【福岡地裁】過失運転致傷の会社員に無罪判決　「衝突回避は非常に困難」 [ひよこ★]

ひよこ ★

https://mainichi.jp/articles/20200507/k00/00m/040/188000c
毎日新聞2020年5月7日 21時56分(最終更新 5月7日 22時05分)

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　2017年に福岡市早良区の国道で軽トラックを運転中に原付きバイクに衝突し少年（当時18歳）に重傷を負わせたとして、自動車運転処罰法違反（過失運転致傷）に問われた同市の会社員女性（41）に福岡地裁は7日、無罪（求刑・禁錮1年）を言い渡した。国分進裁判官は「被害者車両が衝突地点に急加速してきた可能性がある」として女性側の衝突回避は「非常に困難」と結論づけた。

　事故は17年2月14日午後11時40分ごろに起きた。女性は、国道263号の第2通行帯で前を走る少年運転の原付きバイクと衝突したとして福岡地検に在宅起訴されたが、女性側は第1通行帯を進行中に前方の歩道寄りに少年の原付きバイクが停止していたため、第2通行帯に車線変更した後に「原付きバイクが目の前に飛び出してきた」と主張していた。

　福岡地検の松井洋次席検事は「判決内容を詳細に検討し、上級庁とも協議の上適切に対応する」とコメント。女性側の吉田俊介弁護士は「真実に沿った客観証拠を裁判所がきちんと評価し、適切で妥当な判決だ」と話した。【宗岡敬介、一宮俊介】

福岡地裁、検察側の立証を「あまりに不自然」

　衝突までの状況が争われ無罪判決が出た交通事故裁判。福岡地裁は、福岡県警が作成した女性の自白調書を「任意性なし」と証拠採用せず、判決で原付きバイクが衝突地点で停止していたなどとする検察側の立証を「あまりに不自然」と指摘するなど、捜査手法に疑問を呈する裁判となった。

　「自分たちのストーリーに合わない私の言い分を封じ込め、黙っていると逮捕になるなどと脅されてしまう、恐ろしい捜査を体験しました」。無罪を言い渡された女性は、3月の最終意見陳述でこう訴えていた。

　女性は事故直後の実況見分時から、原付きバイクが第1通行帯の歩道寄りに停止していたことなどを主張。現場近くの居酒屋の男性店主も停止している原付きバイクを目撃しており、女性の在宅起訴前に警察署に出向いたが、名前も聞かれずに帰されたという。公判で証人出廷した店主は毎日新聞の取材に「警察署では『事故状況とつじつまが合わない』と言われ連絡先も聞かれなかった。署には10分もいなかった」と証言した。

　犯罪白書によると、検察庁の処分事件のうち、警察や検察庁が逮捕した「身柄率」は14年～18年は35％前後で、6割以上は在宅での任意捜査となる。逮捕されて勾留されれば国選弁護人が付くが、任意捜査では私選弁護人を付けなければ弁護活動をしてもらえない。女性は母子家庭で金銭的理由から私選弁護人を付けられず、捜査機関とやり取りを重ねた。

　女性は、警察署での自白調書の作成時に言葉に詰まると警察官から「このまま行けば最悪逮捕になる」と告げられたと訴える。少年が大けがをして意識障害の後遺症を負った事実は変わらないことに加え「逮捕されたら」という恐怖心から「調書にサインした」と当時の心境を振り返る。

　女性は事故により運転免許を取り消された。配達の仕事は辞め、パチンコ店やスーパーなど職を転々とし、生活は一変した。女性は「私の体験した真実を認めてもらい、少しほっとしています」と話した。

　福岡県警交通捜査課の徳永吾一次席は「判決についてのコメントは差し控えたい」とした。【宗岡敬介】

　南山大の岡田悦典教授（刑事訴訟法）の話　捜査機関の初動捜査に不十分さがあり、捜査段階で弁護士が付いていれば状況は変わっていたと思う。弁護人を選任する権利は捜査を受けている以上誰にでもある。勾留されているか否かで区別されるのではなく「在宅捜査」でも資力がない人が国選弁護人を付けられるように制度を改善すべきだ。

【福岡地裁】過失運転致傷の会社員に無罪判決 「衝突回避は非常に困難」 [ひよこ★]

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