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ルビィ「大人の女性になりなさい、か…」

1 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 21:19:50.12
ルビィ(お姉ちゃんに甘えてばかりだったから、昨日ついにお姉ちゃんに怒られちゃった…)

ルビィ(あのプリン…まさかお姉ちゃんのだったなんて…。いつもは名前書いてるのに、今回は書いてなかったから、気付かなかった…)

ルビィ(……そもそも、家の冷蔵庫に入ってるとはいえ、誰のか分からないプリンを食べたルビィが悪いんだけど)

ルビィ(何回も謝って、抹茶プリンを買うことを条件に許してもらえたけど……確かに、お姉ちゃんの言った通り、ルビィもそろそろ大人にならないと)

ルビィ「…でも、大人になるって何なんだろう…」

ルビィ(もう高校生なのに、それすら分からないや。……こういう時は悩んでても仕方ないし、花丸ちゃんに相談してみようかな)

2 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 21:21:44.22
―――――
―――
――


花丸「大人の女性?」

ルビィ「うん……お姉ちゃんに言われたの。そろそろ大人になりなさいって」

ルビィ「でも、大人って何を基準に大人なのか分からなくて…」

花丸「うーん……マルにもよく分からないんだけど…」

ルビィ「そっか…ごめんね、変なこと聞いちゃって」

花丸「……。た、たとえばだけど」

ルビィ「?」

3 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 21:23:30.42
花丸「誰かと…その、恋愛、とか。そういう経験があると、大人だなぁとは、思うずら」

ルビィ「あー……確かに、映画とかでもそういうシーンがあると大人っぽいもんね」

ルビィ「でも恋愛かぁ……アイドルに恋するっていうのじゃ、ダメだよね」

花丸「…もっと身近な人がいいんじゃないかな?」

ルビィ「身近って……親戚の人とか? でも、仲の良い人あんまり居ないし…」

ルビィ(そもそもルビィなんかを好いてくれる人がいるかどうかすら。…いや、恋愛って、片想いでもいいのかな?)

花丸「……ねえ、ルビィちゃん」

ルビィ「ん?」

花丸「マルもね、ずっと自分が子供っぽいこと、気にしてたの」

4 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 21:26:39.08
ルビィ「そうなの? マルちゃん、落ち着いてて大人っぽいなって思う時あるけど…」

ルビィ「……あ、でも何か食べてる時はちょっと子供っぽいかな」

花丸「た、食べてるとき? …そんな変な顔してる?」

ルビィ「変な顔というか、ほっぺたいっぱいに詰め込んで、ハムスターみたい」

花丸「……ルビィちゃんにバカにされた…」

ルビィ「し、してないよ! いつも可愛いって思ってるもん!」

花丸「え…ほんと? マル、可愛い?」

ルビィ「うん。マルちゃんはすっごく可愛いよ」

花丸「そ、そっか/// えへ……ルビィちゃんにそう言ってもらえると、嬉しいずら」

5 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 21:28:34.81
ルビィ「えへへ」

花丸「ふふふ……って、そうじゃなくて! オラの食べてる時の事はどうでもいいの!」

花丸「オラもルビィちゃんと一緒で、大人っぽくなりたいって思ってるの!」

ルビィ「じゃぁ二人で大人っぽくなれるよう頑張ろう」

花丸「うん! あ、あの、それでね?」

ルビィ「ん?」

花丸「さっき言ったでしょ? 恋愛経験があると、大人っぽいって」

ルビィ「うん。だからそういう相手を見つけるところから始めないといけないね」

6 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 21:30:22.97
花丸「そ、それ。その相手。マルは、ルビィちゃんが良い」

ルビィ「……え?」

花丸「ルビィちゃんと恋したい」

ルビィ「……ええぇっ!? い、いや…でも、マルちゃんもルビィも、女の子だし…」

花丸「女の子だからだよ。ルビィちゃんは男の人苦手でしょ?」

ルビィ「う……うん」

花丸「だったら、女の子と恋するしかないよね?」

ルビィ「そ、そうなのかな…?」

7 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 21:32:04.48
花丸「そうだよ。だから、マルにしない?」

ルビィ「で、でも、それはルビィの事情で、マルちゃんは男の人苦手じゃないでしょ?」

花丸「うん。けど、マルはルビィちゃんが良い」

ルビィ「え、えっと……」

ルビィ(マルちゃんって、ルビィのこと…す、好きなのかな…? いやでも、そんな素振り、今まで全然…)

ルビィ(というか、なんでこんな話に……)

花丸「……ルビィちゃんは、マルじゃ嫌?」

ルビィ「そ、そんなことない! ない……けど、でも、急すぎて、なんかよく分かんなくて…」

8 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 21:34:04.82
花丸「じゃぁ、ゆっくり一から始めるずら」

ルビィ「一から?」

花丸「まずはお付き合いして、二人で一緒に遊んで、友達の時と変わらないことをして」

花丸「その期間に、ルビィちゃんがマルを…そういう風に好きになれそうになかったら、マルはルビィちゃんを諦める」

ルビィ「でも…そんなの、花丸ちゃんに悪いよ」

花丸「全然悪くないずら。…こんな形で付き合おうとしてるマルの方が悪いもん」

ルビィ「そんなこと…」

9 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 21:36:02.97
花丸「ルビィちゃん。少しでもマルのこと思ってくれるなら、マルのワガママに付き合ってほしいな」

ルビィ「花丸ちゃん…」

花丸「…マルと付き合ってくれる?」

ルビィ「………う、うん。まだ、よく分かんないけど…それでよければ…」

花丸「ありがとう、ルビィちゃん」ニコ


―――――
―――
――


ルビィ(……ほんと、なんでこうなったんだろ…)ズン…

ルビィ(花丸ちゃんはああ言ってくれたけど…よく考えなくても、ルビィのしてることって最低なんじゃ…。告白してくれた相手に返事もせずにあんな…)

10 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 21:37:16.56
ルビィ「……そもそも、あれって告白だったのかな…」

花丸「告白だよ?」

ルビィ「ぴぎぃっ!?」ビクッ

ルビィ「ま、ままま、マルちゃん……い、いつから…」

花丸「ついさっき。ごめんね、待たせちゃった?」

ルビィ「う、ううん。ルビィも今来たところ」

花丸「ふふ。そういう台詞返されると、デートっぽいね」

ルビィ「そ、そうだね…///」

ルビィ(花丸ちゃんの言う通り、ルビィたちは今日デートをすることになったんだけど……)ジー

ルビィ「……花丸ちゃんの服、なんかいつもよりオシャレだね」

11 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 21:39:05.24
花丸「あ、分かる? マルにしては珍しく、おめかししてきたずら」クルー

ルビィ「うん、可愛いよ、すごく」

花丸「…えへへ。ルビィちゃんもいつも通り可愛いずら!」

ルビィ「いやぁ、そんな…/// ……あ、で、今日はどこに行く?」

花丸「せっかくだから、ちょっと遠くまで行こうかなって」

花丸「善子ちゃんに聞いたんだけど……ここの住所にあるカフェのタルトが美味しいんだって」メモ

ルビィ「どこどこ? ……ああ、確かにちょっと遠出になるね」

12 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 21:41:03.16
花丸「せっかくの初デートだからって思ったんだけど…もっと近場の方がいい?」

ルビィ「ううん。花丸ちゃんの行きたいところがいいから、ここにしよう」

花丸「ルビィちゃん…ありがとう。じゃぁ早速いこ!」ギュッ

ルビィ「え、て、手繋いでいくの?」

花丸「友達の時も、たまに繋いでたでしょ?」

ルビィ「そだけど……」

ルビィ(今はなんか、変に意識しちゃうんだけど…)

13 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 21:43:05.28
花丸「さ、行くずら」

ルビィ「う、うん」

ルビィ(…まぁいっか。無理に振り払ったら、花丸ちゃんに悪いし)

花丸「♪」テクテク

ルビィ(……それにしても、花丸ちゃんは本当に、ルビィのどこを好きになってくれたんだろ)

ルビィ(花丸ちゃんは優しくて可愛くて、ルビィと違って色んな人と普通に話せるし、男の人だって苦手じゃないのに)

ルビィ(万が一、花丸ちゃんが女の人を好きになる子だったとしても…ルビィたちの周りには、もっと素敵な人がたくさんいるのに)

ルビィ(こんなルビィなんか……花丸ちゃんとは不釣り合いだよ)

14 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 21:45:05.42
花丸「ルビィちゃん」

ルビィ「ん? なに?」

花丸「……えへへ。呼んでみただけ」ニコー

ルビィ「」

ルビィ(……ほんと、こんなに可愛いのに……ルビィでいいのかな…)



―カフェ、店内―


花丸「ルビィちゃん、はい、あーん」

ルビィ「あ、あーん…」パクッ

ルビィ(こういうのも友達の時に数え切れないほどやったけど…やっぱりこういう関係だと恥ずかしいなぁ…。…あ、美味しい)モグモグ

15 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 21:47:04.21
花丸「……」ニコニコ

ルビィ「? どうかした?」

花丸「ううん。モグモグしてるルビィちゃん、可愛いなぁって」

ルビィ「えっ……あ、は、花丸ちゃんも! はい、あーん!」スッ

花丸「照れなくていいのに……、あーん」パク

ルビィ(ああいうのは、照れて当たり前だと思うけど…)

花丸「うん、美味しいずら。善子ちゃんの舌は確かだね」

ルビィ「遠出した甲斐があったね。今度お礼言っておかないと」

花丸「そうだね。……それに、ここなら知ってる人もいないし」

16 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 21:50:13.71
花丸「お店の中で手を握っても、知り合いに見られることもないずら」ギュ

ルビィ「し、知り合いがいなくても、人前でこういうのは、よくない…と、思うけど…///」

花丸「だいじょーぶ。都会ではこれくらい普通だって、梨子ちゃんも言ってたよ」

ルビィ「ほんとかなぁ…」

ルビィ(握られてる手を意識すると汗かいちゃいそうだから、ケーキに集中しよう…)パク

花丸「…ルビィちゃん」

ルビィ「ん?」

花丸「マルのこと、好き?」

ルビィ「……。……と、友達として、なら」

17 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 21:52:08.44
花丸「ん。今はそれでもいいから、ルビィちゃんに好きって言われたいな」

ルビィ「うぇ……い、いや、でも……さすがに、こういうことは…」チラ

花丸「平気だよ。みんな自分たちのおしゃべりに夢中で、他人の事なんて気にしてないずら」

ルビィ「けど……」

花丸「言ってほしいなぁ」

ルビィ「う……/// ……す、すき…だよ、花丸ちゃん」

花丸「っ、うん、マルも大好き!」ニコッ

ルビィ「う、うん…///」

18 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 21:54:15.30
ルビィ(恥ずかしくて倒れそうなんだけど……。花丸ちゃんって、意外と積極的……って、のんきに考えてる場合じゃない)ブンブン

花丸「ルビィちゃん?」

ルビィ「は、花丸ちゃん! このタルト、ほんとすごく美味しいね!」

花丸「え? あ…うん」

ルビィ「今度Aqoursのみんなでまた遊びに来ようよ。ほら、さっき蜜柑を使ったケーキとかもあったし、千歌ちゃんたちが喜びそう!」

花丸「そうだね。…ねぇ、ルビィちゃん、」

ルビィ「あ、あと、さっきクッキーもあったよね! 善子ちゃんに、ここ教えてもらったお礼に買って帰ろっか! 善子ちゃん喜ぶといいねー」

19 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 21:56:20.78
ルビィ(なんとか話題をかえて雰囲気を変えないと…。なんか、まるで恋人みたいな…いや、形式上はそうなんだけど。でも、そういう雰囲気にはまだ慣れないし…あと、手汗かいたら嫌だし…)

ルビィ「ルビィはよく分かんないんだけど、善子ちゃんって甘いのとか好きなのかな? あ、ちなみにお姉ちゃんは抹茶が好きで、千歌ちゃんと曜ちゃんは蜜柑が――」

花丸「ルビィちゃん」ムス

ルビィ「え、な、なに?」

花丸「デート中に他の人の話は、あんまりよろしくないって、おばあちゃんが言ってたずら」

ルビィ「そ、そうなの? ごめんなさい…」

花丸「――なんて、冗談。ただ、ルビィちゃんあからさまに話題変えようとするんだもん」

ルビィ「…バレてた?」

花丸「バレバレずら。…さっきみたいなのは、やっぱり嫌?」

20 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 21:58:07.02
ルビィ「い、嫌ではないけど……恥ずかしくて…///」

花丸「え、嫌ではないの?」キョトン

ルビィ「え、嫌ではないよ?」

花丸「そっか……へー…」

ルビィ「花丸ちゃん? どうしたの?」

花丸「ううん、なんでも。ごめんね、元々ちょっとずつって約束だったずら。今日はAqoursのみんなのこと話しながら過ごそっか」

ルビィ「う、うん?」

ルビィ(なんか花丸ちゃん、やけに嬉しそうだけど……本当にどうしたんだろう)

21 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 22:00:05.28
―――――
―――
――


善子「はあ? ずら丸が可愛い?」

ルビィ「こ、声が大きいよ、善子ちゃん」

善子「ヨハネよ! というか、大きくもなるわよ……なにそれ、惚気か何か?」

ルビィ「違うよ……相談したいの」

善子「ずら丸が可愛いからどうすればいいかって? 冗談でしょ。大体、あいつ可愛いって柄じゃないし」

ルビィ「えっ…可愛いよ」

善子「憎たらしいの間違いじゃない?」

ルビィ「間違いじゃないよ! 善子ちゃん、素直じゃないんだから…」

22 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 22:02:29.79
善子「ヨハネはいつだって正直な堕天使なんだけど……まあいいわ。で、相談ってなに?」

ルビィ「…善子ちゃんの目から見て、花丸ちゃんとルビィって、釣り合ってると思う?」

善子「は? ……まあ、普通?」

ルビィ「ふ、普通…」

善子「釣り合わなくはないでしょ。ずら丸って顔は可愛いし、ルビィも可愛い顔してるし。並んで歩いてると、なんかのマスコットみたいで良い感じよ」

ルビィ(マスコットって……褒められてるのかな…?)

ルビィ「……でも、ルビィは臆病で引っ込み思案だし…」

善子「そんなこと言ったら、ずら丸だってたまに毒舌だし変に世間知らずじゃない」

23 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 22:04:06.15
ルビィ「でも、花丸ちゃんはそこも可愛いから…」

善子「…やっぱただの惚気じゃないの?」

ルビィ「だから違うってば! 真剣に悩んでるの…」

善子「悩んでるって言ったってね……じゃぁ、なに? ヨハネがあんた達は釣り合ってないって言ったら、別れるわけ?」

ルビィ「そりゃぁ……って、え!? ルビィ、善子ちゃんに花丸ちゃんとのこと言った?」

善子「最近の二人を見てれば分かるわよ。ずら丸はあんたにあっつい視線送ってるし、あんたはあいつに対して妙にオロオロしてるし」

善子「付き合ってるって確証はなかったけど、少なくともずら丸に告白されたんでしょ?」

ルビィ「善子ちゃんってすごい鋭いね……」

24 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 22:06:02.71
善子「あんた達が分かりやすいの。多分、他のメンバーにもバレてると思うわよ」

ルビィ「え、う、嘘……」

ルビィ(こんな、花丸ちゃんに甘えてるような状態、お姉ちゃんにバレたら確実に怒られる……)

善子「ま、でもダイヤはこういうことに鈍そうだから気付いてなさそうだけど」

ルビィ(お姉ちゃん……)

善子「それより、人に言われてどうこうする程度の思いなら、付き合わない方がいいわよ」

ルビィ「う……でも、断ったら花丸ちゃんが傷つくことになるかもしれないし…」

善子「気持ちを偽ったまま付き合う方が傷つけるに決まってるじゃない」

25 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 22:08:42.57
善子「それとも、ずら丸のこと本気で好きなの?」

ルビィ「本気……。本気って……どれくらい?」

善子「どれくらいって……、たとえば、ダイヤより好きか、とか?」

ルビィ「え、それはもちろん、マルちゃんの方が好きだよ」

善子「あ、即答なのね…」

善子(なんかダイヤが不憫………いや、姉妹と友達だったらこれが普通かしら)

善子「じゃぁ、ダイヤ以外のメンバーと比べたら? たとえば、私とか」

ルビィ「……それは決められないよ。友達に順位なんてつけられないし…」

26 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 22:10:02.82
善子「その"友達"って枠からはみ出ない以上、本気じゃないって事でしょ」

ルビィ「……じゃぁ、ルビィは花丸ちゃんのこと、そういう意味では、好きじゃない…の、かな」

善子「…いくらヨハネといえど、確かな事は分かんないけど。あとはルビィ自身の心の問題だし」

ルビィ「うん……」

善子「じゃぁさ、試しに考えてみたらいいんじゃない? ずら丸が、ルビィ以外の誰かと付き合ってたら、どう思うかとか」

ルビィ「花丸ちゃんが、ルビィ以外の人と…?」

善子「それで何となく分かるんじゃないの。…まったく、経験が乏しいヨハネにこんな相談持ち掛けないでよね」

ルビィ「ご、ごめんね……ルビィ、いつも花丸ちゃんに相談してたから…他に頼れる人って言ったら、善子ちゃんしか思い浮かばなくて…」

27 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 22:12:26.93
善子「……ま、まあ、いいけど! リトルデーモンの悩みを解決するのも主としての務めだし!」

ルビィ「ありがとう、善子ちゃん。ルビィ、ちゃんと考えてみる」

善子「ええ。……というか、私はヨハネだから」

ッタッタ

善子「…ん?」

ルビィ「? なに?」

善子「いや…今、なんか音しなかった?」

ルビィ「ルビィは聞こえなかったけど……廊下に誰かいたんじゃない?」

28 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 22:14:03.66
善子「部活も終わってるこんな時間に? …忘れ物でも取りに来てたのかしら」

ルビィ「どうだろう……。とりあえず、ルビィたちも帰ろっか」

善子「ええ、そうね」

―――――
―――
――


ルビィ(花丸ちゃんが、ルビィ以外の人と付き合ったら)

ルビィ(それが誰であれ、花丸ちゃんの中の一番は、その人になる。ルビィが遊びに誘っても、その人がダメって言ったら、断られるかもしれない)

29 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 22:16:10.30
ルビィ(何をするにもその人が優先されて、その人はルビィの知らない花丸ちゃんをたくさん見て、知っていく)

ルビィ(いつか結婚なんかしたら、一生その人と添い遂げるかもしれない。その時、ルビィと花丸ちゃんはもう友達ですらないかもしれないんだよね)

ルビィ「……。……はあ」

ダイヤ「…ルビィ。なに辛気臭い顔をしていますの?」

ルビィ「あ、お姉ちゃん…」

ダイヤ「何か悩み事でもあるんですか? …プリン、一口だけ食べます?」ス

ルビィ「ううん、いらない。ありがとう。……ルビィ、久しぶりに勉強以外の事で頭つかってるの」

ダイヤ「あなた、普段どれだけ物を考えずに生きてるんですの…」

ルビィ「うん。だってずっと、ルビィが何も考えなくても、お姉ちゃんが考えてくれたから」

ダイヤ「私はあなたを甘やかしすぎたのかもしれませんね…」ハァ

30 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 22:20:03.37
ルビィ「ルビィが甘えすぎてたんだよ。……でも、今回はお姉ちゃんの力に頼らず、頑張ったよ」

ルビィ(善子ちゃんには頼っちゃったけど…)

ダイヤ「…そうですか。ルビィにしては立派ですわね」ナデナデ

ルビィ「うん」

ルビィ(……でも、やっぱりルビィは大人には程遠いみたい。善子ちゃんに言われるまで、自分の気持ちすらよく分かってなかったもん)


―――――
―――
――


花丸「…ルビィちゃん、急に話があるなんて、どうしたの?」

31 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 22:22:17.86
ルビィ「う、うん…ごめんね。練習で疲れてるのに、残ってもらっちゃって…」

花丸「ううん、それは全然」

ルビィ「…あのね、花丸ちゃん。話っていうのは、ルビィたちの関係のこと、なんだけど」

花丸「……」

ルビィ「ルビィなりに真剣に考えたの。……すごく今更だと思われるかもしれないけど、ルビィは、花丸ちゃんのこと、――」

花丸「お、オラはね!」

ルビィ「え?」

花丸「オラは……ルビィちゃんに好かれてなくても、そばにいたいずら…」

32 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 22:24:04.26
ルビィ「花丸ちゃ――」

花丸「ルビィちゃんに、本当に好きな人が出来たら……マルのこと、邪魔だって思ったら、その時は諦めるから……だからせめて、その時までは……このままでいさせてほしい…」

花丸「ルビィちゃんがマルのこと好きになれないのは仕方ないけど…でも友達としては好いてくれてるんだよね? だったら、その関係のままでいいから……それとも、もうオラのこと、友達としてすら…」ウルッ

ルビィ「ま、マルちゃん!!」

花丸「」ビクッ

33 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 22:26:03.07
花丸「ルビィちゃん……」

ルビィ「ルビィの話、ちゃんと聞いてよ。…絶対、なにか勘違いしてるし」

花丸「勘違い…? …でも、マル、聞いちゃったの。この間の、善子ちゃんとルビィちゃんの話…」

ルビィ(…あ。あの時の足音、花丸ちゃんのだったんだ…)

花丸「ルビィちゃんは…マルのこと、好きじゃない…って……」

ルビィ「っ……、あ、あれは、ごめんなさい!」ドゲザッ

花丸「えっ!? る、ルビィちゃん、やめてよ、そんな……」

34 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 22:28:06.01
ルビィ「あれは違うの! ルビィ、やっぱりまだ全然子供で……誰かに言われないと、気付きもしなかったの…」

ルビィ「……私は、花丸ちゃんのことが、好き。すごく遅くなったけど…私と、付き合ってください」

花丸「……ほ、ほんきで、言ってる?」

ルビィ「言ってる。日本人が土下座で物を言う時はいつだって真剣な時だって、ルビィのおばあちゃんが言ってた」

花丸「ルビィちゃん……でも、ほんとにマルでいいの…? マルが告白なんてしちゃったから…」

ルビィ「ルビィもバカなりにちゃんと考えたよ。花丸ちゃんがルビィ以外の人の隣にいるなんて嫌なの。ずっと一緒にいたい」

花丸「……」グスッ

ルビィ「は、花丸ちゃん?」

花丸「……信じられないずら」

ルビィ「え?」

35 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 22:30:04.19
花丸「だって……あのルビィちゃんだもん…。恋愛と縁遠くて、すごく鈍くて…中学の頃からずっと好きだったのに……全然気づいてもくれなかった…」

ルビィ「ご、ごめんなさい……恋とか、そういうの、よく分からなかったから…」

花丸「……」

ルビィ「どうしたら信じてくれる…?」

花丸「……きす」

ルビィ「へっ?」

花丸「きす、してくれたら、信じる…」キュ

ルビィ「えっ…い、いや、目を瞑られても……ほら、放課後とはいえ、廊下に人が通ったら…」

花丸「……してくれないなら信じないずら」

36 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 22:32:02.55
ルビィ「ええぇ………じゃ、じゃぁ、せめて家に帰ってから…」

花丸「今」

ルビィ「う、うぅ……///」

ルビィ(恥ずかしい……というか、誰かに見られたら、本当に一発アウトだよ……確実にお姉ちゃんに怒られる…)

ルビィ(で、でも……)チラ

花丸「……」

ルビィ(お姉ちゃんより、誰よりなにより、大切だって思ったから。花丸ちゃんが好きだって、気付けたんだから…)

ルビィ(うー……え、えいっ)チュッ

ルビィ「……こ、これで、いい?」

花丸「……ルビィちゃんっ」ギューッ

37 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 22:34:03.85
ルビィ「わっ、は、花丸ちゃん……大好きだよ///」ギュ

花丸「マルもルビィちゃんのこと大好きずら! ……えへへ、夢みたい」

ルビィ「ごめんね、ずっと中途半端な態度とってて…」

花丸「ううん、全然。マルの方こそ、あんな告白の仕方で…ルビィちゃんを戸惑わせちゃって」

ルビィ「でも、そのおかげでルビィも自分に気持ちに気が付けたから」

花丸「…そうだね。マル、もうルビィちゃんから離れないけど、いい?」

ルビィ「もちろん」

花丸「ダイヤさんに怒られても?」

ルビィ「……そ、その時は、頑張る…」

花丸「…嬉しい」スリ

38 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 22:36:05.30
ルビィ(やっぱり花丸ちゃん可愛い/// ……って、浸ってる場合じゃない! 放課後とはいえ、こんなところで抱き合ってたら大問題だよ!)

ルビィ「は、花丸ちゃん!」バッ

花丸「ルビィちゃん?」

ルビィ「誰かに見られる前に、一緒に帰ろ。あんまり遅くなると、お家の人も心配するだろうし」

花丸「それもそうだね。じゃぁ今日は手を繋いで帰ろ」

ルビィ「…それくらいなら誰かに見られても平気だよね」

花丸「ルビィちゃんって、見られる心配ばかりしてるずら」クスクス

ルビィ「だ、だって、変な風に噂されたら、花丸ちゃんが困るでしょ」

花丸「オラは別に困らないもん。ルビィちゃんとだったら、どんな噂だってバッチこい、ずら」

39 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 22:38:10.76
ルビィ「……もう!」ギュッ

花丸「わっ、……いいの? 抱き合ってるの見られたら、噂されるかもしれないよ?」

ルビィ「ルビィだって、花丸ちゃんとだったら、なに言われたって平気だもん」ギュー

花丸「…ルビィちゃん、可愛い」

ルビィ「可愛いのは花丸ちゃんの方でしょ」

花丸「えー、ルビィちゃんの方だよ」

花丸「……マル、今すごく幸せ」

ルビィ「……ルビィも。多分、一番幸せだと思う」

40 :名無しで叶える物語:2017/08/09(水) 22:39:19.84
――この後、帰りが遅くなって、泣きたいくらいお姉ちゃんに怒られました。




終わり

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