれた亜里沙を…私は…」




海未「……無意識に、押し返してしまったのです」



………………

………



240 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/03(水) 20:24:24.83 ID:EBKOwydR.net
ーー1度は、心が揺れたのです。


叶わない恋を追いかけるより、好きな人に拒まれ続けるより、私を好きだと言ってくれる人に身を委ねるほうが幸せなのではないかと…。


だから、私は亜里沙の想いに応えるために、彼女を抱きしめ返したーー



ーーつもりでした。



海未『な…』



気がついたら、抱きしめ返すどころか、押し返していたのです。


最初は自分でも何がなんだかわかりませんでした。


意外にも冷静だったのは亜里沙のほうで…


ひとり茫然とする私の眼をしっかり見つめて、こう、言ったんです。



亜里沙「……それが、海未さんの答えですか」

241 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/03(水) 20:26:37.35 ID:EBKOwydR.net
どくどくと意思に反して高まる鼓動。


そして、気づいたんです。


私はそのとき、亜里沙に雨の日の絵里を重ねていたのだとーー。


亜里沙の問いに頷いてしまえば、…そう、まるでジグソーパズルの最後のワンピースがぴったりとはまるように、心にすーっと収まっていきました。


きっと、これが私の答えなんだ、って。


亜里沙を拒んだ…というより、絵里しか選べなかったのだと思います。


しかし本人にとっては拒まれたも同然。



海未『ごめんなさい。きっと私…このまま絵里に振り向いてもらえなかったとしても、今は誰ともお付き合いできないと思います』


口から零れたのは、紛れもなく自分の本心のような気がしました。


けれどーー


そう言ったら…亜里沙、どうしたと思います?



亜里沙『…よかった』



ーー笑ったんです。

242 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/03(水) 20:27:47.39 ID:EBKOwydR.net
海未『え…』


亜里沙『海未さんなら、絶対にお姉ちゃんを選ぶって、信じてました』ニコッ


海未『そんな…。私を試した、ということですか…?』


亜里沙『と、とんでもないっ!』


亜里沙『フられたことが残念じゃないって言ったら、嘘になります。でも…亜里沙は、まっすぐな海未さんのことが、大好きなんです』


亜里沙『〈フられた〉…って、使い方、合ってますかね?』エヘ


海未『亜里沙…』

243 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/03(水) 20:28:40.02 ID:EBKOwydR.net
海未『ーー今の話を聞いて、確信しました。申し訳ありませんが、それならなおさら、私はあなたの想いに応えることはできません』


海未『……私は弱い人間です。さっき亜里沙が私を好きだと言ってくれたとき…私は一瞬といえど亜里沙に心が揺れてしまいました』


海未『亜里沙の眼に映る私がまっすぐな人間で、あなたが好きだと思うのがそんな私なら、私は…』


亜里沙『そんなことないです!海未さんは、まっすぐです』


海未『で、ですから…』


亜里沙『だって…言ったじゃないですか。たとえお姉ちゃんに振り向いてもらえなかったとしても…それでも好きなのはお姉ちゃんだけなんですよね?』


海未『…!』


亜里沙『あっ、それとーー』


亜里沙『少しだけ、亜里沙のことも考えてくださったんですよね。それだけで、亜里沙は充分。海未さんのことは、もう諦めます』


海未『亜里沙……』


亜里沙『海未さんたちなら…きっと大丈夫。そんな気がします』ニコッ


亜里沙『ーーそれでは、亜里沙はもう帰りますね。海未さん、お大事に!』ペコリ



………………

………



244 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/03(水) 20:31:55.85 ID:EBKOwydR.net
海未「ーー亜里沙は、唐突に現れて、唐突に帰っていきました」


海未「まるで、私の背中を押すことを一番の目的としていたかのように…」


海未「言葉通り、亜里沙が心の支えになってくれたみたいでした」


絵里「はぁ…。妹に一本取られたわ」


絵里「それにしても、海未はなんで最初あんな嘘をついたのよ。亜里沙と付き合うことになった、って。本気で心臓が止まるかと思った」


海未「あれは…。わ、私だって、振り回されるだけじゃなくて、絵里を翻弄してみたかったんです…!」


絵里「もう…海未って、意外と子供っぽいところもあるのよね」


海未「え、絵里のせいですよ…!絵里が、全然気づいてくれないから…」


絵里「気づいてくれないって…私もだけど、海未だってそんな素振り全然見せなかったじゃない」


海未「やっぱり…絵里は鈍感です」


海未「私、頑張って、で、デートにも誘いましたし、恋文も手渡ししたじゃないですか…!」




絵里「………え?」

245 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/03(水) 20:40:11.13 ID:EBKOwydR.net
(たぶん次は日曜以降になると思います。できるだけ早く完結させるつもりです)

246 :名無しで叶える物語(舞妓 どすえ)@\(^o^)/:2015/06/03(水) 20:47:51.30 ID:BTFgauoJ.net
(ファイトだよ!)

247 :名無しで叶える物語(有限の箱庭)@\(^o^)/:2015/06/03(水) 21:30:49.40 ID:HD37US6t.net
(乙です!)

248 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/06/03(水) 22:11:42.89 ID:dW5uu1fp.net
(いつまでも、待っています)

249 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/03(水) 22:45:06.79 ID:ekpGjl0l.net
(亜里沙めっちゃいい子やん)

250 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2015/06/03(水) 23:05:40.03 ID:DEjMiMtQ.net
(亜里沙...泣きながら帰ったんだろうなぁ...切ねぇ...)

251 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/06/03(水) 23:17:23.94 ID:2CW2FOuw.net
(亜里沙ちゃんは俺がお持ち帰りするから大丈夫だよ)

252 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/03(水) 23:42:34.39 ID:uzEyDkQM.net
おつ

253 :名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/:2015/06/04(木) 23:23:15.92 ID:/wB3tHLK.net
なんだこの良いのは今更気がついたぞ
もうちょっと前のやつがあるってことか?

254 :名無しで叶える物語(有限の箱庭)@\(^o^)/:2015/06/06(土) 23:20:56.49 ID:k6sqXGkV.net
期待

255 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/06(土) 23:44:30.44 ID:cxuxclVV.net
ありちか「うう…グスッ」

のぞちか「うん…うん…!」ポロポロ

みたいな?

256 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2015/06/07(日) 00:09:11.67 ID:6ttVqQhb.net
自演あって吹いたけどまぁ完結させてくれ

エタるのだけは勘弁

257 :名無しで叶える物語(有限の箱庭)@\(^o^)/:2015/06/07(日) 12:03:35.79 ID:9cbcd7IL.net
はよ

258 :名無しで叶える物語(プーアル茶)@\(^o^)/:2015/06/07(日) 14:31:17.65 ID:iD+5dSmV.net
うみえりスレから来ました
最高だね
続き待ってます

259 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2015/06/07(日) 14:33:07.15 ID:cbyXkIN4.net
くっさ

260 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/07(日) 15:07:56.77 ID:3pK/viDG.net
ねえもう日曜日なんだけど
早く書かないと乗っ取るよ?

261 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/06/07(日) 17:18:03.45 ID:SGzk/Wq+.net
やわ銀は友達選んだ方がいいぞ

262 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/07(日) 22:43:08.17 ID:aYj4JAJj.net
今日は話がまとまらなかったので明日には完成させて投下します
遅筆ですみません

263 :名無しで叶える物語(きびだんご)@\(^o^)/:2015/06/08(月) 01:37:02.94 ID:PRE6Hvog.net
ええんやで
待ってる

264 :昨日は寝落ちしましたすみません(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/09(火) 16:02:51.88 ID:2PMoIDym.net
海未「覚えてないんですか?絵里は普段から恋文なんてもらい慣れているから見逃してしまうかもしれないと思って、あえて手渡ししたというのに…」


海未「お出かけだって、何度もお誘いしたじゃないですか。1度、絵里のほうから行き先の提案をしてきたこともありましたよね…?」


絵里「あ…」


海未「ようやく思い出しましたか?ーーはぁ…。やはり、想ひ出は 君には一日 我には一生……」


絵里「ま、待って。その俳句みたいなやつはよくわからないけれど、思い出したっていうか、その…」


海未「短歌ですよ。その…、何ですか?」


絵里「…いや、あの、言いづらいんだけどね…?」


海未「?」


絵里「……あれって、ラブレター…だったの?」



海未「……………………え?」

265 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/09(火) 16:03:46.22 ID:2PMoIDym.net
絵里「忘れようったって無理よ。あんな奇抜な手紙貰ったの、初めてだったもの」


海未「き、奇抜、ですか…?」


絵里「そうよ。だって、確か……『絵里のリーダーシップには日々尊敬の念が絶えません。仲間思いで頼りがいのある絵里は、まるで実の姉のようでーー


海未「うわぁああああああああああああっ!!」


海未「や、やめてくださいっ!恥ずかしいですっ!///」


絵里「読んでるこっちも恥ずかしかったわよ。…まあ、差出人が海未だったからなんとなく納得できちゃったけれど」


海未「そ、それは…どういう…」


絵里「う〜ん、そうね…。ほら、渡されたのがライブの数日前だったこともあるし、海未ならああいうの書いてもおかしくないのかな、って。変なところで真面目なんだもの」


絵里「しかも、『好き』って言葉がどこにもないのよ?誰もラブレターだなんて思わないでしょう?」


海未「ぅ…」


絵里「それに、海未が誘ってくれたときの行き先って、図書館とか山だったじゃない…」


絵里「2回目に登山に誘われたときは『今度は中級者向けの山にアタックしてみましょう!』なんて言うものだから、慌ててショッピングを提案したのよ」


海未「…」


海未「……そう、だったんですか…」

266 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/09(火) 16:04:40.69 ID:2PMoIDym.net
海未「そんな…今まで私のしてきたことって…」ガックリ


確か、穂乃果からは『自分のオススメの場所を案内してあげる、とかどうかな!?』と。

ことりからは『相手のどういうところが好きって、伝えるといいんじゃないかな♪』と。

そうアドバイスを貰って、その通りに実行したはずなのに………。


そんなことを考えながら肩を落とすと。



絵里「……くすっ」


目の前でくすりと吹き出す声が聞こえて、顔を上げてみれば、絵里は口元を押さえ、堪え切れなくなったように笑い続けていました。


絵里「ふふ、うふふっ…」


海未「な、何がそんなにおかしいんですか!?」


絵里「いや…私たちって、本当に馬鹿だな、って思って」フフッ


海未「…!」


絵里「お互いに好きって思ってたのに、海未はとんだ空回りだし、私なんかは臆病になって、何もできなかったし…」


海未「絵里…」



海未「…ふふっ。確かに、そうかもしれませんね」



ーーいつの間にか、雨は止んでいました。

267 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/09(火) 16:06:42.41 ID:2PMoIDym.net
絵里「ーーねえ、海未」


海未「…はい」


絵里「こんな私のこと…まだ、好きだって、思ってくれる?」


海未「そんなの…当たり前じゃないですか」


絵里「本当に?こんなに、ヘタレで、鈍感で、見苦しい私を?」



傘を投げ捨てた絵里は、再び私を引き寄せる。


鼻の先が触れ合いそうになるほどの距離。


かかる吐息に、微熱を帯びていく顔。



…今更そんなこと言われたって、遅いんですよ。



海未「ーー何度、言わせるんですか…」



声が上ずりそうになるのをなんとか抑えながら、恥ずかしさで逃げ出したくなるのを必死でこらえながら、私は続ける。



海未「私が選んだのは、絵里です。私は、絵里がいい。他の誰でも、ダメなんです…」


海未「そうでなければ、亜里沙からの告白を断ったりなどしていないでしょう」


海未「それに…ヘタレで鈍感で見苦しいのは、私だって、同じです」


海未「絵里は私のこと…嫌いですか?」

268 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/09(火) 16:07:32.46 ID:2PMoIDym.net
絵里「…」


私の言葉に、絵里は黙って首を振る。


絵里「…そんなこと、あるわけないわ」



絵里「それじゃあーー」



一瞬、泣き笑いのような表情。


声が微かに震えていたような気がしました。



絵里「ーー付き合っちゃう?私たち」

269 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/09(火) 16:08:33.28 ID:2PMoIDym.net
感情が高ぶって、言葉を発することができない。

でも、このときにはもはや言葉なんてどうでもよくなっていて。

女同士とか、そんなことはもう関係なくて。


絵里の背に腕を回すと、

その手は少し震えていました。


どうして。

これ以上ないくらいに、嬉しいはずなのに。



ーーああ、やっぱり。


私も臆病だったんですね。

絵里と、同じ。


私たちは、どこか似ている。

270 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/06/09(火) 16:09:41.08 ID:2PMoIDym.net
ゆっくりと、絵里の唇が近づく。


触れる直前、一瞬だけためらいを見せるけれど。


今までのやりとりを思い出してか、意を決してーー



今度こそ、ふたりの影が重なった。


伝わるぬくもりから、隔てられていた距離がようやく縮まった、そんなことを今更のように実感する。


今、確かにふたりの想いも重なっている。


これは些細な一歩のようだけれど、私たちにとっては大きな一歩で。


いつまでもこうしていたい。


あのときのように、絵里がそっと私の髪を撫でる。


その感触が心地よくて、私はしばらくそんな幸せに酔いしれていました。

271 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/06/09(火) 16:45:37.72 ID:DI9UsnFv.net
あら^〜

272 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2015/06/09(火) 17:59:47.31 ID:cd+xo8GH.net
あぁ^〜

273 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2015/06/09(火) 18:49:15.14 ID:SSjByoo3.net
生きる糧投下ありがたいです

274 :名無しで叶える物語(プーアル茶)@\(^o^)/:2015/06/09(火) 20:43:40.60 ID:r+iypvVG.net
素晴らしいうみえり

総レス数 274
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