実は俺がみもりんの遠い親戚なんじゃないかって気がしてきた

名無しで叶える物語

今までは接点なんてなかったんだけど、親戚の葬式かなんかで一緒になって
「え、あの三森さんですよね…？」って話しかけて
「あ、ご存知で…」ってかんじで知り合いになるんだ
そのあと偶然街中で会っちゃったりして、その時は軽い会釈程度しかしないんだけど
次にまた偶然会ったときは俺が狭い飲食店で食事中で、入店したみもりんがなんともなしに隣に座らせられる
こうなるともう会話しないわけにはいかないよね
「よく会いますね」なんて常套句しか言えない俺とは対照的に、なかなか遠慮の無いみもりんのことだから、こっちが気を許しかけているとみるや根掘り葉掘り失礼な話をしてくる
「よく会いますけど、ストーカーじゃないですよね…？」
なんてセリフを本気度7割以上でズカズカと聞いてくる
「実はそうなんですよ」みたいなリア充じみた冗談を返す度胸は俺には無い
「いや、もう、本当に、ただの偶然で……」と返すのが精一杯
その一言でみもりんは俺が真性コミュ障だと察してしまうんだ
そして碌な会話ができないと判断したみもりんは完全に俺に興味を無くして無言になる
気まずい沈黙まみむめも
先に食べ終えた俺はそそくさと店を後にしてそれっきり
この千載一遇のチャンスを手放す贅沢っぷり、たまんないよね
神が差し伸べた手を叩きとばす快感、やみつきになるよ
たとえそれで不幸に死のうと、天の理を「あえて」逸脱した自負が己に残る
大きな流れに身を任せきりの有象無象とは、完全に別の存在であるとの証明になる
だからバイバイ、みもりん
俺という存在を世界から外すきっかけとなったことを精々、うらめ