市立美術館「アーツ前橋」館長らが隠蔽工作を検討　作品紛失問題 [ひよこ★]

ひよこ ★

https://mainichi.jp/articles/20210324/k00/00m/040/448000c

毎日新聞 2021/3/24 21:43(最終更新 3/24 21:43) 1004文字

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アーツ前橋の作品紛失に関する調査報告書の内容を説明する前橋市の担当者＝前橋市大手町の前橋市役所で2021年3月24日午前11時3分、妹尾直道撮影

　前橋市立美術館「アーツ前橋」が群馬県内出身の作家2人（ともに故人）の遺族から預かっていた木版画などの作品計6点を紛失した問題で、同館館長らが作品リストから紛失作品を削除し、最初から借りていなかったことにする隠蔽（いんぺい）工作を検討していたことが、24日に公表された市の調査報告書で分かった。実際に隠蔽工作はなかったが、市は17日に館長や副館長（当時）、市文化国際課長（当時）ら5人を訓告処分とした。今後、遺族側に賠償を提案する。

　報告書によると、紛失は2020年1～2月に判明したが、遺族側に初めて伝えられたのは約半年後の20年7月。館長と担当学芸員は当初、否定的な報道を懸念し、紛失作品を除いた作品リストを遺族側に渡すことを検討していたという。また、元々は紛失した3作品を含む11作品が19年度の寄贈対象になっていたが、20年3月には報告用の資料から理由なく3作品が除かれていたことも判明した。

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アーツ前橋＝前橋市千代田町で2021年3月24日午後1時24分、妹尾直道撮影

　同館は県内出身の作家2人の遺族から寄贈を視野に作品計52点を預かり、18年12月に旧前橋市立第二中学校の空き教室で作品を一時的に保管。作品を調査した19年3月時点で保管は確認されていたが、20年1～2月に木版画など計6点の紛失が判明した。外部からの侵入の形跡はなく、19年12月に不要な学校備品を処分した際、誤って廃棄された可能性があるという。

　市の調査委員会は外部有識者や市幹部で構成。20年12月～21年3月、関係者18人への聞き取りなどを行った。

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アーツ前橋の作品紛失を巡る調査報告書を受けてコメントする前橋市の山本龍市長＝前橋市役所で2021年3月24日、鈴木敦子撮影

　山本龍市長は24日の定例記者会見で「原因として市の組織的な管理体制の不十分さを指摘された。作品の所有者であるご遺族に心からおわび申し上げます」と陳謝した。

　一方、館長は3月1日、アーツ前橋のホームページで同月末での退任を発表した。退任理由を「ちょうど10年が過ぎ、新しい人にこの役割を渡すべき時期になり、（中略）作品管理の体制を見直すことから新しい体制で再生することが必要と考えました」と説明している。

　山本市長は館長の退任と作品紛失問題は無関係だと強調。調査委から隠蔽を指摘されたことについては「いささか残念だが、実態として隠蔽は行われなかったことが救い」と述べた。

　同館は4月から3カ月間、休館する。休館中は収蔵品の再点検とともに、同館のあり方の検討や作品管理体制の見直しを進める予定。また、後任館長の選任も進めていくという。【妹尾直道、鈴木敦子】

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