2ちゃんねる ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50    

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

【改訂版】穂乃果「御用改めだよ!」海未「新選組です!」

1 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 17:56:30.03 ID:8ITUzIsL.net
代行

2 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 17:58:53.75 ID:2kXFbh/G.net
落ちてしまったので立て直しました
需要ないかもしれませんが最後まで書かせてください

最初から投稿し直すのでよろしくお願いします

3 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 17:59:48.36 ID:2kXFbh/G.net
以前書いたSSを加筆修正したものです
いわゆる再放送です

元スレ
穂乃果「御用改めだよ!」海未「新選組です!」 [転載禁止](c)2ch.net
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1440068453/

4 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:00:31.33 ID:2kXFbh/G.net
歴史事実に対して創作
キャラの死亡描写
これらを多く含んでおりますので、嫌悪感を持つ方は見ないほうがよいです
年末の時代劇だと思って気楽に読んでいただければと思います

※元スレの内容と本筋は変えておりません

5 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:01:01.97 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「海未ちゃん」

海未「なんですか?穂乃果」

穂乃果「私たちはずっとこのまま農民のままなのかなー」

海未「……」

穂乃果「剣の腕をどれだけ磨いても、武士にはなれないのかな」

海未「……なりましょう、いつか本当の武士に」

穂乃果「……うん、武士よりも武士らしく……」

6 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:01:34.87 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『徳川が江戸に幕府を樹立し200年以上が経った』

雪穂『目立った戦乱もなく平和なこの時代は黒船来航により一気に終焉へ向かう』

雪穂『そんな時代の移り変わりの頃、天然理心流剣術の道場、試衛館』

7 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:01:35.87 ID:c28X2ZFG.net
頑張れ
落ちたのは元旦だししゃーない

8 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:02:01.55 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「はぁー、今日も平和だねー」

海未「穂乃果!またあなたはそうやってボーっとして!」

穂乃果「もうー海未ちゃんはうるさいなー」

海未「海未ちゃんはやめなさい!私には土方歳三という名前がですねっ!」

穂乃果「そんなこと言ったら私も穂乃果じゃないもんー、今はこの近藤家の養子だもんー」

海未「このっ!」

穂乃果「わーやめてよー海未ちゃーん!!ことりちゃん助けてー!」

海未「ことり、じゃなかった、源さんも何か言ってください!」

ことり「うん、あの、今稽古中だから、二人とも静かにね?」

穂乃果&海未「はい」

雪穂『のちの新選組近藤勇、土方歳三、井上源三郎である』

9 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:02:35.87 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「だいたい、海未ちゃんだって、いっつも変な薬売るついでに道場に来てるだけじゃんー」

海未「変な薬とはなんですか!これは石田散薬と言って、すべてに万能な……」

穂乃果「そんなすごい薬がなんで売れないのさ」

海未「売れてます!!」

穂乃果「ふーん」

海未「とにかくいいのですか!?あなたがしっかりしなくて」

穂乃果「だってー、絵里ちゃんいるし」

海未「総司ですか……」

10 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:03:04.83 ID:2kXFbh/G.net
絵里「はあああっ!」

ダンッ

ことり「はぅ……、少しは手加減してよー」

絵里「それじゃあ稽古にならないじゃない」

穂乃果「いやーさすがはうちの塾頭、絵里ちゃんだねー」

絵里「ふふっ、まだまだ近藤さんには敵わないけどね」

海未「そうですよ、まだまだ私にも敵いません」

絵里「それは聞き捨てならないわね、海未」

海未「土方さん、ですよ、絵里」

絵里「……」

海未「……」

絵里「勝負よ!勝負!!」

海未「いいでしょう、行商で鍛えた腕みせてあげましょう」

穂乃果「元気だなー」

11 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:03:34.92 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『そんな試衛館に、しばらくして』

穂乃果「し、試合?」

ことり「うん、どうしても天然理心流の剣術をみたいって……」

穂乃果「ええー、困ったなー……、今日は海未ちゃんもいないし」

絵里「近藤さん、私がやるわ、どんな相手でも倒してみせるわ!」

穂乃果「そうだね、絵里ちゃんなら……」

希「それはダメや」

穂乃果「ひっ!?」

希「あんまり遅いんであがらせてもらったよ?」

ことり「あ、あの、この人が……」

希「北辰一刀流、千葉道場で剣を修めた山南敬助や、よろしくお願いいたします」

12 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:04:05.32 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「北辰一刀流って、あの有名な!」

ことり「ほ、穂乃果ちゃん」

穂乃果「こほん、えーっと、それで希ちゃん」

希「その呼び方は……、まあええけど」

穂乃果「うちで一番強いのは、この絵里ちゃんなの、だから絵里ちゃんが試合をするよ」

希「うちは試衛館の近藤勇と試合をしに来たんや、お相手願います」

穂乃果「ええー……」

絵里「何よ、私じゃ不満なの?」

希「まあ、言ってしまえばそうやね」

絵里「むぅ……」

希「ふふっ」

穂乃果「しょうがないなー、じゃあやるよー……、準備するねー」

希「ありがとね」

穂乃果「あ、そうだ」

希「ん?」

穂乃果「使うのは木刀ね」

希「……望むところや」

13 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:04:33.39 ID:2kXFbh/G.net
ダンッ バシッ

希「っ……!」

穂乃果「たあああああっ!!」

希「っ!!」

ことり「そこまで!」

穂乃果「ふぅ……、ありがとうございました」

絵里「さすが、近藤さんね」

希「負けたわ……、完敗や」

穂乃果「でも、希ちゃんの剣、とても綺麗だったよ」

希「綺麗でも実戦では役に立たんよ……」

穂乃果「じゃあこれで」

希「しばらくうちもこの道場に通うわ、食客として!」

穂乃果「えええええ!?」

14 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:04:59.17 ID:2kXFbh/G.net
・・・・・・・
・・・・
・・

海未「希の件はわかりましたが……」

海未「……それで私がいない間になぜこんなことに……」

穂乃果「こちらにこちゃん」

にこ「あんたが土方ね、私は永倉新八よ、しばらくここに厄介になるわ」

穂乃果「それでこちらが花陽ちゃん」

花陽「原田左之助です、どうぞよろしく」

海未「穂乃果!ただでさえ、貧乏道場なのにどうするんですか!こんなに食客が増えて!!」

穂乃果「いやー、どうしようね……」

花陽「皆ーご飯炊けたよー」

海未「あぁ!!お米をあんなに……」

花陽「はぁーおいしいー」

にこ「もっとゆっくり食べなさいよ」

希「このお味噌汁おいしいなー」

穂乃果「あはは……どうしよ」

15 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:05:28.50 ID:2kXFbh/G.net
絵里「皆、こちら藤堂平助、噂を聞いて試衛館で学びたいそうよ」

凛「よろしくにゃ!!」

ことり「あ、あの、今はまずいかも……」

絵里「え?」

海未「どうするのですか!これだけの人数を!!」

穂乃果「な、なんとかなるよ、皆強いし!」

海未「強くてもお金にならないと意味がないのですよ!!」

凛「あの、凛、来たのまずかったかな……」

花陽「あ、そこの人もご飯食べようー?」

凛「食べるにゃー!」

にこ「いやー、落ち着くわー」

ことり「この道場、大丈夫かなぁ……」

16 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:05:59.38 ID:2kXFbh/G.net
海未「そもそもそこの二人はなぜ試衛館に」

にこ「……」モグモグ

花陽「……」モグモグ

海未「あなたたちのことです!」

にこ「え!?私!?」

花陽「なぜって……」

にこ「武者修行中に試衛館の噂を聞いて」

花陽「私も同じような感じです」

海未「まるで流れ者のようなことを……」

にこ「あ、私脱藩してるから流れ者みたいなもんよ」

海未「なっ!?」

花陽「私も同じような感じです……上の人と喧嘩もしちゃって……」

海未「穂乃果、この二人は問題ありです」

穂乃果「だ、大丈夫だよ」

17 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:06:27.99 ID:2kXFbh/G.net
海未「それからあなたは……」

凛「藤堂平助だよ!」

にこ「藤堂、どっかの藩主様と同じ名前ね」

凛「凛、その藩主様の隠し子にゃ」

海未「はい?」

凛「だから所謂ご落胤っていうやつにゃ」

海未「絵里、なんでもかんでも拾ってこないで捨ててきなさい」

凛「ちょっと!人を野良猫みたいに!」

ことり「ほ、本当かな?」

希「んー、どうなんやろなー」

18 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:07:08.53 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『それからしばらくして』

真姫「斎藤一よ、しばらくここで剣を学ぶわ」

にこ「ちょっと、海未、どうしてまた増えるのよ、いいわけ?」

真姫「私はどこかの誰かさんたちと違って、ちゃんと月謝は払ってるわ」

にこ「ぐぬぬ……」

花陽「耳が痛い……」

真姫「文句ないわよね?」

海未「はい、しっかりと払うものを払っていただけていれば」

穂乃果「なんで海未ちゃんが仕切るのさー」

ことり「まあまあ」

絵里「それで真姫はどれくらい強いのかしら?」

真姫「私の場合は剣術よりも、実際の戦場でしか力を計れないわ」

凛(うわー……厨二病っぽいにゃ……)

絵里「ふーん、じゃああなたの負けね」

真姫「なっ、いいわよ!やってやろうじゃない!!」

希「ちょろいなー」

雪穂『こうして生い立ちも様々な9人は試衛館に集まった』

19 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:07:36.29 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「そんのーじょーい?」

希「そうや、王、つまり京におわす帝やね、帝を尊び、外からの敵を討つってこと」

穂乃果「なるほどなー」

絵里「近藤さんは意味がわかってるのかしら?」

海未「わかってるわけないでしょう、なんとなく聞いてるだけですよ」

絵里「そういう土方さんはいいの?話を聞かなくて」

海未「私はこういう話のに興味はありませんので」

絵里「ふーん」

希「どう?わかった?」

凛「難しいにゃー」

穂乃果「うん、なんとなくわかったよ」

希「お、本当?」

穂乃果「皆で力をあわせて頑張りましょうってことだよね!」

希「あー……、確かにそれが理想やね、さすが近藤さんや」

穂乃果「えへへ」

20 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:08:39.22 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「天然理心流四代目……」

穂乃果パパ「……」コクリ

穂乃果「実感ないなぁ……」

海未「もっとしっかりしてください、これで武士に一歩近づいたのですから」

穂乃果「武士かぁ……」

ことり「穂乃果ちゃんが継いでくれたから、この道場も安泰だね」

絵里「ええ、近藤さんは本当に強いもの」

穂乃果「んー」

希「どうしたの?」

穂乃果「私はこれで武士になれるのかな?」

希「武士になりたいん?」

穂乃果「……なんてね!今はこの道場をもっと大きくしないと!!」

希「……」

21 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:09:52.92 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「……」ボーッ

海未「どうしました、近藤先生、ボーっとして」

穂乃果「もうーその呼び方やめてよー」

海未「これからはしっかりしないといけないのですよ?」

穂乃果「海未ちゃん、子供頃の夢覚えてる?」

海未「ええ、武士になること、それが私たちの夢ですね」

穂乃果「私は今のお父さんに認められて養子にしてもらった、でも武士になったわけじゃない」

海未「……ええ」

穂乃果「私たち、武士になれるのかな……」

海未「……今が戦国の世であればこの腕で成り上がれたかもしれませんね」

穂乃果「うん」

海未「ですが、必ず武士になります、必ず!」

穂乃果「……よし!久しぶりに試合するよ!」

海未「お手柔らかにお願いしますね」

希「武士になりた

22 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:10:50.01 ID:2kXFbh/G.net
>>21
ミスです

穂乃果「……」ボーッ

海未「どうしました、近藤先生、ボーっとして」

穂乃果「もうーその呼び方やめてよー」

海未「これからはしっかりしないといけないのですよ?」

穂乃果「海未ちゃん、子供頃の夢覚えてる?」

海未「ええ、武士になること、それが私たちの夢ですね」

穂乃果「私は今のお父さんに認められて養子にしてもらった、でも武士になったわけじゃない」

海未「……ええ」

穂乃果「私たち、武士になれるのかな……」

海未「……今が戦国の世であればこの腕で成り上がれたかもしれませんね」

穂乃果「うん」

海未「ですが、必ず武士になります、必ず!」

穂乃果「……よし!久しぶりに試合するよ!」

海未「お手柔らかにお願いしますね」

23 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:11:10.64 ID:2kXFbh/G.net
・・・・・・
・・・・
・・

穂乃果「誰が一番強いか?」

絵里「そう!そろそろはっきりしないといけないと思って」

真姫「すでにはっきりしてるわよ?」

ことり「どういうこと?」

真姫「最強はこの真姫ちゃんこと斎藤一ってことよ」

絵里「だーかーらー!それが聞き捨てならないのよ!」

ことり「まあまあ落ち着いて」

にこ「まったくあんたたちは子供ねー」

ことり「あ、にこちゃん、にこちゃんからも二人を……」

にこ「最強は私に決まってるでしょ?」

ことり「あー、ダメだ……」

24 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:12:00.12 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「んー、別にこだわらなくてもいいんじゃないかなー?」

花陽「そうだよ、それよりお茶にしよう?」

絵里「そんな呑気してる場合じゃないわよ!近藤さん!」

穂乃果「えー」

絵里「このままだと、試衛館は天然理心流より食客の別の流派の者が強いってなっちゃうのよ?」ボソボソ

穂乃果「うん、そうだね」

絵里「そしたら、試衛館の入門希望者は減るのよ?」ボソボソ

穂乃果「それは……まずい……お茶菓子買うお金が……」

絵里「わかってくれた?」

穂乃果「うん、わかったよ!」

穂乃果「ちょっと二人とも!」

にこ「なによ」

穂乃果「ここは一番強いのは道場主の私ってことでいいんじゃないかな?」

真姫&にこ「「なんでそうなるのよ!!」」

25 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:12:28.52 ID:2kXFbh/G.net
希「でも実際穂乃果ちゃんは強いよ?戦ったことあるけど」

にこ「そりゃ別に弱いとは思ってないけど……」

海未「ええ、穂乃果は強いですよ?まあ私も強いですが」

ことり「う、海未ちゃん、これ以上話をややこしくしないで!」

真姫「海未の剣術は滅茶苦茶だから論外よ」

海未「なっ、どういうことですか!?」

にこ「海未は天然理心流だかなんだかわからないのよ!型が滅茶苦茶でしょ!」

穂乃果「それは確かに、海未ちゃん未だに免許皆伝じゃないし」

海未「ほ、穂乃果まで……」

凛「んー、じゃあいっそ皆で試合やればいいんじゃないかにゃ?」

絵里「もうそれしかないようね……」

花陽「あ、私も槍で参加してもいいかな?」

ことり「あー、花陽ちゃんまで……」

26 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:12:56.21 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『一通り試合が終わって』

穂乃果「あー、負けたー……」バタン

絵里「はぁはぁ、ど、どう?私が一番よ!」

ことり「えーっと、絵里ちゃんは穂乃果ちゃんに勝ったけど、にこちゃんに負けて」

ことり「にこちゃんは穂乃果ちゃんに負けたけど、絵里ちゃんに勝った」

真姫「私は絵里にもにこにも勝ったわよ?」

ことり「でも真姫ちゃんは穂乃果ちゃんと海未ちゃんに負けたよね?」

真姫「……」

海未「まだまだですね、真姫」

真姫「絵里とにこの後に海未に滅茶苦茶な剣術はやりづらかったのよ!」

海未「勝ちは勝ちです」

真姫「ぐぅ……」

27 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:13:27.35 ID:2kXFbh/G.net
凛「でもこれ結局どうするの?」

穂乃果「んー、まあ絵里ちゃんってことでいいのかな?」

にこ「待ってよ、その絵里に勝った私は!?」

希「んー、あ、そうや」

ことり「希ちゃん、もしかしていい案が?」

希「うん、それは……」

絵里「それは……?」

希「全員一斉に戦って、最後まで立ってた人の勝ち、っていうのは?」

穂乃果「お、おー……」

にこ「それ試合なの!?」

真姫「なるほど、実戦みたいな状況ってことね」

絵里「やってやろうじゃない!」

花陽「それなら私も槍で参戦します!」

ことり「……皆、ちゃんと稽古始めようよー……」

28 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:14:22.01 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『桜田門外の変以降、攘夷派の動きは活発になる一方で』

雪穂『幕府の権威は失墜していった、そんな中』

バタバタ

希「穂乃果ちゃん!いや、近藤さん!吉報や!!」

穂乃果「ど、どうしたの、希ちゃん」

希「公方様が、上洛されるで!」

穂乃果「公方様が……、上洛?」

絵里「それってすごいことなの?」

にこ「ちょっ、本気で言ってる!?徳川将軍が上洛するのは家光公以来のことよ!?」

穂乃果「ほえー……」

ことり(多分よくわかってないんだろうなー……)

29 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:14:46.33 ID:2kXFbh/G.net
花陽「でも、それがどうして吉報なの?」

希「今の京の状況は知ってるやろ?」

凛「相当物騒って聞いたにゃ」

希「そう、そこで将軍警護に浪士組を結成することになったんよ!!」

海未「浪士組……」

希「身分は関係ない、腕に覚えあれば参加できる、近藤さん、これや、これしかない!!」

穂乃果「身分は関係ない……」

穂乃果「……少し考える」

海未「……」



海未「これは好機です、ここで手柄を立てれば武士になれます!」

穂乃果「そうかな……」

海未「ええ!それに希の話では支度金もなかなか出るようで……」

穂乃果「う……、ま、まあそこだよね」

海未「金策に苦しんでいましたが、多少は解消されます!」

穂乃果「よし、行こう!今ここにいても何も変わらないよね!」

海未「はいっ!」

30 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:15:37.38 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「というわけで、浪士組に参加しようと思うんだけど」

絵里「もちろん私はついていくわ!」

海未「いやいや、あなたはここの塾頭ですよ!?道場はどうするのですか!」

絵里「この私が行かなくてどうするのよ!」

にこ「確かに危険な京の町には絵里の腕は必要かもね」

希「ええやん、えりちも連れていこ?」

絵里「希ー」

希「よしよし」ナデナデ

海未「希は絵里に甘すぎます……」

穂乃果「んー、お父さん、絵里ちゃんいなくても道場は大丈夫?」

穂乃果パパ「……」コクン

穂乃果「……よし!じゃあ皆で行こう!!」

31 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:15:59.36 ID:2kXFbh/G.net
ワイワイガヤガヤ

穂乃果「すごーい、こんなにいるの?」

にこ「ほとんど山賊みたいのもいるじゃない」

花陽「でも私たちも人のこと言えないかも……」

凛「なんか前で話してるけど全然聞こえないにゃー」

ことり「ちょっと、前の方で様子をみてくるね」

海未「すみません、お願いします」

穂乃果「本当にこんな人数にお金払ってくれるのかなー」

ツバサ「払わなければ暴動が起きるわよ」

穂乃果「え?」

ツバサ「あなた、試衛館の近藤さんよね」

にこ「あ、あなたは!」

海未「知り合いですか?」

にこ「この方は私と同じく神道無念流を学び師範代とまでなった、芹沢鴨殿よ」

32 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:17:07.50 ID:2kXFbh/G.net
ツバサ「よろしく」

希「……あなたが水戸の、お噂は聞いております」

ツバサ「いいのよ、そんなに堅苦しくしなくて」

穂乃果「はじめまして、近藤勇と申します」

ツバサ「ええ、あなたの噂は聞いているわ、かなりの腕前ってね」

穂乃果「いやーそれほどでもー」

海未「お世辞ですよ」

ツバサ「そうだ紹介するわ、新見君に平山君よ」

あんじゅ「新見錦よ、よろしくー」

英玲奈「平山五郎だ、よろしく頼む」

ツバサ「おっと、そろそろ何か始まるようね、お互い尽忠報国のため頑張りましょう」

穂乃果「じ、じんちゅうほうこく……?」

にこ「あの方は立派な方よ、穂乃果も見習いなさい」

穂乃果「は、はあ……」

33 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:17:40.65 ID:2kXFbh/G.net
ことり「話聞いてきたよ、私たちは芹沢さんの組に入るみたい」

穂乃果「よし、それじゃあ行こう!いざ京へ!」

海未「ちょ、ちょっと恥ずかしいですからあまりそういうことは……」

絵里「いざー!」

凛「いざー!」

にこ「あー、もう完全にアホな集団よ、これ……」

希「まあまあ、ええやん」

花陽「おにぎりたくさん持ったよー!」

海未「大丈夫でしょうか……」

雪穂『こうして、近藤たちは京へと旅立った』

雪穂『そのほんの少し後のこと』

真姫「……なんで、誰もいないのよ」

真姫「京へ行った?浪士組?」

真姫「……この私を置いて行くなんていい度胸じゃない!!」

真姫「私も行くわよ!もうっ!!」

真姫「待ってなさいよ、京の不逞浪士ども!真姫ちゃんの刀の錆にしてくれるわ!」

真姫「その前にしっかり支度しないと」

34 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:18:06.10 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「悲しみにーとーざされてー泣くだけのーきーみじゃなーいー♪」

海未「近藤さん、物見遊山じゃないんですよ」

ツバサ「元気でいいじゃないの」

穂乃果「ほら、芹沢さんもこういってるし」

海未「はぁ……」

ツバサ「それでね、攘夷のためには」

穂乃果「ふむふむ……」

絵里「なんだか近藤さん、芹沢さんの話に夢中ね」

希「あまりこういう機会がなかったから新鮮なんだと思うよ?」

花陽「難しい話はよくわからないや」

ツバサ「というわけで、これが真の尊王攘夷というものよ、わかる?」

穂乃果「なるほどなー」

35 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:18:32.50 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『その夜』

ツバサ「もっとお酒ーお酒足りないわよー!」

海未「ひ、ひどい酔い方ですね……」

にこ「い、イメージが……」

ツバサ「あんじゅー!お酒もっと持ってこさせてー!」

あんじゅ「ええ、芹沢先生がお待ちよ、早くしなさい?」

希「酒は人を変えるというけど、本当やね」

穂乃果「うー、ひっく」

ツバサ「ほらほら、近藤さん、もっと飲まないと」

穂乃果「は、はーい」

ことり「海未ちゃん」ボソッ

海未「ことり、どうしました」

ことり「この浪士組、ちょっと裏があるかも……」

海未「……なるほど」

36 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:19:26.28 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『浪士組は今日の壬生村へと到着し、近藤たちは壬生村の八木邸へと入った』

八木邸

穂乃果「お世話になりまーす」

海未「いいのでしょうか、こんなに大勢で……」

にこ「そこは心配しても仕方ないでしょう」

凛「疲れたにゃー」

花陽「私も……」

穂乃果「だ、ダメだよ、二人ともこんなところで寝ちゃ!」

ことり「た、大変だよー!皆ー!!」

穂乃果「どうしたの?」

ことり「……清河さんが……」

海未「もう動きましたか……」

37 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:19:51.09 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『浪士組の自身の目的に利用する清河の画策により、浪士組は早々に江戸に戻ることになる』

雪穂『しかし、それを良しとしない、近藤、芹沢らは将軍警護のため、京に残ることになった』

穂乃果「芹沢さんも残ってよかったんですか?」

ツバサ「当たり前よ、何のためにここまで来たと思ってるのよ」

あんじゅ「尽忠報国のため、私たちはここまで来たのよ」

英玲奈「何より清河は好かない」

穂乃果「それならいいんですけど……」

海未「しかし、これから先どうすれば」

花陽「この家の人達も迷惑そうですし……」

38 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:20:17.96 ID:2kXFbh/G.net
ツバサ「私に考えがあるわ」

穂乃果「考え?」

ツバサ「京都守護職、松平容保公」

希「……なるほど」

穂乃果「だ、誰?」ボソッ

にこ「あのねぇ……」

ガラッ

真姫「待たせたわね!天才剣士斎藤一遅れながら参上したわ!!」

にこ「……はぁ……」

39 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:20:44.38 ID:2kXFbh/G.net
ツバサ「京都守護職、つまり京の治安維持のために幕府から押し付けられたのが松平容保公」

ツバサ「私たちは今のままではただの浪人集団、後ろ盾が必要」

ツバサ「そこで容保公を利用させてもらうってわけよ」

穂乃果「容保公を?」

ツバサ「ええ、治安維持を私たちが請け負う代わりに、私たちを会津藩の預かりにしてもらう」

ツバサ「そうすれば資金も会津藩から出て、会津から命となれば八木邸の方々もここを屯所とすることに納得せざるをえない」

ツバサ「というわけよ」

穂乃果「ほえー、さすが芹沢先生」

希「確かにこれが今考えられる最善策やね」

真姫「ねえ、今何の話よ」

絵里「えーっと、なんだったかしら」

にこ「もう二人は黙ってなさい」

ことり「じゃあ私は八木家の人に話してくるよ、今のままだとただの浪人集団で追い出されちゃう……」

海未「ええ、お願いいたします」

海未(……私にもここまでの策が思いつけば……)

40 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:21:14.64 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「紋付かーなんか引き締まるね」

海未「し、しかし、いいのでしょうか、皆同じ紋というのは……」

ツバサ「いいのよ、いいのよー、私たちは浪士組なんだから、気にしちゃダメよ」

あんじゅ「さすが芹沢先生ね」

穂乃果「よし、じゃあ行こう!」




理事長「……浪士組ですか」

ツバサ「何卒、よろしくお願いいたします」

理事長「……確かに今は浪士を必要としていますが……」

理事長「いいでしょう、浪士組は今後会津藩が預かります」


雪穂『これ以降京に残った浪士組は会津藩預かりとなり、京の治安維持を行っていく』

41 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:22:06.85 ID:2kXFbh/G.net
海未「壬生浪士組です」

あんじゅ「精忠浪士組」

英玲奈「名前よりも組長はどうするんだ」

希「局長とするほうがええんやないかな、ここは近藤さんがええと思うよ?」

穂乃果「わ、私!?」

あんじゅ「それこそ論外よ、芹沢先生以外に適任はいないわ」

穂乃果「う、うん、芹沢先生より私が上っていうのは……」

海未「なら、近藤さんも局長ということで」

ツバサ「それならー、あんじゅも局長でいいんじゃなーい?」

海未(誰ですか、酒を飲ませたのは……)

希「うーん、それなら、筆頭局長を芹沢先生、局長に近藤さん、新見さん、これでええかな?」

海未「では副長はこの私が」

あんじゅ「平山も副長に」

ワーワー

絵里「騒がしいわねー」

花陽「ちょっと散歩してくるねー」

凛「あ、凛もいっくにゃー!」

42 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:22:42.55 ID:2kXFbh/G.net
海未「全く何なんですか!もう!」

ことり「海未ちゃん、落ち着いて?」

希「体制についてはこれでやるしかないんやない?」

海未「わかってます!」

にこ「相当気に入らないのね」

海未「当たり前です!」

真姫「仕方ないんじゃない?」

真姫「芹沢も、酔ってる時はあれでも、素面のときは人格者、頭も切れるんだもの」

真姫「時勢についても明るいしね」

海未「斎藤君、それは近藤さんよりも芹沢のほうがふさわしいということですか」

真姫「ここは文句を言っても仕方ないでしょう、っていう話よ、土方さん」

海未「……」

真姫「……」

絵里「もうーやめましょうよ、こんな話、それより京の町に遊びに行きましょう?」

花陽「そうだね、おいしいお店たくさん見つけたし」

にこ「……二人とも、今にも刀を抜くような顔してるわよ、やめなさい」

43 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:23:08.40 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『浪士組が結成されてからそれほど経たない頃』

海未「なんでしょうか、お話とは」

穂乃果「遊びに行くなら、他の皆も」

あんじゅ「違うわよー」

ツバサ「ひっく……、浪士組の体制もひと段落したところで、問題が発生しているわー」

海未「殿内ですか」

ツバサ「さすがは土方君ー」

穂乃果「え?殿内さん?なんで?」

あんじゅ「根岸はどこかへ消えたけど、殿内は残って浪士組をまとめるのは自分と言わんばかりの態度」

英玲奈「元々殿内はとりまとめ役を任されていたようだが、単に浪士組を自分のものにしたいようだな」

ツバサ「志も異なっているようだし、殿内は不要よ、奴を斬って始めて浪士組は私たちのものになるわ」

穂乃果「そ、それはちょっとやりすぎじゃ……」

海未「いえ、私もそう思っておりました、殿内は邪魔です……」

あんじゅ「決まりね、ここは近藤局長にお願いするわ」

穂乃果「わ、私?」

ツバサ「見事斬ってみせてくださいね、近藤君、ふふっ」

穂乃果「……」

44 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:23:36.37 ID:2kXFbh/G.net
・・・・・・
・・・・
・・

穂乃果「……私がやる」

海未「ダメです」

穂乃果「なんでさ」

海未「あなたは局長です、芹沢たちがどう言おうと私たちの頭は穂乃果、あなたです」

穂乃果「だからこそだよ、これからこんな仕事ばかりになるかもしれない、ここは私がやる」

海未「……わかりました……、ただし、総司も一緒に」

穂乃果「絵里ちゃんはダメだよ!まだ……」

海未「……遅かれ早かれです、絵里の剣の腕を必要となるときが来るなら早いうちに」

穂乃果「……じゃあ人選は海未ちゃんに任せる」

海未「……わかりました、ことり、お願いできますね」

ことり「うん、私は大丈夫だよ」

45 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:24:02.92 ID:2kXFbh/G.net
絵里「緊張するわねー」

ことり「絵里ちゃん、遊びじゃないよ?」

絵里「わかってるわ」

穂乃果「二人ともごめんね、こんなことに付きあわせて」

絵里「気にしないで、私の剣の腕は近藤さんのために使うと決めたんですから」

ことり「私もだよ」

穂乃果「……うん、そろそろくるよ」

殿内「……ん?なんだ、近藤殿じゃないか、こんなところで何を」

穂乃果「……殿内、覚悟」

殿内「!?」

ブンッ ザシュザシュ

穂乃果「……」

ことり「終わったね」

穂乃果「戻ろう」

絵里「……あっけないのね、人って」

46 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:24:31.14 ID:2kXFbh/G.net
ツバサ「お見事ねー、近藤君ー」

穂乃果「は、はあ」

ツバサ「なーによ、暗い顔してー、ほら、飲んだ飲んだ」

ツバサ「人を斬った後は飲むに限るわー」

穂乃果「いえ、私は何も……、絵里ちゃ、沖田君が頑張ってくれたので」

ツバサ「へー、沖田君、ちょっとこっちに来なさい?」

絵里「え?はい」

ツバサ「あなた強いんですってねー、ほら飲んで」

絵里「いえ、それほどでもー」

ツバサ「強い人は好きよ、私」ニヤ

絵里「は、はい」ゾワ

47 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:25:05.91 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『会津藩御預かりとなった浪士組だが、資金が十分とはいえない状態であった』

雪穂『そんなある日』

穂乃果「え、お金?こ、こんなに?」

ツバサ「遠慮せずに受け取りなさいなー」

英玲奈「これで浪士組の隊服も揃えられるな」

海未「一体どんな手を使ったのやら……」

あんじゅ「あらー、お願いしたら快く出してくれたわよ?」

希「お願い、ね」

ツバサ「んー?山南君?何か不満?」

海未「いやいや、そんなことありませんよ、ほら山南君、芹沢先生の酒がないですよ」

希(海未ちゃん、いいの?これで?)

海未(汚いやり方ですが、仕方ありません、せいぜい悪者になってもらいますよ)

ツバサ「そう?まあいいわ、気分直しよ、沖田君ー?一緒に飲みましょ?」

絵里「え、は、はい」

48 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:25:31.93 ID:2kXFbh/G.net
絵里「なんでよ!」

海未「ダメです!」

希「どうしたの?大きな声で」

絵里「希ー、聞いてよ、凛と祇園に行こうとしたら海未がダメって」

凛「凛もいきたいにゃ!」

海未「二人にはまだ早いです」

絵里「なんでよー!」

希「まあまあ、確かに二人にまだ祇園は早いかな……」

凛「そういう理由なら百歩譲ってもいいけど、真姫ちゃんは行ってるよ!」

海未「う……」

49 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:25:52.80 ID:2kXFbh/G.net
絵里「そうよ!なんで一番年下の真姫が行ってよくて、私がダメなのよ!」

海未「い、いや、それは……、真姫は、あれです、なんといいますか……」

絵里「はい、論破!いくわよ!凛!」

凛「いっくにゃー!」

希「……海未ちゃん、残念」

海未「はぁ……、私も遊んできます……」

ことり「海未ちゃんも?ほどほどにね?」

海未「それは穂乃果に言ってあげてください」

ことり「あはは……確かに」

50 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:28:56.64 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『浪士組としての活動が始まり、しばらくした後、浪士組は大阪奉行所より依頼を受ける』

ツバサ「簡単な仕事だったわねー」

にこ「10人も大阪に来る必要はあったのかしら……」

絵里「まあいいじゃない、こうして船に乗って遊べて」

希「せやね、近藤さんにはちょっと悪いけどね」

ツバサ「まあ後のことは近藤さんにお任せー、ってね」

にこ「……ん?真姫、なんか顔色悪くない?」

真姫「そ、そんなことないわよ、……っ」

ツバサ「なーに、斎藤君、お腹押さえちゃって、もしかして痛いのー?」

真姫「だ、大丈夫よ、別に……」

希「無理しない、船をとめて、どこかで休も?芹沢さん、それでええ?」

ツバサ「まあ仕方ないわねー、ほら、止めた止めたー!」

51 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:29:14.35 ID:2kXFbh/G.net
真姫「うぅ……」

絵里「もう、真姫ったらこんなに痛いなら早く言えばいいのに」

ツバサ「どっかの店でも入りましょー、ん?」

にこ「あれは力士の集団?」

希「ぞろぞろと歩いて邪魔やなー」

ツバサ「ふん、私たち武士が通るんだから退くでしょ、いくわよー」

ツバサ「……ちょっと、邪魔なんだけど?」

力士「……」

ツバサ「どういうつもりかしら?あなたたち?」

希「芹沢さん、あまり騒ぎは……」

ツバサ「ふんっ、退きなさい!」ブンッ ガンッ

絵里「うわー……鉄扇痛そう……」

ツバサ「退いたわね、行くわよ、浪士組に逆らうからこうなるのよ、あははは!」

にこ「ついてないわね、あんたたち……」

52 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:29:18.71 ID:y3D71cW1.net


53 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:29:41.60 ID:2kXFbh/G.net
・・・・・・
・・・・
・・

ツバサ「もう飲めないわー、飲むけどー!」

希「あーあー……、うちら芹沢さんをちゃんと送れるんやろか……」

にこ「……ここは店に来ることになった真姫ちゃんになんとかしてもらいましょ」

真姫「な、なんで私が」

絵里「でも真姫に体調がよくなってよかったわー、ん?なにあれ?力士がたくさんいるわよ?」

希「……!あちゃー……」

ツバサ「はぁー!?力士が何の用よ!」

にこ「多分、さっきの件かと……」

ツバサ「知らないわよ、ちょっと行ってくるわー!ひっく」

希「嫌な予感しかしない……」

英玲奈「芹沢先生なら大丈夫だろう」

希「いや、そういうことやなくて……」

54 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:30:04.96 ID:2kXFbh/G.net
ツバサ「あんたたちー、店が迷惑してるでしょーが!どっか行きなさいー!」

ツバサ「行かないなら……斬るわ」ザシュ

希「あかん、やってもうた……」

英玲奈「まあ仕方ないだろう、手伝いにいくぞ」

絵里「私も行くわー!」

真姫「面倒ね、まったく」

にこ「希、仕方ないわ、行きましょう」

希「なるべく殺さないようにね?」

雪穂『浪士組が力士に負けるわけはなく、この騒動は力士側に非があるとして奉行所で処理された』


ツバサ「あははは!力士たちから賠償金もらったわー!」

あんじゅ「さすが、芹沢先生」

希「うちがいながら申し訳ない」

穂乃果「希ちゃんのせいじゃないよ!落ち込まないで!」

海未(……また資金が増えましたね)

55 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:31:03.47 ID:2kXFbh/G.net
絵里「……今日こそ浪士組最強を決めるべきだと思うの」

穂乃果「ま、また?」

海未「絵里、さすがにもう遊んでる場合じゃないのですよ?」

絵里「でも、このままでいいの!?」

穂乃果「このままって?」

絵里「今のままじゃ、芹沢さんが浪士組の中心になってる」ボソボソ

海未「……残念なことですね」

絵里「その上、一番強いのも天然理心流じゃないなんてなったら……」ボソボソ

海未「……まずいですね、それは」

穂乃果「そ、そうかな?」

絵里「とにかくはっきりさせるべきよ!最強は私だと!」

56 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:31:27.35 ID:2kXFbh/G.net
あんじゅ「浪士組最強ー?」

真姫「懲りないわねー、まあいいわ、そろそろこの真姫ちゃんが最強とはっきり……」

英玲奈「浪士組最強、芹沢さんで異論ないだろう」

あんじゅ「そうよねー」

絵里「そ、それをはっきりとさせるのよ!」

にこ「また試合でもするの?」

凛「今度は凛も頑張るにゃー!」

ツバサ「待った」

絵里「え?」

ツバサ「最強というのをたかだか竹刀、木刀の剣術勝負で決めるの?」

57 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:32:13.38 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「えっと、芹沢さん、どういうこと?」

ツバサ「最強というのは実戦でどうか、ってことじゃない?」

穂乃果「それは確かにそうなんだけど、前に総当たりでやったら結局決着つかなくて」

あんじゅ「そういうことじゃないわよー」

英玲奈「実戦というのは命のやり取りの中でどうか、ということだ」

ツバサ「そうそう、そういうことー」

絵里「なら、真剣で?」

ことり「ダメだよ!そんな危ないこと!」

海未「確かに言いたいことはわかります、ですがそれは不可能、それなら剣術で決めるしかないのでは?」

ツバサ「それだと私になっちゃうじゃないー」

海未「随分自信があるのですね」

ツバサ「そりゃあねー、まあその前に全員でお酒を飲んでもらうけど」

あんじゅ「全員酔った状態なら芹沢さんは負けないわねー」

花陽「凛ちゃん、今のどういう意味かな?」ヒソヒソ

凛「多分冗談にゃ、水戸流の冗談」ヒソヒソ

58 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:32:39.67 ID:2kXFbh/G.net
真姫「そんなこと言ったらキリがないじゃない、ちなみに私は酔っても強いわよ?」

ツバサ「まあそれは冗談として、状況次第じゃわからないってことよ」

穂乃果「状況次第……」

ツバサ「ええ、私だって斎藤君に夜道で居合でやられたらどうなるかわからないし」

真姫「と、当然よ」

ツバサ「単純に竹刀でなら永倉君かしらねー」

ツバサ「あー、でもそれなら沖田君もね」

あんじゅ「そう?それでも芹沢さんが勝つと思うけど?」

ツバサ「それもそうね」

にこ(何なのよ、いったい……)

海未「そうは言っても、一対一の勝負くらいしかどちらが強いか決めるなんて出来ませんよ」

ツバサ「あら、私は本気の殺し合いならあなたが一番怖いわよ?土方君?」

59 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:33:10.64 ID:2kXFbh/G.net
海未「私が、ですか?」

ツバサ「ええ、例えば、あなたが私を斬ろうとしたら」

希「ちょっと、ちょっと」

ツバサ「例えばよ」

ツバサ「その時はどうするかしらね、まさか夜道で、なんて普通のことはしないわよね?」

海未「そうですね、夜道でもおそらく私は負けるでしょうね」

ツバサ「ええ、その通りよ、あなたの怖い所は慢心しないところ、自分を過大評価してない」

海未「……褒め言葉でいいのですよね?」

ツバサ「もちろんよ、……おそらくだけど、あなたは私を殺すなら一人で来ない、必ず殺すために」

絵里「もうそれ最強とか関係ない気が……」

ツバサ「私が言いたいのはね、結局生き残った者が強いってことよ」

穂乃果「なるほどー」

60 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:33:32.20 ID:2kXFbh/G.net
ツバサ「まあ冗談はともかく、実際一番やりたくないのは近藤さんね」

穂乃果「私?」

ツバサ「ええ、あなたはおそらく本気になったらとても強い、これは剣術なんかではわからない」

穂乃果「そ、そうですかー?」

ツバサ「生きるために、勝つために、鬼のように強いと思うわ」

穂乃果「いやー、それほどでもー」

ツバサ「そういうことよ、土方君」

海未「ええ、よくわかりました」

絵里「ちょっと!結局最強は!?どうするのよ!」

ツバサ「とりあえず私でいいんじゃない?さあ飲み直しよー!」

にこ「結局こうなるのね……」

絵里「納得いかない……」

海未(……芹沢、あなたを殺すには数人がかりでも厳しいでしょうね……)

61 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:35:31.84 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『浪士組の活動は徐々にだが増え始め、ついにある大きな事件をむかえる』

穂乃果「長州の人たちが?」

ツバサ「ええそうよ、攘夷についてはこの前説明したと思うけど」

穂乃果「は、はい」

ツバサ「長州の一部にその過激派がいるんだけどね、そいつら含めて京から排除しちゃおうってわけよ」

穂乃果「そこまでしちゃうの?」

ツバサ「話によると、長州と攘夷派の公家も追放しちゃおうって寸法らしいわ」

希「容保公は薩摩と手を組んだんやね」

ツバサ「ええ、公武合体派の薩摩からしても絶好の機会だからね、互いの利益が一致したのよ」

穂乃果「え、ええーっと、それで私たちは何を……」

海未「要するに、容保公から言われた通り御所の警備をするということです」

穂乃果「なるほど!」

ツバサ「近藤さんにはそのほうがわかりやすかったわね、まあ難しい話はしっかり教えてあげるわ」

穂乃果「ありがとうございます!」

希(ほんま酔ってないとしっかりした人なんやけどな……)

62 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:36:00.03 ID:2kXFbh/G.net
ツバサ「さあ、精忠浪士組出陣よ!」

海未「壬生浪士組です」

穂乃果「緊張するなー……、ヒデコ、旗はしっかり掲げてね!」

ヒデコ「任せて!」

希「島田君は本当に力もちやね」

ヒデコ「私の取り柄ですから!」

花陽「すごいなー」

真姫(槍をぶん回してる子が何を言ってるのかしら……)

ツバサ「ほらほら、いくわよー!」

63 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:36:37.39 ID:2kXFbh/G.net
御花畠門

凛「通すにゃ!」

花陽「通してください!」

ツバサ「何よ、何の騒ぎ?」

希「会津の人たちが通してくれないみたいやね、話がついてないんやろか」

穂乃果「ええ!?私たち会津のお殿様に言われてきたのに?」

あんじゅ「下の連中にまで行き届いてないんじゃないかしらー」

海未「参りましたね……」

ツバサ「まったく……」ザッ

穂乃果「芹沢さん?そっちは危ないよ!?」

64 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:37:01.10 ID:2kXFbh/G.net
会津兵「ここは通さん!!おい、なんだ、お前は」

海未「槍を……!芹沢先生、ここは一度退いて」

ツバサ「まあまあ、どきなさいな、ふふ」

会津兵「なっ……」

ツバサ「槍はね、向けただけじゃ人は殺せないのよ?」

会津奉行「間に合ったか!?その者たちを通してやれ!」

ツバサ「わかったでしょ、ほら、皆行くわよ?」ザッザッ

穂乃果「槍を向けられてたのにあんなに悠然と……」

海未(……この人は……)

65 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:37:33.80 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『八月十八日の政変と呼ばれるこの事件での浪士組の活動は松平容保に大いに評価された』

雪穂『これにより、浪士組は新選組という名を賜り、昼夜の市中警備を任されることになる』

穂乃果「えー、というわけで、私たちは新選組という名前をもらいました」

あんじゅ「これでもっと好きに動けるってわけね」

ツバサ「結構ね、近藤さん、今後も不逞浪士取締に全力を注ぎましょう?」

穂乃果「はいっ!」

ツバサ「さて、飲むわよー」

海未(すでに飲んでるじゃないですか……)

凛「じゃあ凛たちは仕事に行くにゃー」

花陽「うん、長州の人が匿われてる宿があるみたいだからね」

ツバサ「はーい、いってらっしゃーい」

ことり「じゃあ私も……」

海未「ことりもですか?」

ことり「……芹沢さんがこの前……」

海未「あ……、すみません、お任せします」

ことり「交渉は得意だから任せて?」

海未「……」

66 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:38:00.47 ID:2kXFbh/G.net
・・・・・・
・・・・
・・

凛「御用改めにゃ!」

花陽「ここに長州の者がいるのはわかっています!」

凛「乗りこむにゃー!!」バタバタ

花陽「り、凛ちゃん!飛び込んだら危ないよ!!」

凛「かよちん!一人逃げたにゃ!」

浪士「どけえええ!!」

花陽「……」ザシュ

浪士「がっ……」バタッ

花陽「退きません」

67 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 18:45:33.14 ID:y3D71cW1.net
途中まで読んだ。おもろい。
落ちても最後まで頼むで

68 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:04:57.80 ID:2kXFbh/G.net
・・・・・・
・・・・
・・

絵里「えーっと、あ、あの人かしら」

にこ「そうね、間違いないわ」

絵里「よし、じゃあ皆いつも通り回り込んで一気にやるわよ」

にこ「ほら、急いだ急いだ」

絵里「なんだか大勢で一人をなんて卑怯だけどね」

にこ「確実にやるためよ、海未にも言われてるでしょ」

絵里「わかってるわよ、集団で襲えって」

にこ「これは決闘じゃなくて、ただの人殺しなの、卑怯も何もないのよ」

絵里「……ええ」

69 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:05:28.00 ID:2kXFbh/G.net
・・・・・・
・・・・
・・


真姫「……」

真姫(……あれね)

浪士「ちっ、月も隠れて真っ暗だな……」

真姫「……」

浪士「……?」

真姫「……」ブンッ

浪士「っ!?貴様っ」

真姫「遅いわ」ザシュ

70 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:05:53.97 ID:2kXFbh/G.net
ツバサ「斎藤君お疲れ様」

真姫「まだ起きてたの?」

ツバサ「ええ、今日も上手く斬ってきたみたいね」

真姫「難しい仕事じゃなかったわ」

ツバサ「ねー、斎藤君、私と飲まない?」

真姫「い、いいけど……」

ツバサ「ふふっ、強い人は好きよ、あなたみたいにただ強い人はね」

真姫「私もあなたは嫌いじゃないわ」

ツバサ「あら?あんたは近藤派でしょ?」

真姫「別にそういうわけじゃないわよ」

ツバサ「ふーん……それなら今日はゆっくり飲みましょうか」

71 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:06:16.46 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『新選組の活動が活発なっていく中、とある事件が起きる』

ツバサ「それ本当?」

あんじゅ「ええ、大和屋は攘夷派に随分と金を渡しているらしいわ」

英玲奈「京に店を構えていてふざけたことを」

ツバサ「まあいいわ、それなら私たちにもそれはそれは大量に献金してくれるはずね」

あんじゅ「ええ、もちろん」



ことり「た、大変!芹沢さんが大変だよ!」

海未「どうしましたか?またあの人がどこぞの芸者でも……」

ことり「芹沢さんが火を!」

海未「!?」

72 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:07:19.19 ID:2kXFbh/G.net
ツバサ「あははは!もっと燃えなさい!」

バタバタ

穂乃果「せ、芹沢さん!?」

海未「な、何をしているのですか!?」

ツバサ「この店はね、攘夷派に金を渡しているのに、新選組には金は払えないそうよ!」

あんじゅ「京を守っている私たちに払えないなんて」

英玲奈「そのような店は京の町に不要」

ツバサ「だから燃やすのよ!店ごとね!あははは!」

穂乃果「な、なんてことを……」

ツバサ「ほらほら!もっと燃やしなさい!」

73 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:07:44.51 ID:2kXFbh/G.net
海未「……」

希「……」

ことり「あ、あのー」

海未「すみません、話なんですが」

希「芹沢さんたちのことやろ?」

海未「はい、率直に言います、私は芹沢が怖いです……」

ことり「怖い?」

海未「はい、酔えば無茶苦茶なことばかりする人ですが、あの人は……武士です」

希「……」

海未「この前の御所警護でわかりました、あの人は本物の武士だと」

穂乃果「この前の……」

海未「槍を構えた会津兵に私たちは動けなかった、それなのに」

希「芹沢は悠然と前へ出た」

ことり「……でもそれは」

海未「私たちはいくらあがこうと、百姓です、百姓が武士を真似ているだけなんです!」

74 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:08:08.97 ID:2kXFbh/G.net
海未「このままでは新選組は芹沢なくして成り立たなくなる……」

希「……斬る気やね、芹沢を」

海未「……今なら容保公にとって芹沢はただの悩みの種に過ぎません、やるなら、早いうちに」

穂乃果「え、だ、ダメだよ!そんなの!」

海未「しかし、やるしかありません、芹沢の乱暴狼藉は目に余ります」

穂乃果「そ、それは確かにお酒飲むと芹沢さんちょっと乱暴だけど……」

穂乃果「でも、頭も良いし、一流の剣術もあるし……」

海未「だからこそです」

穂乃果「え?」

海未「このままでは芹沢は完全に新選組の頭になってしまいます」

穂乃果「わ、私はそれでも……」

海未「穂乃果、それではダメです、私たちが武士になるにはそれでは……」

希「気持ちはわからんでもないけど、芹沢さんたちはちょっとやりすぎやね、この前も酔って暴れたらしいし」

海未「私は新選組を大きくして、穂乃果を武士にします、そのためにはなんだってやるつもりです」

穂乃果「海未ちゃん……」

海未「……」

穂乃果「わかったよ……」

海未「ではまずは新見から……始めます」

75 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:08:30.37 ID:2kXFbh/G.net
ツバサ「局中法度ー?ひっく」

海未「はい、隊士の数も増えてきたので、ある程度の規定を設けるべきかと」

あんじゅ「だいたいはわかるけど、この勝手に金策するなっていうのは?」

海未「私的な目的でということです」

あんじゅ「なるほどねー」

英玲奈「問題は一番最初のだ、士道背くなというのは抽象的すぎないか」

希「そこは心得という形でよいかと」

海未「武士として当然のことをしていればそこにあてはまることはありませんよ」

ツバサ「ふーん、まあ問題ないんじゃないー、要は脱走者を防ぎたいんでしょー?」

海未「ええ、まあ」

ツバサ「それで、これに背いたらどうするのかしら」

海未「……切腹です」

あんじゅ「なっ……」

穂乃果「……」

ツバサ「ふふっ、あはははっ、いいわね、それ面白いじゃないー、これでやってもらってかまわないわー」ヒラヒラ

海未「承知しました」

76 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:09:11.51 ID:2kXFbh/G.net
絵里「法度ねー、背いたら切腹ですって」

花陽「あぅ……もう切腹はこりごりかなぁ……」

ことり「ちゃんとお仕事してれば大丈夫だよー」

海未「ええ、そうですね、まあ心得みたいなものと思ってください」

海未(いずれ、しっかりとした法度にするつもりですが)

絵里「なるほど、そういうことねー」

ツバサ「そうよー」

絵里「せ、芹沢さん」

ツバサ「ふふっ、沖田君ー、一緒に遊びに行きましょー」

絵里「ひゃっ、わ、わかりました」

花陽「あー、また連れてかれてる……」

海未「はぁ……、あ、新見先生」

あんじゅ「どうしたのー?」

海未「資金のことなんですが、また少し厳しい状況が続いてまして……」

あんじゅ「なるほどねー、いいわ、任せといてー」

海未「……ええ、お願いいたします」

77 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:09:39.33 ID:2kXFbh/G.net
数日後

ツバサ「新見が資金を勝手に使ってる?」

海未「はい、新見先生はどうも私的に金を借りていたようで、先日も金策していたようですが……」

希「新選組の資金というわけではないというわけやね」

海未「ええ、どうもご自身で遊ぶ金のようで」

ツバサ「まあ確かに先日そんなことを新見がしていたのは私も知らないわね、近藤さんは」

穂乃果「わ、私も報告は受けてないです……」

海未「これまでかなり無茶な金策をしていたようですが、すべて新選組のためと思い、目を瞑ってきました」

海未「しかし、ご自身で使うためということでは、隊内ではよくてもいずれ容保公に知られては……」

ツバサ「まあ、そうね……」

英玲奈「し、しかし、芹沢先生」

ツバサ「平山……、黙りなさい」

英玲奈「は、はい……」

78 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:10:05.71 ID:2kXFbh/G.net
ツバサ「……」

ツバサ「近藤さん、あなたもそれには賛成なのね」

穂乃果「へっ、え、えっと……」

ツバサ「どうなの?」

海未(穂乃果……)

穂乃果「は、はい、新見さんのやり方はやっぱり……、結局隊の資金のためでもないなら……」

ツバサ「ふぅ……、いいわ、土方君、進めてもらってかまわないわ」

英玲奈「せ、先生!」

海未「では、あとはお任せください」

ツバサ「土方」

79 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:10:23.34 ID:2kXFbh/G.net
海未「っ……はい」

ツバサ「今回だけは好きにやらせてあげるわ」

海未「……」

ツバサ「でもね、新見はあなたが思っている以上に安くはないのよ?」

海未「もちろん、先生方は古くからの同志と存じております」

ツバサ「近藤、あなたもわかってるわね?」

穂乃果「は、はい」

ツバサ「……飲みに行くわ、平山、いくわよ」

英玲奈「……はい」

穂乃果「……」ガタガタ

海未(よく我慢しました、穂乃果)

80 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:10:50.68 ID:2kXFbh/G.net
祇園

海未「ここですね、新見のいる店は」

穂乃果「うん」

海未「まだ、怖いですか?」

穂乃果「ううん、大丈夫、私がしっかりしないといけないんだよね」

海未「……いきましょう、他の者もいいですね?」

バタバタ


ガラッ

あんじゅ「なーに大勢で、これからいいところなんだけどー?」

海未「新見先生、出来れば人払いを」

あんじゅ「しょうがないわねー、はい、出て出てー」

あんじゅ「まったく、ぞろぞろと何よー」

海未「新見錦、あなたにはここで切腹をしてもらいます」

81 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:11:22.45 ID:2kXFbh/G.net
あんじゅ「は、はあー?なによそれ」

海未「あなたが勝手に金策をし、それを私的に利用したことは調べがついております」

あんじゅ「金策?私的に……?ま、まさかこの前の……」

穂乃果「?」

海未「ええ、先日のことですね

あんじゅ「あ、あれはあなたが……、嵌めたわね、土方……」

海未「何のことでしょうか」

あんじゅ「芹沢先生に話を」

海未「芹沢先生も納得済みです」

あんじゅ「な……」

穂乃果「……新見さん、切腹を」

あんじゅ「可愛い顔して、そんなことを言われるなんてね……、くすっ」

あんじゅ「いいわ、私の負けよ、完全に……」

82 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:12:18.91 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「……」

あんじゅ「でもね、一つ言っておくわ、芹沢鴨は私のようにはいかない」

海未「ご忠告ありがとうございます」

あんじゅ「……土方、地獄で待ってるわ」

海未「ええ、私が行くのは大分後でしょうが」

あんじゅ「言うわね……」

ザシュッ

あんじゅ「……ぐっ……」

穂乃果「……」

あんじゅ「っ……」

バサッ

穂乃果「……」

海未「……行きましょう」

雪穂『新選組局長新見錦、切腹』

83 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:12:45.31 ID:2kXFbh/G.net
さらに数日後

ツバサ「もっと、酒足りないわよー!」ガシャン

ツバサ「ったく……あら、斎藤君じゃない」

真姫「随分荒れてるのね」

ツバサ「当たり前でしょー、ほら、ちょっと付き合いなさい」

真姫「……まあいいけど」

ツバサ「近藤は次は私を斬るのかしらね」

真姫「ぶっ、げほげほ、急に何を言い出すのよ」

ツバサ「その反応じゃあなたは何も聞かされてないのねー」

真姫「だからいったい何の話を……」

ツバサ「まあいいわ、新見が死んで、次は私ってことよ」

真姫「……あなたたちちょっとやりすぎたのよ」

ツバサ「ふふっ、はっきり言うわね」

真姫「私から見てもそうなんだもの、ほの……、近藤さんたちから余計でしょ」

ツバサ「まあそうねー、少しはしゃいじゃったかしらー」

84 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:13:16.83 ID:2kXFbh/G.net
真姫「そんなこと言ってる割には随分余裕ね、逃げれば助かるかもしれないわよ?」

ツバサ「逃げる?私が?あはははっ、馬鹿なこと言わないで」グイッ

真姫「ちょっ、ちょっとっ」

ツバサ「ここは、新選組は私の場所よ、筆頭局長はこの私、この隊は私が作った、誰が何と言おうともね」

ツバサ「隊の基盤も、隊の思想もすべては私、土方のやってることは元々は私が殿内を斬れと言ったことと同じ」

ツバサ「私を斬ってもあの子たちの行動にはすべて私がいるのよ、わかってるのかしらね、そのことに」

真姫「怖いのよ、あなたことが」

ツバサ「斬っても私は生き続ける、新選組がある限りね」

真姫「……斬られる覚悟は出来ているってこと?」

ツバサ「そんなものはいつだって出来ているわ、ただ簡単にやらせてはあげないわ」

ツバサ「誰が来るのかしらね、土方、沖田かも、それともあなたかしら?」

真姫「私は……知らないわ」

ツバサ「そんなつれないこと言わないで、今日は楽しみましょう?」

真姫「……」

ツバサ「ええ、まだまだ夜は長いわよ」

真姫「……っ」

85 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:13:33.71 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『浪士組結成より7か月後、近藤らは行動を起こす』

海未「明日、宴を開きます、そこで芹沢たちを酔わせて、寝込みを襲います」

希「芹沢さんは酔っても強い、寝込みしか襲う場所はないってことやね」

穂乃果「……うん、私頑張るよ!」

海未「穂乃果はダメです、穂乃果にはずっと宴の席にいてもらいます」

穂乃果「なんで!?こういう時こそ私が」

海未「あなたは表舞台に立たないといけません、こんな裏の仕事をしてはいけないのです」

穂乃果「嫌だよ!私だってやる!」

海未「ダメです!この暗殺は長州の仕業にしますが、万が一もありえます、その時あなたに疑いをかけるわけにはいきません!」

希「穂乃果ちゃんはずっと宴の席にいることで嫌疑がかからないようにするってわけやね」

穂乃果「そ、そんな……、あの芹沢さんだよ!?誰がやるのさ!」

海未「私と希、それと絵里、花陽も呼びます」

86 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:14:46.43 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「絵里ちゃんにそんなことさせちゃダメだよ!」

海未「わかっています、若い絵里に残酷なことをさせようとしているのは……」

穂乃果「絵里ちゃんの剣術はすごいんだよ!暗殺……それも身内を殺すための道具じゃないよ!!」

海未「他にいないのです!!」

希「にこちゃんは芹沢さんと同門、真姫ちゃんも最近芹沢さんと親しいみたいやし」

海未「凛にもやらせたくはない、他に腕が立ち、信頼出来る者がいません」

穂乃果「……だから私が……」

海未「ダメです!」

穂乃果「……」

海未「ことりは当日、穂乃果の近くにいるようお願いします」

ことり「……うん」

海未「いいですか、決行は明日です」

穂乃果「……もう何も言わないけど、絶対に死なないでね」

海未「はい」

87 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:18:05.16 ID:2kXFbh/G.net
翌日

穂乃果「さあ、じゃんじゃん飲んで飲んでー!」

ワーワー

海未「うまくやっているようですね」ボソッ

希「あんな作り笑顔がそう見えるの?」

海未「……私を鬼と思いたければご自由に」

希「ううん、海未ちゃんのやっていることは正しくないけど、間違いじゃない、うちもそう思う」

海未「……ありがとうございます」

真姫「少し酔ったわ、私は先に帰るわね」

にこ「送っていくわよ、何かと物騒だからね」

真姫「……お願いするわ」

ことり(……ごめんね、にこちゃん、真姫ちゃん)

88 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:18:38.42 ID:2kXFbh/G.net
ツバサ「ふぅー酔ったわー、今日はもう帰ろうかしら」

英玲奈「では私も」

ツバサ「今日はずいぶんと飲まされたわー……」

花陽(動いた……)

海未(まだです、まだ気付かれる)

希(雨……、絶好の天気やね……)

海未(しばらくしたら屯所へ行きましょう……)



真姫「少し気分がよくなったわ、どう?飲み直さない?」

にこ「いいわよ、珍しいじゃない」

真姫「今日はそういう気分なのよ」

にこ「じゃあこのまま朝まで飲みましょうか」

真姫「……ふふ、そう、にこちゃんもなのね」

にこ「な、なによ」

真姫「にこちゃんも私を朝まで見張るよう言われたんでしょ?」

にこ「……ま、まさか真姫、あなたも……」

真姫「お互い信頼されてないと辛いわね」

にこ「……っ」

89 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:19:04.87 ID:2kXFbh/G.net
海未(そろそろ行きますか)

絵里(……)コクン

穂乃果「よ、よーし、まだまだ盛り上がるよー!!」

ことり(穂乃果ちゃん、我慢してね……)

希「花陽ちゃん、うちも戻るわ、送ってて?」

花陽「は、はい!」

凛「すぅー……すぅー……」

ことり(凛ちゃんは寝ちゃったんだね……、よかった)

90 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:19:35.61 ID:2kXFbh/G.net
八木邸

ツバサ「あー飲んだ飲んだー……」

英玲奈「私も今日は酔いました……」

ツバサ「雨、強いわね……」

ツバサ「……なによ、もう寝ちゃったの?まったく……」

ツバサ「……」




海未「そろそろ眠った頃合いですね」

希「……一気に行くしかないね」

花陽「私は平山さんをやります」

絵里「……」

希「えりち、大丈夫や、えりちは強い」

絵里「……わかってるわ、芹沢は私がやる」

花陽「……この雨なら足音も消せる、かな」

海未「八木家の人達は」

希「全員二階」

海未「わかりました、部屋にいる者は全員殺します、いいですね?」

花陽「はい」

91 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:20:13.06 ID:2kXFbh/G.net
真姫「……」

にこ「……」ガタッ

真姫「……」カチャ

にこ「……っ」

真姫「動かないで」

にこ「……どうするのよ、これ」

真姫「さあ?でもお互い動けないわよ、動いたら斬らないといけない」

にこ「居合で勝てる気はしないけど、相打ちくらいなら私でも出来るわよ」

真姫「だからお互いを見張らせたんでしょう、動いた時点で二人とも終わりよ」

にこ「……やめとくわ、こんなところで命を懸けるべきじゃない」

真姫「ええ、朝まで飲むしかないのよ、私たちは」

にこ「……これでいいのかしら」

真姫「いいか悪いかなんて、私たちが決めることじゃないわよ」

92 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:20:47.30 ID:2kXFbh/G.net
希(……いつでもいけるで)

海未(……行きます)

バタバタ

ガラッ

希「……!」

花陽「……!!」

ズシュ ザシュ

平山「ぐっ、……っ!」バタッ

絵里(芹沢!!)

ズシュ

ツバサ「っ!あああああああ!!」

海未(浅かった!?)

ツバサ「ちっ!!」シュッ

絵里(まずいっ)

海未(絵里!危ない!!)キンッ

93 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:21:22.41 ID:2kXFbh/G.net
ツバサ「はぁはぁ……沖田に土方……、山南、原田もいるのね……」

海未(芹沢覚悟!!)

ツバサ「百姓の剣術でこの私が!!」ブンッ

海未「っ!」

ツバサ「……ふふっ……くっ……」

絵里「たあああああ!!」

ツバサ「このっ、……え?」グラッ

希(机に足をとられてる……!海未ちゃん今しかない!)

ツバサ「まずいっ……!!」

海未「たああああ!!」ズシュ

絵里「うりゃあああ!!」ザシュ

花陽「はああああ!!」ズシュ

希「終わりや……」ザシュ

ツバサ「っ、がはっ……!」バタッ

94 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:21:48.76 ID:AHmBpxLt.net
いいぞ

95 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:22:58.92 ID:2kXFbh/G.net
絵里「はあ……はあ……」

海未(……急がなければ、絵里、逃げますよ!!)

花陽「長州の浪士がー!長州がー!!長州にやられたー!」

バタバタ

穂乃果「……夜通し飲んで楽しいなー!」

ことり「……」

穂乃果「ほら、ことりちゃんも飲まないとー!」

ことり「う、うん……」

穂乃果「宴だよー!もっともっと騒げー!」

穂乃果「もっとー……騒げー!!!」

雪穂『新選組筆頭局長芹沢鴨、副長平山五郎、暗殺』

96 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:23:35.48 ID:2kXFbh/G.net
葬儀にて

穂乃果「私たち新選組は芹沢先生の意志を継ぎ、この悲しみを力にして」

希(穂乃果ちゃん、しっかりとやっとるね)

凛「長州めー、芹沢さんをやるなんてひどいやつらにゃ!」

花陽「そ、そうだね」

にこ「土方さん、ちょっといい?」

海未「はい、なんでしょう、永倉君」

にこ「今回は長州がやったってことでいいのよね」

海未「……」

にこ「いいのよね」

海未「そうです、芹沢先生をやったのは長州です」

にこ「……そう、ならいいわ」

海未「……まったく、ひどいことをしますね、本当に」

97 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:24:03.00 ID:2kXFbh/G.net
真姫「あんまり意味のない質問ね」

にこ「……ケジメよ、これで納得させるわ」

真姫「面倒な人」

にこ「うるさいわよ」


海未(鬼と思いたければ思いなさい、私は鬼になります、新選組のために鬼に)

雪穂『こうして、芹沢一派は壊滅、新選組は近藤を中心とした組織になった』

98 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:24:44.20 ID:2kXFbh/G.net
それからしばらくして

希「海未ちゃん、ちょっとええかな」

海未「なんでしょう」

希「入隊希望の人たちが結構いるんやけど」

海未「なるほど、そうですね、では穂乃果にも話をしてから……」

希「穂乃果ちゃんなら今勉強中やで?」

海未「勉強?」



海未「近藤さん、入りますよ」

穂乃果「あー、う、じゃなくて土方君」

海未「なるほど、尾形君に教わっていたんですね」

フミコ「ええ、局長は勉強熱心なので」

海未「単に知らないことが多いだけです」

穂乃果「あ!ひどーい!!」

フミコ「まあまあ一応文学師範ですから、これくらいは」

99 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:25:08.85 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「それで入隊希望?最近増えてきたねー」

海未「ええ、一応穂乃果にも見てもらおうかと」

穂乃果「うん、こっち?」

海未「はい」

穂乃果「お待たせしましたー」

ミカ「初めまして、私山崎烝と申します」

海未「剣術の流派は?」

ミカ「私、剣術はあまり得意ではなくて……」

穂乃果「え?そうなの?」

ミカ「はい、ただ、この辺りの人間なので道には詳しいですよ、裏道とか」

海未「なるほど……」

ミカ「あと、多少なら医学のほうも」

穂乃果「お医者さんなの!?」

ミカ「まあ言うほどではありませんが、心得はありますよ」

穂乃果「採用!」

海未「どんな決め方ですか……」

穂乃果「はい、次の方ー」

100 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:25:34.49 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「いやー、武田さん、谷さんとか優秀な人がたくさん入ったねー」

海未「癖のあるの間違いではないでしょうか……」

穂乃果「でも武田さんみたいに軍学修めてるのはすごいよ!」

海未「どうなんでしょうかね、それも」

穂乃果「とにかく、結構人も集まった!」

海未「そうですね、これで新撰組も隊として形が出来るほどの人数に」

穂乃果「そうだねー」

海未「さあこれから忙しくなりますよ」

穂乃果「うん!」

101 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:26:01.58 ID:2kXFbh/G.net
絵里「土方さーん、土方さーん」

にこ「どうしたの、絵里」

絵里「土方さん見てない?」

にこ「さあ、見てないけど」

穂乃果「お、絵里ちゃん、にこちゃん、どうしたの?」

絵里「あ、近藤さん!土方さんは?」

穂乃果「ん?あー、多分……」


海未「……おぉ、これはいいですね」


絵里「なにあれ?」

穂乃果「海未ちゃんの趣味、歌を詠んでるんだよ」

にこ「え!?」

希「それは初耳やね?」

にこ「希ぃ!?」

102 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:26:35.11 ID:2kXFbh/G.net
海未「誰ですか!!」

穂乃果「いやー、ごめんごめん、絵里ちゃんが探してたからさ」

海未「まったく、この時間は誰も入れるなと……」

絵里「でも土方さんにこんな趣味があったなんて意外だわー」

海未「まあ然るべき時に発表しようと思ってましたからね」

にこ「ん?どれどれー……」

にこ「熱い心 もてあまして 抱いて走って……こっちは?」

にこ「信じたものを 求め地の果て まで行く日 止められぬ生き方を 貫くでしょう」

絵里「……え、俳句なの?和歌なの?」

にこ「字余りとかそういう話じゃないわね……」

海未「か、型にはまらないんですよ!私の歌は!」

穂乃果「海未ちゃんの歌全部こんなだよね……」

希(んーこれだけたくさんあるならつなげたら面白いかも)

希(悔しいけど好きって純情、お、この言葉ええやん) 

103 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:26:59.94 ID:2kXFbh/G.net
凛「……」ジー

真姫「ふふーん♪」

花陽「……」ジー

真姫「何見てるの?」

凛「真姫ちゃんはいつもお洒落だなーって」

真姫「まあそうね、一応髪なんかも気を付けてるわ」

花陽「へー……」

真姫「二人も少しは気を付けたら?」

花陽「んー、どうせお仕事や訓練で汚れちゃうし……」

真姫「だからこそよ、いつも汚い服ばっかり着るもんじゃないわ」

凛「なるほどー」

104 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:27:30.48 ID:2kXFbh/G.net
真姫「ことりなんか結構綺麗な布地の着物を持ってたわよ」

花陽「ことりちゃんが?」

ことり「あるにはあるよー、私はあんまり着ないけどね」

凛「わー、綺麗にゃー」

ことり「これとか凛ちゃんに似合うかも」

凛「おー、動きやすいし、いいかもー!」

真姫「これもいいわね」

ことり「よかったらあげるよー」

花陽「なんでこんなにたくさん?」

ことり「昔から興味があってねー」

真姫「これ、もしかして自分で?」

ことり「あ、うん、暇なときにね」

花陽「すごいなー」

ことり「ありがと、でも今はもっと剣の腕を磨かないと」

凛「ことりちゃんは熱心だにゃー」

真姫「なら、剣術師範の私が指導してあげるわよ」

ことり「お手柔らかにね?」

105 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:27:59.02 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『平穏な日々もつかの間』

にこ「脱走?」

ミカ「はい、以前から不満を漏らしていた者らしいのですが」

にこ「まったく、懲りないわね」

ミカ「それが、もしかすると長州の間者かもしれないと」

にこ「なるほど、そういうことね」

絵里「それで私たちが呼ばれたの?」

ミカ「はい、今は井上さんが追っているのですが……」

絵里「え?それなら心配ないじゃない」

ミカ「しかし、一人では……」

にこ「ああ、あんたはまだ新選組に入って日が浅いんだっけ」

ミカ「え、あのどういう……」

絵里「確かに普段の姿からするとわからないけどね、ちょっとことりのことを舐めすぎよ」

106 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:28:27.94 ID:2kXFbh/G.net
隊士「はぁはぁ……!ここまで来れば」

ことり「やっぱりこの辺りに来ると思ったよ」

隊士「い、井上!?」

ことり「脱走したら切腹、わかってるのにどうして逃げるかな……」

隊士「くっ、ここで死ぬわけにはいかないんだ!」カチャ

ことり「……出来れば大人しく捕まってほしかったな」

隊士「一人で来たのが間違いだったな!」

隊士「うおおおおおお!!」ダッ

ことり「……」ザシュ

隊士「がはっ……」バタッ



絵里「天然理心流の免許は生半可な腕でもらえるものじゃないってこと」

107 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:33:32.95 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「また脱走者が出たの?」

海未「はい、今回はすぐに捕まえましたが」

穂乃果「……そっかぁ……」

海未「逃げるなら捕まってほしくなかったと思ってますか?」

穂乃果「そ、そんなこと思ってないよ!」

海未「……脱走者は切腹、介錯は斎藤君に任せます」

穂乃果「うん……」

海未「というわけで、よろしくお願いいたします」

真姫「いいけど、私の刀、隊士を斬るためにあるんじゃないんだけど」

海未「申し訳ありません……」

真姫「他に頼める人もいないんでしょ、まったく……、準備出来たら呼んで」

海未「ええ、すぐに」

108 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:34:02.04 ID:2kXFbh/G.net
海未「では、失礼します」

ガラッ

穂乃果「最近こんなのばっかだよ……」

穂乃果「はぁ……」

穂乃果「嫌だなー……」

イヤダー!

穂乃果「……!ビクッ

タスケテー!シニタクナイー!!

穂乃果「……」

イヤダ……イヤダー!!

ザシュ

穂乃果「……」

109 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:35:09.96 ID:2kXFbh/G.net
ガラッ

海未「近藤さん、脱走した隊士の粛清は終わりました」

真姫「あれのどこが切腹なのよ、逃げてるだけじゃない」

真姫「介錯と言うよりほとんど斬首じゃない、これじゃ」

穂乃果「……土方君、斎藤君、ご苦労様」

雪穂『法度による粛清を繰り返しながら、より強固な組織へとなっていく新選組』

雪穂『そして、新選組にとって最大の転機となる事件が起きる』

110 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:36:04.89 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「もうそろそろ夏だねー」

凛「京の冬も寒くて嫌だけど、夏も暑すぎにゃー……」

海未「こらこら、二人がそんなことでは他の隊士に示しがつきませんよ」

希「まあまあ、あんまり張り切って体調崩してもまずいやん?ごほごほ……」

海未「それは自分自身に言っているのですか?」

希「あはは……、夏風邪かなー」

絵里「あ、希!休んでないとダメじゃない!ほら早く床に戻る!」

希「まさか、えりちに心配されちゃうなんて、不覚やなー」

絵里「ほら、いいから!」

穂乃果「ホント、絵里ちゃんは希ちゃん大好きなんだねー」

トントン

海未「……山崎に島田ですか、どうしました?」

ミカ「長州の浪士が頻繁に出入りする店を見つけました……」

海未「……ご苦労様です、詳しく教えてください」

111 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:37:01.56 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「枡屋さん?」

海未「はい、枡屋喜右衛門という者が長州、肥後の浪士を匿っていると」

希「もしかしたら、桂小五郎もいるかもやね」

穂乃果「あ!あの有名な!」

絵里「この前も居るって言うから行ったけど、すでに逃げられていたわ」

花陽「今回もいるかどうかわからないかも」

希「まあ桂小五郎がいないにせよ、新選組としては行かないとね」

海未「はい、第一に優先すべきは枡屋の捕縛です」

ヒデコ「それでは私と山崎で行きますよ」

凛「えー!凛が行くー!」

絵里「私も!」

希「うーん、捕縛目的だから、あんまり好戦的な人たちは……」

海未「そうですね、ここは山崎君と島田君、あと尾形君にもお願いしましょう」

絵里「そんなすぐに斬ったりしないわよ、真姫じゃあるまいし」

凛「そうにゃそうにゃ」

真姫「どういう意味よ!」

112 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:37:33.72 ID:2kXFbh/G.net
数日後 

ミカ「この店ですね」

ヒデコ「随分堂々と……」

ガラッ バタン

ヒデコ「御用改めである!」

フミコ「静かね……」

ミカ「店の周りは包囲したので、逃げることは無理かと」

ヒデコ「いた!二階だ!」

枡屋「……っ」

フミコ「この者で間違いは?」」

ミカ「間違いないです」

ヒデコ「よし、それじゃあ捕まえますかー!」

ミカ「!?、皆さん、こちらへ」

ヒデコ「ん?誰か他に?」

ミカ「人は誰も……、ただこれが……」

フミコ「火薬に武器、……それに手紙?」

ヒデコ「こんなの戦支度じゃあるまいし……」

ミカ「……早急に、枡屋を屯所まで」

113 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:38:25.49 ID:2kXFbh/G.net
ヒデコ「枡屋を捕まえました、それから火薬やら武器も……」

穂乃果「ご苦労様、少し休んでね」

ヒデコ「お言葉に甘えます」

海未「枡屋は?」

ミカ「例の場所に……」

海未「わかりました」

穂乃果「この手紙どういう意味なんだろう、聞いてみないとね」

海未「はい、嫌な予感しかしませんが……」

穂乃果「先に行ってるよー」

海未「ええ……、ことり、一応先ほど言ったものを用意してください」

ことり「……本当にやるの?」

海未「時間はないと思いますので……」

ことり「……うん、わかった」

114 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:39:08.64 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「あの、枡屋さん、長州の人たちは何をする気なのかなー」

穂乃果「話してくれないと怒っちゃうよ?」

穂乃果「むー……吊るされてるの痛いでしょ?早く話してよー!」

海未「はぁ、やはりダメですね」

穂乃果「う……、土方君」

海未「近藤さん、私がやります」

穂乃果「それ……五寸釘?」

海未「はい、……枡屋を逆さ吊りに」

穂乃果「うわー……、さすがにつらいよね?話そうよー」

海未「これくらいで割るとは思ってませんよ」

穂乃果「え、えっと……」

海未「さあ、始めますよ」

ブスッ ギャアアアアアアアアア

海未「……」ガンッ ガンッ

ギャアアアアアアア

穂乃果「ひぐっ」

115 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:39:21.13 ID:ZmQvkBKO.net
名SS

116 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:40:42.90 ID:2kXFbh/G.net
にこ「……どうだった?土蔵の様子は」

真姫「あれは地獄ね、逆さ吊りで両足に五寸釘、釘の上には蝋燭」

花陽「ひ、ひどい……」

真姫「失神しない程度の最悪の拷問ね」

にこ「……人間のすることじゃないわね、鬼よ」

絵里「ちょっと、どういう意味よ、それ」

にこ「だってそうでしょ、そんなこと出来ないわよ、普通」

絵里「土方さんだって仕方なく!」

にこ「……」

希「局長さんは?ごほごほ……」

真姫「震えながらちゃんと見てるわ、泣きそうな顔でね」

ことり「穂乃果ちゃん……」

凛「悲鳴が止まったにゃ……」

ガラッ

海未「ようやく吐きましたよ」

穂乃果「ひぐっ……うぐっ……」

117 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:42:00.75 ID:AHmBpxLt.net
穂乃果ちゃんがんばれ

118 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:44:08.17 ID:2kXFbh/G.net
花陽「京の町に火をつける!?」

海未「はい、その混乱の中、天子様を長州へ連れて行く、と」

にこ「何よ、それ、許されるわけないでしょ!そんなこと!」

海未「当たり前です、しかしこれだけの計画、おそらく……」

希「枡屋、もとい古高を奪い返しに来るやろね、ごほごほ……」

ことり「今夜にでも、どこかでその計画を練るはず……」

真姫「そこを私たちが逆に襲うってことね」

海未「すでに容保公に話をしております、増援が来るまで祇園で待機せよとのことです」

希「こんな時に病気やなんて、ほんま使えんね……」

絵里「そんなことないわよ!」

海未「もちろんです、希は万が一、敵が古高を奪還しに来た場合に残った隊士の指揮を」

希「うん、ここは任せて」

穂乃果「それじゃあ、新選組いくよ!!」

119 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:44:33.65 ID:2kXFbh/G.net
祇園

海未「遅い!!会津兵はまだですか!」

ことり「確かにもう日も沈んで随分経つね」

真姫「そろそろ本当に屯所が襲われるかもよ?」

花陽「もう行くしかないです!」

穂乃果「……」

海未「近藤さん!……穂乃果!」

穂乃果「私たちはこの町の人から嫌われているかもしれない」

ことり「穂乃果ちゃん……?」

穂乃果「たくさん人を斬って血で汚しちゃってるから仕方ないよね」

穂乃果「でも、私はこの町の人が好き、火なんてつけられたらたくさん人が悲しむ、それは絶対嫌だ」

穂乃果「……行こう、新選組だけで、計画を阻止するよ!!」

にこ「さすが、それでこそ我らが局長様ね」

120 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:45:01.39 ID:2kXFbh/G.net
海未「では、二手に分かれましょう、怪しいのは池田屋、四国屋、この二つです」

穂乃果「どっちに行く?」

海未「私たちは四国屋へ、近藤さんは池田屋を」

海未「見つけた方は別隊にすぐに報せることにしましょう」

穂乃果「うんっ!」

海未「では誰が行くかですが……」

絵里「はい!私近藤さんと行く!」

凛「じゃあ凛もー!!」

花陽「私はどうしようかな」

ことり「くじで決めようか?」

真姫「くじ運悪いのよねー」

ヒデコ「くじを作るなら任せてください!」

海未「なんて緊張感のない……」

穂乃果「あはは……まあまあ」

海未「絵里、絵里は穂乃果と一緒にお願いします」

絵里「承知!」

121 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:45:29.75 ID:2kXFbh/G.net
池田屋班 穂乃果、絵里、にこ、凛、他

四国屋班 海未、真姫、ことり、花陽、他

海未「では、行きましょう」

穂乃果「穂乃果班、出発ー!」

122 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:45:47.61 ID:ZmQvkBKO.net
何気に鬱SS

123 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:45:55.50 ID:AHmBpxLt.net
穂乃果班とか名前が弱そう

124 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:46:21.34 ID:2kXFbh/G.net
四国屋側

海未「……おそらくこちらが正解かと」

真姫「なんでそう言えるのよ」

海未「なんとなくです、四国屋はかなり長州と土佐の出入りが激しいとか」

ことり「だから、こっちを海未ちゃんは選んだんだよねー」

海未「ち、違いますよ」

花陽「あ、海未ちゃん照れてる」

海未「て、照れてません」

真姫「まったく、素直じゃないわね」

海未「さあ、そろそろ着きますよ、引き締めてくださいっ」

バタバタ

海未「何事ですか?」

隊士「はぁはぁ!で、伝令っ!」

花陽「だ、大丈夫?息を整えて……、え?……当たりは池田屋!?」

海未「くっ、全員、池田屋へ!!」

125 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:47:04.17 ID:2kXFbh/G.net
池田屋側

穂乃果「多分、こっちな気がするんだよねー」

にこ「どうしてよ」

穂乃果「勘?」

絵里「近藤さんらしいわ」

凛「お、着いたにゃ」

穂乃果「……よし、行くよ!」

ガラッ

穂乃果「御用改めだよ!!」

にこ「新選組よ、大人しくしなさいっ!!」

クソッ ニゲロー

凛「当たりだね!突撃!」バタバタ

絵里「凛!危ないわよ!まったく……、私は二階に!!」バタバタ

にこ「私は1階にいるわ、これはなかなか大変そうね」

穂乃果「うん、誰か、海未ちゃんに報せて、残りは外を囲んで!!」

穂乃果「中は私たち4人でやる!!」

126 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:47:26.69 ID:2kXFbh/G.net
絵里「はああああっ!!」ザシュ

絵里「抵抗するなら迷わず斬るわ、大人しくしなさい」

穂乃果「絵里ちゃん!大丈夫!?このっ!邪魔だよ!!」

絵里「ええ、これくらいなんともないわ」

穂乃果「なるべく捕縛して、無理なら仕方ないけど」

絵里「ええ、わかってるわっ!!」ザシュ ザシュ

穂乃果「下にどんどん逃げてる……上は任せるよ!」バタバタ

絵里「わかったわ!」

絵里「さてと、……二階にいたら無事ですまないと思いなさいっ!」

浪士「くっ、このっ!」

絵里「……」タンッ ザシュザシュザシュ

浪士「っ!?」バタッ

絵里「……私の突きは速いわよ?」

127 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:48:39.58 ID:2kXFbh/G.net
凛「うりゃあああ!!」キン キン

にこ「そっちは大丈夫?」

凛「問題ないよっ!!」

にこ「まったく、数が多いわね……」

穂乃果「にこちゃん、凛ちゃん、私は奥に行くから、ここは任せたよ!!」バタバタ

にこ「ちょっ、まったく局長様が敵の多い方に行ってどうするのよ!」

凛「にこちゃん!凛は中庭にいくよ!!」バタバタ

にこ「あー、もう!まったく……ここは任されたってわけね」

ザシュ

にこ「そこ、私から逃げられると思うんじゃないわよ」

にこ「ここは私が通さない」

128 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:49:08.15 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「おっと、囲まれちゃったか……」

穂乃果「この部屋広いからいいかと思ったんだけどなー」

浪士「近藤だ!斬れ!斬れ!」

穂乃果「まあ狭いところよりいいかな」

浪士「覚悟っ!」ダッ

穂乃果「ん?」

バシュ

穂乃果「……」

浪士「ぐはっ……!」

穂乃果「素直に捕まるなら斬らない、でも今みたいに襲ってくるなら……」

穂乃果「問答無用で斬る!!!」

129 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:50:02.61 ID:2kXFbh/G.net
凛「っ!このっ!」 キン

凛「とりゃあああ!」

ザシュ

凛「はぁはぁ……結構きついにゃ……」

凛「中は大丈夫かな……」

凛「よーし!鉢金付け直して気合を……」

浪士「うおおおおお!」

凛「え?」

バシュ

凛「っ!!このっ!!」ブンッ

ギャアアアッ

凛「痛っ……、や、やっちゃったにゃ……」フラッ

130 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:50:28.27 ID:2kXFbh/G.net
にこ「ん?凛!?」

にこ「あんた邪魔よ!!」ザシュ

ギャアアアア

にこ「ちょっと、斬られたの!?」

凛「だ、大丈夫、これくらい……」

にこ「額じゃないの……、あんたは外に出る」

凛「だ、大丈夫だよ、まだ」

にこ「はっきり言うけど邪魔!いいから外に行く!」

凛「……はい」トボトボ

にこ「……ちょっと、鬼の副長さんはまだなの?」


穂乃果「よし、片付いた、……絵里ちゃんは?」

にこ「穂乃果!絵里は!?」

穂乃果「多分まだ二階!」

にこ「行くわよ!そろそろ海未たちも来るでしょ!」

穂乃果「うんっ!!」

131 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:50:56.86 ID:AHmBpxLt.net
ほのほの

132 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:51:44.25 ID:2kXFbh/G.net
絵里「さあ、片付いてきたわよ」

絵里「大物は誰かしら、それとももう斬っちゃった?」

絵里「まあいいわ、覚悟っ!!」

ゴホッ

絵里「……え?ごほっ……」

絵里「なにこれ、血?……私の?」

絵里「ごほっごほっ!!げほっ!」

バタバタ

穂乃果「絵里ちゃんっ!!」

絵里「近藤さん……」フラッ

穂乃果「しっかり!絵里ちゃんっ!!」

にこ「危ないっ!!くっ」キンッ ザシュ

穂乃果「にこちゃん!」

にこ「大丈夫よ、左手にかすっただけ」

133 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:52:07.42 ID:2kXFbh/G.net
絵里「わ、私どうしたのかしら、血がこんなっ……げほっ」

穂乃果「絵里ちゃん!しっかり!」

にこ「穂乃果!心配だけど立って!囲まれる!!」

穂乃果「ここで斬られたりしない……皆で帰るんだ、屯所に……」

にこ「ええ、その意気よ」

穂乃果「!?に、にこちゃん、刀がっ」

にこ「ええ、さすがに折れたわね……、まあ刀ならそこらへんに落ちてるの使うわ!」



ワーワー バタバタ

海未「新選組!全員!突撃!!」

ことり「はああああ!!穂乃果ちゃん、どこ!?……っ、邪魔しないで!!」ザシュ

真姫「走ると危ないわよ?……あなたも私の前に立つのは危ないわよ」バシュ

花陽「抵抗する敵は槍で全員倒します!!」

にこ「……勝ったわね」

穂乃果「……うん」

134 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:53:16.26 ID:2kXFbh/G.net
絵里「はあはあ……」

穂乃果「絵里ちゃん、大丈夫!?」

絵里「え、ええ……、落ち着いたわ……」

海未「無事ですか!?」

穂乃果「海未ちゃん!絵里ちゃんが……」

海未「斬られたのですか!?……これは……」

にこ「斬られてないけど血を吐いたわ、すぐに医者に」

海未「ええ、すぐに」

絵里「大丈夫よ、私は……こんなもの……」

にこ「それから凛が重傷、すぐに運んで」

海未「わかりました、にこ、あなたは……」

にこ「こんなの舐めてれば治るわ、ちょっと疲れたけど」

135 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:53:35.31 ID:AHmBpxLt.net
えりち………

136 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:53:46.40 ID:2kXFbh/G.net
海未「……近藤さん、無事終わりましたよ」

穂乃果「……うん、終わったね」

雪穂『その後、遅れて到着した会津藩などの増援と共に新選組は残りの浪士を捜索』

雪穂『明け方にすべての任務が終了する』

海未「では、屯所に戻りましょう」

穂乃果「皆、お疲れ様」

海未「さあ、近藤さん、胸を張って戻りましょう」

穂乃果「……うん」

海未「これで新選組の時代が来ます、必ず」

穂乃果「……よし、行こう!!皆帰るよ!」

オー!!

雪穂『池田屋事件と呼ばれたこの騒動は倒幕派の志士にとって大きな打撃であった』

雪穂『そして、新選組は歴史の表舞台に立つことになる』

137 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:54:16.19 ID:2kXFbh/G.net
池田屋終わったところで飯食ってきます

138 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:54:30.73 ID:AHmBpxLt.net
とてもよい

139 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:57:20.61 ID:vDcpXFtw.net
乙!

140 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 19:58:31.52 ID:ZmQvkBKO.net
お疲れ様

141 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:24:44.49 ID:2kXFbh/G.net
それからしばらくして

穂乃果「結局、戦になっちゃったね……」

海未「こればっかりは仕方ありませんよ」

穂乃果「うん……」

真姫「それにしても長州は動かないわね」

凛「もう退屈にゃー」

海未「凛、あなたは一応怪我人なんですから」

凛「もう大丈夫だよー」

穂乃果「希ちゃんと絵里ちゃんも大丈夫かなー」

海未「絵里はそこまで重症ではないと医者も言ってましたし、希も少し体調を崩しているだけですよ」

穂乃果「うん……」

バーン バーン

花陽「大砲の音!?」

にこ「始まったの!?」

穂乃果「新選組!いくよっ!!」

142 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:25:09.72 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「って着いたけど……」

海未「遅かったですね……」

にこ「ちょっと、もう長州なんていないじゃない!」

穂乃果「次はどこに行ったら……」

花陽「ん?……み、皆あれ!!」

穂乃果「え……、も、燃えてる……?」

海未「急ぎましょう!このままでは御所も……」

穂乃果「全員いくよ!!」

雪穂『のちに禁門の変と呼ばれるこの戦は結果的には幕府の勝利で終わった』

雪穂『しかし、京の町は燃え、新選組は後手後手に回ったのだった』

穂乃果「……私たち勝ったんだよね」

海未「ええ、そうですよ」

穂乃果「こんなに町が燃えちゃったのに勝ったって言えるのかな……」

海未「……仕方ありません、私たちはやるだけのことはやりましたよ」

穂乃果「……うん」

海未「さあ、屯所に戻りましょう」

穂乃果「うん」

143 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:25:38.01 ID:2kXFbh/G.net
数日後

穂乃果「はぁー……」

絵里「近藤さん、最近ずっとあんな感じね」

希「いろいろ大変だったからね、でもえりちがなんともなくてよかったわ」

絵里「私は大丈夫よ、それより希のほうが」

希「うちは大丈夫や」

海未「近藤さん、容保公から渡された褒賞を隊士たちに渡しますよ」

穂乃果「あー……うん」

希「土方君、それはうちがやるよ」

海未「しかし……」

希「こんな穂乃果ちゃん、他の隊士に見せられんやろ」ボソッ

海未「確かに……、ではお願いします」

希「任せて」

穂乃果「あー……」

144 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:26:05.92 ID:2kXFbh/G.net
海未「それではこれより池田屋の反省会を」

凛「えー、今頃そんなことするの!?」

絵里「そうよー、せっかく落ち着いたのに」

凛「でもー」

海未「特に凛ですよ!あんなところで鉢金を外すなんて!」

凛「う……」

海未「まったく無事だったからいいものの、何かあったらこんな風に話すことも……」

凛「ごめんなさい……」

真姫「でも反省会っていうなら、読みを外した副長じゃない?」

海未「うっ」

花陽「四国屋が本命って言われたから気合いいれたのに」

真姫「池田屋って、穂乃果を安全な方にしたつもりが逆でしたって」

海未「そ、それはっ、い、いやー、さすが長州ですねー、裏の裏をかくとは」

ことり「海未ちゃん……」

145 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:26:37.59 ID:2kXFbh/G.net
希「そういや、えりちは池田屋で凄かったみたいやね」

にこ「私は直接見てないけど、上から逃げてきたやつが鬼がいるって言ってたわ、下にも鬼がいたけど」

ことり「そういえば、捕縛した人もありえない突きとかなんとか……」

凛「まさか天然理心流の奥義!?」

海未「そんなの聞いたことないですが……」

絵里「それはそうよ、私が考えたんだから」

花陽「どんな突きなんですか!?」

絵里「その名も、沖田三段突きよ」

真姫「……」

海未「……」

凛「今日の夜の見回りは誰だったかにゃ?」

希「んー、今日は花陽ちゃんやね」」

花陽「え!?あー、忘れてました……」

絵里「ちょっと!なんで無視するのよ!」

146 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:27:46.43 ID:2kXFbh/G.net
にこ「するでしょ!そのださい名前は!」

真姫「自分の名前を技名にするってちょっと恥ずかしいわよ、子供っぽい」

凛「真姫ちゃんに言われたくないと思うにゃ」

真姫「どういう意味よ!」

ことり「え、えっと、ちなみどういう技なの?」

絵里「どういうって、三回突くのよ、速く」

希「なんやろ、そのあっけない感じは……」

海未「あまり凄そうに聞こえないですね」

凛「速くって、例えばこう?」シュッ シュッ シュッ

絵里「んー、まあそんな感じではあるけど……」

にこ「ちょっと道場でやってみなさいよ」

147 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:28:32.98 ID:2kXFbh/G.net
絵里「んー、やってみろと言っても、多分皆も出来ると思うわよ?」

海未「平突きで三回突くんですか?」

絵里「ええ」

にこ「こういうこと?」ダンッ シュッ ダンッ シュッ ダンッ シュッ

花陽「さすが、綺麗な突き」

海未「踏み込みも素晴らしいですね」

絵里「それじゃ遅いわよ」

真姫「遅いって、だって三回突くってこういう……」

絵里「こう、よっ!」ダンッ シュッ

にこ「なっ!?」

凛「は、速いにゃ……」

ことり「う、海未ちゃん、今の見えた?」

海未「踏み込みの音が一回、なのに確実に三回突いてますね、しかもそれぞれの急所に……」

真姫「確かにあの動きが出来るなら防がれても問題ないけど……」

希「よ、予想以上やね……」

絵里「ね?簡単でしょ?皆も」

にこ「で、出来るかー!!」

148 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:28:58.41 ID:2kXFbh/G.net
にこ「……」

穂乃果「にこちゃん、お茶ー」

にこ「自分でやりなさいよ」

穂乃果「えー、面倒くさいよ、局長命令ー」

にこ「はぁ!?なによそれ!」

穂乃果「ねー、お願いー」

にこ「私はあんたの家臣じゃないのよ!!」

穂乃果「むー……」

にこ「最近の穂乃果には頭に来るわ!」

真姫「まあちょっとわがままだけど」

花陽「ほ、本当にこれを提出するの?」

にこ「するわよ!」

雪穂『このような些細なことで俗に言う非行五か条が提出されたとか、されてないとか』

149 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:29:30.77 ID:2kXFbh/G.net
理事長「あまりそういう態度はダメですよ」

穂乃果「はい……」

ことり「まあまあ、ちゃんと謝れば許してくれるよ、ね?」

穂乃果「うん……」

理事長「それから、永倉、斎藤、原田」

にこ「は、はっ!」

理事長「新選組は近藤と皆で作ったのですから、こんなことで仲たがいをしたら新選組はどうなりますか」

にこ「はい……」

理事長「はい、そしたら仲直りしましょう」

穂乃果「ごめん、にこちゃん」

にこ「こっちもやりすぎたわ」

真姫(容保公、なんだか先生みたいね……)

150 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:29:52.32 ID:AHmBpxLt.net
ほのほの

151 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:31:20.03 ID:2kXFbh/G.net
・・・・・・
・・・・
・・

花陽「人斬りですか?」

海未「はい、町で噂になっているので話くらいは聞いたことがあるかと思いますが」

希「有名どころだと土佐の岡田以蔵あたりやね」

にこ「ん?岡田ってもう捕まったわよね」

希「せやね」

凛「ちょっと前に案外会ってたりして」

真姫「同じ京にいたんだから可能性はあるわね」

絵里「そんな有名人と会ってたらさすがに気づくわよ……ん?以蔵?」

152 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:31:57.95 ID:2kXFbh/G.net
・・・・・・
・・・・
・・

絵里「京の町もだいぶ慣れたわねー、こんな裏道も覚えちゃったし」

善子「っ、はぁはぁ……」

絵里「どうしたの、あなた、そんなところで」

善子「ちょっと追われてて……、って何奴!?」

絵里「怖がらなくていいわよ、怪しい者じゃないから」

善子「結構怪しいわよ、言葉からしても江戸から来たのかしら?」

絵里「まあそうね、あなたは?」

善子「ふふふ、私こそ、京の町に舞い降りたひとk……じゃなかった以蔵よ、以蔵」

153 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:32:54.35 ID:2kXFbh/G.net
絵里「以蔵さん?」

善子「ええ、ただの以蔵よ。しかし、真の名前は!よ」

絵里「私は総司よ」

善子「最後まで聞きなさいよ!」

絵里「それで、なんで追われてるの?」

善子「ふふ、私の妖気を恐れるあまりに」

絵里「あ、食い逃げとか?」

善子「誰がよ!」

絵里「ほどほどにしたほうがいいわよ?あんまり悪いことをすると私が捕まえちゃうわよ?」

善子「捕まえる?あんたいったい……」

絵里「壬生浪士組よ、またね」

善子(壬生浪士!?あの……、ここで斬っ)

絵里「〜♪」

善子「……ええ、またね」

善子(あんまり人を斬ると最近龍馬がうるさいのよね……はぁ)

154 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:33:21.33 ID:2kXFbh/G.net
・・・・・・
・・・・
・・

絵里「……気のせいね」

希「どうしたん?」

絵里「ううん、なんでも」

花陽「そういえば私も聞いたことがあります、肥後の人斬り彦斎」

にこ「それってあの佐久間象山殿を斬ったとかいう……」

海未「危険ですね、会ったらすぐに逃げたほうがいいです」

凛「急に道端で会ったらたまったもんじゃないにゃ」

155 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:33:50.83 ID:2kXFbh/G.net
・・・・・・
・・・・
・・

海未「簡単な護衛でしたね」

凛「帰って美味しい物でも食べたいにゃ」

花丸「あのー……」

海未「ん?今誰か……」

花丸「何か食べ物を……」

凛「い、行き倒れにゃ!

海未「ちょ、ちょっとしっかりしてください!」


花丸「いやー助かったずら!あのまま死んじゃうかと」モグモグ

海未「はぁ……」

花丸「あ、おかわりずら!」

156 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:34:17.71 ID:2kXFbh/G.net
凛「あのー」

花丸「まだまだオラの運も捨てたもんじゃないずらね」モグモグ

海未「あなたはいったい」

花丸「この御恩は忘れないずら、ごちそうさま」

海未「ま、待ちなさい!何なのですか、あなたは!」

花丸「名乗るほどの者じゃないずら、あ、お金はないずらよ?」

凛「そもそも期待はしてないけど……」

花丸「あ、お礼に、うーん……」

海未「いいですよ、礼は、行き倒れを見逃したら後味が悪いだけでしたから」

花丸「誰か斬ってほしい人がいたら斬るずらよ?」

凛「……どういう意味かにゃ?」ヒソヒソ

海未「……故郷の冗談か何かでは?それか訛りも強いですし、違う意味なのかも」ヒソヒソ

花丸「?」

海未「と、とりあえず間に合ってますので」

凛「うんうん!」コクコク

花丸「それじゃあ仕事があるので、これで失礼するずらー」

157 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:34:46.32 ID:2kXFbh/G.net
・・・・・・
・・・・
・・

海未「……まさかですよね」

希「ほら、土方さん、本題」

海未「そうでした、局長から注意がありました」

海未「薩摩の中村半次郎には手を出しちゃダメだよ!危険だからね!、とのことです」

真姫「今の物真似?」

絵里「急に攻めたわね、土方さん」

海未「と、とにかく、とても危険な人物らしいので」

花陽「でも薩摩とは今は私たちは敵対してませんし」

にこ「それもそうね」

希「でもばったり会って諍いになることも」

にこ「絵里や凛は気を付けたほうがいいかもね

真姫「人のこと言える?」

凛「それは二人ともだにゃ……」

158 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:35:13.57 ID:2kXFbh/G.net
にこ「はー、疲れたわー」

真姫「久々に暗殺以外のまともな仕事だったわ」

にこ「あんたね……」

ドンッ

にこ「痛っ、ちょっとどこ見てんのよ!」

ルビィ「ぴぎぃ!ご、ごめんなさいっ!」

真姫「危ないじゃない」

ルビィ「そ、その、人を待たせていて……」

にこ「だからって、もう、物騒な町なんだから気を付けたほうがいいわよ」

真姫「そうね、変な因縁つけられたり」

ルビィ「で、ですよね……つい……」

にこ「私が不逞浪士なら斬ってたわよ!?」

ルビィ「……斬る?」

159 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:35:38.73 ID:2kXFbh/G.net
真姫(ん?何、殺気?)カチャ

にこ「……まあ、私たち新選組はそんなことしないけど」

ルビィ「新選組?」

にこ「まさか新選組を知らないなんて……」

ルビィ「うゅ……」

にこ「何なのよあんたは……」

真姫「ねえ?人を待たせてるんじゃ」

ルビィ「そ、そうでした!し、失礼します!」

ルビィ「西郷さん!待っててくださーい!」

真姫「にこちゃん、あの子の殺気かなり危険だったわよ」

にこ「わかってるわよ、だから途中で煽るのやめたでしょ」

真姫「西郷って言ってたけど、まさか薩摩?」

にこ「薩摩で、あの殺気……まさかね」

160 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:36:10.51 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「隊士募集?江戸で?」

海未「ええ、そろそろこの辺りで新選組に入る人も減ってきたので」

真姫「たまに来るのはどうしようもない浪人だけね」

海未「そこで、江戸で隊士を集めてみてはどうかと」

穂乃果「いいね!江戸には剣術の道場たくさんあるし!すごい強い人が入ってくれるかも!」

希「んー……」

絵里「どうしたの?希?」

希「現状でも脱走する隊士もいるのに、あんまり人を増やして大丈夫かなって」

にこ「だからこそ、集めるんでしょ」

海未「はい、隊をもっと大きく、強くする必要があります」

希「……そっか」

穂乃果「じゃあ早速江戸に!……あれ、凛ちゃんは?」

海未「先に江戸へ行って勧誘をしていますよ」

161 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:38:04.57 ID:2kXFbh/G.net
江戸

凛「おーい!」

穂乃果「凛ちゃーん!!」

凛「長旅ご苦労様にゃ!」

穂乃果「久々の江戸だよー!はー!やっぱりいいねー!」

凛「懐かしがってる場合じゃないの!紹介したい人がいるの!」

穂乃果「紹介したい人?」

凛「うん!すごい人だよ!」


凛「こちら、北辰一刀流の同門で道場主の伊東先生」

ツバサ「伊東甲子太郎よ、よろしく」

凛「それから加納さんに服部さん」

あんじゅ「加納鷲雄よー」

英玲奈「服部武雄だ」

穂乃果「なんか誰かに似て……気のせいかな」

162 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:38:38.95 ID:2kXFbh/G.net
凛「伊藤先生、こちらが新選組局長の近藤さんだにゃ」

穂乃果「は、はじめまして、近藤勇です」

ツバサ「噂には聞いているわ、新選組には前から興味があったの」

穂乃果「本当ですか!?じゃあ……」

ツバサ「ええ、同門の藤堂君の頼みでもあるし、新選組に入ります、よろしく近藤さん」

穂乃果「よろしくお願いします!」

ツバサ「攘夷のため、共に頑張りましょう」

穂乃果「攘夷……、そ、そうですね!がんばりましょう!」

163 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:40:17.07 ID:2kXFbh/G.net


穂乃果「ということで、伊東先生たちが新選組に入ってくれました」

ツバサ「伊東です、よろしく」

にこ「また、すごい大物が入ったわね」ボソッ

ことり「う、うん、江戸では有名な道場だもんね……」ボソッ

海未「今回の隊士募集により、隊の編成を行います、近藤さん」

穂乃果「うん、隊の編成で参謀職を増やします、そして参謀には伊東先生に就いてもらいます!」

ツバサ「謹んでお受けするわ」

絵里「あの、のぞ……、山南さんは」

海未「山南さんは今まで通り総長として働いてもらいます」

凛「総長と参謀ってどっちが偉いにゃ?」ボソッ

花陽「さ、さあ……?」

希「……」

164 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:40:44.31 ID:2kXFbh/G.net
ツバサ「山南さん」

希「ん?」

ツバサ「今回の隊の編成は本来であればあなたが参謀になるべきところじゃないかしら」

希「あ、ええんよ、それは」

ツバサ「外様が急に申し訳ないわ」

希「ええって」

ツバサ「新選組にきてわかったわ、尊王攘夷の思想を持った隊と聞いていたけど……」

ツバサ「すっかり佐幕派ね、真に攘夷を考えているのはあなたくらいかしら」

希「そ、そんなことは、……うちは近藤さんのために働くだけや」

ツバサ「あなたは本当にそれでいいの?」

希「……もちろんや」

165 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:42:23.89 ID:2kXFbh/G.net
にこ「ちょっと、いいかしら」

穂乃果「ん?どうしたの?」

にこ「隊の編成のことよ」

穂乃果「え?にこちゃんは2番隊だよ?にこちゃんだから2!」

にこ「ま、まさかそんな理由とはね……、そうじゃなくて!」

穂乃果「え?」

にこ「伊東さんのことよ、どういうつもり、新参者をいきなり参謀なんて、実質副長と同格でしょ」

穂乃果「え、えっと、伊東さんは剣術も頭すごい良くて……」

にこ「それは山南さんもでしょ、絵里は直接言わないとは思うけど同じ気持ちよ」

穂乃果「う、うん……」

にこ「このままだと……」

海未「隊の編成を決めたのは私です、不満があれば私に」

にこ「……別にいいわよ、鬼の副長さんに言っても考え直す気はないでしょ」スタスタ

穂乃果「……」シュン

ことり「海未ちゃん、あんな言い方」

海未「……伊東の出方には常に注意するつもりです、だからこそ近くに置きたかった」

ことり「もう!ちゃんと言おうよー!」

166 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:42:40.86 ID:2kXFbh/G.net
さらに数日後

穂乃果「えっと、人もだいぶ増えてきたので屯所を移そうと思っています!」

凛「えー!」

花陽「私はここがいいなー……」

あんじゅ「なんでよ、ここは狭いじゃない?」

海未「結成当時からいる隊士は思い入れもあるでしょうが、さすがにそろそろ限界です」

穂乃果「そこで!屯所を西本願寺にしようと思います!」

希「!?」

ツバサ「近藤さん、どうしてそこなの?」

穂乃果「えーっと、なんだっけ」

海未「あの寺は長州とのつながりが噂されていますから、今はどうか知りませんが」

ツバサ「監視も含めてというわけね」

希「で、でも、さすがにそれは……」

ツバサ「考えとしては合理的ね」

希「……」

167 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:43:07.62 ID:2kXFbh/G.net
凛「最近、穂乃果ちゃんたち強引すぎないかにゃー?」

真姫「そう?いつもあんな感じでしょ」

花陽「うーん、でも引っ張ってくれて助かるけど……」

希(このままじゃ……、うちはええけど、新選組が……)

希(幹部からも不満が出るようなことじゃ……)

英玲奈「困ったものだな」

希「え?」

英玲奈「局長、副長があれでは、隊士から不満が出て、下剋上でもされなければいいが」

ツバサ「こらこら、物騒なことは言うものじゃないわ」

168 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:43:35.66 ID:2kXFbh/G.net
希(……穂乃果ちゃんも芹沢さんたちみたいに……)

希(あかんよ、これじゃ……)

絵里「希?」

希「えりち、どうしたん?」

絵里「ううん、大丈夫かなって」

希「あはは……、うん、うちは大丈夫や」

絵里「新選組いろんな人が入ってきちゃったから、なんか大変だけどがんばりましょう?」

希「……せやね」

絵里「その前に、希がちゃんと身体治してね、まだあんまりよくないんでしょ?」

希「う、うん……」

絵里「じゃあ見回り行ってくるわね」

希「うん、気を付けて」

希(最近刀もろくに持ってないな……)

希(うちに今できること……)

169 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:45:11.07 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『浪士組が京に来てちょうど2年経ったある日』

絵里「……希?希ー?」

真姫「どうしたのよ」

絵里「真姫、希がいないの……」

真姫「どこかに見回りとかじゃなくて?」

絵里「一人でそんなこと……」

にこ「ちょっと、希の荷物全部なくなってるわよ!?」

絵里「!?」

170 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:45:30.15 ID:2kXFbh/G.net
海未「希が脱走……」

絵里「まだわからないわ!」

あんじゅ「でも荷物は全部なくて、黙っていなくなる、これを脱走って言うんじゃないのー?」

ツバサ「何か思うところあったんでしょうね」

穂乃果「そんな……希ちゃん……」

ツバサ「どうしますか、近藤さん、土方さん」

海未「……脱走は、切腹です」

絵里「待ってよ!希よ!?ずっと私たちと一緒にいた!!」

海未「幹部だから切腹を免れるということでは示しがつきません」

花陽「そんな……」

にこ「なにやってるのよ、あのバカは……!!」

絵里「近藤さん!近藤さんなんとか言ってよ!ねえ!!」

171 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:46:35.59 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「……」

海未「近藤さん、辛いですが」

絵里「土方さんは何も言わないで!」

穂乃果「……脱走者は切腹、だよ」

絵里「そんな……」

ツバサ「……では追手は私が用意します」

穂乃果「追手は沖田君に任せます」

絵里「え?」

穂乃果「すぐに出れるし、沖田君一人に任せます」

海未「……異論ありません」

ツバサ「あまりいい人選とは……」

穂乃果「局長の、私の判断です、伊東先生、何か問題でも?」

ツバサ「……いえ」

172 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:46:58.03 ID:2kXFbh/G.net
絵里「私、一人で?」

穂乃果「大津を超えたらもうどっちに行ったかわからないから、それまでに見つけてくるように」

絵里「大津」

穂乃果「そう、大津まで」

海未「大津で追いつけないようなら、戻ってくる、いいですね」

絵里「……はい」



にこ「絵里、本当に行く気?」

絵里「ええ、命令だもの」

真姫「大津まで、ね」

絵里「ええ」バタバタ

にこ「……大津を越えてることを祈るしかないわね」

真姫「さすがにもう越えてるわよ」

にこ「……それで絵里一人に任せるのね」

真姫「立場って面倒ね」

にこ「……ええ」

173 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:47:25.22 ID:2kXFbh/G.net
絵里(お願い、もう大津を越えていて、お願い!!)

絵里(希……)


大津

絵里「はあはあ……」

希「やっぱり、えりちが来たんやね」

絵里「希……」

希「近藤さんも土方さんもこういうところが甘いなー」

絵里「なんで、なんで大津なんかで宿をとってるのよ!?」

希「ちょっと疲れちゃって」

絵里「……お願い、逃げて」

希「そうはいかんよ、人に見られてる、逃がしたなんて知られたら」

絵里「いいから!逃げてよ!!」

希「戻ろ?屯所に」

絵里「……希」

174 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:48:00.58 ID:2kXFbh/G.net
屯所

にこ「な、なにしてんよ!?あんた!?」

絵里「……」

にこ「あんただって意図がわからないわけじゃ!」

希「にこっち、えりちを怒らんとって」

にこ「希、まさかあんたわざと」

穂乃果「え……の、希ちゃん?」

希「近藤さん、ご迷惑をおかけしました」

海未「希!?……しっかり、捕らえたのですね、沖田君よくやりました」

絵里「はいっ……」ギリッ

穂乃果「とりあえず山南さんは、牢へ……」

希「うん、わかっとるよ」

海未「……っ」

175 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:48:24.77 ID:2kXFbh/G.net
・・・・・・
・・・・
・・


にこ「希、希!」

希「どうしたん?にこっち、こんなところに」

にこ「逃げなさい、今なら誰も見てないわ」

希「ありがとう、でも逃げないよ」

にこ「なんでよ!?あんた、死ぬのよ!?」

希「うん、わかってる」

にこ「じゃあなんで……」

希「これが、今うちに出来ることやから」

にこ「なによ、それ……」

176 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:48:49.39 ID:2kXFbh/G.net
真姫「にこちゃん、もうそこまでよ」

花陽「……」

凛「……」

にこ「だって!このままじゃ!」

真姫「山南さんは覚悟を決めてるのよ、永倉君!」

にこ「っ……、このっ……!」

花陽「にこちゃん、いこ……」

凛「……希ちゃん……ぐすっ……」

希「皆が来てくれてうちは嬉しいよ、ありがと」

177 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:49:18.07 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「……」

海未「……近藤さん、介錯のことですが」

穂乃果「……」

海未「……穂乃果」

穂乃果「……うん」

ことり「失礼します」

海未「……井上君」

ことり「山南さんの介錯、私がやります……」

海未「……ダメです」

ことり「他に、誰が出来るの……?」

ツバサ「よければ服部にやらせますが?」

海未「あなたは黙ってていただきたい!!」

ツバサ「……」

穂乃果「……井上君、お願いします」

ことり「……謹んで」

178 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:49:47.61 ID:2kXFbh/G.net
希(うちが切腹することで、幹部にも法度が適用されるってわかるはず)

希(これで新選組は本当に鉄の掟で結ばれる)

希(穂乃果ちゃんたちの強引なやり方も少しは落ち着くかもしれない)

希(病も治る気配がないし、これがうちに出来る最期の仕事や)

穂乃果「……山南さん」

希「はい」

穂乃果「法度により、切腹を命じます」

希「謹んでお受けします」

ことり「……介錯は、私が」

海未「……」

希「……ありがとう、でも介錯は沖田君に」

絵里「……え?」

179 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:50:13.20 ID:2kXFbh/G.net
真姫「……待って、それなら私が」

希「沖田君に介錯を」

海未「……し、しかし」

絵里「……私が……?」

ことり「ダメ、頼まれたのは私で!」

希「最後の我儘です、局長」

絵里「……」

穂乃果「介錯は……っ、沖田君に……っ」

180 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:50:35.84 ID:2kXFbh/G.net
・・・・・・
・・・・
・・

希「局長さん、副長さんも見届けるの?恥ずかしいやん」

穂乃果「……」

海未「……」

希「えりち、じゃあお願いね」

絵里「……嫌、やっぱり嫌!!近藤さん!お願い!希を許してあげて!!」

海未「沖田君!!……それはもう出来ません」

穂乃果「……」ギリッ

希「せやで、わがままはあかんよ」

絵里「なんで、なんでこんな!」

181 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:51:02.46 ID:2kXFbh/G.net
希「新選組はこれからもっと強くなる、うちらの夢や、こんなところで終わらせちゃダメ」

希「新選組を任せたよ、穂乃果ちゃん、海未ちゃん」

海未「……」コクン
 
穂乃果「……」コクコク

希「またみんなで何か出来たらええね」

希「そしたらもっと楽しいことを……」

希「生まれ変わりとかあるなら、その時はうちが皆を集めるよ」

希「多分、誰も覚えてないと思うから」

希「……ほなね」ドスッ

希「ぐっ……まだやで……」

絵里「……」

希「……っ、え、えりち、お願い……」

絵里「……っ」

バサッ

182 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:51:27.88 ID:2kXFbh/G.net
ツバサ「山南さんは残念でした、惜しい人でしたね」

穂乃果「……」

海未「……」

ツバサ「では、失礼します」

バタンッ

穂乃果「……」

海未「……」

穂乃果「うっ、……うわぁぁぁん、希ちゃんっ、希ちゃんっ」

海未「ごめんなさいっ、希、ごめんなさいっ……」ボロボロ

穂乃果「いやだよぉ、こんなのいやだぁぁぁぁぁ」

海未「希ぃ……、希ぃ……」

穂乃果「死んじゃ嫌だぁぁぁ……」

海未「ひぐっ……あ、あ、あ……あぁぁぁ……」


雪穂『新選組総長山南敬助、切腹』

183 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:53:25.07 ID:2kXFbh/G.net
西本願寺

海未「そこはそっちに運ぶように」

海未「あとは……」

穂乃果「広いね、ここのお寺」

海未「ええ、ここなら訓練もたくさん出来ますね」

穂乃果「中も見てくるよ」

海未「ええ、怠けている隊士がいたらしっかり働くよう言ってください」

穂乃果「はーい」

海未「……ここからもっと大きな組織にしてみせます、新選組の名をもっと」

184 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:53:48.51 ID:2kXFbh/G.net
海未「では、今日もよろしくお願いします」

真姫「わかったわ」

真姫「はぁ……」

ことり「お疲れさま、今日もいつもの?」

真姫「ええ、最近暗殺やら粛清ばかりよ」

ことり「大変だね……」

真姫「あなただって、そんなのばかりでしょ」

ことり「う、うん、まあ」

真姫「まあ表だった仕事は苦手だから、そういうのはにこちゃんあたりに任せるけど」

ことり「お互い汚れ役、だね」

真姫「そうでもないわよ、ことりは交渉役としての仕事もあるんだし」

真姫「私には剣の腕しかないから」

ことり「人をたくさん斬っちゃったね……」

真姫「お互いね」

185 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:54:18.05 ID:2kXFbh/G.net
花陽「京の町もだいぶ覚えてきたね」

凛「うん、裏道とか、かなり覚えたにゃ」

花陽「そういえば、あっちに美味しいお店があるんだよ」

凛「そうなの!?まだ行ったことないにゃー」

ミカ「あ、あの、会話に華が咲いているところ申し訳ないのですが……」

花陽「は、はい、なんでしょう?」

ミカ「ここが、長州が潜伏しているという宿でして……」

凛「あ、ここかー、じゃあさっさとやって美味しいもの食べに行くにゃー!」

花陽「おー!」

ミカ「だ、大丈夫かな……」

186 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:54:41.86 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「じゃあ行ってくるね」

海未「はい、お気をつけて」

凛「あれ?穂乃果ちゃん、どっか行くの?」

にこ「広島よ、あんた聞いてなかったの?」

凛「そうだっけ?」

花陽「うん、長州征伐のために、幕府の、えっと、永井様と一緒に」

ことり「かなり危険だけど、うまくいけばすごいことなんだよ」

凛「へー」

海未「では、尾形君、近藤さんを任せましたよ」

フミコ「はい、任せてください」

ツバサ「あら、私もいるんだけど?」

英玲奈「私もいるんだ、問題ないだろう」

海未「お二人の腕は疑ってませんよ」

海未(万が一の時は尾形のほうが信頼できます、山崎もしっかり見張っていてくださいね)

ミカ「……」コクリ

187 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:55:05.87 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「帰りにみんなにとんど饅頭買わないとね!」

フミコ「いや、あの……」

穂乃果「あれ?なんか美味しいって聞いたよ?」

フミコ「そうではなくて!遊びに行くのではないのですよ!」

穂乃果「わかってるよー……」

フミコ「まったく……」

ツバサ「ふふ、普段は局長とは思えないわね」

穂乃果「あはは……お恥ずかしいところを」

ツバサ「そのあたりが人を惹きつけるのかしら」

穂乃果「多分しっかりしてないから、皆が支えてくれるのかなーって」

フミコ「しっかりしてください、お願いですから」

穂乃果「はい」

188 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:55:29.75 ID:2kXFbh/G.net


海未「さて、次は……、穂乃果、例の件ですが、あ……そういえばいないでしたっけ……」

ことり「海未ちゃん、今後の見回りのことなんだけど」

海未「はい、そうですね、穂乃果はどう思いますか?……あ」


真姫「なによ、あれ」

凛「穂乃果ちゃんが広島行ってからずっとあんな感じにゃー」

にこ「あれはひどいわね……」

花陽「寂しいんだね、きっと」

真姫「副長があんなじゃ、支障が出るんじゃない?」

凛「あ、そこはことりちゃんがしっかりやってるにゃ」

真姫「……なるほど」


ことり「だからね、ここがこうであーで」

海未「そ、そうでしたね」

189 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:56:35.17 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『近藤たちは広島まで行くも長州に入ることは出来ず、監察方を残し京へと戻ることになった』

穂乃果「はぁ……」

ツバサ「こればっかりは仕方ないわ」

英玲奈「そうだな、あとは山崎たちに任せよう」

穂乃果「……お土産買いにいこ?」

フミコ「……そうですね」

ツバサ「付き合うわ」

穂乃果「……はぁ」

190 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:57:07.33 ID:2kXFbh/G.net
海未「今回の件は残念でしたね」モグモグ

穂乃果「うん」モグモグ

ツバサ「まあまだ機会はあると思うけど」モグモグ

海未「ええ、おそらくは」モグモグ

ツバサ「でもそこまでして、幕府に従う必要はあるのかしら」モグモグ

穂乃果「え?だって、私たち幕府があってこそ、活動できてるわけだし」モグモグ

ツバサ「攘夷を行うには別にそこまで従う必要はないと思うけど」モグモグ

穂乃果「んー、でも……」モグモグ

海未「新選組はあくまで会津、容保公の命に従うのですから、仕方ありませんよ」モグモグ

ツバサ「そう……、まあそうね」モグモグ

穂乃果「次はいつかなー」モグモグ

雪穂『次の機会は早く、約1年後に訪れた』

191 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:57:39.58 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「再び!広島!」

フミコ「今回もお供しますよ」

ツバサ「土方さん、留守は任せました」

英玲奈「護衛は私がいるから安心しろ」

海未「はい、どうぞご無事で」


凛「またダメダメ副長が始まるにゃー」

花陽「しー!聞こえるよ!」

真姫「もう聞こえてるみたいよ」

凛「あー……、また夜の見回り8番隊になるにゃ……」

192 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:58:09.09 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「愛してるばんざーい♪」

フミコ「ご機嫌ですね」

穂乃果「いやー、広島結構好きなんだよねー」

フミコ「ええ、そうですね」

ツバサ「近藤さん」

穂乃果「なーに?」

ツバサ「無事、広島に着いたことだし、私たちは別行動をとりたいんだけど」

穂乃果「え?」

ツバサ「警護任務は果たしたのだし、問題ないと思うけど」

フミコ「そんな勝手な!」

ツバサ「なに?尾形君?」

フミコ「い、いえ……」

穂乃果「んー、まあ少しなら」

ツバサ「ありがとうございます、行くわよ、服部」

193 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:58:36.46 ID:2kXFbh/G.net
英玲奈「そろそろですか」

ツバサ「ええ、新選組は幕府の犬、時勢には乗れない集団よ」

英玲奈「では……」

ツバサ「ええ、新選組から出るわ、脱走ではなく堂々とね」

英玲奈「脱退ということですね」

ツバサ「そうね、もちろん、餞別はいただくつもりよ」

英玲奈「藤堂は話せば来るでしょうね」

ツバサ「ええ、あと何人か手練れが欲しいわ、後のことも考えて幹部をね」

英玲奈「と、すると……」

ツバサ「斎藤、永倉は来るかもね、あとはうまくいけば原田」

英玲奈「武田あたりも来るのでは、最近新選組で居場所がないようですし」

ツバサ「あー、あの人はいらないわ、本当なら沖田が欲しいけど無理でしょうね」

英玲奈「あとは井上……」

ツバサ「来るわけがないわ、近藤への忠誠は沖田と同じくらいよ」

英玲奈「では、京に戻り次第動きますか」

ツバサ「ええ、楽しみね」

194 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 20:59:24.97 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『その後、長州征伐は幕府が敗北、世の流れは長州という雰囲気が漂う』

花陽「制札が?」

穂乃果「うん、長州は朝敵とする制札が何者かに斬られてて……」

海未「幕府の立てた札を斬るとはとんでもないことです」

穂乃果「そこで、犯人と捕まえてほしいんだ」

花陽「……え、私が?」

穂乃果「うん、花陽ちゃんが隊を率いてほしいの」

花陽「え、えええええ」

海未「よろしくお願いしますね」

花陽「張り込みかぁ……、この中だと私が一番偉いんだから頑張らないと!」

花陽「でも大丈夫かなー……」

隊士「原田さん、現れました!」

花陽「は、はい!全員、別動隊と一緒に挟み撃ちです!」

隊士一同「おー!!」

195 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:01:33.29 ID:2kXFbh/G.net
花陽「新選組、原田左之助です!おとなしくしなさい!!」

花陽「刃向かうなら、槍で倒します!!」

ブンブン

花陽「てやあああああああああ!!」

隊士「捕らえろー!!」

花陽「てやああああ!!」

隊士「は、原田さん!危ないですから!!」

花陽「あ、ごめんなさい」

英玲奈「……・」ザシュ バサッ

花陽「!?」

英玲奈「後ろも気を付けたほうがいいですよ、原田さん」

花陽「あ、ありがとうございます」

花陽(……一瞬で二人も斬るなんて…・…この人絵里ちゃんと同じくらい……)

196 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:02:00.97 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『その後、ある大きな出来事が起きる』

果南「……」

ダイヤ「……」

千歌「と、まあ皆さん揃ったところで!」

果南「本当に、ようやくね」

ダイヤ「何か言いたいことでも桂さん?木戸さんでしたかしら?」

果南「なんでもいいよ、西郷さん」

曜「な、なんかすごい険悪だけど……」ヒソヒソ

千歌「だ、大丈夫だよ、中岡さん」ヒソヒソ

ダイヤ「とりあえず、長州征伐があっても薩摩は兵を出さない、それでよろしいのでしょうか?」

果南「……」

ダイヤ「では以上で」

千歌「もうー!お互い意地を張らないでよ!」

197 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:02:50.98 ID:2kXFbh/G.net
曜「りょ、龍馬さん」

千歌「長州が助けてー!って言えないのもわかるけどそれじゃあ助けてもらえないよ!?」

果南「う……」

千歌「西郷さんも!長州から言い出せないことわかるでしょ!意地悪しない!」

ダイヤ「む……」

千歌「ほら!」

ダイヤ「……わかりました、何かあれば支援を、ただし必ず勝ちなさい、いいですわね?」

果南「恩に着るよ、任せて」

千歌「はい、そしたらシェイクハンドぜよ!」

198 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:03:26.07 ID:2kXFbh/G.net
千歌「いやー、なんとかなったね」

曜「ハラハラした……」

鞠莉「シャイニー!どうやら話はまとまったようデースね」

千歌「グラバーさんが助言をくれたおかげだよー」

鞠莉「ノー!これも龍馬の人柄よ」

千歌「えへへ」

鞠莉「でもこの噂は必ず広がりマース、ということで龍馬はエスケープしたほうがいいでしょう」

千歌「んー、一応隠れたほうがいいかな」

曜「だね、用心はしておこうよ」

千歌「うん、それじゃあグラバーさん、またいい商売しようねー」

鞠莉「オフコース♪」

曜「この後はどうするの?」

千歌「このままだと戦争になっちゃうから、なんとか手を打つよ」

曜「大丈夫?薩摩と長州は討幕する気満々だと思うけど」

千歌「ふっふっふっ、奥の手があるのだ」

199 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:03:52.74 ID:2kXFbh/G.net
鞠莉(これでうまく薩摩と長州で討幕に動いてくれればまた武器が売れる)

鞠莉(ふふ、うまく儲けないと)

鞠莉(龍馬、あなたの志は思っている以上に敵を作りますよ?)

雪穂『これが俗に薩長同盟と呼ばれるものである、世の中は討幕へと動いていく、そんな中』

200 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:04:23.33 ID:2kXFbh/G.net
凛「新選組を……?」

ツバサ「ええ、今の新選組では真の攘夷を果たせない」

凛「え、えっと、そういう難しいことは……」

ツバサ「私は新選組とは別に御陵衛士という隊を作るつもりよ」

英玲奈「お前も共に来い、藤堂」

あんじゅ「同門のあなたを伊東先生は是非誘いたいとのことよ」

凛「……でも、新選組は……」

ツバサ「こんな狭いところにいるべきじゃない、あなたはもっと大きなことが出来るはずよ」

ツバサ「お願い、力を貸して」

凛「……わかり、ました」

201 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:04:49.88 ID:2kXFbh/G.net
海未「このような時期ですが、入隊してくれた隊士です」

穂乃果「おー!それはうれしいね!」

雪穂「相馬主計と申します、長州征伐で幕府軍として参加しておりました」

穂乃果「そっか、大変だったね……」

雪穂「いえ、今後は新選組として幕府のために働きたいです」

穂乃果「うん、よろしくね!」

海未「よろしくお願いします」

雪穂「はい!」

202 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:05:18.64 ID:2kXFbh/G.net
にこ「新選組を抜けろ?」

真姫「……」

ツバサ「ええ、少なからず、あなたたちも今の新選組、近藤のやり方には不満はあるはず」

にこ「ま、まあそうだけど」

英玲奈「何も脱走というわけではない、穏便に、真の攘夷のため分隊ということだ」

にこ「……」

ツバサ「どうかしら、悪い話じゃないわ」

真姫「……そうね、悪い話じゃないわ」

にこ「ちょっと!」

真姫「どうせ他にも声をかけてるんでしょ」

あんじゅ「藤堂は共に行くわ」

真姫「……そう」

203 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:05:51.31 ID:2kXFbh/G.net
ツバサ「近藤さん、土方さんのやり方はおかしいと思わない?」

にこ「そうね、あの二人は少し強引よ」

ツバサ「なら」

にこ「でもね、それ以上に二人に恩がある、同志として、江戸を出たことを私は忘れない」

にこ「この話はお断りするわ」

ツバサ「……そう、残念ね」

英玲奈「来ませんか、永倉は」

ツバサ「ええ」

あんじゅ「本当に新選組を抜けるの?」

ツバサ「……何をいまさら、まさか一緒にいて情でも移った?」

あんじゅ「そんなことは……」

英玲奈「妙なことを言い出すな」

あんじゅ「……ええ」

204 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:06:18.38 ID:2kXFbh/G.net
・・・・・・
・・・・
・・

にこ「まさかあんたが誘いに乗るとはね」

真姫「そう?意外でもないでしょ」

にこ「出来れば最後まで一緒に戦いたかったわ」

真姫「……」

真姫「……そのつもりよ」

205 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:06:49.78 ID:2kXFbh/G.net
海未「脱退!?」

ツバサ「ええ、私たちは新選組とは別に行動したいの」

海未「そんな勝手な!」

ツバサ「そのほうが長州と薩摩を監視できる」

海未「しかも隊士をこれだけ連れて……」

あんじゅ「これ以上新選組から引き抜くことはしないわ」

海未「当たり前です」

あんじゅ「ただし、御陵衛士から新選組の復帰も認めない、どうかしら?」

海未「……っ、しかし」

穂乃果「……どうしても、出ていくの?」

ツバサ「ええ、すでに同意してくれた隊士もいるわ」

穂乃果「……仕方ないね」

海未「近藤さん!」

穂乃果「このままここに留めておくのは無理だよ」

海未「……」

ツバサ「ありがとうございます、斎藤君、藤堂君も私に賛同してくれましたので」

穂乃果「真姫ちゃん、凛ちゃん……」

206 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:07:14.60 ID:2kXFbh/G.net
凛「長い間お世話になりました」

穂乃果「うん、ありがとうね、今まで」

凛「穂乃果ちゃんたちのこと大好きだけど、やっぱり伊東先生についていくよ」

穂乃果「……そっか」

凛「本当に!本当に!ありがとうございました!!」

穂乃果「元気でね、ぐすっ、ちゃんとご飯食べてね……」

凛「うんっ……」

海未「あなたも出るとは驚きですね、真姫」

真姫「そうかしら……ちょっといい?」

海未「なんでしょう?」

真姫「……大事なこと」

207 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:07:50.00 ID:2kXFbh/G.net
凛「長い間お世話になりました」

穂乃果「うん、ありがとうね、今まで」

凛「穂乃果ちゃんたちのこと大好きだけど、やっぱり伊東先生についていくよ」

穂乃果「……そっか」

凛「本当に!本当に!ありがとうございました!!」

穂乃果「元気でね、ぐすっ、ちゃんとご飯食べてね……」

凛「うんっ……」

海未「あなたも出るとは驚きですね、真姫」

真姫「そうかしら……ちょっといい?」

海未「なんでしょう?」

真姫「……大事なこと」

208 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:08:17.54 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『斎藤、藤堂が新選組を抜けてから、しばらくした後』

穂乃果「ほ、本当ですか……!!」

理事長「はい、よく働いてくれましたからね」

穂乃果「あ、あ……!!!」




穂乃果「みんなー!!!」

海未「ど、どうしたのですか、帰って早々……」

穂乃果「集合!全員集合!!」

海未「は、はい」

穂乃果「えーみなさん、なんとなんと……」

にこ「もう早く言いなさいよ、どうせ大したことじゃ」

穂乃果「新選組が幕臣にお取り立てされました!!」

209 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:08:43.04 ID:2kXFbh/G.net
にこ「え」

海未「い、今なんと……」

穂乃果「これより新選組隊士は全員幕臣!私は御目見得以上の旗本だよ!!」

にこ「お、おおおおお!」

花陽「すごい!すごい!!」

絵里「え、これすごいことなの?」

ことり「とんでもないことだよ!!」

海未「や、やった……やりました……!!!」

穂乃果「海未ちゃん!」

海未「穂乃果!!」

穂乃果「ばんざーい!ばんざーい!」

雪穂『これこそが幕府の力が弱まった象徴的な出来事だが、近藤らは大いに喜んだという』

210 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:10:00.32 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『その後慶応三年十月』

穂乃果「たいせーほーかん?」

花陽「なんでしょう?」

海未「え、えーっと、にこ、説明お願いします」

にこ「私!?仕方ないわね……」

にこ「政権を朝廷に返還したのよ、徳川がね」

穂乃果「えっと……、それで?」

にこ「あ、あのねぇ……、今この国を動かしているのは!」

花陽「徳川家ですよね」

にこ「じゃあその前は!」

海未「それは天子様ですよね」

にこ「つまり!今!そうなったのよ!慶喜公が政権を朝廷に返したの!」

穂乃果「……ええええええええええ!?」

211 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:10:27.05 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「ど、ど、どうしよう!?海未ちゃん!」

海未「お、落ち着きましょう、と、とにかく」

花陽「あわわわわ……」

にこ「もう少し勉強しなさいよ、あんたたちは」

花陽「やっと幕臣になれたのに……」

にこ「それでも徳川がなくなるわけじゃない、私たちは京を守る、でしょ?」

海未「そ、そうですね」

穂乃果「んー……」

にこ「なに?まだ質問?」

穂乃果「これって長州とかはどうする気なんだろうって」

海未「というと?」

穂乃果「だって長州とかがやりたかったことを先にやっちゃったってことだよね?」

にこ「……まあ確かに」

穂乃果「これって長州が幕府と戦う意味もうないんじゃないの?」

にこ「……あんたたまに冴えてるわね」

212 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:10:52.57 ID:2kXFbh/G.net
ルビィ「さ、西郷さん!」

ダイヤ「やられましたわ!まさかこんなことを!!」


果南「せっかく討幕に動くって時に!」

果南「まさかこんなことを……!!」


鞠莉(これは予想外でしたね、徳川がこんなことを自分たちで思いつくとは思いませんし)


ダイヤ「やられましたわ、龍馬に……!」

果南「坂本龍馬!」

鞠莉(ちょっとやりすぎですよ、龍馬)

雪穂『大政奉還、龍馬が仕掛けたとするこの出来事はこの国の大きな転機となった』

213 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:11:22.19 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『そして翌月、近江屋』

龍馬「これできっとうまくいくね」

曜「でもここから大変だよ?」

龍馬「大変なことは任せて、私は外国にでも行こうかなー」

曜「ずるいなー」

龍馬「もっと世界を見たいんだよ!広い広い世界を!」

曜「楽しそうだね」

龍馬「うん!」

バタバタ ガラッ

曜「!?」

龍馬「まずいっ!」

バサッ ズシャ

曜「……りょ、龍馬さん、……龍馬さんっ……」

千歌「あ、はは……、残念、だな……」バタッ

雪穂『坂本龍馬、中岡慎太郎、暗殺』

214 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:11:52.32 ID:2kXFbh/G.net
ことり「穂乃果ちゃん!」

穂乃果「どうしたの?ことりちゃん」

ことり「幕府の人が……」


穂乃果「お待たせしました、話は聞きましたが……」

幕臣「ではわかってるな、新選組の原田左之助を坂本龍馬殺害の下手人とみている」

花陽「わ、私ですか!?」

穂乃果「あの、何かの間違いじゃ」

幕臣「下手人は伊予訛り、それから鞘が落ちていた」

花陽「そ、そんな違います!坂本龍馬と言われても顔も知りません!」

幕臣「御陵衛士の者がこの鞘は原田だと、原田ならそれくらいの腕もあると証言してる」

穂乃果「御陵衛士が?」

花陽「絶対に違います!」

穂乃果「……伊東先生、どういうつもり……」

215 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:12:16.56 ID:2kXFbh/G.net
ツバサ「……どうしてうまくいかないの!!」

英玲奈「先生、落ち着いて」

ツバサ「私は尊王攘夷のために活動したいのに!!どこへ行っても新選組の名が付きまとう!!」

あんじゅ「でも、こればかりは……」

ツバサ「御陵衛士よ!私たちは!!」

英玲奈「……」

ツバサ「原田も捕まってないようね」

あんじゅ「ええ、さすがに無理だったみたい」

ツバサ「……いっそ……」

ツバサ「そうだわ、新選組を消せば!いいえ乗っ取ってしまえばいいのよ!」

英玲奈「まさか……」

ツバサ「……近藤を斬るわ、斎藤を呼んできて」

あんじゅ「そ、それは……」

英玲奈「……」

216 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:12:40.40 ID:2kXFbh/G.net
ツバサ「ということで、お願いするわ」

真姫「私が?」

ツバサ「ええ、近藤に匹敵する腕を持つのはあなただけよ」

真姫「……いいわ、やってあげる」

ツバサ「ふふっ、さすがいい子ね」

真姫「一度、近藤とやってみたかったのよ」

ツバサ「あなたならきっと出来るわ」

真姫「任せて」



真姫「急がないと……!!」

217 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:13:20.49 ID:2kXFbh/G.net
ツバサ「……斎藤がいない?」

あんじゅ「おそらくだけど……しかも、お金もなくなってるわ」

英玲奈「どうせ、どこかに女を作って現を抜かしているのだろう」

ツバサ「確かに斎藤君はそのあたりだらしないみたいだからね」

あんじゅ「だからって何も言わずにいなくなるのも」

ツバサ「まあ放っておきましょ、落ち着いたら戻ってくるでしょ」

ツバサ「近藤を斬ってもらうんだからそのあたりは大目に見ましょ」

凛「……?」

凛(……真姫ちゃんってそんなだらしなかったかにゃ……?)

218 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:14:04.03 ID:2kXFbh/G.net
真姫「はぁはぁ……」

真姫「誰か!誰かいる!?」

花陽「ま、真姫ちゃん!?」

にこ「あんた、どうしたのよ、ボロボロよ!?」

真姫「海未に……海未に会わせて……」

ことり「……待ってて!」

真姫「大丈夫、誰にも見つかってないはず……」

海未「真姫!」

穂乃果「真姫ちゃん!」

真姫「はぁはぁ……新選組、三番隊組長、斎藤一、ただいま任務より戻ったわ」

海未「……大義です、お疲れさまでした」

穂乃果「とにかく中へ!」

219 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:14:41.47 ID:2kXFbh/G.net
海未「よく知らせてくれました」

真姫「伊東は本気よ、私が脱走したことでおそらく別の手を打ってくる」

海未「そうですね……」

穂乃果「どうして伊東さん……」

海未「穂乃果……」

穂乃果「ひどいよ……ひどい……」

海未「穂乃果、ここは」

穂乃果「……伊東を斬る」

海未「!?……いいのですね」

穂乃果「人選は任せたよ」

海未「……はい」

真姫(これが穂乃果……?)

雪穂『間者として御陵衛士に参加していた斎藤は近藤暗殺の情報を土方に伝えた』

220 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:15:11.45 ID:2kXFbh/G.net
真姫「ふぅ……」

にこ「随分無茶したわね、今回は」

真姫「まあね」

にこ「しかし見直したわ、まさかあんたがここまでするとは」

真姫「……武士っていうのはね」

にこ「ん?」

真姫「一度仕えたら、主君が死ぬまで忠義のため働くものよ」

にこ「私たちは別に穂乃果の家臣じゃ」

真姫「会津の家臣よ、会津がいたから私たちはこうして生きている、違う?」

にこ「……なるほどね」

221 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:15:35.15 ID:2kXFbh/G.net
海未「では、作戦はこのように」

穂乃果「うん、私は伊東さんにとにかく飲ませればいいんだね」

海未「ええ、斎藤については何も聞かずに」

穂乃果「いいよ、それでいこう」

海未「……珍しいですね、穂乃果が何も言わないなんて」

穂乃果「……そうかな」

海未「ええ……、穂乃果」

穂乃果「ん?」

海未「あなたはもう手を汚してはダメですよ」

穂乃果「……うん」

222 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:16:42.33 ID:2kXFbh/G.net
翌日

ツバサ「ふふっ、久しぶりにこんなふうに飲めてうれしいわ」

穂乃果「私も、今日は飲むぞー!」

ツバサ「それで、その、例の件なんだけど」

穂乃果「お金については心配しないで、海未ちゃんには内緒だけど、貸してあげるよ」

ツバサ「ありがとう、本当に」

穂乃果「ごめんね、なかなか返事できなくて」

ツバサ「いいえ、私こそごめんなさい」

穂乃果(……ごめんね、伊東さん、でもさよなら)

ツバサ「酔ったわ……」

穂乃果「籠を呼ぶよ?」

ツバサ「ふふっ、月夜に歩くのもいいものよ」

穂乃果「伊東さんは風流だなー」

ツバサ「これくらいなら酔っていても問題ないわ、またね、近藤さん」

穂乃果「うん、さようなら」

ツバサ「……」フラフラ

223 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:17:40.40 ID:2kXFbh/G.net
ツバサ「だいぶ飲んだわね……」

ツバサ「近藤には油断させておかないと……」

ツバサ「……誰?」

グサッ グサッ

ツバサ「……くっ、やられた……」

ツバサ「近藤……!!」

ツバサ「奸賊ばら……」バタッ

雪穂『元新選組参謀 伊東甲子太郎、暗殺』

224 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:18:10.52 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「伊東さんは」

海未「はい、問題なく」

穂乃果「うん……ご苦労様」

海未「問題はここからですよ」

穂乃果「わかってる、亡骸はそのまま?」

海未「ええ、そのうち御陵衛士の隊士たちが来るはずです」

穂乃果「というわけだよ」

にこ「そこを叩けってことね」

穂乃果「うん、このまま放っておけないからね……」

にこ「絵里を呼んでないってことは、相当悪いのね、身体」

海未「……」

にこ「いいわよ、言わなくて。真姫も不在ね」

海未「はい、なかなかきついとは思います、特に服部」

穂乃果「強いよ、あの人は……、私でも勝てるかどうか」

にこ「まったく不安なこと言わないでよ」

海未「二刀流、ただのはったりじゃないですよ?」

225 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:18:36.24 ID:2kXFbh/G.net
にこ「わかってるわ」

花陽「私も出来る限りは頑張ります……でも」

穂乃果「凛ちゃんだね」

にこ「まさかあんた、凛も斬れって言うんじゃ」

ことり「にこちゃん、落ち着いて」

海未「凛も御陵衛士、例外はありません」

穂乃果「許したりしたら他の隊士に示しがつかないよ」

にこ「ちょっと!!」

海未「ただ」

穂乃果「危険だから逃げた場合は深追い不要、……だから、ね?」

花陽「それって……」

ことり「……」ニコ  

にこ「面倒ね、立場があると……新選組二番隊組長、永倉新八、その任務謹んでお受けします」

226 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:19:02.03 ID:2kXFbh/G.net
一方

凛「伊東先生が!?」

英玲奈「ああ、近藤にやられた……!」

あんじゅ「新選組っ……」

凛「そんな……なんで……」

英玲奈「とにかく、伊東先生の遺体を取り返す」

凛「え?」

英玲奈「話によると、そのままにされているらしい……」

凛「ひどい……」

英玲奈「来てくれるな、藤堂」

凛「うん、いくよ……」

あんじゅ「とにかく急ぎましょう!」

英玲奈「待て、全員しっかり武装を!」

あんじゅ「そんな暇はないわよ、急ぐわ」

英玲奈「おい!罠の可能性も高いというのに……」

227 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:19:30.31 ID:2kXFbh/G.net
英玲奈「伊東先生!!」

凛「伊東先生……」

英玲奈「くそっ、早く運べ!!」

にこ「御陵衛士覚悟!!」

英玲奈「くっ、待ち伏せか!!」

英玲奈「かかれー!!」

花陽「えいやああああ!!」

にこ「逃がさないわ!!」

凛「くっ、……にこちゃん……」

にこ「藤堂、覚悟しなさい」

凛「こんなことになるなんて……うわああああ!!」

キンッ

にこ「……」

凛「ぐっ……」

228 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:19:47.23 ID:2kXFbh/G.net
花陽「……」チラッ

にこ「ちっ、さすがやるわね」

凛「そう簡単にやられないよ!」

にこ「……」クイッ

凛「……え?」

凛(み、道が……これって……)

花陽「他の隊士は向こうへ!向こうに敵が逃げたよ!!」

花陽「……」コクン

にこ「……にげて」ボソッ

凛「……ふ、二人とも……」

229 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:20:32.14 ID:2kXFbh/G.net
凛「……っ」

にこ(早く、早く逃げて!穂乃果は、私たち全員、あなたに生きてほしいのよ!!)

凛(途中で抜けた私を……ありがとう……ありがとう……)

にこ「……」スッ

凛「……」コクン ダッ

凛(かよちん、いつ会えるかわからないけど、今度会えたら一緒に笑おうね!)

花陽(凛ちゃん、生きてたらきっとまた!!)

凛「……」ダッ

隊士「逃げるな!覚悟!!」

凛「えっ」

にこ「!……やめ!!」

花陽「だめええええええええええええええ!!!」

バサッ

ドサッ

凛「……あ……」

230 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:20:59.94 ID:2kXFbh/G.net
にこ「ああああああああああああああ!!!!」

隊士「はあはあ……」

にこ「くっ!!」パシン バシッ

隊士「ぐはっ、な、なにを……」

にこ「っ……よくやったわっ、ここはいいから向こうへ行きなさい、早く!!」

隊士「は、はい」

にこ「……それでいいわ、あんたを斬る前に、どこか遠くへ行って……」

231 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:22:15.28 ID:2kXFbh/G.net
にこ「……凛、凛!!」

花陽「凛ちゃん!!」

凛「……はは……、さすが新選組、いい腕にゃ……」

にこ「なんで、なんでよ……なんでよ……!!!」

凛「ごめんね、でも嬉しかったよ、凛、本当は池田屋で死んでたかもしれない……」

凛「きっと、少しおまけをくれたんだよ……、かよちん」

花陽「凛ちゃん、凛ちゃん……ぐすっ」

凛「また、今度会えたら、その時も友達だにゃ……」

花陽「う、うん、きっと、きっと!友達だよ!ずっと!!」

凛「ありがとう、にこちゃんともきっと会える……そしたらもっと楽しいことたくさん……」

にこ「待って、まだよ、まだいかないで……」

凛「……」

にこ「馬鹿よ、馬鹿よあんたっ……凛っ……」

花陽「凛ちゃああああああああああん!!!〜〜〜〜っ!!!」

雪穂『新選組八番隊組長藤堂平助 刺殺』

232 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:22:39.59 ID:2kXFbh/G.net
あんじゅ「くっ、こ、これはまずいわね……」

英玲奈「ちっ、退くなら退け!道は、作った!!」ズバッ

あんじゅ「悪いけど……、よろしくね」ダッ

英玲奈「ちっ……数だけは多い!」バサッ ズバッ

隊士「ひ、ひいいいっ」

ヒデコ「たああああっ!」

英玲奈「貴様ごときで!!」ブンッ

ヒデコ「くっ」キンッ

英玲奈「どうした、来い……」

ヒデコ「……つ、強い……、あ、永倉さん!原田さん!」

にこ「……」

花陽「……」

英玲奈「ちっ、お前らがいるということは……藤堂のやつはしくじったか」

233 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:23:20.81 ID:2kXFbh/G.net
英玲奈「幹部の一人も斬れてないとは、役に立たない……」

にこ「ちょっと、あんた今なんて言った?」

英玲奈「ん?」

花陽「……凛ちゃんを、凛ちゃんを馬鹿にするなあああ!!」ブンッ ブンッ

英玲奈「くっ、このっ!!」

にこ「はあああっ!!」ブンッ キンッ

英玲奈「ちっ、さすがにやるなっ」

にこ「くっ!」キンッ

英玲奈「このっ!」

234 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:23:42.97 ID:2kXFbh/G.net
にこ「花陽!今よ!!」

花陽「たあああっ!」グサッ

英玲奈「がはっ……!」

にこ「……っ!」バサッ

英玲奈「くっ、はっ……」

花陽「全員、かかってください!」

グサッ ズバッ ズシュ

英玲奈「あ……っ……」

にこ「ちょっと、嘘でしょ、まだ刀を……」

英玲奈「……」バタン

雪穂『御陵衛士服部武雄、刺殺』

235 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:24:33.33 ID:2kXFbh/G.net
薩摩藩邸前

あんじゅ「はあはあ……」

あんじゅ「まさかこんな……」

あんじゅ「伊東先生……」

ルビィ「……!」

あんじゅ「お、お願い、助けてっ……」

ルビィ「……」コクン

236 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:24:54.29 ID:2kXFbh/G.net
にこ「……局長、任務、失敗しました……」

穂乃果「……!」

海未「くっ!」

花陽「……っ、ぐすっ……」

真姫「……凛」

絵里「嘘……」

ことり「絵里ちゃん、ダメだよ、寝てないと」

絵里「嘘でしょ、凛っ、凛は!?ねえ!凛はどうしたの!!」

にこ「……ごめんなさい……っ」

絵里「嫌っ、嫌よっ、そんなのっ……!」

穂乃果「……永倉君、原田君、ご苦労様」

にこ「……はい」

花陽「……はい」

穂乃果「……にこちゃん、花陽ちゃん、ごめんね、つらいことをっ……」

237 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:25:27.76 ID:2kXFbh/G.net
絵里「……」

ことり「絵里ちゃん、どう?具合は?」

絵里「大丈夫よ……、大丈夫……」

ことり「……」

絵里「……ううん、嘘、まともに刀も握れない、この前だって私は留守番だったし」

ことり「やっぱり、ちゃんと療養したほうがいいよ、ここじゃなくて」

絵里「嫌よ!私は新選組の一番隊組長よ?私がいなくなるなんて……」

ことり「絵里ちゃん、でも……」

絵里「きっと治るわ、きっと……げほっ!ごほっ!」

ことり「絵里ちゃん!!」

絵里「なによ、なんでこんなに血が出るのよ……」

穂乃果「え、絵里ちゃん……?」

絵里「近藤さん……、ち、違うの、これはなんでも……」フラッ

穂乃果「絵里ちゃん!!」

238 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:25:47.00 ID:2kXFbh/G.net
・・・・・・
・・・・
・・

海未「それで絵里は……」

穂乃果「こことは違うところで療養させることにしたよ、なかなか言うこと聞いてくれなかったけど」

海未「そうですか……」

穂乃果「……なんだかいろいろなことが起きて疲れたよ」

海未「穂乃果、凛のことは」

穂乃果「わかってる、斬った隊士は何も悪くないよ」

海未「はい……」

穂乃果「幕府もどうなっちゃうのかな……」

海未「大丈夫です、徳川家はなくなりませんよ」

穂乃果「そうだといいんだけど……」

海未「とりあえずお茶にでもしましょう、最近こうしてゆっくりもしてないですから」

穂乃果「うん……」

海未「市村、市村はいますか?」

239 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:27:15.87 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「市村?ああ、この前入った、あの子!」

海未「はい、いろいろと身の回りのことをお願いしてます、まだ子供みたいなものですから」

亜里沙「はーい、お呼びですか?土方さん」

海未「お茶の用意をしてくれますか?」

亜里沙「えー、そろそろ私も天然理心流習いたいです!」

海未「剣術の訓練はいつもしているでしょう」

亜里沙「でも、見回りとか、警護とか……」

海未「あなたにはまだ早いです、いいから用意を」

亜里沙「はーい……」

穂乃果「ごめんね、海未ちゃん過保護だから」

海未「そういうことではありません!」

亜里沙「やっぱり斎藤さんに教えてもらおうかな……」トボトボ

海未「こら、亜里沙!まったく……」

穂乃果「お、海未ちゃんも亜里沙ちゃんには弱いのかな?」

海未「はぁ……」

240 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:30:19.20 ID:2kXFbh/G.net
真姫「護衛?」

海未「はい、坂本龍馬暗殺の件なのですが」

ことり「紀州藩が今度は疑われてるんだよね」

海未「はい、動機があるということで、海援隊にどうやら狙われていると」

真姫「それで私たちが護衛をするってことね」

穂乃果「会津から直々に頼まれてるから、真姫ちゃんよろしくね」

真姫「いいわ、尾形も一緒に連れてく」

241 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:31:11.38 ID:2kXFbh/G.net
天満屋

真姫「今日で何日目かしらね」

フミコ「このまま何事もなく終わればいいんですが」

真姫「まったく護られる側の三浦殿は呑気に酒?」

フミコ「斎藤さんも飲んでますよね?」

真姫「私はいいのよ、飲んでも強いから」

フミコ「はぁ……」

バタバタ

真姫「!?」

海援隊隊士「三浦覚悟っ!!」バサッ

真姫「まずいっ!」ズバッ

海援隊隊士「ぎゃああああ!!」

真姫「ちっ、三浦殿は!?」

フミコ「無事です!」

バタバタ

真姫「まだ来るの?」

242 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:31:33.25 ID:2kXFbh/G.net
フミコ「明かりがっ……」

真姫「静かに……」

ズバッ

真姫「くっ!!」

フミコ「斎藤さん!」

真姫「大丈夫っ、ちょっとかすったくらいよ……、後ろからとは随分ね」

梨子「……」

真姫「海援隊ね」

梨子「海援隊、陸奥陽之助……、三浦を斬れればそれでいいの、どいて」

真姫「そういうわけにもいかないのよ」

梨子「坂本さんは、あんなところで死んでいい人じゃなかった……!」

真姫「気持ちはわかるけど、紀州藩が黒幕とは言えないんじゃない?」

梨子「紀州藩の指示で新選組がやったんでしょう!」

真姫「私たちじゃないわ」

梨子「それじゃあ、どうしろって言うの!?この怒りは!」

真姫「私たちだってたくさん失ってるの、甘えないで」

梨子「……っ」

「三浦を討ち取ったー!!」

243 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:39:34.14 ID:2kXFbh/G.net
梨子「!」ダッ

真姫「……ふぅ、さすがね、今のあなたの声でしょ?」

フミコ「一か八かでしたが、うまくいきました」

真姫「……斬らずにすんで良かったわ」

雪穂『海援隊による天満屋襲撃事件、これが新選組の京での最後の活動となった』

244 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:39:58.68 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『王政復古の大号令がなされた』

雪穂『これにより幕府は事実上廃止、京都守護職も廃止され、新選組は京を出ることを余儀なくされた』

穂乃果「……はぁ」

海未「気を落とさないでください、まだ新選組にやれることはありますよ」

にこ「本当にあるのかしら……」

海未「現に二条城の警備を任されています」

にこ「それだって水戸に邪魔されてるじゃない」

海未「う……」

亜里沙「永倉さん!土方さんをあまりいじめないでください!」

にこ「い、いじめてるわけじゃないわよ」

ことり「意外と元気だねー、皆」

海未「ことり、お帰りなさい」

ことり「絵里ちゃんは大阪城に預けてきたよ」

穂乃果「ありがとう、……絵里ちゃん……」

245 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:40:56.55 ID:2kXFbh/G.net
あんじゅ「いた……」

あんじゅ「闇討ちなんてしたくないけど……やるしかない」




穂乃果「ん?」

ヒデコ「どうしました?」

穂乃果「ううん、なんか……」

バンッ

ヒデコ「!?」

穂乃果「くっ……」

ヒデコ「局長ーー!!」

あんじゅ「まだ生きてる……!」

ヒデコ「あれは御陵衛士の……!!」

穂乃果「痛っ……加納君……」

あんじゅ「ここでやるわよ!」

246 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:41:20.13 ID:2kXFbh/G.net
ヒデコ「くっ、局長!逃げてください!!」

穂乃果「でも……」

ヒデコ「はやくっ!」

穂乃果「う、うん」

ヒデコ「さあ行って!!」

あんじゅ「逃がさない!!」

ヒデコ「させない!!」

ヒデコ「全員、元御陵衛士を斬れ!!」

オー!

あんじゅ「数で不利ね……」

ヒデコ「逃げるな!!」

247 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:42:09.92 ID:2kXFbh/G.net
伏見城

海未「穂乃果!!」

穂乃果「あ、海未ちゃん……」

海未「大丈夫ですか!?……肩を……」

穂乃果「うん、撃たれちゃった……」

ヒデコ「申し訳ありません!護衛があんなにいながら……」

海未「いえ、よく局長を守りました、やったのは?」

ヒデコ「加納ら、元御陵衛士かと……」

海未「……なるほど」

穂乃果「懲りないよね、はは……」

海未「とにかく、穂乃果は大阪城で医者にちゃんと診てもらってください」

穂乃果「で、でもこれから戦に……」

海未「私が……、私が指揮をとります」

穂乃果「……うん、任せたよ」

海未「はい」

248 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:42:44.23 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『それから数日後、徳川慶喜は薩摩を討つため、出兵』

雪穂『薩摩もこれに応じて出兵、戊辰戦争の緒戦でもある鳥羽・伏見の戦いが始まる』

海未「いよいよ、戦ですか」

にこ「本当に穂乃果なしでやるのね」

海未「仕方ありません、私が指揮をとります」

真姫「それは別に構わないけど」

花陽「……き、緊張します」

ことり「数はこっちが有利、だよね」

海未「はい、後はこの数の有利を活かして……」

バン バン

海未「始まりましたか……、新選組、出陣!」

オー!

249 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:43:11.43 ID:2kXFbh/G.net
バンッ バンッ バンッ

花陽「だ、ダメです、これじゃ動けない……」

フミコ「あんなに銃で撃ってくるなんて、最新式の銃ですね……」

海未「くっ、幕府側にも同じように武器はあるはずなのに……」

バンッ

海未「他の幕府軍は何をしているのですか!!」

ことり「だ、ダメ、すごい武器はあるみたいなんだけど、使える人がいないって」

海未「なんですか!そんな間抜けな!!」

バン

真姫「防戦とかそういう話じゃないわよ、これ……」

海未「もう刀や槍では……」

にこ「何も出来ずに終わるなんて嫌よ、私は!」

海未「にこ……」

250 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:43:30.42 ID:2kXFbh/G.net
にこ「刀でずっと戦ってきた、だからわかる、近づければ絶対に負けない」

花陽「で、でもこれじゃ近づくなんて!」

にこ「いくら最新式でも使ってる人間がそのうち疲れるはず、だからそこを……」

ヒデコ「永倉さん!私も行きます!」

にこ「よし、命が惜しくない隊士は私に続きなさい!!」

ヒデコ「はいっ!!」

にこ「いくわよー!!」ダッ

海未「にこ!無茶です!!」

にこ「おりゃあああああ!!」

バサッ バサッ

にこ「新選組舐めんじゃないわよ!!」

ヒデコ「やあああっ!!」

251 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:44:17.85 ID:2kXFbh/G.net
海未「にこ!もうここまでです!退きます!」

にこ「ま、まだよ!」

海未「指揮するのは私です!従いなさい!!」

にこ「くっ、わかったわよ!!」

海未「新選組!撤退!」

花陽「殿は私がやります!はやく逃げて!」

にこ「槍で殿なんて無理よ!あんたも逃げるの!」

花陽「え、ええっ!?」

海未「全員撤退です!!」




海未「被害は……」

ミカ「新選組死傷者多数です……」

海未「……」

252 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:44:32.23 ID:2kXFbh/G.net
二日後

海未「……ここで敵を待ち受けることになりました」

花陽「なんとかここまで逃げたのに……」

海未「仕方ありません、……皮肉にも今や新選組は主力です」

にこ「なんでこんなに幕府の兵が少ないのよ……」

ことり「私たちは早くから洋式の訓練してたから、多分、その差かな」

真姫「海未のおかげね、なんでも取り入れてみるものだわ」

海未「この状況では皮肉にしか聞こえませんよ……」

ことり「海未ちゃん」

海未「ことり……、なんでしょう」

ことり「しっかりして、今は海未ちゃんが新選組を率いているんだから」

253 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:45:46.35 ID:2kXFbh/G.net
海未「……わかってます、私がしっかりしないと」

ことり「……でも、すごいよね、数年前はこんなことになってるなんて想像もできなかった」

海未「……そうですね」

ことり「試衛館で、皆でわいわいやったのがすごい昔に感じるよ」

海未「……後悔してますか?京にきたこと」

ことり「ううん、してないよ」

海未「……」

ことり「穂乃果ちゃんと海未ちゃんの近くですごい夢をみさせてくれた」

ことり「まさか本当に武士になっちゃうなんて思わなかったよ」

ことり「二人がいたらからここまで来れた、だから後悔なんてしてないよ」

海未「ことり……」

ことり「さあ、そろそろ始まるよ、行こう?」

海未「はい!」

254 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:46:38.64 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『新政府軍を待ち構えた幕府軍であったが、苦戦を強いられる』

雪穂『そして、そこで目にしたの光景は信じがたいものであった」

にこ「……なによ、あの旗……」

海未「……錦の御旗」

花陽「これって、向こうが官軍ってこと……?」

真姫「私たち、いつの間にか朝敵なのね……」

ことり「とにかく今は皆一度、城に入ろうよ!ここは危ないよ!」

ミカ「大変です!」

海未「……まさか……」

ミカ「……入城が拒まれました、官軍には逆らえないと……」

海未「やはり、そうなりますか……、全員とにかく逃げます!急いで!」

にこ「逃げてばっかりね、まったく……!!」

バン バン

花陽「でもどこへ……」

海未「とにかく逃げるのです!」

255 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:47:37.48 ID:2kXFbh/G.net
ギャアア

ヒデコ「あ……、くっ!」

バンッ

ミカ「きゃあああ!」

にこ「海未!山崎が負傷!」

海未「もう少しです!誰か手を貸して!」

真姫「逃げられるの、これ!?」

フミコ「大阪に、大阪まで行けば!」

海未「その通りです!大阪まで行けば穂乃果もいます!絵里も!」

にこ「……海未」

ことり「海未ちゃん」

海未「ことり、大丈夫です、我らが局長がいれば」

ことり「土方さんっ!!」

海未「!」

256 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:48:15.23 ID:2kXFbh/G.net
ことり「新選組を今率いてるのは誰!」

海未「私、です……」

ことり「今は皆、土方さんを頼ってるんだよ!しっかりして!」

海未「すみません、私としたことが……」

海未「全員大阪まで退却!立て直します!もう一息頑張りますよ!」

オー!

ことり「……新選組のこと、穂乃果ちゃんのことを、任せたよ」

海未「ことり、なにを……」

ことり「局長に……、穂乃果ちゃんにごめんねって言っておいてね?」

海未「ダメです、ことり……ことり」

ことり「新選組、井上源三郎、ここを死守します!!」

海未「ことり!」

257 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:48:41.33 ID:2kXFbh/G.net
ことり「やああああああ!!!」

バン バン バン

ことり「やっぱり刀じゃダメかな……」

ことり「なら、この大砲で!」

ことり「……っ!」

バーン

ことり「はぁはぁ……や、やった」

バンッ

ことり「っ……」ガクッ

バンッ バンッ

ことり「……」バタッ

海未「ことりぃ!!」

にこ「っ!馬鹿っ、ダメよ!!」

258 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:49:03.75 ID:2kXFbh/G.net
海未「嫌です、ことりっ!ことりっ!!」

ことり「……海未ちゃ……ダメ、逃げ……っ」

海未「一緒に大阪に!!」

ことり「に、にこちゃ、んっ……、副長を……」

にこ「……っ……、任されたわっ……!」

海未「離してっ!離してくださいっ!!」

にこ「逃げるのよ!!ことりが時間を稼いでくれたの!無駄にしないで!!」

海未「ことりぃ!ことり!!」

雪穂『新選組六番隊組長 井上源三郎 戦死』

259 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:49:28.78 ID:2kXFbh/G.net
昨日までの分を投稿終わりました

260 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:55:06.17 ID:2kXFbh/G.net
大阪城

穂乃果「……ことりちゃんが……?」

海未「はいっ……申し訳ありません、遺体も運べず、かろうじて首だけ……」

穂乃果「……あ……あ……っ……」

海未「他の隊士も多数死傷者が……」

穂乃果「……ごめんっ、ごめん、私がこんな時に……」

海未「穂乃果のせいではありません!」

にこ「そうよ、ここからはあんたがしっかりしないといけないのよ」

穂乃果「うん、うんっ……」

海未「……絵里もだいぶよさそうですね」

絵里「そう見えるならよかったわ……」

真姫「それで、これからどうするの、……ほとんど江戸に帰ったんでしょ」

穂乃果「う、うん、私たちも江戸に行こう、船は用意されてるから」

海未「こんな形で江戸に戻るのですね……」

261 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:56:26.41 ID:2kXFbh/G.net
船上

穂乃果「……新選組ってこんなに少なかったっけ」

海未「……すみません」

穂乃果「……」

にこ「穂乃果、山崎が……」

穂乃果「……!」


ミカ「すみません……、どうもここまでみたいです……」

ヒデコ「やっぱりあの時の傷が……」

穂乃果「ダメだよ、頑張って!江戸に行けばいい医者にみてもらえるから!!」

ミカ「……ありがとうございました、私のような者を使っていただいて……」

穂乃果「ミカ!ミカ!!!……なんで……」

ヒデコ「ずっと剣の腕はないけど役に立てることを誇りに思ってました、きっと後悔してないはずです……」

穂乃果「もう嫌だ……、これ以上死んでほしくないよ……」

雪穂『新選組監察方 山崎烝 死亡』

262 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:56:53.09 ID:2kXFbh/G.net
真姫「……」

亜里沙「人がどんどん死んでいきます……」

真姫「そうね」

亜里沙「悲しくないんですか?」

真姫「悲しんでも、生き返るわけじゃないもの」

亜里沙「……」

真姫「私たちもたくさん人を殺したわ、きっと仕方ないことなのよ」

亜里沙「そんな……」

真姫「……それでも、これ以上は御免よ」

263 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:57:26.03 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『江戸に着き、護衛任務についていた新選組だが、勝海舟から甲府へ行くよう命じられる』

雪穂『また、新選組は甲州鎮撫隊と改名された』

にこ「甲府へ行くの!?」

穂乃果「うん……」

花陽「せっかく江戸まで来たのに……」

穂乃果「江戸に向かってる官軍の進行を止めるようにって」

にこ「また無茶な……、こっちは隊士がかなり減っているのに」

海未「すでに隊士は新たに募集しております、やるしかないでしょう」

穂乃果「あと、私はこれから大久保大和、海未ちゃんは内藤隼人と名乗るようにって」

真姫「もしかしてそれって」

穂乃果「うん、改名と同時に私たちは大名並の取扱いになるって」

にこ「完全に餌じゃないのよ……」

海未「とにかく甲府へは行きます、いいですね?」

264 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:57:48.85 ID:2kXFbh/G.net
絵里「私も、行くわよ……ごほっごほっ」

海未「……無理ですよ、絵里」

絵里「行きたいの……、甲府へ行くなら多摩も通るでしょ?」

海未「そうですが……」

絵里「それに私はまだ戦えるわ……ごほっ」

穂乃果「……」

絵里「近藤さん、お願い……」

穂乃果「……うん、わかった、でも無理って思ったら置いていくよ、いいね?」

絵里「……ありがとう」



海未「いいのですか、穂乃果、絵里はもう戦えるような状態では」

穂乃果「それは私も……だよ」

海未「……穂乃果、やはり肩が……」

穂乃果「……うん、ここまでしかあがらない、刀を振るのはもう無理かな、あはは……」

265 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:59:31.63 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『新選組改め甲州鎮撫隊は新たな隊士を率いて甲府へと向かった』

雪穂『しかし、沖田は多摩で病のため離脱を余儀なくされる』

絵里「……ここまでなの……?」

穂乃果「……ごめん、これ以上は……」

絵里「まだ私は……ごほっ」

海未「……」

穂乃果「絵里ちゃん、ごめんね、必ず帰ってくるからちゃんと病気を治して?」

絵里「……わかったわ……」

266 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 21:59:49.07 ID:2kXFbh/G.net
真姫「……絵里」

絵里「どうしたの、真姫、ごほっごほっ」

真姫「刀握れる?」

絵里「え?」

真姫「新選組最強、まだ決めてないわよ」

絵里「ごほっ……、さすがにもう無理よ……、刀も握れ……」

真姫「いい?最後まで生き残った方が最強よ」

絵里「生き残る……」

真姫「私に負けたくないなら死ぬんじゃないわよ、いいわね」

絵里「……そうね、真姫には負けたくないわ」

真姫「私は死なないわ、生き残ってみせるから」

絵里「ええ……、お願いがあるの」」

真姫「なに?」

絵里「私の代わりに近藤さんを守って……」

真姫「……それはあなたの役目よ」

267 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:00:19.57 ID:2kXFbh/G.net
にこ「話は終わったの?」

穂乃果「……うん、さすがにもう無理だよ……」

にこ「仕方ないわよ、あんな状態じゃ……」

穂乃果「……行こう、急いで甲府城へ入らないと」

亜里沙「雪で歩きづらいです……」

雪穂「思ったよりも時間かかりますね」

海未「ええ、ですが向こうもそれは同じはずです」

穂乃果「なんとか間に合えばいいんだけど」

ヒデコ「た、大変です!!」

穂乃果「どうしたの!?」

ヒデコ「甲府城、落ちました……」

穂乃果「え……」

にこ「そんな、早すぎるわよ!」

海未「この数では……、私は援軍を呼んできます!」


雪穂『甲府城はすでに新政府軍により占拠された』

雪穂『援軍を要請するも到着することなく戦は始まり、わずか二時間で撤退することになる』

268 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:02:47.11 ID:2kXFbh/G.net
江戸

にこ「……これからどうするつもりなのかしら」

花陽「海未ちゃんの話だと、もう一度人を集めて甲府に行くって」

にこ「そんなの無理に決まってるじゃない、あんなのところでどうしろってのよ!」

真姫「仕方ないでしょ、そういう命令を受けているんだから」

にこ「だからって!……知ってるでしょう、ほとんどの隊士は穂乃果に不満を持ってるわ」

真姫「だから?」

にこ「このままじゃまずいって言ってるの!」

真姫「気に入らないなら隊を抜ければいいわ、私たちはこれまでもそうしてきたでしょ」

にこ「そうね、そういう隊士は粛清されてきたけど」

花陽「も、もうやめようよ、私たちで喧嘩しても……」

ヒデコ「そうですよ、今はこんなことをしてる場合では……」

にこ「……わかってるわよ、そんなことは」

269 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:04:09.63 ID:2kXFbh/G.net
にこ「もう江戸はダメよ、ここは会津へ行くべきだわ」

花陽「そうだね、私もそう思う……」

にこ「これなら不満を持ってる隊士だってきっとついてくる、私が説得するわ」

花陽「うんっ!私も頑張るよ!」

にこ「新選組をこんなところで終わらせたくない、こんな無駄な戦いで……」

花陽「私、もう一度穂乃果ちゃんを探してくる!」

にこ「頼んだわ」

にこ「……穂乃果、隊士は私がまとめるから会津へ一緒に……」

270 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:04:34.52 ID:2kXFbh/G.net
亜里沙「……なんだか皆さん荒れてますね……」

海未「ええ、……穂乃果とまだ合流できてないことも原因ですが」

亜里沙「近藤さんは大丈夫でしょうか」

海未「おそらく尾形が一緒ですから大丈夫でしょう」

亜里沙「これからのこと、土方さんはどう考えてますか?」

海未「会津行きは私も考えています、ですが……」

亜里沙「?」

海未「このような状態で会津に行っても仕方ありません、武器などもう一度準備をしっかりしなければ」

亜里沙「確かに人も減ってしまったし……」

海未「それに私たちは徳川の家臣、勝手にこの江戸を捨てて会津に行くというは……」

亜里沙「ダメ、なんですか?」

海未「立場的には厳しいです……」

亜里沙「……」

271 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:05:50.81 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「皆ー!!」

にこ「穂乃果、無事だったのね」

穂乃果「うん、この間にこれからのことを聞きに行ったりしてたんだ」

海未「無事で何よりです」

穂乃果「これから準備を整えて、甲府城を取り戻すよ!」

にこ「……」

穂乃果「あ、あれ?皆どうしたの?」

にこ「あのね、穂乃果がいない間に話合ったんだけど、私たちは会津へ行くべきだと思うわ」

穂乃果「会津……?」

にこ「ほとんどの隊士も同意してくれたわ、江戸はもうだめよ、私たちは会津で戦うべきだわ」

穂乃果「え、え……」

にこ「着いてきてくれるわよね?」

穂乃果「だ、ダメだよ、それは……」

にこ「これは私たちで決めたことよ、お願い、これが新選組の意思よ」

272 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:06:18.91 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果「……わかった、なら皆は私の家臣になってほしい、そうすれば……」

にこ「……どういう意味よ、それ」

穂乃果「だから私の家臣としてなら会津へ行っても……」

にこ「私は、穂乃果たちと同志のつもりだったけど、あんたは違ったのね……」

穂乃果「ち、違うの!そうじゃなくて!」

にこ「私は家来になんてなったつもりはないわ!!」

穂乃果「に、にこちゃん……」

にこ「もうここまでね、私は新選組を抜けるわ」

穂乃果「そんな勝手だよ!」

にこ「勝手はそっちよ!今までお世話になったわ、それは感謝してる」

穂乃果「……」

にこ「さようなら、穂乃果」

273 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:07:09.42 ID:2kXFbh/G.net
花陽「に、にこちゃん!」

穂乃果「……」

花陽「穂乃果ちゃん、どうしても会津へ行くのはダメなの……?」

穂乃果「……このままじゃダメだよ」

花陽「……そっか」

花陽「にこちゃんたちは私に任せて、大丈夫きっとまた会えるから!」

穂乃果「……うん」

花陽「ごめんね、穂乃果ちゃん……」



真姫「ちょっと、なんで喧嘩になってるのよ」

穂乃果「……ごめん」

真姫「……穂乃果は今は大名なんだから穂乃果の家臣としてなら好きに動けるってわからないのかしら」

穂乃果「説明、下手だから、私……」

真姫「……新選組を抜けたことで今後生き残ってくれることを願うだけね」

穂乃果「うん……」

雪穂『永倉、原田を含めた多くの隊士が新選組を抜け、試衛館以来の同志は土方、斎藤のみとなった』

274 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:07:54.11 ID:2kXFbh/G.net
にこ「これから私たちは靖共隊を結成する、昔の知り合いに声をかけてあるわ」

花陽「う、うん……」

にこ「どうしたのよ、花陽」

花陽「本当にこれでよかったのかなって……」

にこ「……仕方ないでしょ、もう新選組にはいれないわ」

花陽「……希ちゃんが聞いたら悲しんじゃうかもね、こんなことになって……」

にこ「そのうち、きっと会えるわよ、生きてさえすればね」

花陽「……うん」

にこ「さあ行くわよ」

花陽「ま、待って」

にこ「どうしたのよ」

花陽「私、江戸にいる家族が心配だから少し様子をみてくる、後で合流するよ」

にこ「それはいいけど……、大丈夫?一人で」

花陽「大丈夫だよ、私にはこの槍があるから!」

にこ「じゃあ必ず後で合流しましょう!」

花陽「うんっ!」

雪穂『その後。原田は官軍に阻まれ合流することは出来ず、彰義隊に参加、二人が出会うことはなかった』

275 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:09:56.46 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『皮肉にもそれから数日後、江戸城は無血開城された』

雪穂『これに伴い、甲府城へ新選組が行くことはなく、しばらく江戸で隊士の募集、訓練を行った』

真姫「……」

海未「どうですか、新しく入った隊士の様子は」

真姫「京にいた時の新選組と比べたらひどいものよ」

海未「はっきり言いますね」

真姫「当たり前でしょ、ただ銃の扱いはマシかもね」

海未「もう刀で戦う時代は終わったのでしょうか……」

真姫「そんなことはないわ、間合いさえ間違えなければ刀はまだまだ使えるわよ」

亜里沙「斎藤さーん!そろそろ居合を教えてください!」

真姫「だから教えないって……」

海未「少しですが、なんだか平和ですね……」

真姫「……そうね」

276 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:10:18.60 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『その後新選組は会津を目指すため、流山に陣を移す』

流山

穂乃果「うん、ここまで来たら後は宇都宮に行けばいいんだよね」」

海未「はい、宇都宮を過ぎれば会津もすぐですよ」

穂乃果「楽しみだなー、私たち元々会津預かりなのに行ったこともなかったもんね」

海未「そういえばそうでしたね、なんだか不思議ですが」

ヒデコ「会津に行ったら永倉さんたちとまた会えますかね……」

穂乃果「……そしたら仲直りしたいな……」

海未「……穂乃果」

亜里沙「大変です!」

海未「……嫌な予感しかしませんね……」

亜里沙「さ、薩摩が……」

フミコ「訓練していた隊士が見つかったようですね……」

亜里沙「完全に囲まれました……」

穂乃果「……海未ちゃん、どうしよ、真姫ちゃんも今いないし……」

海未「どちらにせよ、戦っても勝てませんよ、この人数では」

海未「……話してきます、亜里沙一緒に来てください」

亜里沙「は、はい」

277 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:10:43.86 ID:2kXFbh/G.net
薩摩藩士「お主らは何者だ」

海未「私は幕臣の内藤と申します、ここで敗走兵や農民の一揆の鎮撫を行ってます」

薩摩藩士「鎮撫?」

海未「はい、あなた方に危害を加えるつもりはありません」

薩摩藩士「それならば、武器を渡して恭順するんだな、出来ないとは言わせん」

海未「……」

海未「……武器を置いて投降せよ、とのことです」

ヒデコ「そんな……」

海未「くっ、まさかこんな……」

穂乃果「……こうなったら仕方ないよ」

海未「穂乃果?」

穂乃果「……切腹するよ、もうここまでだよ」

278 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:12:29.44 ID:2kXFbh/G.net
フミコ「そんな……」

海未「ダメです!!」

穂乃果「私が新選組局長近藤勇として切腹すればなんとか皆だけは……」

海未「新選組はこんなところで終わらせてはいけません!」

穂乃果「でも!もう無理だよ!」

海未「皆が命がけで守った新選組はここで終わるようなものではありません、そのためには局長のあなたが死んではいけないのです!」

穂乃果「でも……」

海未「あくまで大久保大和として、鎮撫目的だったと言うのです、もし捕まっても私がなんとかしますから!」

穂乃果「……わかった、新選組を残さないと絵里ちゃんが戻ってくる場所なくなっちゃうもんね……」

雪穂『近藤はあくまで大久保大和と名乗り投降したが、板橋へ連行されることになる』

279 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:12:54.54 ID:2kXFbh/G.net
真姫「それで、穂乃果は連れてかれたのね」

海未「……はい」

真姫「……仕方ないわね」

海未「真姫、新選組は全員会津へ向かわせてください、いいですね」

真姫「それはいいけど……、海未はどうするのよ」

海未「私は勝様になんとか穂乃果の助命をお願いしてきます」

真姫「……わかった、必ず穂乃果を、局長を救ってね」

海未「はい、相馬もついてきください」

雪穂「はい!」

海未「では、お願いします」

真姫「ええ」

海未(お願いします、穂乃果を……穂乃果だけは……)

280 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:13:23.11 ID:2kXFbh/G.net
板橋

穂乃果「私は大久保大和です、みなさんに危害を加えるつもりはありませんでした」

ドウスル? ヤハリベツジンジャ……

穂乃果(……このままならすぐに解放してくれるかも……)

穂乃果(待っててね、私はこんなところで死なない……)

官軍「おい、どうだ、こいつは近藤か?」

あんじゅ「……!」

穂乃果「……!」

あんじゅ「……っ」

穂乃果「加納君」

あんじゅ「なっ……」

官軍「……どうやら顔見知りみたいだな」

あんじゅ「……」コクン

穂乃果「……ここまでかな」

あんじゅ「どうして名前を、言わなければもしかしたら……」

穂乃果「どうしてかな、懐かしい顔で、思わず……」

281 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:14:18.00 ID:2kXFbh/G.net
ダイヤ「新選組の近藤が捕まったらしいですわね」

果南「みたいだよ」

ダイヤ「切腹、とはいきませんか」

果南「土佐が、黙ってないからね」

ダイヤ「……残念ですわね」

雪穂『近藤勇であると認めることはなかったが、元御陵衛士の確認により近藤勇として処断されることになった』

282 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:14:42.61 ID:2kXFbh/G.net
海未「お願いします!近藤を!近藤勇を救ってください!!」

海未「お願いいたします!!」

雪穂「私からもお願いします!」





海未「なんとか嘆願書を書いてもらいました、これを板橋に届けてください」

雪穂「はい!必ず届けて見せます!」

海未「危険ですが、途中捕まってはなりませんよ」

雪穂「わかっています!では」

海未(お願いします、その書状をなんとか届けて……)

283 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:15:33.72 ID:2kXFbh/G.net
雪穂(急げ、急げ!)

雪穂「はぁはぁ……」

マテ!ナニモノダ!

雪穂「!」

雪穂(嫌だ、いやだ、捕まらない!板橋までもうすぐなんだ!!)

オイマテ!

雪穂(近藤さん、近藤さん!!!)

ガシッ

雪穂「きゃあっ!!」

雪穂「待って!私は板橋に!この書状を!!」

雪穂「お願いします!この書状を!!」


雪穂『私は捕まった』

284 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:15:59.16 ID:2kXFbh/G.net
板橋

穂乃果「雪穂!?」

雪穂「近藤さん……、ごめんなさい、私、せっかく嘆願書を書いてもらったのに捕まって……」

穂乃果「そっか……、ごめんね、私のために……」

雪穂「……誰か!嘆願書をちゃんと読んでください!お願いします!!」

シズカニシロ!

穂乃果「……もういいよ、雪穂」

雪穂「そんな、そんな……」

穂乃果「あの……誰かいますか」

ナンダ

穂乃果「偉い人を呼んでください、話があります」

官軍「なんだ話とは」

穂乃果「私の助命を訴え捕まったこの者はどのような処罰をされるのでしょうか」

官軍「無論、処刑だ」

穂乃果「お願いします、私は処刑でかまいません、この者は救ってください」

官軍「ダメだ、おそらく新選組隊士だろう?」

穂乃果「違います……この子は」

285 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:16:27.17 ID:2kXFbh/G.net
官軍「?」

穂乃果「この子は私の妹です」

官軍「なっ?!」

雪穂「!?」

穂乃果「官軍というのは家族の除名を求めた者も処刑するのですか」

官軍「ぐっ……」

穂乃果「この子を、雪穂だけはお救いください……」

官軍「……いいだろう、だが近藤、お前は斬首となった」

雪穂「斬首!?切腹でもなく斬首!?なぜ!!」

官軍「所詮農民だ、切腹でなく斬首で当然」

雪穂「違う!違う!この人は武士です!せめて武士として!!」

穂乃果「雪穂、もう、いいから……」

雪穂「そんな……そんなっ……」

雪穂『私は処刑を免れ、笠間藩に預けられた』

286 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:33:05.51 ID:2kXFbh/G.net
宇都宮

海未「……助命は叶わなかったのでしょうか……」

海未「……穂乃果……」

海未「穂乃果……」

海未「なぜ私は宇都宮で戦っているのでしょうか……」

バン バン

海未「……会津へ、会津へ行かないと……」

海未「邪魔です、退きなさい!!」



にこ「……!」

にこ「気のせいかしら、海未の声が……」

にこ「……この戦場のどこかにいるのかしら……」

287 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:33:35.55 ID:2kXFbh/G.net
板橋

穂乃果「……」

穂乃果「時間、なんだね」

穂乃果「……はい、抵抗したりしません」

穂乃果「はい……」


穂乃果(すごい数年間だったな……)

穂乃果(ただの百姓が京へ行って、武士になって、大名になって……)

穂乃果(……皆と京で過ごしたの楽しかったな……)

288 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:34:12.45 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果『いやー、虎徹は最高だね!』

花陽『これが虎徹……!』

凛『初めて見たにゃー!』

絵里『はらしょー!』

凛『それどういう意味にゃ?』

絵里『本に感動した時の言葉と書いてあったのよ』


にこ『あれって本当に虎徹なの?」

海未『穂乃果はそう言い張ってます』

希『う、うーん……、まあ虎徹並によく斬れるけど……』

真姫『どう見ても違うでしょ』

ことり『でも、穂乃果ちゃん満足そうだし、いいんじゃないかな?』


穂乃果『今宵の虎徹は血に飢えている!』

凛『よ!新選組局長!』

希『……せやね』

289 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:34:39.31 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果(希ちゃん、ごめんね、希ちゃんが強くした新選組だったけど、私はここで終わりみたいだよ)

穂乃果(凛ちゃん、助けてあげられなくてごめんね、また笑った顔見たかったよ)

穂乃果(ことりちゃん、最後まで新選組を守ってくれてありがとう、ごめんね、私が怪我してたから……)

穂乃果(にこちゃん、最後に仲直りしたかったよ、ごめんね、にこちゃんは私の同志だよ)

穂乃果(花陽ちゃん、いつも新選組を和ませてくれてありがとう、あんな形でバラバラしてごめんね)

穂乃果(真姫ちゃん、新選組のために汚れ仕事もさせてごめんね、最後までついてきてくれてありがとう)

穂乃果(絵里ちゃん、死んじゃダメだよ、いつも私のためにごめんね、お願い、生きて……)

穂乃果(海未ちゃん、ごめんね……、私、ここまでみたい、新選組をよろしくね……)

穂乃果(……本当にありがとう、でもお願い、海未ちゃん、これからを生きて……)

290 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:35:03.23 ID:2kXFbh/G.net
官軍「何か言い残すことは」

穂乃果「……」

官軍「……」

穂乃果「……光を追い続けてきた、僕たちだから……」

官軍「ん?」

穂乃果「さよならは言わない……」

穂乃果「また会おう、呼んでくれるかい、僕たちのこと……」

穂乃果(皆、また会おうね、また9人できっと……)

穂乃果「またね」




雪穂『新選組局長 近藤勇 斬首』

291 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:53:06.30 ID:2kXFbh/G.net
宇都宮

海未「……穂乃果が……斬首……?」

海未「……嘘です……そんな……、嘘です……」

隊士「……確かです」

海未「……なぜ私はこんなところで戦っているのでしょうか、何のために……」

海未「……あ、あ、あああああああああああああ!!!」

海未「突撃です……、全員突撃しますっ!!」

292 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:53:27.53 ID:2kXFbh/G.net
にこ「なんだか前線はすごい勢いね、どこの隊よ」

にこ「……新選組?じゃあ穂乃果が……」

にこ「……え?」

にこ「……死んだ?……近藤勇よ?新選組局長近藤勇が死んだっていうの!?」

にこ「嘘だったら承知しないわよ!!」

にこ「……そんな、穂乃果……」ガクッ

にこ「……っ、くっ……」

293 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:53:52.17 ID:2kXFbh/G.net
会津

真姫「……斬首、切腹じゃない……?」

真姫「……尾形」

フミコ「は、はい」

真姫「……少しの間任せるわ」

フミコ「あの、どこへ……」

真姫「……取り返す」

294 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:55:28.97 ID:2kXFbh/G.net
上野

花陽「はぁ、結局にこちゃんと合流できないし、上野で戦うなんて……」

花陽「でも皆もどこかで戦ってるなら……、きっとそのうち会えるはずだよね!」

花陽「……それまでちゃんと生き抜かないと」

彰義隊隊士「原田さん、そういえば聞きましたか?」

花陽「何のことですか?」

彰義隊隊士「新選組の局長が板橋で斬首になったとか」

花陽「……え」

花陽「……局長、近藤勇のことですか……?」

彰義隊隊士「ええ、捕らえられて斬首になったって」

花陽「本当、なんですか……?」

彰義隊隊士「はい、そう聞きましたが……、なんでも首は京で晒されるとか」

花陽「穂乃果ちゃんの首が……?そんなの、そんなの……」

花陽「許さないっ!!!」

295 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:56:24.51 ID:2kXFbh/G.net
彰義隊隊士「は、原田さん!今突撃するのは危ないですよ!」

花陽「行かなきゃ、京に、首を首を取り戻すんだ!!」

花陽「穂乃果ちゃん、ごめんね、今助けるから、絶対に絶対に」

彰義隊隊士「こ、近藤はすでに……」

花陽「新選組十番隊組長!原田左之助!!局長の首を新選組の元に奪還します!!」

花陽「邪魔する者はこの槍で討ち取ります!!」

彰義隊隊士「原田さん!」

花陽「あああああああ!!!」ダッ

バンッ バンッ

296 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:56:52.33 ID:2kXFbh/G.net
・・・・・・・・
・・・・・
・・・

花陽「はぁはぁ……、痛い、痛いよぉ……」

花陽「でも、穂乃果ちゃんはもっと痛かったよね……」

花陽「……私があの時抜けなかったら、助けられたのかな……」

花陽「ごめんね……、ごめんね、穂乃果ちゃん……」

花陽「なんとか取り返せっ……」バタッ

真姫「花陽、花陽!!」

花陽「あ、あれ、おかしいな、真姫ちゃんが見える……」

真姫「私よ!」

297 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:57:19.28 ID:2kXFbh/G.net
花陽「……真姫ちゃん」

真姫「あなたこんな傷で……」

花陽「穂乃果ちゃんを、取り戻したよ……、な、なんだ、真姫ちゃんも来ちゃったんだね……」

真姫「……花陽、ありがとう、本当に……」

花陽「局長をしっかりと埋葬して、あげて……」

真姫「ええ、任せて、だからあなたはっ!」

花陽「ありがとう……、私、最後にちゃんと役に立てた、かな」

真姫「……十分すぎる働きよ、花陽、ゆっくり休んでね」

花陽「……」ガクッ

真姫「……っ、花陽っ」

花陽(今度皆とまた会えたら、そしたら今度は楽しいことをしたいな……)

花陽(……凛ちゃん、ちょっと遅くなったけど私もそっちに……)

雪穂『新選組十番隊組長 原田左之助 戦による傷で死亡』

雪穂『近藤勇の首は京に晒された後行方不明、一説では会津に埋葬されているという』

雪穂『首を奪還したのが誰かは未だにわかってはいない』

298 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 22:59:37.63 ID:2kXFbh/G.net
江戸

絵里「ごほっ、ごほっ……」

絵里「はぁはぁ……」

絵里(もう血を吐くのも慣れちゃったわね……)

絵里(私、このまま……、ううん、近藤さんのためにまだ私は……)

ニャー

絵里(また黒猫……)

絵里「くっ……」カチャ

絵里「ごほっ」ブンッ

ニャー!

絵里「……げほっげほっ」

絵里(猫一匹斬れないなんて……あはは……)

絵里(私、もう死ぬのね……)

299 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:00:32.10 ID:2kXFbh/G.net
絵里(京にいって、何人も人を斬って……)

絵里(斬られる覚悟はしてた、でも……この死に方はずるいわよ……)

絵里(それともこれが罰なのかしら……希、ごめんね……)

絵里(近藤さん、土方さん、私は二人を守るって決めたのに、先に……)

絵里(ごめんなさい、ごめんなさい……)

絵里(でもいいわ、二人が元気で生きてくれたら、それで……)

絵里「会いたい……皆と……ごほごほっ……」

絵里「他には何もいらないから、また皆と……」

絵里「……」

絵里「……」

絵里「……」

雪穂『新選組一番隊組長 沖田総司 病死』

雪穂『近藤の死を知ることなくこの世を去った』


真姫「……絵里?」

真姫「あの、馬鹿……っ」

300 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:00:54.79 ID:2kXFbh/G.net
しばらくして、会津

真姫「久しぶりに会ったと思ったら随分ね」

海未「面目ありません……」

真姫「命があっただけありがたいと思うことね、これくらいの怪我なら十分よ」

海未「そう、ですね……」

真姫「……穂乃果のことは」

海未「わかってます、今はまだ大きな声では……」

真姫「そう、ね……、それから絵里のことも聞いたわよね」

海未「……はい、絵里のことは先ほどですが」

真姫「……そう……、花陽も死んだわ」

海未「え……」

真姫「……あの子は最期まで新選組だったわ」

海未「……もう涙が枯れてしまいそうです」

真姫「そうね、私も感覚がおかしくなってるわ……」

301 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:01:52.97 ID:2kXFbh/G.net
海未「……結局、私だけ置いてけぼりです」

真姫「とりあえず海未は3か血獅ュらいは療養bヒ」

海未「ええ、その間新選組の指揮は任せます」

真姫「わかってるわ、他にいないもの」

海未「……そうですね」

真姫「でも、ここまでこれてよかったわ、会津で戦えるなら十分よ」

海未「……十分?」

真姫「ええ、新選組は会津の預かり、その会津で戦えるなんて武士としては本望でしょ」

海未「……そうなんでしょうか」

真姫「そうよ」

海未「……」

302 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:02:18.93 ID:2kXFbh/G.net
真姫「……」

フミコ「どうですか?副長は……」

真姫「身体は大丈夫よ」

フミコ「……」

真姫「ただ、目は離しちゃダメよ」

フミコ「……はい」

303 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:02:48.79 ID:2kXFbh/G.net
海未(穂乃果、絵里、あなたたちの分まで私は戦います)

海未(私たちの新選組は絶対に終わらせません)

「……さん」

海未(どれだけ隊士がいなくなってもまた集めて……)

亜里沙「土方さん!」

海未「は、はい」

亜里沙「やっと気づいてくれた、食事置いときますね」

海未「面倒かけますね」

亜里沙「これくらいはなんてことないですよ!」

海未「……すみません」

亜里沙「じゃあ私、斎藤さんに剣術教えてもらいに行ってきます!早く戦でも役に立てるようにならないと!」

海未「……」

海未「……これでいいですよね、穂乃果」

304 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:03:25.84 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『三ヶ月後、会津藩は新政府軍と交戦するが、わずか1日で勝敗を決した』

海未「撤退ですか……」

ヒデコ「はい、すでに指揮していた大鳥殿も撤退したと」

海未「どこへ向かったのでしょう……」

ヒデコ「おそらく、仙台かと」

海未「わかりました、私たち新選組も仙台に向かいます」

ヒデコ「え、でも斎藤さんは……」

海未「新選組を指揮するのは私です、新選組は仙台へ行きます、真姫にもそう伝えてください」

ヒデコ「は、はい……」

海未「……会津にいては新選組は終わってしまいます……」

真姫「ちょっと、海未!どういうつもりよ!」

海未「今から仙台へと撤退します」

真姫「まだ若松城は落ちてないわ!会津藩預かりの新選組は最後までここで戦うべきよ!」

海未「会津はもう終わりです、ここは捨てて仙台に」

真姫「武士としての忠義に反するわよ!私たちは会津の容保公のおかげでここまで……」

305 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:03:55.79 ID:2kXFbh/G.net
海未「新選組をここまで大きくしたのは穂乃果です、私たちの力です!」

真姫「……本気で言ってるの?」

海未「ええ、こんなところで新選組を終わらせるわけにはいきません」

真姫「副長命令ってわけ?」

海未「新選組局長は今は私です」

真姫「……そう」

真姫「わかったわ、もうこれ以上ついてはいけない」

海未「……」

306 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:04:22.40 ID:2kXFbh/G.net
真姫「私には私の武士としての生き方がある、ここでお別れね」

海未「……そうですか」

亜里沙「ま、待ってください、そんな斎藤さんが新選組を抜けるなんて」

真姫「私は会津新選組として最後までここで戦う」

亜里沙「……土方さんも止めてください!」

海未「ついてこれないのであれば、ここで別れるだけです」

亜里沙「そんな……」

海未「私と来る者はすぐに準備を」

亜里沙「土方さん……」


真姫「……海未、馬鹿よ、あんた……」

真姫「いつまで戦う気なの……」

雪穂『こうして土方は仙台へ、斎藤は会津で抗戦を続けた』

307 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:05:48.11 ID:2kXFbh/G.net
真姫「さすがにそろそろきついわね……」

フミコ「そうですね……」

真姫「本当によかったの?私と一緒で」

フミコ「ええ、局長と私はよく行動を共にして、会津藩の方々とも話す機会が多かったですから」

真姫「そうね、会合やらなにやら」

フミコ「会津のために最後まで戦うのが筋だと思ったので」

真姫「……そう」

フミコ「それに会津藩は降伏したのに、最後まで戦う頑固な三番隊組長様をほっとけないですし」

真姫「悪かったわよ、さて、行くわよ!」

フミコ「はい!!」

雪穂『斎藤、尾形は松平容保の使者の説得があるまで最後まで会津で戦い続けたのち投降』

雪穂『しばらく会津で謹慎生活を送ることになる』

308 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:06:37.25 ID:2kXFbh/G.net
仙台

海未「どうやらこのまま蝦夷にわたることになりそうです」

ヒデコ「蝦夷ですか!?……永倉さんがいれば詳しかったですね」

海未「……」

ヒデコ「あ、すみません!」

海未「いえ、いいのですよ」

亜里沙「ひ、土方さん!大変です!」

海未「どうしました?」

亜里沙「そ、相馬さんが、雪穂が戻ってきました!!」

海未「本当ですか!?」

雪穂「すみません、すみません……」

海未「謝るのはもうやめてください……」

雪穂「局長を、救えませんでした……」

海未「もうそれはいいのです、あなたが無事でよかった」

309 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:07:28.92 ID:2kXFbh/G.net
雪穂「私もただただ戦い続け、こんなところまで来てしまいました……」

海未「私たちはこれから蝦夷に向かいます、一緒に来ますか?」

雪穂「蝦夷……、は、はい、ついてきます!」

海未「では、準備をお願いします」

雪穂「はい」




亜里沙「本当によかったです、生きて帰ってきてくれて」

雪穂「……局長に助けられた、本当ならもう死んでる身よ……」

亜里沙「え?」

雪穂「なんでもない、さあ準備しないと」

亜里沙「……」

雪穂『こうして私たち新選組は蝦夷、箱館に向かった』

310 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:08:08.40 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『土方らは五稜郭を占領し、松前城を陥落させ、江差も占領に成功する』

ヒデコ「土方さん、やりましたね!」

海未「ええ、これで大分楽になるはずです」

ヒデコ「これで他の幕府軍も土方さん、新選組を無視できないはずですよ!」

亜里沙「このまま土方さんが幕府軍の指揮を!」

海未「そう上手くはいきませんよ、元々の幕臣、榎本さんがいますから」

雪穂「その榎本さんから五稜郭へ戻るよう連絡が」

海未「わかりました、新選組全員五稜郭へ戻りましょう」

亜里沙「はい!」

雪穂『こうして旧幕府軍は蝦夷共和国を作り、政権としての体制を整えていく』

雪穂『土方も陸軍奉行並となり、新選組はここで生き残ると思っていた』

311 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:09:38.07 ID:2kXFbh/G.net
数ヶ月後 箱館

海未「降伏などしません!まだ負けると決まったわけではありません!!」

海未「指揮を私にいただければ必ず勝ちます!!」




雪穂「どうでしたか?」

海未「あんなに弱腰では勝てる戦も勝てません」

雪穂「……」

海未「大丈夫です、必ず戦って勝ちます」

雪穂「はい!」

海未「……そうです、新選組は最後まで戦う」

海未「……そうですよね、穂乃果」

312 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:09:59.42 ID:2kXFbh/G.net
亜里沙「うーん」

雪穂「どうしたの、唸って」

亜里沙「もらった服がまたきつくなってきて」

雪穂「成長期だもの、仕方ないわ」

亜里沙「早くもっと大きくなって土方さんや、斎藤さんみたいに強くなりたいなー」

雪穂「そこで私を出さないあたりが頭にくるわね」

亜里沙「それは、やっぱり……」

雪穂「まあ仕方ないけどね」

亜里沙「次の戦は私も絶対活躍する!」

雪穂「……ねえ、亜里沙」

亜里沙「ん?」

雪穂「ううん、なんでもない」

亜里沙「……雪穂?」

313 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:10:24.91 ID:2kXFbh/G.net
海未「……」

ヒデコ「どうしました、浮かない顔して」

海未「私は何か間違っているのでしょうか」

ヒデコ「え?」

海未「新選組を残すため、最後まで新選組として戦うため、こんなところまで来てしまいました」

海未「あなたたちを無駄な戦に巻き込んでしまったのではないかと……」

ヒデコ「後悔はしてませんよ、私は」

海未「……」

ヒデコ「新選組を最後まで見届けます、それが私の使命だと思っていますから」

海未「ありがとうございます」

ヒデコ「だからといって、無駄死にするつもりはありません、最後まで戦って生き残ってみせますよ」

海未「……ええ」

314 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:10:47.89 ID:2kXFbh/G.net
海未(穂乃果、そちらで皆には会えたでしょうか……)

海未(私は相当恨まれてますよね……)

海未(新選組のため、穂乃果を武士にするため、ひどいことをたくさんしました……)

海未(きっと、私は皆さんと同じ場所には……)

『そんなことないよ!』

海未「え?」

海未「……穂乃果?」

海未「……」

315 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:12:25.42 ID:2kXFbh/G.net
数日後

雪穂「攻めてきましたね」

海未「ええ、総攻撃ですね」

雪穂「籠城ですか?出陣ですか?」

海未「もちろん、出陣です」

雪穂「わかりました」

海未「その前に、雪穂、亜里沙を連れてきてください」

雪穂「え?はい」

海未「……」

海未「亜里沙」

亜里沙「はい!」

海未「これを」

亜里沙「え?これは?」

海未「多摩の、私の家にこれを届けてください、今ならまだここを脱出できます」

316 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:12:46.37 ID:2kXFbh/G.net
亜里沙「え……」

海未「お願いします」

亜里沙「ま、待ってください!私はここで戦います!ここで皆と戦って死んでもいい覚悟が!」

雪穂「亜里沙……」

海未「これは新選組局長としての命令です、市村、背くならばここで斬ります」

亜里沙「ひ、土方さん……」

海未「……」

亜里沙「……わかりました……」

海未「早く行きなさい、早くっ!!」

亜里沙「は、はいっ!」

317 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:14:06.80 ID:2kXFbh/G.net
海未「行きましたか」

雪穂「はい……、これでよかったのですか?」

海未「……亜里沙にはまだこの先を生きてほしかった、新選組の罪など背負わずに」

雪穂「……」

海未「それから雪穂」

雪穂「は、はい」

海未「あなたに私の死後の新選組局長を命じます」

雪穂「え、それはどういう……」

海未「私が討ち死にしたら、新選組局長として、降伏してください」

雪穂「そんな、私も最後まで!!」

海未「……終わらせてください、新選組を、これはあなたに頼みたい」

雪穂「……そんな、私は局長を……」

海未「穂乃果はあなたのせいで死んだわけではありません、もういいのですよ」

雪穂「……わかりました……」

海未「……お願いします」

318 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:18:54.44 ID:2kXFbh/G.net
数時間後

海未「何を逃げているのですか!全軍突撃!今が好機です!!」

海未「退いた者は私が斬ります!!」

海未「私の馬に続きなさい!!」



海未(私が生き残るなど許されない、私はここで……)

海未(芹沢さん、近藤さん、二人が作り上げた新選組は私が終わらせます、お許しください……)

海未(ですが、ただでは終わらせません!!)

海未「新選組副長土方歳三に続きなさい!新選組は負けません!!」

バンッ

海未「ぐっ、はああああああああああ!!」

海未「突撃ですっ!!!」

バンッ

319 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:20:01.25 ID:2kXFbh/G.net
海未(……あれ、私は馬の上に……ああ、落ちてしまいましたか)

海未(……ここまで、ですか)

海未(……私としては綺麗な死に方ですね、もっと惨い死に方かと思いましたが……)

海未(また会えるでしょうか、会う資格があるのでしょうか……)

海未(会えたらまずは皆さんにたくさん謝らないと……)

海未(それから、ありがとうございました、私を武士にしてくれて……)

海未「……」バタッ



雪穂『新縁組副長 土方歳三 戦死』

320 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:20:46.78 ID:2kXFbh/G.net
雪穂『土方が戦死したのち、旧幕府軍は降伏』

雪穂『私も新選組局長として、降伏をした』

雪穂『これにより、新選組は結成6年で幕を閉じた』

雪穂『その後、新選組の残りの隊士がどうなったかはわからない』

雪穂『私は新選組を終わらせた、その責任をすべて背負って……』


にこ『新選組最後の局長 相馬主計 自殺』

にこ『私が聞いたのはその話だけ、なぜ死んだのかわからない』



にこ『明治維新後、斎藤は警察官となる』

にこ『その後の西南戦争にも参加したという』

321 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:21:27.84 ID:2kXFbh/G.net
薩摩

真姫「……いつまで戦ってるのかしらね」

真姫「私にはこれしかないから仕方ないけど……」

真姫「さてと、切込むわよ、ついてこれるならついてきなさい!」ダッ



真姫「あれだけ苦しめられた薩摩がこんなあっさりとなんて、虚しいわね」

ルビィ「……本当にそうですよね」

真姫「!……初めてじゃない、昔、京で会ったわね」

ルビィ「……新選組、斎藤一さん、ですよね」

真姫「あなたが当時有名な人斬りだったなんてね、意外にもほどがあるわよ」

ルビィ「……えへへ」

真姫「それで、やるの?」

ルビィ「……西郷さんが一人になっちゃう、私は傍にいないと」

真姫「そう……私たちは出会ってない、それでいいわよね」

ルビィ「……はい」

322 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:21:53.46 ID:2kXFbh/G.net
???「隙あり!」

真姫「!?……惜しかったわね、なかなかいい腕だけど……、え、亜里沙……?」

亜里沙「……!?斎藤、さん……」

真姫「あなた、なんで、しかもどうして薩摩側に……」

亜里沙「……あ、あ、……」ダダッ

真姫「亜里沙!待ちなさい!亜里沙!!」

真姫「……なんであんたが戦ってるのよ、もう戦う必要ないのよ……」

にこ『新選組隊士 市村鉄之助 西南戦争により戦死』

323 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:23:00.41 ID:2kXFbh/G.net
にこ『私は明治九年に板橋に局長、そして副長の供養塔を建てることができた」

にこ「……ようやくできたわ」

にこ「……穂乃果、海未、おそくなってごめんなさい」

にこ「……あなたたちは武士だったわ、誰よりも武士だった」

にこ「……私は生き残ってしまったわ……」

にこ「恨んでいるかしら……」

にこ「どうか安らかに眠って……」

324 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:23:23.89 ID:2kXFbh/G.net
にこ『そして、時代は移り、大正4年』

にこ『多くの隊士がこの世を去り、新選組幹部は二人となった』

にこ(ここまで生かされるとは思わなかったわ……)

にこ(真姫はまだ元気にしてるのかしら……)

にこ(私が死んだらまだあの世で皆は待ってくれてるかな……)

にこ(無理よね、新選組を最後に捨てた私には……)

325 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:24:23.93 ID:2kXFbh/G.net
穂乃果『真姫ちゃん、真姫ちゃん!』

真姫『なによ』

穂乃果『真姫ちゃんってすごいおしゃれだよねー!』

真姫『当たり前でしょ、武士は身なりも気を付けるべきよ』

絵里『そうかしら、剣の腕さえあれば十分じゃない?』

真姫『まったく、これだから剣術馬鹿は……』

絵里『む、なによ!そこまで言ったら勝負よ!勝負!』

真姫『いいわよ、今日勝てば私の勝ち越しね』

にこ『あーあー、また始まった」

穂乃果『え、着物とかの話聞きたかったのに……』

にこ『諦めなさい、いつものことだけど』

穂乃果『もうー!』

326 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:24:44.81 ID:2kXFbh/G.net
真姫「……ふふ」

真姫「変ね、今頃こんなことを思い出すなんて」

にこ(長く長く生きたけど、あの頃が一番輝いてた)

にこ(またあんなふうに生きてみたい)


真姫(剣のように鋭く、輝いてた)

真姫(次もあの頃みたいに……)


にこ(……でも次は)

真姫(……今度は)

にこ&真姫(誰も死なない、そんな場所で会いたい……)

327 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:25:11.96 ID:2kXFbh/G.net
にこ「ここは……」

真姫「え、にこちゃん!?」

にこ「真姫!?」

穂乃果「にこちゃーん!真姫ちゃーん!」

にこ&真姫「穂乃果!?」

穂乃果「早くー!待ちくたびれたよー!」

海未「遅いですよー!」

穂乃果「もう、海未ちゃんだって、すごい待たせたくせに!」

海未「う、すみません」

希「そんなこと言ったらうちなんかどれだけ待たされたかわかっとる?」

穂乃果&海未「ごめんなさい」

希「嘘や、早く来すぎてたら追い返してたよ」

にこ「これって、夢……?」

真姫「……かもね」

328 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:26:00.44 ID:2kXFbh/G.net
凛「あ、ようやく来たにゃー!おーい!」

花陽「皆もう待ってるよー!」

ことり「早くー早くー!」

絵里「亜里沙、ほら起きて」

亜里沙「ん……、んー……」

雪穂「亜里沙、寝ぼけてないで」

穂乃果「ほら、ほら、皆待ってるよ!」

真姫「……ええ、すぐに行くわ」

穂乃果「ほら、にこちゃんも!」

にこ「わかってるわよ、待たせちゃったわね」

穂乃果「そうだよー!すごい待ったんだから!」

にこ「大丈夫よ、今度は私が待ってるから、あんたたちに会うまで待つわよ」

穂乃果「……うん!」

にこ「だからすぐに見つけなさいよ」

穂乃果「わかった、約束だよ!」

『新選組二番隊組長 永倉新八 三番隊組長 斎藤一 大正4年共に病死』

329 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:27:08.63 ID:2kXFbh/G.net
『そして、百年以上の時が過ぎ』

穂乃果「あなたがアイドル研究部の部長!?」

にこ「……!」

『私たちは出会った』

穂乃果「絵里先輩!μ’sに入ってください!」

絵里「え……」

『平和な世界で、スクールアイドルとして』

穂乃果「μ’sミュージックスタート!」

330 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:27:37.31 ID:2kXFbh/G.net
海未「……というわけで、2018年は明治維新から150年なんです」

海未「こういう機会に歴史を学ぶのも、って、穂乃果!」

穂乃果「聞いてるよー、海未ちゃんはやっぱり鬼の副長だねー、怒ると怖いし」

海未「ほーのーかー!!」

穂乃果「わーやめてよー海未ちゃーん!ことりちゃん助けてー!」



終わり

331 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:28:07.68 ID:2kXFbh/G.net
近藤勇 高坂穂乃果
土方歳三 園田海未
沖田総司 絢瀬絵里
山南敬助 東條希
永倉新八 矢澤にこ
斎藤一 西木野真姫
井上源三郎 南ことり
藤堂平助 星空凛
原田左之助 小泉花陽

島田魁 ヒデコ
尾形俊太郎 フミコ
山崎烝 ミカ

相馬主計 高坂雪穂
市村鉄之助 絢瀬亜里沙

伊東甲子太郎 綺羅ツバサ
加納鷲雄 優木あんじゅ
服部武雄 統堂英玲奈

332 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:28:36.48 ID:2kXFbh/G.net
坂本龍馬 高海千歌
中岡慎太郎 渡辺曜
陸奥陽之助 桜内梨子
桂小五郎 松浦果南
西郷吉之助 黒澤ダイヤ
中村半次郎 黒沢ルビィ
岡田以蔵 津島善子
河上彦斎 国木田花丸
トーマス・グラバー 小原鞠莉

松平容保 理事長
近藤周平 穂乃果父

新見錦 優木あんじゅ
平山吾郎 統堂英玲奈

芹沢鴨 綺羅ツバサ

333 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:29:22.14 ID:2kXFbh/G.net
これで終わりです

どうしても今日中に完結させたかったので一気に投稿しました

334 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:54:11.52 ID:twlv4a77.net
乙です!前の分も見てたけど、やっぱり最後で泣くな Aqours出したんだね

335 :名無しで叶える物語:2018/01/01(月) 23:57:01.90 ID:SvqawcAX.net
よっしゃーまとめて読むぜーーー

336 :名無しで叶える物語:2018/01/02(火) 00:05:04.90 ID:3Ye/DJKD.net
Aqoursに関しては当初攘夷側のSSを書こうと思い断念したため、こういう形で登場させました
あくまでおまけみたいな形なので扱いが雑になってしまい申し訳ないです

337 :名無しで叶える物語:2018/01/02(火) 00:42:36.67 ID:w7jFI7/F.net
おつおつ。歴史ネタ大好きだぜ
Aqoursは攘夷の中でも長州とか一藩に配置を絞れば扱いやすかったかもね

338 :名無しで叶える物語:2018/01/02(火) 01:10:07.17 ID:QKSp6nvX.net
おつです。めっちゃ楽しませていただきました。久しぶりに司馬遼太郎の本読んでみようかな

339 :名無しで叶える物語:2018/01/02(火) 11:23:12.14 ID:u4OIYEZV.net
1/4に読むから保守

340 :名無しで叶える物語:2018/01/02(火) 12:15:51.64 ID:qi+kdyS+.net
乙!いいものを読ませて頂いた

341 :名無しで叶える物語:2018/01/02(火) 13:32:50.85 ID:8TN/k/6s.net

時間と余裕があったらでいいので千歌ちゃん龍馬メインもお願いします
武市が誰になるのか想像もつかないけど

342 :名無しで叶える物語:2018/01/02(火) 18:58:10.55 ID:OwK1gEbh.net


343 :名無しで叶える物語:2018/01/02(火) 21:38:47.52 ID:OwK1gEbh.net


344 :名無しで叶える物語:2018/01/03(水) 00:14:35.99 ID:fnRQ7TJW.net
保守

345 :名無しで叶える物語:2018/01/03(水) 15:23:11.36 ID:HPesLSUJ.net
保守

346 :名無しで叶える物語:2018/01/03(水) 21:20:16.02 ID:xTt6xKDC.net
明日読むから保守しろ

347 :名無しで叶える物語:2018/01/04(木) 07:40:35.84 ID:qsTZBXDs.net
おk

348 :名無しで叶える物語:2018/01/04(木) 16:23:50.80 ID:2Ow24E7T.net
文章はあっさりしてるのに
すっんげー!!良かった
読めたことにただただ感謝です

349 :名無しで叶える物語:2018/01/04(木) 20:19:33.56 ID:U55vPbnM.net


350 :名無しで叶える物語:2018/01/05(金) 00:56:09.84 ID:8l08vK32.net
ho

351 :名無しで叶える物語:2018/01/05(金) 07:33:05.17 ID:DY6aXMoS.net


352 :名無しで叶える物語:2018/01/05(金) 19:33:03.05 ID:DY6aXMoS.net
御用だ

353 :名無しで叶える物語:2018/01/05(金) 22:17:04.03 ID:0Xm5kXSa.net


354 :名無しで叶える物語:2018/01/06(土) 01:14:59.18 ID:i04FbplV.net
御用だ

355 :名無しで叶える物語:2018/01/06(土) 09:28:00.89 ID:qq2cpJ7n.net


356 :名無しで叶える物語:2018/01/06(土) 22:45:27.20 ID:Zv2WzFgR.net


357 :名無しで叶える物語:2018/01/07(日) 07:57:11.25 ID:LJb8dosC.net
保守

358 :名無しで叶える物語:2018/01/07(日) 19:33:01.98 ID:NUsJkMo5.net


359 :名無しで叶える物語:2018/01/08(月) 09:41:57.66 ID:ufBNhWjc.net


360 :名無しで叶える物語:2018/01/08(月) 15:31:51.14 ID:Ku49OEVM.net
ラストで愛ばん(ピアノver)が脳内再生されたわ…乙

361 :名無しで叶える物語:2018/01/09(火) 00:36:47.87 ID:mBqhnb7n.net
じょ

362 :名無しで叶える物語:2018/01/09(火) 19:29:52.03 ID:aBaj5S/I.net
じょ

363 :名無しで叶える物語:2018/01/10(水) 01:04:58.23 ID:AR3M7TWB.net
SGSH

364 :名無しで叶える物語:2018/01/10(水) 08:25:03.76 ID:AR3M7TWB.net
穂乃果たそ

365 :名無しで叶える物語:2018/01/10(水) 18:55:43.64 ID:ag/K8XTA.net
大河の新撰組思い出しながら読んだわ
あれもめっちゃ好きだった
そしてどちらも感動した

366 :名無しで叶える物語:2018/01/11(木) 01:53:37.55 ID:jVVH3zrg.net
MIBUROを最近プレイした俺にはタイムリーなスレ

367 :名無しで叶える物語:2018/01/11(木) 19:38:05.94 ID:bBUmCP9/.net
よむよー

368 :名無しで叶える物語:2018/01/11(木) 20:27:26.87 ID:bBUmCP9/.net
140まで読んだ
2018年名作選の1つとする

369 :名無しで叶える物語:2018/01/12(金) 00:01:58.42 ID:d4b2LooV.net


370 :名無しで叶える物語:2018/01/12(金) 01:01:25.76 ID:X5WkzoXU.net
ラブライブファンにもおすすめのもうかるぶろぐ
グーグル検索⇒『稲本のメツイオウレフフレゼ

WV97L

371 :名無しで叶える物語:2018/01/12(金) 04:04:40.91 ID:sZTRd7Ea.net
真姫ちゃん、新撰組解散後も逆刃刀の元人斬りと一緒に
アヘン組織潰したり国盗りを狙う包帯男と死闘を演じたり
中々刺激的な人生を送ってるよな。

372 :名無しで叶える物語:2018/01/12(金) 09:08:55.53 ID:Ux2pums7.net


373 :名無しで叶える物語:2018/01/12(金) 21:53:31.69 ID:Ux2pums7.net


374 :名無しで叶える物語:2018/01/12(金) 22:47:47.47 ID:Ux2pums7.net
210まで読んだ

375 :名無しで叶える物語:2018/01/13(土) 15:13:53.81 ID:Mn5YcYZa.net


376 :名無しで叶える物語:2018/01/14(日) 04:42:19.85 ID:QqR1m8Gv.net
御用だ

総レス数 376
207 KB
掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50
read.cgi ver 2014.07.20.01.SC 2014/07/20 D ★