保守層意識、首相改憲に前のめり　自公＋維新＋国民＝衆参3分の2超 [蚤の市★]

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　自民党内で、憲法改正に向けた現実的な議論の加速を期待するムードが高まってきた。今回の衆院選では改憲に前向きな野党の日本維新の会、国民民主党がともに勢力を伸ばし、自民と与党・公明党を加えると、衆参両院で国会発議に必要な3分の2を優に上回る議席数を確保。岸田文雄首相は、改憲を党改革と並ぶ「重要課題」と位置付け、自民内の体制強化や国民的議論の喚起にアクセルを踏み込む構えだ。

　第2次政権を始動させた10日の記者会見で、首相は「党是である憲法改正を進める」「国会の議論と国民の理解が、車の両輪。両方がそろわないと実現しない」と強調し、国会対応などに関して茂木敏充幹事長に指示を出したことを明らかにした。これに先立つ党の両院議員総会でも「結果を出していきたい」と意欲を示した。

　自民内の保守リベラルの牙城である「宏池会」（現岸田派）領袖（りょうしゅう）ながら、改憲に前のめりな姿勢を見せる首相。背景には、衆院選が示した民意の一つである改憲勢力の上積みに加え、9月の党総裁選で相当の善戦を見せた高市早苗政調会長と、高市陣営の采配を振った安倍晋三元首相の存在がある。

　中長期政権を目指して党内基盤を固めるためには、首相は最大派閥を名実ともに率いることになった安倍氏と、その膝下に連なる高市氏をはじめとする保守層のつなぎ留めが不可欠となる。すなわち、「安倍陣営」の宿願である改憲に「取り組まざるを得なくなった」（党関係者）というのが永田町の相場観だ。

　衆院選では、改憲を明確に掲げる維新が公示前から4倍近くの41議席に躍進した。9日夜、首相の意を受けた茂木氏は早速、維新の馬場伸幸幹事長と膝を突き合わせ、「何としても（改憲の）国民投票を実施したい」と協力を要請。馬場氏は、逆に「（国会の衆参の）憲法審査会をしっかり動かしてほしい」と茂木氏の背中を押してみせた。

　首相はまた、新たな衆院憲法審査会長に温厚な人柄で知られる森英介元法相を起用し、円滑、丁寧に審議を運営するというシグナルを野党側に送った。自民中堅は「具体的な議論が動きだす環境は整った」と歓迎する。

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　今年の通常国会。数年来の懸案だった憲法改正手続きに関する改正国民投票法がようやく成立し、自民は第一関門を越えた。とはいえ、憲法審の開催は実際には、改憲に慎重な野党第1党の立憲民主党などの抵抗でしばしば停滞した経緯がある。現在、立民は新たな党代表選出プロセスに入っており、次の執行部がどういう姿勢で改憲論議に臨むのかは見えていない。

　また、自民党の改憲案4項目に含まれる緊急事態条項の新設や9条への自衛隊明記を巡っては、公明内にも異論が根強い。公明の山口那津男代表は「直ちに議論がどうこうなるとは考えていない」。次の政治決戦となる来夏の参院選前に、自公間のギャップがあらわになる改憲行程を急げば、選挙協力に影を落とす可能性がある。

　果たして、幸か不幸か－。首相にとって越えるべきハードルは少なくない。

　（河合仁志）

西日本新聞　2021/11/14 6:00
https://www.nishinippon.co.jp/sp/item/n/831622/

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