にこ「ガンプラ学園が負けた!?」

名無しで叶える物語

晴天の霹靂。
誰もが信じていた、信じ切っていた、私立ガンプラ学園の優勝。
しかし第13回全日本ガンプラバトル選手権U-19で、その固定観念は崩れ去った。
ポッと出のチームが彼らを下し、連覇記録をそこで止めたというのだ。
――なんということか。
つまりは、だ。我々の領分、スクールアイドルで例えるならば、結成間もないアイドルがライブパフォーマンス対決でA-RISEに勝ったということになる。
この大金星が、昨今賑わいを見せるガンプラ界隈に激震をもたらしたのは言うまでもない。

弟――虎太郎はガンプラバトルが好きだ。
まだガンプラを作ることも戦わせることもできないので、ガンプラバトルを見るのが好きだ。
それはまさしく、血、であろう。

父はガンダムが好きだった。
もちろんガンプラも。
遺品にも何機かのガンプラがあり、今でも家に少しだけ飾ってある。
その中には、私のために――当時は興味が無かったにも関わらず――作ってくれた機体もある。
AEU-05/05G AEUへリオンベルベトゥウム陸戦型PMC仕様。
なぜ私とイメージが全然合わないこの機体を作ってくれたのかは甚だ疑問ではあるのだが、私ために遺してくれた数少ないもののひとつなので、大切に保管してある。

閑話休題。

もうひとつ事実として、ガンプラ学園の敗北は、私の心に一筋の光を与えてくれた。
どんな存在も絶対ではない。
盛者必衰。諸行無情。
つまり、我々でもA-RISEを倒せる可能性はあるということだ。
待ち受ける、スクールアイドルの全国大会――ラブライブ。
そのステージで、勝利を手にするチャンスが。
自分を信じ、仲間を信じ、困難を乗り越えたその先に栄光はある。
そうだ。立ち止まっている暇は無い。
少しずつでもいい。進もう。
焦りすぎて、ひとりだけ突っ走って、いつの間にか失ってしまわぬよう。
もう絶対に手離さないと誓った、最高の仲間たちと共に。

8月某日。そう決めて、私はいつものフレーズを空に響かせる。

にっこにっこにー！