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ダイヤ「どういうつもりですの…!!」鞠莉「わ、わたしは…」

1 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 16:39:46.96 ID:rnrkbzFK.net
短編鬱です

2 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 16:40:19.16 ID:rnrkbzFK.net
小さな部屋に大きな声が必要以上に響き渡る

ダイヤ「なぜ…なぜなぜなぜなぜ、なぜ東京に行くのを止めなかったのですか!!」

 感情に身を任せ今にも崩れ落ちそうな少女に その全てをぶつける

鞠莉「こ、こんな事になるなんて私は…」

ダイヤ「予測できた事態のはずですわ…!」

鞠莉「ごめん…なさい…」ポロ

ダイヤ「っ…全ての責任が貴方にあるわけではありませんわ…私も、千歌さん達が東京に行くことを知っていた…」

 彼女の頬を伝う一筋の涙は怒りに燃える理不 尽な心を沈める
 ふと我に返ったように、否定し続けた彼女の ことを慰める、そして自分がいかに支離滅裂 な事を言っているかを理解する


ダイヤ「私は今日を持って浦の星女学院を自主退学します、これが私にできる千歌さんと、周りの人間にできる最大限の詫びですわ。」

3 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 16:40:52.01 ID:rnrkbzFK.net
鞠莉「そ、そんな…ダイヤが学校をやめる理由は一つも…」

 彼女の言う通り、私が学校を辞めたところで 何かがいい方向に変わるわけではない、むし ろ学校は生徒会長という重大な役割を持った 生徒を突然失い少なからず被害を受ける

ダイヤ「こんな事ですべてが許されるとは思っていませんわ」

 ただ私は逃げているだけだ、どうしようも  ない負の感情が渦巻き、嫌な空気が漂う学校 から

ダイヤ「失った物が大きすぎて、私では償いきれません。」

 自分は強い人間だった、並大抵のことでは挫 けず何度でも立ち上がり、自分の納得の行く まで食らいつく
 しかしたったひとつの出来事が今までの自分 を変えてしまった

ダイヤ「そうでしょう?…一人の人間の尊い命が失われたのですから」

 それほど高海千歌という少女の死は重かった

4 :名無しで叶える物語(しまむら【16:35 震度1】)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 16:41:24.20 ID:rnrkbzFK.net
鞠莉「なんで…私は…こうなることなんて望んでいなかった…」

ダイヤ「あの子達にはまだ早すぎたのですわ…」
 
 あの6人の少女たちに全く期待していなかった と言ったら嘘になる
 だからこそ東京に行くという彼女達を送り出 した
 彼女達なら私達が超えられなかった壁を超え られる
 不思議とそう思ってしまっていた
 胸の中に淡い期待と希望を抱いていた
 
 しかしそこに残ったものは深い後悔という一 つの感情だけだった

5 :名無しで叶える物語(しまむら【16:35 震度1】)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 16:41:56.83 ID:rnrkbzFK.net
ーーーーー

曜「いやあああああ!!千歌ちゃん!千歌ちゃん!!」ガン

 薄暗い部屋をヒステリックな叫び声、物と者 がぶつかる音が響く

果南「落ち着いて!曜!」

 近くにいる少女は私の自傷を押さえつけるよ うに腕をとり押さえつける

曜「あ、あぁ、私のせいだ…私が千歌ちゃんを追い詰めるようなことをいったから…私が私が私が私が私が…!!」

 千歌ちゃんに対して言った言葉が何度も頭の 中で再生される

 『悔しくないの?』

 そう言われた時の千歌ちゃんの表情が今も忘 れなれない、いや、一生忘れられない

果南「誰のせいでもない…誰のせいでもないんだよ!曜…っ!」

 果南ちゃんはこうしていつも暴れる私を押さ えてくれる

曜「しんじゃえ…っ!こんな駄目な私なんかしんじゃえっ!」ゴン!

 押さえつけられてもなお暴れる私の爪が果南 ちゃんの頬を、大事な大事な友達を傷つける

 また、私は友達を傷つける

果南「いっ…っ!…曜…だめだよ…!」

 頬に走っているであろう鋭い痛みを我慢しな がらも果南は曜を鎮めようと必死になる

果南「もう私は誰も失いたくないよ…!」

曜「ぁああっ…、ごめ…なさい…っちかちゃんっ…ち、かちゃ…っ」 

 声にならない弱々しい悲鳴のような謝罪をし ながら、浅い眠りにつく

6 :名無しで叶える物語(しまむら【16:35 震度1】)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 16:43:00.60 ID:rnrkbzFK.net
ーーーーー

善子「ずら丸…今日も来たわよ」ガラガラ

 不意にドアが開き、彼女にとって聞き慣れて いるであろう声が聞こえてくる

花丸「あっ!善子ちゃんいらっしゃいずら〜」

 あっけらかんとした表情の花丸は、訪れた善 子を真っ白な病室に迎え入れる

善子「善子じゃなくて…あぁ、なんかもういいや…」

 善子はいつもの決まり文句はもう言わなく  なっていた、なぜか言う気分になれなかった

花丸「ねぇ善子ちゃん?」

善子「なによ?」

花丸「まるはいつになったら退院できるずら?」

善子「っ、それは」

 聞かれたくない質問が飛んできて動揺を隠し きれずに狼狽える

花丸「早く退院してまたAqoursの練習頑張りたいよ〜」

 彼女の肉体だけは至って健康体だ、普通の病 院ならとっくに退院できているだろう

花丸「それに、聞いたよ〜!昨日とうとう新曲ができたらしいね!どんな感じの曲ずら?!」

 明るい声調で彼女は新しい曲についての興味 を示す

善子「…その話は誰から聞いたの?」

 反して善子は暗い声調で探るように問い返す
 

花丸「昨日お見舞いに来てくれた時に教えてくれたんだぁ」
 

7 :名無しで叶える物語(しまむら【16:35 震度1】)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 16:43:31.63 ID:rnrkbzFK.net
花丸「千歌ちゃんが。」

 ニコリと笑い、狂気が冷たい病室にコダ マする

8 :名無しで叶える物語(しまむら【16:35 震度1】)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 16:44:01.83 ID:rnrkbzFK.net
ーーーーー


ダイヤ「…ルビィ、ご飯持ってきましたわよ」

 …十秒ほど返事を待つが返事はない

ダイヤ「…入りますわよ?」ガラガラ

 なるべく大きな音をたてないようにに静かに 扉を横にずらす

ルビィ「…おねえちゃん…」

 憔悴しきった妹の痛々しい姿を見て心を痛め ながら自分だけは気丈に振る舞わなければな らないと思い、表情に出さないように意識を 集中させる

ダイヤ「ほら、お粥を持ってきましたわ、ゆっくりお食べなさい?」

 火傷しないように少し冷ましたお粥を妹の前 に持っていき、スプーンで掬い上げ口の前に 差し出す

ルビィ「うん、ごめんね、毎日…」

ダイヤ「…っ!貴方が気にすることではありませんわ!私はあなたの姉ですもの、そんなことよりーー」

 まずい、と思ったダイヤは口早に次の話題に 持ち込もうとする

ルビィ「ごめんね、ごめん」

9 :名無しで叶える物語(しまむら【16:35 震度1】)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 16:44:47.47 ID:rnrkbzFK.net
ダイヤ「ル、ルビィ…」

 しかし時既に遅くルビィは段々と青ざめた表 情になって行きダイヤの胸元にパタリと倒れ 込む

ルビィ「ごめんね、ごめんなさい、ごめ、ご、ゔっ…!」

ルビィ「お、おぇぇ…っ!」

 先程食べたばっかのお粥を全て体外に、ぶち まける

ダイヤ「ルビィ?!いまお母様を呼んできますわ!」

 吐瀉物が服にかかったダイヤは嫌な顔一つせ ず妹の体調を何より早く心配した

ルビィ「ぇ、おぇっ、ゔっ…ごめん…なさいっ…げほっ…」

 姉の服を汚してしまった罪悪感によりさらに 謝罪の言葉は増える

ダイヤ「ルビィ…」

ダイヤ「貴女は何も悪くないのですのよ…」

 パニックになってる妹を鎮めようとなるべく 優しい声で囁く

ルビィ「お゛ぇっえ…ち、かちゃ…」

ルビィ「ぢ、かちゃ…っはなま…るちゃんっ…」

 消えてしまった二人の少女の名前を口に しながら彼女は今日も泣き続ける

10 :名無しで叶える物語(しまむら【16:35 震度1】)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 16:45:23.48 ID:rnrkbzFK.net
ーーーーー

梨子「あの日から私はピアノに触れない」

梨子「私がもっといい曲を作っていれば」

梨子「きっと私たちは入賞できていた」

梨子「そうすればこんな事にはならなかった」

梨子「だから全ては私のせい」

梨子「私のせいなのに千歌ちゃんだけが居なくなるのはおかしいの、おかしい、誤っている」

梨子「それにまだ私は千歌ちゃんに謝れていない」

梨子「千歌ちゃん、まっててね、今すぐ私もーーー」


一人の少女の死は結果的に多大なる犠牲を生み

悲しみを膨れ上がらせながら

今も彼女たちの心を、蝕み続けている



     完

11 :名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 16:46:49.06 ID:thWRgATu.net
謎の空白は一体…?

12 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 16:46:52.42 ID:VP6N6bmW.net
マジで短編じゃねーか!
でもおつ

13 :名無しで叶える物語(ぎょうざ【16:35 震度2】)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 16:47:25.79 ID:gB1WWnT+.net
乙乙
アニメがこうならなくてよかった

14 :名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 16:54:38.38 ID:568VVCIp.net
救いがまるでない…

15 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 17:12:46.80 ID:j2s6ZTHU.net
確かに謎の空白気にぬる
それが良いアクセント?になって雰囲気がさらに出てる

16 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 17:17:43.91 ID:+vrlgEB7.net
.

17 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 17:26:33.55 ID:iSrb67wk.net
こういう時間軸もあったかもしれないんだよな…

18 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 17:56:53.54 ID:uz09TN1m.net
乙!
だけど追い討ちをかけたセイントスノーに何にも制裁が無いのがなんかスッキリしないな

19 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 18:00:33.88 ID:jLrZuwg/.net
入水ルートか
こわい

20 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 18:11:46.67 ID:1lgpzE77.net
セイントスノーは北海道からわざわざこのイベのために東京に来てるんだぞ!?
怒るのも無理ないやろ!!

21 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 18:12:28.41 ID:93eGC3bV.net
結局妄想オチとかはつけないようにしたのか乙

22 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 18:13:53.14 ID:wXHffrGG.net
俺、海未ビンタ見てこういう展開想像したことある

23 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 18:14:41.92 ID:rnrkbzFK.net
(蛇足かも知れませんが続き思いついたのでまた夜にでも書きに来ようと思います)

24 :名無しで叶える物語(地図に無い島)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 18:31:59.38 ID:ygf5+0iT.net
存分に書け

25 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 18:57:09.19 ID:iSrb67wk.net
>>23
待ってる

26 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 19:41:54.62 ID:rnrkbzFK.net
ーーーーー

善子「…ほらまた来てあげたわよ」

 リンゴやバナナなどのフルーツが入った手提 げ袋をクイッと上に持ち上げ花丸に見せつけ る

花丸「わぁぁ!善子ちゃん、毎日ありがとうずら!」

 目を輝かせながら善子の持ってきた手提げ袋 に興味を示す

善子「まったく…相変わらず食い意地張ってるわねぇ…」

花丸「善子ちゃん、食欲は三大欲求といってねーー」

 そういい自らの知識を教えようと善子に話し かける

 あぁ、この子は変わっていなんだな…と善子は 悲しさと、周りが変わっていくなかで変わら ない人がいてくれるという若干の嬉しさを感 じていた

27 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 19:42:23.41 ID:rnrkbzFK.net
善子「はいはい、あんたの下らない知識披露会はどうでもいいから」

花丸「むぅ、ひどいずら!」

 ぷくーっと頬を膨らませ不満を表情で伝えて くる

善子「リンゴ剥くからちょっとまってなさい」

 そう言うと善子は果物ナイフを鞄から取り出し、リンゴの皮を慣れた手つきで剥き始める

花丸「わぁ、ありがとう」

善子「全く、とっとと治して早く退院してよね」

 そう言葉を口にした瞬間、善子はハッとし失 言をしたことに気づく

花丸「…何を治せばいいんだろうね」

善子「え…そ、それは」

花丸「まる知ってるよ、ここ精神病院って言うんでしょ?」

 さっきまでの明るい声が嘘のように今度はど んよりとした暗い声調で語りかけてくる

善子「…えぇ、そうよ」

花丸「でもおかしいよ、まるはどこも可笑しくないのに」

28 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 19:42:53.48 ID:rnrkbzFK.net
善子「…いいえ、いまアナタは間違いなくおかしくなっているわ」

 これはチャンスかもしれない、この狂った状 況を変えるチャンスなのかもしれない、そう 善子はこの時思っていた

花丸「なんで、なんでみんなそんな酷いこと言うの!!!!」

 怒号が病室に響き渡り、二人の脳を刺激する

善子「っ、いい?落ち着いて聞きなさい」

 手に持っていた果物ナイフと剥きかけのりん ごを近くの小さな机に置き、真剣な表情で花 丸に語りかける

花丸「やだよ、今日はもう帰って、善子ちゃん」

善子「ダメよ、この話はアナタのためにするの」

29 :名無しで叶える物語(もも)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 19:43:11.54 ID:UZVWvdrZ.net
ラブライブのキャラクターのデザインは全体的に気持ち悪いのが特徴です
一目見ただけで気持ち悪くなり思わず反吐が出そうでした
こんなのに欲情できるなんてやはりラブライバーは異常者だとひしひしと感じました


ネットストーカーラブライバーの特徴

・ガキ(子供相手に本気になっちゃう障害者)
・「にこ」という名前の小学生女子相手に暴言(なお自分たちはそれより惨めな模様ww)
・犯罪者であることを何とも思っていない(精神病院収容歴があるラブライバーも多い)
・すぐに嘘をついてマス豚連呼(対立煽りをしたがるのもラブライバー)
・妄想が激しい(ラブライブがまどかに負けてる現実も見れない)
・頭が悪いので普通ならしない行動も平気で行う(買い漁って商品の中身だけ取っていくラブライバーは正常ではありません)
・ストーカー事件も起こします(犯罪者予備軍ではなく犯罪者)
・童貞(気持ち悪いキャラデザインでもそれにしがみつく)
・ネット荒らし(ラブライバーは現実だけでなくネットも荒らします)



惨めだな

30 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 19:43:39.35 ID:rnrkbzFK.net
ドクン、と心臓が大きく脈打つ

善子「ちゃんと聞きなさい」

善子「千歌ちゃんはーーもう死んでしまったのよ」

花丸「善子ちゃん、そういう冗談は言っちゃいけないってお母さんがーー」

 花丸は善子の言っていたことを冗談と受け取 り昔親に言われたことを善子に言おうとする

善子「そうやって逃げ続けるのは辞めなさい」

 しかし、それを許さないようにすぐさま言葉 を言葉で遮る 

善子「千歌ちゃんは死んでいる、東京でライブをした翌日に行方不明になりその三日後に水死体として見つかっているわ」

 花丸に無情な現実を突きつける

花丸「だ、だって千歌ちゃんは昨日も面会にきてくれて…」

善子「そんなのアナタの妄想よ、貴女は千歌ちゃんの遺体の第一発見者、思い出しなさい」

花丸「ま、まるはっ…」

 脳裏に一つのあるはずのない記憶が横切る

 『千歌ちゃんは死んでなんかない!』

 『みんなどうしてそんなに弱気なの?!』

 『もういいずら、まるが一人でも千歌ちゃん を連れ戻してくる…!』

花丸「あ、あ、」

善子「もう逃げていい時間は終わったのよ…現実と向き合う時だわ。」

 今にも泣き出しそうな花丸の表情を見て、心 がズキズキと痛む
 しかしこれも彼女のためと割り切り、現実を 一つ残らず花丸に教えていく

31 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 19:44:06.16 ID:rnrkbzFK.net
花丸「嘘、嘘ずら、こんなの嘘だよ」

 段々と顔の色が青くなっていき、手が小刻み に震える

善子「いいえ、嘘じゃないわ。」

花丸「っ…うぇ、…っ!」

 凄まじい吐き気が体中を襲い、たまらず胸を 抑えつけながら前に屈み込む

善子「現実を受け入れなさい…」

花丸「そっか…しんじゃったんだ…」

 その一言は、千歌の死を理解したであろう花 丸が、静かに発した言葉であった

32 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 19:44:40.24 ID:rnrkbzFK.net
善子「そうよ、だからアンタはーー」

 次の瞬間、善子は何が起こったのかを理解す るのに時間がかかった
 
善子「え?…は…」

 花丸は、小さな机の上に置いてあった果物ナ イフを右手でとり

 自らの胸に突き立てていた

善子「な、なんで…ぇ」

花丸「ご、ふぇ…」

 赤い液体が花丸の腕を伝い、ポツリと小さな 音を立てて命とともに地面にこぼれ落ちる

33 :続きます(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 19:45:11.50 ID:rnrkbzFK.net
ーーーーー


 ギィギィーー

国木田花丸は死亡した

 ギィギィーー

彼女が突然果物ナイフを自らの胸に突き立て自殺したのかを私にはわからなかった

 ギィギィーー

唯一Aqoursの中で千歌の死体を見た彼女は、千歌が死亡していたことを誰よりも深く理解していたのかもしれない

 ギィギィーー

だからこそ誰よりも壊れた

 ギィギィーー

現実逃避していた方が国木田花丸にとっては幸せだった
私はその幸せを現実を突きつける事により奪い取った

 ギィギィーー

だから私は自らに罰を下す

 ギィギィーー

              ギィ

天井から垂れたロープには翼を失った堕天使が吊るされていた

34 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 19:48:40.35 ID:xMwkv4yR.net
oh…

35 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 20:01:09.51 ID:jLrZuwg/.net
救いのかけらもねえ

36 :名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 21:17:53.11 ID:vfHCMYhP.net
金田一少年の事件簿みたいに黒塗りが三人に…

37 :名無しで叶える物語(ぎょうざ)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 22:06:22.64 ID:gB1WWnT+.net


38 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 22:18:37.14 ID:ZDw+fgWt.net
梨子ちゃんが明神の巫女に頼んでタイムリープ不可避

39 :名無しで叶える物語(はんぺん)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 22:23:31.53 ID:cWtkpKMx.net
東京怖い

40 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 22:34:24.72 ID:PO1THz+x.net
どんな怪力出せば果物ナイフで心臓貫けるんだよ…

41 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 22:43:15.50 ID:tyPL8OI5.net
普通に肋間から

42 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/17(土) 22:47:12.74 ID:Op4U4Ke2.net
私は喉から

43 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 02:11:05.58 ID:OdfH6GDb.net
ーーーーー

黒澤ダイヤの心身の疲れは既に限界を越えていた

ダイヤ「っ、あぁ、次はお琴の稽古でしたわね…」

 フラフラと揺れる足取りでやるべきことをや るべく次の目的地へと足を運ぶ

ダイヤ「っ、弱音を吐いては行けませんは強く生きるのです…っ」

 偽りの鼓舞で自らを奮い立たせようとする  が、限界を超えた体は言うことを聞かず、視 界がぐらりと横に崩れる

 ひんやりとした床の感触が頬に心地よく伝わ り、意識は闇の中へと誘われるーーー

44 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 02:12:03.76 ID:OdfH6GDb.net
ーーーーー

「ーーん!」

 暗い霧の向こうから誰かの声が聞こえる

「ーーちゃん!」

 この声は…聞き慣れた妹の…ルビィの声だ

ルビィ「お姉ちゃん!」

ダイヤ「いっ…っ」

 ずっしりと重く感じる腕を持ち上げ、体が動くことを確認する

ルビィ「お姉ちゃん…起きてくれたんだね…!」

ダイヤ「えっと…ここはどこですの?」

 ぼんやりと目を開くが辺り一面は闇に囲われ たままだ、なぜ自分は目隠しをつけているの だろうか?

ルビィ「お姉ちゃん、お琴のお稽古に行く途中に倒れちゃってそれで…」

ダイヤ「…なるほど、だいたい理解しましたわ」

 素早く自分が置かれている状況を理解する

ルビィ「お姉ちゃん、本当に心配したんだからね…」

 震える声でルビィはそう言う
 目隠ししていても、その顔は赤く泣き腫らし ているだろうとわかり、それほど心配してく れた事を申し訳なく思いつつ、ちょっぴり嬉 しい

45 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 02:12:45.09 ID:OdfH6GDb.net
ダイヤ「ルビィ…ありがとう、もう心配はいりませんわ」

ダイヤ「それとこの目隠しは取っても大丈夫なのですか?」
 
 何らかの治療器具だった場合、勝手に外して
 は不味いと思いルビィに問いかけてから、自 分の目元に触れる

ルビィ「え…?」

 しかし目元には何かを付けている感触はな  く、触れたのは自分の肌だけであった

ダイヤ「あれ、一体どういう…」





ルビィ「お姉ちゃん…目隠しなんてつけてないよ?」


 ダイヤの視覚は失われていた

46 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 02:13:19.77 ID:OdfH6GDb.net
ーーーーー

 その後、医者に目が見えないことを伝えたと ころ、心因性視覚障害、という病にかかって いることが発覚した

ダイヤ「…」

ルビィ「お姉ちゃん…」

 心配そうな声で私のことを呼んでくる

ダイヤ「…仕方ないことですわ、自分の体を酷使した私に責任があります。」

ルビィ「そんな…お姉ちゃんは何も悪く…」

 今にも泣き出しそうな声でルビィはそう呟く

 妹を泣かせてしまう自分の不甲斐なさにつ  い、目尻に涙が浮かぶ

ダイヤ「っ、ごめんなさい、こんな時に私が弱音を吐いては行けませんわね…っ」

 涙が溢れないように必死に堪える

47 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 02:13:54.79 ID:OdfH6GDb.net
ルビィ「ちがう…違うんだよお姉ちゃん…」

ルビィ「弱音吐いていいんだよ…っ」

ダイヤ「え…」

 予想してなかった言葉が妹から出てきて驚き を隠せずに言葉を漏らす

ルビィ「私は今までお姉ちゃんに頼ってばかりで、なんの恩返しもできてなかったの…支えられてきただけなの…」

ダイヤ「そんなことはーー」

すぐにそんなことはないと言おうとしたが、ルビィの言葉に遮られる

ルビィ「だからね、こんな時こそ、頼りないかもしれないけどルビィを頼ってほしいの…!」

ルビィ「つい昨日まで色んなことがあって、お家にずっと引きこもってたルビィだけど、さっきお姉ちゃんが倒れたって聞いてやっと気付いたの…!」

 そこには臆病で、弱気な妹の

ルビィ「私もお姉ちゃんを支えなくちゃっ…って!」

 決意があった

48 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 02:14:26.38 ID:OdfH6GDb.net
ダイヤ「ルビィ…っ」

ルビィ「だからね、お姉ちゃん…」

 我慢していた涙が堪えきれずに一粒一粒大粒 の涙になって頬を伝い落ちて行く

ルビィ「一緒に頑張ろ?」

 臆病で弱気で自分の言いたい事をはっきり口 に出せなかった妹は、いつの間にかにこんな にも立派に成長していた

ダイヤ「ありがとう…ルビィ…」

 感謝の気持ちが涙と一緒に溢れ出してくる

ルビィ「えへへ、私これから頑張るから!」

 光を失った視界に強く輝く何かが見えた

 今だけは心の奥底から幸せと思い、目を閉じる

49 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 02:15:18.28 ID:OdfH6GDb.net
ルビィは学校に登校している、一度は恐れ、逃げた場所だが、姉との約束のおかげでまたこれる事を嬉しく思っていた

ルビィ「それにしても、入院してる花丸ちゃんはともかく、善子ちゃんも休みかぁ…」

 善子が学校を休むことは比較的珍しく不思議 に思う

 それに毎日すかさず送ってくれていたメール も昨日からぱったり来なくなり、余計に心配になる

ルビィ「よし、今日学校が終わったらまずは善子ちゃんの家に行って…その後に花丸ちゃんの病院にも行って〜…」

 そう思えば一日の授業が終わるのは早かった

 最後の授業の終わりを報せるチャイムが鳴る

 帰宅の準備をしている途中、不意にクラスメ イト二人が話してる言葉が耳に入ってきた

50 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 02:15:47.10 ID:OdfH6GDb.net
    「花丸ちゃんと善子ちゃんがーーー」

ルビィ(ー?花丸ちゃんと善子ちゃん?)

 盗み聞きするなんていけない、と思ってはい るが好奇心には勝てずについ耳を傾けてしま う

   「ーーーーーーーーーーーー」

ルビィ「え…」

 耳に入ってきた会話は酷く残酷なものだった

ルビィ「そんな…まさか…」

 ただの噂話に過ぎないが、今の花丸の状況を 知っているルビィにとってはなにか嫌な予感 がした

51 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 02:16:22.93 ID:OdfH6GDb.net
足早に教室を後にし、花丸の病院に直行しよ うとする

 鞄を教室に置いてきたことに途中で気づくが そんなものに気を使っている余裕は無かった

 質の悪い噂話だと頭の中で思いつつ、不安な 気持ちが鼓動を大きくするのを感じていた

ルビィ(善子ちゃん…!花丸ちゃん…!)

 ルビィの頭の中はもはや花丸と善子のことし か入っておらず、周囲のことに気を使う余裕 はなかった



 だから気づくことはなかった

 赤く光る信号機に

52 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 02:17:14.49 ID:OdfH6GDb.net
ルビィ「え?」

 隣で不快で大きな音がしたと思ったら、体全体に鈍い痛みが走り
 道行く人々の悲鳴が聞こえてくる



 小さな体は巨大なトラックに引き摺られ血を辺りに撒き散らしながら、削られていくーー

 

53 :続きます、また明日の夜頃に(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 02:18:22.92 ID:OdfH6GDb.net
ーーーーー

ダイヤ「ふふん、目が見えなくても歩くくらいのことならできるようになってきましたわ、やはり私には様々な才能がありますわね!」

 ダイヤは歩く練習をしながら妹の帰りを待っ ていた

ダイヤ「それにしてもルビィ、遅いですわね…」

 見えない目で健気に生き抜き

ダイヤ「どこで道草食ってるのかしら…」

 光の失われた世界で帰ってこない妹を待っているのであった

54 :名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 02:21:40.20 ID:5JdZUWkU.net
しえ

55 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 02:22:57.07 ID:+hxwTscE.net
なんにも救いがねえよ…

56 :名無しで叶える物語(地図に無い島)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 03:18:21.85 ID:S8oMkSmx.net
アカン

57 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 03:55:08.96 ID:d0olXujZ.net
辛い…

58 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 06:34:25.26 ID:h7cu67xa.net
続け

59 :名無しで叶える物語(はんぺん)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 06:36:59.45 ID:/nBnT4R4.net
すごい引き込まれる文章なだけに余計辛い

60 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 06:56:24.92 ID:I7tsQrz8.net
鬱になりそう

61 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 07:17:48.62 ID:7BjTya1b.net
ホラーじゃねぇか!

62 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 12:59:00.73 ID:OdfH6GDb.net
ーーーー

曜「…」

 部屋には二人の少女を残し暗い雰囲気が漂う

 静かなこの空間は不思議と、荒んでいた心を落ち着かせてくれる

果南「…手、大丈夫?」

 曜の細く、白く、綺麗な手首をドス黒い赤が 薄汚く塗りつぶしている

曜「…痛い…」

果南「アホ、痛いと思うならやめなさいよ…」

曜「ごめんね…気づいたらこんなことになっちゃってて…」

 酷く荒れ果てた部屋はつい先程までこの部屋 がどんな状況にあったか著しく物語っている

63 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 12:59:28.81 ID:OdfH6GDb.net
曜「果南ちゃん…そのほっぺ…」

 皮が削られたように剥けている果南の頬の傷を見て罪悪感がふつふつと湧いてくる

果南「ん、あぁこれ?消毒したしもう大丈夫だよ」

 気にかけさせまいとしてくれる果南の優しさ が逆に胸を締め付け苦しくなり、涙があふれる

曜「ごめんなさい…」

 弱々しく小さな声で謝り、目に涙を浮かべ謝 罪の言葉を発する

果南「ほら、もう泣かないで、大丈夫だから」

果南「そだ、手見してみな、消毒したげる」

 そういい曜の手を取り消毒液をぽつ、っと数滴落とす

曜「っ…ひりひりするね…」

 少しの痛みに表情を強張らせるが、果南が手を握ってくれているのが、なぜだか心地良くてすぐに表情が緩む

果南「はいはい、我慢してね〜」

 すぅっ、と余分にかかった消毒液をティッ  シュで拭き取り、白い絆創膏を手首の傷を隠 すように貼り付ける

64 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 13:00:18.21 ID:OdfH6GDb.net
果南「はい、おしまい!」

 ぽいっと手に持っていたティッシュをゴミ箱に投げ捨て、治療の終わりを告げる

曜「果南ちゃん…いつもごめんね」

果南「こーら、こういう時はごめんじゃなくてありがとう、って言うんだよ」

 ぽかんと口を開け、少し笑う

曜「ふふっ、そうだね…ありがとう」

 謝罪の言葉ではなく感謝の気持ちを果南に伝 え、さらに頬がほころぶ

果南「ん、どういたしまして!」
 
 果南もニコリと明るい笑顔で笑い、曜は少し気分が楽になるのを感じた

果南「あ、そうだ!ちょっと手貸してみ」

 服のポケットから一本ボールペンを取り出して曜の手をつかんだと思ったら、さらさらとペンで絵のようなものを絆創膏に書き始めた

曜「…?」

 不思議そうに描かれていく絵を見ていると、だんだんと果南がなにを描いているのがわかっていき

曜「わぁ…猫だ!かわいい…」

果南「でしょ!猫描くの得意なんだよねー」

65 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 13:00:53.66 ID:OdfH6GDb.net
ふふん、と自慢げに話す果南を見ると少し昔 に戻った気がして懐かしい気持ちがこみ上げ て、楽しくなってくる

曜「ふふ、本当すごい上手だね!」

 楽しい雰囲気は狂ったこの状況を忘れさせて くれた

曜「これ、気に入った!また怪我したら描いてね?」

果南「こら、怪我しないようにしなさい」

 軽く冗談を言いながらこの時は楽しく会話ができていた

果南「ふふ、そんなに喜んでくれるなんてね…千歌にも見せてあげたいなぁ」

 ピシ、と穏やかだった空気が一言で凍てつくのを肌で感じる

 楽しい雰囲気を感じるのは果南にとって久し ぶりで、昔に戻れた気がして亡き者の名前をついこぼしてしまう

果南「ぁ…」

 直ぐに自分が失言したことに気づき、声を漏らす

66 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 13:01:25.03 ID:OdfH6GDb.net
曜「ち…かちゃん…っ」

 まずい、今この状況で千歌の名前を出したの は一番まずい選択肢だった

果南「よ、曜…」

曜「っ…ぅん…ごめんね…」

 何に対して謝っているのかわからないまま

曜「だい、じょうぶ…もう、大丈夫だから」

 そう言い放つ曜の表情はどこか吹っ切れていた

果南「曜…っ…」

曜「ごめんね、果南ちゃん…私、もう大丈夫だから」

果南「え…何を…」

 おかしい、以前の曜なら間違いなくここでパニックになっている

曜「だからさ、今日はめいいっぱい楽しい話をしよ?久しぶりにさ」

狂気なのか正気なのかわからないまま話は続行するのだった

67 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 13:02:02.57 ID:OdfH6GDb.net
それから果南と曜は夕方まで楽しく談笑して いた
 他愛ない昔話や、海での出来事を話した

 千歌のことについてもたくさん話すことがで きた

突然曜の態度が変わったのは解せないものがあったが昔の曜に戻ってくれるならなんでもいいと思ったーー

 その時の曜の表情は明るいもので、私は久し ぶりに曜が楽しそうにしているのを見れて心 から安心していた

果南「今日は久しぶりに、楽しくお話ができて良かったよ。」

 にこりと曜の目を見て笑うと、曜もにこりと笑い返してくれた、それが妙に嬉しくて心が弾む

曜「うん…私も楽しかった!」

果南「それじゃあ、私はそろそろ帰るから、またね?」

 立ち上がり、帰宅の合図をするが

曜「うん…さようなら」

 曜はまたねとは言ってくれなかった

68 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 13:02:28.17 ID:OdfH6GDb.net
 翌日曜は、風呂場で手首から大量の血を流し死亡しているところを発見された

69 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 13:03:11.22 ID:OdfH6GDb.net
部屋からは曜が書いたであろう遺書が発見され
そこには一言こう書かれていた

  『千歌ちゃんとまた話したいです』

その一行で私は全てを悟った

私が曜を追い詰めてしまったと

曜は自分の生を、千歌との楽しい記憶を忘れようとすることで保っていた



しかし、私は思い出させてしまった


あの頃の記憶を


忘れなくてはいけない輝いてた時間をーー

70 :続きます(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 13:05:42.64 ID:OdfH6GDb.net
気がつくと私は海を見渡せる崖の上にいた


広大な海を見るとどこかノスタルジックな気分になる


終わりに向かって歩き出した足には一つの躊躇いもなく、一度も止まることはなく身を投げすてるーー


 鈍い死の音が崖の上まで響き渡り、生命の終わりを告げる

71 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 13:40:17.46 ID:Vp8Sn53c.net
つらいな…

72 :名無しで叶える物語(青ヶ島村)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 14:07:28.11 ID:0eZOXwjV.net
たまにはこういうのもいいね

73 :名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 14:42:33.40 ID:5la3vNKK.net
こいつらどんだけスクールアイドルに命かけてんだ

74 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 14:57:08.97 ID:5cZdRltA.net


75 :名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 15:02:40.27 ID:oILQNcQI.net
スクールアイドルにっつうか、友達の死に気が狂ったんだろ

76 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 15:40:07.12 ID:SmCiUwbR.net
友達死んでも死んだのかぐらいしか思わないなぁ

77 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 15:55:37.35 ID:K1b8mftj.net
志を共にした仲間だからねぇ

78 :名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 16:53:50.35 ID:LR0bw9lX.net
だんだん殺し方が雑になってきたね

79 :名無しで叶える物語(地図に無い島)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 17:13:59.72 ID:S8oMkSmx.net
いいぞ
よくないけど

80 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 17:27:04.60 ID:A6Wa/9Wh.net
安直に人殺すSS嫌いだけど読んでしまう不思議

81 :名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 19:57:36.80 ID:oILQNcQI.net
>>80
分かる
好きなキャラ死んで欲しくないし、鬱展開も苦手なはずなのにな…

82 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 21:05:35.37 ID:yjAF3cMu.net
穂乃果ちゃんがμ's解散させるSSとぶな名作

83 :名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 21:13:04.04 ID:oILQNcQI.net
>>82
あれか、穂乃果「私がμ'sを終わらせる」ってやつか

84 :名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/:2016/09/18(日) 21:16:07.04 ID:6MlXkPYp.net
続けてどうぞ

85 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 00:37:52.77 ID:fguIng/0.net
>>82
>>83
あれは結局なんで穂乃果はあんな事したんだ?

86 :名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 00:44:29.57 ID:yI+yl+4t.net
>>85
ここでする話じゃないけど…
あれは確か、μ'sの人気低下に心痛めて、綺麗で輝いている状態で終わりたい、っていう暴走が起こした計画だった気がする
間違ってたらすまんな

87 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 00:58:22.50 ID:fguIng/0.net
>>86
サンクス

88 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 01:05:30.91 ID:4CQT645s.net
曜ちゃんが狂ったまま死ぬんじゃなくて一回正常に戻って?から死ぬのがまた更にクルな…

89 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 08:07:42.67 ID:rbIKgjON.net
正常に戻ったんじゃなくて、完全に崩壊したようにも見える…

90 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 10:36:06.80 ID:ndSCxPWH.net
>>86
どっちかってと自分の自分勝手でメンバーに無駄なことをさせてしまった、という感情からの暴走に見えた
そういう意味じゃ一年果南と同じことしてる

91 :続きます(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 14:27:55.37 ID:tV6D5WG7.net
ーーーーー

 目が覚めたらそこには静寂と暗闇の世界が広がっていた

 まだ眠気が残る重いまぶたをこじ開け、声を 出そうとするが、声が出ない

 いや、おそらく声は出ている…喉の震えがその証拠だ

 ならなぜ聞こえるはずの声が聞こえないのか

 そんなことをぼんやりと考えていると突如として何かが私の手を強くつかむ感触が襲う

 ビクッと全身に鳥肌がたち、自分にすら聞こえない悲鳴を上げ、助けを呼ぶ

 すると私の手に触れていた「なにか」はするりと離れていき

 その感触がまた気持ち悪くて今度は目に涙が浮かぶ

 次に私はパニックになり、浮かんだ涙をボロボロと零しながら、助けを求める

 誰かの名前を叫びながら助けを求め、もがき続けるーー

92 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 14:28:35.44 ID:tV6D5WG7.net
ーーーーー

 小原鞠莉はこの日黒澤ダイヤの家に出向いていた

 桜内梨子と言う名の少女の情報を求めて

 彼女は数日前、突如姿を消し行方を眩ませた

 小原家は彼女の行方を鞠莉の願いで探し続けていた

 しかし桜内梨子の居場所は未だにわからず

 少しでも情報が欲しい私は彼女と関わりのあった人間の元を尋ねることにし、ダイヤの元に話を聞きに来ていた

93 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 14:29:02.10 ID:tV6D5WG7.net
 目の前には威圧感のある大きな扉が、どっしりと構えている

鞠莉「ここに来るのもだいぶ久しぶりね…」

 二年前、果南、ダイヤと三人でスクールアイ ドルをしていた時期を思い出す

鞠莉「すぅーっ…よしっ」

 深呼吸をしてインターホンに手をかける

 「…はい、何用でしょうか」

 暗い声調でインターホンの向こう側から女性の声が聞こえてきて少々胸が高なるのを感じる 

 開口一番シャイニーと言い放つつもりだったが暗い雰囲気の女性の声を前にとても言えそうにはなかった

鞠莉「しゃ…ぅっゔん!…えーと、私、黒澤ダイヤさんの友達の小原鞠莉と申します、今ダイヤさんいますか?」

そう言うと相手の女性は少し考えた後

 「鞠莉…鞠莉…あぁ、思い出しました、昔よくダイヤと仲良くしてくれていた…」

 「今、迎えに上がりますので少々お待ちくださいませ」

 女性…もといダイヤの母親は鞠莉を歓迎した

94 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 14:29:33.67 ID:tV6D5WG7.net
 一歩足を踏み入れるたびに、きしきしと年季の入った床が心地良い音を鳴らす

 「…本日いらしたという事はダイヤのことはもうお聞きに?」

 ダイヤの母は廊下を案内しながら、鞠莉に問いかける

鞠莉「え?なんのことですか…?」

 「…そうですか…まだお聞きにはなっていないのね…」

 「ダイヤは今…いや、あの子から直接聞いたほうがいいでしょう」

 意味深げにダイヤの母は言葉を発していく

95 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 14:30:14.13 ID:tV6D5WG7.net
一つの襖の前でダイヤの母の足は止まり「こちらの部屋にダイヤはいます」と言う

「私はこれから用事がございますゆえ…どうかごゆっくり…」

 すっと腰を曲げダイヤの母はお辞儀をする

鞠莉「あ、ありがとうございました…」

 釣られて鞠莉もお辞儀をする

「どうかあの子の事をたのみました」

 流石はあのダイヤの母と言った所だろうか、 仕草の一つ一つに気品を感じさせられる
  

96 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 14:30:42.30 ID:tV6D5WG7.net
コンコン、とノックをすると中から
「どうぞ」と綺麗な声で返事が返ってくる

 そして襖を横にずらし部屋に入るやいなや

ダイヤ「…ルビィ、一体どこで道草食ってましたの?」

 と小原鞠莉に向かってダイヤは言い放つ

鞠莉「え…?」

 突然の出来事につい間抜けな声を漏らす、その声を聞き逃さなかったダイヤは

ダイヤ「あら…その声は…鞠莉さん、ですの?」

ダイヤ「これは…とんだご無礼を…」

 と、ベットに座ったまま、ぺこりと腰を曲げ非礼を詫びた

97 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 14:31:39.14 ID:tV6D5WG7.net
鞠莉「え、あぁ、別にいいのよ」

ダイヤ「貴方が我が家に来るなんて久方ぶりですわね…」

 ダイヤは私を探すようにキョロキョロと首を振っている
 その挙動が私にはとても不思議に見えた

鞠莉「どうしたの?そんなにキョロキョロして」

ダイヤ「…いえ、なんでもありませんわ」

 ピタリと先程までの挙動が止まり、今度は的はずれな方向を見る

鞠莉「ダイヤ…私をしっかり見て、大事な話があって貴方に聞きたい事があるの」

そう言うとダイヤは体を少し斜めに曲げる

 先程よりかはこちらを向いているがそれでもまだ的はずれな場所を見ているには違いない
 

98 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 14:32:12.54 ID:tV6D5WG7.net
鞠莉「どうしたのダイヤ…?こんな時にふざけるなんてダイヤらしくないわ…」

ダイヤ「っ、ごめんなさい」

 また、不可思議な動きをしながらまるで私の位置を探るように体を動かし始めた

 そしてそれは私の中に一つの疑惑を生んだ

鞠莉「ダイヤ…もしかして目が見えていないの…?」

99 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 14:32:40.04 ID:tV6D5WG7.net
ダイヤ「そ、そんな訳ありませんわ!ただちょっと寝起きで…」

 無理のある言い訳を言うダイヤを問い詰めるように

鞠莉「私がいま指を何本立てているかわかる?」

 スッ、と指を二本立ててダイヤに質問を投げかける

ダイヤ「えっ、えーっと、四本、くらい…」

 またしても的はずれな方向を見て答える

 ここで疑問は確証に変わった

 間違いなくダイヤの目は機能していない

100 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 14:33:17.37 ID:tV6D5WG7.net
鞠莉「そ、そんな…どうして…」

 目を合わせてくれないダイヤを見つめ絶望を顕にする

ダイヤ「…流石に隠しきれませんか」

 観念した表情でダイヤは語り始める

ダイヤ「心因性視覚障害、という病らしいですわ」

鞠莉「視覚障害…」

 それは衝撃的な告白であった

 目が見えなくなるということは恐ろしいほど怖く、考えただけで寒気が襲う

ダイヤ「この話はもう終わりにしましょう…何か用事があってわざわざこちらまで出向いたのでは?」

101 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 14:34:37.54 ID:tV6D5WG7.net
鞠莉「それは…そうなんだけど…」

 確かにこの家にはダイヤの目をどうこう言うために来た訳ではない

 しかし友人の目が見えなくなったと聞いて冷静でいられるほど鞠莉は無情ではなかった

鞠莉「…っ、やっぱり今日は大丈夫…」

鞠莉「また今度ゆっくりお互いのことを話しましょ?」

 そう提案するのが今は一番いいと鞠莉は思った

ダイヤ「…えぇ、どうやら今日はその方がいいようですわね…」


鞠莉「それじゃあ早いけど私は今日のところは一旦…」

 すると少し離れた廊下の先からドタドタと黒澤家の人間にはあるまじき、大きな音を立てながら走る音が聞こえてくる

102 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 14:35:48.32 ID:tV6D5WG7.net
その足音はこの部屋の前で勢い良く止まった


 ガラッ、と大きな音を立てて襖が乱暴に開けられ


 そこには血の気の引いた顔をしているダイヤの母が立っていた


ダイヤ「…?ルビィ、やっと帰ってきましたの?」
 
 視力を失ったダイヤは誰がそこにいるのかをいまいち理解しておらず鞠莉のときのように、他人をルビィと勘違いする

「はぁっ…はぁっ…」

ここまで全力で走ってきたのか辛そうに息を切らしている

ダイヤ「そこにいるのは…お母様ですの?」

鞠莉「な、どうしたん…ですか?」

 鞠莉はダイヤの母のただならぬ表情を前に嫌 な予感がし、なにがあったのかを聞くのに一瞬躊躇った

103 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 14:36:59.94 ID:tV6D5WG7.net
「ルビィがっ、学校からの帰宅中にトラックにはねられて今病院に救急搬送されたと…っ」

 その出来事は唐突に起こり、残酷な現実を今のダイヤを追い詰めるように伝えられる

ダイヤ「な、っ…」

鞠莉「…」

 絶句していた、言葉を発することすらできずにただ、数秒の間時がとまっていた

 一瞬だけ質の悪い冗談とも考えたが、鬼気迫るその表情を前にそんな生ぬる い考えは砕け散る

「私はこれから急いで病院に向かいますっ…鞠莉さん、申し訳ありませんがダイヤの事は頼みましたわ…!」

 そういいダイヤの母は足早に部屋をあとにする

ダイヤ「そん…な…私もいかなければ…」

 体をそこら中にぶつけながらふらふらと前に 進むが、見えない目では誰かを追いかけることすらできない

鞠莉「…っ、ダイヤ!落ち着いて!」

104 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 14:37:51.46 ID:tV6D5WG7.net
ダイヤ「落ち着いてなんかいられませんわ…!早く行かなくては…」

 やっと妹の本当の気持ちを理解してあげれたのに、こんなに早くそれを奪われてたまるものかーー

 どん、と大きな音を立ててダイヤはその場に倒れ込んでしまう、何かに足を引っ掛けて転んでいた

ダイヤ「いっ…っ」

鞠莉「ダイヤ…」

 鞠莉はなんと声をかければいいのかわからな かった、落ち着いて、とは言ったものの身内 の人間が事故にあいすぐに冷静になれる人などそうそういない

105 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 14:38:18.48 ID:tV6D5WG7.net
ダイヤ「…ルビィ…っ嫌ぁ…っ」

 キィー、と耳の奥で不快な音が聞こえ周りの音が遠のいていく

鞠莉「ダイヤ!しっかりして!」

ダイヤ「おいてかないで…ルビィ…るび…っ…おぇっぇ…」

 底知れぬ不安感が身を襲い、気持ち悪くなり吐瀉物を吐き出す

鞠莉「…ダイ…今…救…を…」

 意識は朦朧とし、さらに音はダイヤを避けるように遠のいていく

「ーダイーしっーーしてーー」

 意識と共に音は途切れる

106 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 14:39:05.15 ID:tV6D5WG7.net
ーーーーー

 ぽつ、ぽつ、と点滴が滴る音が病院に響き渡る

 二日間、ダイヤは病室で眠り続けている

 鞠莉はダイヤにつきっきりで看病をしていた

 本来ならこれは黒澤家の女性がやるべき事だがそれは叶わなかった

 今のダイヤの母はまるで抜け殻のようになってしまい何をしようにも上の空を見続けるだけだった

  無理もない、一人の愛する娘が突然亡くなってしまったのだから

107 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 14:39:55.00 ID:tV6D5WG7.net
ダイヤに変化が起きないかとずっと顔を見つめていた鞠莉はダイヤの眉がピクッと少し動いたのを見逃さなかった

鞠莉「ダイヤ…?意識が戻ったの…?」

鞠莉「ダイヤ…っ!お願いダイヤ戻ってきて!!」

 必死に叫び、ぐらぐらと意識の揺れるダイヤを無理矢理にでも起こそうとする

ダイヤ「ぅ…ん…」
 
目は開いたがどこかぼーっとした表情をしているダイヤ

ダイヤ「ぁー…」

ダイヤ「ぁ…れ?」

 まるで何かを試しているかのように声を少し ずつ発しているが、その表情は相変わらず  ぼーっとしていて、どこか不気味さすら漂っ てくる

108 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 14:41:36.54 ID:tV6D5WG7.net
鞠莉「ダイヤっ!私はここよ!」

ガッ、とダイヤの手を掴み自分が近くに存在していることをダイヤにしらせようとする

ダイヤ「っ、ひぃっ…っ!」

 ダイヤの声が裏返り、一瞬にして表情が恐怖で青くなる

ダイヤ「ぁあっ…!だ、れっ…か助け…っ」

 恐怖で顔を引きつらせ、懸命に助けを呼ぼうとするダイヤの姿は見るだけで心を締め付ける

鞠莉「な、なん…で…ダイヤ!私よ!鞠莉よ!」

ダイヤ「ひぃっぁ…たすけてぇ…!」

 いくら話しかけてもダイヤは怯えるばかりでこちらに気づくことがない

 まるで聞こえてないかのように

鞠莉「どうして…こんなに話しかけてるのに…」

 ダイヤの手を掴んでいた鞠莉の手からは力が抜け、するりと抜け落ちていく

 するとダイヤの瞳には大粒の涙が浮かび今にも零れそうになる

鞠莉「まさか…聞こえてないの…?」
 
 ダイヤの世界から音は失われてしまっていたーー

109 :続きます(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 14:42:30.76 ID:tV6D5WG7.net
視覚を失い、あとを続くように聴覚を失う

 そして最愛の妹すらも失い

ダイヤ「あっ…だれ…かぁっ…」

 黒澤ダイヤという人間はもはや意識を持つ死体になっていた

ダイヤ「るび…っ…ふびぃ…!たすけ…てぇ…」

 全てを失った少女は涙を流しながら、今は亡き妹に助けを請い続けるーー

110 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 14:44:02.56 ID:7vrb3EZr.net
ここまで来ると死なない(死ねない)方がツラいわ〜

111 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 15:26:05.38 ID:Ioic3JDe.net
もう逆に殺してやってくれ…ルビィの元へいったほうがいい

112 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 15:27:03.79 ID:rbIKgjON.net
目が見えず耳が聞こえず…って想像しただけで本当に怖い

113 :名無しで叶える物語(帝国中央都市)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 15:43:40.28 ID:X+Smj2v+.net
---のちにヘレン・ケラーと呼ばれる少女である---

114 :名無しで叶える物語(はんぺん)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 16:06:48.44 ID:JO+NJPDk.net
さりげなく梨子ちゃん行方不明になってる……実質Aqours全員亡くしたマリー辛すぎるな……

115 :名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 16:21:57.70 ID:7GxiWEb2.net
負の連鎖が止まらない

116 :名無しで叶える物語(舞妓 どすえ)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 16:40:06.38 ID:fueFX4Pu.net
コレはセイントスノーも巻き込めるな
自分達の発言のせいで人が死んだって鬱になりそう

117 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 17:19:56.11 ID:Jf4MJmNj.net
むしろアウドルワールドの運営にもひいてはスクールアイドル全体にも飛び火するだろうな、過剰競争を煽った結果の悲劇として
8人もJKが自殺すりゃ一ヶ月はニュースの目玉だ

118 :名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 17:46:52.84 ID:nTlt8JJu.net
>>10
さりげなくっつーか既に梨子ちゃんここで脱落してる

119 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 17:48:34.02 ID:rbIKgjON.net
このマリーよくまだ持ちこたえてられるなーと思ったけど、そうか、まだ知らないんだ…果南ちゃんがどうなったのか

120 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 17:51:16.09 ID:Jf4MJmNj.net
梨子ちゃんは千歌ちゃんと同じに海未に還ったんだな

121 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 17:56:59.66 ID:yr/lh2HK.net
テニプリを思い出した

122 :名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 23:05:09.09 ID:cBxzRSx8.net
マリー...

123 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2016/09/19(月) 23:26:00.21 ID:ONJNqRQ+.net
万が一果南ちゃんが生きてたら救いがありそう
鞠莉と入れ違いになりそうだけど

124 :名無しで叶える物語(あゆ)@\(^o^)/:2016/09/20(火) 05:29:11.94 ID:Uf7RE4h+.net
>>123
………むしろ生きてた方がロクなことにならなさそうな気がするんだけどなー

125 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2016/09/20(火) 15:35:42.10 ID:v3J816dS.net
一番不幸なのがこれからも生き続けるであろうダイヤさんなのがもう…

126 :名無しで叶える物語(禿)@\(^o^)/:2016/09/20(火) 22:00:01.28 ID:gc4rE+iT.net


127 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/20(火) 23:16:07.36 ID:4vpYspl9.net
ーーーーー


 ダイヤの看病が一時的に落ち着いた私は桜内梨子の情報を求め、三人の少女達の自宅に訪れた

 しかしそこで得た情報は何もなく

 代わりに手に入ったのは負の感情だけだった

 ある家では酷く大きな泣き声が響き渡り

 ある家を訪ねると心労の限界をゆうに超えているであろう、家族が顔を出した

 そしてある家では悲しみに打ちひしがれた母が首を吊って死んでいた

128 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/20(火) 23:16:42.08 ID:4vpYspl9.net
鞠莉「あ…はは…次は…果南の家に行かなきゃ…」

 幾つもの狂気に触れた鞠莉の心は少しづつ壊れ始めていた

  あれ程の誰かの死を経験しながらもまだ次の家に訪問しようとするのは、既に感覚がおかしくなっている証拠と言える

鞠莉「…」

 自らの狂気を自覚せずに、果南が居るであろうダイビングショップに足を運ぶ

 そこにあるのは一つの絶望だけだとはつゆ知らず

鞠莉「…果南…」

 ぽつりと助けを求めるように呟くーーー

129 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/20(火) 23:17:55.05 ID:4vpYspl9.net
 そして果南の実家が経営するダイビングショップについた私は、店の扉の前に貼ってある張り紙を見て驚愕の声を漏らす



 【身内の不幸のため、誠に勝手ながら、ーーー日まで臨時休業させていただきます】

 その張り紙は誰かの死を告げるものであった

 たらり、と嫌な汗が頬を伝うのを肌で感じる

鞠莉「そんなっ…まさか…っ」

 果南の家は確か祖父との二人暮らし…ならきっと年齢的に祖父の方に違いない、果南は死んでなんかいない

 そんな不謹慎な事を考えてしまう自分に嫌気をさしながら、携帯を取り出し果南の実家に電話をかける

鞠莉「果南っ…大丈夫だよね…」

130 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/20(火) 23:18:54.18 ID:4vpYspl9.net
 電話のコール音が数回鳴り響き、高鳴る鼓動をさらに刺激する

鞠莉「…お願い…出て、果南…」

 片手を強く握りしめ、汗ばむ額を拭う

 そして、ツー、と向こう側で受話器が受け取られた合図が鳴った

鞠莉「っ…あ、あの!私…」


 「…どちら様でしょうか…」


 携帯の向こう側からはやつれた老人の声が聞こえてき、それはつまり果南の死を意味していた

鞠莉「…」

 持っていた携帯はするりと手の隙間を抜け落ちていき、大きな音を立てて地面に落ちる

 

131 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/20(火) 23:19:47.51 ID:4vpYspl9.net
ーーーーー

 ぽつ ぽつ

 点滴の音が病室に一定の感覚で響く

鞠莉「ねぇ、ダイヤ」

 返事がないと分かっていても、私はダイヤに話しかける

ダイヤ「…だれ、かぁ…」

 こちらの声が聞こえている様子はなく、ダイヤはいつもと同じ言葉を小さく呟く

鞠莉「私、これでも結構頑張ってたの」

鞠莉「理事長の仕事をしながら、普通の女子高生もして」

鞠莉「Aqoursの六人のことを影から支えて」

鞠莉「果南がいつでも学校に戻ってこれるように手配して」

鞠莉「梨子ちゃんが居なくなった時だって私は小原家を率先して捜索したつもり」

鞠莉「…きっとその頃にはなにもかも遅かったんだろうけどね」

132 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/20(火) 23:20:54.17 ID:4vpYspl9.net
鞠莉「……もう…限界だよ…」

 赤く腫れ上がった瞳はダイヤを見つめながら静かに涙を流す

ダイヤ「…るびぃ…っ…」

 暗闇と静寂の世界に閉じ込められたダイヤはその涙を確認することすらできず、ひたすら助けを請い続けている

鞠莉「ごめんね、ダイヤ…せめて貴方の症状が少しでも良くなるように最善を尽くしてと、お父さんとお母さんには伝えておいたわ…」
 

133 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/20(火) 23:22:22.46 ID:4vpYspl9.net
鞠莉「私は先に果南たちの所に行くよ…しばらくのお別れだね」

鞠莉「でも大丈夫、私と果南は……きっと、ルビィちゃんだって、向こうでずーっとダイヤを待ってるから」

鞠莉「また会えるよ…」

 また絶対会える、なぜだかこの時の私はそんな気がしていた

鞠莉「…じゃあね、ダイヤ」

 私はなにも聞こえていないであろうダイヤにそう言い残し、静かに部屋を去る

134 :名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/:2016/09/20(火) 23:22:45.52 ID:GqRDWFVV.net
やべえ……俺も泣きそうなんだけど……

135 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/20(火) 23:23:18.94 ID:4vpYspl9.net
ぽつぽつと点滴の音が響く病室に一人残された少女は、これから先も助けを求め続ける

ダイヤ「みんな…っまっ…ぇ…」

ダイヤ「…おいて、かないでぇ…っ」

 しかし、彼女の助けを呼ぶ声は最後まで誰にも届かなかったーー

136 :名無しで叶える物語(ぎょうざ)@\(^o^)/:2016/09/20(火) 23:23:21.26 ID:Zz8fIgvz.net
ダイヤさんが一番キツいなこれ…

137 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/20(火) 23:24:47.79 ID:4vpYspl9.net
私は今から自分を殺す

弱い私はひとりぼっちに耐えられないんだ

きっと向こうなら果南やあの六人の少女達だっている、それなら私はもうひとりぼっちじゃない

そんな事を想いながら、早くみんなに会いたい気持ちが収まらずゆっくり歩いていた足が段々と早くなる


一歩また一歩と死に向かって足を伸ばす


もしダイヤがこっちに来たらまた三人で…

いや、今度はあの六人の少女達も一緒に、9人でスクールアイドルがやりたいなーーー



         完         

138 :名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2016/09/20(火) 23:25:46.54 ID:r5bxoQ2q.net
乙…
なんにも救いがなかったよお…でも何故か読んでしまうこういうの

139 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/20(火) 23:26:06.25 ID:vl3Qtpnz.net
絶望しかなかった…

乙乙

140 :名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2016/09/20(火) 23:26:19.41 ID:BPTQXrje.net
辛いけど読んでしまった…

141 :名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/:2016/09/20(火) 23:28:21.81 ID:i9zwlJmG.net
りこちゃんもやっぱり亡くなってるよねこれ…



142 :名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/:2016/09/20(火) 23:48:39.97 ID:GqRDWFVV.net
>>141梨子は千歌の後追って、2番目に亡くなってる
救いなくて悲しいけど…とにかくおつ
>>1が書く気あるなら、他作も見たいな

143 :名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/:2016/09/20(火) 23:56:13.42 ID:4vpYspl9.net
ご支援ありがとうございました

地の文込みのカプssとかをこれから少しずつ書いていくつもりです
その時は是非またよろしくお願いします

144 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2016/09/21(水) 00:16:00.17 ID:bMBRwqyP.net
悲しく絶望しかない話だけど、言葉の選び方が良くとても引き込まれました!乙です

145 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2016/09/21(水) 00:30:07.65 ID:bMBRwqyP.net
>>91
最後まで読んでやっと分かったけど、これってダイヤのことだったんだね

146 :名無しで叶える物語(青ヶ島村)@\(^o^)/:2016/09/21(水) 01:10:45.16 ID:gv/qzyk0.net
乙〜

147 :名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/:2016/09/21(水) 01:38:14.09 ID:v9LsECL4.net
先行スレから追ってたけど良い意味でこんなに吐きそうになりながら読んだSSは久しぶり
夢オチ小説オチ花田オチのどれでもなくて良かった

148 :名無しで叶える物語(はんぺん)@\(^o^)/:2016/09/21(水) 03:36:28.72 ID:uNzpLvVK.net
絶望しかないけど引き込まれる文章で読むの止まらなかった

乙です。

149 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/21(水) 08:01:34.63 ID:gbq332R2.net
おつー

150 :名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/:2016/09/21(水) 09:05:11.42 ID:VFB2Rq7A.net
安易に夢オチとかに逃げないでとてもよかった
たまにはこういうのもいい、たまには

151 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/21(水) 19:51:46.12 ID:/+TjgrUG.net
鬱病発症

152 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/22(木) 06:36:20.36 ID:6ORMrzMO.net
乙…

153 :名無しで叶える物語(らっかせい)@\(^o^)/:2016/09/22(木) 21:13:42.96 ID:iqM5QhBG.net
おつ
ダイヤさんが1番辛いだろうな

154 :名無しで叶える物語(らっかせい)@\(^o^)/:2016/09/23(金) 00:57:12.31 ID:OmgX7fba.net
鬱SSはやっぱりいいな
作者はかなり才能があるからどんどん書いてほしい

155 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/23(金) 01:59:23.57 ID:c5kPpT0u.net
首吊ったのは誰の母ちゃんなんだろ
梨子は一応行方不明扱いだからよしまるようのどれかなんだろうけど

156 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/23(金) 15:56:24.64 ID:vDsul8JA.net
善子の母だと予想
娘と同じやり方で…てきな

157 :名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/:2016/09/24(土) 15:16:06.50 ID:NPOLLvxo.net
>>156
ありそう、津島家全滅してそう

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