ワクチンと因果関係不明の異常反応被害者、３６人だけ支援受ける＝韓国

菜々しさん

新型コロナウイルスワクチンの副反応への懸念などから接種を先送りした未接種者が５３０万人を超える中で韓国政府の異常反応被害支援は依然として消極的という指摘が出た。

◇因果関係明らかになっていない異常反応、３６人だけ支援

国会保健福祉委員会に所属する野党「国民の力」の金美愛（キム・ミエ）議員が６日に保健福祉部と国民健康保険公団などから提出させた資料によると、新型コロナウイルスワクチン接種後の重症異常反応により緊急福祉や災害的医療費などを支援された人は３６人にとどまった。

ワクチン接種異常反応で医療費などが発生し緊急福祉を申し込んだケースは、ソウル、京畿道（キョンギド）、仁川（インチョン）、釜山（プサン）、光州（クァンジュ）、江原道（カンウォンド）、忠清北道（チュンチョンブクド）、忠清南道（チュンチョンナムド）、全羅南道（チョンラナムド）、慶尚北道（キョンサンブクド）、慶尚南道（キョンサンナムド）の１１地域で４２件あり、８月３１日基準でこのうち２９件だけ支援された。総支援金額は５７５億１２００万ウォンだ。

災害的医療費を受けたケースも９月１２日までで７件、約７０７万ウォンにとどまった。当初韓国政府は接種と副反応の間の医学的因果関係が十分に明らかにならなくても緊急福祉や災害的医療費などの福祉制度を活用して医療費などを最大限支援すると明らかにしていた。しかしこれらの制度が当初は低所得層の支援を目的に設計されていたため、所得基準がありこれを超過する場合には支援を受けるのが難しいのが実情だ。保健福祉部関係者は「既存の制度の枠組みを破ることができないため許容範囲内でするほかはない限界がある」と話した。

韓国政府が既存の福祉事業を活用して異常反応被害者を支援するのは、あまりにも異常反応とワクチン間の因果性を立証しにくいからだ。議員室によると９月２３日基準で死亡と重症の報告は死亡６７８件、重症９０８件の１５８６件あるが、このうち予防接種被害調査班の事例評価を経て因果性が認められたケースは死亡２件、重症５件の７件で０．４％にすぎない。

◇「蓋然性あるが因果性不足」事例で医療費支援わずか３９人

接種との時間的蓋然性はあるが、因果性を認めるのに資料が不十分な場合、別途の分類体系を新設して治療費を最大１０００万ウォンまで支援することにしたが、これもまた現在３９人にだけ支給が確定した状態だ。こうした支援も十分でないケースがある。議員室によると、療養保護士である４０代の女性は４月２０日にアストラゼネカ製ワクチンを接種した後、７月６日にファイザー製で交差接種したが異常反応が現れ、心筋炎の診断で心臓移植手術まで受けたが依然として入院中だ。挙動が不便で５０代の夫がトラックドライバーを辞めて２４時間面倒をみているが、今月中間精算した病院費だけで６０００万ウォンに達する。この女性の場合、心筋炎に対し接種との時間的蓋然性は認められたが、因果性を認める客観的根拠が不十分という判断が出て最大１０００万ウォンの支援を受けられるが、実際の病院費をまかなうにはとても足りない金額だ。

◇「接種参加国民に待遇しなければ」

金議員は「ワクチンの副反応で多くの国民が苦痛を訴えるが、政府は当初の約束と違い責任を負う姿勢を見せていない。接種の必要性は積極的に広報するが、副反応は知らんぷりだ」と指摘した。金議員は「韓国国民はどこの国より防疫ルールをしっかり守るのに特別な国民に対し副反応に対しても特別に待遇すべき。製薬会社との関係もあるが、大統領が接種を勧める時に全面的に責任を負うと言ったなら因果性に対しても同じ姿勢が必要だ」と話した。

６日午前に開かれた福祉委員会の国政監査では、このように政府の副反応事後管理が不十分だとして対策を要求する声が相次いだ。国民の力の姜起潤（カン・ギユン）議員は「政府が副反応に対し責任を持ち補償するというが、国民は体感できていない。こうした状況が持続すれば現在ワクチン接種を迷っている未接種者５３０万人の数は減らないだろう。因果性認定や補償決定の割合を引き上げる必要がある」と話した。与党でも「ワクチンは選択でなく義務なのに、悔しい思いをする国民をどのように救済するのか認知しなければならず、因果性を客観的に判定する審議委員会が必要だ」（共に民主党・高永寅議員）という意見が出された。

これに対して鄭銀敬（チョン・ウンギョン）疾病管理庁長は「積極的な対応と補償支援の必要性に共感する。医療界とともに異常反応調査と補償範囲に対し検討中」という原則的立場を明らかにした。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1859d7b5766b920248ade620ce0fc98573ad358e