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TRPG系実験スレ その2

1 :名無しになりきれ:2014/12/26(金) 23:59:47.64 0.net
やあ (´・ω・`)

ようこそ、TRP系実験室へ。
このコピペはサービスだから、まず読んで落ち着いて欲しい。

うん、「また」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

でも、このスレタイを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい、そう思って
このスレを立てたんだ。

じゃあ、実験《ものがたり》を始めようか。

□   □   □   □   □   □   □

物好き達が集まってTRPG系スレのような何かを繰り広げるための実験室です
飽くまでも実験室なので、そこで行われるのはTRPG系スレのような何かであってまともなTPRGスレであるとは限りません
全く無関係のスレの詰め合わせのようになるか同じ企画がずっと続くかは神のみぞ知る

2 :名無しになりきれ:2014/12/27(土) 00:02:22.97 0.net
スレタイを間違える痛恨のミス……ごめんなさーい!

3 :名無しになりきれ:2014/12/27(土) 00:10:39.02 0.net
前スレ:TRPG系実験室
http://kanae.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1364910156/

4 :模擬宇宙戦争 ◆71RPpG/nLcmc :2014/12/27(土) 23:03:13.29 0.net
【戦闘システムが確立すれば、文章が苦手でも戦闘で話を盛り上げられるのではないか。
そう思い、この企画を立ち上げます。】

≪テンプレ≫

艦名:
移動力:
耐久力:
装甲:
武装:(攻撃有効範囲、破壊力、命中率)
特殊技能:



艦名:テスト艦「MOGI」
移動力:前5
    後2
    横0
    上5
    下3
    旋回力90°(1ターン)
耐久力:1000
装甲:50
武装:「熱線砲」
   有効射程範囲 前10 後0 横10 上10
   破壊力100
   命中率30

   「マイクロミサイル」
   有効射程範囲 前30 後ろ30 横30 上30
   破壊力20
   命中率10

特殊技能:「全力射撃」:一度だけ、攻撃力2倍

5 :模擬宇宙戦争 ◆71RPpG/nLcmc :2014/12/27(土) 23:18:21.02 0.net
ルール
1参加する艦は、現在参加している艦から見て、前後に何マス、左右に何マス、上下に何マス離れた位置にいて、その艦にどの方向を向けているのかを書く、ただし、上下角は変えられない物とする。
2一回の書き込みで、移動、旋回、攻撃、技能使用が各一度づつできる(登場したターンから可能)。
3攻撃は、書き込み時間のコンマ秒のところが、射程の数字以下なら、命中。
4攻撃が命中した場合、「破壊力−装甲」分のダメージを耐久力から減らす(装甲より破壊力が低いと当たってもダメージは与えられない)。
5耐久力が0になったらゲームオーバー。

例をあげると、
MOGI(A)とMOGI(B)が戦ったとして。

Bはまず、Aから見てどの位置にいるのかを書きます。
[Bは、Aから、後ろに31マス、左右に0マス、上に31マス離れた位置に現れました。]
次にBの行動が書き込まれます。
[BはAに前5マス、下3マス接近(ミサイルは下に射程が無いので使えない)]
次にAの書き込み
[AはBに対し、上に5マス接近、180°旋回して前方を向け、ミサイル発射]
ミサイルが発射されたので、次に命中判定に移ります。
命中の判定は攻撃した書き込みのコンマ秒が使われます。

6 :模擬宇宙戦争 ◆71RPpG/nLcmc :2014/12/27(土) 23:20:27.87 0.net
書き込みのコンマ秒が02なので、ミサイルの命中率10より数字が下なので、ミサイルは命中。
しかし、MOGI(B)の装甲が50でミサイルの破壊力20より大きいので、MOGI(B)はダメージを負いません。

…っと言った具合です。
ここまでで何か質問は?

7 :名無しになりきれ:2014/12/27(土) 23:28:26.02 0.net
SRPG的な感じかな?とりあえず現在地が分かりにくいと思った
あとスタート時はどれぐらい離れてるのか
ステージは何マスくらいなのか、端とかないのか

8 :模擬宇宙戦争 ◆71RPpG/nLcmc :2014/12/27(土) 23:34:26.84 0.net
書き込みのコンマ秒が02なので、ミサイルの命中率10より数字が下なので、ミサイルは命中。
しかし、MOGI(B)の装甲が50でミサイルの破壊力20より大きいので、MOGI(B)はダメージを負いません。

…っと言った具合です。

かなり簡単に作ったのであらだらけだと思います。

9 :名無しになりきれ:2014/12/28(日) 00:39:40.48 0.net
>>8
せめて最低限のルールは事前に用意してから相談した方が好印象だよ
>>4のコンセプトはとてもいいと思うけど
それを支えるルールが雑なまま提示されてしまうと見てる方も不安になる
たとえば行動順を決めるルールが書いてないから先に投下できる中の人が有利すぎじゃ?など
それと一番大事な項目もすっぽりと抜けている
キャラメイクのルールをきちんと考えないとこういうのが出てきて終わってしまう

艦名:ぼくのかんがえたさいきょう艦
移動力:ぜんぶ無限
耐久力:無限
装甲:無限
武装:ぜんぶ無限
特殊技能:ほかの特殊技能を無効化する

10 :模擬宇宙戦争 ◆71RPpG/nLcmc :2014/12/28(日) 02:04:09.76 0.net
>>7
意見をありがとうございます。

現在地に関しては、基点を用いて、そこから何マス、どう離れているかで表すとわかりやすいのではと思っています。
基点に対し、X(縦)Y(横)Z(高さ)で位置を示す方式で行くとして、どれだけ離れているか、どちらから始めるかは、戦闘前に投稿者同士で話し合って決めるのが今のところ最良ではないかと。

>>9
パワーバランスは、全く未知数なので、現在いじくる事が出来ません。
実際に動かしてみない事には、どんな艦が強く、どんな艦が使いやすく、どんな艦を作ると面白くなくなるか、今のところ俺の中に基準がないんです。

なので、まずは何かしろの基準を設けるために、物語を入れず、戦闘のみを何度か実際に戦って見て、データをとっていきたいと思っています。

勿論、例に挙げた艦のように、明らかに強すぎる艦が相手では意味がないですが、データ取り目的で戦ってくれる方、是非ご協力をお願いします。

ある程度基準がまとまったら、今度はそこに小規模なストーリーを盛り込んでみる実験や、
新たなパロメーターを盛り込む実験(例えば、レーダー(艦が相手の艦を認識できる(ストーリーに盛り込める)範囲)や、開発能力(新しい能力を発現するための機能)等)をいければ、と思っています。

11 :名無しになりきれ:2014/12/28(日) 02:21:00.72 0.net
>>10さん即レスありがとう
>>9を書いた者です

その基礎データ取りを主さん自身が行って基本ルールを作らないことには、興味がある人も協力が難しいと言いたいのです
ノートとペンとやる気さえあれば、ご自身で何度でも模擬戦はできるのですから
協力者を募っての実験以前に必要な下準備を怠っては、成功するものもできなくなってしまい、大変もったいないです
新たなパロメーターのアイデア例はゲーム的で面白そうだと思います
がんばって!

12 :名無しになりきれ:2014/12/28(日) 09:53:36.56 O.net
宇宙戦争だってわかってても言うと
スパロボ参考にして、上下の概念はなくした方が分かりやすいかと
あとこのルールでコンマを使うと、中々当たらなそう

後は戦艦を三パターンくらいにして、それぞれに割り振れるパラメーターの上限を作ると分かりやすいかな?
機動系、攻撃系、防御系
みたいに
バランス系は…逆にバランスとれなくなるから難しいかも


ただ、XYだけでも現在地把握が難しすぎるかな…

13 :名無しになりきれ:2014/12/28(日) 10:21:42.84 0.net
現在位置はXYZ軸で表現だろ
せっかく宇宙空間が舞台なんだぜ!

14 :名無しになりきれ:2014/12/28(日) 10:53:06.70 0.net
ボードゲームみたいにどこかにMAPを表示しないと位置把握が難しそうだな

15 :名無しになりきれ:2014/12/28(日) 11:35:42.90 0.net
前に似たようなスレ立てようとしてた時期があったわ
俺のは宇宙戦艦じゃなくて戦闘機だったが
ハイスピード空中バトルみたいなイメージを夢見てな
ストップウォッチのアプリを駆使して模擬戦もやった
クッソつまらんかったw
アレって延々と能力値の上限とか割り振りを調整しないと
TRPGの戦闘ルールとしてぜんっぜん使い物にならないんだよな
特化型のユニットを作るとワンサイドゲームになりがちで
平均的なユニット同士だとただのリアル運ゲーと化す
MAPは紙に書いとけば充分だった
あの苦行に耐えられる熱意があるなら応援するわ
俺の夢を継いでくれ
参加するかどうかは出来次第だけどなw

16 :名無しになりきれ:2014/12/28(日) 15:49:26.59 0.net
ヘックス型ボードゲーム+TRPGっていうとメックウォーリアーTRPGっていうのがあったな……素人アイデアじゃなくてちゃんとした商品ね
ロボットの戦闘ボードゲームのバトルテックとTRPGを両立させようとしてるけど、結局TRPGパートとボードゲームパートはわかれちゃうんだよね
ボードゲームだけでゲームとしては成立しちゃうから

あと全然関係ないけど、ロボものでいうとワースブレイドってのもあったけど、
あれはスキルの関係で1パーティにロボが1体くらいしかいなくて操縦者じゃない人はロボに乗れないんだよな
最初ルールブック買ったときはみんなで巨神兵にのれるものとばっかり思ってたわw

17 :名無しになりきれ:2014/12/28(日) 16:45:42.83 0.net
企画の話からは逸れてしまうが
数年前にちょっと触ったエムブリオマシンってのが面白かった
シンプルなルールでわりとバランスも良かったし
短時間でメカ戦闘が楽しめた覚えがある

18 :名無しになりきれ:2014/12/28(日) 17:45:50.35 0.net
【厨二病TRPG】

厨二病(ちゅうにびょう)とは
1.「中学2年生頃の思春期に見られる、背伸びしがちな言動」を自虐する語。
  転じて、思春期にありがちな自己愛に満ちた空想や嗜好などを揶揄したネットスラング。

2.2005年以降、1に該当する10代の少年少女に発現した、超常的な能力。 
  及びその能力を行使する存在の事。(〜能力者、〜患者、等)
  
関連項目

・邪気眼
・厨二病管理研究機構
・カノッサ機関
・東京

―――jakipediaより抜粋

19 :名無しになりきれ:2014/12/28(日) 17:47:11.66 0.net
東京都【跡地】
2005年度まで日本国の首都であったその街は今、その大部分が瓦礫に覆われた廃墟と成り果てていた。
未知の物質が氾濫し、奇形の動植物が跋扈する街は、人間や軍隊、機動兵器でさえも寄せ付けず、
一種の異界とも呼べる空間を形成している
もはや人間の手から離れてしまった、その東京跡地……だが、その跡地にも『人間』は生きていた。

「――フフフ、計画は順調ですねぇ」

東京都跡地、その中央に屹立する異様な程に真新しく巨大な白いビル
『厨二病管理研究機構』が保有するそのビルの最上階で、黒いスーツを着た男がそう呟く。

「『あの年』から始まった研究もいよいよ佳境……世は全て事も無し、我々の勝利は間近です」

2005年から発生したと伝えられている、少年少女への特殊能力者の発現通称、『厨二病感染現象』。
かつての首都東京を廃墟へと変えた原因でもあるその現象の研究を政府により委託された機関の長である黒スーツの男は、
まるで自身の研究成果を眺めるように街を睥睨する。
そうして愉悦に口元を歪めていた男だったが、ふと何かに気が付いたかの様に夜空を見上げる
そして『それ』を認識した瞬間、驚愕に目を見開き呆然とした様子で呟いた



「バカな……早すぎる……」



厨二病によって破壊された世界

「や〜れやれ…『アイツら』は待つって事を知らないねぇ……」

異能の力を手に入れた者の、恐怖と増長

「ったく…どいつもこいつも喧嘩っ早いんだから」

力を得る為に厨二病患者達が殺し合う、獣の規則(ルール)

『もう俺には…縁のない話だと思ったんだがな…』


厨二病患者が力を手に入れてしまった世界で、戦え。そして生き残れ。

【厨二病TRPG】――ここに開幕


「っふ・・・・邪気眼(自分で作った設定で俺の持ってる第三の目)を持たぬ物にはわからんだろう・・・」

20 :名無しになりきれ:2014/12/28(日) 17:49:18.24 0.net
【テンプレ】

名前:
年齢:
職業:
設定:
厨二病設定:
能力:
容姿:
武器:
性格:
好きな物:
苦手な物:
決め台詞:
余談:


年末だし久々にTRPGでもやるかと思ったらスレが立てられなかった
だから設定だけ書いた。今は反省してる

21 :名無しになりきれ:2014/12/28(日) 18:28:57.01 0.net
邪気眼は、もうどっかにスレがありそうだけど
これ実験室で扱って大丈夫なんだろうか
実験するまでもなく完全に確立してるジャンルだし

22 :模擬宇宙戦争 ◆NyB4T4XmZl0G :2014/12/28(日) 18:54:28.72 0.net
保存してなかったのでコテ変えました。

>>11
いっその事、既存のスーパーロボット大戦から能力値と計算式を持ってくればパワーバランス問題が解決するのではないか、と今日思いつきました。
攻略本買えば命中率の計算式が大抵書いてありますし、命中率の判定にはコンマ秒を使えばいいし。

>>12
既存のスパロボ、Gジェネ等の計算式を使うとして、MAPの上下は、Gジェネの多段MAPが活用できそうです。
最初はXYだけでやって、慣れてきたら、MAPを多段式にするという形でいこうかと。

>>14
地形に関しては、「宇宙空間だから何もない」と言う事にすれば、MAPは白紙に十字書いて、十字の中心を基点、0にして、そこから各艦のX軸、Y軸を線上に点で打ち、それを直線で結んでいくと、各艦の位置関係がわかりやすいと思います。
Z軸は、そこに高さを書き込めばいいのです。

>>15
頑張ります。
試作品ができたら書き込みますね。


では、既存のスパロボの計算式とユニットデータを基に、試作品を作ってみます。
うまく行けば、すぐにストーリー導入できるかもしれません。

23 :名無しになりきれ:2014/12/28(日) 23:11:11.87 0.net
>>15
なんでこの人こんな偉そうなの

24 :名無しになりきれ:2014/12/28(日) 23:15:12.18 O.net
>>23
自分で上手くできなかったからじゃない?
悔しいんだよ多分

25 :名無しになりきれ:2014/12/29(月) 05:41:36.51 0.net
ふと思う、宇宙空間だとxyzの概念ってないよね

→□□□□
□□□□□
□□□□←

これだと左上から見ると前4下2だけど、
↓□□□□
□□□□□
□□□□←
これだと左上から見ると前2上4になるんだよね
これが再現できれば……管理が無理か

26 :名無しになりきれ:2014/12/29(月) 18:23:51.69 0.net
>>25
基準となるポイントを動かない物にすればいいんだお
例えば下の図なら◆をX0、Y0、Z0として、右が−、左がプラス、上が+で下が−なら○と◎の位置は、○が−3,−3で、◎が−2,0
ここに、◆より高い位置にいるか低い位置にいるかでZが加わる。
◆が動かなければ、◎と○がどんなに動いても、最初の位置からどれだけ移動してどの位置にいるかを表現できる。

□□□□□□□□
□□□□◆□□□
□□□□□□□□
□□□□◎□□□
□○□□□□□□

27 :名無しになりきれ:2014/12/29(月) 20:11:20.63 O.net
もしくはXY概念を取り払って、移動力にしてしまうとか
A1からE5まで移動、とか

28 :名無しになりきれ:2014/12/29(月) 22:08:49.53 0.net
>>26
それで問題なさそうだが
もしもしが話についていけてなくね?
A1からE5って結局はZ軸が無い二次元平面のXY概念だろ

29 :名無しになりきれ:2014/12/29(月) 22:40:53.17 0.net
>>26
位置はそうなんだが、方向を自在に変えられる、とすると、勘違いが生じそうでね
要するに移動力の数値がxyzでないと管理が厳しそう、と

30 :名無しになりきれ:2015/01/02(金) 16:57:21.22 0.net
方向の概念を取り入れ、基準点から北をN、南をS、西をW、東をEにして、

□□□□□□□□
□□□□◆□□□
□□□□□□□□
□□□□←□□□
□👇□□□□□□

←=−2,0 向き、W
👇=−3,−3向き、S

これなら向きも取り入れられるのでは・・・

31 :【からくり人形劇(仮題)】遊鳥学 ◆AtJyT58Cgs :2015/01/16(金) 08:35:18.16 0.net
<vsフィロメナ>

遊鳥が駄目押しに叩き込んだフレイザード。
唐竹割りの軌道で、先端が飛行機雲を引くほどの速度で打ち下ろされたそれを、
しかしフィロメナが掴み取りに行ったのは流石の反応速度だ。
多聞正太郎、やはり劇団のA級エージェントの名は伊達じゃない。
いまの遊鳥では到底敵わぬ人形繰りの冴えである。

そう、敵わない。
――遊鳥一人ならば、だが。

刹那、フィロメナの胴体から下が分断された。
腰から生えたのは一本の槍。
オリハルコン・ゴールドに輝くそれは、マリアの魔獣人形・ヨシュアの角。
七星が武装の一つ、ECMフィラーにより迷彩化していた伏兵の一撃である。

脚部をふっ飛ばされ、ゆっくりと自由落下していくフィロメナの上半身。
ねばつくような凝縮された時間の中、多聞は遊鳥の問いに応えた。

>「……こ、高卒──」

遊鳥はそれを聞いて、ゆっくりと一度頷いた。
目を閉じ、息を吸い、目を開け、そして言った。

「高卒(笑)」

ドグシャアッ!
もはや為す術もないフィロメナの上に、大剣型冷却デバイスフレイザードが落とされた。
かの白磁の剣は、精密機器である以前に巨大な金属の板である。
格闘戦に耐えうるよう頑丈に作られた超合金削り出しの筐体は、そのままでも十分な質量兵器になり得る。
人形の膂力で加速をつけて振り下ろせば、その威力たるや最早語るまでもない。

結果は、フィロメナの惨状が証明した。
蒼の人形は、頭部から腰部までを完全に破断され、内部を循環していた伝導体が誘爆。
その最期を象徴するかのようにしめやかに爆発四散した。
その爆風を背に受けながら、学歴厨はここぞとばかりに勝ち誇った。

「よく学習しておくんだな――これが大卒の戦いだ」

>「う、お、おおおおおおおおおおおッ!!」

キメ顔で妄言を吐く遊鳥の背後で多聞の悲痛な叫びが轟く。
急ぎ振り返れば、ヨシュアがフィロメナをぶった斬った返す刀で多聞の片腕を切り飛ばしていた。
吹き出す鮮血、飛び散る苦悶の脂汗。
そして瞳孔の収縮の激しい双眸が、信じられないものを見るかのように見開かれた。
遊鳥もつられてそっちを見て、顎を落とした。

>「て、てめえ……何をしてやがる!? 魔術師ィィィィーーーーーーッ!!!!」

不審者が重要文化財を足蹴にしていた。
親の仇のように行李を蹴りまくるジョーカー、歴史ある遺産に放火する人形少女。
彼らはその不遜にも程がある行為とは裏腹に――めちゃくちゃイイ顔をしていた。

32 :【からくり人形劇(仮題)】遊鳥学 ◆AtJyT58Cgs :2015/01/16(金) 08:35:47.94 0.net
>「何をしてるって聞いてるんだッ! やめろよ……やめろやめろやめろ。やめろってんだよォ!!」

「ぼ、僕もそう思う……」

非常に悔しいことであるが、多聞に同意だった。
普段から奇行の目立つ同僚であったが、なにもこんな時にまで反社会的自己表現に勤しまなくたっていいだろう。
ジョーカーだってこの『天の人形』を手に入れるために少なからず身銭を切り、死にかける思いをしたはずだ。
それを――まったくの躊躇なく――蹴って燃やして破壊した!

>「この……死神がァァァァァァアアーーーーーーッッ!!!!」

多聞の絶望の叫び虚しく、天の人形は行李ごと細切れにされ、消し炭になって四散した。
そして遊鳥も今になって、魔術師の狙いを理解した。

(そうか……多聞の目的は天の人形の奪還!ならばその『目標』を消してやれば――)

任務を達成できなくなった多聞を撤退させられる。
何が良いって、文楽としては全然全くこれっぽっちも、天の人形に未練などないってことである。
開けてびっくり、魔術師はまったくの『宣言通り』に、多聞には一切危害を加えることなく……敵を退けたのだ!

そして――。

「そこまでだ多聞正太郎。お前の任務は失敗だ、帰って過去問でも解いているんだな。
 もっとも、文楽をここまでコケにしてくれた貴様をこのまま帰す僕達じゃあないが」

投降の勧告とは裏腹に、遊鳥はヨシュアが放った『多聞を殺すための一撃』を止めなかった。
雪子の腹に穴を開け、地に付した彼女を踏みにじった多聞の所業に、いい加減遊鳥もプッツン来ていたのだ。
だが。頸動脈を確かに射抜いたはずの風刃は、しかし何者かに阻まれた。

「『くろがね』……」

多聞の足元に置かれた最後の行李――人形の古式ケースから、一体の人形が這い出て主を護った。
そのデザインに遊鳥はぎょっとする。
辛うじて人型の輪郭を保っているが、びっしりと張られた御札が全体のディティールを曖昧にしている。
夥しい紙片には茶褐色の――おそらく血文字で呪文が書き連ねられ、息の詰まるような凶状を放っている。

>「お前らよォォォォ〜〜……世界と世界を繋ぐ扉って……どんな形してると思う……?」

「知るものか……日本史Bの教科書には……載っていなかったな……」

腕から滴る血は既に勢いを失い、肌から色が消え、青くなった唇から漏れる多聞のつぶやき。
遊鳥はそのあまりの迫力に、殆ど無意識で応えてしまう。

>「『観音開き』だと……俺は思うんだよ。『観音開き』だからこそ、二つ揃えば安定もするし……制御もできる!
 半ドアはよくないやり方だ……無作法だし、何が起きるか分からない。とても危険な行為だ……お勧めはしない」

(こいつ……もう殆ど意識が……?)

まるで何かを確認するかのように多聞はひとりごとのように零す。
その目は遠くを見ているようで――しかし確かに、ジョーカー達を見据えていた。

33 :【からくり人形劇(仮題)】遊鳥学 ◆AtJyT58Cgs :2015/01/16(金) 08:36:21.20 0.net
>「だが知ったことかッ!!」

寄り添うようにして立ち上がった最後の人形――『地の人形』の体表を覆う呪符が弾け飛んだ!
同時に出現した『何か』が空間を歪曲させ、周りの風景がぐにゃりと滲んだかと思えば――

「ここは……地上か!?」

地下にいたはずの遊鳥達は、気付けば空を仰いでいた。
周囲の町並みに見覚えがある。地下から地上へ、垂直に移動してきたのだ。

空間転移術!
遊鳥が大学で学んだどんな高等魔術よりも遥か高みに存在する奇蹟のような神代の術法ッ!!

「馬鹿な……人間が制御できる領域を超えているぞ!」

遊鳥の驚愕に満足気な多聞の声が返ってくる。

>「ふ……は、ははははははッ!! こりゃすげえや! たまんねぇぜッ!!」
>「地上のアイゼンガルドは目標をあそこの四人に変更!
 状況はどうなってる? 他のエージェント達もただちに終結しろッ!」

隻腕の人形遣いは、既に前を見ていなかった。
その双眸は天を仰ぎ、視線の先には、遊鳥には目視できないなにか巨大な『力』のうねりがあった。
多聞はそれを見ているのだ。あの男はそれを『人形繰り』しているのだ!
なんたる天賦!なんたる才覚!!
生まれ持った人形の並列処理能力の全てをそこに注ぎ込んで、想像もつかない大きな人形を操っている!!

そして遊鳥達に訪れた危機は目の前の多聞だけではない。
アイゼンガルドと呼ばれた、主を持たぬ自動人形達が、光へ向かう羽虫のように殺到してくるではないか!

>「殺れるだけ殺ってやるッ!! もう、俺には何もないからな……
 なりふり構わねぇ! 使えるもん全て使ってトコトン嫌がらせしてくれるぜッ!!」

そして多聞の方針は単純にして明快。
任務に失敗した。帰るところもない。後に待っているのは残酷な死のみ――
ならば、一人でも多く道連れにしようと。劇団の人形使いは任務に忠実なプロから、怨嗟に塗れた下衆に成り下がった。

多聞の頭上に更に力のビジョンが出現。
巨大な燃え上がる蛇を象った『力』が、その長駆にうなりをつけて振るうと、炎の塊が地表へと降り注ぐ。

「くそ……七星!」

イマジネーションの繰糸を手繰り、満身創痍の自機を躍らせる。
向かい来る無数のアイゼンガルドへ下から潜り込むようにして肉迫。
敵は自動制御である分、完全な連携とは裏腹に生み出される動きは無機質だ。
そして、そういう制御された動きこそ、悪魔の知慧が最も手玉に取りやすい戦術である。
かち上げたフレイザードは剣ではなく『壁』、アイゼンガルドを阻み、押し込み、その武装が同士を餌食にする!

「数が多いぞ!」

だが、やはり多勢に無勢!
いかに七星がラプラスの悪魔の加護を受けているとはいえ、雲霞の如き物量で攻め立てられれば陥落は遠くない。
何より、こうした混戦はそもそも七星の設計思想からして不得手の類である。
常識的な1対他の範疇を超えているからだ!

34 :【からくり人形劇(仮題)】遊鳥学 ◆AtJyT58Cgs :2015/01/16(金) 08:36:50.73 0.net
そして、武装・性能において混戦でこそ力を発揮する人形遣いもまた、遊鳥の傍にはいた。

>「…くろがね…?は、お願い、します。…小学校?も、行ってないです、から…」

マリア。
一角魔獣の人形を駆りし少女は、七星を押しつぶさんとするアイゼンガルドの群れを蹴散らし、微笑んだ。
ここは任せて先に行けと、遊鳥よりもずっと幼い彼女が、そう言ったのだ。

>《あの高嶺の黒い花は……それがいいわね。ジョーカーくらい背が高くて、彼よりもプライドが高くて、
 もののついでに、学歴も高いユトリに任せておくことにするわ》

「収入もな――ッ!」

応じたのは魔術師ジョーカーが満を持して繰り出した彼の人形・アリス。
真紅で染め上げた外套は少女の肢体を礼服のように飾り上げ――鎧の如く堅護する。

>《まークン、聞こえていたわね? ……結束バンドの貯蔵は充分かしら》

「何故僕のハンドルネームを知っている!?」

だが、この手の中には確かにある。
この街全部の少女の親指を縛り上げても余るぐらいの結束バンドと……輝く未来への確かな布石が!
頼れる仲間という――あまりにも陳腐で――だからこそ渇望していた――遊鳥に必要な最後の1ピースが!!
思えば、若手人形遣いのSNSを運営しているのも、孤高のエリートを気取っていながらどこかでつながりを求めていたからだ。

「多聞!多聞正太郎!!君には仲間がいるか?友達は?恋人は?――僕は殆ど持ってない!
 だから僕は人同士のつながりが素晴らしいとは思わないし、仲良しこよしなんて反吐が出る」

人形は、人のカタチを模したモノ。
人ならざる存在に、人の代わりをさせるために生み出された概念だ。
それは幼子の友達代わりであり、病に伏した者の身代わりであり、嫁に行く娘の代わりであり。
――戦う者の、味方の代わりだ。

最強無敵のからくり人形。
魔術や錬金、陰陽術の粋を集め、最新の武装を搭載した万能兵器。
その戦いの道具が、不合理をはねのけてでも『人のかたち』をしている意味。

「神の領域に足を踏み入れて、多聞正太郎!……それで孤独が癒せたか?
 君の隣にいるのは、やはりどこまで行っても、ボロボロになったその小汚い人形でしかない。
 人形は人にはなれない。人の機能を肩代わりしているだけの、代替物に過ぎないんだ」

遊鳥が20年余りの孤独を経て、ようやくそれに気づいた。
おしゃべりな七星のAIだって、知性はあっても意思はない。感情はない。

「だけどな多聞、"殆ど"だ……僕が持っていないのは。わずかにだが、ある。
 そのほんのわずかな『つながり』で――お前を倒す!!」

意思がひらめき、相棒の鋼の偉丈夫が肉食獣の如く疾走する。
七星は人間に比べれば遥かに強力なアクチュエータで全身を駆動させる。
だが、他のあらゆる人形と比較すると、大柄で重量があるぶん遅い。どうしても遅い。
ヨシュアの防衛戦を突破してきたアイゼンガルドが数体七星にまとわりつく。
疾走に動力の殆どを割いている七星は殆ど無防備で攻撃を受けた。

35 :【からくり人形劇(仮題)】遊鳥学 ◆AtJyT58Cgs :2015/01/16(金) 08:37:27.09 0.net
「ッ!」

機関銃のマズルフラッシュが瞬き、七星の右腕をふっ飛ばした。
そこに握られていた大剣・フレイザードもまた床を滑ってあさっての方向へ飛んで行く。
豆鉄砲など何発食らったって耐えられるはずの装甲は――フィロメナにさんざん傷めつけられ、その意味を為さない。
間髪おかず、左翼からもアイゼンガルドの強襲。

「借りるぞ、ジョーカー!」

だが、黒人形は牙を剥く前に叩き潰された。
七星が残された左腕で振るったのは、分厚い樫製の板。
天封寺から簒奪され、ジョーカーから託された、濃尾無双の看板である。

「無価値なんかじゃないさ……目の前の敵をぶちのめす程度には有用だ!」

そして、七星は『くろがね』のもとへたどり着いた。
地の人形は、強引に力を引き出された影響で、各部ががたつき、悲鳴を上げている。
しかしそれでもなおあらゆる人形に頭を垂れさせる圧があった。
こんな看板一つぶつけただけでは到底破壊することなど不可能であろう。

フレイザードなき今、最後の武装を解き放たねばならなかった。
超電磁金属弾加速モジュール『御神槌』。
しかしかの武装は、ひとたび使えば戦場全域に破壊力を秘めた金属球をまき散らす相敵相殺の兵装だ。
ここで使えば、周囲の民家はおろか仲間の身さえ無事では済まないだろう。

だが、使える――遊鳥には直感があった。
LAPLUSの演算に頼るまでもなく、人の意思にこそ宿る絶対の予感――その名は『信頼』!
七星は"くろがね"に肉迫する。迎撃の届かぬギリギリの距離まで近づく。
そして遊鳥は命令を下した。

「『御神槌』――起動!」

七星の歪んだ胸部装甲が開き、無数の砲塔がくろがねへ向けて顔を出す。
背部コンデンサに圧縮された超電荷が戒めを解かれ、リニアレールモジュールの中を暴れまわる。
装填された大小百発の金属球は、赤熱し、かするだけでも生身なら肉を抉り取る一撃だ。
狙い過たず、橙に染まる波濤がぶち撒けられる――同時!

「――タリスマン!!」

背後の雪子とジョーカーへ向けて、遊鳥隊の隊長は指示を叫んだ。


【御神槌を発射。タリスマンでくろがねを囲うよう指示】

36 :【からくり人形劇(仮題)】早乙女雪子 ◆BZueVb97Lm7l :2015/01/26(月) 00:37:34.06 0.net
遥か古に作られた人形は、「からくり」と形容するには簡便過ぎる構造をしていた。
木製の装甲に球体関節の駆動系。思考操作のない時代に作られたそれは、手動の操作を強いる。
『くろがね』の各部から伸びる操り糸を指に繋げ、マリオネットのように動かす。
多聞もこんな人形で戦闘を行うのは始めてであったが、それでも十全に戦えるのが一流だ。

「この多聞正太郎はすでに、後世が『神話』と語り継ぐ領域に達している!
 退場間際の瀬戸際で──頂点に立つ者のみ得られる優越感が、俺を貫いているぜェェーーーーッ!!」

幼い頃は要領が悪くイジメられ、グレてみてもパシリ扱い。
人形使いになるまで社会の底辺を歩く孤独な少年でしかなかった。
やがて花開いた天賦の才はコンプレックスという養分を吸って生長する。
傲慢な態度が不和を呼び、不和は孤独を呼ぶ。才に目覚めてなお孤独は同じであった。

多聞はそれを「天才とは誰にも理解されないものである」と結論付ける。
己を理解せず、認めない人間など必要ないし、孤独である事にも痛痒を感じない。

「……敵の数が多すぎる……っ」

百余の機械人形が鋼鉄の軍靴を鳴らして殺到。
アイゼンガルドが形成した包囲網は遊鳥隊を縛る結界に等しい。
覚醒しきらぬ頭でオリヴィエールに意思を飛ばすが、反応が鈍い。
ジョーカーの力で一命こそ取り留めたものの所詮は怪我人。
戦闘において足手まといは避けられないだろう。

(……私がもっと強ければ……)

祖父・両親共に人形使い。娘の雪子もまた人形使いとして育てられた。
ゆえに彼女が人形使いとして文楽に入るのは半ば確定した路線である。
雪子はこれまで身体に括り付けられた操り糸に従ってきた。
だから戦うときもあくまで「仕事」で戦い、己の意思で戦った事はない。

(私は私の仲間というものを守りたいの。だから──)

──だから、明確に自分の意思で戦おうとするのは、始めてであった。
己の居場所と同僚達を守るために対決せなばならない。
その意に反して身体は重く、思うように動かない。

>「…私達は、周りを」

出し抜けにマリアが言うと、ヨシュアと共に機械人形の野へ走る。

>《まークン、聞こえていたわね? ……結束バンドの貯蔵は充分かしら》

次いで紅衣の外套に身を包んだアリスが風を伴って征く。
少女の双剣が、白馬の刃が振るわれる度に奔るダークブラウンの血飛沫。
弾丸雨飛の中で二人と一頭は舞踏を踏む。道を切り開くために。

>「さあ、最後の仕上げだ。寝ぼけてるうちに、何も考えずに叫べ!!」

卒然、ジョーカーの腕が乙女を力強く胸に抱き寄せる。
満身創痍の身体は抵抗もできずに熱い抱擁を享受した。
白雪の頬が加熱するより早く、懐かしい匂いが鼻をつく。

(そうか……一人で出来なくとも、仲間に寄り添えば歩いていける。
 道なき道も、皆の力を束ねれば切り開くことができる──私達なら!)

結んだ手が放つのは無敗の流派が伝える最終奥義。
マナ・ブラッドは伝導するエネルギーが莫大なほど高温になり、発光を伴う。
オリヴィエールを巡っている循環機構が黄金色に煌めく。
眩い輝きは内部に留まらず、白雪のボディをも染め上げた。

37 :【からくり人形劇(仮題)】早乙女雪子 ◆BZueVb97Lm7l :2015/01/26(月) 00:39:07.17 0.net
多聞も異常な輝きを示すオリヴィエールを察知。
冷静さを欠いてなお危機察知能力は鋭敏に働いている。

「な……んだァ、ありゃあ? だが発動前に叩き潰すッ!」

背後でうねる力の塊を最古の人形を介して操る。
火の蛇神が炎を吐きだそうとした瞬間、多聞に風の刃が飛来。
しかし命中する事はなく、周囲に展開する防御結界によって弾かれた。

「バァァ〜〜カッ! 十二天将・玄武の防御結界を貫ける訳ねぇぇぇだろおおおがッ!」

色褪せた思考はマリアの一撃を「無駄」と切り捨てた。
しかし、彼のお喋りという悪癖はオリヴィエールへ攻撃する機を永久に失わせた。
この時点で多聞の気を逸らせる意図は成功と言えるだろう。

>「多聞!多聞正太郎!!君には仲間がいるか?友達は?恋人は?――僕は殆ど持ってない!
> だから僕は人同士のつながりが素晴らしいとは思わないし、仲良しこよしなんて反吐が出る」

能大を卒業したエリートの遊鳥。人形の同時操作を行える、天賦の才を持つ多聞。
両者は高い能力を持ちながら、繋がりが希薄という点で共通している。
その遊鳥が、多聞に説く。

>「神の領域に足を踏み入れて、多聞正太郎!……それで孤独が癒せたか?
> 君の隣にいるのは、やはりどこまで行っても、ボロボロになったその小汚い人形でしかない。
> 人形は人にはなれない。人の機能を肩代わりしているだけの、代替物に過ぎないんだ」

「……孤独だと? 眠たいこと言ってんじゃねーぞッ!
 俺はお前達よりずっと高みにいる、孤高なんだッ! 同列で語るなァ!」

多聞は、遊鳥の鋭鋒を怒りのもとに切り捨てた。
心の奥で軋む音を振り払って感情の炎に薪をくべる。

>「だけどな多聞、"殆ど"だ……僕が持っていないのは。わずかにだが、ある。
> そのほんのわずかな『つながり』で――お前を倒す!!」

「倒してみろッ! 俺を協会から追いやり、コケにしやがった"それ"でな!
 お前が持っている脆弱な『つながり』を──灰塵に帰してやるッ!!」

十二の神が一柱、騰蛇が巨大な火球を打ち出した。
人間はおろか、からくり人形さえ塵芥に変える紅蓮の炎を。
放たれた火球は直線軌道で遊鳥と七星へ降り注ぐ。

>「二人の、この手が真っ赤に燃える――…」

騰蛇の火炎よりもなお、燦然と燃ゆるものがある。
激しく燃え上がりながらも水面に落ちる一滴の如く。
雫に視るのは仲間の顔。そして兄のように慕う男の背中。

「──仲間を守れと、轟き叫ぶ!」

最終奥義の発動に呼応して、逞しい男が腕組みで現出した。
オリヴィエールから解き放たれる光の奔流が騰蛇の炎を掻き消す。
多聞を守る防御結界に激突すると、干渉し合う二つの力が明滅。
半端に顕現した玄武は力を十全に発揮できず、結界に一筋の亀裂が走る。

「エターナルフォース──ブランネージュ!」

ハートを模した光が防御結界を貫き十二天将・玄武に風穴を開けた。
核を失い、甚大なダメージを負った玄武は姿を維持できずに粒子化していく。
玄武の防御結界とE.F.Bの干渉が起こす衝撃は凄まじく、生じた余波が多聞を襲う。

38 :【からくり人形劇(仮題)】早乙女雪子 ◆BZueVb97Lm7l :2015/01/26(月) 00:41:26.76 0.net
「げ、玄武が消えていくッ……そんな馬鹿な……ありえねえッ! そんなことがあってたまるかぁぁああ!!」

爆風が身体を叩き、多聞は地面に倒れこんだ。
薄汚れた最古の人形の背中が小刻みに振動している。
先の衝撃で内部の歯車が狂ってしまったのか、不自然にカタカタと揺れていた。

「動きやがれ『くろがね』ッ……人は裏切っても人形のお前は裏切らないッ!
 何百年と封印され、蔵で埃を被っているしかなかったお前の力を見せてみろッ!!」

新たな一柱の降臨と騰蛇の炎を放つべく左の五指が地の人形を繰る。
高速の繰り手は熟練の技と見紛うような手捌きで、何かが憑いたように速い。
しかし、特殊繊維で作られた糸は突如断ち切れ、遂に命令は届かなかった。
経年劣化で脆くなっていたのか。先の激突の影響か。あるいはその両方。
人形と人を結ぶつながりは、呆気なく千切れ飛んだ。

>「無価値なんかじゃないさ……目の前の敵をぶちのめす程度には有用だ!」

右腕とフレイザードを失いながらも樫の看板を手に敵を薙ぎ払う。
長年最強の流派の標となった分厚い板には『濃尾無双』の刻印。
称号とは打ち立てた功績の象徴。実の伴わぬ称号は風船と同じである。
託された看板は濃尾無双の四字が飾りではない事を証明した──物理的に!

「クソがぁぁぁぁ!! そんなもんは額に入れて飾ってろぉぉぉぉおおおお!!!!」

多聞の怒号が響くと共に、七星は射程圏内への接敵を完了をさせた。
道程は短く、しかし艱難辛苦の距離であった。一人では辿り着けぬ道であった。
吹き飛んだ右腕はコードや駆動系が露出し、装甲は無惨に凹み、醜く歪んでいる。
それほど激しく損耗していても──七星の頭部アンテナは陽を反射して鈍く光っている。
人はその姿をこう形容した。

「格好良いじゃないか……」

魔術師の開けた穴から這い出てきた副会長・五十嵐里実が呟く。
侵入した機械人形の掃討を終えて、部下の助太刀に参じたが──無用であったらしい。
遊鳥が幹部候補として協会に入ってきた時分、五十嵐や幹部勢には懸念があった。
面接にて神の最終学歴を問うた彼が、いつか才に溺れて道を踏み外すかもしれないと。
かつて人形技工士の才を発揮し、子供の如く真摯に人形へ向き合った多聞正太郎のように。

ゆえに、五十嵐達は彼を現場に置いた。
厳しく下積みを経験させることで遊鳥を一流の人形使いに育てようとした。
雪子を教育係に置いたのはエリートの鼻っ柱をへし折るためである。
遥か年下の女の子に指導させることで、彼の全能感を削ぐ意図があった。

仲間のバトンを引き継いで対峙する姿に五十嵐は確信する。
人形使い遊鳥学は間違いなく部下を背負うに相応しい幹部だと──!

>「『御神槌』――起動!」

メカニカルな超合金の胸部に秘めしは、最後の武装『御神槌』。
七星が持つ唯一の遠距離武器であり、解き放てば味方もろとも敵を粉砕せしめる。
ベアリング弾とはいえその威力、人形の装甲を貫くに十二分。
遊鳥が『御神槌』を使用するのは味方への被害を無視したためではない。
確かな信頼が最後の武装を発動させたのだ。

(ええ──分かっています、遊鳥さん!)

オリヴィエールがやおら立ち上がった。
限界以上の稼働で関節各部は悲鳴を上げている。
それでもオリヴィエールが立ち上がれることを雪子は知っていた。
自分の人形は、この程度で壊れてしまうほどやわな人形じゃない。

39 :【からくり人形劇(仮題)】早乙女雪子 ◆BZueVb97Lm7l :2015/01/26(月) 00:43:28.53 0.net
雪子は叫んだ。最後の一手を。舞台に幕を引く言葉を、力のあらん限り。
七星の胸から必殺の怒涛が解き放たれたとき、咆哮が重なった。

「「――タリスマン!!」」

地の人形『くろがね』の足下に浮かぶ六芒星が六角柱の結界を紡ぎ出す。
タリスマンは展開した結界に敵を閉塞する拘束結界魔術である。
一度張れば堅牢な監獄はミサイルとて破壊不能。『御神槌』さえ外に漏らさない。
電磁加速で加熱したベアリング弾が暴れ、地の人形を引き裂き、歯車を撒き散らす。
破壊を極めた結界内部に残されたのは原形を留めぬガラクタだけであった。

「あ……あぁ……」

言葉を失い地面に這いつくばる多聞。見上げた先に遊鳥と七星。
完膚なきまでに叩き潰された地の人形が告げるのは敗北。
ここが彼の行き止まり──酷薄なほど、克明に突き刺さった。
烈火の如く燃え盛っていた感情も灰となり、残るのは心の奥で軋む音。
音の名は虚無。穴のような虚しさが胸に拡がっていくのを感じた。

焦点定まらぬ眼で遊鳥達を眺めていたその時であった。
彼の瞳に指揮官を失い残党となり果てた劇団のエージェント達が映った。
部下のエージェント達を見て、多聞の意識が急速に再始動していく。

「遅えんだよ、この……カス共がァァァァァァアアーーーーッ!!
 早く俺を助けろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

捨て鉢で道連れ作りに勤しんだ男は、絶望の淵に立って命が惜しくなった。
理屈ではそれが恥であることを理解していたが、衝動と本能のままひた走った。
なぜなら多聞正太郎にとって誇りとは己を飾る箔に過ぎない。
時間をかけて綺麗に貼りつけた箔であるから、傷つけられると激怒する。
だが箔は箔。実がないために緊急事態に陥れば容易く剥がして捨てられる。
恥も外聞もかなぐり捨てて、彼は生まれて始めて仲間を頼った。

「作戦指揮官の多聞正太郎は敵との交戦で敗北。回収は困難です。
 ……了解、代わって私が指揮を。残存のエージェントはただちに撤退を開始」

機械人形は全滅。目標である天地の人形は破壊され任務も失敗。
多聞の方を見向きもせず、エージェントは冷徹に撤退の判断を下した。
情はない。階級が上であっても秘密結社に足手まといは不要。
それがいけ好かない上司であれば容赦なく見捨てられよう。

「ハイハーイ、こちらリスベット。拘束結界の解除を確認しだい回収作業に入りま〜す」

遥か上空の空挺部隊──飛空人形達が文楽座を覆う結界を見下ろす。
拘束結界魔術は文楽座の周囲に突き刺さる黒柱を起点に発動している。
内の敵を一匹たりとも逃がさず、外からの介入をことごとく拒む障壁――
作戦を円滑に遂行するため劇団が張ったものだが、今や無用の長物だ。

「……って。何よ、あれ」

制空権を握る飛空人形の繰り手が空を仰いだ。
道を闊歩するように悠々と青空を泳ぐのは一機の飛行船。
その飛行船は、からくり人形を収容し目的地まで迅速に輸送する役を帯びている。
人形の名は万能工作人形『アスクレピオス』。使い手は人間国宝・千歳会長。

40 :【からくり人形劇(仮題)】早乙女雪子 ◆BZueVb97Lm7l :2015/01/26(月) 00:45:22.22 0.net
飛行船の格納庫が開くと途方もない質量を持った何かが降下した。
その鉄塊は文楽座を覆う結界をぶち抜きながら敷地に着弾。
盛大に巻き起こる砂埃から微かに視認できるのは、鉄塊が人のカタチに成る過程。
収納状態から通常形態へ変形したそれは、全高七メートルに達する『からくり人形』。

「人が留守の間に好き勝手暴れてくれたようだな……」

大型人形の頭部に据えられた取っ手に捕まる一人の老人。
齢七十過ぎてなお現役、千歳会長その人である。

「あれは五番飛行船キャロル・ブーケ……ということは、会長!?」

雪子の声には驚愕の色が混じっていた。
聞かされていたのは名前と能力だけで、実物は見たことがない。
巨大な胴体を支える太い足。両腕はやや短く、極端に小顔の頭部。
会長の人形はスケールもさることながら容貌もまた異形と呼べた。

「これから君達をもてなそうというのに、足早に帰られては困るというものだ」

アスクレピオスが腕を振るうと再び結界をぶち抜き、巨大な鉄柱を力任せに引き抜いた。
それを劇団の残党へ向けて投げつけるとエージェント達が蜘蛛の子を散らす。
結界の起点を喪失したことで文楽座を覆う結界もまた消えていく。

「まだまだ。アスクレピオス、『アルカヘストの門』を開けろ」

万能工作人形の胸部装甲が開いた。装甲内に満たされているのは液体である。
錬金術が生みし、オリハルコン以外のことごとくを溶かす万能の『溶媒』を湛えている。
同時に風の魔術が発動――残骸と化した『アイゼンガルド』が吸い込まれていく。
アスクレピオスの門が閉じると、千歳会長の周囲に次々とディスプレイが表示された。
ディスプレイには複雑なグラフやメーター、化学式が映り、慣れた手つきで浮かぶコンソールを操作。

「修復完了。アイゼンガルドリペア─―出撃」

万能工作人形『アスクレピオス』が備える驚異の能力。
それは錬金術とナノマシン技術の併用による万能工作システムにある。
溶媒を秘めた胸に吸い込まれたが最後、生物も兵器も等しく溶かして再構築。
物質(ざいりょう)を基に新たな武器・人形を生産する姿は小さき工房であった。

一分足らずで再度門が開きアイゼンガルド達が行進しながら現れる。
元の姿より三分の二ほどのスケールで、ややデフォルメされてはいたが。
劇団が抱える自動人形は会長の手により残党を狩る敵となって牙を剥いた。

「おっ、結界が解除されたみたいだぜ。ようやく文楽に帰ってこれたな」

「俺ァガキの頃、お袋に家から閉め出されたことを思い出しましたぜ、兄貴……」

増援は会長だけではない。結界の解除とともに文楽の人形使いが続々と帰還する。
残党のエージェントと精鋭人形使いの交戦が始まり、戦いは終焉を迎えようとしていた。

「五十嵐君、珍しく手こずったな。年か?」

「彼らがいなければこの戦い……負けていたかもしれません」

遊鳥隊の面々を見つめる五十嵐に、会長は一言「そうか」と応えた。
会長の視線は未だ消滅せず現界したままの十二天将・騰蛇に向いている。
騰蛇は『地の人形』が破壊されたにも拘わらず、この世に留まり続けていた。
それが何を意味するのか──会長は理屈以上に本能で理解した。

「いかん……! 皆、何かに掴まれッ! 『持っていかれる』ぞ──!」

41 :【からくり人形劇(仮題)】早乙女雪子 ◆BZueVb97Lm7l :2015/01/26(月) 00:48:37.94 0.net
騰蛇の身体がぐにゃりと大きく歪み、空間に溶けていく。
それは大きな渦を巻いて奈落のような昏い穴が拡がった。
穴の先を僅かに窺うと、夥しい青白い腕が見える。
死人に似たそれは掴んだもの引き摺りこもうと穴から這い出てきた。
耳元で聞こえる囁き声は怨念の籠った呪歌だ。

"神降ろし"は天と地、双方揃って始めて制御可能となる事象である。
無理な降臨にどのような危険が付き纏うか──誰にも予測などできない。
制御装置が破壊され、残された膨大な力だけが残ったとき、如何な結果を招くのか?

「な、なーんかヤバげっ……回収作業中止! ……これは戦略的撤退よっ!
 エンターテイナー(二代目)緊急発進、高高度飛行に移るわっ!!」

仲間の回収もそこそこに、安全を優先したエージェント達は空へ逃げていく。
その場にいる誰もが感覚で理解できただろう。
ひずみの穴の先に、怨嗟絡む地獄のような場所が待つことを。

穴は物理法則を超越した「引力」に似た何かを生み、周囲の全てを飲み込まんとす。
その危機に最も晒されていたのは、皮肉にも使用者たる多聞正太郎。
そして多聞の『くろがね』を破壊した遊鳥学である。

「た、たす───―」

吐き出そうとした言葉を多聞は飲み込んだ。一体誰に助けを求めるというのだろうか。
多聞正太郎を助けてくれる人間など存在しない。彼は進んで孤独の道を選んだ。
残された左腕で未練がましくこの世にしがみつきながら、多聞はようやく理解した。
自分が虚しい一人相撲を続けていただけの事に。それに気づかずどれほど空虚な時間を過ごしたか。
怒りを燃やしながら劇団の工作員として忠実に働いた数年は何の実を結んだと言うのだろう。

「遊鳥さんっ、掴まって!」

右腕の聖剣を地面に突き刺してフック代わりに接近。
オリヴィエールに抱かれた雪子が遊鳥に手を伸ばした。
仲間と仲間が──同僚同士が手を取り合って協力する。
それは至極当たり前の光景で、あり得ない光景であった。

「は……はははははは! はっはっはっは……あーっはっはっはっは!!」

多聞は笑った。快活に。

「……負けたよ。完敗だ」

引力に耐え切れなくなった腕は地面を手放し、男は奈落の底へ消えていった。
贄を飲み込んだ捩じれた空間は歪みを解くように元に戻っていく。
後に残ったのは破壊された文楽座と、傷ついたからくり人形達。

──かくして、文楽を巻き込んだ長い一日は多聞正太郎の消滅で終わりを告げた。

42 :【からくり人形劇(仮題)】早乙女雪子 ◆BZueVb97Lm7l :2015/01/26(月) 00:51:49.59 0.net
球形を為す空間の中で煌めく星屑、数多浮かぶモニターが表示されては閉じられる。
世界に散らばった工作員達の定期報告が一挙に集約されし地球儀の中。
その中央で青く静かに揺らぎ続ける聖火は組織のボスの象徴である。

「多聞君、失敗したんですって? 折角我が社のアイゼンガルドを用意してあげたってのに」

投影された一際巨大なモニターには黒縁眼鏡を掛けた男が一人。
人工知能によって「人形操り」を補助する事で万人が容易に扱える人形を生んだ男。
それを量産化し破格の値段で売り出す大企業、アームガード社の社長である。

「活動拠点のない日本へ違法な人形を持ち込むのは骨が折れるでしょう? 私の力なしではね。
 今回のMVPは間違いなく我が社であると、そう自負してるんですけどねえ。そこんトコ評価してくださいよ」

「負け戦にMVPなどあるか。通信を切るぞ」
「ああッ! 待ってくださいよ。ちゃんと褒め──」

モニターの消失を見届けて『大海の覇者』がマッチに火を灯す。
思慮深き男の周りに佇む、重く濃い煙が重厚感を演出する。
そうやってたっぷりと間を置き、燻らせたシガーと共に言葉を押し出した。

「徒花だったな。"死神の切り札"か……そろそろ本気で始末した方が良さそうだな」

組織の幹部たるA級エージェントの中で特に優れた頂点の中の頂点。
彼らこそ秘密結社の枢要にしてボスが認める特A級のエージェント達である。

「残念ね……あれは興味深い研究対象だったのに」
名残惜しそうに溜息を吐いたのは『呪いの黒真珠』。

「不可解な発言だな。アレは儂が調べるはずだぞ」
隣で『からくり儀右衛門』が老獪な視線を寄越す。

「博士が調べると最後にはバラしてしまうじゃないか」
謎を含んだ仮面を被るのは『死の舞踏家』。

「多聞君がやられたとあれば、私が出るしかないな」
「お前はドイツから出てくるな」

逸る『ゲルマン忍者』を『大海の覇者』が制した。
特A級は能力の高さゆえか我も強く、話が脱線しがちである。
線路を元に戻す役は『大海の覇者』か『帝釈天』が担うのが慣例だ。

「……私の見込み違いだったのかも知れんな」

『帝釈天』の瞳は閉ざされたまま開かない。
「天」と「地」双方の喪失は悲願達成を著しく後退させた。
神降ろしの力を手中に収め、解析し、その技術を組織のものとする。
その威力をもってすれば日本はおろか世界を統べる事も造作無かったであろう。

「かくなる上は、私の提案する『大陸畳返し計画』の実行を──」

「そこの忍者は静かにして。声が大きいのよ。声が」

「いずれにせよ軌道修正が必要だろう。我らのボスのためにな」

揺蕩う絶対悪の炎が常闇に消え行く。
公演は終いを迎え、劇団もまた舞台を去る。

しかし案ずるなかれ。劇は終われど劇団は終わらず。
きっと次なる物語を抱えて痛快娯楽の人形劇を演ずるだろう。
一時の眠りから目覚めたとき、開幕を告げる鐘が鳴る。

43 :【からくり人形劇(仮題)】早乙女雪子 ◆BZueVb97Lm7l :2015/01/26(月) 00:57:12.88 0.net
からくり人形協会本部の会長室にある机は世紀末的な様相を呈していた。
億劫だから整理をしないのではない。必要なものを片付けず机に置く悪癖があったためだ。
千歳会長はこれを獺祭と形容するが、ようするに言い訳に過ぎない。

「会長、失礼します」

ノックの後にサングラスをかけた中年が部屋に入ってきた。
副会長の椅子に座る男は、室内であろうと頑なにそのスタイルを崩さない。
名を五十嵐里実と言った。

「おお、五十嵐君。開いた穴は塞がりそうかね」

「ええ。つつがなく」

穴とは協会本部最下層に達する破壊痕のことである。
犯人は複数の証言から確認済みであり、修理費は犯人に支払われた報酬から差し引くという形で決着した。
『天地の人形』ほどではないにせよ、最下層には使い手の生命を危ぶむ人形が幾つも保管されている。
着工は早ければ早いほど良かった。早急に費用を確保できたのは幸運といえるだろう。

「結局、『天の人形』も『地の人形』も壊れてしまったなあ……」

千歳はどこか遠い目で飾ってある日本人形を眺める。
年齢よりずっと精力的な会長もこのときは年相応の爺さんに見えた。

「もしかすると国宝くらいにはなったかもしれませんが」

「何より古の中に消えた神降ろしの業。古代の天才が生み出した技術。
 現代の魔術でも、錬金術でも、陰陽術でも再現できぬ秘法はとても魅力的だ」

しかし、結果的には壊れてしまって正解だっただろう。
物事には分というものがある。神を操るなど人間の身に余る行為だ。
それが胡散臭い組織の手に渡ってしまうくらいなら尚更である。

「ところで会長、人事交流の件ですが」

「うむ……はて、どこにあったかな」

「……そこに積み重なっている本の下敷きに」

とぼけた調子で取り出したのは一枚の書面。
中には「欧州人形協会」との人事交流に関する文が記載されている。

「今年は誰にしたものか。欧州協会の本部・フランスといえば人形使いの総本山だからな。
 扱う事件も日本の比じゃなく危険だが、人形使いの質も違う。うちの人間も良い刺激になるだろう」

欧州協会は人形使いにとって一流企業に等しい。
所詮寄合の文楽と違い、会員は人形に自由に装備を施すことができる。
大剣の刃を潰すどころか、肩にガトリングを乗っけて胸に荷電粒子砲を仕込んだって構わない。
その背景には犯罪組織の多さや、意思を持つ自動人形の深刻な被害が関係している。
欧州協会が戦う敵は人間に限らない。ヒトを殺戮することに特化した『殺人兵器』を壊すことも仕事である。
──フランスへ行った文楽の人形使いは、その大半が恐ろしく魂を摩耗した顔で帰国した。

「誰に立てるべきかな、この白羽の矢」

人事交流という名の人身御供の采配は、この爺の手に委ねられていた──

44 :【からくり人形劇(仮題)】早乙女雪子 ◆BZueVb97Lm7l :2015/01/26(月) 00:59:36.13 0.net
あの事件の後、逃げ損ねたエージェント達は警察のお縄についた。
彼らは日本の法に則った裁きを受け、長きに渡り刑務所暮らしを強いられるだろう。
ただ秘密結社──劇団に関することだけは胸の内に収めたままである。
組織に関する情報を口外することは血の盟約で固く禁じられていた。
これに背くことは死より恐ろしい『罰』を意味している。

(……伏魔殿に風穴は空きませんでしたね)

祖父の墓を掃除しながら、早乙女雪子はそんなことを思った。
劇団という名を耳にすることは多かれど、その実態は謎に包まれている。
彼らは何をもって世界征服とするのだろうか。なぜその道具に『人形』を選んだのだろう。

雪子がそれを知る日が来るかについては、疑問符がつく。
だが彼女はそれでも構わないと考える。戦う理由はたった二つ。
仕事と─―仲間を守ること。

「……はい。早乙女です。了解しました、今から行きます」

艶のある黒髪を耳に掛け、携帯の通話を切る。
女性にはやや大きめの白いトランクケースを持ち、墓所を後に。
副会長から回された依頼を遂行するため雪子は急ぎ現場へ向かった。
何でも美術商を名乗る男が、海外から美術品の名目で「からくり人形」を大量に仕入れているとのこと。
雪子は大阪県警に協力して取引現場を押さえろ、という内容だ。

人形が美術品の名目で取引されるケースは存外多い。
携行武器として生み出されたはずの古い人形は、美術品や工芸品としての価値も高いからだ。
事実「天の人形」と「地の人形」の保護も、当初それが文化財であったためである。

県警が協力を依頼するということは、売り捌く相手は人形を全うじゃない方法で使う人間であろう。
ならば『自称美術商』か『取引相手』がにわか人形使いを雇っている可能性は捨てきれない。
人形使いに対抗できるのは人形使いだけ。からくり人形にとって、拳銃で武装した人間など赤子に等しい。
たとえ古い人形であってもこの力関係は崩せない。雪子の人形がそれを証明している。

「今日もよろしくね、オリヴィエール」

自身の人形は意思もないし喋らない。
けれどケースの中でキリキリ歯車を鳴らして、雪子に応えた気がした。
ふと、襟元に留めてある、銀十字のピンの持ち主を思い出す。

(何処で何をしていても構わないけれど──
 もし、私のことを忘れて私を口説いたら、引っぱたいてあげる!)

可能性は高い。高いから、彼女は平手をもって親愛の情を示す。
彼が自分のことを忘れていても、自分は忘れていないと言うために。
祖父から託された相棒を抱えて坂道を駆けあがる。
前よりも軽い足取りで、早乙女雪子は今日を踏み出した。

45 :【からくり人形劇】マリア ◆ykM3zjvTe6 :2015/01/26(月) 14:02:01.00 O.net
全て終わった。
大切な人たちは無事で、ヨシュアもいてくれて、今後も住み込みでいられて…
お父さんの会社の人に、怪我の事を怒られたりして、今も道を駆けていて…
それでも、後悔は消えない。
最後の…本当に最後に聞こえた助けを求める声。
マリアは間に合わなかった、強化魔法で無理矢理動かしたせいでボロボロの体は、ヨシュアすがる力すら残っていなかった。
…敵だった、強かった、高卒だった、でも。
「…ただの、人間…だった…」
事情なんて知らないし、人を殺しているような存在。それでも最後に見た多聞は…救いを求めていた。
幼い手が届かなかった、命。
どこかで道を違えた人形師は、出会いが違ったなら…もっと楽しい話ができたのだろうか?
答えのない問いを空へ投げ、次に道を見て微笑む。
あの姿を見間違えたりはしない。
「…雪子さん、タクシーは…いかが、ですか…?」
任務に呼ばれた雪子を迎えに来た少女は、愛馬の背へ彼女を迎え入れたのだった。
…仇をうつまで、マリアの戦いは終わらない。

46 :名無しになりきれ:2015/02/06(金) 17:35:58.72 O.net
空き部屋かな?

47 :Interlude ◆ar8SkHl1axDJ :2015/02/08(日) 18:12:06.43 0.net
■┠=≡=-━┣┫━-=≡=┨■ からくり人形劇 ■┠=≡=-━┣┫━-=≡=┨■

【解放/結合(T)】


『いかん……! 皆、何かに掴まれッ! 『持っていかれる』ぞ──!』

状況を即座に理解したジジイの指示が飛ぶ。
だが、魔術師の直感は異なった。
アレは、借金取りの手だ。

『な、なーんかヤバげっ……回収作業中止! ――…』

要するに、ハイ・レバレッジのツケを支払う時が来たってわけだ。
あの蒼白の魔性が、人間の持つ何かを不当に簒奪する類のモノだとは思えない。
有るべき物が、在るべき者の手に還されようとしているに過ぎない。それがコトの真相だ。
何処かに"不当なる所有者"が存在していたのだとすれば、それは人形使い(にんげん)側の方だった。

『た、たす───―』

結局の所、現代の錬金術師は等価交換の法則という檻から抜け出せなかった。
五十嵐の古書の記述を解釈した限りでは、平安の陰陽師もまた、そうだったのだろう。
後世へと先送りされた呪いの代償。砂上の千年城を黙して釣り支え、繋ぎ止め続けた抑止の鎖。

『遊鳥さんっ、掴まって!』

それが今、この場に集う無自覚な遺産の相続者達を絡め取ろうとしている。
もっとも―――借金なら問答無用で踏み倒したくなるのが賭博師のサガだ。

「アリス、フロアに"お宝"を置き忘れて来てたんだったな。
 アレを回収して来い、然る後に全力で高飛びだ。
 可能な限り高く、速くだ―――やれるな?」

《……貴方、本気で言っているの?》

「―――もちろん、冗談で言ってるのさ。
 ネオ七星に悪魔の召喚料を請求しろ、ECMフィラーを使う。
 ギャラリーが多いんでな、途中で捕まりたくない。対象は、お前とオレだ」

《……了解したわ。あまり気は進まないけれど》

無気力かつ無機質な表情で見開かれた魔導人形の瞳は、すでに光の滝――電子情報の潮流――を映し出している。
電子の海は広大だが、パイレート・ウィザードの不法所持する海図ならば、その全てが掌握可能だった。
目的の最終プロンプトへと到る航路もマーク済みだ。なにせ、そいつ隠したのは海賊本人だ。

「ああ。今回に限っては、それでいい。
 周りを見てみろ、お前も同じ様に"退く"んだからな。
 この先に"進む"コトになるのは、オレ一人で充分だ。行くぜ――――」


瑠璃色のコマンドシェルが不正起動のテキストラインを表示する。

"Hyper_Jammer"


「――――死神様の、お通りだ」

48 :Interlude ◆ar8SkHl1axDJ :2015/02/08(日) 18:13:00.47 0.net
【解放/結合(U)】


『は……はははははは! はっはっはっは……あーっはっはっはっは!!』

多聞は笑った。快活に。

『……負けたよ。完敗だ』

引力に耐え切れなくなった腕は地面を手放し、男は奈落の底へ消えていった――――


「オレの腕を掴め! 多聞!!」


――――ただし、二名。



■┠=≡=-━┣┫━-=≡=┨■ からくり人形劇 ■┠=≡=-━┣┫━-=≡=┨■

49 : ◆ar8SkHl1axDJ :2015/02/08(日) 18:14:09.22 0.net
【……どうやら、律儀な奴を待たせちまってたらしいな。すまない、ゆとり。気付くのが遅れた。
 取り急ぎエンディングの前篇を書き上げてはみたが、後編があるのかどうか、オレにもわかってない。
 タイミングがタイミングだったんでな、そのまま二週間ルールでターンを回すべきだったのかもしれないが。

 そういう事情だ、今回のレスは拾わずに本編を終わらせてくれればいい。
 もし必要なら、多聞の奴と同様、適当に失踪した演出でもしておいてくれ】

50 :【からくり人形劇(仮題)】番外編 ◆BZueVb97Lm7l :2015/02/17(火) 01:35:36.37 0.net
暗黒に落ちたとき、男は自ら敗北を認めた。
しつこい人間だと自認する男もせめて最期は潔くと考えたのか。

「うわ、なに腕掴み合ってんだよッ」

バッ、と汚物を払うように掴んでいた腕を振り解く。
赤髪の男の顔は心なしか渋い。男は構わず言葉を続ける。

「……ここが奈落の底ってやつか。人間ってぇチッポケな視点で形容するならだけどよぉ……
 生身の人間でここに踏み入ったのは、俺が最初だろうが……まさしく前人未踏ってわけだな……」

笑えねぇな。笑えねぇ、と乾いた笑いを浮かべて周囲を見渡す。
赤黒い大地が延々と、漠然とした薄暗さで広がっている。
視界に映る限り人はおろか生物の気配すら感ぜられない。
やはりさっきの赤髪男は幻覚なのだ。そう結論して翻ると、奴は微動だにせずそこにいた。

「……地獄への道連れなら必要ねえ。だってのに……どういう訳だ? 死神本人が地獄に落ちてる」

ここに落ちる前、男は確かに飲み込んだはずだった。情けない最期の救難信号を。
仮に目の前の赤いのがそれを察知したとて、敵を助けるような慈愛に満ちた人間であったか。
否である。独自の判断基準でしか動かない彼でも、憎い敵を助けはしないだろう。

「お前が一緒にいる理由はこの際どうでもいい……ただ、諦めるんだな。ここからあっちに帰る手段はない」

帰ったところで何をするというのだろう。
秘密結社にノコノコ戻って始末されれば良いのか。
あるいはブタ箱に入って数えきれない罪を濯げばいいのか。
男は"向こう"に格別の未練がない。ゆえに帰る理由がさして見当たらなかった。

衝動的に右手で頭を掻き毟ろうとして、在るはずの右がない事に気付いた。
片腕はこちらへ来る前の戦闘で喪われてしまったことを男は思い出す。
ふと、麻痺していた痛みが忍び足で男の肩を叩いた。思わず顔が苦悶のうちに歪む。
滴る血は現在進行形で大地をドリッピングし、このまま失血死しかねない状況だ。

懐からマジックペンを取り出すと文字のようなものを書き込み、髪の毛を引っこ抜く。
拾った木の棒のようなモノで己を囲む魔法陣を刻む。魔力が溶けた溶媒を陣に撒いて起動。
髪の毛が断面にするすると癒着し、傷口を徐々に塞いで行く。

「つくづく、錬金術を齧っといた良かったが……」

一息つくと、男は人影を見た。背後の赤髪のことではない。
近づく影は無精髭を生やし、杖のようなものをついてこちらへやってくる。
ここは魔窟。奈落の底で邂逅するは果たして如何様な悪鬼羅刹、亡者の類か。
得物である『人形』がない今、男に抵抗の手段はない。状況は最悪と言えた。

「お前達……いや、まさか……人間、か?」

それが影の第一声であった。

51 :【からくり人形劇(仮題)】番外編 ◆BZueVb97Lm7l :2015/02/17(火) 01:37:08.08 0.net
影は驚くべきことに男と同じ人間であった。
話してみると存外気さくで、着物を纏っているあたりが時代劇を彷彿とさせる。
男は指六本ぶんあろう額を見るなり「こいつハゲてんな」と思った。

「私はここに来る前、傀儡子と呼ばれる一座の人間だった。
 名乗るほどの者ではないから、私を呼ぶ際は傀儡子と呼んでほしい」

傀儡子はこの地に堕ちて十年余りここで過ごしているという。
なぜ堕ちたのか問うと、傀儡子はただ一言「罪を犯したからだ」と答えた。
作ってはならないものを好奇心で作った。危険性にも気づいていた。
それは人の身に余る破壊を巻き起こし、後世に災いを齎すものだと。

「最初はただ操り人形が好きだっただけなのにな……
 はじめに狂った小さな歯車が、次第に全てをおかしくしてしまう……」

全てはあの陰陽師の甘言に乗った自分の責である。
きっと彼は禁術に手を出しながらも、自分で危険を背負うのは恐かったのだろう。
だから人形というカタチにして託すことで誰かにツケを支払わせようとしたのだ。

「もし君達が元の世界へ帰りたいと願うなら、あそこの真下を目指せ」

暗い雲に覆われた空は地層のように重なって光を遮る。
傀儡子の指が切れ間に差し込む微かな光をなぞった。

「運が良ければ光明が射す。急げ、夜になると亡者どもがあれに群がるのでな」

私は行かぬ。親友は戦場で皆死んだし、君たちを見る限り世間は様変わりしているようだ。
帰ったところで私の居場所など何処にもないだろう。それに寿命も長くない。
この世界はとても人間が生きていけるような場所ではないのだ。
今ここにいるだけで命の蝋燭がすり減って行く。私はじきに燃え尽きるだろう――。
そう言って傀儡子はやつれた顔で精一杯微笑んでみせ、二人を送り出した。

光明を目指して歩くと殺風景な世界の闇が次第に濃度を増していった。
奈落に夜が近づく度に、切れ間の光が相対的に強く鮮明になる。
歩調が速くなる。急いだ方が良いかもしれない、と男は思った。
夜になれば今度こそ得体にしれない奴らと遭遇するはめになる。

――そして、突然立ち止まった。
向こうに未練などないと心の中で断言したはずだ。
直接的に表現してしまえば男は死を受け入れた。
だが、男は傀儡子に言われる通り出口を目指してひた歩いている。

『オレの腕を掴め! 多聞!!』

あの時もそうだった。
気がつけば男は殺そうとしていた敵の腕を掴んでいた。
プライドも地位も居場所も無くした男に残る最後のモノを。

「俺に残ってるのは、俺の道を阻む敵だけだ。
 だから、だからよ……次は負けねえ。お前にも、あの学歴厨にも」

学歴の差が戦力の決定的差ではないことを、男はまだ学歴厨に教えていない。
敗北を喫した"死神の切り札"――目の前の赤髪とだって、まともに戦っちゃいない。
男はしつこいし諦めも悪いうえ、負けず嫌いだ。奴らと再び戦い勝利するまで死ぬわけにはいかない。

「言っておくが死神、これはお前が悪いんだぜ。全部お前のせいだ。
 お前が俺に手なんて差し伸べるから……ちくしょう、火がついちまったんだ」

52 :【からくり人形劇(仮題)】番外編 ◆BZueVb97Lm7l :2015/02/17(火) 01:41:01.75 0.net
天を仰げば曇天の切れ間から光明が射しているのが見えた。
光明は細い糸のように伸びて、二人の足下を薄く照らしている。
『ひずみ』である。気まぐれに光明となって生じる空間の『ひずみ』である。
元の世界で言えば霊山や霊地と呼ばれる場所に発生するのがそれだ。

「……くもの糸、か」

空間のひずみに飛び込むのは一種の賭けであった。
ひずみは二つの世界を繋ぐ扉ではなく、空間の穴に近い。
それが一体何処へ向かっているかなど誰にも分からないのだ。

知らぬ異界へ飛ばされるかもしれないし、次元の狭間に閉じ込められるかもしれない。
運良く同じ世界だとしても、辿り着いた先は原始時代ということもあり得る。
だとしても男――多聞正太郎は飛び込む。

「『リスク』って……言葉、あるよなァ。リスクが高い、リスクを伴う……
 だが知ってるか。リスクはイタリア語で『勇気を持って試みる』って意味なんだぜ」

危険を背負えるチャンスがあるなら多聞はそれを背負う。
一度死んだような身だ。今更何が起こったって動じない。

「悪運に自信は? 俺は、これから試すつもりだッ!」

快活に見得を切ると、多聞は光明を手繰り寄せる。
光を指に絡ませる姿は人形使いに相応しい。
一先ずの道標を頼りに、暗闇の荒野へ飛び込んだ。


【拾うかどうかはお任せします。拾わない場合はIFストーリーということでっ】

53 :名無しになりきれ:2015/02/17(火) 07:34:52.38 O.net
お願い…ジョーカーさん…!

54 :Interlude ◆ar8SkHl1axDJ :2015/02/22(日) 06:15:00.50 0.net
■┠―――━┣┫┓_.....┌〜┨□ からくり人形劇 □┠〜┐....._┏┣┫━―――┨■

【解放/結合(X)】


――――星が綺麗な夜だ。


高空から眺めるオーサカの夜景は、あまりにごちゃごちゃしていて、風情がないと思った。
三下ひこうきに良く似た機影も通り過ぎたけれど、きっと気のせいだ。
だって……翼のかたちが、ちょっと違うもの。

《この展開を見越してケルベロスを呼び戻していたのだとしたら……貴方、預言者になれるわ》

魔導人形は、最短ルートを辿ってマスターの指示を遂行していた。
本部最下層フロアに於ける"お宝"の回収……完了。
然る後に全力で高飛び……続行中。
そして―――

<THRUSTER WIND>―――Boost!

―――その時は来た。
両手に握りしめた"お宝"が突如、あるべき地平を目指して少女人形に加重する。
どんなに少なく見積もっても、リンゴ500個分以上の荷重はあるように思えた。
異界の精霊魔術を再現した魔導術式でも、落下速度を減衰しきれない。


《……だから言ったのに。あまり気が進まないって》


急激な引力に対して状況を均衡させるには、致命的な問題が未解決のままだ。
滞空状態を維持する魔力はともかく、少女人形の細腕では"お宝"を保持する膂力が足りない。
トーキョーで似非銀細工師を営むニンジャ・ブレイカーのインストラクションを思い出さざるを得なかった。


《インストラクション・ワン……》


曰く―――"引いて駄目なら、死ぬ気で引いてみろ"だったかしら。
ジョーカーが、明日の我が身も気にしない無秩序な死神だとするなら。
あの彷徨者は、今日の我が身さえ考慮の外に置いた無軌道な破壊神だった。


<THRUSTER WIND>―――Full Boost!!


《ジョーカー、私に力仕事をさせた貸しは高くついてよ……!!》

55 :"死神の切り札"ジョーカー ◆ar8SkHl1axDJ :2015/02/22(日) 06:16:22.73 0.net
【解放/結合(V)】


『……地獄への道連れなら必要ねえ。だってのに……どういう訳だ? 死神本人が地獄に落ちてる』

「道連れだと? 勘違いするんじゃないぜ。オレは"仕事"で此処に来ただけだ。
 "失敗したエージェントに後は無い。行き先には暗闇の荒野しか無い"……だったな。
 その戯言に乗るなら、彷徨う魂を暗闇の荒野の果てまで導いてやるのが、死神の役目なのさ」

『お前が一緒にいる理由はこの際どうでもいい……ただ、諦めるんだな。ここからあっちに帰る手段はない』

「確かに、向こうに帰る手なら此処には無いな―――だが"それ"がいい。
 無いモノねだりはしないってのが、賭博師の流儀だ。
 どうやら錬金術師は違うらしいがな」

自前で応急処置を試みる多聞へ、煙草に点火しながら軽口を叩く。
無理な治療の痛みを、せめて愉快なトークで倍増させてやろうって心配りだ。
どうやら止血には成功した様だが、即席の杖として選んだ棒切れだけは、いただけない。
好意的に解釈すればシルバー・バーチの枝に見えないコトも無いが。おそらく人間の大腿骨だ、アレは。

『つくづく、錬金術を齧っといて良かったが……』

「ああ……"齧った程度"だったのは本当に幸運だったぜ、多聞。
 これからオレに、その傷口を再切開されずに済んだんだからな」

流儀を語るのであれば、無意味に他人の傷口を抉るという行為は魔術師の流儀に反する。
地下フロアで巫山戯た真似をしてくれた錬金術師とは異なる点だ。
そう言えば、あの時の礼が未だ済んでいなかった。

「痛みは引いたのか、多聞? そういうことなら―――」

蹴打開始。

「くらいやがれ! こいつは、オレの雪子嬢を足蹴にしやがった分だ」

蹴打継続。

「くらいやがれ! こいつは、オレのマリアの服を汚しやがった分だ」

蹴打継続。

「そして、こいつは遊鳥の……いや、そっちはオレの知ったこっちゃ無いな―――」

蹴打中断。

「―――だが、構わん。くらいやがれ!」

蹴打再開。

『お前達……いや、まさか……人間、か?』


不意に響いた影からの誰何の声も、この怒りを鎮めるには至らなかった。
人間だと? それなら、この場に該当者は若干一名しか居ない。
―――今宵のオレは、阿修羅すら凌駕する存在だ。

『私はここに来る前、傀儡子と呼ばれる一座の人間だった――…』


しびれを切らしたハゲが唐突な自分語りを開始するまで、賭博師の無慈悲かつ不条理な蹴撃は続いた。

56 :"死神の切り札"ジョーカー ◆ar8SkHl1axDJ :2015/02/22(日) 06:17:11.78 0.net
【解放/結合(W)】


"この地に堕ちて十年余り"――――傀儡子は、そう言った。


以上の証言から推測可能な事実が一つある。
この世界には"定期的に訪れる変化"が顕現するという事だ。
もっとも、堕とされた存在の時流が、等しく単一の法則に従っている確証は無い。
現時点で観測可能なのは、前を歩く多聞の煤けた背中と、確実に深まりつつある奈落の闇だけだ。


――――夜が来る。


『俺に残ってるのは、俺の道を阻む敵だけだ。
 だから、だからよ……次は負けねえ。お前にも、あの学歴厨にも』

「うるせえな……いいから黙って歩けよ、多聞。
 死神様は、おしゃべりが嫌いだ。特に野郎のおしゃべりがな。
 この先で道を阻む敵が居るとすれば、そいつは勝ち負け以前の相手になる。
 "勝負の前提条件"そのもの―――言わば、この殺風景な世界を支配する"時のダイス"だ」

魔術師は再度、移動開始からの経過時間を概算する。3時間か? それとも30億年か?
此処までの距離はどうだ。10マイルか? あるいは10光年か?
無論、どちらも当てにはならない。

何せ、斯かる試算の根拠となるデータは、この場に到るまでに消費した煙草の本数だ。

『言っておくが死神、これはお前が悪いんだぜ。全部お前のせいだ。
 お前が俺に手なんて差し伸べるから……ちくしょう、火がついちまったんだ』

「だったら、こっちも言っておいてやる。
 "手を差し伸べる"ってのは、お前がやらなきゃならない仕事だ。
 段取りだけはオレが付けてやるが……それも此処に来る前に、とっくに終わらせてある」

狂った時計板を歩き回った挙句に辿り着いた世界の終着点は、やはり"空間の歪み"でしかなかった。
当然と言えば当然だ。時流を掌握し得る魔術など事実上、存在していないに等しい。
踏み出せば、吊り橋以下のスラック・ロープで綱渡りを演じる破目になる。
だが、その脆弱な一縷の可能性を多聞は、こう評した。


『……くもの糸、か』

57 :"死神の切り札"ジョーカー ◆ar8SkHl1axDJ :2015/02/22(日) 06:18:11.25 0.net
【解放/結合(Y)】

『『リスク』って……言葉、あるよなァ。リスクが高い、リスクを伴う……
 だが知ってるか。リスクはイタリア語で『勇気を持って試みる』って意味なんだぜ』

「驚いたな……イタリア製の辞書は"勇者"の訳語に"リスクジャンキー"を採用してやがるのか。
 だが、そいつを聞いて納得だぜ―――道理で、あの国じゃ軍隊よりカジノが繁盛してるわけだ」

連中が斯かる文化的背景の哀れな犠牲者だとするなら、
語学者以外にしてみれば、随分と気の利いたジョークだ。

「語源の海図を辿って西地中海を横断すれば、"Risco(海岸の絶壁)"に行き当たる。
 ボロ船で接岸のリスクに立ち向う水兵にでもなろうってのか?」

『悪運に自信は? 俺は、これから試すつもりだッ!』

「……付き合うぜ、海賊でも良けりゃな」

隻手の負傷兵が、運命の操り糸を手繰る。
多少の無茶は承知の上だ。分の悪い賭けは嫌いじゃない。
だが、たかが蜘蛛の糸に己の世界を賭ける心算など隻眼の海賊には無かった。
つまりは、こういう事だ―――

「―――"お前の"悪運の強さなら、運命の女神が保証してくれるさ。
 忘れたわけじゃないんだろ? 今、お前の隣に立ってる男が誰なのか」

異界の門なんて概念は、人の身で動かすには、あまりに重過ぎる。それが片手なら尚更だ。
ならば、答えは決まっている。たったひとつのシンプルな答えだ。
"両手を使って抉じ開ける"それだけだ。

「お前が言ったんだぜ、多聞。
 "半ドアは何が起きるか分からない、危険な行為だ"ってな。
 ついでに、こうも言ってたか。"観音開きだ、二つ揃えば安定するし制御も出来る"」

外界の物理法則とは切り離された絶対的な虚無の空間。
その中に在って、任意の二者の相対座標を規定し得る要素が一つだけある。
即ち、同一の時間座標――異なる物理座標――に並立存在している多聞正太郎の身体。
それだけが唯一、この異界と外界を流れる時間が共有する事を許された"絆"であると表現してもいい。

「ブランド・オブ・アルカナ――――"治せ"! テンス・エリクサー!!」

[聖杯10]を躊躇無く多聞の傷口へと叩き込む。
奈落の理に楔を穿つべく切った最後の札は、ごく単純な治癒魔術だった。
その単純さ故に、この世界の上腕と元の世界の下腕を――その切断面同士を――問答無用で"接合"する。


「このまま二人で当ての無い航海に出るってのも、悪くは無いと思い始めてた所だったが……」


《ジョーカー、私に力仕事をさせた貸しは高くついてよ……!!》


「……どうやらガイドは間に合ったようだぜ――――Good Luck.(やれやれだ)」

58 :"死神の切り札"ジョーカー ◆ar8SkHl1axDJ :2015/02/22(日) 06:20:15.67 0.net
異界の門が閉じ、蜘蛛の糸は途切れた。
儚い残光が、眼下に広がる都会の夜景に溶けて消える。
飛行魔術を発動した魔術師は、それを背中で見届けて、ようやく気付く。


――――想定していたよりも、星空が遠い。


その事実は、それだけ奈落の持つ引力が[聖杯10]の魔力と拮抗していた事を意味する。
結果を見れば、アリスに可能な限りの高度を稼がせておいたのは正解だった。
一連の賭けが賭博師の敗北で終わっていたパターンは、主に二つだ。

《……何か、私に言うことがあるのではなくて? ジョーカー》

一つは、多聞が自身に施した錬金術が、"欠損した人体"を練成する域にまで達していた場合。
一つは、アリスが牽引に耐え切れず、"お宝"である多聞の右手の方が奈落に堕ちていた場合。

「よくやったな、アリス」

素直に答えて銀髪を撫でてやると、少女人形は何故か急にしおらしくなった。
夜間飛行で街まで舞い戻ったら、上等なアップル・ジュースでも奢ってやるか。

《……本当によかったの?
 劇団のエージェントを助けるだなんて。
 協会には、もう顔を出せなくなってしまうわ。マリアにも……》

「―――ああ、これでいい。
 元々、報酬を受け取った後は消える予定だったんだ。 
 こういった"腐れ縁"ってヤツが増えちまうと、何かと面倒が多いのさ」

この世界への接岸の功労者たる水兵は、雑なファイヤーマンズ・キャリーで担いでいる。
今回の依頼で取り逃がした二億を補填するまでは、五体満足でいてもらう必要があったからだ。
その条件として、口座を開設した本人の生体認証――右手の指静脈――あたりが設定されている筈だ。

《詩情に欠けた表現は控えてもらえるかしら。
 これは、きっと大切な……そう、"絆の糸"だもの。
 相変らず貴方は人の心がわからないのね、ジョーカー?》

人形師は口の端に銜えた煙草から紫煙を燻らせながら、近づく足元の星空を見下ろした。
夜風に解かれたネクタイが舞い上がり、遠のく頭上の星空に取り残される。
月光の色彩と共に、魔力と視力を取り戻しつつある左の魔眼。

「そんなモノは必要ないんだよ、アリス。
 マリアだけじゃない、遊鳥にも、雪子嬢にもだ。
 "人形使い"には、人形使いの冴えたやり方ってヤツがある」


人形使いにとって、距離感は重要だ――――


「オレ達に、糸なんて要らないさ」


――――想えば届く、その距離が。



【エンディング:"解き放つ糸、結び合う絆"】

□┠〜┐┏┣┫╋┣┫┓┌〜┨□ からくり人形劇 □┠〜┐┏┣┫╋┣┫┓┌〜┨□

59 :【からくり人形劇】マリア ◆ykM3zjvTe6 :2015/02/22(日) 21:04:42.98 O.net
それはただの偶然だった。
それはほんの少しの興味だった。
それは本当に…気まぐれだった。
「…ヨシュア」
夜の街で人形に乗り歩く、普段なら目立つ事としない行為だが、なぜか今夜は出歩きたくなったのだ。
一人で、大人には声もかけずに、警察に見つかれば厄介なことこの上ない。
それでも夜の街という風景を眺めたくなった。
夜の人々というものを見たかったから。
自分が知っているのは昼のような人達、でもあの人は…多聞は違った。もしかしたら夜に近づけば、あの心も少しは分かるかもしれない、そう思ったのだが…
「…やっぱり…怖いです…」
めずらしがって声をかけてくる若者や、怯えて逃げ出してしまう者…
こちらも人に慣れなくてはいけないのに、未だに少数の人としかちゃんと話せていない。
今日は帰ろうか、とアンドレを抱き締めて空を見上げる。
そこには街灯りで薄まっている星空と…何か異質なものが見えた。
…彼女達が新幹線のスピードで走り出すまで、あと五秒。

60 :名無しになりきれ:2015/03/26(木) 17:39:07.07 O.net
空き?

61 :名無しになりきれ:2015/03/30(月) 13:17:15.78 O.net
COCここでも成立するのかな…?

62 :名無しになりきれ:2015/03/30(月) 21:08:48.79 0.net
>>61
何それ

63 :名無しになりきれ:2015/03/30(月) 21:44:41.51 O.net
>>62
コールオブクトゥルフ、略してCOC
クトゥルフの呼び声っていうTRPGです

64 :名無しになりきれ:2015/03/30(月) 21:49:26.33 0.net
クトゥルーか、ダイスはコンマで代用出来なくもないが、ある程度狙って出せるからなぁ

65 :名無しになりきれ:2015/03/31(火) 11:16:11.53 O.net
コンマ狙い…まあそれはそれで楽しめるかな、と思いまして。
興味ある方がいらしたら試してみたいなと。
ただ、実験ですのでシナリオと割り振れる技能はこちらで決めますが…

66 :名無しになりきれ:2015/03/31(火) 15:36:02.45 O.net
ちなみにやらせてもらえるなら、毒入りスープ、です

67 :名無しになりきれ:2015/03/31(火) 18:03:43.38 0.net
>>66
そう言われてもピンとこない門外漢でもわかるよう心掛けてね

68 :名無しになりきれ:2015/03/31(火) 19:30:44.41 O.net
>>67
はい、少しいじったりも考えます
基本的にはなりきりがメインと思いますので、能力とかはあとから説明していこうかと思ってます

69 :名無しになりきれ:2015/03/31(火) 19:33:32.06 0.net
ルルブ無しでも参加できるようにするならともかく、基本的にここは向いてないと思うぞ?
普通にTRPGするならやりとりの密度が凄い必要だからな
最低でもGMは即レス出来ないともっさりしちゃうと思う

70 :名無しになりきれ:2015/03/31(火) 23:42:42.36 O.net
>>69
ルルブがなくてもよくて、能力より個人の発想が有効な形なシナリオならいけますかね…?
もどき、の形でいいと思ってますので

71 :名無しになりきれ:2015/03/31(火) 23:46:19.64 0.net
もどきならいいんじゃないかな?
まぁやってみなきゃ解らんか

72 :名無しになりきれ:2015/04/01(水) 00:12:46.18 O.net
「キャラクター」をメインにして
こういうキャラだからこう動く、と考えられるようにする…

人間の能力越えない範囲のキャラなりきりで、キャラジャンル不統一、とか?

73 :名無しになりきれ:2015/04/01(水) 21:32:28.95 O.net
調査系は
調べる・聞く・考える
で割合をふってもらって
戦いは
殴る・蹴る・その他武器
1・3・4(ダメージ)
50・25・20(確率)
みたいに…かな

74 :名無しになりきれ:2015/04/01(水) 23:10:13.24 0.net
市川の川嶋浩治、貧乏人のセックスレスwww

75 :名無しになりきれ:2015/04/03(金) 07:40:48.39 O.net
なんの話題なのかわかんない…

76 : ◆YJ2AdC5XiY :2015/04/04(土) 22:23:56.30 O.net
キャラなりきり、で何かしてみたい人を募集中してみます

77 :名無しになりきれ:2015/04/04(土) 23:18:44.52 0.net
>>76
なな板TRPGはキャラなりきりの延長だと思っているが…それとも、自由駄弁の人かな?

78 :.a.a:2015/04/05(日) 00:37:34.79 O.net
>>77
あ、ややこしくてすみませんでした
上記のCOCをするなら、既存キャラのクロスオーバー形式がやり易いと考えまして
既存の場合、キャラが出来そうなこともGMで判断しやすいですし

79 : ◆.Q2Yea6yQs :2015/04/05(日) 00:38:51.18 O.net
>>78
しかもすでに#忘れた!
こんなうっかり相手でも試してくださるかた募集してます

80 :名無しになりきれ:2015/04/07(火) 20:00:24.34 0.net
うっかり以前にどういうルールで何がしたいのかまるで分からない
既存キャラのクロスオーバーとか何を前提としている発言なのかすら分からん…
ろくな説明もしようとしないで募集だけしても誰も参加できないと思うよ

81 :名無しになりきれ:2015/04/07(火) 21:22:34.60 O.net
COCの説明となると…
いきなり変な現象に巻き込まれ、解決や脱出(?)の為に調べ物したり、時には戦ったり、推理するゲームですね

今回は
眠って起きたら、いきなり変な部屋にいる。

というシチュエーションです

基本的に人間ならどんなキャラクターでも、なりきりできればいいかなと思ってます

82 :名無しになりきれ:2015/04/07(火) 21:47:12.24 0.net
いやいや、そうじゃなくてなりきりをするルールだよ

それが読み解けなかったんならやらない方がいいと俺は思う

83 :名無しになりきれ:2015/04/08(水) 07:36:09.37 O.net
あ、じゃあダメか

なりきりは好きなようにやりゃいいと思ってたんで
人間キャラなら

84 :名無しになりきれ:2015/04/09(木) 14:37:53.94 O.net
人外は困る、ってしかなかったからなあ…

85 :名無しになりきれ:2015/04/11(土) 13:50:29.18 O.net
発案してくれる人いないかなあ

86 :名無しになりきれ:2015/04/17(金) 22:42:26.68 0.net
クトゥルフやりたい流れなん?

87 :名無しになりきれ:2015/04/18(土) 02:31:28.05 O.net
単に実験してる人がいないから提案してみたんだけども
未熟すぎました…

88 : ◆ST//LAxXyY :2015/04/19(日) 18:16:04.34 0.net
ファンタジー風世界を舞台にしたロボットものって感じで、軽く設定を組んでみました。
ストーリーはとある空賊団を主人公視点に置き、飛行戦艦で世界を巡る王道冒険物語をイメージしていて、
反響があるようならば、実際にやってみるかもしれないです。


【TRPG】クロスワールド戦記(仮)

西暦2XXX年、その生活圏を既に太陽系全域にまで拡大していた人類は、
発達し過ぎた科学技術同士がもたらす宇宙戦争の果てに、遂には故郷である地球を滅ぼすまでに至る。
人類は新たな居住の地として、地球よりおよそ11光年離れたエリダヌス座イプシロン星の第三惑星シータを選び、
超大型恒星間航行船「宇宙船ノア」に乗り込んで、太陽系外へと脱出するが、
辿り着いた惑星シータは、「エーテル」と呼ばれる未知の物質を用いた魔法文明を築く現地人や、
更には亜人種や竜族など、空想の中にしか存在し得なかった様々な生物が住まう、まさに異世界であった。

それから、数世紀の時が過ぎた――
現在の惑星シータでは、エーテルを動力とする「魔導甲冑」という名の人型機動兵器が戦場の主役となり、
世界の覇権をかけて、人々は未だ終わることのない争いを繰り広げていた。

二つの文明が交錯する世界、クロスワールドの冒険がここに幕を開ける。


【ルール】
ジャンル:SF(サイエンス×ファンタジー)ロボット戦記
コンセプト:自由度が高い世界での冒険と戦争
期間(目安):未定
GM:あり(敵役参加者がいる場合は分担)
ST:あり(スレ主固定)
決定リール:ご利用は計画的に
○日ルール:2週間
版権・越境:なし
敵役参加:歓迎
避難所の有無:あり


【テンプレート】
名前:
種族:
性別:
年齢:
職業:
性格:
身長:
体重:
容姿:
服装:
特技:
所持品:
備考:

89 : ◆ST//LAxXyY :2015/04/19(日) 18:16:29.14 0.net
【世界観設定】

・惑星シータ
地球から約11光年離れた位置に存在する、エリダヌス座イプシロン星の第三惑星。
重力は1G。大きさは直径10843km(地球の約85%)、地軸の傾きは26.31度。
地球と比べるとやや平均気温が低く、地域による気候の差が激しいという違いはあるものの、
現地の人々から「月」と呼称される衛星を持ち(地球の衛星である月とは別物)、
朝にはイプシロン星が昇り、夜には月が空を照らし出すなど、環境は極めて地球と酷似している。

・エーテル
あらゆる生物が生まれながらに持ち、また大気や水など、世界を構成する万物の中に存在する超自然的な物質。
シータ人は太古の昔よりこの存在を見出し、エーテルを用いた「魔法」と呼ばれる独自の技術を築き上げていた。
物理的に枯渇することがなく、また限界のないエネルギー変換効率を誇るエーテルには、地球から移住してきた人類も目を付け、
様々な兵器の動力として活用することを試み、その科学技術と融合した末に生まれたのが、「魔導甲冑」という名の人型機動兵器である。
また、理論上は1グラム程度で広島型原爆に匹敵するエネルギーを持つエーテルの爆弾化は真っ先に施行されたが、
その研究は全て失敗に終わり、未だこの物質を真の意味で解明することはできていない。

・宇宙船ノア
かつて人類が太陽系から惑星シータへと移住するために用いた、超大型恒星間航行船。
10億人程度の人数が搭乗できる途方もない大きさで、その動力には粒子加速器によって生成した反物質を利用する対消滅エンジンを持ち、
また船と乗員をタキオン化し、目的地で通常物質に変換し直すことによる超光速航法も可能としていたが、
シータ人との争いや文明の融合・衰退の中でそれらの超技術は失われ、現在ではロストテクノロジーの象徴となっている。
ちなみに宇宙船ノアの残骸は、地球人が初めてこの惑星に降り立った、中央大陸東部の聖臨砂漠で今も眠り続けている。


【主要国家】

・プロイセン帝国
広大な中央大陸において、最大版図を誇る専制君主制国家。
宇宙船ノアの開発者であり政治家、ヴィクトル・フォン・プロイセンが初代皇帝に即位して建国し、
以降は現代に続くまでその優れた科学技術を以て勢力を広げ、帝都ヴァルハラは軍事・商業の両面で世界の中心地となる。
一方、シータ人や亜人種に対する差別意識は未だ根強く、エーテルを用いた魔法文明はほぼ根絶され、
前世紀には魔法使いを迫害する、大規模な魔女狩りが行われたこともある。

・ウェスタリア連邦共和国
西方大陸の北半分及び、周辺の諸島によって構成される連邦共和制国家。首都はニューシティ。
中央大陸出身の開拓者たちによって植民地化されたことから、現在の国家形成に至るまでの歴史が始まり、
豊富な鉱物資源を利用した魔導甲冑の生産や、南部の温暖な気候を活かした農作などで徐々に勢力を拡大。
やがては中央からの独立戦争に勝利し、正式な国家となるが、それに端を発する争いは今もなお続いている。
亜人種を含めた多種多様な民族が暮らし、惑星シータにおいてはプロイセン帝国と双璧をなす大国である。

・ダーマ魔法王国
かつてエーテルの力を見出した、大賢者ローウェルを起源とする魔法信仰国家。
中央大陸の南側に隣接する暗黒大陸のほぼ全域を国土としており、魔導甲冑を始めとした科学技術は未発達ながら、
古来より伝わる魔法文明が現在も色濃く残り、亜人種や魔物なども数多く生息している。
大陸の最南端に位置する王都フルムーンから展望できる浮遊島には、竜族の末裔たちが住まう巨大な祭祀場があり、
その頂上には古竜(エンシェントドラゴン)の生き残りが今も鎮座し、惑星シータの守護者として世界を睥睨し続けている。

90 : ◆ST//LAxXyY :2015/04/19(日) 18:16:51.51 0.net
【魔導甲冑】

・概要説明
現在、惑星シータにおいて大多数の国家及び武装組織が主力兵装として採用している、人型機動兵器の総称。
かつて宇宙船ノアで地球から移住してきた人類は、エーテルの貯蔵・変換を可能としたエーテルドライブという機関を発明し、
戦闘機や戦車など、当時の主力だった兵器の動力として活用することを試みたが、万物の根源的な物質であるエーテルの力を引き出すためには、
人間にとってはその肉体の延長線にある、人型の機体を用いることが最も効率的であると判明し、魔導甲冑という兵器の開発がスタートする。
当初の魔導甲冑は全長2〜3m程の大きさで、まさにパワードスーツの発展形といったような代物でしかなかったが、
そのサイズでは機動性や火力、装甲面などに問題があり、莫大なエネルギーを持つエーテルを動力とするには、あまりにも低スペック過ぎるという理由から、
あえて全長10m前後まで大型化することで、それまでとは比べ物にならない程の自走速度を得て、重火力の武装各種を運用することも可能となった。
最終的に魔導甲冑はインナーフレームに駆動系とコンデンサを兼ねる人工筋肉(ソフトアクチュエータ)を張り巡らせ、外部装甲を纏わせる構造に落ち着き、
以降はこの基本設計からほとんど変わることがないものの、各国の手で独自の発展を遂げながら、惑星シータの戦いにおける最強の機動兵器として君臨し続けている。

・操縦方式
操縦者の体を包み込むような独特のコクピットを用いた、マスタースレーブ方式である。
体を締め付けるマスタースーツがその動きを検知し、更に左右の操縦桿には五指に対応したトリガーも備え、
機体の指先一つに至るまで、操縦者の動作を寸分違わず再現したかのような、精密な操縦が可能となる。
また、瞬発力が求められる戦闘機動においては、上記のマスタースレーブによるマニュアル操縦を行うが、
例えば長距離行軍の際などには、操縦者の体力を温存するため、ペダルの踏み込みで機体の前進・後退を切り替えたり、
射撃の際には自動照準でマニピュレータの操作に補正をかけたりなど、各種セミオートモードでの運用もできる。
これらのモード変更を始めとした簡単な操作や指示は、全て音声入力で行うことが可能であり、
索敵や火器管制、ダメージコントロール、通信機器の操作などは、高度なAIを用いた操縦支援システムによって補われる。

・機体サンプル
名称:アイゼンリッター
全高:9.8m
重量:10.5t(フライトユニット装備時は13.1t)
外観:フルプレートアーマーを連想させる騎士型ロボ、基本カラーはシルバー。
固定武装:12.7mm頭部機関銃×2
携帯武装:40mmアサルトライフル、76mm滑腔砲、多目的ミサイル、高周波ブレード、電磁ランス、etc…
備考:
プロイセン帝国軍で最も広く用いられている、量産型魔導甲冑。
装甲や運動性・機動性など、全体的に高水準でバランスの取れた性能を持ち、
武装も魔導甲冑用として定番の40mmアサルトライフル(銃身を切り詰めたカービンモデルも存在)を始めとして、
76mmの大口径滑腔砲や多目的ミサイルなど、状況によって様々な武器種に換装することで、多彩な状況に対応できる。
また、ウイングスラスターを2基備えたフライトユニットを背部に装備して、空中戦をこなすことも可能。

91 :名無しになりきれ:2015/04/19(日) 20:56:17.83 0.net
とりあえずお前がゼノクロを買うという事はわかった

92 :名無しになりきれ:2015/04/19(日) 21:11:22.70 0.net
敷居がクッソ高いことに気づいてますか?

93 :名無しになりきれ:2015/04/19(日) 22:07:41.20 0.net
ここまでガチガチだととてもじゃないがついていけそうにないなぁ……
この説明だと魔法使っていいのかもよく分からんし

94 : ◆ST//LAxXyY :2015/04/19(日) 22:20:19.28 0.net
申し訳ない、魔法もロボもありな世界を作りたかったんですが、ちょっと設定を詰め過ぎましたね
今回は取り下げることにします

95 :名無しになりきれ:2015/04/19(日) 23:17:57.96 O.net
どちらかというと小説書きたくなる設定だな〜
でもやっぱり難しいや…

96 :名無しになりきれ:2015/04/19(日) 23:27:34.48 0.net
悪意全快で添削&改変させてもらった。

・惑星シータ
地球と似た環境の惑星、地球との違いは超自然エネルギー「エーテル」の存在と気候の差が激しいこと
その過酷で奇異な環境によって多種多様な知能生命体が存在している。

・エーテル
惑星シータに存在する超自然エネルギーの総称
様々な物体の中に存在し、そして、それぞれに属性がある

・魔法
エーテルを使用する技術の総称
魔法を使うプロセスは国、種族によって様々
もっともポピュラーな例をあげると↓

(1)物体A(土属性)内にあるエーテルを術者が吸収
(2)吸収したエーテルを元に命令式(呪文)を入力
   ※この時の命令式は吸収した属性に合わせないと魔法が発動されない
(3)体外へ放出した際、『魔法』が発動する

・魔導ゴーレム
超古代文明の技術と魔術で作られた搭乗型ゴーレムの総称
家庭用から軍事用まで広く用いられている。
操縦方式や技術体系は各魔導ゴーレムメーカーごとに違ってはいるが
企画が決まっているのでユニバーサルなカスタマイズが可能になっている。
S 1〜2m程度の大きさ
M 3〜6m程度の大きさ
L 7〜10m程度の大きさ

・ウェスタリア連邦
惑星シータにおいて最も大きい領土を持つ大国

・プロイセン人類種至上主義党
ウェスタリア連邦を脅かす過激派テロ組織
その理念は「反亜人・反魔法・人類種独尊」と過激極まりないもので
過去に魔女狩りと称し、魔法使いギルドを襲撃したり、亜人種を狙った爆破テロなどの事件を起こしている。

参加者の立ち位置

パトレイバーにおける特車二課のような魔導ゴーレムを用いた事件に対処するための治安部隊の隊員として立ち回る。

97 :名無しになりきれ:2015/04/19(日) 23:51:11.85 0.net
拘りが消えたぶん辛うじて保たれていた魅力すら消えた感
やっぱロボットものって難しいよ。下手に手を出すと怪我する

98 :名無しになりきれ:2015/04/20(月) 00:00:49.17 0.net
属性云々は書くほう的にもめんどいから削ったほうがいいと思うけど
あと大きさも建造物との対比とか人によって思い浮かべるイメージが変わってめんどくさいし一定のほうがよさそう
ついでに生身が無力ということにしないと生身でガチンコするひととか絶対出てくるからね

あとは一度壊れたら直すのに章またぐ必要アリ
装備の拡充とかロボの設定レベルの変更はやっぱり章またぐことにしておかないとキリが無いと思うよ

99 :名無しになりきれ:2015/04/20(月) 00:05:54.88 0.net
パー速のダンボール戦機とメダロット合わせたみたいなのは結構良かったんだけどな
ロボットものを企画する上で大事なのはやっぱり明確な方向性だよ

100 :悪意篦人 ◆.QnJ2CGaPk :2015/04/20(月) 00:17:19.37 0.net
>>98
オリジナルのほうでなんにでもエーテルが存在するって言ってたんですけど
じゃあ、空気中のエーテルと水中のエーテルは同質なのか?って疑問が浮かんだので属性を入れました。
まぁややこしくなるなら属性はなかったことにしたほうがいいね。
ロボットのサイズに関してはオリジナルが気に入らないから大きさを分けてみたけど
確かに余計だね。
生身云々に関していえば、GMサイドから「おい、ロボットに乗れよ」 と突っ込めばいいんじゃない?
まぁオリジナルのほうは投げ出したみたいだし、運営システムに関しては何いっても無意味じゃん

101 :名無しになりきれ:2015/04/20(月) 00:30:31.17 0.net
批判されて消えたけど、他人が必死こいて作った企画をレイプするのはなあ……
あんまりお行儀が良いとは言えないかな

102 :名無しになりきれ:2015/04/20(月) 00:37:16.06 0.net
いずれにせよゲームとして遊ぶのに関係ない設定を前面に押し出し過ぎ
自分の作った世界観で遊びたいのはわかるけどそれはそこそこにして
まず誰もが理解できてかつ最強厨とかそういうものに煩わされないようキャラの限界を縛るルールをきめておくれ
GMとしてやる気があるのはありがたいことだけどまず遊べなくちゃ人はやる気にならんよ

103 :名無しになりきれ:2015/04/20(月) 00:49:14.48 0.net
>>100
GMやりたいなら自分で企画作ってくれ
そうすりゃ応援するよ

104 :名無しになりきれ:2015/04/21(火) 23:54:10.83 O.net
ふわっとした土台が欲しい…
名前とかは後でいいから、ふわっとした世界観…

105 :名無しになりきれ:2015/04/22(水) 00:12:54.09 0.net
優しい世界ってことか?
それとも大雑把な設定ってことか

106 :名無しになりきれ:2015/04/22(水) 00:49:33.06 0.net
ふわっと書くつもりが筆が乗って割とガチになってしまった。どうだろう?


今から遥か数世紀先の未来、科学の発展と共に地上は環境汚染によって生身の人間の住めない世界になっていた。
生き残った純正の人類は超高層建築群を建て汚染から逃れ、そうでない者の多くは遺伝子変異とサイボーグ化によって異形と化し、地上にて這いずるように生き残っていた。
天空高くに住む純正の人類と地上で生きる異形達は隔絶され、互いに干渉することなく生きていた……しかし、異変は起こる。
天空の人類達の繁殖力の低下である。原因は遺伝子の劣化によるものだと判明し、新たな遺伝子が求められた。
そこで立てられた計画が、地上にエージェントを送り異形達から遺伝子を採取、持ち帰るというものである。
異形の住むこの世の地獄と化した地上で、人類と異形の物語が始まる!


人類……遥か昔に天空へと逃れた一族の末裔達。高度な科学力を持ち、少数ながら生き延びていた。地上に降りる際は環境適応のため特殊なパワードスーツをその身に纏う。

異形……汚染された地上で生き延びるため、自ら遺伝子変異とサイボーグ化により異形と化した元人類。個体によって様々な能力を持つ。その多くが、最早人間らしい原型を留めていない。

107 :名無しになりきれ:2015/04/22(水) 02:21:27.88 0.net
プレイヤーはどっち陣営をやるの? 両方?

108 :名無しになりきれ:2015/04/22(水) 13:28:26.20 O.net
面白そう!
両サイドいた方が面白いかな?
でも異形レベルになりきりすると…
人っぽい形をとどめてるけど、羽はえてる、とかやりたくなっちゃうかな
世界観見ると、これは足無さそうだが…こんな天使いたなあ

109 :106:2015/04/22(水) 19:59:54.05 0.net
異形のサイボーグ設定は正直いらなかったかも。
まだ推敲の余地がたくさんあるので、意見を聞きたいです。

物語の流れとしては、降下ポットで地上に降りた人類たちが異形と接触し、トラブルに巻き込まれていく……みたいな感じです。
能力は無敵以外なら両陣営共に自由に設定出来ると思います。
敵役参加もアリかも知れませんね。異形でも人類でも。

110 :106:2015/04/22(水) 20:00:51.21 0.net
おっと、もちろん両陣営共にプレイヤー参加可能です

111 :名無しになりきれ:2015/04/22(水) 20:25:32.37 0.net
両陣営参加可能は絶対におすすめしない
プレイヤーを二極化させるメリットが薄いからね
絡める相手が減る意味もなければ、PC対PCの状況はトラブルのもと

もちろん工夫次第でどうにか出来る問題だけど
逆に現時点でその工夫のビジョンがないならやめといた方が無難ね

112 :106:2015/04/22(水) 20:51:06.55 0.net
>>111
なるほど。
しかし異形側の協力者的ポジションも居て良いと思うので、その辺は自由で良いと思います。

地上の世界観としては
世紀末風、物資の枯渇が酷い、異形達はいくつかのグループに分かれて対立している……という感じでしょうか。

113 :名無しになりきれ:2015/04/22(水) 22:38:00.62 O.net
なら、メインは人類側でシナリオ作って
協力者として異形も参加可能にするとか?
人類が異形と交渉できるならありかも

メガテン風味の気分で

114 :106:2015/04/22(水) 23:04:27.02 0.net
人類側だけで話を進めると世界観が伝わらないと思うので、異形の協力者は必要不可欠だと思います。

ストーリーとしては
天空の人類達は降下ポットで地上を目指すものの、落雷の影響で不時着してしまう。
意識を失った彼らを介抱したのは、不時着地点辺りの土地を取りまとめる異形達のリーダーだった。
人類は異形達を捕縛し天空へ連れ帰る必要があることを聞いた異形のリーダーは、彼の土地を荒らさないことを条件に協力を申し出る。

こんな感じならどうでしょう?

115 :名無しになりきれ:2015/04/23(木) 00:48:59.36 O.net
不時着した人はもちろんPC
リーダーさんが適当に手助けとしてついていかせる異形もPC
になるのかな?
流石にリーダーついていくわけにはいかなそうだし…

異形楽しそうだなあ

116 :106:2015/04/23(木) 19:49:46.45 0.net
設定も多少まとまって来ましたし、希望者がいるのならここで試験運用するのもアリでしょうか?
最低一人は人類側が欲しいところです。集まりますかね?

ちなみに設定の一部は、個人製作のクレイアニメ「Junk Head」と言う作品からお借りしました。
大変面白い作品ですので、是非ご覧ください。

117 :名無しになりきれ:2015/04/23(木) 21:23:29.39 0.net
>最低一人は〜
って事になるから陣営を分けるのは下策なんだよなぁ
地上に天井から人材を委託している組織がある、とか
両種族を一つの陣営の中でプレイさせる事なんて難しくもなんともねーのに

118 :名無しになりきれ:2015/04/24(金) 20:52:00.20 O.net
>>117さん
>>114よく読んで下さいな

ちゃんと、不時着した「人類」と「異形」の協力になってますよ

私はやるなら異形がいいです!

119 :106:2015/04/24(金) 21:31:21.59 0.net
まぁ人類側がいなかったらNPC化すれば良い話なのですけどね。
人類側はあくまで主人公サイドだと思うので、高待遇なのですけど。
ちなみに私はGM経験はないので、ぐだぐだになってしまうかも知れません。

120 :名無しになりきれ:2015/04/24(金) 21:45:56.29 0.net
参加希望です
それと万年規制orzなのでこちらの板の代行スレ
→ttp://jbbs.shitaraba.net/internet/20240/ から代行して貰ってます
現スレにリンクが張ってないようなので同じ境遇の方はこんなスレもあるよという事で参考に
一応このスレの避難所という位置づけの板らしいです
個人版なので投下報告はちょっと…という場合でも代行だけでもしてもらえると助かります

121 :名無しになりきれ:2015/04/24(金) 23:13:39.88 O.net
万年規制…規制されたらとけないのΣ( ̄□ ̄;)
やば…気を付けよ

122 :106:2015/04/24(金) 23:41:42.61 0.net
参加希望者が案外いるようなので、明日にも正式な導入を書いてみようかと思います。

万年規制……大変ですね、気付いたら代行手伝います。

123 :名無しになりきれ:2015/04/25(土) 10:58:14.52 O.net
期待!

124 :【異形邂逅記】 ◆74/mbMVFDE:2015/04/25(土) 18:07:57.34 ID:nrSMul/CG
今から遥か数世紀先の未来、科学の発展と共に地上は環境汚染によって生身の人間の住めない世界となっていた。
人類の中でもいち早く危機を察した者達は、超高層建築群を建て汚染から逃れ天空で暮らし始める。
残された者の多くは死に絶えたが、一部の者は遺伝子変異による異形と化し環境に適応、生き延びることに成功した。
天空で暮らす人類と地上にて生き残った異形は隔絶され、互いに干渉する事のないまま数世紀の時間が流れる。

しかし、そのまま続くかと思われた関係に異変が発生した。天空の人類の遺伝子の劣化である。
彼らは科学技術により優れた身体能力と長寿を得ていたが、遺伝子の劣化により生殖機能を失ったのだ。
このままでは遠くない未来に滅びると予想した人類は、ひとつの賭けに出る。
地上の異形達の遺伝子を採取研究し、失われた生殖能力を復元することだった。
そのために計画立案されたのは、地上にエージェントを送り、異形達を捕獲し持ち帰るというものである。
人類の中でも優れた能力を持つ者を選び出し、地上へと送る計画は着々と進められた。

一方その頃、地上側でも異変は起こっていた。
異形と化した彼らはごく小規模なコミュニティを作り生き延びていたが、環境汚染によって資源は枯渇していた。
少ない資源を求め争いは頻発し、コミュニティはその数を減らす一方であった。
その中でも強い力を持ったコミュニティは台頭し、規模の小さいコミュニティは吸収され、あるいは滅ぼされてゆく。
異形、ジジールの率いるそんなごく小規模なコミュニティ「金剛石」も、そんな波によって窮地に立たされていた。

そんな折に、天空より地上に送られる最初のエージェントが出発する事になる。
放たれた降下ポットは順調に地上に向かうと思いきや、環境汚染によって生じた積乱雲の雷の影響により、機体は損傷する。
パラシュートにより辛うじて墜落を免れた降下地点は奇しくも「金剛石」の領地。
落下の衝撃で気絶したエージェントを救ったのは、領主のジジールであった。
奇妙な偶然で邂逅した彼らの物語は、ここからスタートする。

125 :【異形邂逅記】 ◆74/mbMVFDE:2015/04/25(土) 18:08:43.24 ID:nrSMul/CG
人類:遥か昔に天空の高層建築群へと逃れた一族の末裔。
   高度な科学文明を基盤とし、優れた身体能力と長寿を持ち合わせている。
   地上に降りる際は環境適応のため特殊なパワードスーツを身に纏う。

異形:汚染された地上で生き延びるため、自ら遺伝子を変異させ異形と化した元人類。
   文明はすでに一度失われているため科学的な知識は低いが、遺伝子変異により特殊な能力を持つ。
   変異した遺伝子による能力の発現は様々で、個々により異なっている。その多くが、最早人間らしい原型を留めていない。


ジャンル:SF
コンセプト:異形の暮らす世界での冒険譚
期間:未定(でも多分短め)
最低参加人数:3人
GM:あり(ただし交代もありです)
決定リール:あり
○日ルール:7日
版権、越境:なし
敵役参加:あり
避難所:必要なら作ります


名前:
種族:(人類or異形)
性別:(異形ならなくてもOK)
年齢:(特に人類は長寿です)
性格:
容姿:
装備:(武器は人類は主に科学兵器、異形は簡単な銃程度まで)
備考:
好きなもの:
苦手なもの:

126 :【異形邂逅記】 ◆74/mbMVFDE:2015/04/25(土) 18:09:43.70 ID:nrSMul/CG
人類のエージェントが目覚めたのは見覚えのない室内だった。
まるで瓦礫を寄せ集めて作ったような清潔感に欠けた部屋に、みすぼらしいベッド。
彼は確か地上への降下作戦を行い、途中で落雷により意識を失っていたはずであるが……?

「よう、目覚めたか。体に異常はないかい?」

聞き覚えのない異質な声が室内に響き渡る。
まだ目覚めたばかりなので体が思うように動かない。しかし、その身をチェックすることは出来た。
バイタル、パワードスーツ、共に異常なし。装備もすべて身に付けたままである。
室内は薄暗いが、その天井ははっきり見ることが出来た。
その視界を遮るように、奇妙な形の影がこちらを覗き込んだ。

「ふむ、元気みたいだな。お前ら上から落っこちて来たんだぞ? ああ、あの変な乗り物は壊れてないらしいな」

覗き込んできた巨体は、その全身を赤黒いゼリー状の体液で覆われた、奇妙な昆虫のような姿だった。
外骨格で構成された、しかし人間のものと形の似ている手をかざし、こちらを窺っているようだ。

「俺の名はジジール、この「金剛石」っちゅうグループのリーダーをさせて貰ってる。
うちの領地では侵入者はすぐに叩き出すんだがな、お前さんは少々様子が違うようだ。
飯は自分で調達して貰う事になるが、元気になるまでこの家で休んでいって構わんぞ」

その異形、ジジールはそう名乗ると、その奇妙な声で笑いかけたようだった。正直表情は分からない。
体を起こすと、室内の様子が見て取れた。清潔ではないが、雨風はしのげそうである。
部屋の隅のほうには、どこかから拾ってきたのであろうガラクタが放置されている。
割れたコップに機械の残骸のようなもの。その多くが、とても使えそうには見えない。

「ああ、このガラクタか。趣味で集めているのさ、たまには使えるものもあるんだぞ?
しかし、お前さんが乗ってきたあの乗り物には驚いたさ。あれ、ガラクタから組み上げたようには見えないな。
もしかして失われた文明の知識でもあるのか? それとも……伝説の天空人なのか?」

天空人……おそらく人類の事を指しているのであろう。
人類が地上で栄華を誇っていたのは、今からおよそ千年近くも昔の話だ。
環境の汚染により超高層建築群を建てそこへ逃げ込み、長くそのまま暮らしていたと聞く。
おそらくその当時の話が、伝承として語り継がれているのだろう。

さて、ここからの行動は自由だ。ジジールに戦いを挑んでも良いし、ここから逃げ出したって良い。
しかし圧倒的な巨体を持つジジール相手では、目覚めたばかりのエージェントには少々手に余るだろう。
しかも、この部屋の外からも人の気配がする。どうやら近くに誰かいるらしい。
その誰かはこの部屋に入って来るかも知れないため、油断は出来ないだろう。

127 :【異形邂逅記】 ◆74/mbMVFDE:2015/04/25(土) 18:19:19.35 ID:nrSMul/CG
名前:ジジール
種族:異形
性別:男
年齢:35
性格:豪胆でややおっとりしている。敵には容赦しない主義
容姿:巨体、昆虫のような外骨格に覆われ、更に赤黒いゼリー状の粘液を分泌している。六本の手足を持ち全体的にバッタっぽい
装備:ドライバーを始めとした工具一式、岩から削りだした巨大な棍棒
備考:「金剛石」のリーダー、既婚者。粘液でよく部屋を汚すので、奥さんに叱られるらしい。
好きなもの:イナゴ
苦手なもの:フライパンを振り回し怒る奥さん

128 :106 ◆74/mbMVFDE :2015/04/25(土) 19:27:37.55 0.net
一応酉付けましたので

129 :106 ◆74/mbMVFDE :2015/04/25(土) 19:30:35.12 0.net
今から遥か数世紀先の未来、科学の発展と共に地上は環境汚染によって生身の人間の住めない世界となっていた。
人類の中でもいち早く危機を察した者達は、超高層建築群を建て汚染から逃れ天空で暮らし始める。
残された者の多くは死に絶えたが、一部の者は遺伝子変異による異形と化し環境に適応、生き延びることに成功した。
天空で暮らす人類と地上にて生き残った異形は隔絶され、互いに干渉する事のないまま数世紀の時間が流れる。

しかし、そのまま続くかと思われた関係に異変が発生した。天空の人類の遺伝子の劣化である。
彼らは科学技術により優れた身体能力と長寿を得ていたが、遺伝子の劣化により生殖機能を失ったのだ。
このままでは遠くない未来に滅びると予想した人類は、ひとつの賭けに出る。
地上の異形達の遺伝子を採取研究し、失われた生殖能力を復元することだった。
そのために計画立案されたのは、地上にエージェントを送り、異形達を捕獲し持ち帰るというものである。
人類の中でも優れた能力を持つ者を選び出し、地上へと送る計画は着々と進められた。

一方その頃、地上側でも異変は起こっていた。
異形と化した彼らはごく小規模なコミュニティを作り生き延びていたが、環境汚染によって資源は枯渇していた。
少ない資源を求め争いは頻発し、コミュニティはその数を減らす一方であった。
その中でも強い力を持ったコミュニティは台頭し、規模の小さいコミュニティは吸収され、あるいは滅ぼされてゆく。
異形、ジジールの率いるそんなごく小規模なコミュニティ「金剛石」も、そんな波によって窮地に立たされていた。

そんな折に、天空より地上に送られる最初のエージェントが出発する事になる。
放たれた降下ポットは順調に地上に向かうと思いきや、環境汚染によって生じた積乱雲の雷の影響により、機体は損傷する。
パラシュートにより辛うじて墜落を免れた降下地点は奇しくも「金剛石」の領地。
落下の衝撃で気絶したエージェントを救ったのは、領主のジジールであった。
奇妙な偶然で邂逅した彼らの物語は、ここからスタートする。

130 :【異形邂逅記】 ◆74/mbMVFDE :2015/04/25(土) 19:31:47.70 0.net
人類:遥か昔に天空の高層建築群へと逃れた一族の末裔。
   高度な科学文明を基盤とし、優れた身体能力と長寿を持ち合わせている。
   地上に降りる際は環境適応のため特殊なパワードスーツを身に纏う。

異形:汚染された地上で生き延びるため、自ら遺伝子を変異させ異形と化した元人類。
   文明はすでに一度失われているため科学的な知識は低いが、遺伝子変異により特殊な能力を持つ。
   変異した遺伝子による能力の発現は様々で、個々により異なっている。その多くが、最早人間らしい原型を留めていない。


ジャンル:SF
コンセプト:異形の暮らす世界での冒険譚
期間:未定(でも多分短め)
最低参加人数:3人
GM:あり(ただし交代もありです)
決定リール:あり
○日ルール:7日
版権、越境:なし
敵役参加:あり
避難所:必要なら作ります


名前:
種族:(人類or異形)
性別:(異形ならなくてもOK)
年齢:(特に人類は長寿です)
性格:
容姿:
装備:(武器は人類は主に科学兵器、異形は簡単な銃程度まで)
備考:
好きなもの:
苦手なもの:

131 :【異形邂逅記】 ◆74/mbMVFDE :2015/04/25(土) 19:33:45.58 0.net
人類のエージェントが目覚めたのは見覚えのない室内だった。
まるで瓦礫を寄せ集めて作ったような清潔感に欠けた部屋に、みすぼらしいベッド。
彼は確か地上への降下作戦を行い、途中で落雷により意識を失っていたはずであるが……?

「よう、目覚めたか。体に異常はないかい?」

聞き覚えのない異質な声が室内に響き渡る。
まだ目覚めたばかりなので体が思うように動かない。しかし、その身をチェックすることは出来た。
バイタル、パワードスーツ、共に異常なし。装備もすべて身に付けたままである。
室内は薄暗いが、その天井ははっきり見ることが出来た。
その視界を遮るように、奇妙な形の影がこちらを覗き込んだ。

「ふむ、元気みたいだな。お前ら上から落っこちて来たんだぞ? ああ、あの変な乗り物は壊れてないらしいな」

覗き込んできた巨体は、その全身を赤黒いゼリー状の体液で覆われた、奇妙な昆虫のような姿だった。
外骨格で構成された、しかし人間のものと形の似ている手をかざし、こちらを窺っているようだ。

「俺の名はジジール、この「金剛石」っちゅうグループのリーダーをさせて貰ってる。
うちの領地では侵入者はすぐに叩き出すんだがな、お前さんは少々様子が違うようだ。
飯は自分で調達して貰う事になるが、元気になるまでこの家で休んでいって構わんぞ」

その異形、ジジールはそう名乗ると、その奇妙な声で笑いかけたようだった。正直表情は分からない。
体を起こすと、室内の様子が見て取れた。清潔ではないが、雨風はしのげそうである。
部屋の隅のほうには、どこかから拾ってきたのであろうガラクタが放置されている。
割れたコップに機械の残骸のようなもの。その多くが、とても使えそうには見えない。

「ああ、このガラクタか。趣味で集めているのさ、たまには使えるものもあるんだぞ?
しかし、お前さんが乗ってきたあの乗り物には驚いたさ。あれ、ガラクタから組み上げたようには見えないな。
もしかして失われた文明の知識でもあるのか? それとも……伝説の天空人なのか?」

天空人……おそらく人類の事を指しているのであろう。
人類が地上で栄華を誇っていたのは、今からおよそ千年近くも昔の話だ。
環境の汚染により超高層建築群を建てそこへ逃げ込み、長くそのまま暮らしていたと聞く。
おそらくその当時の話が、伝承として語り継がれているのだろう。

さて、ここからの行動は自由だ。ジジールに戦いを挑んでも良いし、ここから逃げ出したって良い。
しかし圧倒的な巨体を持つジジール相手では、目覚めたばかりのエージェントには少々手に余るだろう。
しかも、この部屋の外からも人の気配がする。どうやら近くに誰かいるらしい。
その誰かはこの部屋に入って来るかも知れないため、油断は出来ないだろう。

132 :【異形邂逅記】 ◆74/mbMVFDE :2015/04/25(土) 19:34:31.82 0.net
名前:ジジール
種族:異形
性別:男
年齢:35
性格:豪胆でややおっとりしている。敵には容赦しない主義
容姿:巨体、昆虫のような外骨格に覆われ、更に赤黒いゼリー状の粘液を分泌している。六本の手足を持ち全体的にバッタっぽい
装備:ドライバーを始めとした工具一式、岩から削りだした巨大な棍棒
備考:「金剛石」のリーダー、既婚者。粘液でよく部屋を汚すので、奥さんに叱られるらしい。
好きなもの:イナゴ
苦手なもの:フライパンを振り回し怒る奥さん

133 :名無しになりきれ:2015/04/25(土) 19:54:06.10 0.net
>>118
陣営でわける必要は無いんじゃないかってことだろ?
むしろ、お前の読解力を疑いたくなるよ

134 :名無しになりきれ:2015/04/26(日) 00:16:01.12 O.net
>>133
陣営ってしつこいけど、シナリオからしたら敵に値する存在がいないと発展しにくいよ
皆が協力的なら世界観が狂う
そもそも地上と天井が伝説レベルで分かたれていたからこそ、話が始まったんだし
そこを変えるならシナリオが成り立たない
ゲーム性を出すならありじゃないの?そもそも実験室なんだし

135 :名無しになりきれ:2015/04/27(月) 13:00:16.86 0.net
名前:ビオル・デルバーヴァ
種族:異形
性別:女
年齢:23歳
性格:残虐、冷酷、短気
容姿:爬虫類人間。筋骨隆々の巨体。全身がワニのような強固な皮に覆われている。口が大きく裂ける。鋭い牙と爪。
装備:食料等旅用品一式
備考:様々なコミュニティに雇われ、各地を転戦しているフリーの傭兵。
思想や宗教などといった概念とは無縁の人物で、ただただ殺戮を求めて戦場を巡っている。
異形としての本能に忠実で、敢えて理性で理性を無視することも。
好きなもの:戦闘、虐殺、肉食(エモノは主に殺した相手)
苦手なもの:手強い相手(一方的に嬲ることを好むため)

136 :◇sEzRcyqWAM:2015/04/27(月) 20:28:18.58 0.net
名前:トキワ
種族:異形
性別:雌雄同体
年齢:55
性格: 陽気で好奇心旺盛
容姿: 人類で言うと10歳前後の子供ぐらいのサイズ。
薄緑色の肌、頭は髪の代わりに蔦、体は服の代わりに葉で覆われている
装備:木の枝を持っているように見えるが実は自らの体の一部
備考: 「金剛石」のメンバー。頭の蔦を操ったり体表面から棘を出したりして戦う。
好きなもの:水 土
苦手なもの:炎

【一応異形側でテンプレ投下します。
参加者のバランスによっては後で人類側で作り直しても構いません】

137 :131 ◆YMFFq7EZes :2015/04/27(月) 21:00:59.57 0.net
【こちらも作り直す準備はあります】
【テンプレの設定に不備と不満点があったので追記・修正しました】
>>135のテンプレは破棄します】

名前:ビオル・デルヴァーバ

種族:異形

性別:女

年齢:28歳

性格:残忍、冷酷、短気

容姿:まんま爬虫類人間で、筋骨隆々の巨体。全身をワニ皮のような強固な皮膚で覆われている。口が大きく裂ける。鋭い牙と爪。

装備:己が肉体そのものが武器、旅用品一式、今まで殺した相手から作った「干し肉」

備考:
様々なコミュニティに雇われ、各地を転戦しているフリーの傭兵。
物語の舞台となる地には、「金剛石」に雇ってもらうために訪れた。
思想や宗教といった概念とは無縁の人物で、ただただ殺戮と闘争を求めて戦場を巡っている。
特殊能力の類いは持たないものの、頑健な肉体と怪力、己が爪と牙を武器に力任せに戦うことを好む。
自分が殺した相手の肉が大好物で、わざわざ干し肉にして保存食として持ち歩くほど。

好きなもの:一方的な戦闘及び殺戮、肉食(エモノは主に殺した相手)

苦手なもの:手強い相手(一方的に嬲ることを好むため)

138 :【異形邂逅記】 ◆74/mbMVFDE :2015/04/27(月) 21:28:04.41 0.net
お二方、参加してくれてありがとうございます。
最低でもあと一名入るまで開始は待とうと思いますが、参加状況によっては一名に人類側への設定変更をお願いするかも知れません。
世界観などに関する説明に不備があると思いますので、質問などあれば今の内にどんどんして下さいませ。

139 : ◆tRb3C.SB/A :2015/04/27(月) 22:53:53.79 O.net
名前:アスカ
種族:人類
性別:男
年齢:52歳(見た目20代くらいです)
性格:好奇心旺盛、子供っぽいとも言う
容姿:癖のある茶髪に蒼眼、175cmでわりと細身に見えるが筋肉はある
装備:レーザータイプのハンドガン、瞬間伸縮ロングソード(軽強合金)調査用細胞収集キット
備考:異形に興味があって参加した。興味と言っても調査自体より、コミュニケーションや強さが気になる。
好きなもの:見慣れないもの、戦闘訓練
苦手なもの:一部の人類(異形を嫌う者や実験対象としか見ない者)

なんだかんだで、よろしくお願いしたいです!

140 :【異形邂逅記】 ◆74/mbMVFDE :2015/04/28(火) 21:20:02.83 0.net
>>139
参加頂きありがとうございます。
これで物語を進めるに十分な人員が集まったので、いよいよ進行を進めようかと思います。
もちろん途中参加も歓迎致しますので、お気軽にお声掛け下さい。


【追加設定】
ジジールの家はこの辺りでは一番広く、住民達の溜まり場となっていた。
料亭という訳ではないが、持ち込んだ食材でジジールの奥さんが調理をしてくれたりもする。
焼くか生で貪るくらいしか出来ない住民にとっては憩いの場であったり。ただし騒ぐと奥さんが怖い。
職という概念が薄いこの地上でも、戦闘員や用心棒という職種は存在する。
小さな喧嘩から、コミュニティー同士の争いや略奪といった事態は頻発するのだ。
金剛石ではジジール自ら指揮を執りそのような事態に備えている。
異形は基本的に身体能力が高い者が多い。そうなるように淘汰されたのだ。
争いを好まずとも、戦闘に巻き込まれる機会には事欠かない事だろう。

141 : ◆tRb3C.SB/A :2015/04/28(火) 22:56:20.54 O.net
あ、質問忘れしてたです

パワードスーツの頭部はどんな感じなんでしょうか?
ヘルメット系だと会話大変かな…とか悩んでました

142 :【異形邂逅記】 ◆74/mbMVFDE :2015/04/28(火) 23:22:28.35 0.net
>>141
パワードスーツは個人の適性に基づいて作られているので、デザインは個々によって違います。
顔が見えずコミュニケーションに困るのであれば、口元のマスクだけとかでも大丈夫だと思いますよ。

143 : ◆tRb3C.SB/A :2015/04/29(水) 06:06:02.56 O.net
>>142
成る程、ではマスクタイプでいきます
高性能な化学繊維で鼻の高さくらいまで隠れる、みたいな物で
恥ずかしがりやの襟みたいな見た目かと

144 : ◆tRb3C.SB/A :2015/04/29(水) 12:50:50.27 O.net
現状私からの質問は以上です

スーツは動きやすさ重視で、布のような見た目の部分が多い感じです

145 :【異形邂逅記】 ◆74/mbMVFDE :2015/04/29(水) 12:57:47.43 0.net
>>144
了解です。
書けるのでしたら先に投下してくださって構いませんよ?

146 : ◆tRb3C.SB/A :2015/04/29(水) 18:56:24.52 O.net
>>145
了解です
後程投下します

147 :【異形邂逅記】 ◆tRb3C.SB/A :2015/04/29(水) 20:13:30.60 O.net
人類の希望…もしくは逃げた人間の為の犠牲。彼はエージェントという立場をそう考えている。
今回も異形とコミュニケーションを取る、または戦い細胞を採集する内容だからこそ自分が選ばれた。
…その性格は周りの人間に言わせれば、変人と評価を受ける。それでも機械が測った戦闘能力で最終判断を出され…
エージェント「光牙飛鳥」は地上を目指した。
………はずだった。

>「よう、目覚めたか。体に異常はないかい?」
なのにこれはどういう事か?
聞き覚えのない声に答える前に、自分の状態確認をする。
(体は頭以外大丈夫、スーツや武器も破損なし…っぽいな)
多少頭をうったらしいが、怪我というほどでもない。
そこでアスカは返事をしようと身を起こしかけたが、先に声の主に覗き込まれた。

>「ふむ、元気みたいだな。お前ら上から落っこちて来たんだぞ? ああ、あの変な乗り物は壊れてないらしいな」

「お、おお。怪我らしい怪我もねえし、少し休めばすぐ動けそう…だ」
その主は巨大な昆虫のような姿をしていた。
(…すげえ)
初めて対面した異形、しかし襲われるどころか介抱してくれた。
彼らには自分こそ異形だったろうに、救ってくれたのだ。
それにポットも無事らしい、案外状況は悪くないようだ、が…それゆえ自分がするべき事が馬鹿らしくなってくる。

>「俺の名はジジール、この「金剛石」っちゅうグループのリーダーをさせて貰ってる。
うちの領地では侵入者はすぐに叩き出すんだがな、お前さんは少々様子が違うようだ。
飯は自分で調達して貰う事になるが、元気になるまでこの家で休んでいって構わんぞ」

「俺はアスカ、助けてもらった上に休ませてくれるなんて、どう感謝したもんか…
ありがとう、の一言じゃ気がすまねえ、なんなら俺の分以外の飯の材料調達も手伝わせてもらえねえか?」
異形がなんだ、心があり会話ができる相手に、嫌悪など抱けるものか。
…出来れば、ミッションの対象はこのコミュニティ以外にしたい位だ。
「後は…ガラクタっぽい物の中から、直せそうなものも探してみるか?」
仲良くしたい。
少なくともこのジジールとは…

148 :【異形邂逅記】 ◆74/mbMVFDE :2015/04/29(水) 21:36:23.81 0.net
>>147
投下ありがとうございます。
次回以降は名前欄にご自分の名前を入れられると分かりやすいかと思います。

さて、残りお二方はどういう順番に致しますか?
ご自由に決めてくださって結構です。

149 :フォール=アークランド ◆otKThO.grA :2015/04/30(木) 01:29:23.62 0.net
このタイミングで参加希望という

名前:フォール=アークランド
種族:人類
性別:男
年齢:131才(外見年齢20代後半)
性格:高慢
容姿:肩まで届く長さの銀髪をオールバックにし、片眼鏡を掛けている。185cmと長身で筋肉質な体つき。
装備:放電機能とナノマシンによる自己再生機能が付いた軍事用義腕。防弾防刃防腐機能の付いた特殊合金のマント
備考:人類のコミュニティの中で上流に位置する家の当主。人類の未来の為に計画に参加した。
   異形に対しては、人類の繁栄の為に消費する家畜程度に思っている。

好きなもの:人類、壺
苦手なもの:異形

150 :ビオル ◆YMFFq7EZes :2015/04/30(木) 04:58:23.27 0.net
【自分の導入はトキワさんの後に投下するつもりです】

>>149
【よろしくお願いします】

151 :アスカ ◆tRb3C.SB/A :2015/04/30(木) 07:22:37.31 O.net
>>148
【了解です】

>>149
【お、人類?よろしくお願いします!…キャラ仲大丈夫かな?】

>>150
【もしかしたら先にフォールさんの方がいいですかね?】

152 :【異形邂逅記】 ◆74/mbMVFDE :2015/04/30(木) 19:45:30.20 0.net
>>149
【参加ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします】
【導入に時間がかかりそうにないのであらば、先に投下致しますか?】

>>150
【了解です。トキワさんは見てらっしゃるかな?】

153 :◇sEzRcyqWAM:2015/04/30(木) 22:43:08.85 0.net
【皆様よろしくお願いします
では人類側が先の方が良さそうだからフォールさんの次にしようかな】

154 :フォール=アークランド ◆otKThO.grA :2015/05/01(金) 01:29:21.86 0.net
まるで、超古代の石像の様に整った容貌を持つ男。
こんこんと眠っていたその男の瞼が、薄く開いた。
刺しこむ澱んだ日の光は、暗い泥の底に沈んでいた彼の意識を浮上させ、
鼻孔に流れ込む僅かに生臭い空気は、動き始めた彼の脳に不快感を与える。

(……此処は、どこだね。私は一体)

脳内で自分自身に問いかけるが、纏まらない思考は答えを出せない。
そうして目覚めて暫くの間、現実感の伴わない、夢と現の狭間に居る様な感覚に陥っていた男であったが

>「よう、目覚めたか。体に異常はないかい?」

突如響いた聞き慣れない声。
それに反応して、反射的に身体を起こそうとし――――直後、薄汚れたベッドから転げ落ちた。

「ぬ、ぐっ……私とした事が、不覚な」

全身を襲うのは、痛みと恐ろしいまでの倦怠感。
とっさに確認したバイタルこそかろうじで正常値であったものの、どうに動き回る事は出来ない様であった。

>「ふむ、元気みたいだな。お前ら上から落っこちて来たんだぞ? ああ、あの変な乗り物は壊れてないらしいな」
「墜ちた……?一体何を」

うつ伏せに倒れたまま、彼は仕方なしに先程から語りかけてくる声の主。
会話の内容から恐らく『人間』であろうとアタリを付けた相手に返事をしようと、首だけで振り返り。

「……亜人(デミ)だと!?」

――――そのモノの姿を見て思わず叫び、同時に自身の現状を全て思い出した。

赤黒い粘液を纏う昆虫の様な容姿を持つその巨大な人影は『異形』と呼ばれる存在。
或いは、彼らを差別し嘲る一部の人間からは『亜人(デミ)』と呼ばれる者達であるという事を。
そして彼は、人類の未来を繋ぐ為に『異形』達から遺伝子を回収する任務を帯び、ここにやって来たという事を。

>「俺の名はジジール、この「金剛石」っちゅうグループのリーダーをさせて貰ってる。
>うちの領地では侵入者はすぐに叩き出すんだがな、お前さんは少々様子が違うようだ。
>飯は自分で調達して貰う事になるが、元気になるまでこの家で休んでいって構わんぞ」

驚愕に固まる彼の様子を知ってか知らずか、異形――ジジールと名乗ったその者は、
墜落したポットから男を助け出した事と、ここで暫く療養して良いといった旨を騙る。
会話を続ける内に落ち着きを取り戻してきた男は、全身で警戒を示しつつジジールに対し何かを言おうと口を開くが

155 :フォール=アークランド ◆otKThO.grA :2015/05/01(金) 01:30:29.89 0.net
>「俺はアスカ、助けてもらった上に休ませてくれるなんて、どう感謝したもんか…
>ありがとう、の一言じゃ気がすまねえ、なんなら俺の分以外の飯の材料調達も手伝わせてもらえねえか?」

「その声はアスカ君かね!?君も無事だったとは、実に喜ばしい!だが……」

ベッドの上。床に倒れ込んだ男からは死角となる場所から聞こえて来た、今回の任務の同僚とも言える人物の声を聞き、
彼が生存していた事に対し喜びの表情を浮かべ……次いで、ジジールを嫌悪感を隠さない瞳でチラリと見てから眉を潜める。

「感謝などと、人間の君が亜人に媚びる様な事を言うのはやめたまえ。
 君が亜人の生態に興味を持っているのは知っているが、アークランド家の人間として其の様な行為は認められんよ」

差別意識を隠す事も無い様子でそう言うと、男はジジールを虫けらを見る様な目で見ながら口を開く

「亜人。本来は貴様如きに名乗る名は無いが、我々を救出した褒美に特別に名乗ってやろう。
 我が名はフォール=アークランド。アークランド一族の当主だ。今回はとある任務でこの穢れた地に墜ちてきた。
 ……ああ、そうだ。貴様達が望むなら私の家畜にしてやってもいいぞ。そうした方が任務も捗りそうだ」


――――端的に言えば、フォール=アークランドという人物ははこの任務に相応しい人間ではなかった。

『人』の未来を繋ぐ為に、異形の『人類』と邂逅する任務。
長く分かたれていた天と地を再び結び、途絶えかけた未来を切り開く任務。

能力こそ優秀であるものの、その任務を担うには彼は余りに人類至上主義者であった。
そんな彼が地上に送り込まれたのは、異形達との融和を快く思わない派閥の横槍があったが故。
なにをせずとも必ずやこの任務を失敗『させる』であろうという思惑が動いたが故。

そんな彼は、果たしてこの地上でどの様な未来に辿り着くのであろうか――――

156 :フォール=アークランド ◆otKThO.grA :2015/05/01(金) 01:32:41.78 0.net
>>152
【投稿させて頂きました。宜しくお願いします】
>>150>>151
【宜しくお願いします。キャラ仲はこんなんなので多分ダメだと思います】

157 :トキワ ◆sEzRcyqWAM :2015/05/01(金) 16:12:47.66 0.net
その夜、多くの者が流星を見た。
それは願いが叶う幸運の象徴でもあり、厄災の不吉な予兆でもある。
どちらが真実なのかはこの時点ではまだ誰にも分からなかった。
ただ一つ確かなのは、この時から運命の歯車は動き出したということだろう。

それから程なくして、ジジールが奇妙な格好の行き倒れを拾ったという噂が集落を駆け巡った。
奇しくも場所は流星が落ちたと思われる辺り。
更に、状況から察するに奇妙な乗り物に乗って空から落ちてきたらしいというではないか。
ただでさえ溜まり場となっているジジール宅が更に野次馬でごった返すのは想像に固くない。
そんな何の変哲もない野次馬の中に、彼もいた。
(正確には彼であり彼女なのだが面倒なので彼とする)
彼の名はトキワ。意識不明の意味ではない文字通りの植物人間だ。

突然扉が開いて、珍入者が現れた。そして開口一番こう言った。

「ズバリ任務とはオイラ達を楽園へと導くことだろう!」

天空の都市ーー遥か天空にあるというもう一つの世界。何の争いもない平和な世界。
天空に住まう民はそれはそれは美しい姿をしていて、いつか地上へ舞い降り人々を楽園へと導くというーー
諸説ある天空人の伝説の中にはまあこんなのもあるかもしれない。

普通に考えればただの電波発言なのだが、問題はたまたま満更間違ってもいないことだ。
天空人類の任務は地上人類を連れ帰ることに違いはないのだから。

「向こうに行ってからいくらでも家畜として働いてやろうではないか。
ただし三食昼寝付きで。さ、さ、はよ高度文明の謎パワーでささっと天上世界へ!」

流石異文化コミュニケーション、会話が噛み合っているのかいないのかすら分からない。
何はともあれ、サンプル獲得、任務完了ーーとなるはずだった、不時着さえしていなければ。
直後にそれが今や不可能である事を知った彼は、暫しショックを受けた後に機体修復の協力を申し出ることになるだろう。
このやりとりで分かったことがあるとすれば……
何か激しく勘違いしているが、天空人類達の脅威となる存在ではないことは確かなようだ。

158 :ビオル ◆YMFFq7EZes :2015/05/01(金) 17:12:35.77 0.net
>>157
「フンッ!フンッ!フガアァァッ!」

抉られ、削り取られる岩塊
まるでチーズでも捌いていくかのように、爪で硬い岩を少しずつ砕いていく
町外れで一人そうやって、巨大なトカゲ女は鍛錬に励んでいた
しかし、彼女にとっての鍛錬は普通の戦士が行うそれとは趣が違っていた

「ガワが硬いヤツにゃあ、これがよ〜く効くのさね…苦しみがねえ…
ヒッヒッ…実戦が楽しみで仕方ないよ」

爬虫類の眼が鋭く光り、おぞましいまでにサディスティックな笑みを浮かべてそう言った
…鍛錬は鍛錬でも、エモノを直ぐに殺さないようにするための鍛錬であった
彼女にとって、戦争の背景にある事情や理由などどうでもよかった
ただ戦い、敵を甚振って殺すことさえ出来ればそれで全て満足なのだ
高潔な異形であれば忌み嫌う、その身に刻まれた遺伝子の「本能」
彼女は、その「本能」に人間的な嗜虐心を織り交ぜて忠実に従う危険人物であった

「んあ?旦那の家の方が騒がしいねえ?」

鍛錬を終えて、空きっ腹を癒そうと雇い主であるジジール宅への帰途に着いていた
奥さんに調理してもらうために、帰り際に殺して捌いた何だかよく分からない生き物の肉塊を背負ったまま…
そして、ジジール宅の騒ぎが例の「天空人」とやらが目覚めたことによるものだと察した

159 :ビオル ◆YMFFq7EZes :2015/05/01(金) 17:31:41.32 0.net
「ジジールの旦那、例の連中が目覚めたのかい?」

そう言って、トキワに続いて巨大なトカゲ女が店の入り口をヌッと潜った
ジジールに見劣りしない巨体、筋骨隆々の肢体、鋭い爪と大きな口から覗く牙、そして爬虫類の冷徹な眼
見た目の威圧感からして、肉食を厭わない危険性を持っていることを連想させる要素に事欠かない

「ま、何にせよ腹が減ったよ
旦那、カミさんは居るかい?
こいつを調理してもらいたいんだけど…」

フォールとアスカを一瞥すると、特に興味も無さそうな様子で近くのテーブルに近付く
そして、ボロ布に包まれた先ほどの「肉塊」をドンとテーブルの上に置く
おそらくは…何かの生物だったのだろう
ビオルが狩った動物は、異形たちの間ではメジャーな食肉用生物の野生種であった
しかし、それでもここまで原型を留めないほどズタズタに引き裂いてしまったりなどしない
最早、「肉塊」と形容する以外にないほど、スプラッター紛いの代物と化していた

「ま、もし戦が始まったらこうなるのは敵の連中さね
戦う以上は徹底的にやっとかないと、向こうさんも黙らないだろうからねえ
ヒッヒッヒッ…おっと失礼、見慣れぬ客人をビビらせちゃあいけないね」

しかし、その雰囲気に悪びれた様子はなく、意地が悪そうな笑みまで浮かべていた

160 :【異形邂逅記】 ◆74/mbMVFDE :2015/05/01(金) 22:37:27.02 0.net
異形たちの住む地上には、二つの理由からほとんど日が差すことはない。
ひとつは環境汚染による分厚い濁った色の暗雲。その切れ間から覗く青空を見たものはほとんどいないだろう。
もうひとつの理由は、その雲の遥か上空に存在する人類の建築物によるものだ。
まるで天蓋のように大地を覆うそれは、地上の環境を更に劣悪なものにしていた。
彼ら異形達が見るのは、せいぜい朝夕の紅い日の光程度のものである。

天空にそびえる人類の巨大建築物は、別に空に浮いている訳ではない。
御柱と異形達の呼ぶ巨大で無数な柱によって支えられているのである。
特殊な素材で出来たそれは異形達にも壊すことは出来ず、むしろ天空人信仰のシンボルにもなっている。
さて、そんな御柱の一本の根元に、金剛石のアジト、ジジール宅は存在していた。
夕日の沈む刻限、そのジジール宅から豪快な笑い声が響く。

「わははははっ! 面白いな君ら、アスカにフォールと言ったか。決めた、金剛石は君らを歓迎しよう!」

ジジールはそう大声で告げると、その巨体を揺らしてにんまりと笑った。あくまで表情が読めればだが。
どうやらフォールの暴言すら歯牙にもかけていない様子である。冗談だと思ったのだろう。
ジジールはその膂力で床に転げ落ちたフォールを軽々と立たせた。粘液を付けない様配慮して、だ。

「さて、二人とも目覚めたのなら仕事を頼もうかな? ちょうど誰かいれば……」

>「ズバリ任務とはオイラ達を楽園へと導くことだろう!」

>「ジジールの旦那、例の連中が目覚めたのかい?」

「応、今目覚めたところだ、ビオルにトキワ。見に来たのかい?」

ちょうど訪ねて来た植物型と爬虫類型の異形である二人に手を振るジジール。
流れ者であるビオルは未だ金剛石の連中とは馴染みが薄いが、ジジールは彼女を高く評価している。
地上は汚染され痩せた土地ばかりだ。食いつなぐために流れ者として暮らしている者は少なくない。
小競り合いの続くこのご時勢、そんな流れ者は戦闘員として雇うにはちょうど良いのだ。
もっとも彼女の場合、報酬や住む場所を得るよりも、戦闘が出来ると言う事が重要らしかったが。

>「向こうに行ってからいくらでも家畜として働いてやろうではないか。
>ただし三食昼寝付きで。さ、さ、はよ高度文明の謎パワーでささっと天上世界へ!」

「なんだお前、天空人信仰なんてもの、本気で信じていたのか? まぁこの二人は本物の天空人みたいだが」

夢は寝て見るものだぞ、と呟きながらトキワを見やるジジール。
ジジールは天空人を崇めたりはしない。その存在はいてもいなくても、崇めるに値する相手とは思えないのだ。
事実こうして天空人を目にして、信仰心が芽生えるはずもない。
一人は素直で協力的、もう片方はプライドの高い人物である事から察するに、頭の中身は異形も人類も変わりないのであろう。

>「ま、何にせよ腹が減ったよ
>旦那、カミさんは居るかい?
>こいつを調理してもらいたいんだけど…」

「ああ、奥にいるはずだぜ。おーい! ビオルが飯を作って欲しいとよ!」

161 :【異形邂逅記】 ◆74/mbMVFDE :2015/05/01(金) 22:38:37.18 0.net
そうジジールが大声で呼ばわると、うるさいよと言いながら奥から彼の奥さんが出てきた。
さてこの奥方だが、意外な事に若くとても美しい容姿をしていた。そして、背中にはこれまた美しい蝶の羽根。
昆虫型の異形がこれほど美しく生まれる例は稀である。しかし、性格は見事に「おかん」であった。

「なんだいビオル、このずたずたの肉は。お前さん、相変わらず肉を捌くのが下手だね」

そう言いつつ、彼女は手際よく調理の準備に入る。ちなみにビオルの話はほとんど聞いてもいない。
ちなみに調理の代金は、提供した食材の何割かを頂くことになっている。

「これだけあれば、天空人の二人にも十分だね。お二人さんも食って行くがいいさ」

「ああ、そうだった。トキワとビオルにはちょいと頼みがあるんだ。この天空人二人をマンドラゴラ畑に連れて行って欲しい」

マンドラゴラ……この時代のマンドラゴラとは、遺伝子変異により生まれた植物型異形の一種である。
とはいえ知性も極めて低く、また身体も小さいことから、もっぱら食用として栽培されている野菜なのだ。
引っこ抜いたら叫ぶという特性はもちろん、油断して引き抜くと噛まれたり逃走されたりする。
別に悲鳴を上げたところでそれを聞いたら死ぬ訳ではないが、非常にうるさくてやっかいなので注意が必要だ。
ちなみに味は大根に似て非常に美味である。もちろん草部分も食用になるため重宝する。

マンドラゴラが生息する丘はここからそう離れていない荒れ地の先にある。
刻限は夕方なので明かりが必要かも知れないが、そもそも異形は夜目が利く者が多い。
ただし、そちらはクンツァイトという集団の領地に程近い。侵入者が後を絶たない地域でもあった。
単身で赴くには少々危険が伴う可能性があるのだ。

「ビオル、これは用心棒としての仕事さ。それにトキワはマンドラゴラの扱いには慣れているだろう?」

マンドラゴラを採ってくるなら、出来るだけ殺さないようにするのが一般的だ。
そうしないと傷みは早いし、味も落ちる。安全のため猿轡をし吊るして保管するのが定石である。
ジジールはトキワにそのための縄を渡すと、言い含めるように

「最近はクンツァイトの密猟者も多い。十分注意するんだぞ」

そう言った。

「アスカは異存ないとして……フォールは不満そうだな? まぁ初対面の人間にこき使われるのは不愉快かもな」

そう笑ってみせる。やっぱり表情は読めそうにないが、雰囲気だけで十分伝わるだろう。

「フォール、お前さんは天空人かも知れないが、俺らにとってはただの流れ者だ。ここのルールには従ってもらうのは当然だ。
生まれ育ちなんか関係ないのさ。ここでうまくやりたいなら、このくらいの雑用は聞いてくれよな」

一見普通に話しているように見えるが、その言葉と表情には奇妙な威圧感があった。
こんな乱世で領主をしている者の迫力なのだろう。有無を言わせぬ威圧感だ。

「アスカも何か言ってやれ。お前さんらは仲間なんだから、説得は任せる。
それと……そうだな、飯が出来上がる前には帰るんだな。遅くなるとうまい飯が冷めるぜ?」

そう言うと、また豪快に屈託なく笑って見せた。

162 :アスカ ◆tRb3C.SB/A :2015/05/01(金) 23:52:38.25 O.net
>「その声はアスカ君かね!?君も無事だったとは、実に喜ばしい!だが……」
>「感謝などと、人間の君が亜人に媚びる様な事を言うのはやめたまえ。
>君が亜人の生態に興味を持っているのは知っているが、アークランド家の人間として其の様な行為は認められんよ」

「元気そうで何よりだな、お坊ちゃん…」
同僚…と言うには出会って間もないが、仲間に変わりはない。
ただ、正直フォールという人間はアスカにとって苦手な部類と言えよう。
名家だかなんだかしらないが、やたらと偉ぶるフォールに、アスカはイラつきを感じていた。
体を起こしたアスカは枕(?)をフォールに投げつけた。
「亜人、穢れ、家畜ねえ…馬鹿かてめえ?
冗談にしても、助けてくれた恩人にいう言葉とは思えねえ。
大体俺の戦闘データ見てんなら、そういう事を言わねえ方がいいことぐらいわかるだろーが」
戦闘シュミレータをデータからいじり、今までに様々な状況や対象との訓練を積んだ。
スピード重視の戦いを得意としつつも、多様な戦い方が出来るように。
戦いのレベルだけならお坊ちゃんに負けない。彼も提出データを見ていればわかるはずだ。
そして入ってきた他の異形の者達に頭を下げる。
「俺もそいつも礼儀がなってなくて悪い、特にお坊ちゃんが言ったことは忘れてほしいくらいだ、ただ…」
入ってきた、植物のような異形の者は随分陽気なようだ。
呑気にも思えるが、単にお互いの認識の違いの物なのだ…と思いたい。
逆に爬虫類のような姿の者は力強そうな上、手にしていた肉塊からして攻撃的なタイプと想像できる。
もし敵対心を見せれば、今の自分達もあの肉と同じ形になるだろう。
「家畜になりたいってのはやめた方がいい、任務は捕獲って言われてるけどさ。
報告をごまかして、血や細胞をもらうくらいで済ましても大丈夫だろーし。
培養して遺伝子調査すりゃOKOK…お坊ちゃんは黙らせちまえばいいいんだしな。
後そっちの…ねーちゃんは豪快だな、手合わせしたら楽しそうだ。
んで…奥さん美人だなあおい、よく口説きおとしたもんだ」

相手の力量を見極めるのも実力の内…勿論ジジールはとても強い、あの爬虫類タイプのビオルとやらも恐ろしいパワーを持っている。
それでもアスカは微笑みを浮かべるだけの、気持ちの余裕がある。
…そう簡単に負けるつもりなんて、ない。
そんな中でのマンドラゴラとやらをとる話、しかも何か危険がついてくる様子だ。
願ったり叶ったり、バイタルも安定してきた今、働かないでどうするというのだ。
「さーてお坊ちゃんよ、護衛までつけてもらっての雑用だぜ?
弱っちい奴だと思われたくねーなら行くべきじゃねえの?
『護衛がいらないくらい強い』ってなりゃ流れ者よりはランクアップするかも知れないぜ」
けしかけはしたものの、地上のものを食べたくないと言い出しそうだ。
まあ、最初からポットの食料品は全部渡してしまうつもりだったので、最悪そっちで説得しよう。
それでもダメなら?本気を出さずに作って出した、戦闘データ以上の力で説得してやろうじゃあないか。

163 :フォール=アークランド ◆otKThO.grA :2015/05/02(土) 23:37:25.72 0.net
>「亜人、穢れ、家畜ねえ…馬鹿かてめえ?
>冗談にしても、助けてくれた恩人にいう言葉とは思えねえ。
>大体俺の戦闘データ見てんなら、そういう事を言わねえ方がいいことぐらいわかるだろーが」

「……? 何を荒ぶっているのだね、アスカ君。恩人も何も、其れらは『人』ではないではないか。
 家畜と同じ資源だ。人間が利用して初めて価値が生まれる物に、何を遠慮する事がある」

余りに差別的なフォールの言葉に憤るアスカ。
だが、フォールは悪びれる事無く……いや、何が悪いのかも理解する事なく嘲りの多分に混じった言葉を吐き続ける。

>「わははははっ! 面白いな君ら、アスカにフォールと言ったか。決めた、金剛石は君らを歓迎しよう!」

「ふん、亜人の分際で歓迎だと?貴様達如きのの……お、おい!何をするのだ!やめろ私に触るな!粘液が付くではないか!?」

下卑たフォールの発言。だがしかし、ジジールという男はその馬鹿げた言葉の数々を笑って受け止めた。
そしてあまつさえ床に転がるフォールを見かねたのか、その手で支え、立たせて見せたのである。
この時点で『人』としての器の大きさの違いが知れる光景ではあるが、
しかしフォールはそれに気づく事も無く(配慮されているというのに)粘液が付く付かないを気にする有様であった。

>「ズバリ任務とはオイラ達を楽園へと導くことだろう!」
>「ジジールの旦那、例の連中が目覚めたのかい?」

と、そんな会話の最中に飛び込んできた声が二つ。
半強制的に薄汚れたベッドの上に戻されたフォールが視線を向けてみれば、そこには

「やれやれ、また亜人が増えたのかね。トカゲが一匹と……木?」

巨大な爬虫類型の異形と、木と人間を融合させた様な異形。
二人の異形がジジールの家のドアの前に立っていた。
始めフォールはねめつける様な見下す視線をその二人に向けていたが、爬虫類型の亜人……声色や口調から恐らく女だと
推測できる彼女が持ってきた『物』を見て、思わずギョッとしてしまった。
グロテスクに切り刻まれた血の滴る肉塊は、天空に暮らす彼にとって余りに見慣れないものであったからだろう。
だが、立ち直りが早いのかそれとも見なかった事にする事で精神の安寧を図ったのか、
口元を皮肉げに歪めると

「ふむ。トカゲの方は知性が感じられんが、木の方は亜人にしてはマシな思想ではないか。
 いいだろう。アークランド家の名に掛けて、三食餌と昼寝にケーキと紅茶付きの高待遇で飼ってやろう。
 ……む。アスカ君、何度も言うが人間が亜人に遠慮などするものではないよ。そんな事を続けていては品位が下がってしまう」

のうのうとそんな台詞を吐いて見せた。
木……トキワの発言に対しての反応はともかくとして
この地にやって来ている以上、フォールとて武芸にかんして相応の成績を修めている筈であるのに、
ビオルの戦力に対して警戒の色を全く見せていないのは、自身家なのか、或いは馬鹿なのか。

164 :フォール=アークランド ◆otKThO.grA :2015/05/02(土) 23:38:23.60 0.net
――その後、ジジールの妻である異形としては奇跡的な美しさを誇る蝶の羽を持つ女性の登場など色々あったのだが、
問題が起きたのは話題がマンドラゴラの収穫に移った時の事であった。

>「アスカは異存ないとして……フォールは不満そうだな? まぁ初対面の人間にこき使われるのは不愉快かもな」

「ははははは!こき使われる?私が!君らにかね!?……ふざけるのも大概にしたまえよ、亜人。
 家畜に使われる人間が何処にいるというのだね。生まれも育ちも、何もかもが穢れた人類の『モドキ』が、
 人間を顎で使おうなどと片腹痛い!」

ジジールの威圧感を伴った発言。常人であれば黙って首を振ってしまいそうなその言葉に、
人類至上主義者であるフォールは、当然の如く激怒した。
バイタルが安定し出している事もあり、その右腕……軍事用の義手に力を込めようとし

>「さーてお坊ちゃんよ、護衛までつけてもらっての雑用だぜ?
>弱っちい奴だと思われたくねーなら行くべきじゃねえの?
>『護衛がいらないくらい強い』ってなりゃ流れ者よりはランクアップするかも知れないぜ」

絶妙なタイミングでかけられたアスカの言葉に、その動きを止めた。

(……。私とした事がつい激昂してしまった。ここで戦闘をしても、人類に益は無いというのに。
 大切な事は、サンプルの入手だ。それを願うなら……ここは言う事を聞いて、信用させた所で『収穫』した方が効果的だろうね)

動きを止めたのは、単純に打算が働いたからである。
フォールは人類至上主義者だが、その分人類に対する情は深い。
人類の為に己のプライドを何とか押しこめ、上げかけた腰を下ろすと大きく息を吐いてから口を開く。

「……アスカ君がそうしたいのであれば、仕方がない。私も付き合おうではないか。
 ただ、私はこの土地の穢れた食べ物を摂る気は毛頭無いし、アスカ君も出来れば止めておいた方がいい。
 今、普通に呼吸をしているので忘れているのかもしれないが、この土地の土も、水も、大気も、我々にとっては毒なのだからね」

165 :【異形邂逅記】トキワ ◆sEzRcyqWAM :2015/05/03(日) 23:35:43.68 0.net
>「なんだお前、天空人信仰なんてもの、本気で信じていたのか? まぁこの二人は本物の天空人みたいだが」 

「マジでマジかよ! 第一次接近遭遇ってやつ!?」

本気というか半信半疑だったのだが目の前に現れてしまったものは仕方がない。
折角なぼで二人をまじまじと観察してみた。
伝承のとおりなかなかに整った美しい姿をしている。

> 「家畜になりたいってのはやめた方がいい、任務は捕獲って言われてるけどさ。 
報告をごまかして、血や細胞をもらうくらいで済ましても大丈夫だろーし」 

> 「ふむ。トカゲの方は知性が感じられんが、木の方は亜人にしてはマシな思想ではないか。 
 いいだろう。アークランド家の名に掛けて、三食餌と昼寝にケーキと紅茶付きの高待遇で飼ってやろう。」 

「むむむ……」

トキワはどちらを信じていいのか謀りかねていた。
三食昼寝の上におやつまで付くとは本当ならかなりの好待遇。
しかし楽園だと思って行ってみたら実は騙されていて
劣悪条件で強制労働やらひどい場合は殺されるというのはよくどこかで聞いたような話しだ。
そして、どちらにせよ今すぐには帰れない状態らしいしおいおい見極めればいいか、という結論に至った。

> 「ああ、そうだった。トキワとビオルにはちょいと頼みがあるんだ。この天空人二人をマンドラゴラ畑に連れて行って欲しい」 

そこで丁度よく言い渡されたのが、食材調達のお使いである。
天空人とのファーストコンタクトにしては随分地味というか日常的な任務だがまあ世の中そんなものだ。

> 「ビオル、これは用心棒としての仕事さ。それにトキワはマンドラゴラの扱いには慣れているだろう?」 

任せとけ、とばかりに捕縛用の縄を受け取る。

>「……アスカ君がそうしたいのであれば、仕方がない。私も付き合おうではないか。 
 ただ、私はこの土地の穢れた食べ物を摂る気は毛頭無いし、アスカ君も出来れば止めておいた方がいい。 
 今、普通に呼吸をしているので忘れているのかもしれないが、この土地の土も、水も、大気も、我々にとっては毒なのだからね」

一時はどうなることかと思ったが、なんとか行く方向でまとまったようだ。
さっきから汚れ汚汚れ連呼しているが、言葉のあやではなくて、本当にそうなのだろうか。
そう言われてみれば、二人ともマスクのような物を付けている。

「だいじょーうぶ、野菜を収穫するようなもんだ。
食べないにしてもお土産に持って帰るといいよ。
要は君達の任務って地上生物を連れ帰ればいいんでしょ?」

問題は連れ帰ってどうするかだ。
強制労働か標本展示用か実験用か…。とりあえず食用の線は消えた。
二人が一枚岩ではないことも推理を難しくしている。
が、そんなことよりも差し迫った問題があった。
クンツァイトに出くわしたらまずいということだ。
ビオルが護衛についているから大丈夫、と思いきや別の意味でまずいのだ。
彼女の任務は護衛だが、攻撃は最大の防御とばかりに相手が肉の塊と化すだろう。
ビオル登場時のフォールの反応を鑑みるに
肉塊でドン引きなら、その製造現場を見たらどうなるか分かったもんではない。
もはや敵対勢力に遭遇しないことを祈るしかないのであった。

166 :【異形邂逅記】ビオル ◆YMFFq7EZes :2015/05/04(月) 08:37:40.55 0.net
<「なんだいビオル、このずたずたの肉は。お前さん、相変わらず肉を捌くのが下手だね」
「必要以上に壊しちまうのは性分なんだよ
カミさん、悪いけどそれで調理しておくれよ」

普段のビオルの雰囲気にはてんで似合わぬ罰の悪そうな態度でそう言った
残忍無比な彼女と言えど、どうもこのジジールの妻には頭が上がらないらしい
危険人物ではあるが、決して誰彼構わず牙を剥く狂犬というわけではない
所属する勢力には忠実に従い、雇われ者としての筋は通す主義である
もっとも、それも合理的に己の欲望を満たすための処世術の一つに過ぎないのだが…

<「ああ、そうだった。トキワとビオルにはちょいと頼みがあるんだ。この天空人二人をマンドラゴラ畑に連れて行って欲しい」
<「ビオル、これは用心棒としての仕事さ。それにトキワはマンドラゴラの扱いには慣れているだろう?」
<「最近はクンツァイトの密猟者も多い。十分注意するんだぞ」
「何さ旦那、腹ごしらえから戻ったばっかだってのに、もう早速仕事かい?」

格好だけは気だるそうにしていたが、顔には笑みを浮かべている
護衛だろうが何だろうが戦える…ビオルはこういう依頼を待ちに待っていたのだ

「クンツァイトの連中は野蛮なんだろ?
護衛だって言っても、いざ襲われちゃ手加減はしない方がいいねえ…」

彼女の人となりを知る者であれば、「どの口が言うのか」と思われても仕方が無い発言である

「トキワの兄(あに)さん、戦闘の方はアタシに任せておけばいいさ
一匹たりとも生かして返さなきゃ、もう戻って来ることも無い分一石二鳥ってもんだからね
ヒッヒッヒッ…」

どうやらますますテンションが上がってきたのだろう
トキワの不安通り、「専守防衛」を行う気満々なのは最早推し量るまでもなく明らかである
目を光らせ、爪先に残った血痕を蛇舌で舐め取っている
ここまで彼女の脳内は「これから戦える」という嬉しさに溢れ返っていた

167 :【異形邂逅記】ビオル ◆YMFFq7EZes :2015/05/04(月) 09:11:48.74 0.net
「だがまあ、その前に…アタシもそろそろ一言言わせてもらおうか」

しかし、何を思ったのか急に表情を変えてアスカとフォールの方へと近付いていく
見上げるような巨体…ジジールとは異なり、その威圧感は常に剥き出しで隠されていない
冷酷極まりない視線を二人、特にフォールに執拗に向けていた

「ハムサンドか何か知らないけど、旦那とその相棒に感謝しておくんだね
アタシが寛容でいられるのはあくまで『味方』だけさね
最初に出会ったのがアタシなら、今頃その首飛ばしてたところだよ
ここは弱肉強食が掟でね、アンタが居た天空とやらの温室とはまるで世界が違うのさ
アンタの言う家畜の腹の中に収まりたくなきゃ、少しはお行儀よくすることだね」

先ほど肉塊を見せ付けて冗談めかしにしていた雰囲気は微塵も見られない
ただ威圧感を向けただけのジジールとは違い、完全に脅しにきているも同然の態度である
興味が無さそうに振舞ってはいたが、会話は聞き逃していなかったのだ
言葉自体はフォールに向けたものだが、その真意と態度は同時にアスカにも向けられているものだ

『アタシはおまえたちを信用したわけじゃない…』そう警告する意味も込められている

「さあて、さっさと済ませて帰らないとねえ
カミさんの美味い料理が冷めちまったら大損もいいとこだよ」

言い終わると今度は先ほどまでと同様の雰囲気に戻っている
そして、二人の返答を待たずして準備を整えるべく店の外へと向かっていった

168 :【異形邂逅記】 ◆74/mbMVFDE :2015/05/04(月) 21:26:46.37 0.net
>「家畜になりたいってのはやめた方がいい、任務は捕獲って言われてるけどさ。
>報告をごまかして、血や細胞をもらうくらいで済ましても大丈夫だろーし。
>培養して遺伝子調査すりゃOKOK…お坊ちゃんは黙らせちまえばいいいんだしな。
>後そっちの…ねーちゃんは豪快だな、手合わせしたら楽しそうだ。
>んで…奥さん美人だなあおい、よく口説きおとしたもんだ」

「捕獲、ねぇ。それがあんた達天空人の目的なのかい? 俺は少なくとも天空なんて行きたくはないな、はっはっは!
あとこの辺の住民に手を出されると俺の沽券に関わる。捕まえるならよその地区のやつらにしてくれよな。
細胞採取くらいなら痛くも痒くもないし、対価次第じゃ俺から皆に言って協力させてやっても良いぞ。
あとこの嫁さんはなぁ、落とすのにずいぶん苦労したんだぜ! ふふん、自慢のかかぁだ」

アスカの発言を受けてそう笑ってみせる。協力は惜しまない、対価は頂くが……と言ったところか。
ところでジジールは、アスカやフォールの強さを測りかねていた。
そこそこ動けるようだが、見た目は貧相である。しかし強者特有の余裕が感じられた。
天空人特有の武器でもあるのか、それとも着ているスーツに秘密でもあるのか。正直彼には分からない。
いざと言う時は異形の中でも屈指の豪腕を用いて排除するつもりでいる。
気に入ってはいるのだが、仲間として受け入れた訳ではまだないのであった。

ジジールがフォールの発言に気にしないのは、いくつかの理由がある。
ひとつは彼自身があんまり他人の態度を気にしない豪胆な性格であること。
そして、異形達の中でも選民思想を持つものは結構いるという訳でもあった。
無数の種族が混在するため民族という括りはないが、弱肉強食を掲げるグループは多い。
この荒れ果てた土地では弱いものは本当に「食い物」にされてしまう。
己の身ひとつでこの地に根付き、生きていくのは並大抵の苦労ではないのだから。

>「……アスカ君がそうしたいのであれば、仕方がない。私も付き合おうではないか。
> ただ、私はこの土地の穢れた食べ物を摂る気は毛頭無いし、アスカ君も出来れば止めておいた方がいい。
> 今、普通に呼吸をしているので忘れているのかもしれないが、この土地の土も、水も、大気も、我々にとっては毒なのだからね」

「そういえば天空人には地上は毒かも知れないな。俺達だって霧の日は外を出歩けないんだ。
あんた達も霧の日は気をつけな。毒の雲が降りてくると、大抵いつも死人が出るんだ。
あんな乗り物に乗ってきたのなら、食い物くらい積んでるんだろ? うちの飯にこだわらなくても良いぜ」

天空人は地上の穢れを嫌って天に逃げ出した、という伝承は有名な話だ。
天空人の信奉者でなくても、そのくらいの知識は常識であったりする。
それに信奉者達は頼んでもいないのに聖書を置いて行ったりするのだから、広まるのも当然である。

>「だがまあ、その前に…アタシもそろそろ一言言わせてもらおうか」

思いの他早く、ビオルはフォールへと突っかかっていた。ジジールはそれを静かに見守る。
ここでは喧嘩も殺しも日常茶飯事だ。そしてそれらは法律のないこの地において罪ではない。
ジジールも概ねの争いごとに関しては目をつぶる事にしている。介入したところで火種が燃えるだけだ。
争いが消火されるのに最も手っ取り早い方法は、両者のうちどちらかが倒れる事である。
喧嘩など好き放題にさせてやるのが、ここでのルールになっていた。

169 :【異形邂逅記】 ◆74/mbMVFDE :2015/05/04(月) 21:27:22.15 0.net
「じゃあマンドラゴラの収穫は任せたぜ。気をつけて行って来るんだな」

そう言ってジジールは、腰のポーチから工具を取り出した。
待っている間に趣味であるガラクタいじりに興じようというつもりだ。
豪胆で豪腕なジジールであるが、手先は案外器用である。ただし料理は作れない。
運が良ければよく分からなくても動く道具が作れたりする。これがまた高値で売れるのだ。
高値といっても、地上には国家もなければ通貨もないので、あくまで物々交換になる。
彼お気に入りの棍棒は、そうした機械類を売ることで作らせた特注品なのだ。

さて、マンドラゴラの畑……というか自生地はジジール宅からほんの10分少々の所にある。
すでに夕闇が本当の闇に代わろうという時刻、視界はあまり良好ではない。
そんな中を畑に近付いたところで、彼らは大音量の絶叫を耳にする事だろう。
その悲鳴は強制的に止み、代わりに声をひそめた怒鳴り声が聞こえるはずだ。

「おい! 静かに収穫しろと言っただろ! ここはあの金剛石の領地だってことを忘れたんじゃねーだろうな?」

そう怒鳴り散らすのは小さな耳にとがった鼻、そして口元からはみ出す特徴的な前歯から、ネズミ系であることが窺えた。
体格としては小さいほうで、その代わり見るからにすばしっこそうだ。
その怒鳴り声を受け、ネズミ男より二回り程大きい体を萎縮させているのは、ぎょろりとした目と巨大な口を持つカエル男だった。

「すんません兄貴! おら、あまり手先が器用な種族ではないもんでして」

「そんなもの努力でどうにかしやがれってんだ! ほら、てめぇのせいでマンドラゴラを一匹殺しちまったじゃねーか」

「ならそれはおらが食いますんで。あーん」

「やめろボケ! この場で食う馬鹿がいるかってんだよ! そんな調子だと分け前を出さねーからな?」

「へ、へいすんません兄貴! ……む、血の匂いがするでがす」

その匂いはビオルの体から発せられるものだった。まだ新しい返り血のせいだろう。
これほど両者が接近していると、敵も逃げる余裕はない。
彼らはマンドラゴラをその場に投げ捨てると、速やかに戦闘体制をとった。

「金剛石の連中か? 出て来い、俺様が血祭りにあげてやるぜ」

「兄貴、食ってもいい? 食ってもいいのでがす?」

ネズミ男は鋭い牙と爪、そして素早い足を持つ厄介な相手だ。
鈍重そうに見えるカエル男も、何をしてくるか分からない威圧感がある。
挑むのであれば、十分な注意が必要となるだろう。

170 :【異形邂逅記】アスカ ◆tRb3C.SB/A :2015/05/04(月) 22:21:31.62 O.net
>「いいだろう。アークランド家の名に掛けて、三食餌と昼寝にケーキと紅茶付きの高待遇で飼ってやろう。」

フォールの台詞に、アスカは驚かされた。
餌と言ってはいるが、相手の条件を呑むとは意外だ。
この男が名をかけてまで言うのだから本気なのだろう、人類の為なら結構色々するのかもしれない。
…そう言う意味なら悪い人間ではない、むしろアスカが異端児なのだから。
もし自分の小さな頃に、親が死ななかったら、ああいう考えをしていたのかもしれない。
天上の人間として、普通に近いのはフォールの方なのだから…
と考えて苦笑する。
(そんなの、今更か)
そしてその後のフォールの言葉に、更に複雑な心境になる。

>「……アスカ君がそうしたいのであれば、仕方がない。私も付き合おうではないか。
 ただ、私はこの土地の穢れた食べ物を摂る気は毛頭無いし、アスカ君も出来れば止めておいた方がいい。
 今、普通に呼吸をしているので忘れているのかもしれないが、この土地の土も、水も、大気も、我々にとっては毒なのだからね」

「付き合ってくれんのはありがたいけど、俺は地上の物を食べるぜ。
その分、ポットの飲食物は全部お坊ちゃんが使ってくれ。
本当に全てが毒なら、今回のミッション自体意味が薄くなるんだし…
どうせお偉いさんからしたら、俺は使い捨てだろうから」
地上の飲食物が完全に毒だとしたら、同じ環境にある生物全てが毒を持つだろう。
そんな遺伝子から、人類の求める情報が手に入るとは思い難い。
どれだけピンポイントに分析しても、毒質を排除しきれはしないだろう。
それが出来るなら、地上の汚染をどうにか出来るはずなのだから。
なら、地上に住む人達が毒のない、もしくは弱いものを食用にしている可能性に賭ける。
…結果的に異端児が死のうが、フォールは上へ帰る操縦、修理技能があるのだから。
自分には、戦闘力位しかないようなもの。
天上では一般的なレベルの教養があるぐらいなだけだ。

「…でマンドラゴラってのは…」
>「だいじょーうぶ、野菜を収穫するようなもんだ。
食べないにしてもお土産に持って帰るといいよ。
要は君達の任務って地上生物を連れ帰ればいいんでしょ?」

「ああ、確かに土産にも………え?マンドラゴラって植物じゃなくて生物なのか?
な、なら動くのか?調理しづらそうだな…」
普段は天涯孤独の微妙な独り暮らし。
天上での主食である完全栄養食だけだとつまらない、とたまに料理をするが…
動く野菜は流石になかった。
興味深いマンドラゴラ、是非とも味を確認せねば。
…勿体ないので、一発で死なないことを祈ろう。

171 :【異形邂逅記】アスカ ◆tRb3C.SB/A :2015/05/04(月) 22:38:33.47 O.net
>「ここは弱肉強食が掟でね、アンタが居た天空とやらの温室とはまるで世界が違うのさ
アンタの言う家畜の腹の中に収まりたくなきゃ、少しはお行儀よくすることだね」

「…ま、そりゃそうだよなあ…お坊ちゃんもさ、郷に入らば郷に従えって言うだろ?
にしてもビオルの言う通りなら…戦闘していいんだな?
よっしゃ!地上での鍛練に悩まなくてすんだ!」
脅しなんてされて当然。
信用を得るのに時間がかかるのは更に当然。
今は目下に待ち受ける、戦いを楽しみにするとしよう。
食事によっては、これが最後になるかもしれないのだし。

>「そういえば天空人には地上は毒かも知れないな。俺達だって霧の日は外を出歩けないんだ。
あんた達も霧の日は気をつけな。毒の雲が降りてくると、大抵いつも死人が出るんだ。
あんな乗り物に乗ってきたのなら、食い物くらい積んでるんだろ? うちの飯にこだわらなくても良いぜ」

「霧、雲…そっか、ありがとな。外にいるときに注意する。
でも食事は楽しみなんだ、是非いただきたいとこだな」
地上に住んでいても危険な毒、きっと天上から来た体には耐えられない。
それだけは気を付けねば。

トキワの案内のもと歩いた先には、何かの気配がした。
ありがたい、早速サンプルが採集できそうだ。
…何より戦えそうだ、そう思っただけで黒い笑みが浮かぶ。
異形に偏見はなくとも、敵となれば話は別。楽しませてもらおうじゃあないか。

>「おい! 静かに収穫しろと言っただろ! ここはあの金剛石の領地だってことを忘れたんじゃねーだろうな?」

感覚に間違いはなく、何かの声が辺りに響く。
それにしても『あの』なんてつけられるコミュニティ、金剛石は有名なようだ。
…だが今は置いておこう。

>「金剛石の連中か? 出て来い、俺様が血祭りにあげてやるぜ」
>「兄貴、食ってもいい? 食ってもいいのでがす?」

ネズミ風味にカエル風味、法律もなにもないだろう場所での敵対。
アスカは嬉々として腰ベルトからナイフのようなものを引き抜く。
そしてそれは一瞬で長剣へ姿を変え、不思議な技術に全員が驚いた瞬間には…
アスカは既に、ネズミ男の後ろにいた。
更に一秒、血飛沫が上がる。
誰にもわからないスピードで、駆け抜けざまに首をはねたのだと、ここにきて理解する者もいるだろう。

「肩慣らしはこんなもんか、弱肉強食、俺には向いてるかもな」

アスカはより禍々しいオーラで、辺りを見渡すのであった。

172 :【異形邂逅記】フォール=アークランド ◆otKThO.grA :2015/05/06(水) 22:53:05.00 0.net
>「付き合ってくれんのはありがたいけど、俺は地上の物を食べるぜ。
>その分、ポットの飲食物は全部お坊ちゃんが使ってくれ。
>本当に全てが毒なら、今回のミッション自体意味が薄くなるんだし…
>どうせお偉いさんからしたら、俺は使い捨てだろうから」

フォールのアドバイスに対するアスカの返事は、素直で……それでいて多分の自虐が混ざっていた。
それを聞いたフォールは、その端正な容貌の眉を顰める。
フォールはアスカの過去を知らない。それ故、心に届く様な言葉はかけられない。
だが、何とはなくではあるが天上における彼の立ち位置を察する事くらいは出来る。

「……。君がどうしてもそうしたいなら止めないが、せめて機材で汚染度合いの確認はしたまえよ。
 人の命は君が思っている程軽くない。高貴な私が言うのだから、それは確実だよ」

それ故に、無理矢理にでも言葉をかける。慰めにならずとも、力になれずとも、己の無力を噛みしめながら言葉をかける。
それは、フォールは人類想いな人間であるからだ。

>「だいじょーうぶ、野菜を収穫するようなもんだ。
>食べないにしてもお土産に持って帰るといいよ。
>要は君達の任務って地上生物を連れ帰ればいいんでしょ?」

「む……いや、それではダメなのだよ。参考にはなるが目的は果たせない。
 植物のゲノムは模倣と量産には優れているのだが、動物のゲノムの様に機能の複雑化が出来ないからね。
 故に、原則的に我々が持ち帰るのは亜人のサンプルでなくてはならないのだよ」

アスカの言葉を聞いたフォールは、トキワの提案に気のない様子で返答を返す。
眼前のトキワが、まさに今話した動物と植物の遺伝子の融合例の様な姿をしているというのに無反応な辺り、
心ここに非ずといった具合の反射的な返事だったのであろう。

>「ハムサンドか何か知らないけど、旦那とその相棒に感謝しておくんだね
>アタシが寛容でいられるのはあくまで『味方』だけさね

「……っ!? ふ、ふん!想像通り野蛮だな。暴力で支配など何千年前の概念を持ち出しているのやら。
 そもそも、徒手空拳なら人類に勝てると考えているであろう所が獣臭い。これだから亜人は!」

そんなフォールに、質量さえ感じられそうな威圧感と共に言葉を投げつけるのは、爬虫類型の異形であるビオル。
彼女からぶつけられた直球の威圧に思わず気圧され、声を上ずらせるフォール。
そのやりとりから、フォールという男が命のやりとりに慣れていない事が見て取れる。
……だが同時に、その身体は反射的に戦闘の構えを取っており『戦闘慣れ』もしている事が判る。
それは、生粋の武人が見た場合ちぐはぐさに首を傾げるであろう反応であった。

>「そういえば天空人には地上は毒かも知れないな。俺達だって霧の日は外を出歩けないんだ。
>あんた達も霧の日は気をつけな。毒の雲が降りてくると、大抵いつも死人が出るんだ。
>あんな乗り物に乗ってきたのなら、食い物くらい積んでるんだろ? うちの飯にこだわらなくても良いぜ」
>「じゃあマンドラゴラの収穫は任せたぜ。気をつけて行って来るんだな」

「何度も言うが、言われなくても貴様らの食事など食わん!
 ……しかし、亜人さえ死ぬとなれば、スーツの除染許容量を超えているではないか。どれだけ壊滅的なのだね、地上は」

結局。そのやりとりを気に留める事無く放たれたジジールの言葉により、何とか言い争いは本物の争いに発展せずに済んだが、
同時に告げられた異形でさえ死に至る空気汚染の情報にフォールを聞いて、フォールは冷や汗を流す事となった。

――――そうしたやり取りを経て、いよいよマンドラゴラの収穫任務は始まったのである

173 :【異形邂逅記】フォール=アークランド ◆otKThO.grA :2015/05/06(水) 22:53:49.74 0.net
マンドラゴラ畑はジジールの自宅から10分程歩いた位置に存在していた。
道中、ぬかるむ土や飛びかう虫にぶつぶつと文句を吐いていたフォールであったが、
畑……というよりは群生する野草に近い、天空ではお目に掛かれないその光景を見て暫し息をのむ。
それは、網膜に飛び込んできた決して美しくない原始的な光景に、遺伝子が遠い過去を夢見て懐かしんだからだろう。

だが、そんな感嘆も長くは続かない。
響く絶叫と、轟く怒鳴り声。

>「金剛石の連中か? 出て来い、俺様が血祭りにあげてやるぜ」
>「兄貴、食ってもいい? 食ってもいいのでがす?」

どうやら……というよりは、やはり。畑には先客がいた。
鼠を思わせる容姿と、蛙を思わせる容姿。人語を語る所から獣ではない……異形である。
話から察するに、二人ともがジジールと敵対する集団の者らしい。

「今度は鼠に蛙かね。知能も品性も感じ取れない上に――――生臭くて敵わないね」

敵意を見せる二人の亜人に、挑発で返すフォール。
相手の判断能力を鈍らせるのが目的であるが、異形に楽な相手と見られた事への苛立ちも過分に交じっている。

「ふん。一応警告はするが、投降して服従するのであれば命までは取らない――」

そして、構えを取り警告の言葉を投げかけようとした、その瞬間であった。
鼠の異形の首元から、鮮血が舞った。
頭部と胴は別れを告げ、迸る……と表現出来る程の大量の血液は、確実にその命を刈り取ったのであろうと判断出来る。

>「肩慣らしはこんなもんか、弱肉強食、俺には向いてるかもな」

その殺戮の実行者は、アスカ。異形のトキワでもビオルでもない。人間であるアスカの行為であった。
高い能力を持つフォールでさえ「かろうじ」でしか目で追えない殺戮を成し遂げたアスカは、禍々しい気配を纏い、
軽々しい言葉を吐いて見せた。

「あ、アスカ君。君は……」

躊躇いなく行われた殺戮に、思わず唖然とし、足を止めるフォール。
それは、先ほどまでの異形に肩入れする姿とあまりにかけ離れていたが故。
異形を見下す自身であろうと取らない行為を揚々と行った事への困惑。
だが、いつまでも呆けている訳にもいかない。左右に頭を振ると、フォールはトキワとビオルに対して語りかける。

「……木と蜥蜴の亜人、あの蛙の亜人は無力化して捕獲したいのでね。協力して貰うよ。
 貴様たちも敵の情報は入手しておきたいだろう?それとも、情報が武器になる事も知らない程に未開かね、ここは」

聞く人によれば甘さであると言いそうなその偉そうな命令は、理性が8割に感情が2割。
情報とサンプルの入手がしたいのは本当だが、今、これ以上アスカに殺戮を行わせまいという気持ちも、フォールにはあった。

「手足の1、2本であれば今舟に有る救命具で、どうとでもなる。
 一瞬でも身動き出来ない様にしてくれれば、あとは私が『身動き出来ない』ようにする。その後に尋問にかけようではないか」

フォールが右掌を開閉すると、軍事用の義手であるそれはバチバチと音を鳴らした。
……余談であるが、フォールはこの時点で異形である二人が自身の指示に逆らうとは微塵も思っていない。
その辺り、やはり高慢なのだろう。二人がフォールのいう事を聞く義理も義務も無いというのに

174 :【異形邂逅記】トキワ ◆sEzRcyqWAM :2015/05/07(木) 20:35:49.72 0.net
>「む……いや、それではダメなのだよ。参考にはなるが目的は果たせない。
 植物のゲノムは模倣と量産には優れているのだが、動物のゲノムの様に機能の複雑化が出来ないからね。
 故に、原則的に我々が持ち帰るのは亜人のサンプルでなくてはならないのだよ」

「なるほど……野菜もどきじゃああんまり役に立たないってことだね」

詳しいことはよく分からなかったが、要するにほぼ植物に近いものよりは動物っぽい物の方がいいという事は分かった。
同じ植物型異形といえどマンドラゴラは叫ぶ大根程度の認識だ。

>「トキワの兄(あに)さん、戦闘の方はアタシに任せておけばいいさ
一匹たりとも生かして返さなきゃ、もう戻って来ることも無い分一石二鳥ってもんだからね
ヒッヒッヒッ…」

「お、おう。頼りにしてるぞ…」

思った通りやる気、というより殺る気に満ち溢れているビオル。
任せるも何も、余程の強敵が出てこない限りはトキワが出る幕もなく終わることだろう。

>「じゃあマンドラゴラの収穫は任せたぜ。気をつけて行って来るんだな」

「気を付けるよ……色んな意味で」

手に持った木の枝(のように見える)を振りながらマンドラゴラ畑への道案内。
冒険ごっこをする子どものようなもので大した意味はないのだが、主にクモの巣を払ったりするのに使われる。
畑に近づくか近付かないかのところで早速響き渡るマンドラゴラの絶叫。
見れば、典型的な間抜けな侵入者といった体のネズミ男とカエル男が漫才を繰り広げている。

「あのさ……あいつら帰るまで待たない?」

駄目元で平和主義者的な提案をするトキワ。
どうせあの調子じゃあ碌に収穫も出来ずにすぐに撤退するだろう、という事も見越してのことである。
好戦的な者が多い異形の中で、彼がそうでもないのは
生態系ピラミッドの最下層に位置し、捕食せずに自ら養分を作り出す植物の性質故なのかもしれない。

175 :【異形邂逅記】トキワ ◆sEzRcyqWAM :2015/05/07(木) 20:41:11.84 0.net
>「金剛石の連中か? 出て来い、俺様が血祭りにあげてやるぜ」

>「兄貴、食ってもいい? 食ってもいいのでがす?」

「あっ、気付かれた。あのねえ、そういうのを盗人猛々しいって言うの。知ってる?」

>「今度は鼠に蛙かね。知能も品性も感じ取れない上に――――生臭くて敵わないね」

知能の品性も感じ取れない、のところにうんうんと頷いて同意する。

>「ふん。一応警告はするが、投降して服従するのであれば命までは取らない――」

「早く投降しないとばさーっとさばかれて肉の塊になっちゃうよ! マジでマジで!」

挑発と純粋な忠告の違いはあれど、言っている内容はほぼ同じである。
実はこの二人、案外気が合うのかもしれない。
そしてネズミ男の返答はというと……哀れネズミ男は投降するかどうか判断する間さえ与えられなかった。
血飛沫があがり、ネズミの頭が地面に転がる。

「ほげぇ!?」

一瞬ビオルの仕業かと思ったが、そうではない。
いくら彼女でもこんな超絶マジックのような芸当は出来ないはずだ。

>「肩慣らしはこんなもんか、弱肉強食、俺には向いてるかもな」

果たして――ネズミ男を一瞬にして屠ったのはアスカだった。
先ほど話している限りでは温厚な平和主義者に見えたが、今やその瞳は別人のように禍々しく輝いている。
彼もまた”温厚なのは味方に対してだけ――”異形も人類も関係なく敵には容赦しない性格なのかもしれない。

>「……木と蜥蜴の亜人、あの蛙の亜人は無力化して捕獲したいのでね。協力して貰うよ。
 貴様たちも敵の情報は入手しておきたいだろう?それとも、情報が武器になる事も知らない程に未開かね、ここは」

……知らないわけでも無いんだけど大抵の場合情報を聞き出す前に食用肉になってしまうのが地上の常である。
食肉製造よりも生け捕りの方が数段難しいのだ。でも相方の瞬殺にビビッている今なら……?
そんなわけで情報が得られるいい機会、提案に乗って損はないだろう。

>「手足の1、2本であれば今舟に有る救命具で、どうとでもなる。
 一瞬でも身動き出来ない様にしてくれれば、あとは私が『身動き出来ない』ようにする。その後に尋問にかけようではないか」

「ほいほい、りょーうかい」

ビオルは戦闘は任せておけと言ったが、一瞬でも身動きできないようにすればいいのなら自分が適任だ。
遠目に見ればセミショートの緑髪にも見える頭の蔦がざわり、とざわめく。
それが一瞬にして触手のように伸び、カエル男を簀巻きにするべく全方位から襲い掛かる。
カエル男の力によってはすぐに振りほどかれるかもしれないが、後は二人がどうとでもしてくれるだろう。

176 :【異形邂逅記】 ◆74/mbMVFDE :2015/05/14(木) 19:19:50.11 0.net
【一週間が経過しましたので、順番をひとつ飛ばします。以降は順に続けてください】

それは一瞬だった。閃光のように煌く刃、飛び散る血飛沫、ネズミ男の頭が転がる。
それはアスカの仕業であった。特殊な機構の剣を用いて、一瞬のうちに首をはねたのだ。
一同はただ、その殺戮を見守るほかなかった。止めることなど出来るはずもない。
何より驚くべきは、彼の放った殺気だろう。
温厚な性格に思われたアスカが、目の前の標的をただ敵として認識するだけで凶行に走らせたのだ。
彼にとって敵とはどのような存在であるか、それは彼以外に知るすべはない。
ただ、アスカの放つ殺気は一同を戦慄させるには十分であった。

ネズミ男の首が落ち、一瞬の静寂の後最初に反応したのはカエル男だった。

「あ、兄貴? そんな、兄貴をよくもぉぉぉおおおおっ!!」

激昂するカエル男。彼は周囲の様子など目もくれず、天に向かって叫んだ。
そして怒りのままに、アスカに向かい飛び掛ろうとする。
強靭な後ろ足のバネで飛び掛るその一瞬先に、カエル男を捕らえたのはトキワの蔦だった。

「なんだこれっ、放せっ!」

もがくほどにその蔦は体中に絡みつく。身動きの取れなくなったカエル男は、その場でじたばたする他なかった。
しかし、捕らえたと思った次の瞬間カエル男の取った行動は、とても意外なものだった。
口を大きく開け、大量の液体を吐き出したのだ。あたりにひどい臭いが立ち込める。
その液体は蔦にかかったと思うと、ジュウジュウと音を立てて蔦を溶かし始めたのだ。
そう、カエル男が放ったのは胃酸、強力な溶解液なのだ。それは彼にとっての奥の手、必勝の手段である。
みるみるうちに蔦を溶かし、引き千切ったカエル男は今度こそとアスカに飛びかかる!

「うぉぉぉおおおっ! ぐえっ!?」

……はずであったが、カエル男は地べたに叩き付けられ、突っ伏した。
そう、彼は足にまで蔦が及んでいた事に気付かなかったのだ。
怒りで目の前が見えなくなるとはこの事である。思いもしない転倒で、カエル男は目を回し意識を失った。
それはほんの一瞬ですぐに回復するであろうが、捕らえるには絶好の機会であった。

そんな戦闘?のいきさつを見守っていたアスカだったが、彼の身には別の脅威が降りかかろうとしていた。
誰も気付かないが、アスカの足元に落ちたネズミ男の首が動き出したのである。
ネズミ男の能力、それは牙や爪などではなく、偏に強靭な生命力であった。
カエル男の強力な溶解液すら致命傷にはならない生命力は、カエル男をして兄貴と呼ばせるに足るもの。
首を飛ばされたのは初めての経験であったが、それでもネズミ男は生きていた。
無論、脳へ血流の行き届かない状態が長く続けば彼も生きてはいられまい。
しかし、切断面を再び接合すれば数分で傷が癒えるほど、その生命力は凄まじいものであった。

「おのれぁ貴様、よくも俺の首をぉぉぉおおお!」

ネズミ男(頭)は怒りに震えていた。状況判断の的確さは彼の利点である。
そして、首を落とし始末したと思って油断しているアスカを狙う事にしたのだ。
首だけになって何が出来るか、と思うだろう。しかしネズミ男は、無茶とも言える行動を決した。
顎の力だけで跳躍し、アスカの首に食い付こうと画策したのだ。そして不可能とも思えるそれを決行する。

「死ねぇぇぇえええっ!」

狙いは寸分違わず、アスカの首元に向かって跳び付くネズミ男の生首。
大声をあげて注意を引いたのも彼の作戦。驚きで動きが鈍くなるであろうと判断したのだ。
実のところ、ネズミ男はあまり頭が良くはない。死体のふりをしてやり過ごすという選択肢は思い付かなかったりする。
それでも反撃に出ようと決意したのは彼にとっての最高の判断。決死の一撃である。
完全に油断をしていれば命はないであろうその一撃は、アスカへ届くのだろうか?

177 :アスカ ◆tRb3C.SB/A :2015/05/15(金) 15:50:54.06 O.net
命の重さなんて、アスカにはわからない。
天上で彼がいたのは暗殺組織、要人や貴族を護衛もろとも殺す仕事。
同僚なんて次の日には死んでいてもおかしくない、そんな生活だ。
人間の方が、嫌いだった。面白くないことなら、興味すらない。
それでもフォールは優しく?してくれたので守りたいとは思う。
その為に、ネズミ男に切りかかったのだが…

>「手足の1、2本であれば今舟に有る救命具で、どうとでもなる。
>一瞬でも身動き出来ない様にしてくれれば、あとは私が『身動き出来ない』ようにする。その後に尋問にかけようではないか」

>「ほいほい、りょーうかい」

「半分成功、半分失敗、だな…」
聞こえないであろう小さな呟き、それはこんな無茶苦茶の結果だ。
半分は、一撃で敵を仕留めることで、ある程度は人類も強いと思わせること。
もう半分はフォールの言葉通り、生け捕りにするのが一番だったということ。
今の内に人類の力を強い、もしくはそう錯覚させておけばフォールは安全になりやすい。
自分は、天上まで生きて帰れるかわからないから。
アスカのスーツによる毒素の分解レベル、地上の食事、双方帰れるまで無事ですむ状態ではなさそうなのだ。

178 :アスカ ◆tRb3C.SB/A :2015/05/15(金) 16:07:56.31 O.net
そんな事を考えながら、ぼんやり目の前の事態を見ていた。
フォールもトキワに協力を頼む(?)くらいの異文化交流は出来たらしい。
カエル男の怒りはイマイチ理解しきれないが、あれなら捕まえられるだろう。
手伝いも要らなそうだ、と剣をベルトにもどして眺めていたら…

>「おのれぁ貴様、よくも俺の首をぉぉぉおおお!」

「…へ?」

それは首から切り落としたネズミ男の声で、きょとんとしてしまう。
驚きと同時に警戒を高める、声が聞こえたのは、足元…?

>「死ねぇぇぇえええっ!」

「!っ…!こりゃすげえ…かなり痛いじゃねーか…」

とっさに出した左腕に、深々と食らいついた頭。
ネズミらしい歯は深々と食い込み、このままだと骨も危ない。
角度からして首を狙ったのだろう、先に叫ばれなければ死んでいた。
驚きはしたが、むしろ警戒するタイミングが出来たからだ。
お互い血がダラダラと流れるなか、アスカは笑っていた。

「お前凄い生命力だなあ、首くっつくかな?」

ただの好奇心、それが痛みを凌駕するわけがない。
しかし、彼は痛みに慣れすぎていた。
そのまま頭をネズミ男の体まで運び、くっつかせるように座ってみた。

「くっついたら、謝るだけですむかなー…」

ネズミ男にではなく、フォールにだ。
ああ、怪我をしたことも謝らないといけないのかもしれない。
そんな事を考えながら、ネズミ男の頭に拳を落とすのであった。
傷がえぐれるのなんてちっともきにしないで。

179 :【異形邂逅記】フォール=アークランド ◆otKThO.grA :2015/05/19(火) 01:23:09.56 0.net
>「あ、兄貴? そんな、兄貴をよくもぉぉぉおおおおっ!!」

フォールが二人に命令の様な事を行った直後。
真っ先に動き出したのは蛙の姿を模した様な異形であった。
激昂。近しき者を手に掛けられたという憤怒を糧として、彼(?)は咆哮と共に
その強靭な両足の筋に力を込め、跳躍を行おうとする。だが、

>「ほいほい、りょーうかい」

初動の段階でその動きは阻止される事となった。
見れば、蛙の異形の全身には植物の蔓の様な物が巻き付いており、
それが彼の身体の自由を奪っている事が見て取れる。

>「なんだこれっ、放せっ!」

蛙の異形が身悶えして拘束を解こうとするが、その蔓が外れる様子は無い。
鮮やか、と表記して憚る事のないトキワの手際にフォールは

「確かに足止めをする様に言ったが……どうなっているのだね、これは。
 亀の様に体内に収納している部分を押し出している訳ではない。
 しかし、単純に異常な成長速度を有する事となってしまうが、そんな成長をする植物など聞いた事が無い。
 これでは、もはや菌糸類ですら比較にならないではないか。そもそも動物であるならばテロメアが」

……混乱していた。
自分が手を出すまでも無く、完膚なきまでに蛙男が拘束された事で安心したのもあるだろうが、
どうにも、フォールにとってはトキワの髪の様な部分が伸びたのは衝撃的な事であったらしい。
ブツブツとその生態についての考察の様な何かを呟いている。

そんな弛緩した空気。油断の合間を突いて、蛙男は行動に出た。
奥の手であるのだろう、彼は口腔から酷く酸っぱい臭いの液体を吐き出し、
自身を拘束する蔦を溶解して見せたのだ。

>「うぉぉぉおおおっ! ぐえっ!?」

溶解して見せて……そこまでは良かったのだが、彼はそのまま足に絡みついていた蔦にバランスを崩し、転倒した。
怒りに我を忘れ視野狭窄を起こしていたのだろうが、少々滑稽が過ぎる有様であった。

何とも言えないその有様に、フォールも少しの間沈黙をしていたが、そのまま蛙の異形に近づくと
その首筋の部分に右手の人差し指を軽く当てる

「ふん。やはり脳の具合も亜人は亜人……と言いたい所ではあるが、
 今まで遭遇した範囲で見るとこの蛙は亜人の中でも相当に脳の出来が残念なのだろうね」

嘲笑と呆れと疲れが入り混じった不思議な表情を浮かべそう言うと、次の瞬間。
フォールの指から『バチリ』と、岩に力いっぱい石を叩き付けたかの様な音が響き、ほんの一瞬だけ空間が青白く染まった。
同時に、蛙の異形の身体がまるで不意に針で刺されでもしたかの様にビクリと跳ね上がる。
近くで見た者が居れば、その発光はフォールの指先が元として発生したものである事が理解出来た事だろう。

「……これで暫く目を覚まさないだろう。仮に起きても暫くは手足もまともに動かせないだろうね。
 植物の亜人、君は念の為この蛙に再度拘束をかけてくれたまえ。私はアスカ君の様子を見てこなくてはいけないからね」

そう言って何事も無かったかの様に腰を上げると、フォールはアスカの方へと振り向く。
先程までの様子を見て心配し、何か声を掛けようとしたのだろう。

180 :【異形邂逅記】フォール=アークランド ◆otKThO.grA :2015/05/19(火) 01:23:49.80 0.net
>「おのれぁ貴様、よくも俺の首をぉぉぉおおお!」

「な!?アスカ君っ!!」

そして、後悔した。己の迂闊さに。戦闘が終了したと思っていた、その慢心に。
―――そう。倒されたと思った鼠の異形は未だ生きており、アスカの左腕にその牙を突き立てていたのだ。

>「お前凄い生命力だなあ、首くっつくかな?」

特殊な訓練の成果か、或いはアスカの生い立ちにおける特異性故か。
己の腕を食いちぎらんとする鼠の異形に対し、アスカは悲鳴を上げる事すらなく……笑みすら浮かべていた。
傷口が広がる事など気にも留めず、断ち切られた胴体に切断面を押し付ける荒業すらやって見せ、
最終的に鼠の異形の頭に拳を叩き込む事で決着を付けて見せた。

「大丈夫かねアスカ君!?傷口は何処だ!直ぐに治療をしなければ!」

フォールは、そんなアスカに倒れ伏す鼠の亜人の鳩尾を踏みつけながら急いで駆け寄ると、
左腕の上部を先ほど溶かされ千切られたトキワの蔦で縛り、
その傷口に飲料用として持ってきていた水を掛け、傷口を洗い流す。

「全く!倒すためとはいえ、傷口を広げるなど無茶をするとは!
 ……植物の亜人、確かトキワとか言ったかね!殺菌用の薬か何かを持っていたら渡したまえ!
 地上の鼠の亜人の牙など、どんな未知の雑菌を有しているか判らない!
 そんな物に感染するくらいであれば、少々の汚染の方がまだマシだ!」

トキワに治療用の道具を要求するその姿は、真剣そのもので、フォールがどれだけ『人間』想いかを象徴するものであった。

181 :【異形邂逅記】トキワ ◆sEzRcyqWAM :2015/05/20(水) 21:16:00.35 0.net
>「確かに足止めをする様に言ったが……どうなっているのだね、これは。
 亀の様に体内に収納している部分を押し出している訳ではない。
 しかし、単純に異常な成長速度を有する事となってしまうが、そんな成長をする植物など聞いた事が無い。
 これでは、もはや菌糸類ですら比較にならないではないか。そもそも動物であるならばテロメアが」

「こんなのまだ大人しいほうさ。地上には目からビームやら人体自然発火する輩もいるべ」

地上は文字通り人外魔境。天上人から見ればトンデモ能力のオンパレードである。
カルチャーショックを受けるフォールに解説にならない解説をするトキワ。
戦闘中にもかかわらず何故呑気に会話しているのかというと……

>「うぉぉぉおおおっ! ぐえっ!?」

勝利が確定しているからであった。
フォールは落ち着き払って蛙男に近づくと、義手の機能を使って電気的な力で気絶させる。

「その腕すごいな!」

天上人が地上のトンデモ能力に驚愕するのと同じように、地上人にとっても天上の科学技術は驚くべきものなのだ。

>「……これで暫く目を覚まさないだろう。仮に起きても暫くは手足もまともに動かせないだろうね。
 植物の亜人、君は念の為この蛙に再度拘束をかけてくれたまえ。私はアスカ君の様子を見てこなくてはいけないからね」

何回か巻きつけて固結びにした状態で蔦を切り離し、簀巻きが一丁出来上がることと相成った。
これにて一件落着――と思いきや、とっくに倒されたと思われていたネズミ男の雄叫びで空気は一転する。

182 :【異形邂逅記】トキワ ◆sEzRcyqWAM :2015/05/20(水) 21:21:02.29 0.net
>「おのれぁ貴様、よくも俺の首をぉぉぉおおお!」

>「な!?アスカ君っ!!」

>「お前凄い生命力だなあ、首くっつくかな?」

「あわわわわ……」

首だけのネズミ男に腕を深々と噛まれているという凄惨な状況と、そんな状況にも関らず笑みを浮かべるアスカに狼狽える。
一体今までにどんな修羅場をくぐりぬけてきたのだ、嗚呼、天上とは平和な楽園ではなかったのか!?
そんなことを思っている間に、決着は付いていた。

>「大丈夫かねアスカ君!?傷口は何処だ!直ぐに治療をしなければ!」
>「全く!倒すためとはいえ、傷口を広げるなど無茶をするとは!
 ……植物の亜人、確かトキワとか言ったかね!殺菌用の薬か何かを持っていたら渡したまえ!
 地上の鼠の亜人の牙など、どんな未知の雑菌を有しているか判らない!
 そんな物に感染するくらいであれば、少々の汚染の方がまだマシだ!」

この二人、あまり仲が良くないように見えていたがこの狼狽えよう。
呼吸も特殊なマスクをつけなければままならないぐらいだから、これは結構ヤバいのかもしれない。
さて、科学的な装備品をふんだんに身に着けている天上人とは違って、地上人は基本肉体一つである。
そう、消毒薬を持っているとすれば自らの体。
植物は地上が汚染される以前から多少の抗菌力を持っている。汚染された世界に適応した植物なら猶更だ。
自分の体から大き目の葉を一枚ちぎって渡す。

「傷口にこれを巻くといいと思うよ。
天上人にどう作用するかは前例がないから分からないけどさ……ネズミの牙よりは大分マシなのは間違いない」

183 :【異形邂逅記】 ◆74/mbMVFDE :2015/05/21(木) 22:09:17.79 0.net
アスカやフォールの着ているパワードスーツには、防御や身体能力の補助に加え、地上の毒から身を守るための毒素分解機能が搭載されている。
地上の研究はほとんどされていないため未完成なものではあるのだが、それでも彼らは毒から守られている。
しかしそれは、あくまで呼吸や皮膚からの接触に対する防御であり、傷口からの汚染などは対策されていない。
あまり数は多くないが、万が一に備え毒に汚染された際のワクチンは降下ポットに積載されているので、症状が出た場合それを使うべきだろう。

アスカの負った傷は、本人はけろりとしているが深いものだった。
出来るだけ早い止血と縫合、薬物治療などが必要となるだろう。
幸いにもフォールの冷静な処置とトキワからの薬草の提供があったため、命に関わるようなことはない。
一方傷を与えた本人……ネズミ男は、アスカに貰った一撃で気を失いはしたものの、急速に回復していた。
30分ほど時間があれば、首の傷は完全に塞がり、身体機能も元通り機能することだろう。
逆に言うとそれだけの時間がなければ回復には至らず、無理をしようにも失血が酷いため出来ないのが現状であった。

さて、お忘れかも知れないが一行の目的はマンドラゴラの収穫である。
これを忘れたらジジールの奥さんから鉄拳制裁を貰うのは必至だろう。
>>161で紹介したとおり、マンドラゴラにはいくつかの厄介な性質もある。
きちんと生け捕りにして持ち帰るにはコツがいるのだ。その辺は頑張って頂きたい。
マンドラゴラを五匹ばかり収穫して持ち帰れば、今回のミッションは終了である。
それと、捕らえたこそ泥二名もジジールの家まで連行すべきだろう。
他の領地の者を生け捕りに出来るなんて機会はそうない。運が良ければ貴重な情報源となり得るのだから。

184 :【異形邂逅記】アスカ ◆tRb3C.SB/A :2015/05/21(木) 23:06:32.93 O.net
>「大丈夫かねアスカ君!?傷口は何処だ!直ぐに治療をしなければ!」

予想通りとはいえ、心配されると不思議な感じだ。
明らかに油断した自分が悪いのだし…フォール達が怪我をしなかったのだから、まだましだろう。

「ごめんな?頭だけで動くとは思わなくってさ。お坊ちゃん達が怪我しなくて良かった」

今は止血だけしまえばなんとかなるだろう。
舟に戻って治療した方がいいだろうが、腕自体は一応動くので、神経や筋は無事らしい。
出血と毒素等は気になるが、一瞬で死に至るようなものでもないなら大丈夫だろう。

「俺なら止血だけ出来てりゃ、慌てなくても――」

心配なんてしなくていい、そう言おうとしたが…

>「全く!倒すためとはいえ、傷口を広げるなど無茶をするとは!
>……植物の亜人、確かトキワとか言ったかね!殺菌用の薬か何かを持っていたら渡したまえ!
>地上の鼠の亜人の牙など、どんな未知の雑菌を有しているか判らない!
>そんな物に感染するくらいであれば、少々の汚染の方がまだマシだ!」

言葉の激流で気圧された。
人間だから、そんな理由だとしても優しくしてくれる。
日常ではかけられないような心配に、戸惑いながらフォールの止血処理を見る。
的確な応急処置だ、言っていることも確か。
何故『人間』なだけで、ここまで心配してくれるのだろう?
何故それを地上の人には出来ないのだろう?
普段とは違う状態に、つい変なことを考えてしまう。

>「傷口にこれを巻くといいと思うよ。
>天上人にどう作用するかは前例がないから分からないけどさ……ネズミの牙よりは大分マシなのは間違いない」

そして差し出されたトキワの葉。
瑞々しい葉は、今まで体に生えていたのだろうか。だとしたら痛くないのか…?そこまで考えて苦笑する。
どうみても自分の傷が痛々しいし、慣れているだけで実際痛い。
フォールの手をやんわりと遮り、直接葉を貰って治療の続きをする。
傷口にトキワの葉を当て、武器とは逆サイドのベルトについている、細胞採集キットポーチを漁る。
確か高汚染細胞対策用の布があったはず、と引っ張り出し、右手と口で傷を縛り上げた。
これで暫くは大丈夫、だから…

「…二人とも、ありがとう…な」

歳よりも幼い笑顔で、お礼をいった。

185 :【異形邂逅記】アスカ ◆tRb3C.SB/A :2015/05/21(木) 23:25:40.85 O.net
…怒られるなりなんなりは覚悟していたので、その辺りは取り敢えず仕方無い。
生け捕りにしたネズミ男とカエル男は、後回しだ。
そもそもここに来た理由、マンドラゴラとやらをもって帰らなくてはいけないのだから。
扱いはトキワが詳しいと言われていたので、どうするべきかはトキワに聞くしかない。
まあ、片腕が使えないような状態で出来る作業なら、の話だが…
とにかく流れている空気を変えるためにも、本題について聞いてみることにした。

「…それでさ、マンドラゴラってどうやって採ればいいんだ?さっきは変な声みたいなの聞こえてたけど」

ネズミ男達の会話から、直前にマンドラゴラを引き抜いていたはず。
ならば聞こえていた叫びのようなものは、その動植物の声か何かだろう。
記憶が確かならトキワはロープを預かっていたが、一応正しい使い方を知る必要がある。
…予想は出来てはいるが。

「猿轡する、とか?」

叫ばれ続けたら、たまったものではない事は、最初に聞こえた声でわかっていたのだから。
なんにせよ、傷を理由に作業から外されたりしないよう、空元気でしゃべってみるのだった。

186 :【異形邂逅記】フォール=アークランド ◆otKThO.grA :2015/05/29(金) 23:38:04.23 0.net
>「傷口にこれを巻くといいと思うよ。
>天上人にどう作用するかは前例がないから分からないけどさ……ネズミの牙よりは大分マシなのは間違いない」

トキワはそう言って、自身の身体から葉を一枚毟ると差し出してきた。
その献身にこれといって礼を言う事も無く葉を受け取ろうとしたフォールであったが
アスカはフォールの手を遮り葉を受け取ると、携帯していたキットと併用をし自身の傷口の治療を始めた。
その仕草は手馴れていて、彼が自身の治療を行うのが初めてでは無い事を見る者に伝えてきた。

>「…二人とも、ありがとう…な」

「ありがとうではない!君は……いや、いい」

そんな最中に、ポツリと呟いたアスカの言葉。そして、笑顔。
齢よりも幼く見える彼のその表情は、或いは触れれば壊れてしまいそうなガラス細工の様な何かを孕んでいて、
窘めの言葉を吐こうとしたフォールは思わず口を閉じる事と成った。

……そうして暫くの後、アスカが応急処置を終えた頃。
不意に、当初の目的が彼らの中で思い出される事と成った。

>「…それでさ、マンドラゴラってどうやって採ればいいんだ?さっきは変な声みたいなの聞こえてたけど」

「ああ……ふむ。そういえばそうだったね。私個人としては亜人共の命令など聞く気はさらさら無いが、
 これも人類の為だからね、協力してやろうではないか。それに……この植物も、何かのサンプルに使えるかもしれない」

そう。その目的とは、マンドラゴラの採集である。
異形二人組との邂逅によりややこしくなってはしまったが、そもそも今回の目的は採集がメインだ。
敵対組織の異形の捕獲は、いわばついでの仕事である。
フォールは、鬱憤を晴らさんとばかりにドカリと腰かけていた、未だ倒れている鼠の異形の背中から腰を上げると
眼前のマンドラゴラをねめつけるように見つめる。

「これが動物の類なら私の腕の機構で感電させて一網打尽なのだが、植物だとそうはいかないのだろうね。
 とりあえず……火でも点けて土地を丸焼きにしてから叫べなくなった所を回収でもするのはどうかね?」

腕を組んでそう呟くフォール。一見ふざけた台詞だが、表情は至って真面目である。勿論、その内心も同じくだ。
こんな発想になってしまったのは、フォールが生粋の天空育ちという事が理由の一つとしてあるだろう。
彼にとって火によって土地が受けるダメージや、焼けたマンドラゴラが使い物にならなくなるという事は、
知識として知っていてもこの場面に結び付けて思い浮かばない事であったのである。

187 :トキワ ◆sEzRcyqWAM :2015/06/01(月) 20:04:37.57 0.net
>「…二人とも、ありがとう…な」

>「ありがとうではない!君は……いや、いい」

「どーもどーも、毛を抜くようなもんだから気にスンナ!」

葉は植物の生命線、一度に大量に無くなると確かに危険だろう。
が、科学的に解明されていない謎のメカニズムで蔦を伸ばしたり縮めたりする輩である。
一枚や二枚ならどうってことはない。

>「…それでさ、マンドラゴラってどうやって採ればいいんだ?さっきは変な声みたいなの聞こえてたけど」

>「ああ……ふむ。そういえばそうだったね。私個人としては亜人共の命令など聞く気はさらさら無いが、
 これも人類の為だからね、協力してやろうではないか。それに……この植物も、何かのサンプルに使えるかもしれない」
>「これが動物の類なら私の腕の機構で感電させて一網打尽なのだが、植物だとそうはいかないのだろうね。
 とりあえず……火でも点けて土地を丸焼きにしてから叫べなくなった所を回収でもするのはどうかね?」

「確かに最初から焼けてりゃ料理する手間は省けるけどさあ!
焼く以外の料理に使えなくなるから怒られるよ〜。
それにサンプルにするにも生の方がいいと思うよ?」

第一、焼野原にしてしまっては今後マンドレイクの収穫ができなくなってしまう。
持続可能な収穫大事。

>「猿轡する、とか?」

「正解!」

トキワは適当なマンドレイクに狙いを定め、根元の土をかき分ける。
引っ張りさえしなければ普通の植物となんら変わらない静かなものである。

&amp;#160;「根本のあたりに窪んでるところがあるからね
ここにロープがはまるように巻きつけて……引っこ抜く!」

トキワがロープを一気に引っ張ると、しゅぽーんという効果音が付きそうな感じでマンドレイクが抜けた。
ロープが巻いてあるところが口にあたる部分である。このまま吊り下げてお持ち帰りできるというわけだ。

「さ、ロープはたくさんあるからやってみよう!」

アスカとフォールにロープを渡す。

188 :【異形邂逅記】 ◆74/mbMVFDE :2015/06/04(木) 21:02:00.70 0.net
アスカの傷の応急手当も済み、トキワの指導の下マンドラゴラの収穫が行われていた頃、ジジール宅に不穏な一報が寄せられていた。
「隣領クンツァイトにきな臭い動きがあるらしい」という報告が上がったのだ。
おそらくは、近くこちらの領地を奪いに来る可能性が高いだろう。
しかし、間者の情報はそれだけであった。いつ、どのように攻め入ってくるか分からない。
急いて動いてしまっては情報が漏れ、隙を与えてしまう事になるかもしれないのだ。
ジジールはその情報を広めないようにと間者に伝えると、深くため息をついた。

「クンツァイトの野郎め、前々からちょくちょく手を出して来るとは思っていたが、本気で戦争を仕掛ける気か?」

「あんたが泡食ってたら示しがつかないだろ? 指導者ってもんは堂々としてなきゃ駄目なのさ」

そう答えるのは実質参謀役である奥さんである。この夫婦はこうしてバランスを取っているのだ。

「いつ攻め込むかが分かれば、こっちが先手を打って精鋭を向かわせて、敵の横っ腹に穴を開けることも出来るんだがなぁ」

「気持ちは分かるけど、今は駄目さねぇ。今回は後手に回る他ないだろうさ」

「とりあえずは防御を固めるよう周辺に呼び掛けるしかないな。おい、連絡を頼む」

そう言って使いに指示を出し終えたジジールは、再びため息をついて椅子に腰掛けた。
戦力が足りない、その一言に尽きた。ジジールこそ武闘派ではあったが、金剛石の住民は穏やかな者が多いのだ。
ジジールは戦いの商品として、この土地を手に入れるに至った。勝ち取ったのは個人の強さだけである。
異形の中でも屈指の戦闘能力を誇る彼ならば、多勢を相手にしても負けないという絶対の自信はある。
しかし、領地の者を守るという戦いは全くの別物なのだ。もし攻め入られでもしたらどうしようもない。
方法はひとつ、相手が攻め入る瞬間の隙を突いて、クンツァイトの本部を叩くこと。
しかしそのためには、情報も戦力も足りなかった。ジジール単身で突入しても、その防御は破れまい。

「そういえばあの天上人の連中、強そうだったな。あいつらを仲間に引き込めないものかね」

「あの新入り達をかい? 馬鹿言っちゃいけないよ、いつこっちに牙を剥くかも分からん連中をどうするのさね」

「だよなぁ、交渉材料が無ぇ」

そう呟いて都合三度目のため息をついたジジールは、投げやりな問いかけを吐く。

「なぁ、なんか良いアイデアでもないか?」

「知るかい、自分で考えな。領主なんだからさ」

189 :【異形邂逅記】アスカ ◆tRb3C.SB/A :2015/06/04(木) 23:09:52.28 O.net
戦闘馬鹿、異形興味者、暗殺人、と天上で悪いアダ名の多いアスカ。
だが、実は一番良くないアダ名が他にあった。

「掘ってー縄かけてー引っこ抜……あ!こら逃げるな!」

多少気だるげに作業をしていたが、かけた縄が緩くマンドラゴラが途中ですり抜けた。
こうなるとすぐ逃げられるので、叫び声が響く前に、ナイフ状態のままのロングソードで真っ二つ。
ここまでで同じことが、三回目。
彼の最悪の弱点は、興味がない事にはとことん不器用である事。
ついたアダ名は、器用貧乏紙一重、という名だった。
自分でも楽しい料理は気になる、だが食材を捕まえるのは思っていたより面白くなかったようで…。
アスカにはまともに捕まえることは出来なかった。
出来上がるのは二つに切られた野菜のようなものばかり、これは鮮度に問題が出てきそうだ。



結局、帰りに捕まえたネズミ人とカエル人を引きずらせてもらうことにして、マンドラゴラは二人に任せることになった。
食材を無駄にしてばかりではいけないので、大人しく納得して待つ。
やがて十分な収穫を終えると、身動きがとれない敵二人を引きずって歩く。
今度は心配もなにもない、足りなかった作業分の働きなのだから。

だが、帰ったジジールの家には、不穏な空気が漂っていた。

「ん?…何かあったのか?」

何処と無く感じなれている空気に、少し興味がわく。これは血が流れる前の気配。
ネズミ人だけでも随分面白かったのだ、これからまだ面白いことが起こるかもしれない。

「あ、でも取り敢えずこの二人…なんだっけ?敵勢力だかの二人なんだってさ」

あまりのロープで、まとめて引きずってきた二人を差し出す。
どうせなら身体データも取りたいが、まあそんなことは後回しでいいだろう。
腕の傷はトキワの葉のお陰か、予想より随分痛みも出血も少ない。わざわざ船まで戻る必要もなさそうだ。
そんな風に、先に食事を食べてみたいな、などとのんきに考えていたアスカにとって、この後の話は随分興味深い物になるのであった。
戦闘馬鹿で、異形興味者。そんなアスカが彼らの頼みを断る理由はない…

190 :名無しになりきれ:2015/06/21(日) 19:59:30.77 O.net
しぼうすれー

191 :名無しになりきれ:2015/06/29(月) 15:34:21.20 O.net
誰か使いたい人いるの?

192 :名無しになりきれ:2015/07/11(土) 21:00:40.87 0.net
TRPG・・・なにもかもなつかしい・・・

193 :名無しになりきれ:2015/08/15(土) 23:50:44.04 0.net
やっぱりアスカのせいで終わったか

194 :【からくり人形劇〜エコール・ド・パリ】 ◆BZueVb97Lm7l :2015/08/31(月) 02:11:37.32 0.net
【世界観・設定】

人形劇の歴史は古く、起源を辿れば呪術や祈祷に通じる。
長きに渡って人形を動かす"人形繰り"を研鑽してきた人形使いたちは、
機械技術や魔術、錬金術などを融合させて万能兵器『からくり人形』を生んだ。
だが多様な技術体系が混淆する中、科学の普及に伴いその他の技術は失われつつある。

フランス・パリの欧州人形協会は演劇を生業とする一座であり、人形使いが集まる民営組織。
人形を用いて個人・企業・国家を問わず依頼を請け負う現代の仕事人たち。
今宵の劇場に舞い込むのは如何なる事件だろうか。


ジャンル:サイエンス・ファンタジー
コンセプト:痛快娯楽人形劇
期間:半年以内(たぶん)
参加人数:最大6名(GM除く)
GM:あり
決定リール:状況しだい
○日ルール:最長2週間
版権・越境:なし
敵役参加:なし



◆からくり人形

 科学・魔術・錬金術などあらゆる技術の粋を集めて作られた人型兵器。
 使い手の想像力によって自由自在に動き、仕込み武器で敵を倒す。
 刀のように美術品として扱われるものから安価な量産品まで幅広く存在する。
 元来人形を完璧に操り戦わせるには相当量の修練が求められていたが
 補助用のAIを導入することで素人でも簡単に操れるようになった。


◆MIS(Marionette Interface System)

 使い手の思考を読み取り、それに沿って人形が動く。
 煩雑な操作を必要とせずイメージだけで制御できるシステム。
 また、繰り手に機体状況を感覚的に伝える機能も持つ。


◆人形使い

 "人形操り"はもちろん修理から制作・改造まで行う人形のエキスパート。
 すべてをこなしてようやく一流の人形使いと言われるようにその門戸は狭い。
 現代では形骸化していて、からくり人形を扱えれば誰もが人形使いである。


◆欧州人形協会

 18世紀頃に人形使い達が創設した民営の組織。
 政府、企業、個人問わず仕事を請け負い人形で解決に導く。
 またフランス・パリの劇場テアトル・ジュジュ・ボワットを本拠にする。

195 :【からくり人形劇〜エコール・ド・パリ】 ◆BZueVb97Lm7l :2015/08/31(月) 02:12:29.44 0.net
【キャラクターテンプレート】
名前:
性別:
年齢:
性格:
容姿:
備考:

【人形テンプレート】
名称:
全高:
外観:
武装:
備考:



【テンプレ記入例】

名前:イヴ・マリアージュ
性別:男
年齢:26
性格:たぶん紳士的
容姿:ベスト、リボンタイ、優男
備考:
欧州人形協会の副会長。
イネスを偏愛している。病弱。


名称:イネス・ド・ラ・フレサンジュ
全高:220p
外観:女性型、純白のドレス
武装:強化衣装『ローブ・ドゥ・マリエ』……仕込み武器搭載の追加装甲

『聖槍ブランシュール』……腕、背中の電磁式パイルバンカー
魔導反射スカート『鏡月』……エネルギー攻撃を偏向
『月の光』……胸部内蔵の荷電粒子砲

備考:
フランスのとある人形使いが生んだ一作。
凶悪なドレスの内に耽美な曲線を秘める。

196 :【からくり人形劇〜エコール・ド・パリ】 ◆BZueVb97Lm7l :2015/08/31(月) 02:13:59.58 0.net
琥珀に染まる劇場は静かに色を失ってゆく。
絹のような闇を纏うと、残された微かな雑音も寝静まる。
月の光が射しこむように照明を浴び、語り部は舞台に姿を現す。

「あらためまして主役の皆様、この度はご参加誠にありがとうございます」

高級な仕立てのスーツにワインレッドのリボンタイ。
銀灰色の髪を揺らして一礼すると、妖艶に微笑を浮かべる。

「ご存知のとおり演目は"からくり人形劇"となっております。
 ですが、幕を上げる前に少々前置きをしなければなりません……」

時は現代。科学、魔術、錬金術をはじめ、多様な技術が混淆する時代。
人の叡智は文明の火を育み、数々の夢のような道具を生み出した。

「『からくり人形』もそのひとつ。想像の糸で動くのは、いとも奇妙なマリオネット――」

男の背後に異形が浮かぶ。
キリキリと歯車を鳴らして関節を回し、折り畳んだ胴を開き、ひとがたへ変形。
両腕と背中の巨大な武装が観客の目を引き、純白のスカートからヒールが覗く。
鋼鉄のドレスは豊かに実る胸を守護し、陶磁の顔は微笑ともつかない表情を浮かべている。

「これがその人形――どうぞ気軽にイネスと呼んでください。
 普段は待機形態にしてケースなどに入れていますが、使い手の意思で瞬時に変形します」

男の仕草に合わせて、たおやかな指に嵌まった銀の指環が鈍く光る。
10の指にそれぞれ1個ずつ。魔術的な紋様を刻印されたそれが、人形と使い手を結ぶ。

「この指環こそ"人形繰り"に不可欠な感知デバイスに他なりません。
 マリオネット・インターフェース・システム――"MIS"と我々は呼んでいます」

指環が繰り手の思考を読み取って人形へ送信。それに応じて人形が動くというからくり。
MISは煩雑な操作を省ける画期的なシステムだが、操作に高度な集中力を要する。
『からくり人形』を人間の如く動かせるようになるには血の滲む訓練を数年以上積まねばならない。
古来人形使いを志す者は師弟関係を結び技術を学んだが、今やAIの導入によりその必要はなくなりつつある。

「……人の叡智は火を育み、素晴らしいものを授けますが、時に災厄をもたらします。
 曰く、鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん。この最強無敵の兵器を用いるほどの"敵"とは?」

齎される災禍とは世界征服を目論む悪の秘密結社か。
人類の領域を踏み越えた死霊や悪魔か。
その正体はこの舞台を見届けなくては分からない。

「――それでは痛快娯楽人形劇、しばしのお付き合いを願います」

197 :【からくり人形劇〜エコール・ド・パリ】 ◆BZueVb97Lm7l :2015/08/31(月) 02:14:58.81 0.net
副会長に宛がわれた部屋は一人で過ごすにはあまりに広い。
優美な曲線で構成されたロココ建築による内装と家具。
微笑みを湛えて室内の一角に飾られた額縁の聖女。
男は身体を深くソファに預け、品のある声色で続く報告を音楽のように聞き耽る。

「イヴ様、聞いておられますか?」

メイド服の女性はバインダーから男へ視線を移す。
言葉に反応して、欧州人形協会の副会長が表情を崩した。
協会の職員はエプロンドレスの着用を義務付けられており、それは彼女も例外ではない。
仮に理由を問うたとしても、『伝統』や『風習』の言葉で片付けられるだろう。

「聞いているよ。僕が君の愛の言葉を聞き漏らすと思うかい」

「幻聴です」

欧州人形協会。パリの劇場ジュジュ・ボワットを本部にする民営の組織。
18世紀頃"人形使い"たちによって設立された協会であり、古い歴史を持つ。
劇団の一座という側面も持ち、広く演劇を公演する他に舞台の貸出なども行っている。
しかし実態は舞い込む依頼を『からくり人形』で解決する傭兵――オブラートに包めば便利屋――と言えた。

「……大聖堂で籠城か。目と鼻の先で好き放題やられては面子も何もないな」

あの人ならざるものたちがノートルダム大聖堂を占拠して数か月経つ。
さしもの人形使いも敵の物量を前に苦戦を強いられ、未だ制圧には至っていなかった。
"奴ら"を生み出したのは人形使いに他ならない。ゆえに奴らの破壊は人形使いの宿命なのだろう。

「『自動人形』が動けば協会も動く。人形を倒せるのもまた、人形だけだ」

俗に『人工知能』と呼ばれているものには強いAIと弱いAIの二種に分類できる。
いわゆる"弱いAI"とは意思を持たず、命令を機械的に処理するソフトウェアを指す。
一方で正しくプログラムされたコンピュータ、"強いAI"には精神、意思が宿るとされている。
イヴ・マリアージュの言う『自動人形』はまさに後者の存在だ。

自動人形こそ、魔導化学たる錬金術の結晶『賢者の石』を心臓とし、喋り、思考するリビングドール(生ける人形)。
彼らは人間を効率的に殺戮できるよう己を改造し続け、工房を建造して仲間を増やして人間を襲う。
造物主である人類に牙を剥き、破壊と混乱を振り撒く姿はまさしく災厄だった。

「ミレイユ、人形使いたちを派遣してくれ。選抜は君に一任するとしよう」

イヴは表情を氷のように研ぎ澄ませて身支度を整えはじめた。
リボンタイを締め直してトランクケースを持ち、銀の懐中時計を開く。
針は夜を迎える時分を刻んでいる。花の都にも文明の火が灯りはじめているに違いない。
夕闇に染まる市街を想像し、ポケットに時計をしまいこんで部屋を後にした。

副会長を恭しく見送るとシャンデリアの明かりを消し、副会長室の扉を閉めて鍵を掛ける。
主役たちの顔を思い浮かべると、ミレイユもまた仕事を済ませるべく白と金縁装飾の廊下を歩いていった。

198 :【からくり人形劇〜エコール・ド・パリ】 ◆BZueVb97Lm7l :2015/08/31(月) 02:15:48.86 0.net
黒塗りの公用車は凱旋門を抜けてシャンゼリゼ通りを安全運転で走り抜けてゆく。
夜の時分にあって、並木道は街の火を飾り往来の人々を包んでいた。

ノートルダム大聖堂が存在するシテ島は危険区域に指定されて以来、封鎖状態にある。
このセーヌ川の中州に掛かった、いくつかの橋にも当然非常線が張られていた。
公用車が橋の手前で停止すると警備中の警官が窓をぞんざいに叩く。
不遜な態度から「立ち入り禁止だ。引き返せ」の意がたやすく汲み取れた。

「協会のイヴ・マリアージュだ。通してもらう」

銀の懐中時計を見せるや警官は顔色を変えて敬礼。
協会に所属する人形使いに等しく渡されるそれこそが彼らの身分証。
精密な機械で動く時計は"からくり"の象徴であり、裏には各人の名前が刻まれている。

橋を渡ってシテ島に入ると道のあちこちに人形のような残骸が見えた。
道が陥没、家屋は倒壊。まるで戦地に迷いこんだ有様だ。
やがて車がパリ警視庁に停車すると、髭面の男性が仏頂面で迎えた。
ちら、とわざとらしく腕時計を確認してみせる。

「状況はどうかな、警部」

イヴの問いに対し、警部は担架で運ばれてゆく人形使いたちを顎で指す。
野戦病院のような惨状はつい先程まで激戦があったことを物語っていた。
このように警視庁は位置関係からノートルダム占拠事件の前線基地と化している。
ただし対策本部を設置するにも都合が悪い地理をしていたから、本部自体は別にあった。

「代わりの人形使いは? あんた一人ってわけじゃないだろう」

「じきに着く。心配は無用だ」

二人が話を交わしている内に一人の少女が向かってくるのが見えた。
おろした赤毛をふたつに束ねた、いかにも活発そうな女の子だ。
両手で握っている鞄は人形を収納するケースよりも二回りほど大きい。
年相応の小柄な体躯から"鞄に持たれている"という印象を受ける。

「やあフランチェスカ。人形技工士というものは大変だな。
 人形を叩き壊すのは簡単だが、修復するのは……手間がかかる」

足下に転がる人形の腕を革靴でつつく。ここまで細切れになると修理も難しい。
もっとも、優秀な人形技工士にかかればレストアは可能だろう。
人形技工士とは『からくり人形』の制作を専門にする者のことだ。
広義の人形使いが減る昨今、人形使いは彼らなくしては仕事もままならない。

「自動人形と戦うことに比べればなんてことはないけどね」

持ち前の活発さで答えると、ケースからクマのぬいぐるみを取り出した。
するとひとりでに動きだし足下に散らばる部品を広いはじめる。
ぬいぐるみはシュタイフ社製の人形『セオドア』を改造したものだ。
修理の手伝いから寂しいときの遊び相手にまでなってくれる優れものである(会話能力なし)。

話は変わるが、パリには観光名所がいくつも存在しノートルダム大聖堂もそのひとつに含まれる。
現に「パリのセーヌ河岸」という名称で周辺の文化遺産ととも世界遺産にも登録されていた。
そのノートルダムが今や自動人形たちの牙城と化しているのは既に述べた。
威容を誇っていた大聖堂は太い糸のようなもので蓑巻きにされ原形を留めていない。
繭と化したそれは暗闇を背負って向かい側の警視庁を睥睨している。

「まったく、警察を……人間を舐めているとしか思えん!」

警部が悪態をつくのも無理はなかった。
件の騒動は位置関係からして――まさに官憲の鼻先で行われているのだ。

199 :【からくり人形劇〜エコール・ド・パリ】 ◆BZueVb97Lm7l :2015/08/31(月) 02:20:27.04 0.net
……と、ここまで書いて力尽きました
TRPGをやる余力が出来たらやりたいですねぇ……
いつになるかは知りませんが。以上、パリ編のテスト版でした

200 :名無しになりきれ:2015/09/01(火) 07:02:05.13 O.net
……パリ…

201 :フォルテ:2015/11/05(木) 01:01:45.76 0.net
創発板から来ました
スレ再始動につき参加者募集中です
かなり長く続いてますが一度半リセットをかけてあるので
新しく入る方は以前の設定を気にしなくても問題ない形になっています
ジャンルとしてはファンタジー冒険活劇&異能バトルといった感じなので
興味のある人はのぞいてみてください

本スレ
【なりきりリレー小説】ローファンタジー世界で冒険!4
ttp://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1392992926/l5

避難所
ttp://jbbs.shitaraba.net/internet/20237/

尚、質問はこちらでも受け付けますが万年規制のため返答は避難所でさせていただくのでご了承ください

202 :テスト:2015/11/07(土) 21:39:52.42 0.net
朝、目覚まし時計の音で、私は私なのだと気づかされた。
薄目を開けると、窓から零れる朝陽に
世界の隅っこが広がってゆくことを感じた。
夜にとろけた意識が蘇ってゆく。
夢の世界に散々していた私の欠片も、
ひとつひとつくっついて、
まるで風船のように大きな(私のなかでは)私へと形をなしてゆくのだ。

それは今日もくりかえされた。
とてもとても小さな世界で・・・。



ここは小さな街。
町の中央に立っている首のない天使の石像は町のシンボル。
いつ頃つくられたのかは誰も知らない。

203 :名無しになりきれ:2015/12/02(水) 19:01:01.96 0.net


204 :集まればやるかも ◆nxqBa6LAgQ :2015/12/08(火) 19:29:01.01 O.net
20XX年、世界には生物巨大化の突然変異に見舞われていた。
脈絡もなく巨大化した生物は暴れ、人家を、命を奪っていった。
各国の軍も勿論応戦したが、何故か攻撃が通用しない。まるで何かバリアに守られているかのように、無効化されてしまう。
そんな中、唯一通じる攻撃があった。
同じく突如現れたサイキッカー達の攻撃だ。
彼らの扱う武器には力が宿り、巨大化した生物を打ち倒す。そんなサイキッカー達を各国は集め、チームを組ませていく。
しかし、同時に超能力を扱う彼らを恐れてもいた。そのため、与えられる武器は制限されている。
こんな世界で、あなたは日本国、サイキッカーグループとしてどう生きて行くのか?
調査し戦う、超能力を生かして生き残れ。

テンプレート
名前

性別
前職
能力(下記から2つ選択、上限5ポイントとして7ポイントを2つに割り振る)
・念力(無機物のみ)
・自己浮遊
・発火
・テレポーテーション
・テレパシー
・サイコメトリ
・千里眼
役割や思考回路

205 :集まればやるかも ◆nxqBa6LAgQ :2015/12/08(火) 19:31:26.91 O.net

・リュウキ−ミズチ(竜樹蛟)
・13歳
・女
・小学生
・念力・2
・テレパシー・5
・オペレーターとしてカメラを念力で操りながら、テレパシーで情報共有をする。

206 :集まればやるかも ◆nxqBa6LAgQ :2015/12/08(火) 19:58:42.93 O.net
(目標沈黙…ミッション終了、お疲れさまでした)
頭の中でカメラの向こう側へ話しかける。知らない人から見ればただの変人。
だがこの子供はサイキッカー。
今もテレパシーを使って実動部隊へ話しかけているのだ。
(現時刻13:26、各自報告書は七日以内に提出願います。解散)
住処に帰る者、仕事場へ来る者、巨大生物を調べてみる者、各々が思うように動き出した。
ミズチは映像を見ながらカメラを動かす。
今回の生物は蟻、今はもう動かない体を調査資料として写して行く。
「今回も大きさと頑丈さ以外は一般的…ですか」
今までに現れた生物達は皆、巨大さと硬質さ以外の異常性が見当たらない。
何故あらわれるのか、何故サイキッカーしか戦えないのか、何もわかっていないのだ。
「…これから、わかるのでしょうか?」
小首をかしげるミズチ、その謎に答えは出るのだろうか。

207 :集まればやるかも ◆nxqBa6LAgQ :2015/12/08(火) 20:26:29.42 O.net
タイトル、超能力と超生物(仮)

敵…巨大化した生物
目標…敵を調べつつ倒し、原因解明

208 :名無しになりきれ:2015/12/08(火) 21:22:41.51 0.net
GMによる段階的な謎の提示は必須ですね
プロット練るの大変かもですが頑張ってください

209 :集まればやるかも ◆nxqBa6LAgQ :2015/12/14(月) 19:46:37.10 O.net
追加、改変歓迎

210 :被検体”管理”局 ◆8Z58tLKGGg :2015/12/29(火) 16:38:24.63 0.net
【TRPG】被検体管理局【人造生物】(仮)

―――破滅的な戦争は長きに渡り、いつしか崩壊した世界と、命を弄ぶおぞましい技術だけを残した。
人々は自らの所業を反省し、その社会の形を変え、慎ましく細々と生き延びている。

はるか昔に放棄されたこの大都市は半分以上が水没しており、一部は朽ちたビルの生えた海と化している。
天を貫く廃墟と化した摩天楼、緑に飲まれつつある密集した雑居ビルの森。
水没を免れた平坦な沼地や砂地、舗装道路の名残、瓦礫と粗大ゴミに埋め尽くされた場所・・・
崩壊後の世界は地形の多様性に富み、かつ多様な環境が交じり合っている。
美しくも崩れ去ったこの世界に暮らす者たちは、人造生物の力を借りながら壮大な廃墟の一角を間借りし、身の丈に合った生活を営んでいた。

が、平和な都市の裏では技術の悪用が絶えず、特にこの技術を用いて改造された被検体による小競り合いが後を絶えない。
また、一部の被検体は凶暴化することで度々住民の安全を脅かしてもいる。
君は何かしらの経緯で被検体たちの「管理者」となり、被検体の所有を許され、管理を任されることになる。
人造生物の研究、凶暴化生物の捕獲、悪用技術の摘発など、様々な仕事に明け暮れることになるだろう。

【管理者テンプレ】
名前:
性別:
性格:
容姿:
来歴:
所持品:
備考:

【所有被検体テンプレ】
名前:
容姿:
性質:
属性:
備考:

211 : ◆8Z58tLKGGg :2015/12/29(火) 16:39:46.18 0.net
■被検体管理者
研究施設に所属して新型の被検体を管理、保守、あるいは飼育する人のこと。普通の人間。
各地で人手不足であり、知識の無さ故に被検体を虐待したり、知識があっても技術を悪用したりする連中も多い。

■被検体
異常発達した生体工学により生み出された人造生命、あるいは改造された元人間。
亜人から完全なクリーチャーまで幅広い多様性を持ち、高い生命力を持つ。
後述の飛走踏泳を基本に、時には火を噴いたり発電する者まで、様々な分野で人々の生活に役立てられている。
兵器とは限らず、愛玩や役畜としても数多く、時には言葉を解すほど高い知能を与えられることもある。
法整備はまったくと言っていいほどなされておらず、人権は無いに等しい。
その代わり、生かすも殺すも殺されるも、管理者次第となる。

■属性について

「飛空種」
羽ばたき、滑空、あるいは浮遊などいずれにしても体つきは大きく変わる。
「走行種」
速度や持久力は勿論、湿地かコンクリか草原かなど路面への適正も重要。
「踏破種」
狭い通路、入り組んだ場所や壁や天井の移動、泥や砂への潜伏など。
「遊泳種」
潜水力や潜水時間、耐水性能、泳ぐ速さなどに関わる。

飛走踏泳の4つのうちメイン属性とサブ属性の2つまでを選べます。(飛空性走行種〜など)

212 :名無しになりきれ:2015/12/29(火) 19:46:55.02 0.net
遊泳種がちょっと限定的すぎて死に属性っぽい気がするけどそこら辺どう思う?

213 :名無しになりきれ:2015/12/29(火) 20:16:40.69 0.net
>>212
最初死ぬほど悩んだんで、都市の半分以上は水没してるという設定でなんとか埋め合わせたい所
ただ水一本特化とかされるとさすがにつらいので、泥や砂中を泳ぎ回れる設定もアリにはしたい

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