退廃の近世ファンタジー

名無しになりきれ

帝国暦1800年。かつて魔力に栄えた帝都は今や機械達の吐き出す煤煙に霞んでいた。
ここ百年で魔術文化が大いに衰退し、代わりに機械技術が躍進を遂げたからだ。
変化を嫌った魔術師達の怠慢を明日の進歩に生きる技術者達が食い破った結果といえるだろう。

ただ、街の環境と治安は恐ろしく悪化した。空気は汚れ、川の水は濁り、ゴーグルとマスクが手放せない日も多くなった。
日差しを遮る煤煙で街は薄暗くその影には怪しい組織団体や密売グループも蠢いている。
それに、この前は機械に仕事を奪われた魔術師が大通で通行人達を灰の小山に変えた事件も起きたそうだ。
それでも街は変わる事無く進み続ける。

今や剣と魔法の時代は終わり、煤煙と蒸気に包まれた暗黒の時代が始まろうとしていた。

【世界観】
・現時世界で言う所の産業革命のヨーロッパが近いが、魔法や魔物も存在する架空の年代。
所謂スチームパンクとファンタジーの混合であり、エルフやドワーフといった種族も少数ながら存在する。
・インターネット等はまだ存在しないもののラジオ等の初期家電や蒸気圧縮の義手、燃素銃等が存在し数多くの技術者達が怪しげな機会たち日夜を生み出している。
（The Order: 1886辺りをイメージすると世界観を掴みやすいかもしれない）

【街】
・大通は店も人通りも多く憲兵や巡邏隊の姿も少なくない。
しかし一本でも奥に入れば娼館や煙館などの違法な店が立ち並び、治安の悪い迷路の様な裏路地が続いている。
・街は年中煙を吐き続ける工場群からの煤煙に包まれており、多くの者がゴーグルやマスクを着用している。
・裏路地の最深部や人気の無い地下通路、下水路、高架下からは魔物が湧く事があり危険。
（大溝鼠、蠢くドロドロ、大毒虫、稀に肉塊の巨人等。発生原因は不明）
・特に煤煙の濃い日は街の表層にまで魔物が溢れる事があるそうだ。

【ギルド】
・前述の魔物の駆除等を行う幾つかの連合の総称。剣と魔法の時代に存在した退治屋集団の成れの果て。
まともな職に就けない者や怪しげな魔術師の溜まり場と化しており、金さえ払えば法外な仕事も請け負うと噂されている。
その評判はもちろん聞くに堪えがたく、ギルド同士の縄張り争いも年々過激さを増している。