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【SS】希「らぶどーるず」
- 1 :名無しで叶える物語(テレビ埼玉)@\(^o^)/:2016/03/27(日) 02:40:55.50 ID:lYQTPe2F.net
- ※R-18のぞ→えり短編
※後味よくない
枕の裏側に隠した絵里の携帯電話が着信を知らせた。
髪も乾ききらない希がちょうど部屋の扉を開けた時だった。
絵里はとっさに振動するそれをもっと奥深くへ押し込もうとするが、
希の含み笑いに気づくと、
観念したのか溜め息とともに取り出して開いた。
「……亜里沙よ。帰りにコーンスープ買っといて、ですって」
「あは、こんな時間に?」
「明日の朝、ってことでしょう」
絵里が予測変換で適当な返事を送る間に、
希は絵里のいるベッドへと潜り込む。
送信ボタンを押すより先に湯気をまとった腕がその手にまとわりつく。
希の肌の火照りがバスタオル越しに伝わり
馴染んだシャンプーの香りに絵里は相も変わらず惑わされてしまう。
- 2 :名無しで叶える物語(テレビ埼玉)@\(^o^)/:2016/03/27(日) 02:41:29.63 ID:lYQTPe2F.net
- 送信の完了と同時にスリープボタンを押す。
光の落ちた画面に、
髪を濡らした希の横顔が映り込む。
その横顔が絵里の首もとを嗅ぐように近づけられ、その身体に自分の身を寄せる。
絵里の手から携帯電話がこぼれ落ちる。
希が携帯電話を遠くに押しやる手で同時に照明のリモコンを掴むと、
豆電球の薄暗い橙色に切り替わった。
もう一度ボタンを押そうとした指が絵里に抑えられる。
だめ、いや。
完全な消灯を嫌がるその声も、すでに蒸気で濡れたようだった。
- 3 :名無しで叶える物語(テレビ埼玉)@\(^o^)/:2016/03/27(日) 02:41:57.17 ID:lYQTPe2F.net
- 希はその腕を引くと絵里のバスローブの隙間に差し入れた。
脇から背中へと伸びながら、指先が絵里の肌を這ってゆく。
熱っぽい息から抑えきれない声が漏れ出す。
背中を濡らす水滴に交じった汗が、
もっと奥深くへと希の指を誘ってゆく。
希の口元では浮き上がった鎖骨に涎が垂れ落ち、
その冷たさに絵里の腰がぴくんと震え出す。
不意に希の首が掴まれ、引き寄せられた。
唇の肉が重なり、自然と二人は目を閉じる。
希はその感触にすがるように、絵里に自分を押しつける。
はだけた絵里の上半身と自分とを隔てるバスタオルの感触が煩わしかった。
その分だけ希は絵里の奥へと舌を伸ばす。
伸ばされた舌の付け根に、絵里の舌が重ねられる。
瞼を閉じた暗闇の中で粘った水音が響きわたり、耳の奥を苛んだ。
希は舌の付け根を弄ばれ、絵里の味に濡らされながら、
どうしようもなく洩れる自分の声をごまかすように唇を強く押し当てた。
そして心の奥で言葉にならない思いを叫ぶ。
えりち、すき、もっと――
だが、深いキスを続けているため言葉が形になることはない。
- 4 :名無しで叶える物語(テレビ埼玉)@\(^o^)/:2016/03/27(日) 02:42:24.83 ID:lYQTPe2F.net
- 希の力を抑え込むように絵里が彼女の身体を横たえさえた。
舌が絡まって立てる音を絶やさぬまま、
希を覆う白い布をほどいていく。
タオル生地は汗や熱気やいろいろに濡らされ、
すでに意味を失くしかかっていた。
絵里の指先が希の耳たぶに触れると、また嬌声が漏れ出てしまう。
絵里の人差し指が頬の線をなぞっていくのを感じる。
かろうじて触れるほどの弱い感触が、
希の奥底をぞわぞわと高ぶらせていく。
指が顎を伝う頃、反対の腕でタオルが払いのけられた。
布団の中へも流れ込む部屋の空気の生ぬるい冷たさに、
希の肌が震えそうになった時、
汗を滲ませた柔らかな重みがそこに重ねられた。
肌と肌が直に重なり合う感触。
「……っぁあっ!」
塞ごうとした唇からはしたない声が漏れた。
胸の重みにつぶれそうになり、
絵里の肌に擦られる自分の先端が否が応もなく反応してしまう。
希は身体の奥で燃え広がる感覚に堪えきれず、
絵里の背中を掴んでいることしかできない。
そんな希の唇の端に指が添えられる。
えりちの指。
考えるよりも先に、舌が彼女の指を求めた。
希に招き入れられた絵里の指が、舌の裏側でちろちろと動く。
希はその指が逃げないように、
爪の先から間接の線の一本一本をなぞっては皮膚をふやかしていく。
- 5 :名無しで叶える物語(テレビ埼玉)@\(^o^)/:2016/03/27(日) 02:42:52.56 ID:lYQTPe2F.net
- ――もう、希ったら。
希のうなじの線に吐息を垂らすように、絵里がぽたりと呟いた。
それは恥も外聞もなく絵里を求める自分を嗤っているように聞こえた。
思わず、無意識のうちに絵里の脚へと絡みついていた脚を離そうとしてしまう。
弾みで絵里の冷えたつま先が触れて、
骨の髄へ響く感触にまた声を漏らしてしまう。
唇を離した絵里は、息も絶え絶えに自分の指を吸う希の姿を見下ろした。
この子が、
学校ではいつも余裕ぶって思わせぶりな態度を見せる希が、
こんな風に私を求めている。
どうしようもない姿をさらして、身体じゅうで私を求めている。
豆電球が染める肌の色は、
普段見せる姿よりも妙に扇情的だった。
橙色に染められた胸の尖端が乱れた息に併せて微かに上下する。
目が闇に慣れたせいか、乳房に透けた静脈の青い線がはっきりと見える。
絵里は、希の身体を走る青い線に惹かれていた。
濡れたままの唇をそこに落とし、
希の味に染められた舌ですっとなぞっていく。
希が声をあげ、腰ががくんと震える。
その脚の付け根はもう、熱い蜜で滴って湯気をあげているのだろう。
えりち、やだぁ、ちゃんとやって。
耳元に幼すぎる声が届いて、ぞくぞくする。
もう口から指を外してしまったらしい。いけない子だ。
自由になった指を、希の腰骨に押し当てる。
骨と腰の形を指で確かめるように、強く強くなぞっていく。
静脈は乳首の先に届かない。
焦らされた希の両脚は絵里の指に甘えるように、
身悶えするように擦りあわされていた。
――希、あいしてるわ。
冷たく黒ずんだ、重たい声が聞こえた。
- 6 :名無しで叶える物語(テレビ埼玉)@\(^o^)/:2016/03/27(日) 02:43:20.22 ID:lYQTPe2F.net
- 希はその声に思わず目を開けてしまう。
ちがう、
えりちは、
えりちにそんなこといわせたら、……
「ぁあっ! やあっ、まっ、やだぁ……ふぁああっ!」
途端に希の胸が強く吸われた。
身体の奥で破裂した果実から熱い汁が流れ出る。
奥底の深いところがなにかを求めて収縮してしまう。
希の身体が擦り付けるように悶えて、
その膨らんだ胸もこぼれ落ちそうなほど揺れ動く。
身体の熱くなった場所から離れた唇が、耳元で熱い息をこぼす。
耳朶を軽く噛み、啜っていく涎の音が身体の奥で反響していく。
もう、
たまらなかった。
いいそびれた言葉も落としてしまった。
えりちがいる。
わたしを、みてくれてる。
わたしに、やってくれる。
腰骨に伸びた指をねだるように身体の芯を近づけると、
絵里の指先はゆらゆらと、
蜜蜂が花弁に誘われるようにして希の熱源に誘なわれる。
- 7 :名無しで叶える物語(テレビ埼玉)@\(^o^)/:2016/03/27(日) 02:43:48.04 ID:lYQTPe2F.net
- ――えりち、
――なあに。
――キス、して?
- 8 :名無しで叶える物語(テレビ埼玉)@\(^o^)/:2016/03/27(日) 02:44:15.63 ID:lYQTPe2F.net
- 薄目を開いたまま、
うなされたように唇を求めるその目は淫らな熱に蕩けきっている。
だが、その瞳の奥はとても幼げで、
置き去りにされた迷子の子どものようだった。
そんな目で、
あまりに不器用な形で自分を求める希の姿が、
絵里には痛ましかった。
違う、私じゃない、
こんなことしていいのは、少なくとも私では、
……絵里が目をそらす間もなく、希の腕が絵里の身体を掴んだ。
薄目を閉じて、
赤い唇をほんの少しだけ絵里の方へと突き出してみせる。
希が自分を求めている。
さっきまで心臓の奥まで冷え切っていたはずなのに、
黒ずんだ熱が胸の奥で膨らんでいく。
無防備に全身を投げ出して自分を求めるその姿が、
絵里にはまるで処刑を控えた罪人のように感じられる。
――希、ゆるして。
口からこぼれた言葉の意味が伝わないうちに、絵里は無理矢理唇を重ねた。
- 9 :名無しで叶える物語(テレビ埼玉)@\(^o^)/:2016/03/27(日) 02:44:43.26 ID:lYQTPe2F.net
- 希の手が背中に回り、強く抱きしめる。
そうだ、これでいいんだ。
絵里は頭の奥で自らを苛む声をかき消すように、
わざと音が立つように舌の奥へと吸い付く。
呼吸も満足にできない希の鼻息を感じて、
汗塗れになった皮膚をねちゃねちゃと絡め合わせては
互いの身体の形をまさぐりながら、
絵里は脚の付け根からくぐもった場所へ指を挿し入れる。
そこからあふれ出た汁はもう、
先ほどの逡巡で冷えてしまっているように感じた。
希が身を硬くする。
濡れて肌に張り付いた毛をくすぐるように指を動かすと、
ますます身体を硬くしては腰を動かし、その先を求めている。
「のぞみ、……ごめんね」
絵里は刀代わりの指を深く差し入れた。
希の腰が強く跳ね、入り口が強く締まった。
- 10 :名無しで叶える物語(テレビ埼玉)@\(^o^)/:2016/03/27(日) 02:45:10.87 ID:lYQTPe2F.net
- 部屋中に希の声が響いた。
希が身体で握りしめるせいで、指がうまく動かせない。
指の先が希の奥に触れるたび、喉から濡れきった声がくぐもり出る。
肋骨の線を唇でなぞりながら、もっと奥へと指を伸ばしていく。
突き出した胸の形を左手で変えながら、
求められるがまま硬くなった場所を口に含んだりする。
指の数を二本に増やし、
今しがた口腔を犯した時のように、襞のうねりを愛撫していく。
唇が胸から腹、臍、腰骨へと少しずつ下りていく。
希の声も高まって、何度も指を締め付ける。
ついに絵里の唇がその場所へたどり着く。
「えりち、みないで……」
うわごとが遠くに聞こえた。
希の匂いが鼻の奥に広がり、頭の奥まで溶けていくようだ。
終わらせてあげなくては。
それが、この場の私の役割なのだから。
絵里は指先を強く擦りつけながら、
希の入り口の、
絵里を求めて赤く膨らんだ場所に熱い口づけを落とした。
今際の際のような声が響いて、希が絵里を強く握りしめた。
そんな姿になっても
絵里の頭に触れている希の手がたまらなく愛おしく思えてしまう。
彼女が強い快楽の波に攫われる間、絵里はそんな自らを強く恥じた。
- 11 :名無しで叶える物語(テレビ埼玉)@\(^o^)/:2016/03/27(日) 02:45:38.40 ID:lYQTPe2F.net
- 息も絶え絶えの希が、かすれた声で自分を呼ぶ。
絵里は求められるがまま、口づけを交わす。
いつか、絵里はこんな口でキスしていいのかと尋ねたことがあった。
『うちはえりちのそばにいたいんよ』
――希は笑ってそう答えたあと、
絵里の指に自分の手を重ねたのだった。
あの時と同じように希の指が絵里の手を求める。
見当違いな方をまさぐろうとして、絵里の携帯に手が当たってしまう。
その手をすかさず取ると、絵里は指を絡め合わせた。
これでもう、希の手は動かない。
- 12 :名無しで叶える物語(テレビ埼玉)@\(^o^)/:2016/03/27(日) 02:46:06.01 ID:lYQTPe2F.net
- ぜえぜえと、二人分の荒い呼吸がさざ波のように鳴っていた。
暑苦しくて布団を剥がしてしまったせいで、
絵里の背中が水に冷えていく。
希の腕に暖まろうと身を寄せて、
希が風邪を引いてしまう想像に後悔する。
希は自分の上に重なった絵里の重みを感じながら、
彼女の肢体をぼんやり眺めていた。
遠くに広がる脚の線、尻の形、腰の曲線、すべてがたまらなかった。
この人を愛するために生まれてきたのだと、
事を終えた後で裸体を眺める時には強く感じた。
……けれども、本当はきっと、その身体はここにあるべきではないのだ。
「……メール、返事しなくていいん?」
わざと絵里に言う。
不意に投げられた言葉に絵里の考えは追いつかない。
数刻して、明日にでも返すわ、と絵里の返事が聞こえた。
それは希にとって、明日までは絵里が恋人でいてくれることを意味していた。
肌の感触を溶かし合わせたあとでは、希も嘘をうまくつけなかった。
思わず子どもじみた笑みを浮かべてしまって、
そんな顔を絵里の胸の中に隠した。
- 13 :名無しで叶える物語(テレビ埼玉)@\(^o^)/:2016/03/27(日) 02:46:33.76 ID:lYQTPe2F.net
- 絵里は希の隣に寝転がり、
布団をその小さな肩に掛け直しながら、
胸元に寄せられた希の頭をずっと撫でていた。
希のような素敵な人がわざわざ自分を選んでなつくのだから、
ひょっとすると、
自分はここにいていい人間なのかもしれない。
そんな甘い想像に心を任せてしまいたくなるほど、希の身体は柔らかかった。
本当は、希のことを愛しているのかもしれない。
神様はこの二人がこうあるべきだと分かって、
私たちを結び合わせているのかもしれない。
そんな空想に浸かりそうになりながら、
それでも絵里の心の奥には、想い人の陰がちらついては消えなかった。
自分はここにいるべきではないのだ。
それはきっと、関係を始める前から分かり切っていたはずなのに。
雨音のように聞こえていたのは、絵里がしゃくり上げる声だった。
- 14 :名無しで叶える物語(テレビ埼玉)@\(^o^)/:2016/03/27(日) 02:47:01.36 ID:lYQTPe2F.net
- 希はそっと絵里の身体を寄せ、布団の中へと隠してやる。
絵里はその胸に顔を寄せ、小さく声をあげて泣いた。
のぞみ、ごめん。
ごめんなさい、わたし、さいていなの、
ごめん、ごめんなさい……
絵里の言葉に、希は耳を貸さなかった。
寝息のように静かな呼吸をしてみせ、
寝返りのように身体を動かして絵里を抱きしめた。
これは罰だ、と希は密かに思う。
このまま眠ってしまえたらいいのに、神様は眠らせてくれない。
実らぬ恋を横から摘んでしまった私に、犯した罪を思い知らせるために、
こうして愛する人の泣く声を聞かせるのだ。
- 15 :名無しで叶える物語(テレビ埼玉)@\(^o^)/:2016/03/27(日) 02:47:29.04 ID:lYQTPe2F.net
- えりちのためになりたかった。
うちはどうなってもよかった。
えりちの家に飾ってある、きれいだったお人形さん、
ちっちゃい頃のえりちはずっと一緒に連れ歩いて、
でも今は腕も脚もぼろぼろで、ガラスの棚に閉じこめられっぱなし、
名前だって覚えてないんよね。
でも、えりちのそばにずっといられる。
それでいいんよ、
うちは、えりちのしたいものに、なってみせるよ。
- 16 : ◆rB0CA7jVXk (テレビ埼玉)@\(^o^)/:2016/03/27(日) 02:47:56.71 ID:lYQTPe2F.net
- 絵里は希に抱かれながら、今も頭の中の声に責められ続けている。
やっぱり、あの子に想いを告げるべきだったんだ。
あの子が友達に恋愛感情を持つような子じゃないって、知ってたって、
ちゃんと散らせるべきだったんだ。
希の肌は柔らかくて、
こうして頭に手を置かれるその感触だけで頭がぼうっとして、
心の奥の蔑むべきものまで全部、受け入れてくれそうな気さえする。
本当は全部捨ててすがりたいのだ。
でも、このままじゃいけない。
でないと私は、希を本当の意味で壊してしまうから。
希は私の手で壊されたいのかもしれない。
でも、希のために、私のために、そんな役割を演じてはいけない。
希の寝息が本物に変わる頃、絵里は密かに誓いを立てる。
このままじゃいけない。
おわり。
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