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凛「しあわせであるように」

1 :名無しで叶える物語(もみじ饅頭)@\(^o^)/:2016/01/01(金) 03:58:38.41 ID:gA0MRO7W.net
短いです。
某曲をイメージして書きました。
書き溜めは一応あります。

2 :名無しで叶える物語(もみじ饅頭)@\(^o^)/:2016/01/01(金) 04:00:04.54 ID:gA0MRO7W.net
ふわふわ浮かぶ綿菓子のような雲。キラキラ光るダイヤモンドのような星。


なんだか体がぷかぷかする。目を開けるとそこには満天の星空。


あれ?ここはどこだろう。でもなんだか、とても気持ちいい。



「おーい、凛ちゃーん!」


声がする。凛の大好きなあの子の声。


「かよちん?」


たくさんの星が煌くなかにひとつ、一際輝く大きな星。


「みんな待ってるよ。行こうよ!」


その星は凛のもとまで飛んでくる。やっぱりかよちんだ。その星は羽根の生えたかよちんに変わった。


「凛ちゃんだ!」


「凛ちゃん🎵」


「凛!」


「早くしなさいよ、凛」


「凛ちゃんやん!」


「凛、待ってたわ」


「凛、あんたがいないと始まらないわよ」


温かい。近づくにつれて心の底から湧いてくるこの感情。みんなに囲まれて、すごくいい気持ち。


あぁ、しあわせだなぁ。


そんな気持ちに包まれながら、凛は静かに目を覚ます。夢か。でもなんだか、夢の中だけど、楽しかったなぁ。

3 :名無しで叶える物語(もみじ饅頭)@\(^o^)/:2016/01/01(金) 04:02:10.80 ID:gA0MRO7W.net
冬の半ば、外は雪こそ降ってなかったけど、木々は葉っぱを捨て去り寒さをじっとこらえている。窓には結露がゆっくりと垂れている。


今は冬休みで、μ'sの活動も休止中。みんなは思い思いのことをしてるんだろうなぁ。んー、凛は特にすることはないかな。あ、宿題は置いといて。


今日も外は寒そう。こんな日はお部屋でぬくぬくしてるに限る。……って考えて何日経ったんだろう。いつも起きるのは昼過ぎ。今日も凛は部屋から出てこない。だって寒いんだもん。


でもそんなんじゃダメだよね。さすがにここ毎日部屋にこもってちゃいくら運動ができる凛だってμ'sの活動が始まる頃にはがくがくして生まれたての子鹿みたいになっちゃう。


そうだ。今日は外に出てみよう。散歩でもしようかな。そうと決まればさっそく着替えるにゃ!


ブラウン色のミニスカートに白いニット。それに黒いダッフルコートを着れば完成!全部ことりちゃんが買ってくれた凛の新しい服。ことりちゃんと遊びに行ったときに、『遅くなったけど、ことりからのお誕生日プレゼント!」って言って買ってくれたの。


11月にの中ごろに買ってくれたけど、今でも十分暖かい。リビングに下りてテレビを見ているお母さんにひとこと言って凛は寒い寒い外の世界に足を踏み入れた。


元気よく外に出たのはいいけど、もうそろそろ12月が終わろうとしているなかの冷たい空気は凛の瞳をウルウルさせるのに1秒とかからなかった。しかもちょっとだけ雨がふっている。なんだかテンション下がるにゃ……。


ゆっくり歩みを進めるけど、特に行き先は決めていない。近場を散歩しよう。木々の揺らぎを見ているとそれすらも嫌になってくる。

4 :名無しで叶える物語(もみじ饅頭)@\(^o^)/:2016/01/01(金) 04:11:38.38 ID:gA0MRO7W.net
散歩をはじめて10分たったかそれくらいのとき、ふっと懐かしい気持ちを思い出す。


なんだろう、すごく温かい……。


見上げると、優しい光が凛を照らしている。今まで雲に隠れていた太陽さんが顔を向けてきたんだ。どうやら小降りだった雨が止んだらしい。


―――いっしょにおいで、木々の宴に―――


耳を澄ましたら聞こえてきそうだった。お日様が凛に囁いてくるように思えた。なんだか足取りが軽くなったみたいだにゃ!


いつに間にか雨雲もぽつぽつと散っていた。まるでシャボン玉みたい。そよそよと流れる冷たい風と散歩する。


―――大丈夫きっと―――


頬に触れる優しい風も凛に囁いてくる。家を出たときの気持ちが嘘のよう。ココロが羽根になったみたい!この気持ちをあのお日様のヒカリに放してみよう、なんて、変なことを思っちゃう。


雨が消えた青空には、綺麗な放物線を描いた虹が架かっていた。ゆらゆら漂うあの虹は、まるでお空のリボン。


―――虹を結んで空のリボン―――


ふいに思ったこの言葉。なんだかいい響きだにゃ。かよちんは今頃なにしてるんだろう。この虹を見てるかな?かよちんの笑顔に贈り物としてこの虹をあげたいな、なんて。願いを込めたら叶いそう。みんな、なにしてるかなぁ。

5 :名無しで叶える物語(もみじ饅頭)@\(^o^)/:2016/01/01(金) 04:16:46.92 ID:gA0MRO7W.net
気が付けばかなりの距離を歩いていた。辿り着いたのは緑の草木が広がる大きな草原。ここは昔よくかよちんと遊んだ秘密の場所。


シャボン玉みたいだったぷかぷか浮かぶあの雲が今は甘くて美味しそうな綿菓子みたい。


草原の先にある小さなベンチ。小さい頃の凛たちはこの広い草原で走り回って、疲れたらベンチに座って休憩。背中に風を受けながら、気づけば2人とも夢の中。


ベンチに座ってみると、少し小さく感じた。そういえばここに来るのはいつぶりだったっけ。最後に来たのが小学校2年生ぐらいだから、8年ぐらいかな?


お空を陽気に飛んでいた2匹の小鳥が凛の隣に舞い降りた。仲よさそうにチュンチュンとお話ししてる。ことりちゃんがいたらお話できたのかな?ふふっ。


そのとき、後ろからふーっと風が吹いた。凛を追い越して消えていく。柔らかなその風はどこに行くんだろう。


「ねぇねぇ小鳥さん。風はどこに帰っていくの?」


心を陽気にさせてくれた青空が、いつの間にか切なさの残る夕焼けへと変わっていった。


お空がオレンジ色に変わり、凛の影は伸びていく。黒いダッフルコートもオレンジ色を帯びて、夕日のレースをかけてるみたい。

6 :名無しで叶える物語(もみじ饅頭)@\(^o^)/:2016/01/01(金) 04:21:27.13 ID:gA0MRO7W.net
夕焼け顔の太陽さんは帰るのが早い。草原から見える街並みのビルの谷間に消えていく太陽さんを見送ると、綺麗なお月様が顔を出す。


空は満天の星空。満天の星空?なんだか前にも見覚えが……まぁいっか。お星様がたくさん光っててすごく綺麗。


凛知ってるよ。夜のことを宵って言って、そのときに出ている月のことを宵月って言うんだよ。そのまんまだよね。まあ全部真姫ちゃんから教えてもらったんだけどね。なんだかかっこいい響きだから覚えちゃった。


―――見守ってるずっと―――


宵月が照らす煌きは、優しく凛を抱きしめてくれるみたい。


バラバラに羅列された輝く星は、変わることのない煌きを見せる。


綺麗……。


思わずつぶやく凛の顔はきっと笑ってるんだろうな。


星空に浮かぶたくさんのお星様。この星たちを並べるとどうなるのかな。お昼の虹が空のリボンなら、夜の星はボタンかな?


―――夜のカーテンを留めてあげる―――

7 :名無しで叶える物語(もみじ饅頭)@\(^o^)/:2016/01/01(金) 04:26:58.60 ID:gA0MRO7W.net
ポケットに入れてあるケータイに着信が入る。流れてきたのは『なわとび』。


「かよちんだ!」


電話に出ると、息を荒げたかよちんからの声が聞こえた。


「凛ちゃん!今どこにいるの!?凛ちゃんが帰ってこないって凛ちゃんのお母さんから電話があって……何回電話しても出ないし……」


時間を見るともう20時過ぎたころ。星空に感動して時間のことをすっかり忘れてたみたい。ケータイには目を伏せたくなるほどの着信の数。お母さんも怒ってるだろうなあ。急いで身支度をして家に向かって走る。


帰る途中の星空は、どこから見ても変わることのない煌きを放つ。こんなに真面目にお空を見たのは初めてだよ。真姫ちゃんの趣味が天体観測なのもわかるかも。


おもえば虹とか太陽とか星空とか全部凛の身近にあったものだったんだ。こんなに楽しくなれることを知らなかったなんてやっぱり凛はバカかもしれない。

8 :名無しで叶える物語(もみじ饅頭)@\(^o^)/:2016/01/01(金) 04:29:34.08 ID:gA0MRO7W.net
家に近づくにつれ聞こえてくる聞きなれた声。あそこの角を曲がればきっと凛の大切な友達が待っている。


今日はいろいろなことがあったなあ。寒さなんてそっちのけで1人ではしゃいでたところ、そうとう凛は今日という1日を堪能したんだろうね。


ほら、やっぱり。家の前にお母さんとかよちん。かよちんは凛の顔を見るやいなやお説教を始める。まるで海未ちゃんみたい。そんなかよちんも凛は好きだけどね。


かよちんからのお説教を真面目に聞いて、真面目に聞いた分だけかよちんは凛に優しくしてくれる。


ああ、今日といいかよちんといい、凛はしあわせだなあ。


「凛ちゃんどうしたの?笑ってるけど」


かよちんに聞かれたけど、これは凛だけの秘密。誰にも言わない、凛だけの秘密。

9 :名無しで叶える物語(もみじ饅頭)@\(^o^)/:2016/01/01(金) 04:33:31.53 ID:gA0MRO7W.net
リビングに入ると、パンパンって大きな音とほのかな火薬のにおいが香る。カラフルな紙が凛の前を行き交う。何が起こったか理解するのに時間がかかったのは急すぎたからか、やはり凛の頭がバカだからか。


そこには机の上にたくさん盛られた料理の数々、大きく『happy birthday』と貼られている壁、そしてクラッカーを持ったμ'sのみんな。


「ちょっと遅れちゃったけど、お誕生日おめでとう凛ちゃん」


凛の背後からかよちんが顔を覗かせてきた。


「え、でも凛の誕生日はもう過ぎたよ?それに誕生日ならみんなが部室で祝ってくれたし……」


「あのときは祝うことしかしなかったでしょ?」


「そうそう、パーティはまだやってなかったやん🎵」


「そうだよ!今日は凛ちゃんの誕生日パーティなんだから!」


「凛が帰ってこないから心配したんですよ?」


「お誕生日パーティの主役がいなかったら困るもんね🎵」


「ここまで用意したんだから今更やらないなんて言わせないわよ?」


「真姫は全然料理できなかったから邪魔しかしなかったけどね」


「余計なこと言わないで!」


いつもの風景、いつもの会話。これも身近にあった凛の小さなしあわせ。凛を導いてくれる、8個の大きな星。あっ、昨日見た夢。今日1日ずっと感じていてこの気持ち、昨日見た夢の中と同じだ。


気づかないうちに、凛はしあわせに囲まれていたんだ。

10 :名無しで叶える物語(もみじ饅頭)@\(^o^)/:2016/01/01(金) 04:37:50.50 ID:gA0MRO7W.net
パーティが終わったあとも、余韻が消えることはなかった。みんなが帰ったあとも凛はとてもウキウキしてて、小学生に戻ったみたい。こんな気持ちになれたのもみんながいてくれたからだね!


寝る前に布団の中で今日という1日を振り返る。今日だけでたくさんの経験、たくさんの思い出ができた。だんだんと襲ってきた睡魔に負けそうになる。だけどその前に、これだけは言っておかなきゃ。


「明日またしあわせであるように」




おわり

11 :名無しで叶える物語(もみじ饅頭)@\(^o^)/:2016/01/01(金) 04:39:49.56 ID:gA0MRO7W.net
誰も見てないと思うけどありがとうございました
元ネタは多分わかると思います

12 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2016/01/01(金) 04:49:30.18 ID:x6FBZxM4.net
乙乙
言い雰囲気ね

13 :名無しで叶える物語(もみじ饅頭)@\(^o^)/:2016/01/01(金) 04:55:23.28 ID:gA0MRO7W.net
あ、あと次からはもっとこうしたほうがいいとかありましたら教えてほしいです

14 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/01/01(金) 06:24:18.91 ID:yAFQ/Tep.net
乙です

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