【政治】自民・野田聖子氏「官僚、結局はときの権力につく人」「民主党議員にべったりしているのをみて諸行無常」

2014/07/20 日本経済新聞　朝刊 http://d.hatena.ne.jp/xcl_23/20140721/1405941500
　――自民党は野党暮らしを経て、よくなりましたか。

　「前に与党だったころの自民党の政策は官僚に作文してもらうことが多く、聞こえはよかったが、現場の感覚と距離があった。
結果として国はうまく回らなくなり、国民の支持も減った」

　「今の政策は野党として罵詈（ばり）雑言を浴びせられながら、何をすべきか身につけてきたものだ。
その真骨頂がアベノミクス。政治は金融政策に口を出すべきでない、と長年教わってきたが、
民主党政権時の官僚が差配した外国為替相場への介入は失敗続きだった。政治主導でもっとさまざまなことができるはずだと学んだ。
この教訓をいろいろな分野に生かしたい」

　「目指すべきは今までと違う政治。例えば、よくいわれる内需拡大だけでの景気浮揚なんてナンセンス。
これから人口減る一方なんだから、外に出るしかない」

　――郵政相のころ、官僚主導に屈していましたか。

　「そうならないように、と努力したが、多勢に無勢。瞬時に官僚に取り囲まれた。
値踏みするつもりはないが、今は官僚のことを（野党だった）３年３カ月、周囲にいなかった人、結局はときの権力につく人とみている」

　「もちろん官僚も専門分野ではすごい知識があるので、そこは活用する。排除はだめ。民主党政権の教訓ね」

　――ねじれ解消から１年たち、自民党に緩みやおごりが出始めていませんか。

　「安倍晋三総裁（首相）の側近でもお友達でもない私が党の最高意思決定機関である総務会の運営を担い、
首相官邸が望むタイミングでのものごとの決定を外そうと思い、現に外してきた。
それで更迭されなかったのだから、安倍総裁の野党当時の反省はまだ続いているのだと思う」

　「野党時代に屈辱や悲哀を味わった私のような議員は大丈夫だ。
親しかった官僚が民主党議員にべったりしているのをみて諸行無常を感じた。
心配なのは１年生議員。若いうちから官僚にちやほやされて勘違いするおそれがある。
落選していた人も国会での野党経験がない。落選中は支持者とばかりつきあうから案外苦しい思いをしていない」

　――自民党１強より、路線が異なる二大政党が競う方がよいのではないですか。

　「人口は減り、国力は落ちという現在において、二大政党がゲーム的に争うなどという悠長なことをしている余裕はない。
民主党を筆頭に野党があの体たらくなので、自民党がありとあらゆる意見を取り込み、それらをぶち込んで政策をつくっていかないと間に合わない」

　――ありとあらゆるという割に、今の自民党は一方向に向いた印象です。

　「政権に戻ったばかりなので、いまは安倍総裁を中心にして基盤を固めるときだ。
ただ、親子や夫婦だってしばしば考え方が違う。本来は国民政党として、幅広く包含していくのが自民党だ」

　「安倍総裁もかなり真ん中に動いてきている。保守層からみると、働く女性なんて敵みたいなものだ。
女性の活用を成長戦略の一丁目一番地に据えた時点で、安倍総裁はもはや封建的な保守ではない。少なくとも政策的には極めてリベラルだ」

　――外交・安保ではタカ派にみられています。

　「これは国際情勢の激変という要素もある。私も集団的自衛権の行使解禁には反対ではない。
ただ、閣議決定で決めると、政権が代わって相手が同じことをしても文句をいえなくなる。
だから、もっとかっちりした形で進めた方がよいのではないかと注文を付けた」

続く