【お・も・て・な・し】真夏の東京五輪に桜を…研究実り満開に成功

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　真夏に開催される２０２０年東京五輪・パラリンピックを桜で彩りたい――。神奈川県
などで組織する県花き・植木振興地域協議会が今月、早咲き品種のトウカイザクラを満開
にさせる実験に成功した。川崎市内の花栽培農家で、生け花作家としても活動する名古屋
徹さん（５６）が育てたもので、日本を代表する花を使った競技会場の飾り付けや、表彰
式での花束贈呈などが２０年大会で実現する可能性もありそうだ。

　実験に協力する新江ノ島水族館（藤沢市）の一角で今月初め、生け花のトウカイザクラ
の薄いピンク色の花が次々と開いた。昼間は２８度に保たれた室内で、トウカイザクラは
徐々に葉桜に変わりながらも約１週間にわたって咲き続けたという。２０日までの間も別
の切り花による開花実験が行われている。

　名古屋さんは、２０年大会が決まった２０１３年から研究を重ねてきた。専門家からは
「真夏に咲かせるのは困難だ」と言われたが、あきらめずに試行錯誤を続けた。通常、ト
ウカイザクラは３月の前半頃に咲く早咲きの品種だが、改良を加え、冬の間に４度以下の
環境で保存。昨夏に取り出したところ、花が咲くのを確認することができたという。

　だが、花の形に満足できなかった名古屋さんは「桜が無理をしたためではないか」と考
え、さらに湿度や温度を厳格に管理する専用施設を作るなどして今回の実験に臨んだ。

　満開になったトウカイザクラを見た名古屋さんは「まるで眠りから目が覚めたように自
然で美しい花を咲かせてくれた」と喜ぶ。水族館を訪れた人たちも満開の桜に目を丸くし
たといい、名古屋さんは「『真夏に桜が咲くのか』と多くの人に驚いてもらえた」と満足
げだ。

　一方で、２０年大会では競技会場などの気温が３５度前後に達することも想定されてい
る。より厳しい環境でも美しい桜を咲かせるため、研究を続ける名古屋さんは「日本を訪
れる外国人選手や観光客を桜の花で出迎えたい」と張り切っている。

　実験に携わった県農業技術センター普及指導部の田辺孝・果樹花き課長も「夏に咲く桜
は大きな需要につながる可能性も秘めている」とし、名古屋さんを支援していくという。
（鈴木伸彦）

2018/08/18 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/science/20180817-OYT1T50048.html