「紛争解決　若者に手をさしのべ、平和構築人材に」潘基文氏寄稿・下

きつねうどん ★

http://www.sankei.com/smp/world/photos/160126/wor1601260005-p1.html

　今月、私は国連総会に、この脅威の原動力となるものに対処するための実際的で包括的な取り組みである「暴力的過激主義防止の行動計画」を提示した。テロ行為を助長し得る暴力的過激主義に焦点を当てている。

　行動計画は、それぞれが連関している５つのポイントに基づき、地球規模、地域、国家レベルで７０項目以上の共同行動を提案している。

　▽１・予防を最優先に

　国際社会は、暴力的過激主義の脅威を合法的な手段を使って防ぐあらゆる権利を持つが、長期的に問題を解決しようというのであれば、私たちは暴力的過激主義の種々の原因に対処するよう特段の注意を払わなければならない。

　暴力的過激主義への道は一つではない。しかし、私たちは、人権が侵害されたり、政治的な自由が萎縮したり、多様性受け入れへの願望が無視されたり、あまりの多くの人々、特に若者が人生の展望や生きる意味を見失ったときに、暴力的過激主義が蔓延（まんえん）することを知っている。

　私たちがシリアやリビアなどで見てきたように、暴力的過激主義は、収拾されず長期化している紛争を一層、解決困難にしている。

　私たちは、成功への重大な要素もまた知っている。それは良い統治、法の支配、政治参加、質の高い教育と生産的で働きがいのある人間らしい仕事、人権の十分な尊重だ。

　私たちは、若者に手をさしのべる特別な努力をし、彼らにピースビルダー（平和構築人材）としての将来性があることを認識しなければならない。

　女性の保護や社会的地位の向上もまた、私たちの対応の中心に据えなくてはならない。

　▽２・信念を持った指導者と効果的な制度

　有害なイデオロギーは、何もない状態からは生まれない。抑圧や腐敗、不正が憎しみを生む温床だ。過激主義者たちは、疎外感を助長するのにたけている。

　これが、私が指導者たちに、十分な説明責任を伴う包括的な制度を構築するよう、一層努力することを求めてきた理由である。私は、指導者たちに、自国民の不平を注意深く聞き、それらに対処するよう行動することを引き続き求めていく。

　▽３・過激主義の防止と人権促進は密接に関連する

　国家の対テロ戦略は、適正手続きの基本的要素や法の支配の尊重に欠けることが、あまりにも多くなってきている。

　テロ行為や暴力的過激主義を広範に定義することはしばしば、反体制派や市民社会団体、人権擁護者の正当な行動を犯罪として禁じるために利用されている。各国政府は、自らに批判的な者を攻撃したり、沈黙させたりする口実として見境のない定義を用いるべきではない。

　繰り返すが、暴力的過激主義者たちは、そうした過剰反応を意図的にあおろうとしている。私たちはそのわなにはまってはならない。

　▽４・総力を挙げた取り組み

　行動計画は「政府ぐるみ」の取り組みを提案している。私たちは平和と安全、持続可能な開発、そして人権や人道的活動家の間に立ちはだかる国家、地域、国連も含めた地球規模のレベルでの縦割り主義を廃止しなければならない。

　行動計画は、「すべてのものに通用する」解決策はないこともまた認識している。宗教指導者、女性の指導者、芸術や音楽、スポーツ分野での若者グループの指導者、そしてメディアや民間部門といった社会全体を参加させなければならない。

　▽５・国連の関与

　私は、暴力的過激主義の原動力に対処する加盟国の努力を支援するため、国連組織全体の取り組みを強化する考えだ。

　行動計画はとりわけ、複雑極まりないこの災いのもとに取り組むために、一致して行動を起こすよう緊急に求めている。

　暴力的過激主義を阻止するため、新たなグローバル・パートナーシップを築くことを共に誓おうではないか。

http://www.sankei.com/world/news/160126/wor1601260005-n1.html

「紛争解決 若者に手をさしのべ、平和構築人材に」潘基文氏寄稿・下

「紛争解決　若者に手をさしのべ、平和構築人材に」潘基文氏寄稿・下