【ニュージーランド】消えない心身の傷　銃乱射テロから１年

ひよこ ★

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020031400487
2020年03月15日07時27分

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アルヌール・モスクの塀の前に立つタジ・モハマド・カムランさん（左）＝１２日、ニュージーランド中部クライストチャーチ

　【クライストチャーチ（ニュージーランド）時事】ニュージーランド（ＮＺ）中部クライストチャーチのモスク（イスラム礼拝所）で５１人が犠牲となった銃乱射テロ事件から１５日で１年を迎える。反移民の過激思想に傾倒したブレントン・タラント被告（２９）が、平和で移民に寛容な国として知られるＮＺを恐怖に陥れた。再発防止に向けて政府は銃規制の強化など対策を講じたが、信者らは心や体に負った「深い傷」に苦しんでいる。

　「薬を飲まないと夜も眠れない」。タジ・モハマド・カムランさん（４６）は、４０人以上が射殺されたアルヌール・モスク内の地獄絵図のような光景が毎晩のように脳裏によみがえる。聖地メッカの方向を示す壁のくぼみに向かって前方の列で礼拝中、背後から銃声が聞こえた。とっさに立ち上がったところ、脚に３発の銃弾が撃ち込まれた。

　カムランさんは激しい戦火に見舞われたアフガニスタンで家族を亡くし、「安全を求めて」（カムランさん）ＮＺに２００７年に渡ったが、事件で９人の友人を失った。銃弾の破片が体内に残り、毎月の血液検査が欠かせない。「（犯人を）理解できない」とやり場のない怒りを訴えた。

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アルヌール・モスクで、親友が写った画像を見せるタジ・モハマド・カムランさん＝１２日、ニュージーランド中部クライストチャーチ

　政府は事件後、殺傷能力の高い半自動式の銃を禁止し、銃の買い取りキャンペーンを実施。禁止された６万丁以上の銃を回収した。アーダーン首相は事件から１年を前にした今月１３日の記者会見で、銃の登録制を盛り込んだ規制第２弾が近く合意できるとの期待も示しながら「安全になった」と成果を強調した。

　だが今月、アルヌール・モスクで銃を使った事件が起きると警告したメッセージが画像付きで、通信アプリを通じて信者らに送られた。地元のイスラム教徒のウスマン・アフザリさん（３６）は「恐れる人は（モスクから）足が遠のいた」と語った。安心できる暮らしは戻っていない。

　捜査の過程で１９歳の男が逮捕された。具体的にどう関与したか不明だが、男はＮＺで活動する白人至上主義団体のメンバーと報じられている。ビクトリア大学ウェリントン校のマイケル・ドブズ講師は「反イスラムや他の差別との闘いでは、まだ多くの取り組みが必要だと示された」と語った。

【ニュージーランド】消えない心身の傷 銃乱射テロから１年

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