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真姫「宿泊研修?」
- 1 :名無しで叶える物語:2015/07/29(水) 02:37:42.57
- 絵里「そうよ。一年生は入学したらまずこれに参加するの」
凛「宿泊ってことはどこかに泊まるのかにゃ?」
絵里「ええ。ちなみに場所はホテルとか旅館ではなくて、青年団の宿泊施設見たいなところよ。多分私達のときと同じ場所じゃないかしら」
花陽「研修ってどんなことをするの?修学旅行みたいな感じになるのかな?」
絵里「旅行とは違うわね。つまるところが勉強合宿よ。一泊二日の間は缶詰状態になって勉強をするの。一応オリエンテーションがあるみたいだけど、正直言ってもう一度参加したくなるようなものではないわね」
凛「えー、そうなの!?勉強はやだよー」
花陽「り、凛ちゃん。私と真姫ちゃんも一緒だから頑張ろう?」
真姫「そうよ、凛。ちょっとした旅行だと考えればどうってことないわよ」
- 2 :名無しで叶える物語:2015/07/29(水) 02:39:12.33
- 絵里「折角のイベントなんだし楽しまないと損よ」
希「と、経験者のエリチ先生が言っております」
絵里「ちょっ、希!?いつのまに部室に入ってきたのよ!?」
希「ついさっきやで?といっても部室の前に来たあたりで中から自慢げに話をするエリチの声が聞こえたからなあ。面白い発言が出るかと思ってこっそり入ってきたんよ」
希「エリチはあの時はツンケンしとったからねえ。クラスメイトとの会話もそこそこに勉強ばっかりしとったし、それはそれはつまらんかったやろうなあ」
絵里「それはもういいでしょ!昔のことよ昔のこと!」
凛「希ちゃんは研修どうだったの?楽しかった?」
希 「うーん、うちはぼちぼちかな。それなりにクラスメイトとも仲良かったし、それこそちょっとした旅行って感じやったで」
凛「それじゃあ、凛たちも楽しい旅行みたいにできるかな?」
希「うん。きっとできると思うで?な、真姫ちゃん?」
真姫「……そうね。楽しくなるといいわね」
- 3 :名無しで叶える物語:2015/07/29(水) 02:40:10.59
- 絵里「まあ、ともかく。研修までももう少し時間もあるし、何か聞きたいことがあったらいつでも聞きなさい。アドバイスくらいはしてやれるわ」
希「流石エリチ。経験者は違いますなあ」
絵里「希、いい加減にしないと怒るわよ?」
希「ごめんごめん。ちょっとやり過ぎたわ。帰りにクレープ奢るから許してくれへん?」
絵里「本当!?それじゃあ駅前のクレープがいいわ!」
凛「あ、ずるい!凛たちも行きたいにゃ!」
希「そうやね。じゃあみんなで行こうか」
凛「やったー!ねえねえ、かよちんは何のクレープにする?」
花陽「凛ちゃん、まだ気が早すぎるよ。ねえ、真姫ちゃん?」
真姫「……そうね。でもごめん。私、放課後はちょっと用事があるから……」
- 4 :名無しで叶える物語:2015/07/29(水) 02:41:06.07
- 絵里「……用事があるっていうならしょうがないわね。また今度行きましょう」
真姫「うん……」
希「……しかしまあ、真姫ちゃんが行かなくてもクレープを食べることを中止にしないあたり食い意地が張っとるなあ、エリチは」
絵里「悪かったわね、食い意地張ってて!」
5人がそうしていると校内にチャイムの音が鳴り響いた。
花陽「あ、そろそろ昼休み終わっちゃうよ!教室に戻らないと!」
凛「あ、本当!かよちん!真姫ちゃん!急いで教室に戻るにゃ!」
真姫「はいはい」
- 5 :名無しで叶える物語:2015/07/29(水) 02:41:35.32
- 希「真姫ちゃん」
真姫「……何?」
希「……ファイト、やで?」
真姫「……意味わかんない。穂乃香のマネ?」
希「そんなところやね。それじゃあうちらも急ごうか」
真姫「あ!ちょっと!」
真姫「……簡単なら苦労しないわよ」
- 6 :名無しで叶える物語:2015/07/29(水) 15:46:15.62
- 真姫「もうこんな時間・・・
ちょっと寄ってみようかしら・・・」
- 7 :名無しで叶える物語:2015/07/29(水) 15:51:01.04
- 真姫「こんな時間だけど・・・
ちょっと寄ってみようかしら・・・」
- 8 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:43:19.52
- --西木野家・真姫の部屋--
真姫「……いつの間に寝ちゃってたわ」
真姫(……今日は宿泊研修だったわね……準備しなきゃ)
---西木野家・台所--
真姫ママ「おはよう、真姫」
真姫「おはよう、ママ」
真姫ママ「今日から宿泊研修よね。昨日はゆっくり眠れたかしら?」
真姫「うん、それなりに」
- 9 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:44:03.91
- 真姫ママ「そう。ならよかったわ。ほら、ご飯食べちゃいなさい」
不恰好なコゲたパン差し出される。
真姫「うん。いただきます」
真姫ママ「……研修は楽しみ?」
真姫「どうかしらね……聞く限りじゃ勉強ばっかりみたいだし」
真姫ママ「そう、それじゃあ難しいかもしれないわね」
真姫「うん」
真姫ママ「……でもね真姫。それでも言うけど、しっかり楽しんでらっしゃいね」
真姫「……うん」
- 10 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:44:40.32
- --宿泊施設前--
凛「おお、意外と大きいにゃ」
真姫「そうね。思ってたより大きいわね」
花陽「何かいろいろな施設が付いてるらしいよ。大きなお風呂とかもあるらしいし、だからじゃないかな」
凛「大きなお風呂!それは楽しみだにゃ!他にはどんな施設があるのかな?」
花陽「うーん、そうだね……珍しいものだと天体観測をする施設もあるらしいよ。後はちょっとした公園とかもあるみたいだね」
凛「天体観測の施設!?それ使ってみたい!」
- 11 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:45:17.17
- 花陽「でもこの施設って今はやってないみたいで、使えるのは秋とか冬だけみたい。それに使うのにも事前に申請する必要があるらしいから、流石に難しいと思うな」
凛「そうなの?それじゃあ見せてもらえるかだけ施設の人に聞いてみるにゃ!」
真姫「というか花陽。よくそんなことまで知ってるわね」
花陽「絵里ちゃんからそういう施設があるって聞いてたんだ。ちなみに絵里ちゃんがこの施設のことを聞いたときは、今の凛ちゃんと同じような反応をしてたいたい。希ちゃんが言ってたよ」
真姫「ああ……なるほどね」
凛「それじゃあ後で施設の中を探検してみるにゃ。ね、かよちん、真姫ちゃん」
真姫「……ごめん、私疲れたから部屋で休んでるわ」
凛「そうなの?じゃあしょうがないにゃ。集合時間が近くなったら凛とかよちんで呼びに来るから、ゆっくり休んでるといいにゃ」
- 12 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:45:45.47
- 真姫「わかったわ。ごめんね」
凛「気にしなくて良いよ。それじゃあ早速行くにゃー!」
花陽「ま、待ってよ凛ちゃん!真姫ちゃん、私たちも行こう?」
花陽が真姫に手を差し出す。
真姫「……」
花陽「……行こう?」
真姫「……ええ、行きましょ」
真姫は花陽の手を取らなかった。
花陽「……うん」
- 13 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:46:36.05
- --宿泊施設・部屋--
凛「疲れたにゃー!」
花陽「そうだね。まさか本当に勉強付けだとは思わなかったよ」
真姫「何よ、だらしないわね。ちょっといつもより勉強の時間が長くなっただけじゃない」
凛「真姫ちゃんは頭が良いからそんなことが言えるんだよー。凡人の苦労はわからんのだにゃー」
花陽「でも今日の勉強はこれで終わりのはずだよ?この後は確かお昼を食べてからレクリレーションがあるんだって。何でも山のこの近くに見晴らしの良い展望台があって、そこまでハイキングするみたい」
真姫「ハイキングって……要するに歩くだけでしょ?」
花陽「ま、まあ言っちゃえばそうなんだけど。でも勉強ばっかりしているよりは良いんじゃないかな?」
- 14 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:47:08.47
- 真姫「そうだけど、ただ疲れが溜まるだけのような気がするわ」
凛「凛は勉強しなくて良いならもう何でもいいにゃー。むしろ体を動かせるならそっちのほうがいいよー」
真姫「あんた、どんな体力してんのよ」
凛「少なくとも真姫ちゃんよりはあるはずにゃー」
真姫「……そうね、その通りだわ」
凛「……真姫ちゃんどうかしたの?何だか元気ないにゃ」
真姫「別に何も無いわよ。ちょっと疲れただけ」
凛「そうなの?じゃあ部屋でゆっくりしてる?あ、でもまだ施設の中全部探検してないにゃ」
花陽「それじゃあ時間もまだあるし、今から少しだけ探検してみる?」
- 15 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:47:52.04
- 凛「うん、そうするにゃ!真姫ちゃんも一緒に行こうよ」
真姫「……ごめん、私疲れたから少しだけ横なってるわ。適当な時間になったら食堂に行くから、二人は先に行ってもいいわよ」
花陽「わかった。あ、私ちょっと飲み物買ってくるけど、二人とも飲みたいものある?私、買ってくるよ」
凛「それなら凛も一緒に行く!」
花陽「うん。真姫ちゃんは何か飲みたいのあるかな?」
真姫「別に、大丈夫」
花陽「……わかった。それじゃあ凛ちゃん、行こっか」
凛「うん。真姫ちゃん、またあとでね」
花陽と凛は部屋から出て行った。
真姫「はあ……」
- 16 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:48:26.42
- --宿泊施設・食堂--
部屋で仮眠をとった真姫は食堂にきていた。
真姫(はあ……よく寝たわね。二人はどこなのかしら)
凛「あ、真姫ちゃーん!こっちこっちー!」
真姫は凛と花陽を見つけると二人の元に向かう。
花陽「真姫ちゃん、疲れは取れた?」
真姫「ええ、おかげさまでハイキングも乗り切れそうよ」
凛「それはよかったにゃ。三人で一緒に登ろうね」
真姫「そうね」
凛「……ねえ真姫ちゃん、本当に大丈夫?今日朝から疲れてるみたいだし、体調悪いんじゃないの?凛が先生に伝えておこうか?」
- 17 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:48:56.16
- 真姫「大丈夫よ。私だって体が弱いわけじゃないんだから、これくらい平気よ」
凛「そう?きつくなったらいつでも言って欲しいにゃ。凛がおんぶしてでも展望台まで連れて行ってあげるからね!」
真姫「大げさよ、まったく……ところで例の天体観測の施設は見れたの?」
花陽「それがね、見ることもできなかったの。秋とか冬ならまだよかったんだけど。今は春先だから施設の中の掃除もできてない状態らしくて、とてもじゃないけど見せられないんだって」
真姫「残念だったわね。凛は随分と楽しみにしてたみたいだけど」
凛「そうにゃそうにゃ、ほんとに残念だにゃ。あの施設が一番気になってたのに」
真姫「天体観測の施設ならここ以外にも探せばでもあるわよ。今度探して行ってみたら?」
凛「そうなの?それじゃあ今度みんなで行ってみるにゃ」
真姫「そうね……時間があればね……」
- 18 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:49:25.29
- 花陽「……とりあえずご飯食べちゃお?このあとハイキングの準備もしなくちゃいけないんだし」
凛「そうだね、急いで食べるにゃ!」
花陽「り、凛ちゃん!確かに食べようとは言ったけど、そこまで急ごうなんて言ってないよお!」
真姫「まったく、落ち着きが無いわね。花陽、私達はゆっくり食べましょ」
花陽「そ、そうだね。ありがとう、真姫ちゃん」
真姫「……何でありがとうなのよ」
花陽「え?えっと、その……な、なんとなく、かな?」
真姫「……意味わかんない」
- 19 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:50:02.03
- --宿泊施設・グラウンド--
真姫が集合場所となっていたグラウンドに来ると
既にたくさんの生徒が来ていた。
引率の教師の簡単なあいさつがされた後、山登りが始まった。
真姫(さて、凛たちはどこにいるのかしら)
見回すと、全速力で真姫に向かって走ってくる凛の姿があった。
凛「真姫ちゃーん!やっと見つけたにゃ。三人で話しながら行けば展望台なんてすぐにつくにゃ。だから頑張ろうね」
真姫「ええ。でもあんたの後ろから来ている花陽は既に疲れ始めてるみたいだけど」
花陽「はあ、はあ……り、凛ちゃん、待ってって、言った、のに」
凛「ああ、かよちん!どうしてそんなに疲れてるの!?」
真姫「あんたのせいよ。あんたの」
- 20 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:50:47.68
- 花陽「ご、ごめんね。私、体力なくって」
凛「大丈夫かよちん?凛がおんぶしようか?」
花陽「いや、大丈夫、だから、気に、しないで」
真姫(文句一つ言わないのね……)
真姫「ほら、二人ともそろそろ行くわよ。何時の間にか最後尾になっちゃったじゃない」
凛「あ、本当にゃ。それじゃあ私たちも行こー!」
真姫「大丈夫?花陽」
花陽「はあ……うん。大丈夫だよ。ごめんね、心配掛けちゃって」
真姫「……別に、気にしてないわ。それじゃ、私達も行きましょ」
花陽「うん、そうだね。行こう」
- 21 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:51:20.26
- --ハイキング・道中--
凛「ねえねえ、かよちん。かよちんってにこちゃんとよくアイドルについて話してるみたいだけど一緒に出かけたりもしてるのかにゃ?」
花陽「うん。にこちゃんっていつも何だか忙しそうにしてるから、そんなに頻繁にってわけじゃないけど、一緒にアイドルグッズを見に行ったりしてるよ」
凛「そうなんだ。でもにこちゃんってどうしてあんなにアイドルが好きなんだろうね?」
花陽「うーん、そういえばそれは聞いたこと無かったかも。今度聞いてみようか?」
凛「うん。あ、そういえば凛この前穂乃香ちゃんの家に遊びに行ったんだ!新作のお饅頭も食べさせてもらえたんだけど、すごくおいしくて何回もおかわりちゃった」
花陽「ええ!いいなあ、私も食べたい」
凛「それなら今度三人で穂乃香ちゃんの家に行ってみようよ。ね、真姫ちゃん」
- 22 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:53:00.22
- 真姫「え?あ、うん、そうね。いつかね……」
真姫(まただ。私はこうやって……)
凛「それでね、穂乃香ちゃんと雪穂ちゃんの三人で食べてたら穂乃香ちゃんのお母さんが帰ってきたの。
それで私達を見て『何だか姉妹が増えたみたいね』って言ったんだ。そしたら雪穂ちゃんにも『私も凛さんなら大歓迎ですよ。
むしろお姉ちゃんと変わって欲しいくらいです』って言われちゃった」
花陽「よかったね凛ちゃん。でも穂乃香ちゃんは何も言わなかったの?」
凛「それがね、それを聞いた穂乃香ちゃんが『こんな家出て行ってやるー!』って家を飛び出しちゃって、
そしたら雪穂ちゃんが『すぐに戻ってきますよ』っていうからしばらく待ってたの。そしたら本当に戻っきて『お腹すいた』ってまたお饅頭を食べ始めたんだ。
ちょっと笑いそうになっちゃった」
花陽「ははは、何だか穂乃香ちゃんらしいね」
真姫(ふふっ……面白いわね、穂乃果ったら)
- 23 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:53:30.34
- 凛「でしょ?ところで真姫ちゃんは誰かと遊んだりしたことあるのかにゃ?」
真姫「……いや、ないわね」
凛「そうなのかにゃ?てっきりにこちゃんあたりと遊んでるのかと思ってたにゃ」
真姫「何でにこちゃんなのよ」
凛「何となくにゃ!」
真姫「はあ……何よそれ」
真姫「……凛、花陽、あんた達って幼馴染なんだっけ?」
凛「そうだよ。はよちんとは幼稚園からの付き合いなんだ。かよちんは小さい頃からアイドルが好きで、よく凛の前で踊ったり歌ったりしてくれたにゃ。あの時のかよちんは可愛かったにゃー。あ!もちろん今のかよちんも可愛いよ!」
花陽「あ、ありがとう凛ちゃん。でもその話はちょっと恥ずかしいよお」
- 24 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:54:07.43
- 凛「だって本当に可愛かったんだもん!」
花陽「そんなこと言ったら凛ちゃんだって小さいことから可愛かったよ。特に小さい頃はスカートも履いてたから女の子っぽくて、すっごく可愛かったんだから」
凛「そ、そんなことないにゃー!というかスカートの話は恥ずかしいからやめて欲しいにゃ!凛にはスカートなんて似合わないよ!」
花陽「そんなことないよ、すごく似合ってたよ。今もスカート履いたらもっと可愛くなると思うな。真姫ちゃんもそう思わない?」
真姫「確かにそうね……というか制服でスカート履いてるんだから平気なんじゃないの?」
凛「それとこれとは別腹にゃ!」
真姫「何よ別腹って……」
真姫(まあ、言いたいことは何となくわかるけど)
凛「そ、それよりかよちんだってあの時―-」
- 25 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:54:36.83
- 花陽「それなら凛ちゃんだって――」
真姫(……ほんと、二人って仲が良いのね……私は……)
凛「ね、真姫ちゃんもそう思うよね!」
真姫「え?う、うん」
凛「ねえ、真姫ちゃん大丈夫?」
真姫「ええ、大丈夫よ」
凛「本当?疲れてない?」
真姫「だから大丈夫」
凛「そう……あ!もしかして真姫ちゃん、凛達の話に入れなくて寂しかったのかにゃ!」
- 26 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:54:58.50
- 真姫「……別に」
凛「本当に?」
真姫「そうよ」
凛「またまたー!そんなこと言って本当は寂しいんでしょ?」
真姫(お願い、やめて、でないと私は……)
真姫「だから、違うって…」
凛「しょうがないなー!だったら特別に凛とかよちんの――」
真姫「違うって言ってるでしょ!!」
- 27 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:55:30.06
- 真姫が声を荒げると、周りにいた生徒達が何事かという目で真姫に視線を向ける。
真姫(……!ヤバっ!)
凛「あ、その……ごめん、なさい……」
真姫「あ、いや、その……」
凛「え、えっと、ほんとにごめん……凛、五月蝿かったよね……」
真姫「えっと、いや、だから――」
凛「ご、ごめんね。凛、先に行くね!」
真姫「あ!ちょっと凛!」
花陽「凛ちゃん!」
花陽は突然走り出した凛を追いかけて行ってしまった
- 28 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:55:59.41
- 真姫(……やっちゃった)
クラスメイト「に、西木野さん。大丈夫?」
真姫「……大丈夫よ。ごめなさい、急に怒鳴ったりして」
クラスメイト「いやー、ビックリしたよー。どしたの?喧嘩?」
真姫「いや、そうじゃないけど……ちょっと、ね」
クラスメイト「ふーん……ま、困ったことがあったら言ってね。間取り持つくらいはするからさ」
真姫「ええ……ごめんね」
- 29 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:56:27.27
- --宿泊施設・休憩所--
ハイキングから帰ってきた真姫は風呂場で汗を流しすと、
火照った体を覚ます為、施設の近くの休憩所のベンチに座っていた。。
真姫(結局あの後、凛と花陽に合流できなかったわね……いや、
見つからなかったらいいと思ってた私のせいもあるか……)
真姫(というか、あんな真正面から怒鳴ってやったってのに、一体どういう顔して会えばいいってのよ)
真姫「……ッ」
真姫(もう……だめかもしれないわね……)
真姫「……うっ……ぐすっ……」
- 30 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:56:55.36
- 真姫(二人と……仲良くなりたかったなあ……)
真姫(いっそ……ミューズも辞めて――)
花陽「……真姫ちゃん」
真姫「!?は、花陽!どうしてここに!?」
花陽「……隣、いいかな?」
真姫「え?……ええ、どうぞ」
花陽「じゃあ隣、失礼するね」
花陽「さっきまでお風呂入ってたんだけど、ちょっとのぼせちゃって。
体を冷まそうと思ってここに来たんだけど、真姫ちゃんもそうなの?」
真姫「そうね。私もよ」
- 31 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:57:30.90
- 花陽「そうなんだ……それにしても、今日のハイキング疲れたね。明日は筋肉痛になっちゃってるかも」
真姫「……そうね」
花陽「それに展望台に着いたのはよかったけど、天気が悪くて残念だったね。
せっかく綺麗な景色が見れると思ってわくわくしてたんだけど、すごく曇ってたよね」
真姫「……うん、残念だったわね」
真姫(あんなことがあったというのに、花陽はまるでいつもと同じ様子ね)
真姫(もしかして忘れちゃったのかしら?それとも気を遣ってくれてるの?
……まあどちらにしても、私のやったことが許されたというわけではないか……)
真姫(……ミューズを辞めようと思ってること、話しちゃおうかしらね)
- 32 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:57:57.22
- 真姫「……ねえ、花陽、私ね――」
花陽「ねえ、真姫ちゃん」
花陽「真姫ちゃんって……不器用だよね」
真姫「え?」
花陽「誰かと仲良くなりたいけど、人との上手な距離の詰め方がわかならくて、
それで結局怒鳴る形になっちゃって、そのことを後悔しちゃってるんだよね」
真姫(は、花陽、あなた……)
花陽「間違ってたらごめんね?でもね、そうだとしたら私は嬉しいんだよ?
だってそれって私達との距離が縮まったってことになるんだと思うから。
近づいたからこそ怒鳴られたんだって……凛ちゃんはちょっと驚いてたみたいだけどね」
- 33 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:58:58.10
- 花陽「あの時……真姫ちゃんが凛ちゃんに怒鳴った時ね、私が何とかしなきゃって思ったんだ。
二人とも動揺してたみたいだから、私が何かしなきゃって。でもね、一生懸命考えたんだけどね、
結局、あの場では何も、ひくっ、思いっ浮かばなくてっ、そしたらね、っく、真姫ちゃんがっ、
走り出しちゃってっ、もう、うっ、どうすることもっ、できなかった」
真姫(あなた、泣いて……)
花陽「だからっ、ごべんねっ、ひぐっ、私が頼りないからっ、真姫ちゃんにっ、
辛い思いっ、させちゃって……うっ、ううっ」
真姫「ち、違うわ!私が、私が素直じゃないから!こんなことになったの!
だから花陽!あなたは……あなたは悪く、何て、な、ないの、よ……ぐすっ、うぅ、ひぅ……」
花陽「ありが、とう。でも、でも、ご、ごめん、ね」
- 34 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 06:59:47.21
- --しばらくして--
花陽「ごめんね、急に泣いちゃって」
真姫「いいわよ、気にしてないわ……私も泣いちゃったしね」
真姫(なんだかスッキリした気分ね……)
花陽「……真姫ちゃんが行っちゃった後ね、凛ちゃんすっごく落ち込んでたよ。
あ、別に真姫ちゃんを責めてるわけじゃないんだよ?あの後ね凛ちゃんが言ったんだ。
『凛、真姫ちゃんを怒らせちゃった。もっと仲良くなりたいのに、嫌われちゃったかな。
何か悪いことちゃったのかな』って、すごく不安そうな顔をしてたよ」
真姫「そうなの……凛には悪いことをしたわね。あの子は何も悪くないのに。悪いのは私なのに」
花陽「誰も悪くなんてないよ。ちょっとすれ違っちゃっただけ」
真姫「ありがとう、花陽。でもね、私にはこれからどうすればわからないのよ。私だって凛と……」
- 35 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 07:00:11.14
- 花陽「そんなの簡単だよ、真姫ちゃん」
花陽「素直に気持ちを伝えればいいんだよ」
真姫「素直にって――」
花陽「私は真姫ちゃんのこと大好きだよ。もっと仲良くなりたい。真姫ちゃんはどう?私のこと好き?それとも嫌い?」
真姫(……私は、変わるんだ!)
真姫「き、嫌いなわけないでしょ!」
花陽「じゃあ好き?」
真姫「そ、それは……す、好き、よ」
- 36 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 07:00:40.13
- 花陽「うん、私もだよ」
花陽「その気持ちを凛ちゃんにも伝えてあげよう?できるだけわかりやすくね」
真姫「そ、そんな恥ずかしいことできるわけ――」
花陽「それじゃだめだよ真姫ちゃん!何も言わないけどわかって欲しいって言うのはただの甘えだよ!
わかって欲しいならちゃんと言葉で言わないと!」
花陽「……いきなり大好きって言って抱きつけとは言わないよ?でもね、真姫ちゃんなりの言葉でいいから、
ゆっくり近づいてきて欲しいんだ。私たちはいつまでも待ってるから」
真姫(……私は甘えたのかしらね。言葉に出さなくてもわかってくれるだろうって)
真姫「……わかった。私、頑張ってみるわ」
花陽「うん。それじゃあ早速――」
- 37 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 07:01:01.40
- 真姫「でも、もう少しここで休んでいくわ。ちょっと落ち着いていろいろ考えたいの」
花陽「えっ?」
真姫「大丈夫よ花陽。今度は本当に落ち着きたいだけだから……信じて?」
花陽「……うん!わかった!」
花陽は笑顔を見せると、宿泊施設に戻っていった。
真姫「……さて、やるわよ、私」
真姫は決意を込め、両手で自分の頬を叩いた。
- 38 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 07:01:27.72
- --宿泊施設・廊下--
花陽「真姫ちゃん、頬っぺた赤いよ?どうしたの?」
真姫「……秘密よ。深く聞かないでくれると嬉しいわ」
真姫(さすがに気合入れすぎたなんて恥ずかしくて言えないわ)
花陽「わ、わかった。凛ちゃんは先に呼んであるよ。食堂の前で待ってもらってる」
真姫「うん。ありがとう、花陽」
花陽「二人の為だもん、気にしないで。それじゃあ、行こうか、真姫ちゃん」
真姫「ええ」
- 39 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 07:01:53.51
- --宿泊施設・食堂前--
凛は食堂前の休憩スペースにある長椅子に座っていた。ただぼーっと床を見つめ、足をふらふらと上下に動かしていた。
真姫(……凛)
花陽「大丈夫だよ、真姫ちゃん」
真姫「……うん」
真姫が凛に近づく。
真姫「凛」
真姫「!ま、真姫ちゃん!」
真姫「……凛、あのね――」
凛「真姫ちゃん、あの時はごめんね!凛が五月蝿かったから!」
- 40 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 07:02:20.65
- 真姫「いや、だからね凛、それは――」
凛「本当にごめんね。凛、これからは静かにするから、許して欲しいんだ」
真姫「ちょっと凛、話を――」
凛「凛、真姫ちゃんともっと仲良くなりたいから、だから――」
真姫(仕方ないわね。こうなったら)
真姫「凛!!……お願い、聞いて?」
真姫が凛の両肩を掴む。
凛「!?」
- 41 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 07:02:44.02
- 真姫「……凛、私ね、不器用なの。誰かと仲良くなりたいくせに、
仲良くなったら怒鳴るようになっちゃうからって、嫌われないように適度に距離をとるしかなかったの」
凛「え?」
真姫「だからね。私が怒ってのは怒っても大丈夫な相手だからと思っているからであって、
信頼とかそいうものの現れであって、決して本気ってわけじゃなくて……」
凛「?」
真姫「だから別に怒っているわけじゃなくて――!」
花陽「真姫ちゃん」
真姫(!?……うん、そうよね)
真姫「……凛。あんたがどうかは知らないけど、私はあんたのことが、す、す……」
- 42 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 07:03:11.17
- 凛「す?」
真姫「好きなのよ!怒鳴るのは私の一種の愛情表現で、二人ともっと仲良くなりたいと思ってるの!親友とかになりたいの!」
真姫(言った!言ってやったわよコノヤロー!)
凛「……真姫ちゃん、怒ってないの?」
真姫「……そうよ」
凛「本当に?」
真姫「……ええ、本当よ」
凛「凛のこと嫌いになってないの?」
真姫「……そうよ」
凛「凛のこと好きなの?」
- 43 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 07:03:59.77
- 凛「……」
真姫「……?凛?」
凛「ま……」
真姫「ま?」
凛「真樹ちゃーーーん!!」
真姫「うわっぷ!ち、ちょっと凛!急に抱きつかないでよ!」
凛「凛も真姫ちゃんのこと大好きだよー!」
真姫「ああもう!離れなさいよ!」
凛「嫌だにゃー!怒ってる真姫ちゃんも大好きにゃー!」
- 44 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 07:04:23.26
- 真姫「何言ってんのよ!」
凛「そんなこと言ってー!真姫ちゃん顔が赤くなってるよ!」
真姫「さっき自分で叩いたからよ!」
花陽「あ、そうだったんだ」
真姫(何ばらしてんのよ私はー!)
真姫(……でもまあ)
凛「真姫ちゃん真姫ちゃん真姫ちゃーん!!」
真姫(本当によかった。恥ずかしかったけど、もう一度この笑顔を見るとができた)
真姫は静かに笑った。
- 45 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 07:04:48.24
- --宿泊施設・部屋--
宿泊研修の二日目。
研修も全ての工程が終了し、真姫は部屋で荷物をまとめていた。
凛と花陽は既に用意を済ませ、部屋の前で待ってくれている。
真姫「……何だか結構長く居た気がするわね。たった二日だけだったのに……」
真姫(でも、大事なものを手に入れることができたわ)
凛「真姫ちゃーん。準備終わったかにゃー?」
真姫「ええ、今行くわ」
凛「遅いにゃー。他の皆もう行っちゃったよ」
真姫「悪かったわ。早く行きましょう」
- 46 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 07:05:11.50
- すると凛と花陽が真姫に手を差し出してくる。
真姫(これは……そういうことよね)
花陽「えっ?」
凛「にゃ?」
真姫は凛と花陽の小指を握った。
凛「……何だか真姫ちゃん赤ちゃんみたいで可愛いにゃー」
花陽「う、うん。何かこう、保護欲をくすぐられるというか」
真姫「あーもう!いいから行くわよ!」
- 47 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 07:05:37.83
- 真姫はパッと指を離し、すぐに歩き出した。
真姫「……そういえば凛、天体観測の施設見たいって言ってたわよね」
凛「うん。だから今度探してみようと思ってるにゃ」
真姫「その件だけど……私その施設に心当たりがあるから、三人で一緒に行ってみない?ついでに星も見ましょう」
凛「本当!?あれ?じゃあ何で昨日は教えてくれなかったの?」
真姫「そ、それはその……察しなさいよ、馬鹿」
凛「?」
花陽「まあまあ凛ちゃん、とにかくよかったね。施設が見れることになって」
- 48 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 07:05:58.96
- 凛「うん、そうだね!じゃあ早速今度の週末にでも行こうよ」
真姫「残念だけど、その施設も今はやってないのよ。やってるのは秋と冬だけ。あと半年は先の話よ」
凛「そうなの?今でも見れることってないの?」
真姫「私が知る限りではないわよ。いいから半年は我慢しなさい」
凛「えー」
花陽「でも凛ちゃん、これって真姫ちゃんからの初めてのお誘いだよね。しかもそれが今は見れなかった星を半年後に星行こうなんて、何だか素敵だと思わない?」
凛「言われた見れば……確かにそうにゃ!流石真姫ちゃん!ロマンチストだにゃ!」
真姫「誰がロマンチストよ!」
- 49 :名無しで叶える物語:2015/07/30(木) 07:06:37.93
- 凛「きゃー!真姫ちゃんが怒ったにゃー!」
花陽「ふふっ」
真姫「花陽も笑わないの!」
真姫(この調子だと凛は私が本当に怒っていたとしても気付かないんじゃないかしら……
いや、というか自業自得ね。だって、あの二人には私についての話なんかほとんどしていんだし)
真姫(……少しずつあの二人に伝えていかなきゃね。
自分なりの言葉で不器用に伝えることになるから時間が掛かかっちゃうかもしれないけどね)
真姫(でも、待っててね。私が素直になって心を開く、その時まで)
---おしまい---
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